JP3933211B2 - 熱風炉の補修工事方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱風炉の補修工事方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の高炉用熱風炉補修技術としては、例えば特開昭57−2390号公報に示されているように、コークス炉蓄熱室内チェッカー煉瓦を取替するに際して、端蓄熱室前壁の下部及びこの前壁に接した端蓄熱室仕切壁の下部を解体して、端蓄熱室下部にチェッカー煉瓦の取り出し装入口を形成し、チェッカー煉瓦を取り出すに際して、900℃程度の雰囲気により、高温に加熱されている端蓄熱室上部の炉壁耐火材の急冷を防止するとともに、作業環境が改善され、短時間で取替を完了するために高温度の端蓄熱室内に作業者が入ることなく、炉外から上記取り出し装入口を介して取り出し、装入を行うコークス炉端蓄熱室内チェッカー煉瓦取替え方法がある。
【0003】
その他に、例えば特開昭58−130207号公報に示されているような高炉用熱風炉内耐火煉瓦の補修に際して、補修個所と燃焼室を外部からの仕切板で遮断して補修部を冷却することにより、他の部分は冷却せずに補修する方法がある。外燃式熱風炉の混合室と燃焼室間の水平管部、伸縮管内における耐火物が溶損して補修する際、短時間で熱風炉の機能を回復させるために、水平管部に可及的小さな開口部を設け、耐火物を貼布して断熱処理をした複数の仕切板を開口部から挿入し、この仕切板で高温の燃焼室と耐火煉瓦の溶損個所を完全に遮断し、この部分を冷風で冷却しながら溶損煉瓦の補修を行なうものである。熱風炉の燃焼室は高温のまま保持してあるので、耐火煉瓦の補修後は直ちに熱風炉本来の熱風発生操業が開始でき、熱風炉の稼働率低下を少くしながら簡単に溶損煉瓦の補修を行なう補修方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来技術は、つぎのような問題点を有する。
(イ)バックステーやジャッキ,昇降金具等の仮設機材が必要である。しかし、熱風炉の補修においては、燃焼室内が空洞になっていることや、チェッカー煉瓦の部分陥没及び構造体の崩壊等があり空洞部分ができている場合は、不安定な状態であり作業者は炉内に入れないため、前記仮設機材の設置は不可能である。
(ロ)又、全く拘束されていないチェッカー煉瓦を深く部分的に掘り下げたり、陥没部で補修作業をすることは、目地材を使用していないチェッカー煉瓦積みでは、チェッカー煉瓦が容易に倒壊する可能性を有するため何等かの対策が必要である。
(ハ)更に熱風炉,特に燃焼室は平面的に円形ないし楕円形であり、燃焼室と熱風出口の接合部口巻き煉瓦等は複雑かつ崩壊しやすい構造体となっているため、内張り煉瓦の炉内側からの支持やステー等の取付が極めて困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点の(ハ)を解決することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱風炉を休止し冷却した後、熱風出口口巻煉瓦の補修方法において、前記熱風出口口巻部上部の本壁煉瓦を部分解体し、該解体部分に炉外より炉殻を開孔し、該開孔部に前記本壁煉瓦を支持する壁支持用型鋼を挿入して本壁煉瓦を支持すると共に、前記本壁煉瓦に発生した亀裂部にくさびを打ち込んで本壁煉瓦を安定させた後、前記熱風出口口巻煉瓦の補修を行うことを特徴とする熱風炉の補修工事方法によって上記課題を解決した。
【0009】
【作用】
熱風炉を休止し冷却した後、熱風炉内部を補修する工事方法において、熱風炉の蓄熱室の損傷空洞部や燃焼室内の損傷空洞部に、通常の方法によって安全性及び作業性の高い作業足場を仮設することは困難である。蓄熱室のチェッカー煉瓦はモルタル等の接合材を使用しておらず、かつ特別の拘束もされていないので、何らかの理由で陥没部が発生すると残存チェッカー煉瓦が陥没部へ容易に倒壊し、落下すること、及び目地切れや割れ及び変形等によって損傷した仕切壁上部の残存煉瓦が陥没部へ容易に倒壊し、落下することにより極めて不安定な状態となっているため、上部のマンホールその他の部位から炉内に入ることや炉内で作業することは極めて困難である。
【0010】
一方、燃焼室についても、同様に目地割れや割れ及び変形等によって損傷した仕切壁上部の残存煉瓦、熱風出口口巻煉瓦の残存煉瓦等が燃焼室下部へ容易に倒壊及び落下することにより極めて不安定な状態となっているため、上部のマンホール、熱風出口、下部のマンホール、及びその他の部位から炉内に入ることや炉内で作業することは極めて困難である。
【0012】
また、目地切れや割れ等により損傷した熱風出口口巻煉瓦の上部及び本壁煉瓦の落下もしくは滑り落ち等により、熱風出口口巻部の煉瓦を解体することが極めて困難となっている。
【0013】
しかし、本発明の方法によれば、熱風炉の炉殻を外部より部分開孔し、この開孔部に内張耐火煉瓦の落下もしくは滑り落ち等の構造体崩壊に対する防止用支持体を仮設することによって、内張煉瓦構造に悪影響を与えることなく、燃焼室と熱風出口の接合部口巻き煉瓦等の複雑かつ崩壊しやすい構造体でも安全に任意の補修ができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を大型熱風炉に適用した実施例について、図面により詳細に説明する。
図1は、熱風炉補修工事方法における補修前の説明用縦断面図である。
図2は、燃焼室内における熱風出口口巻部補修時の炉内側から見た壁支持構造体正面図を示す。図3は図2の壁支持構造体取付前の炉外側から見た炉殻開孔状態図で、図4は図3のC−C断面図で、図5は図4における壁支持構造体取付時に炉外から見た正面詳細図を示す。
この図2において、本壁煉瓦19は、使用中に本壁煉瓦亀裂17及び内張煉瓦の各層間隙26により本来の一体構造がブロック状に分割されているため、熱風出口口巻部の煉瓦を解体すると容易に落下、倒壊する状態となっている。この落下、倒壊を防止するため、熱風炉胴体部の炉殻3に開孔部20を設けこれに炉外より壁支持用I型鋼21を挿入して、上部の断熱ボード23、断熱煉瓦24、耐火煉瓦25及び本壁煉瓦19を支持する。ここで、補強H型鋼22、くさび18は構造をより一層安定化するための補強である。
本実施例では、5ヶ所に上記壁支持構造体を炉殻の円周方向に等間隔に仮設する。本壁煉瓦19等は相互に組み合った階段状であり、熱風出口口巻部補修部位は円形であることを利用して、前記5ヶ所の壁支持構造体を図のように端側(下側)から順次仮設する。このとき、本壁煉瓦の解体は煉瓦の落下倒壊防止のため壁支持構造体を仮設する部分のみに限定する。壁支持構造体の仮設手順は、本壁煉瓦の部分解体後、炉外側から、ボーリングマシンで炉殻3を開孔し、これに炉外より壁支持用I型鋼21を挿入して、炉殻3に溶接後、補強H型鋼22を溶接し、炉内側からくさび18を打ち込む。以降他の4箇所もこの手順を繰り返す。なお、本壁煉瓦亀裂17へのくさび18の打ち込みは補修工事に先行して実施する。解体後新たに本壁煉瓦を築炉するときは、5ヶ所の壁支持構造体のうち端側(下側)から順次煉瓦積みに合わせて各支持構造体を撤去する。撤去手順は、くさび18の抜き取り、壁支持用I型鋼21の撤去、補強H型鋼22の撤去、炉殻3の復旧溶接、断熱ボード23、断熱煉瓦24、耐火煉瓦25及び本壁煉瓦19を煉瓦積みする。以降他の4ヶ所もこの手順を繰り返す。
【0021】
以上の補修工事方法により、短期間で熱風出口口巻き煉瓦を部分的に解体補修することによって次の効果が得られる。
熱風出口口巻煉瓦より上部の本壁全部補修を部分補修にすることにより、2,070工(3基分)の省力化、18日の工期短縮、及び800トンの耐火材の削減となる。
【0024】
【発明の効果】
かくすることにより、平面的に円形ないし楕円になっている熱風炉、特に燃焼室のように、燃焼室と熱風出口の接合部口巻き煉瓦等は複雑かつ崩壊しやすい構造体となっているため、内張煉瓦の炉内側からの支持やステー等の取付けが極めて困難である場合でも、熱風炉の炉殻を外部より部分開孔し、この開孔部に内張耐火煉瓦の落下もしくは滑り落ち等の防止用支持体を仮設することにより、容易に補修工事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱風炉補修工事方法における補修前の説明用縦断面図。
【図2】 燃焼室内における熱風出口口巻部補修時の壁支持構造体全体図。
【図3】 図2における壁支持構造体取付前の炉殻開孔状態図。
【図4】 図3の炉外におけるC−C断面詳細図。
【図5】 図4におけるD−D正面図。
【符号の説明】
1…燃焼バーナー
2…熱風出口口巻煉瓦
3…炉殻
4…燃焼室
5…蓄熱室内張煉瓦
6…仕切壁煉瓦
7…ドームマンホール
8…チェッカー煉瓦陥没部
9…チェッカー煉瓦
10…発泡スチロール
11…発泡スチロール単体
12…チェッカー煉瓦支持パイプ
13…パイプ保持角材
14…牽引ロープ
15…チェッカー煉瓦支持パイプ落下防止金鍔
16…チェッカー煉瓦結束プレート
17…本壁煉瓦亀裂
18…くさび
19…本壁煉瓦
20…炉殻開孔部
21…壁支持用I型鋼
22…補強H型鋼
23…断熱ボード
24…断熱煉瓦
25…耐火煉瓦
26…各層間隙
27…ミキシングチャンバー
28…エッジ部
29…門型ホイスト
Claims (1)
- 熱風炉を休止し冷却した後、熱風出口口巻煉瓦の補修方法において、前記熱風出口口巻部上部の本壁煉瓦を部分解体し、該解体部分に炉外より炉殻を開孔し、該開孔部に前記本壁煉瓦を支持する壁支持用型鋼を挿入して本壁煉瓦を支持すると共に、前記本壁煉瓦に発生した亀裂部にくさびを打ち込んで本壁煉瓦を安定させた後、前記熱風出口口巻煉瓦の補修を行うことを特徴とする熱風炉の補修工事方法。
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