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JP3932688B2 - 内燃機関用燃料噴射装置 - Google Patents

内燃機関用燃料噴射装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にコモンレールと呼ばれる一種のサージタンクに高圧燃料を蓄圧し、この蓄圧した高圧燃料を内燃機関に噴射供給する内燃機関用燃料噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関より排出される排気ガスのエミッションの低減や運転フィーリングの向上を図るために、内燃機関への燃料噴射を電子制御する電子制御燃料噴射システムの開発が盛んに行われている。その一例を図10に示す。この電子制御燃料噴射システムによれば、電子制御されるフィードポンプ101aにより燃料タンク102から燃料を汲み上げて高圧ポンプ101により高圧にして、コモンレール103に送り込む。
【0003】
例えばコモンレール圧力は圧力センサ104により検出し、この値がエンジン回転数や冷却水温度センサ105の検出値、アクセル開度センサ106の検出値等により定められる値となるよう電磁弁107で制御して所定量を送り込むようにしている。そして、コモンレール103からはエンジン108の各気筒に設置された、電子制御される燃料噴射ノズル(インジェクタ)109に燃料配管110を介して燃料が供給される。これらの制御は全てECU111により行われる。
【0004】
次に、このような電子制御燃料噴射システムの燃料噴射時の作動を図11に基づいて説明する。
図11に示した燃料噴射ノズルは二方電磁弁方式のインジェクタ120で、無噴射時には、二方電磁弁のバルブ121が閉じているため、コモンレールの高圧燃料が制御室122に満たされている。この結果、コマンドピストン124を下向きに押さえる力が大きく、ノズルニードル125がシート部に押さえ付けられて燃料が噴射されない。
【0005】
噴射時には、ECU111からの信号を受けてドライブ回路等からなるEDU112から二方電磁弁のコイル126に電流が流れ、バルブ121を図示上方に引き上げる。すると、制御室122の高圧燃料は絞り部128を通ってリークされるため、制御室圧力は低下する。この時、高圧燃料が絞り部127を介して制御室122に供給されるため制御室122の圧力低下速度は絞り部127、128の選択により任意に変えることができる。圧力低下速度はともかく、制御室圧力は確実に低下するため、コマンドピストン124を図示下方に押す力が減り、図示上向きの力が打ち勝ってノズルニードル125が図示上方に上がり、噴孔129から高圧燃料が噴射される。ここで、123は燃料溜り室である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような電子制御燃料噴射システムにおいては、噴射初期から高圧の燃料噴射が可能であり、噴射終了時の噴射切れも速いために、パティキュレートの排出を大幅に抑えることができる反面、特に高負荷時には初期噴射率が大きいために窒素酸化物(NOx)の排出が大となるという問題が生じている。
【0007】
したがって、この対策のためには高負荷時の初期噴射率を下げることが望ましく、その噴射率パターンの例を図12(a)、(b)に示す。図12(a)は徐々に噴射率を高めるタイプで、図12(b)は2段階(または多段階)に噴射率を高める(初期低噴射率、その後に緩やかに高噴射率になる)タイプである。
【0008】
先ず、図12(a)のタイプは、図11に示す絞り部127、128の絞り量の調整により実現が可能である。しかしながら、これらの絞り部127、128は、他の性能、例えば噴射終了時の噴射切れや、主噴射に先立って少量の噴射を行うパイロット噴射の噴射間隔等にも影響を及ぼすため、絞り部127、128の絞り量を自由に変更できるわけではない。
【0009】
一方、図12(b)のタイプは、例えば特開平7−332199号公報に示されるようなインジェクタ140で実現可能である。このインジェクタ140は、図13に示したように、ノズルニードル141の先端部に突起部142を設け、ノズルボデー143の先端部に内部で突起部142が摺動する筒状の摺動部144を設け、その摺動部144にノズルニードル141の上昇量(リフト量)に応じて開放される第1、第2噴孔145、146を設けている。そして、突起部142には、インジェクタ140の開弁時に、ノズルニードル141のシート部147よりも上流側の燃料溜り室と摺動部144の先端側のサック室148とを連通する連通路149が形成されている。
【0010】
このインジェクタ140によれば、ノズルニードル141のリフトが低い時には、ノズルニードル141の突起部142内に設けた連通路149を介して高圧燃料がサック室148内に流入して先端側(図示下方側)の第1噴孔145のみから燃料噴射が行われる。また、ノズルニードル141のリフトが高くなると、第1噴孔145だけでなく、その第1噴孔145よりも後端側(図示上方側)の第2噴孔146からも燃料噴射が行われる。したがって、この種のインジェクタ140は、ノズルニードル141のリフト量に応じて噴孔面積を変えることができるので、一般に「可変噴孔ノズル」と呼ばれる。可変噴孔ノズルでは、さらに低負荷時に小噴孔からのみ噴射することでエミッション(特にHC、スモーク)を低減し、高負荷時には、全噴孔から噴射することで、噴射期間短縮による、燃費、スモークの低減が可能となる。
【0011】
ところが、上記のインジェクタ140のような可変噴孔ノズル構造では、ノズルニードル141の突起部142とノズルボデー143とがクリアランスシールであるため、ノズルニードル141が小リフトした時に、本来燃料噴射を行うべき、図示下方の第1噴孔145のみだけでなく、突起部142とノズルボデー143とのクリアランスを通って、燃料噴射をしてはいけない第2噴孔146からも燃料が噴出してしまう。この時、クリアランスを介して燃料が噴射されるために噴射圧力がかなり低く、微粒化の劣った噴霧となり、燃焼が悪化するため、排出される排気ガス中の黒煙(スモーク)や炭化水素(HC)等が多く、エミッションの悪化を招くという問題が生じる。
【0012】
また、独国公開公報第DE19637186A1号に見られるコモンレールと可変噴孔ノズルとの組み合わせで、通常のインジェクタでは油溜り室に常に高圧燃料が供給されるため、外側のピースは開いてしまうので、油溜り室に加わる圧力を何らかの手段(公開公報には図示されていない)で制御する必要があり、電磁弁等の制御部品が余分に必要となり、部品点数が増加し、且つ製品コストを上昇させてしまうという問題が生じる。
【0013】
【発明の目的】
本発明の目的は、比較的に簡単な構造で、しかも初期噴射率を小さくすることにより窒素酸化物の排出を抑えることのできる内燃機関用燃料噴射装置を提供することにある。また、初期噴射率の低減効果を持つ可変噴孔ノズルで、リフト時に、クリアランスシールを持たないノズルニードルのリフト量に応じて噴射、非噴射を確実に制御することのできる内燃機関用燃料噴射装置を提供することにある。さらに、多段階噴射を実現すると共に、高噴射率から急激に噴射を終了するシャープカットを実現することのできる内燃機関用燃料噴射装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、無噴射時には、電磁弁が閉弁しているため、コモンレールの高圧燃料が第1燃料通路を通って第1制御室内に満たされ、更に第2燃料通路を通って第2制御室内に満たされる。これにより、第2制御室圧力が高いので、弁体がリフトせず高圧燃料が噴射されない。
【0015】
噴射時には、電磁弁が開弁することにより第2制御室より第3燃料通路を通って高圧燃料が低圧通路に排出される。これにより、第2制御室圧力が低下するので、弁体および第2ピストンがリフトし、噴孔から高圧燃料が噴射される。そして、弁体がプレリフト量だけリフトすると、第2ピストンが第1ピストンに当接する。
【0016】
ここで、第1制御室内の高圧燃料も第2燃料通路、第2制御室および第3燃料通路を通って低圧通路に排出されるが、第2燃料通路の途中に第2絞り部を設けているので、第2制御室圧力の低下速度に対して第1制御室圧力の低下速度が遅い。これにより、弁体がプレリフト量だけリフトすると、一旦そのリフト量で弁体が保持されるので、初期噴射率を少なくすることができる。したがって、比較的に簡単な構造で、窒素酸化物の排出を抑えることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、電磁弁が開弁することにより第2制御室圧力が低下する。これにより、弁体および第2ピストンがリフトして弁体がプレリフト量だけ変位すると、第2ピストンが、第1ピストンの閉塞部分の、第2ピストンが当接する端面に設けられた第1弁座に当接する。その後に、第1制御室圧力が低下するまでそのリフト量で弁体が保持される。そして、第1制御室圧力が低下することにより、弁体、第1ピストンおよび第2ピストンがリフトして弁体がフルリフト量だけ変位する。すると、弁体が、シリンダに連結されたインジェクタ本体の、弁体が当接する端面に設けられた第2弁座に当接するので、弁体のリフトが終了する。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、第2燃料通路と第3燃料通路とを連通する連通路を第1ピストンまたは第2ピストンに設けることにより、弁体がプレリフト量だけ変位した際に第2ピストンが第1ピストンに当接した場合でも、第1制御室内の高圧燃料が第2燃料通路、連通路および第3燃料通路を通って低圧通路に排出される。これにより、第1制御室圧力を低下させることができ、弁体、第1ピストンおよび第2ピストンをプレリフト量からフルリフト量まで変位させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、噴射時に第1弁体のリフト量が少ない場合には、第2噴孔の第2弁体による閉塞状態が継続されるが、第1噴孔のみが第1弁体から開放されることにより、燃料溜り部内の高圧燃料が第1弁体に形成された連通路を通って第1噴孔の入口に至り、第1噴孔のみから高圧燃料が内燃機関に噴射される。
【0020】
また、第1弁体が所定のリフト量以上リフトすると、第2弁体も第1弁体と一緒にリフトするようになる。それによって、第1弁体および第2弁体の両方がリフトすることで、第1噴孔および第2噴孔の両方が開放されることにより、燃料溜り部内の高圧燃料が連通路を通って第1噴孔の入口および第2噴孔の入口に至り、第1噴孔および第2噴孔の両方から高圧燃料が内燃機関に噴射される。
【0021】
ここで、内燃機関の軽負荷時、すなわち、燃料噴射量が少ない時には、第1噴孔のみから高圧燃料を噴射することになるため、噴射率を低く抑えることができるので、内燃機関の予混合燃焼が抑えられ、窒素酸化物の排出および騒音の発生を抑制することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、弁体がプレリフト量だけ変位した際に、第2ピストンが第1弁座に当接して、第2燃料通路の開口面積を減少させることにより、弁体がプレリフト量だけ変位してからは、第2制御室圧力の低下速度に対して第1制御室圧力の低下速度が遅くなる。すなわち、弁体がプレリフト量だけリフトすると、一旦そのリフト量で弁体が保持されるので、初期噴射率を少なくすることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、無噴射時に第1ピストンの筒状部分が第3弁座に着座すると、第1ピストンがドレーン通路の開口を閉塞することにより、無噴射時にドレーン室とドレーン通路との連通状態を確実に遮断することができる。したがって、無噴射時、つまり燃料噴射の停止期間中にドレーン室への第1制御室および第2制御室からのリークを防止できるので、エネルギー損失を低減することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
〔第1実施例の構成〕
図1および図2は本発明の第1実施例を示したもので、図1は電子制御燃料噴射システムの主要構造を示した図である。
【0025】
本実施例の電子制御燃料噴射システム1は、本発明の内燃機関用燃料噴射装置に相当するもので、図示しない制御装置(以下ECUと呼ぶ)により電子制御される高圧ポンプ2と、この高圧ポンプ2から高圧燃料が供給されるコモンレール3と、ECUにより電子制御される燃料噴射ノズル(以下インジェクタと呼ぶ)4とを備える。
【0026】
なお、高圧ポンプ2は、燃料タンク5から燃料を汲み上げて高圧にしてコモンレール3に送る。また、コモンレール3は、本発明の燃料蓄圧部に相当するもので、比較的に高い圧力(コモンレール圧力:例えば20MPa〜120MPa)の高圧燃料を蓄えるサージタンクの一種で、燃料通路6、7を介してインジェクタ4と連結されている。
【0027】
インジェクタ4は、内燃機関(例えばディーゼルエンジン)の各気筒に取り付けられたノズルボディ11、このノズルボディ11内を摺動するノズルニードル12、ノズルボディ11の後端側にインジェクタ本体13を介して連結されたシリンダ14、およびこのシリンダ14内を摺動する2個の第1、第2ピストン15、16等から構成されている。
【0028】
ノズルボディ11は、内周でノズルニードル12を摺動自在に保持し、先端部に高圧燃料を内燃機関の各気筒内に噴射する複数の噴孔20を形成している。このノズルボディ11のノズルニードル12の周囲には、常に高圧燃料が供給される燃料溜り室21が形成されている。
【0029】
ノズルニードル12は、本発明の弁体に相当するもので、先端部にノズルボディ11の弁座(シート部)22に着座するようにテーパ形状のシート部23が形成されている。また、ノズルニードル12の後端部(ジャーナル部)は、プレッシャピン24を介して丸棒形状のプッシュロッド25の先端部に連結されている。なお、プレッシャピン24とインジェクタ本体13との間には、ノズルニードル12を弁座22に着座する側に付勢する付勢手段としてのコイルスプリング26が保持されている。
【0030】
シリンダ14の内周には、ノズルニードル12が弁座22に着座している時に第1ピストン15の先端面が着座する円環形状の座部30が形成されている。シリンダ14の内部空間は、第1ピストン15によって第1制御室31と第2制御室32とに区画されている。第1制御室31は、第1ピストン15の円環状部分の後端面とシリンダ14の後端側の内周面とに囲まれたノズルニードル12の背圧室で、燃料入口が燃料通路7に連通している。
【0031】
また、第2制御室32は、第1ピストン15の円環状部分の前端面と円筒状部分の内周面と第2ピストン16の後端面とに囲まれたノズルニードル12の背圧室で、第1制御室31よりもノズルニードル12に近い側に形成されている。そして、第2制御室32の燃料出口は、ドレーン通路9に連通している。
【0032】
第1ピストン15は、ノズルニードル12側に対して逆側の後端部が閉塞された円筒状に形成され、シリンダ14の内周に摺動自在に保持された大径ピストンである。この第1ピストン15は、円環状部分(閉塞部分)と円筒状部分とからなる。また、第1ピストン15の円環状部分の中心部には、燃料通路8が形成されている。なお、第1ピストン15の円筒状部分の一部には、その円筒状部分の内周面と外周面、つまり第2制御室32とドレーン通路9とを連通する連通穴(本発明の連通路に相当する)34が形成されている。
【0033】
第2ピストン16は、第1ピストン15の円筒状部分の内周、つまり第2制御室32内に摺動自在に保持されたコマンドピストンである。この第2ピストン16の外径は、シリンダ14の座部30の内径よりも小さく作られている。また、第2ピストン16のノズル側端面は、プッシュロッド25の後端部に連結されている。これにより、第2ピストン16は、ノズルニードル12、プレッシャピン24およびプッシュロッド25と共に常に連動してシリンダ14内を往復変位する。なお、シリンダ14の中央部分には、ドレーン通路9と連通穴34とを連通するように連通溝(本発明の連通路に相当する)35が形成されている。
【0034】
ここで、第1ピストン15の円環状部分の前端面は、ノズルニードル12がプレリフト{プレリフト量(L1 )だけリフト}した際に第2ピストン16の後端面が着座する第1弁座を構成する。また、インジェクタ本体13の先端面は、ノズルニードル12がフルリフト{フルリフト量(L2 )だけリフト}した際にノズルニードル12の後端面が着座する第2弁座を構成する。
【0035】
そして、燃料通路6は、コモンレール3の高圧燃料をノズルニードル12の先端部の周囲、つまりノズルボディ11の燃料溜り室21内に常に導入する第1導入通路である。この燃料通路6は、コモンレール3と燃料溜り室21とを連通するようにインジェクタ本体13およびノズルボディ11内に形成されている。
【0036】
燃料通路7は、本発明の第1燃料通路に相当する通路で、コモンレール3の高圧燃料をシリンダ14内に導入する第2導入通路である。この燃料通路7は、コモンレール3と第1制御室31の燃料入口とを連通するようにインジェクタ本体13およびシリンダ14内に形成されている。そして、燃料通路7の途中、つまり燃料通路6から分岐した下流側の通路途中には、通路断面積を絞る絞り部(本発明の第1絞り部に相当する)41が設けられている。このため、燃料通路7は、第1制御室31のインオリフィスとして機能する。
【0037】
燃料通路8は、本発明の第2燃料通路に相当する通路で、第1ピストン15の円環状部分の両端面、つまり第1制御室31と第2制御室32とを連通するようにその円環状部分の中心に形成された連通通路である。この燃料通路8の途中には、燃料通路7と同様にして、通路断面積を絞る絞り部(本発明の第2絞り部に相当する)42が設けられている。ここで、絞り部41、42には、例えばオリフィス等の固定絞りが使用されている。なお、燃料通路8の入口から出口に至るまでの通路全体に絞り部42を形成しても良い。このため、燃料通路8は、第1制御室31のアウトオリフィスとして機能し、第2制御室32のインオリフィスとして機能する。
【0038】
ドレーン通路9は、本発明の第3燃料通路に相当する通路で、制御室31、32内の高圧燃料をリーク通路(本発明の低圧通路に相当する)43に排出する排出通路である。このドレーン通路9は、第2制御室32とリーク通路43とを連通するようにシリンダ14およびリーク配管内に形成されている。そして、ドレーン通路9の途中には、通路を開閉する電磁弁10が設けられている。そして、第2ピストン16の頂部には、第2ピストン16が第1ピストン15に当接した際に燃料通路8を塞がないよう逃がし溝44が形成されている。
【0039】
電磁弁10は、最適な時期にドレーン通路9を開閉するようにECUにより電子制御される開閉弁である。この電磁弁10は、具体的には、ドレーン通路9を開閉するバルブ、通電されるとバルブを開弁させる電磁コイル、およびこの電磁コイルへの通電が停止された際にバルブを閉弁させるためのリターンスプリング(いずれも図示せず)等よりなる周知の構造を有している。
【0040】
〔第1実施例の作動〕
次に、本実施例の電子制御燃料噴射システム1の作動を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
【0041】
1)無噴射時
電磁弁10はドレーン通路9を閉じているため、コモンレール3から高圧燃料が燃料通路7の絞り部41を通って第1制御室31内に満たされ、更に燃料通路8の絞り部42を通って第2制御室32内に満たされている。
【0042】
このため、第1、第2ピストン15、16が共に図示下方に押し付けられた状態となると共に、コイルスプリング26の図示下方への付勢力により、第2ピストン16にプッシュロッド25およびプレッシャピン24を介して連結するノズルニードル12がノズルボディ11の弁座22に着座する。これにより、ノズルニードル12はリフトせず、高圧燃料は噴射されない。
【0043】
2)噴射時
電磁弁10がECUからの指令により開弁するため、ドレーン通路9が開かれる。このため、先ず絞り部を介さない連通穴34およびドレーン通路9を通って第2制御室32内の高圧燃料がリーク通路43に排出されて低圧にリークし、第2制御室32の内部圧力(第2制御室圧力)が一気に低圧となる。すると、ノズルニードル12は、燃料通路6を通って燃料溜り室21に導入される高圧燃料により図中上向きの力を受けて、図2のタイムチャートに示したように、第2ピストン16の後端面が第1ピストン15の円環状部分の前端面(第1弁座)に当接するプレリフト量L1 だけ図示上方にリフトする。
【0044】
さらに、電磁弁10の電磁コイルへの通電が続くと、第1制御室31内の高圧燃料は、第1ピストン15の円環状部分に設けた燃料通路8(絞り部42)および第1ピストン15の側面に形成した連通穴34を介してリーク通路43に排出されて低圧にリークし、第1制御室31の内部圧力(第1制御室圧力)が徐々に低下する。これにより、図中上向きの力が勝って図2のタイムチャートに示したように、ノズルニードル12は図示上方にリフトし、ノズルニードル12がインジェクタ本体13に当接するフルリフト量L2 まで動く。
【0045】
3)噴射終了時
電磁弁10がECUからの指令により閉弁すると、先ず第1制御室31の内部圧力が回復し、続いて第2制御室32の内部圧力が回復する。このため、第1、第2ピストン15、16が共に図示下方に押し付けられ、ノズルニードル12がノズルボディ11の弁座22に着座して噴射が終了する。
【0046】
〔第1実施例の効果〕
以上のように、本実施例の電子制御燃料噴射システム1は、ノズルニードル12の作動を2段階になるように制御することで、図2のタイムチャートに示したようなノズルニードルリフト波形が得られるため、噴射初期には燃料噴射量を少なくすることができる。これにより、当初の目的である初期噴射率の低減化を図ることができるので、内燃機関より排出される排気ガスのエミッション、特に、窒素酸化物(NOx)の低減および運転フィーリングの向上を図ることができる。
【0047】
また、ノズルニードル12のリフト量を制御するためのピストンの構造を第1、第2ピストン15、16による大小2段構造とすることで、ピストンの構造が簡単でコンパクトな構造となるので、その大小2段構造のピストン構造を小型エンジン用のインジェクタに搭載することもできる。
【0048】
〔第2実施例の構成〕
図3ないし図5は本発明の第2実施例を示したもので、図3は電子制御燃料噴射システムに組み込まれるインジェクタの主要構造を示した図、図4および図5はノズル先端部形状を示した図である。
【0049】
本実施例のノズルボディ(本発明の摺動部に相当する)11のシート部(弁座部)22を形成するテーパ形状の側壁には、2個以上の第1噴孔51、およびこの第1噴孔51よりも後端側に2個以上の第2噴孔52が設けられている。そして、コモンレール3で蓄圧された高圧燃料は、燃料通路6を介してノズルボディ11内に形成された燃料溜り室21に供給されるように構成されている。
【0050】
そして、本実施例では、第1実施例のインジェクタ4のノズル先端部形状を図3に示すような形状に変更している。すなわち、インジェクタ4のノズルニードルの先端部を径方向に、つまり丸棒形状の第1ノズルピース53と円筒形状の第2ノズルピース54とに2分割している。
【0051】
第1ノズルピース53は、本発明の第1弁体に相当するもので、先端部が第2ノズルピース54の内周に摺動自在に保持されている。そして、第1ノズルピース53の内部には、燃料溜り室21と第1、第2噴孔51、52とを連通する連通路としての略T字型のフィード孔55が形成されている。また、第1ノズルピース53の先端に設けられた略円錐台形状の突起部56の先端面には、ノズルボディ11の弁座22に着座するテーパ形状のシート部(シート面)57が形成されている。
【0052】
第2ノズルピース54は、本発明の第2弁体に相当するもので、円環状部分と円筒状部分とからなり、先端側に対して逆側の後端部が縮径された円筒形状に形成され、ノズルボディ11の内周に摺動自在に保持されている。また、第2ノズルピース54の先端に設けられた略円錐台形状の突起部58の先端面には、ノズルボディ11の弁座22に着座するテーパ形状のシート部(シート面)59が形成されている。なお、第1、第2ノズルピース53、54によってノズルニードルを構成する。
【0053】
さらに、プレッシャピン24の後端面とインジェクタ本体13の内壁面との間には、第1ノズルピース53を閉弁方向に付勢する第1付勢手段としてのコイルスプリング61が保持されている。また、第2ノズルピース54の後端面とノズルボディ11の内壁面との間には、第2ノズルピース54を閉弁方向に付勢する第2付勢手段としてのコイルスプリング62が保持されている。ここで、ノズルボディ11の内周面(摺動面)と第2ノズルピース54の外周面(摺動面)との間からスプリング室63内に漏洩した燃料は、燃料通路64を経てリーク通路43に排出される。
【0054】
〔第2実施例の作動〕
次に、本実施例の電子制御燃料噴射システム1の作動を図3ないし図5に基づいて簡単に説明する。
【0055】
1)無噴射時
電磁弁10はドレーン通路9を閉じているため、コモンレール3で蓄圧された高圧燃料が燃料通路7の絞り部41を通って第1制御室31内に満たされ、更に燃料通路8の絞り部42を通って第2制御室32内に満たされている。それによって、第2ピストン(コマンドピストン)16は図3において図示下方の力を受けて第1、第2ノズルピース53、54が共に図示下方に押し付けられて高圧燃料の噴射は成されない。
【0056】
2)噴射時
電磁弁10がドレーン通路9を開くと、第2制御室32が低圧となり、第1ノズルピース53の下端面の燃料圧で生じる図示上向きの力が、コイルスプリング61の図示下方の付勢力に打ち勝ち、第2ピストン16がプレリフト量(L1 )だけ図示上方に押し上げられたところで第2ピストン16のリフトが第1ピストン15の円環状部分に規制される。これにより、第1ノズルピース53が、図4に示した低リフト状態となるので、第1噴孔51のみから高圧燃料の噴射が成される。
【0057】
その後に、第1制御室31の高圧燃料は第1ピストン15に設けた燃料通路8(絞り部42)および第2ピストン16に設けた連通溝35を介して徐々にリーク通路43に排出され、ある程度、第1制御室31の内部圧力が下がったところで第1ノズルピース53の下端面に加わる圧力で生じる上向きの力が第1ピストン15に加わる下向きの力を上回った時に第1、第2ピストン15、16が一体となって上昇する。
【0058】
それによって、第1ノズルピース53が更に所定のリフト量(L3 )以上リフトすると、第2ノズルピース54を引っ掛ける形で上昇し、第1、第2ノズルピース53、54が、図5に示した高リフト状態となり、第1噴孔51および第2噴孔52の両方から高圧燃料の噴射が成される。
【0059】
〔第2実施例の効果〕
以上のように、本実施例の電子制御燃料噴射システム1は、燃料噴射ノズルとしてインジェクタ(噴孔面積を変更可能な可変噴孔ノズル)4を使用し、ノズルニードルを径方向に2分割した第1、第2ノズルピース53、54を時間差を持って作動(リフト)させることにより、噴射初期は第1噴孔51のみから燃料噴射を行うことができるため、初期噴射率を低減することが可能となると共に、2段階に噴射率を高めることができる。これにより、当初の目的である排気ガスの低減時に窒素酸化物(NOx)の生成を抑えることができる。
【0060】
以上は、内燃機関の高負荷時、燃料噴射量が多い時の効果であるが、内燃機関の軽負荷時、燃料噴射量が少ない時には、第1噴孔51のみから確実に燃料噴射することになるため、噴射率を低くすることができる。したがって、内燃機関の予混合燃焼を抑えることができるので、窒素酸化物(NOx)の排出および騒音の発生を抑制することができる。
【0061】
〔第3実施例の構成〕
図6および図7は本発明の第3実施例を示したもので、図6はインジェクタの全体構成を示した図である。
【0062】
本実施例の電子制御燃料噴射システム1は、高圧ポンプおよびコモンレールを含む高圧源65と、本発明の低圧通路に相当する低圧源66と、最適な時期にドレーン通路9を開閉するようにECUにより電子制御される電磁弁10を備えたインジェクタ4とを備えている。インジェクタ4は、ノズルボディ11内を摺動するノズルニードル12、ノズルボディ11の後端側に連結されたシリンダ14、およびこのシリンダ14内を摺動する2個の第1、第2ピストン15、16等から構成されている。
【0063】
ノズルボディ11とシリンダ14との間のインジェクタ本体13には、ノズルニードル12をシート部22に着座する側に付勢するコイルスプリング67を収容するスプリング室68が設けられている。このスプリング室68は、噴孔20付近のサック室69と同一圧力となる構造にするために、燃料通路6を介して高圧源65から高圧燃料が供給される燃料通路を形成している。
【0064】
シリンダ14の中央部分には、ドレーン通路9と第2制御室32とを連通するように環状溝(本発明の連通路に相当する)70が形成されている。シリンダ14の図示下側には、ドレーン通路71およびドレーン通路9を介して低圧源66と連通する円環状のドレーン室72が設けられている。なお、ドレーン通路71は、ドレーン室72とドレーン通路9とを連通する通路である。
【0065】
第1ピストン15の円筒状部分には、第2制御室32とドレーン通路9とを連通する連通穴(本発明の連通路に相当する)34が形成されている。また、第1ピストン(大ピストン)15の円環状部分の前端面は、ノズルニードル12がプレリフト量だけ変位した際に第2ピストン16の後端面(図示上端部)が当接する第1弁座を構成する。また、第1ピストン15の円環状部分には、第1制御室31と第2制御室32とを連通する複数本(本例では2本)の燃料通路(オリフィス通路)8a、8bが形成されている。
【0066】
これらの燃料通路8a、8bは、第1ピストン15の円環状部分の前端面(第1弁座)に開口を有し、第1制御室31のインオリフィスとして機能し、第2制御室32のアウトオリフィスとして機能する。複数本の燃料通路8a、8bの途中(本例では図示上端部)には、通路断面積を絞る絞り部(本発明の第2絞り部に相当する)42a、42bが設けられている。ここで、絞り部42a、42bは、例えばオリフィス等の固定絞りが使用されている。
【0067】
第2ピストン16は、第1ピストン15の円筒状部分の内周、つまり第2制御室32内に摺動自在に保持されたコマンドピストンである。この第2ピストン(小ピストン)16は、第1弁座に当接した際に、複数本の燃料通路8a、8bの開口面積を減少させるように、複数本の燃料通路8a、8bの開口のうち燃料通路8aの開口のみを閉塞(シール)する。
【0068】
〔第3実施例の作動〕
次に、本実施例の電子制御燃料噴射システム1の作動を図6および図7に基づいて簡単に説明する。ここで、図7は電磁弁の通電状態、電磁弁のバルブ開度、第1制御室の内部圧力、第2制御室の内部圧力、第1ピストンのリフト量および第2ピストンのリフト量を示したタイムチャートである。
【0069】
1)無噴射時
電磁弁10はドレーン通路9を閉じているため、高圧源65から高圧燃料が燃料通路7の絞り部41を通って第1制御室31内に満たされ、更に燃料通路8の絞り部42を通って第2制御室32内に満たされている。
【0070】
このため、第1、第2ピストン15、16が共に図示下方に押し付けられた状態となると共に、コイルスプリング26の図示下方への付勢力により、第2ピストン16に連結するノズルニードル12がノズルボディ11の弁座22に着座する。これにより、ノズルニードル12はリフトせず、高圧燃料は噴射されない。
【0071】
2)噴射時
図7(a)に示したように電磁弁10を通電(ON)すると、図7(b)に示したように電磁弁10がドレーン通路9と環状溝70とを連通させる(t1 時刻→t2 時刻)。すると、第2制御室32の内部圧力は、図7(d)に示したように、低圧源66に開放されて降下し、ノズルニードル12がリフトして、噴射初期から高圧の燃料噴射が成される。
【0072】
そして、ノズルニードル12に連結する第2ピストン16は、図7(e)に示したように、第1ピストン15の第1弁座に当接して一旦停止するため、ノズルニードル12のリフトも止まり、初期噴射率が低減される(t3 時刻)。このとき、第2ピストン16は、第1ピストン15の第1弁座に当接した際に、燃料通路8aの開口のみを閉塞(シール)する。
【0073】
その後に、1本の燃料通路8bを利用して、第1制御室31内の高圧燃料の排出が行われる。これにより、ノズルニードル12の第2ピストン16は、図7(c)に示したような第1制御室31の内部圧力の低下に従って、図7(e)、(f)に示したように、第1ピストン15と一体になって緩やかにリフトして、噴孔20からの高噴射率の燃料噴射が成される(t4 時刻→t5 時刻)。
【0074】
3)噴射終了時
図7(a)に示したように電磁弁10への通電を停止(OFF)すると、図7(b)に示したようにドレーン通路9と環状溝70との連通状態を遮断する(t5 時刻→t6 時刻)。すると、図7(c)、(f)に示したように、第1制御室31の内部圧力が高圧となり、第2ピストン16とノズルニードル12とは一体となって降下する(t6 時刻→t7 時刻)。
【0075】
第1ピストン15がシリンダ14の座部30に当接すると、ノズルニードル12は単独で下降するが、このとき、第2制御室32へは第1制御室31内の高圧燃料が燃料通路8a、8bを介して流入する。このため、ノズルニードル12は十分な下降速度で下降を継続できる。そして、ノズルニードル12が弁座22に着座して燃料噴射が終了する(t7 時刻→t8 時刻)。このときの噴射パターンは、図7(f)に示したように、第2ピストン16のリフトから推定できるようにブーツ噴射(2段階噴射)となる。
【0076】
〔第3実施例の効果〕
したがって、本実施例のインジェクタ4は、図12(b)に示したようなブーツ噴射(初期低噴射率、その後緩やかに高噴射率になる)を実現することができ、且つ最適な噴射切れ(高噴射率から急激に噴射を終了する)を実現することができる。また、初期噴射率を低くすることができるため、内燃機関の予混合燃焼を抑えることができ、低NOxおよび低騒音を実現することができる。
【0077】
ここで、上記のような第3実施例のインジェクタ4において、燃料通路8aを設けない構造の場合の第2ピストン16のリフトは、図7(f)の図示破線のようになるので、高噴射率から急激に噴射を終了するシャープカットを実現することはできない。
【0078】
〔第4実施例〕
図8は本発明の第4実施例を示したもので、図8はインジェクタの主要構成を示した図である。
【0079】
本実施例のインジェクタ4は、第1ピストン15の円環状部分に、第1制御室31と第2制御室32とを連通する燃料通路(オリフィス通路)8が形成されている。そして、燃料通路8の途中(本例では図示上端部)には、通路断面積を絞る絞り部(本発明の第2絞り部に相当する)42が設けられている。この燃料通路8は、第1ピストン15の円環状部分の前端面(第1弁座)に開口を有している。
【0080】
本実施例の第2ピストン16は、第1弁座に当接した際に、燃料通路8の開口面積を減少させるように、燃料通路8の開口を閉塞(シール)する。そして、第2ピストン16は、燃料通路8と第2制御室32とを連通する燃料通路74が形成されている。そして、燃料通路74の途中(本例では図示上端部)には、通路断面積を絞る絞り部75が設けられている。燃料通路74の入口側の開口は、第2ピストン16の後端面(図示上端面)に形成され、燃料通路74の出口側の開口は、第2ピストン16の外周面に形成されている。
【0081】
〔第5実施例の構成〕
図9は本発明の第5実施例を示したもので、図9はインジェクタの全体構成を示した図である。
【0082】
本実施例のシリンダ14には、無噴射時に第1ピストン15の筒状部分が着座する弁座(本発明の第3弁座に相当する)76が設けられている。そして、シリンダ14の弁座76付近には、ドレーン通路9およびドレーン通路71を介して低圧源66と連通する円環状のドレーン室72が設けられている。そして、ドレーン通路71の入口側の開口は、シリンダ14の弁座(ストッパ)76に形成されている。
【0083】
そして、第1ピストン15は、所定量リフトすると、円筒状部分の内周面と外周面とを連通する連通穴34とシリンダ14の内周面に形成された環状溝70との連通状態を遮断するように構成されている。また、第1ピストン15は、無噴射時に筒状部分の先端面が弁座76に着座すると、ドレーン通路71の入口側の開口を閉塞(シール)する。
【0084】
〔第5実施例の作動〕
次に、本実施例の電子制御燃料噴射システム1の作動を図9に基づいて簡単に説明する。
【0085】
電磁弁10が開くと、第2制御室32の内部圧力が低圧となり、ノズルニードル12および第2ピストン16がリフトして燃料噴射を開始する。その後に、絞り部42を介して第1制御室32の圧力がドレーンされ、所定値まで降下すると、第1、第2ピストン15、16とは一体となってリフトし、連通穴34と環状溝70との連通面積が所定量まで下がった時にリフトを停止する。
【0086】
電磁弁10を閉じると、第1制御室31の内部圧力は高圧となり、第1、第2ピストン15、16は一体となって降下し、第1ピストン15の図示下端面が弁座76に当接して停止し、同時にドレーン室72とドレーン通路71との連通状態が遮断される。その後に、第2ピストン16のみが下降し、ノズルニードル12が弁座22に着座して燃料噴射を停止する。
以上の作動によりブーツ噴射を実現することができる。
【0087】
〔第5実施例の効果〕
本実施例では、燃料噴射の停止期間中に、第1ピストン15の円筒状部分の先端面でドレーン通路71の入口側の開口を閉塞することにより、ドレーン室72とドレーン通路71との連通状態を遮断できるので、このドレーン室72への第1、第2制御室31、32からの高圧燃料のリーク、およびスプリング室68からの高圧燃料のリークを防止することができる。したがって、高圧燃料のエネルギー損失を低減することができる。
【0088】
〔変形例〕
本実施例では、ドレーン通路(第3燃料通路)9の途中に設ける電磁弁として電磁弁10を利用したが、燃料通路7およびドレーン通路9の途中に設ける電磁弁として三方電磁弁を利用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子制御燃料噴射システムの主要構造を示した概略図である(第1実施例)。
【図2】ノズルニードルのリフト量を示したタイムチャートである(第1実施例)。
【図3】電子制御燃料噴射システムの主要構造を示した概略図である(第2実施例)。
【図4】第1ノズルピースの低リフト状態を示した説明図である(第2実施例)。
【図5】第1、第2ノズルピースの高リフト状態を示した説明図である(第2実施例)。
【図6】インジェクタの全体構成を示した概略図である(第3実施例)。
【図7】電磁弁の通電状態、電磁弁のバルブ開度、第1制御室の内部圧力、第2制御室の内部圧力、第1ピストンのリフト量および第2ピストンのリフト量を示したタイムチャートである(第3実施例)。
【図8】インジェクタの主要構造を示した概略図である(第4実施例)。
【図9】インジェクタの全体構造を示した概略図である(第5実施例)。
【図10】電子制御燃料噴射システムの全体構成を示した概略図である(従来の技術)。
【図11】電子制御燃料噴射システムの主要構造を示した概略図である(従来の技術)。
【図12】(a)、(b)は噴射率を示したタイムチャートである(従来の技術)。
【図13】インジェクタの主要構造を示した断面図である(従来の技術)。
【符号の説明】
1 電子制御燃料噴射システム(内燃機関用燃料噴射装置)
3 コモンレール(燃料蓄圧部)
4 インジェクタ
6 燃料通路
7 燃料通路(第1燃料通路)
8 燃料通路(第2燃料通路)
9 ドレーン通路(第3燃料通路)
10 電磁弁
11 ノズルボディ(摺動部)
12 ノズルニードル(弁体)
14 シリンダ
15 第1ピストン
16 第2ピストン
20 噴孔
21 燃料溜り室(燃料溜り部)
31 第1制御室
32 第2制御室
34 連通穴(連通路)
35 連通溝(連通路)
41 絞り部(第1絞り部)
42 絞り部(第2絞り部)
42a 絞り部(第2絞り部)
42b 絞り部(第2絞り部)
43 リーク通路(低圧通路)
51 第1噴孔
52 第2噴孔
53 第1ノズルピース(第1弁体)
54 第2ノズルピース(第2弁体)
61 コイルスプリング(第1付勢手段)
62 コイルスプリング(第2付勢手段)
66 低圧源(低圧通路)
70 環状溝(連通路)

Claims (7)

  1. (a)高圧燃料が導入および排出されるシリンダと、
    (b)周囲に常に高圧燃料が導入され、前記シリンダ内より高圧燃料が排出されると噴孔を開く弁体と、
    (c)前記シリンダの内周に摺動自在に設けられ、前記シリンダの内部空間を、前記弁体側に対して逆側の第1制御室と前記弁体側の第2制御室とに区画する閉塞部分、およびこの閉塞部分の外周端から前記弁体側に延びる筒状部分を有する第1ピストンと、
    (d)この第1ピストンの筒状部分の内周に摺動自在に設けられ、前記弁体と連動して変位すると共に、前記弁体がプレリフト量だけ変位した際に前記第1ピストンと連動して変位する第2ピストンと、
    (e)燃料蓄圧部と前記第1制御室とを連通するように設けられ、途中に第1絞り部を設けた第1燃料通路と、
    (f)前記第1制御室と前記第2制御室とを連通するように設けられ、途中に第2絞り部を設けた第2燃料通路と、
    (g)前記第2制御室と低圧通路とを連通するように設けられ、途中に電磁弁を設けた第3燃料通路と
    を備えた内燃機関用燃料噴射装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
    前記弁体がプレリフト量だけ変位した際に前記第2ピストンが当接する第1弁座と、前記弁体がフルリフト量だけ変位した際に前記弁体が当接する第2弁座とを備え
    前記シリンダは、前記弁体を摺動自在に保持するノズルボディに、インジェクタ本体を介して連結されており、
    前記第1弁座は、前記第1ピストンの閉塞部分の、前記第2ピストンが当接する端面に設けられており、
    前記第2弁座は、前記インジェクタ本体の、前記弁体が当接する端面に設けられていることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
    前記第1ピストンまたは前記第2ピストンには、前記第2燃料通路と前記第3燃料通路とを連通する連通路が設けられたことを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
  4. 請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
    前記弁体は、前記第1ピストンと連動して変位する第1弁体、および内周で前記第1弁体を摺動自在に支持すると共に、前記第1弁体が所定リフト量以上変位すると前記第1弁体と連動して変位する第2弁体を有し、
    前記シリンダは、前記燃料蓄圧部で蓄圧された高圧燃料を燃料溜り部に供給するための燃料通路、および内周で前記第2弁体を摺動自在に支持する筒状の摺動部を有し、
    前記噴孔は、前記摺動部の一端側に設けられて、前記第1弁体が変位した際に開放される第1噴孔、およびこの第1噴孔よりも他端側の前記摺動部に設けられて、前記第2弁体が変位した際に開放される第2噴孔を有し、
    前記第1弁体は、この第1弁体に変位に応じて、前記燃料溜り部の出口と前記第1噴孔の入口および前記第2噴孔の入口とを連通する連通路を有することを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
    前記第1弁体を閉弁方向に付勢する第1付勢手段と、
    前記第2弁体を閉弁方向に付勢する第2付勢手段と
    を備えたことを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
  6. 請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
    前記第1ピストンは、前記弁体がプレリフト量だけ変位した際に前記第2ピストンが当接する第1弁座を有し、
    前記第2燃料通路は、前記第1弁座に開口を有し、
    前記第2ピストンは、前記第1弁座に当接した際に、前記第2燃料通路の開口面積を減少させることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
  7. 請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
    前記シリンダは、無噴射時に前記第1ピストンの筒状部分が着座する第3弁座、この第3弁座付近に設けられたドレーン室、およびこのドレーン室内の燃料を排出するためのドレーン通路を有し、
    前記ドレーン通路は、前記第3弁座に開口を有し、
    前記第1ピストンは、前記第3弁座に着座した際に、前記ドレーン通路の開口を閉塞することを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
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