JP3931229B2 - 酸化炭素薄膜および酸化窒化炭素薄膜とこれら酸化炭素系薄膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、酸化炭素薄膜、酸化窒化炭素薄膜および酸化ダイヤモンド状炭素薄膜とこれら酸化炭素系薄膜の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、湿潤雰囲気においても安定で、基板に対する付着性および電子線リソグラフィー等の微細加工性に優れた新しい酸化炭素薄膜、酸化窒化炭素薄膜および酸化ダイヤモンド状炭素薄膜とこれら酸化炭素系薄膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、炭素を基本元素とする薄膜としては、(ア)非晶質炭素薄膜、(イ)ダイヤモンド状炭素薄膜、(ウ)窒化炭素薄膜等が知られている。
【0003】
(ア)非晶質炭素薄膜は、グラファイトの結晶構造が乱れた構造を有し、グラファイト特有の3配位の結合(sp2混成軌道)からなるものの、グラファイト六角網面の広がりや、その積層序列、重なりの平行度といった点で多様な結晶欠陥を有している。そのため、非晶質炭素薄膜は、不透明で、黒色の金属光沢をもち、電気伝導性を示す。このような非晶質炭素薄膜は、黒鉛をターゲットとしたスパッタリングや、黒鉛の真空蒸着等により製造されている。
【0004】
(イ)ダイヤモンド状炭素薄膜は、1971年にAisenbergとChabotにより、イオンビームデポジション法を用いて初めて製造され、ダイヤモンド状炭素という用語もそれ以来使用されるようになった。ダイヤモンド状炭素の化学結合を図1に、参考のために完全なダイヤモンド結晶の化学結合を図2に、それぞれ模式的に示した。ダイヤモンド状炭素は、図2のダイヤモンド結晶と同じ4配位のダイヤモンド結合(sp3混成軌道、図中の>C<)の炭素原子に、グラファイトにみられる3配位のグラファイト結合(sp2混成軌道、図中の=C<)の炭素原子が混じった多様な物質の総称であり、必ずしも完全なダイヤモンドではない。しかしながら、▲1▼透明性、▲2▼屈折率2.0以上(ダイヤモンドの屈折率は、波長589nmの可視光で2.4)、▲3▼高い絶縁性、▲4▼高硬度(ガラスに傷をつけることができる)、▲5▼耐食性(フッ化水素に長時間侵されない)、▲6▼少なくとも部分的に結晶質であり、格子定数がダイヤモンドに近い、▲7▼誘電率8〜14(ダイヤモンドの誘電率は16)等の、ダイヤモンドに似た特性を持っていることでグラファイトとは区別することができる。そして、これらの特性により、ダイヤモンド状炭素薄膜は、工業的応用材料として幅広く利用されている。
【0005】
このダイヤモンド状炭素は、一般的には、熱分解法、熱フィラメント化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、イオンプレーティング法等の方法により、薄膜として製造されている。そして、ダイヤモンド状炭素薄膜の原料としては、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、ヘキサン(C6H12)等の置換基をもたない飽和炭化水素と水素(H2)の混合ガスを用い、この混合ガスを高温あるいはプラズマ中で炭素原子と水素原子に分解し、炭素原子を格子欠陥をなるべく少なく、ダイヤモンドに近い形態で析出させるようにしている。しかしながら、ここで少なからず形成される格子欠陥に最接の炭素原子は、結合の相手を失った状態であって、反応性に富んだ不対電子が占める結合を持つ。この結合は、ダングリングボンド(dangling bond)と呼ばれている。そして、従来のダイヤモンド状炭素薄膜は、上記のように水素の存在下で製造されるため、図1に示すように、格子欠陥に最接の炭素原子のダングリングボンドに水素原子が結合して終端し、=C<のグラファイト結合の形成を抑えている。そのため、従来のダイヤモンド状炭素薄膜は、10〜25原子%という大量の水素を含有していることが特徴であった。この意味においては、従来のダイヤモンド状炭素は、水素化炭素ということができるものである。
【0006】
(ウ)窒化炭素薄膜については、1970年代の末からその薄膜が様々な方法で合成されてきた(たとえば、J. J. Couno, P. A. Leary. Yu. W. Reuter, and M. Frisch: J. Vac. Sci. Technol. 16(1979), 299.)。図3に窒化炭素薄膜の結合様式を模式的に示した。窒化炭素の結晶の乱れからくる炭素原子の空格子点は、3配位の結合を持つ窒素原子(図中の>N−)4個に囲まれるため、ダングリングボンドは過不足なく満たされており、グラファイト結合(=C<)は現われない。そのため、一般に窒化のよく進んだ窒化炭素薄膜は絶縁性を示し、金属光沢はなく光学的に透明である。このような窒化炭素については、1985年にはCohen(M. L. Cohen: Phys. Rev. B32(1985), 7988.)が、また1994年にはLiuとWentzcovitchら(A. Y. Liu and R. M. Wentzcovitch: Science 50(1994),10362.)が、第一原理計算により、それぞれ六方晶窒化炭素β−C3N4および立方晶閃亜鉛鉱型窒化炭素C3N4が天然ダイヤモンドを上回る硬さとヤング率を持つ物質であることを予言した。これらの理論的予測がなされた後、窒素ガスプラズマ中での黒鉛の反応性スパッタリング法や、窒素プラズマアシスト黒鉛レーザーアブレーション法、窒素ガスアークプラズマ炭素イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の方法で窒化炭素薄膜の製造が試みられてきた。
【0007】
しかしながら、これらのいずれの方法によっても、得られる窒化炭素薄膜は、化学量論比で3:4より窒素の含有量が少なく、ほとんどが非晶質窒化炭素(CNX)であり、パラシアノーゲン((CN)n)、グラファイト状CNX等と六方晶β−C3N4および立方晶閃亜鉛鉱型C3N4の混合物として得られていた。そして、実際に得られている窒化炭素薄膜の硬さや強度は、上記の理論的予測に反して天然ダイヤモンドにはるかに及ばないのが現状である。
【0008】
また、以上のような炭素を基本元素とする(ア)非晶質炭素薄膜、(イ)ダイヤモンド状炭素薄膜、(ウ)窒化炭素薄膜については、いずれも100nm以下の薄膜では基板に対して強固に付着し、剥離し難いものの、100nmを超える厚さを持つ膜では基板への付着性が弱く、剥離して崩壊しやすいという共通の欠点があった。この傾向は、膜厚が厚いものほど、また結晶欠陥が多いものほど強く、非晶質炭素薄膜で最も強くなっている。またこの現象は、薄膜を湿潤な雰囲気中に長時間暴露したときに起こりやすく、あたかも薄膜が湿潤大気を吸収して膨潤しているように見受けられる。
【0009】
そして、工業的に利用性の高い(イ)ダイヤモンド状炭素薄膜については、結晶性が高くダイヤンドに近いものは少量しか製造することができず、またその再現性も悪く、生産性が低いという欠点があった。さらに、ダイヤモンド状炭素薄膜は、大量の水素を含有しているため、400℃以上への加熱により水素原子が解離し、2重結合のグラファイト結合が出現するとともにダイヤモンド的な特性が失われ、全体として性質がグラファイトに近づいてしまうという欠点があった。
【0010】
そこで、従来より、非晶質炭素薄膜、ダイヤモンド状炭素薄膜および窒化炭素薄膜について、基板への付着性を改善する様々な研究が行なわれている。たとえば、これら薄膜の上から高エネルギーのイオンビームを照射して薄膜と基板の界面を合金化するイオン注入法や、加熱した基板に被覆膜を形成する方法等である。しかしながら、いずれの方法を用いても、これらの薄膜の剥離性を本質的に改善することはできていないのが現状である。
【0011】
さらに、(ウ)窒化炭素薄膜については、その製造過程で毒性が非常に強いシアノーゲン((CN)2)およびその重合体のパラシアノーゲン((CN)n)が副成しやすいという問題が指摘され、現在は実用されていない。
【0012】
したがって、ハードディスク媒体表面のコーティング膜、磁気ヘッド表面の潤滑膜、清涼飲料水瓶の内面被覆膜、プラスチックレンズの表面被覆膜、赤外線光学部品の反射防止膜、太陽電池の表面保護膜、工具の表面被覆膜等として現在実用されているのは、厚さ100nm以下の薄い(ア)非晶質炭素薄膜あるいは(イ)ダイヤモンド状炭素薄膜のみであり、その応用範囲も限られてしまっていた。
【0013】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、湿潤雰囲気においても安定で、基板に対する付着性および電子線リソグラフィー等の微細加工性に優れた新しい酸化炭素薄膜、酸化窒化炭素薄膜および酸化ダイヤモンド状炭素薄膜とこれら酸化炭素系薄膜の製造方法を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、以下の通りの発明を提供する。
【0015】
すなわち、まず第1には、この出願の発明は、一酸化炭素を含む原料ガスをプラズマ分解し、発生したプラズマ生成成分のうちのイオンの少なくとも一部で炭素原料をスパッタし、プラズマの生成成分の少なくとも一部とスパッタされた炭素原子との反応物を基板上に堆積させる際に、原料ガスを一酸化炭素とし、酸化炭素薄膜を基板上に堆積させることを特徴とする酸化炭素系薄膜の製造方法を提供する。
【0016】
そしてこの出願の発明は、上記の発明の方法において、第2には、一酸化炭素を含む原料ガスをプラズマ分解し、発生したプラズマ生成成分のうちのイオンの少なくとも一部で炭素原料をスパッタし、プラズマの生成成分の少なくとも一部とスパッタされた炭素原子との反応物を基板上に堆積させる際に、原料ガスを一酸化炭素と窒素の混合ガスとし、酸化窒化炭素薄膜を基板上に堆積させることを特徴とする酸化炭素系薄膜の製造方法を提供する。第3には、原料ガスに、不活性ガスを混合することを特徴とする酸化炭素系薄膜の製造方法を、第4には、炭素原料が、黒鉛または非晶質炭素であることを特徴とする酸化炭素系薄膜の製造方法を提供する。
【0017】
そして、この出願の発明は、第5には、組成が、一般式CO x (式中、0<x<0.26)で表され、結晶構造が立方晶系欠陥型閃亜鉛鉱型構造あるいはこれを基本とする不完全結晶であり、シート電気抵抗が109ohm以上であることを特徴とする酸化炭素薄膜を、第6には、組成が、一般式CO x Ny(式中、0<x<0.26,0<y<0.71)で表され、結晶構造が立方晶系欠陥型閃亜鉛鉱型構造あるいはそれを基本とする不完全結晶であり、シート電気抵抗が109ohm以上であることを特徴とする酸化窒化炭素薄膜を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記の通りの特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0019】
この出願の発明者らは、非晶質炭素薄膜、ダイヤモンド状炭素薄膜および窒化炭素薄膜について鋭意研究を行なった結果、これらの薄膜においては、基板の種類を問わず経時変化により薄膜が基板から剥離し、自壊するという現象がみられるが、この現象には、水分子等が大きく関与していることを究明した。すなわち、非晶質あるいは結晶性が低いこれらの薄膜は、格子欠陥を高密度で含んでおり、この格子欠陥における炭素原子のダングリングボンドには不純物が捕らわれやすく、また強い吸着が生じやすい。そして薄膜が経時変化により自壊する場合には、格子欠陥近接のダングリングボンドに水分子あるいは水酸基(−OH)等が吸着して結晶格子の膨張が起こり、その結果薄膜の内部に圧縮応力が発生して、破壊に至ることを解明したのである。これは、グラファイトが有している、水分やその他の原子および分子を吸蔵するという性質に似ているものである。また、炭素をベースとしたこれらの薄膜材料の酸化反応の前駆段階ともみることができる。
【0020】
より詳細に説明すると、たとえば、炭素をベースとしたダイヤモンド結合を持つ薄膜を製造すると、一般には、格子欠陥が生じやすく、不可避的に非晶質に近い構造、すなわち非晶質炭素薄膜となりやすい。これは、炭素の化学結合の多様性によるものである。炭素原子は、ダイヤモンドにみられる「>C<」のようなsp3混成軌道(正4面体型混成軌道)のほか、グラファイトなどに見られる「=C<」のようなsp2混成軌道(正三角形型混成軌道)およびアセチレン((CH)2)などにみられる「−C≡C−」のようなsp混成軌道(直線型混成軌道)の3種類の化学結合をとるため、格子欠陥部の炭素原子のダングリングボンドが炭素原子自身の二重結合や三重結合で終端されることになるからである。
【0021】
これに対して、水素原子により格子欠陥最接のダングリングボンドを終端してグラファイト構造の生成を抑えるようにしているのがダイヤモンド状炭素であり、同様に窒素原子によりダングリングボンドを終端させたものが窒化炭素である。
【0022】
そして、この出願の発明が提供する酸化炭素薄膜(COx)、酸化ダイヤモンド状炭素薄膜(COXHz)および酸化窒化炭素薄膜(COxNy)においては、従来の炭素薄膜、ダイヤモンド状炭素薄膜および窒化炭素薄膜酸素における格子欠陥最接のダングリングボンドが、酸素原子により終端されたものとして特徴づけることができる。この酸素原子は、炭素原子に対する結合エネルギーが窒素原子や炭素原子よりも大きく、外殻電子が炭素原子よりも2個、窒素原子よりも1個多く、かつポーリングの電気陰性度が炭素原子や窒素原子よりも大きく電子供与性が強いという性質をもっている。具体的には、C−C結合およびC−N結合の結合エネルギーはそれぞれ58.6kcal/molおよび48.6kcal/molであるのに対して、C−O結合の結合エネルギーは70.0kcal/molと大きく、また、炭素原子、窒素原子の電気陰性度はそれぞれ2.5、3.0であるのに対して、酸素原子の電気陰性度は3.5と高い。
【0023】
そして、たとえばこの出願の発明の酸化炭素薄膜の場合、原子のおおよその結合は、図4のようになると推測される。この酸化炭素薄膜において、空格子点の周りの炭素原子の一部は酸素原子で置き換わり、炭素原子のダングリングボンドは2配位をとる酸素原子でC−O−Cの形で終端されている。すなわち、この酸化炭素薄膜は、非晶質炭素の吸着性に富み、化学的に活性な不対結合部分が部分的に酸化されており、安定化されているのである。このものの組成は、一般式COXで表すことができ、結晶構造は、立方晶系欠陥型閃亜鉛鉱型構造あるいはこれを基本とする不完全結晶から非晶質の間の結晶構造ということができる。
【0024】
このような炭素と酸素からなる酸化炭素としては、炭素と酸素が1対1の割合で化合した一酸化炭素(CO)と、1対2の割合で化合した二酸化炭素(CO2)が存在しており、これらは常温で気体である。しかしながら、この出願の発明の酸化炭素薄膜は、組成がCOX(0<x<0.26)で表される安定な固体物質であり、固体の酸化炭素材料はこの出願の発明によってはじめて実現されるものである。
【0025】
同様に、この出願の発明の酸化ダイヤモンド状炭素薄膜および酸化窒化炭素薄膜についても、それぞれダイヤモンド状炭素および窒化炭素の、吸着性に富んで、化学的に活性な不対結合部分が部分的に酸化されており、安定化されている。
【0026】
酸化ダイヤモンド状炭素薄膜については、組成は一般式COXHz(式中、0<x<0.18,0<z<0.33)で表すことができ、結晶構造は立方晶系欠陥型ダイヤモンド構造あるいはそれを基本とする不完全結晶から非晶質までの結晶構造となる。また、酸化窒化炭素薄膜については、組成は一般式COXNy(式中、0<x<0.26,0<y<0.71)で表すことができ、結晶構造は立方晶系欠陥型閃亜鉛鉱型構造あるいはそれを基本とする不完全結晶から非晶質までの結晶構造ということができる。
【0027】
このようなこの出願の発明の酸化炭素薄膜、酸化ダイヤモンド状薄膜と酸化窒化炭素薄膜は、非晶質炭素薄膜、ダイヤモンド状炭素および窒化炭素薄膜と基本的な構造は同じであり、物理的および化学的性質はこれらのものに似ている。しかしながら、この出願の発明の薄膜は化学的に安定であるため、たとえば100nmを超える厚さであっても、さらには湿潤雰囲気であっても、基板への付着性が強く、崩壊することはない。また、シート電気抵抗が109ohm以上とほぼ絶縁性という共通の特性を有してもいる。
【0028】
また、これらの薄膜は、従来の非晶質炭素薄膜、ダイヤモンド状炭素および窒化炭素薄膜に比べて密度が小さい。したがって、電子線リソグラフィーの基板物質として用いた場合には、より高分解能で微細な図形を描画することができる。そしてこれらの薄膜は、表面が原子スケールで平坦なものとして得られ、さらに厚さが100nm以下の薄膜については、機械的強度が高く、耐磨耗性が優れており、磁気記録媒体の表面保護層やプラスチックレンズ等の表面保護層として有用である。また、誘電率が小さく、絶縁性が高いので、高速の半導体集積回路あるいは磁気集積回路の絶縁層として好適に利用することができる。
【0029】
さらに、この出願の発明の酸化ダイヤモンド状炭素薄膜については、水素をほとんど含有していないため、高温での使用においてもダイヤモンド的な特性が失われることはない。さらに、この酸化ダイヤモンド状炭素薄膜は、たとえば、硬度が1000以上、ヤング率が100GPa以上、さらには、硬度が1100、ヤング率が230GPa等という優れた性質を備えている。
【0030】
以上のこの出願の発明の薄膜は、たとえば、この出願の発明が提供する以下の方法により製造することができる。すなわち、この出願の発明の薄膜の製造方法は、一酸化炭素を含む原料ガスをプラズマ分解し、発生したプラズマ生成成分のうちのイオンの少なくとも一部で炭素原料をスパッタし、プラズマの生成成分の少なくとも一部とスパッタされた炭素原子との反応物を基板上に堆積させるようにしている。
【0031】
この出願の発明において、プラズマを発生させる手段については特に制限はなく、たとえば、容量結合型の平行平板電極に高周波電圧あるいは高電圧の直流電圧を印加する方法や、誘導結合型のコイル状のアンテナに高周波を印加する方法などを用いることができる。このような手段は、プラズマ分解と反応性スパッタリングが組み合わされたものとして理解することができ、たとえば図5および図6に示したような構成の容量結合型プラズマ分解反応性スパッタ装置や、誘導結合型プラズマ分解反応性スパッタ装置などを利用することが、制御性、生産性の面で好ましいものとして例示される。
【0032】
そしてこの出願の発明において、原料ガスとしては一酸化炭素を用いるようにし、目的とする薄膜の種類に応じて、飽和炭化水素、水素、窒素を混合するようにしている。さらにこの出願の発明においては、原料ガスに加えて不活性ガスを適宜導入し、反応に寄与する原料ガスを希釈することにより、目的とする酸化炭素系薄膜あるいは酸化窒化炭素系薄膜における酸素濃度、あるいは窒素濃度を調節し、組成を制御することも可能である。ここで、不活性ガスの種類は、望ましくはArであり、その他He、Ne等を考慮することもできる。
【0033】
そこで、たとえば容量結合型プラズマ分解反応性スパッタ法を利用して薄膜を製造する場合について、以下に具体的に説明する。
【0034】
図5に、容量結合型プラズマ分解反応性スパッタ法の概念を模式的に示した。なお、この図5には、スパッタ装置としての反応容器は示されていない。反応性スパッタのターゲット(2)には薄膜の原料である炭素原料を用い、熱的および電気的導通をとってカソード(1)に固定している。この炭素原料としては、たとえば板状の黒鉛を用いることができ、より好ましくはガラス状炭素を用いることができる。カソード(1)に対向するアノード(3)には、薄膜(4)を堆積させる基板(5)を電気的導通をとって固定している。基板としては、減圧に絶え得るものであれば各種の材質ものであってよく、たとえば、金属、セラミックス、ガラス、高分子材料、繊維、紙、石材等の材料を用いることができる。ここで、ターゲット(2)−基板(5)間距離は、放電によりプラズマ(10)が発生し、それが維持され、かつ基板(5)上に薄膜(4)が堆積されるのに適した距離であれば特に制限されないが、一般的な目安としては、5〜50mm程度の範囲で調節することが例示される。
【0035】
たとえばこのような系全体を一旦排気(7)した後、原料ガス(6)を導入しながら、原料ガス(6)と排気(7)の速度を調節して系全体を適切な圧力まで減圧して保持する。この圧力は、プラズマ(10)が発生し、それが維持される範囲であれば制限はされず、たとえば、10-4〜100mTorr程度の範囲とすることが好ましい例として示される。
【0036】
ここで、カソード(1)に、高周波電源(9)からブロッキングコンデンサ(8)を介して高圧の高周波を印加することにより、両電極(1)(3)間に異常グロー放電プラズマ(10)を発生させることができる。周波数は適宜調整することができる。また、ブロッキングコンデンサ(8)を介することなく、高圧直流電源(図示せず)により高圧直流電圧を印加しても、同様の効果を得ることができる。
【0037】
なお、ターゲット(2)の下面を開口した零電位の接地シールド(11)でカソード(1)を覆うことにより、プラズマ(10)がターゲット(2)以外の部分に回りこむのを防ぐことができる。また、基板(5)を固定しているアノード(3)に直流のバイアス電源(12)を用いるなどして正または負のバイアス電圧をかけるようにすると、薄膜(4)の堆積速度および結晶性を制御することができるために好ましい。もちろん、直流バイアス電源(12)の代わりに別の高周波電源を用い、自己バイアス方式によりバイアス電圧をかけることなども考慮することができる。これにより、反応物としての薄膜(4)を基板(5)上に均一な厚さで得ることができる。
【0038】
以上のようなプラズマ分解と反応性スパッタリングにおいて、酸化炭素薄膜を製造する場合には、原料ガス(6)として、一酸化炭素(CO)を用いるようにする。原料ガス(6)は、雰囲気ガスとしてのアルゴン(Ar)等との混合ガスとして導入してもよい。これらのガスは、放電によって電子と衝突し、Arは電離し、COは分解あるいは電離してプラズマ分解され、Ar+およびC+、O+、CO+、CO2+等の正イオンと、C*、O*、CO*などの化学反応性に富んだラジカルからなるプラズマ(10)が発生する。ここで、正イオンは、ターゲット(2)表面に形成されるシース領域(13)で加速されてターゲット(2)に衝突し、炭素原子を叩き出す。一方のラジカルは拡散して基板(5)に到達し、ターゲット(2)から叩き出された炭素原子と反応して、酸化炭素として膜状に堆積する。ここで、原料ガス(6)としてCOとArの混合ガスを用いる場合には、COに対するArの割合を0〜100体積%の範囲で調節することにより、得られる酸化炭素薄膜の酸素含有量を0.26〜0の範囲で制御することができる。
【0039】
また、酸化ダイヤモンド状炭素薄膜を製造する場合には、原料ガス(6)として、一酸化炭素(CO)と飽和炭化水素の混合ガスを用いるようにする。ここで、原料ガス(6)にさらに水素(H2)を加えることで、得られる酸化ダイヤモンド状炭素薄膜の結晶性を向上させることができる。ただし、水素濃度の増大とともに膜の堆積速度が遅くなり、約17体積%を超過すると堆積速度はほぼ0となってしまうため、水素濃度は0〜17体積%の範囲で調整することが好ましい。飽和炭化水素としては、炭素原子間がすべて単結合で構成されており、置換基をもたない各種の炭化水素を用いることができる。具体的には、メタン(CH4)、エタン(C2H6)等のパラフィンや、シクロヘキサン(C6H12)等のシクロパラフィンを用いることが好適なものとして例示され、これらは単体であるいは2種以上を混合して用いることができる。この系においては、放電により、Ar+およびC+、O+、CO+、CO2+の正イオンと、C*、O*、CO*のラジカルに加えて、用いた飽和炭化水素および水素に由来する各種の正イオンとラジカルからなるプラズマ(10)が発生する。そして、上記の場合と同様に、正イオンは、ターゲット(2)表面に形成されるシース領域(13)で加速されてターゲット(2)に衝突して炭素原子を叩き出し、一方のラジカルは拡散して基板(5)に到達し、ターゲット(2)から叩き出された炭素原子と反応して、酸化ダイヤモンド状炭素として膜状に堆積する。
【0040】
また、酸化窒化炭素薄膜を製造する場合には、原料ガス(6)として、一酸化炭素(CO)と窒素(N2)の混合ガスを用いるようにする。もちろん、ここにおいてもAr等の不活性ガスを混合するようにしてもよい。この系においては、放電により、Ar+およびC+、O+、CO+、CO2+に加えてN+、N2 +等の正イオンと、C*、O*、CO*に加えてN2 *等の化学反応性に富んだラジカルからなるプラズマ(10)が発生する。ここで、上記の場合と同様に、正イオンは、ターゲット(2)表面に形成されるシース領域(13)で加速されてターゲット(2)に衝突して炭素原子を叩き出し、一方のラジカルは拡散して基板(5)に到達し、ターゲット(2)から叩き出された炭素原子と反応して、酸化窒化炭素として膜状に堆積する。また、原料ガス(6)の一酸化炭素と窒素の混合比を調節することにより、得られる酸化窒化炭素薄膜の窒素と酸素の割合を制御することができる。酸素成分が少ない場合には、薄膜の微細加工性が悪くなることが確認されており、微細加工性の点からは、酸化窒化炭素薄膜COxNyにおける酸素濃度xが0.25〜0.12程度の範囲となるようにすることが好ましい。また、この方法によると、毒性のあるシアノーゲンの発生は、従来の窒化炭素薄膜の製造に比べて極めて少量に抑えられ、実用が可能である。
【0041】
以上のようなこの出願の発明の薄膜の製造によると、酸化炭素薄膜、酸化窒化炭素薄膜および酸化ダイヤモンド状炭素薄膜を、安価で、効率よく、簡便に製造することができる。また、これらの薄膜は、使用後に焼却することが可能であり、その排ガスは大気に散逸しても無害である。またこれら薄膜の廃棄物や原料ガスとして用いる一酸化炭素並びに窒素は循環的であり、地球環境に負荷をかけずリサイクル性が高い。
【0042】
以下に実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0043】
【実施例】
(実施例1)
図5に示した構成の容量結合型スパッタ装置を用いたプラズマ分解反応性スパッタ法により、酸化炭素薄膜を製造した。炭素原料としてのターゲットには、表面を平滑に研磨したガラス状炭素板を用いた。基板には、アルミノボロシリケートガラス板を用いた。なお、アノードは接地して零電位とし、ターゲット−基板間距離は、17mmとした。
【0044】
原料ガスとして、半導体級COガスを19sccmの流量で導入しながら排気速度を調節し、反応容器内のCOガスの圧力を60mTorr(8Pa)に保持した。次いで、カソードに13.56MHzの高周波を電力密度5.1W/cm2で加え、COのプラズマを発生させた。約100分間の反応により、基板上に茶褐色で透明の薄膜が得られた。この場合の膜堆積速度は、7.8nm/min.であった。
【0045】
得られた薄膜は、厚さが約0.8μmで、膜表面の凹凸の二乗平均根が0.5nmの、極めて平坦な膜であった。電子マイクロプローブ分析の結果から、この薄膜は、組成が20.5at%O−Cで、特性X線に見られるような不純物を含まない、酸化炭素膜であることが確認された。また、薄膜上の各点において組成のゆらぎがないことも確認された。
【0046】
結晶構造は、非晶質ではなく、結晶欠陥を含む立方晶系の閃亜鉛鉱型構造で、空間群は
【0047】
格子定数は0.363nmであった。X線全反射法により測定した密度は極めて小さく1.15g/cm3であり、この値はX線的理論密度の69%であって、結晶構造中に原子空孔が多く存在することを意味している。機械的特性については、硬度が92、ヤング率が45GPaであった。さらに、シート電気抵抗は109ohm以上で、絶縁体であることがわかった。
【0048】
同様にして、ガラス基板上に100nm〜6μmの種々の厚さで酸化炭素薄膜を作製したところ、いずれの薄膜についても、湿潤大気中へ解放した時に剥離や崩壊を起こすことがなかった。さらに相対湿度100%、温度23℃の環境中に1年間(8760時間)以上暴露した後、粘着テープを薄膜上に貼り付けて引き剥がすテープストリップテストを行なった結果、いずれの薄膜もガラス基板から剥離することはなかった。このように、この酸化炭素薄膜は基板に対する付着性に優れ、またその特性が安定していることが確認された。なお、膜厚が100nm以下の薄膜についても基板に対する付着性が優れていることは、公知の非晶質炭素薄膜等と同様であった。
【0049】
次に、厚さ1μmの酸化炭素薄膜に対して電子線レジストを塗布し、電子線露光によるレジストパターンの作製と、酸素プラズマによるエッチングにより酸化窒化炭素膜へレジストパターンの転写を行なった。その結果、酸化炭素薄膜を下地に持つレジストに対しては高分解能の電子線露光が可能であることが確認された。また酸化炭素薄膜に対する酸素プラズマエッチングは、高速で、かつほぼ完全な90°の異方性角で進行し、線幅100nm、アスペクト比10の滑らかな仕上がり表面を持つ、高アスペクト比微細加工が可能でることが確認された。
(実施例2)
原料ガスとして、COとN2を種々の比で混合した混合ガスを用い、あとは実施例1と同様の条件で、プラズマ分解反応性スパッタ法により酸化窒化炭素薄膜を製造した。
【0050】
図7に、原料ガスの組成と、そのとき得られた酸化窒化炭素薄膜の組成(COxNy)との関係を示した。酸化窒化炭素薄膜の窒素成分は、0〜40at.%で、酸素成分は20〜0at.%の範囲で制御できることがわかった。
【0051】
また、図8に、原料ガスの組成と、そのときの酸化窒化炭素薄膜の堆積速度との関係を示した。薄膜の堆積速度は、COとN2の混合割合が1:1近傍で極大を示すものの、全体に渡って約10〜30nm/minと一般的な速度で堆積可能なことが確認された。
【0052】
得られた酸化窒化炭素(COxNy)薄膜は、酸素濃度xおよび窒素濃度yに関する全組成領域について茶褐色で透明であり、またそれらの薄膜の表面平坦性は組成に依存することなく優れており、膜表面の凹凸の二乗平均根は0.4〜0.5nmの範囲でほぼ一定であった。
【0053】
結晶構造については、基本的には結晶欠陥を多く含む立方晶系の閃亜鉛鉱型構造で、空間群は
【0054】
であり、窒素成分の増大に伴い結晶性が悪くなり、CNy薄膜(CO x N y 薄膜のx=0)において非晶質に近くなった。また、CO x からCN y への窒素成分の増大に伴って、格子定数は0.363nmから0.353nmに減少し、硬度は92から163に増大する一方、ヤング率は45GPaから38GPaに減少した。電気的特性については、COxNyの全組成について絶縁体であることが確認された。
【0055】
これら酸化窒化炭素薄膜についても、実施例1と同様に、微細加工の適性について検討した。その結果、高分解能の電子線露光と的確な酸素プラズマエッチングが可能であり、高アスペクト比の微細加工形状が得られることがわかった。しかしながら、酸化窒化炭素薄膜における酸素成分の減少に伴って、先の酸化炭素薄膜に比べて加工後の表面の仕上がり精度や緻密性がやや劣り、加工構造体に亀裂が発生しやすくなるなどの性質が認められた。
【0056】
一方で、得られた酸化窒化炭素薄膜について、ガラス基板に対する付着性を調べた。その結果、基板への付着性は酸素濃度が増大するとともに向上し、酸素成分が10at.%以上の組成の酸化窒化炭素薄膜については、厚さが2.0μm以上であっても、湿潤大気中に1年間以上暴露した場合に、テープストリップテストによる剥離や破壊が起きないことが確認された。なお、厚さが100nm以下の酸化窒化炭素薄膜が、組成によらず優れた基板付着性を示すことは、公知の窒化炭素薄膜と同様であった。
(参考例)
原料ガスとして、COとCH4種々の比で混合した混合ガスを用い、基板を約450℃に加熱し、それ以外は実施例1と同様の条件で、プラズマ分解反応性スパッタ法により酸化ダイヤモンド状炭素薄膜を製造した。
【0057】
混合ガスにおけるCH4の割合の増大に伴って酸化ダイヤモンド状炭素薄膜の析出(堆積)量は単調に減少し、約20vol.%以上で析出しなくなった。なお、CH4の割合を10vol.%としたときに得られた酸化ダイヤモンド状炭素薄膜の組成は、15at.%O−Cであり、水素原子の存在は特定できなかった。
【0058】
電子線回折から求めた結晶構造は、立方晶系のダイヤモンド型構造であり、空間群はFd3mであった。その格子定数は0.36nmでほぼ公知のダイヤモンド状炭素と等しいことがわかった。また、電子線回折線は散漫であり、結晶欠陥を多く含んでいることも、公知のダイヤモンド状結晶と似ていた。一方、規則格子の(200)回折線が現われないことが、先の実施例1の酸化炭素薄膜および実施例2の酸化窒化炭素薄膜と異なっていた。
【0059】
シート電気抵抗が109ohm以上であり絶縁体に近いことは、非晶質炭素ではなく、ダイヤモンド状炭素の特徴と一致していた。
【0060】
一方、機械的特性については、硬度が1100、ヤング率が230GPaと著しく高く優れていることがわかった。さらに、X線を照射すると、青色の発光を呈するという光学的特性が確認された。
【0061】
もちろん、この発明は以上の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0062】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この発明によって、湿潤雰囲気においても安定で、基板に対する付着性および電子線リソグラフィー等の微細加工性に優れた新しい酸化炭素薄膜、酸化窒化炭素薄膜および酸化ダイヤモンド状炭素薄膜とそれらの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】非晶質ダイヤモンド状炭素の化学結合を示す模式図である。
【図2】ダイヤモンドの化学結合を示す模式図である。
【図3】非晶質窒化炭素の化学結合を示す模式図である。
【図4】非晶質酸化炭素の化学結合を示す模式図である。
【図5】容量結合型プラズマ分解反応性スパッタ法の概念図である。
【図6】誘導結合型プラズマ分解反応性スパッタ法の概念図である。
【図7】原料ガスの組成と得られたCOxNy膜の組成の関係を例示した図である。
【図8】原料ガスの組成と得られたCOxNy膜の堆積速度の関係を例示した図である。
【符号の説明】
1 カソード
2 ターゲット
3 アノード
4 薄膜
5 基板
6 原料ガス
7 排気
8 ブロッキングコンデンサ
9 高周波電源
10 プラズマ
11 接地シールド
12 直流電源
13 シース領域
14 コイル状アンテナ
Claims (6)
- 一酸化炭素を含む原料ガスをプラズマ分解し、発生したプラズマ生成成分のうちのイオンの少なくとも一部で炭素原料をスパッタし、プラズマの生成成分の少なくとも一部とスパッタされた炭素原子との反応物を基板上に堆積させる際に、原料ガスを一酸化炭素とし、酸化炭素薄膜を基板上に堆積させることを特徴とする酸化炭素系薄膜の製造方法。
- 一酸化炭素を含む原料ガスをプラズマ分解し、発生したプラズマ生成成分のうちのイオンの少なくとも一部で炭素原料をスパッタし、プラズマの生成成分の少なくとも一部とスパッタされた炭素原子との反応物を基板上に堆積させる際に、原料ガスを一酸化炭素と窒素の混合ガスとし、酸化窒化炭素薄膜を基板上に堆積させることを特徴とする酸化炭素系薄膜の製造方法。
- 原料ガスに、不活性ガスを混合することを特徴とする請求項1または2に記載の酸化炭素系薄膜の製造方法。
- 炭素原料が、黒鉛または非晶質炭素であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の酸化炭素系薄膜の製造方法。
- 組成が、一般式CO x (式中、0<x<0.26)で表され、結晶構造が立方晶系欠陥型閃亜鉛鉱型構造あるいはこれを基本とする不完全結晶であり、シート電気抵抗が109ohm以上であることを特徴とする酸化炭素薄膜。
- 組成が、一般式CO x Ny(式中、0<x<0.26,0<y<0.71)で表され、結晶構造が立方晶系欠陥型閃亜鉛鉱型構造あるいはそれを基本とする不完全結晶であり、シート電気抵抗が109ohm以上であることを特徴とする酸化窒化炭素薄膜。
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