JP3925880B2 - 電磁クラッチ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カーエアコン用コンプレッサ等の従動側機器に装着される電磁クラッチに関するものであり、特には、従動側機器の故障により発生するスリップ熱により溶解される温度ヒューズがヨーク内に配設された電磁クラッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電磁クラッチは、駆動側機器と従動側機器との間の動力伝達系路に配設され、従動側機器の駆動または停止用のスイッチとして使用されている。また、従動側機器が故障した場合の周辺機器への悪影響を防ぐために、従来の電磁クラッチには、駆動側機器と連結されるロータの摩擦面と従動側機器と連結されるアーマチュアの摩擦面とのスリップ回転により発生するスリップ熱により溶解される温度ヒューズを、ヨーク内に収容される励磁コイルに直列状に結線している。このような電磁クラッチは、特開昭56−138529号公報(以下、先行発明1と称する。)や特開平8−326782号公報(以下、先行発明2と称する。)に提案されてるように、ロータの摩擦面とは反対側の側面に対向するヨークの開口部分に温度ヒューズを配設してその温度ヒューズの応答性向上を図っている。
【0003】
各公報で説明されている実施形態において、先行発明1は、半径方向に開口した巻き枠部の一方のフランジ部にコイル引出し用溝と温度ヒューズの保持部を形成したコイルボビンを設け、このコイルボビンに励磁コイルを巻き付けるとき、巻き途中をコイル引出し用溝から引き出している。また、引き出された励磁コイルを切断して一対の接続部を形成して、これら接続部と温度ヒューズのリード線とを圧着端子で接続している。また更には、温度ヒューズのケースを保持部に嵌合して固定している。なお、励磁コイルの巻始め端部と巻終わり端部は、プラス側のリード線とマイナス側のリード線に接続されている。そして、このような構造からなるコイル組立体は、プラス側とマイナス側のリード線を絶縁ブッシュから引き出しながらヨークの環状溝の中に挿入されるとともに、環状溝の中に注入される樹脂(以下、注型樹脂と称する。)により固定されている。
【0004】
また、先行発明2は、環状に巻かれた励磁コイルの巻始め端部をマイナス側のリード線と接続するとともに、一方の接続部とした巻終わり端部を温度ヒューズの一方のリード線に接続している。また、温度ヒューズの他方のリード線には、励磁コイルを延長するために用意された延長線の端部(他方の接続部)が接続され、その延長線に、プラス側のリード線を接続している。また更には、温度ヒューズのケースを、励磁コイルに被せられたヒューズ保持部材に嵌合している。そして、このような構造からなるコイル組立体は、先行発明1と同様に、プラス側とマイナス側のリード線を絶縁ブッシュから引き出しながらヨークの環状溝の中に挿入されるとともに、環状溝の中に注入される注型樹脂により固定され、温度ヒューズがヨークの内側の円筒部の外周壁に接近するように組み立てられている。
【0005】
このような先行発明1と先行発明2の電磁クラッチは、従動側機器としてのカーエアコン用コンプレッサのハウジングに装着されている。各実施形態では、ハウジングの側面にヨークを固定するとともに、そのヨークが挿入されたロータをハウジングの側面から突出した支持部に軸受を介して回転自在に支持している。また、支持部から突出した回転軸の軸端にアーマチュアを軸線方向にのみ移動自在に支持している。そして、通電された励磁コイルの磁束により、車載エンジンの駆動により回転するロータの摩擦面にアーマチュアの摩擦面を磁気吸着させて、コンプレッサを駆動するようにしている。また、励磁コイルへの通電を断って磁束を消滅させることにより、アーマチュアをロータから離間させてコンプレッサの駆動を停止するようにしている。ここで、アーマチュアがロータに磁気吸着されているときにコンプレッサの回転軸がロックすると、それらの摩擦面はスリップ回転をするので、急激に周辺温度が異常上昇して温度ヒューズが溶解される。即ち、励磁コイルの巻き途中に設けられた温度ヒューズからなる安全スイッチが切れて、励磁コイルへの通電ができなくなるので、磁束が消滅してアーマチュアがロータから離間する。従って、ロータに掛けられたベルトが切断されて他の自動車用補機が駆動不能になるなどの事態を防ぐことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電磁クラッチは、励磁コイルの一対の接続部(先行発明2においては、巻終わり端部と延長線の一方の端部)を温ヒューズのリード線と圧着端子で一体に接続している。また、温度ヒューズのケースが、コイルボビンの保持部に固定されたり励磁コイルに嵌合される保持部材に保持され、車載エンジンやコンプレッサの振動に起因する温度ヒューズや圧着端子による接続部分の破損を防止している。しかしながら、励磁コイルの接続部と温度ヒューズのリード線を圧着端子により接続しなければならないので、組立作業に手間が掛かり生産性向上を図ることが難しい。
【0007】
また、先行発明2の別の実施形態として、注型樹脂の熱膨張に起因して温度ヒューズのリード線には引張り荷重が作用するので、リード線に保護チューブを被せたり、リード線に曲げ部(たわみ部分)を設けることが提案されている。また更には、注型樹脂は比較的低温で成形できる樹脂を使用しているので、その成形時において温度ヒューズが溶解する恐れはないと説明されている。しかしながら、コンプレッサ用電磁クラッチの生産性向上や価格の低廉化のために、このような樹脂の成形作業は廃止される傾向にあり、励磁コイルや温度ヒューズの別の保持手段を検討しなければならなかった。また、温度ヒューズの表面を薄膜状に覆って注型樹脂内に埋設することも提案されているが、その樹脂の被覆量のバラツキが温度ヒューズの応答性のバラツキとなってしまうので、注型作業における品質面での工程管理に多大な労力を費やしなければならないと考えられた。この発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、温度ヒューズの応答性や信頼性に優れているとともに生産性が向上されて安価な電磁クラッチを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1に記載された電磁クラッチは、環状に巻かれるとともに巻き途中に一対の接続部(実施形態において符号2a・2b、以下同じ)が設けられた励磁コイル(2)と、この励磁コイル(2)を保持する第1のコイル保持溝(3a)が設けられたコイルボビン(3)と、このコイルボビン(3)の開口部分から突出した前記励磁コイル(2)を保持する第2のコイル保持溝(4a)と、この第2のコイル保持溝(4a)の上壁部(4b)に形成され前記接続部(2a・2b)が引き出された一対の貫通穴(4cまたは24a)と、この貫通穴(4cまたは24a)の開口部分を含む前記上壁部(4b)の外側面に形成された収容部(6または23)とが設けられたコイルカバー(4または24)と、このコイルカバー(4または24)の収容部(6または23)に配設された温度ヒューズ(9または26)と、この温度ヒューズ(9または26)のリード線(9aまたは26b)が圧入されるリード圧入溝(8b)と前記励磁コイル(2)の接続部(2a・2b)が圧入されるコイル圧入溝(8a)が形成された一対の中間端子(8)と、この中間端子(8)が間隔をおいて固定された端子カバー(7または25)と、前記コイルカバー(4または24)の収容部(6または23)が外側に露呈するように前記コイルボビン(3)と前記コイルカバー(4または24)及び前記励磁コイル(2)が環状溝(1a)内に収容されたヨーク(1)と、このヨーク(1)が挿入される環状溝(12a)が設けられ前記ヨーク(1)の開口部分と対向する側面とは反対側の側面を摩擦面(12i)としたロータ(12)と、このロータ(12)の摩擦面(12i)に磁気吸着される摩擦面(14a)が設けられたアーマチュア(14)とを備え、前記コイルカバー(4または24)の収容部(6または23)に、前記励磁コイル(2)の接続部(2a・2b)が個々に係入される一対のコイル係入溝(6eまたは23c)と、前記温度ヒューズ(9または26)のリード線(9aまたは26b)が個々に係入される一対のリード係入溝(6fまたは23d)と、これらリード係入溝(6fまたは23d)の間に形成され前記温度ヒューズ(9または26)のケース(9bまたは26a)が載置される載置部(6dまたは23f)と、前記コイル係入溝(6eまたは23c)と前記リード係入溝(6fまたは23d)とを交差するように形成され前記中間端子(8)が個々に圧入される一対の端子係入溝(6gまたは23e)とを設け、前記中間端子(8)を前記端子係入溝(6gまたは23e)に圧入しながら前記端子カバー(7または25)を前記収容部(6または23)に被せることにより、前記励磁コイル(2)の接続部(2a・2b)と前記温度ヒューズ(9または26)のリード線(9aまたは26b)を前記中間端子(8)により電気的に接続するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載された電磁クラッチは、請求項1に記載された電磁クラッチにおいて、前記端子カバー(25)には、両端部分に形成され前記中間端子(8)が個々に固定された端子固定部(25b)と、これら端子固定部(25b)の間のうち前記中間端子(8)のコイル圧入溝(8a)が対向する側に形成された連結部(25a)と、前記端子固定部(25b)の間のうち前記中間端子(8)のリード圧入溝(8b)が対向する側に形成された収容空間部(27)が設けられ、前記温度ヒューズ(26)のケース(26a)は、前記端子カバー(25)の収容空間部(27)に収容されて前記収容部(23)の外側に露呈されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態として図1から図8に示した電磁クラッチを説明する。図1は、電磁クラッチの断面図であり、図2は、図1のヨークの平面図である。図3から図5には、コイルカバーに設けた収容部のみが示されており、図3は平面図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB−B線断面図である。図6から図8には、中間端子と温度ヒューズが組込まれた端子カバーが示されており、図6は平面図、図7は正面図、図8は右側面図である。これら図面の電磁クラッチは、カーエアコン用コンプレッサのハウジングに固定されるヨーク組立体と、このヨーク組立体に被せられハウジングの支持部に回転自在に支持されるロータと、このロータの摩擦面とエアギャップをおいて対向する摩擦面が設けられたアーマチュアを備え、コンプレッサの回転軸に装着されるアーマチュア組立体とを有する。
【0011】
電磁クラッチのヨーク組立体は、軸線方向に開口する環状溝1aが形成された断面がコ字状で環状なヨーク1と、このヨーク1の環状溝1aに収容された励磁コイル2を備え、励磁コイル2の外側がコイルボビン3とコイルカバー4に包囲されている。コイルボビン3には、ヨーク1の環状溝1aと同方向に開口した環状な第1のコイル保持溝3aが形成され、コイルカバー4には、ヨーク1の環状溝1aに対して逆方向に開口した環状な第2のコイル保持溝4aが形成されている。なお、コイルボビン3の底部には、ヨーク1の貫通穴1bに圧入された収容部3bが一体に形成されており、この収容部3b内に引き出された励磁コイル2の巻始め端部と巻終わり端部が、端子ハウジング5にインサートされた電源側の一対の端子(図示されていない)と電気的に接続されている。また、コイルボビン3の開口部分とコイルカバー4の開口部分には、テーパー状の合わせ面が形成されており、ヨーク1の開口端面に複数のかしめ突起1cを形成することにより、コイルカバー4をコイルボビン3側に押圧して合わせ面を楔状に噛合わせている。
【0012】
図3から図5に示されているように、コイルカバー4の上壁部4bには、円周方向に間隔をおいて一対の貫通穴4cが穿設されており、また、この貫通穴4cを含む上壁部4bの外側面には、収容部6が一体に形成されている。そして、貫通穴4cから収容部6内に励磁コイル2の接続部2a・2bが引込まれている。なお、励磁コイル2の接続部2a・2bは、巻線機により励磁コイル2を巻回するときの巻き途中を引き出して切断することにより形成されたものである。ヨーク1の開口部分から突出するようにコイルカバー4に設けられた収容部6は、コイルカバー4の半径方向内側となる内側壁6aと半径方向外側となる外側壁6bと、これら側壁6a・6bの両端部を連結するとともに、側壁6a・6bより僅かに低く(軸線方向の突出量が小さく)形成された左右の側壁6cと、これら側壁6a・6b・6cにより囲まれているとともに貫通穴4cが開口している底部(上壁部4bの外側面)6dとを有する箱形に形成されている。
【0013】
収容部6の左右の側壁6cには、一対の貫通穴4cを通る直線上に励磁コイル2の接続部2a・2bが係入されるコイル係入溝6eが形成されている。また側壁6cには、後述する温度ヒューズ9のリード線9aが係入されるリード係入溝6fがコイル係入溝6eと平行に形成されている。そして、これらコイル係入溝6eとリード係入溝6fとに直角に交差するように、側壁6cには、後述する中間端子8が圧入される端子係入溝6gが形成されている。コイル係入溝6eは、側壁6cの内側の周壁から外側の周壁まで切欠いた溝に形成され、励磁コイル2の接続部2a・2bの先端部分が外側の周壁より突出しないように係入されている。また、コイル係入溝6eのうち、励磁コイル2の接続部2a・2bの先端部分と外側の周壁との間となる部分には、後述する端子カバー7の突出部7bが圧入されるようになっている。なお、リード係入溝6fは、側壁6cの外側の周壁までは切欠いてはいない溝に形成されている。また、底部6dのうち、一対のリード係入溝6fの間となる部位を、後述する温度ヒューズ9のケース9bが載置される載置部としている。
【0014】
このような形状からなる収容部6には、コイルボビン3やコイルカバー4と同じ合成樹脂で形成された端子カバー7が被せられている。また、収容部6と端子カバー7の合わせ面の全周が、接着剤またはその他の接合技術により固着されている。図6から図8に示されているように、矩形状の端子カバー7には、その長辺方向に間隔をおいて一対の中間端子8がインサートされて固定されている。中間端子8は、平板状の導電部材であり、励磁コイル2の接続部2a・2bが圧入されるコイル圧入溝8aと、後述する温度ヒューズ9のリード線9aが圧入されるリード圧入溝8bと、両端に切欠き部8cが形成され端子カバー7内に埋設された埋設部8dと、収容部6の端子係入溝6gに圧入された際にその係入溝6gの壁面に喰い込む一対の係止部8eが形成されている(図8参照)。
【0015】
また、端子カバー7の長辺方向の端部には、中間端子8と平行に設けられた一対の係合部7aが突出している。また、各係合部7aには、収容部6のコイル係入溝6eに圧入される突出部7bが形成されている。また更に、端子カバー7に固定された中間端子8のリード圧入溝8bに温度ヒューズ9のリード線9aが圧入され、中間端子8の間に温度ヒューズ9のケース9bが配設されている。
【0016】
このような構造からなるヨーク組立体は、以下に述べるように組み立てられる。まず、巻線機により励磁コイル2を巻回するとともに、一対の接続部2a・2b及び巻始め端部と巻終わり端部を引き出した後、巻始め端部と巻終わり端部を収容部3b側に引き出しながら、励磁コイル2の略半分をコイルボビン3のコイル保持溝3aに嵌合する。また、一対の接続部2a・2bを収容部6側に引き出しながら、コイルボビン3から突出した状態の励磁コイル2の略半分をコイルカバー4のコイル保持溝4aに嵌合する。そして、コイルボビン3とコイルカバー4のテーパー状の合わせ面を楔状に噛合わせる。次に、これら部材からなるコイル組立体を、貫通穴1bと収容部3bとを位置合わせしてから、ヨーク1の環状溝1aに嵌合する。嵌合した後は、プレス加工によりヨーク1の開口端面に複数のかしめ突起1cを形成することにより、コイル組立体を環状溝1a内に保持するとともに、コイルボビン3の合わせ面にコイルカバー4の合わせ面を喰い込ませて密閉した状態にする。なお、合わせ面は、予め接着剤またはその他の接合技術により完全に密閉されることもある。
【0017】
コイル組立体を保持した後は、所定の長さに切断された励磁コイル2の接続部2a・2bを、コイルカバー4の収容部6のコイル係入溝6eに係入するとともに、中間端子8と温度ヒューズ9が組み立てられた端子カバー7を収容部6に被せる。また、端子カバー7を被せる際に、中間端子8のコイル圧入溝8a内に励磁コイル2の接続部2a・2bを圧入しながら、中間端子8を収容部6の端子係入溝6gに圧入するとともに、温度ヒューズ9のリード線9aを収容部6のリード係入溝6fに係入して、温度ヒューズ9のケース9bを底部6d(載置部)に載置する。また更に、収容部6に端子カバー7を被せる際に、係合部7aを側壁6aと側壁6bとの間に圧入するとともに、係合部7aの突出部7bをコイル係入溝6eに圧入する。なお、収容部6と端子カバー7の合わせ面は、接着剤またはその他の接合技術により完全に密閉される。また、中間端子8の係止部8eは、端子係入溝6gの壁面に喰い込む。
【0018】
一方、コイルボビン3の収容部3bのコイル係入溝(図示されていない)に、励磁コイル2の巻始め端部と巻終わり端部を係入した後、端子ハウジング5にインサートされた一対の端子(図示されていない)を収容部3bの端子係入溝(図示されていない)に圧入することにより、端子と各端部とを電気的に接続する。また、端子ハウジング5は、ヨーク1の背面に溶着された取付け板10に形成されている一対の切り起こし片(図示されていない)により、ヨーク1に固定される。なお、このような励磁コイル2の端部と端子との電気的な接続方法や端子ハウジング5の固定方法については、特願平9−59812号明細書と図面に記載されている。以上のような手順で組み立てられたヨーク組立体は、コンプレッサのハウジング11に形成された複数の凹陥部11aに取付け板10に形成された複数の凸部10aを嵌合して、端子ハウジング5の突出方向を決定した後、取付け板10をハウジング11にねじ止めすることにより、コンプレッサに装着される。なお、符号10bは、ねじを挿通するために形成された取付け板10の貫通穴である。
【0019】
次に、コンプレッサのハウジング11に形成されている円筒状の支持部11bに回転自在に支持されたロータ12について説明する。ロータ12は、ヨーク1が挿入される環状溝12aが形成された断面がコ字状の環状部材であり、外側の円筒部12bと内側の円筒部12c、これら円筒部12b・12cの端部を連結した円板部12dが設けられている。また、外側の円筒部12bの外周面には、図示されていないベルトが掛けられるベルト溝12eが形成され、内側の円筒部12cには、支持部11bに嵌合されて抜け止めされた軸受13の外輪が圧入されている。なお、軸受13の外輪は、円筒部12cの内周面に形成された突き当て面12fと、円筒部12cの端面に形成された複数のかしめ突起12gとの間に固定されている。一方、円板部12dには、異なる円周上に断続して形成された円弧状の複数の断磁スリット12hが設けられている。また、ヨーク1と対向する側面とは反対側の円板部12dの側面は、後述するアーマチュア14の摩擦面14aとエアギャップSをおいて対向する摩擦面12iとして設けられている。
【0020】
次に、アーマチュア14を備えたアーマチュア組立体について説明する。アーマチュア組立体は、コンプレッサの回転軸15の軸端にスプライン嵌合されたハブ16と、このハブ16のフランジ部に複数のリベットで固定されたストッパプレート17と、このストッパプレート17の貫通穴17aと同心状の貫通穴18aが形成され、ストッパプレート17に溶着されたカップ状の複数のゴムカバー18と、これらゴムカバー18に個々に圧入された複数のダンパゴム19と、各ダンパゴム19の中心に挿入され固着された複数のトルク伝達ピン20と、貫通穴17a・18aを貫通した各トルク伝達ピン20の先端が連結されているとともに、ロータ12の摩擦面12iとエアギャップSをおいて対向する摩擦面14aと、同一円周上に断続して形成された円弧状の複数の断磁スリット14bとが設けられた円板状のアーマチュア14を備えている。
【0021】
このようなアーマチュア組立体は、ハブ16に固定された当て板21の貫通穴を通り軸端のねじ穴に螺合されるボルト22により、回転軸15に装着されている。また、ダンパゴム19の自己復帰力により、アーマチュア14の摩擦面14aとは反対側の側面がストッパプレート17に当接している。なお、ダンパゴム19の自己復帰力は、アーマチュア14をストッパプレート17に重ね合わせた状態でトルク伝達ピン20の先端をアーマチュア14に連結するときに、ダンパゴム19の中心寄りをアーマチュア14側に弾性変形することにより得られる。
【0022】
以上のような構造とした実施形態の電磁クラッチは、端子ハウジング5に電源側のコネクタを接続することにより、励磁コイル2への通電が可能になる。また、ロータ12のベルト溝12eにベルトが掛けられる。したがって、励磁コイル2に通電して磁束を発生させれば、回転するロータ12の摩擦面12iにアーマチュア14の摩擦面14aが磁気吸着されてコンプレッサの回転軸15が回転するので、コンプレッサが駆動される。また、励磁コイル2への通電を断って磁束を消滅させれば、ダンパゴム19の自己復帰力によりアーマチュア14がロータ12から離間されるので、コンプレッサは停止する。また更には、励磁コイル2への通電中にコンプレッサの回転軸15がロックすると、回転しているロータ12の摩擦面12iと固定状態になったアーマチュア14の摩擦面14aとのスリップ回転によるスリップ熱により、周辺温度が急激に上昇して温度ヒューズ9が溶解される。そして、励磁コイル2への通電が断たれて磁束が消滅するとともに、アーマチュア14がロータ12から離間する。
【0023】
次に、別の実施の形態について説明する。図9から図11には、コイルカバーに設けられた収容部のみが示されており、図9は平面図、図10は図9のC−C線断面図、図11は図9のD−D線断面図である。図12から図14には、中間端子と温度ヒューズが組込まれた端子カバーが示されており、図12は平面図、図13は正面図、図14は図12のE−E線断面図である。なお、電磁クラッチの全体の構造は、先に説明した電磁クラッチと同じであるので相違する構造のみを説明する。
【0024】
これら図面に示された別の実施の形態は、温度ヒューズ26のケース26aが端子カバー25で覆われることなく収容部23の外側に露呈される。即ち、コイルカバー24の収容部23は、平面視コ字状に隆起した部分と平面視矩形状に陥没した部分とからなり、陥没した部分がコイルカバー24の中心側に構成されている。また、隆起した部分は、コイルカバー24の中心点を通る横軸(図2において左右に延びる中心線)と平行に延びる直線上に形成された係入部23aと、この係入部23aの両端部分に個々に設けられているとともに、コイルカバー24の中心を通る縦軸(図2において上下に延びる中心線)と平行に延びる直線上に形成された一対の端子圧入部23bが設けられている。また更に、陥没した部分は、温度ヒューズ26のケース26aが載置される載置部23fとして設けられている。
【0025】
係入部23aには、一対の貫通穴24aと、これら貫通穴24aの中心を通る直線上で、各貫通穴24aから端子圧入部23bの端部まで延設された一対のコイル係入溝23cが形成されている。また、端子圧入部23bには、コイル係入溝23cと平行なリード係入溝23dと、このリード係入溝23dとコイル係入溝23cとに直角に交差する端子係入溝23eが形成されている。
【0026】
一方、このような収容部23に被せられる端子カバー25は、平面視コ字状の形状からなり、収容部23の係入部23aに被せられる棒状の連結部25aと、収容部23の端子圧入部23bに被せられる一対の端子固定部25bと、収容部23のコイル係入溝23cとリード係入溝23dの各溝端部と対向する凹部25cが形成され、端子固定部25bの連結部25aとは反対側の側面に設けられた側壁部25dとが形成されている。また、これら連結部25aと端子圧入部25bとで囲まれた空間を、温度ヒューズ26のケース26aが収容される収容空間部27としている。また更に、各端子固定部25bには、中間端子8がインサートされて固定されている。なお、中間端子8は、図8に示されている中間端子8と略同一の形状であり、端子固定部25bの間のうち、この中間端子8のコイル係入溝8bが対向する側が連結部25aとなり、また、中間端子8のリード係入溝8bが対向する側が収容空間部27となるように、中間端子8は端子固定部25bにインサートされて固定されている。
【0027】
このような構造からなる合成樹脂材製の端子カバー25は、コイルカバー24の収容部23に被せられ、合わせ面全体が接着剤またはその他の接合技術により完全に密閉される。これらの組立手順は、先に説明した電磁クラッチと同じであり、温度ヒューズ26のケース26aが収容部23の載置部23fに載置され収容部23の外側に露呈される点が相違する。また、このように温度ヒューズ26のケース26aを収容部23の外側に露呈した電磁クラッチは、先に説明した電磁クラッチと同様に、コンプレッサの駆動または停止用のスイッチとして使用される。また更に、コンプレッサの回転軸15がロックすると、スリップ熱による周辺温度の上昇により温度ヒューズ26が溶解され、コンプレッサへの動力の伝達は遮断される。
【0028】
以上、この発明の実施の形態を説明したが、この発明の電磁クラッチは、カーエアコン用コンプレッサ以外の従動側機器または駆動側機器に装着されることがある。また、中間端子として、平板状の導電部材を例示したが、コ字状に折り曲げられて対向する側板にコイル圧入溝とリード圧入溝が個々に形成された導電部材からなる中間端子であってもよい。この場合、収容部には、一対一組の端子係入溝が2組形成される。また更に、温度ヒューズは、ヨークの内側の円筒部側に配設されているが、ヨークの外側の円筒部側に配設してもよい。また、励磁コイルの接続部や温度ヒューズのリード線が、コイルカバーの円周方向または半径方向に係入されるように、収容部の係入溝を設けてもよい。
【0029】
【発明の効果】
この発明の電磁クラッチは、コイルカバーの収容部に、励磁コイルの接続部が個々に係入される一対のコイル係入溝と、温度ヒューズのリード線が個々に係入される一対のリード係入溝と、これらリード係入溝の間に形成され温度ヒューズのケースが載置される載置部と、コイル係入溝とリード係入溝とを交差するように形成され中間端子が個々に圧入される一対の端子係入溝とを設け、中間端子を端子係入溝に圧入しながら端子カバーを収容部に被せることにより、励磁コイルの接続部と温度ヒューズのリード線を中間端子により電気的に接続するようにしたので、従来のような圧着端子による励磁コイルの接続部と温度ヒューズのリード線との電気的な接続作業がなくなり、また、注型樹脂による温度ヒューズの埋設作業もなくなり、生産性が向上されて安価な電磁クラッチが提供される。
【0030】
また、この発明の電磁クラッチは、端子カバーに中間端子を予め固定するようにしたので、組立工数が削減され生産性を向上することができる。しかも、端子カバー側に温度ヒューズも予め組み込めるので、端子カバーをコイルカバーの収容部に被せるときには、中間端子のコイル圧入溝に励磁コイルの接続部を圧入するのみでよく、電気的な接続作業が簡単にできる。
【0031】
また更に、請求項2に記載された電磁クラッチにおいては、応答性向上のために、温度ヒューズのケースを収容部の外側に露呈するようにしたので、動力伝達の遮断に対する信頼性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態として示された電磁クラッチの断面図である。
【図2】図1のヨークの平面図である。
【図3】コイルカバーに設けられた収容部の平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3のB−B線断面図である。
【図6】中間端子と温度ヒューズが組込まれた端子カバーの平面図である。
【図7】図6の端子カバーの正面図である。
【図8】図6の端子カバーの右側面図である。
【図9】別の実施の形態であり、コイルカバーに設けられた収容部の平面図である。
【図10】図9のC−C線断面図である。
【図11】図9のD−D線断面図である。
【図12】別の実施の形態であり、中間端子と温度ヒューズが組込まれた端子カバーの平面図である。
【図13】図12の端子カバーの正面図である。
【図14】図12のE−E線断面図である。
【符号の説明】
1 …ヨーク
2 …電磁コイル
3 …コイルボビン
4 …コイルカバー
4c…貫通穴
6 …コイルカバーの収容部
6e…コイル係入溝
6f…リード係入溝
6g…端子係入溝
7 …端子カバー
8 …中間端子
8a…コイル圧入溝
8b…リード圧入溝
9 …温度ヒューズ
12 …ロータ
14 …アーマチュア
23 …コイルカバーの収容部
23c…コイル係入溝
23d…リード係入溝
23e…端子係入溝
25 …端子カバー
26 …温度ヒューズ
【発明の属する技術分野】
この発明は、カーエアコン用コンプレッサ等の従動側機器に装着される電磁クラッチに関するものであり、特には、従動側機器の故障により発生するスリップ熱により溶解される温度ヒューズがヨーク内に配設された電磁クラッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電磁クラッチは、駆動側機器と従動側機器との間の動力伝達系路に配設され、従動側機器の駆動または停止用のスイッチとして使用されている。また、従動側機器が故障した場合の周辺機器への悪影響を防ぐために、従来の電磁クラッチには、駆動側機器と連結されるロータの摩擦面と従動側機器と連結されるアーマチュアの摩擦面とのスリップ回転により発生するスリップ熱により溶解される温度ヒューズを、ヨーク内に収容される励磁コイルに直列状に結線している。このような電磁クラッチは、特開昭56−138529号公報(以下、先行発明1と称する。)や特開平8−326782号公報(以下、先行発明2と称する。)に提案されてるように、ロータの摩擦面とは反対側の側面に対向するヨークの開口部分に温度ヒューズを配設してその温度ヒューズの応答性向上を図っている。
【0003】
各公報で説明されている実施形態において、先行発明1は、半径方向に開口した巻き枠部の一方のフランジ部にコイル引出し用溝と温度ヒューズの保持部を形成したコイルボビンを設け、このコイルボビンに励磁コイルを巻き付けるとき、巻き途中をコイル引出し用溝から引き出している。また、引き出された励磁コイルを切断して一対の接続部を形成して、これら接続部と温度ヒューズのリード線とを圧着端子で接続している。また更には、温度ヒューズのケースを保持部に嵌合して固定している。なお、励磁コイルの巻始め端部と巻終わり端部は、プラス側のリード線とマイナス側のリード線に接続されている。そして、このような構造からなるコイル組立体は、プラス側とマイナス側のリード線を絶縁ブッシュから引き出しながらヨークの環状溝の中に挿入されるとともに、環状溝の中に注入される樹脂(以下、注型樹脂と称する。)により固定されている。
【0004】
また、先行発明2は、環状に巻かれた励磁コイルの巻始め端部をマイナス側のリード線と接続するとともに、一方の接続部とした巻終わり端部を温度ヒューズの一方のリード線に接続している。また、温度ヒューズの他方のリード線には、励磁コイルを延長するために用意された延長線の端部(他方の接続部)が接続され、その延長線に、プラス側のリード線を接続している。また更には、温度ヒューズのケースを、励磁コイルに被せられたヒューズ保持部材に嵌合している。そして、このような構造からなるコイル組立体は、先行発明1と同様に、プラス側とマイナス側のリード線を絶縁ブッシュから引き出しながらヨークの環状溝の中に挿入されるとともに、環状溝の中に注入される注型樹脂により固定され、温度ヒューズがヨークの内側の円筒部の外周壁に接近するように組み立てられている。
【0005】
このような先行発明1と先行発明2の電磁クラッチは、従動側機器としてのカーエアコン用コンプレッサのハウジングに装着されている。各実施形態では、ハウジングの側面にヨークを固定するとともに、そのヨークが挿入されたロータをハウジングの側面から突出した支持部に軸受を介して回転自在に支持している。また、支持部から突出した回転軸の軸端にアーマチュアを軸線方向にのみ移動自在に支持している。そして、通電された励磁コイルの磁束により、車載エンジンの駆動により回転するロータの摩擦面にアーマチュアの摩擦面を磁気吸着させて、コンプレッサを駆動するようにしている。また、励磁コイルへの通電を断って磁束を消滅させることにより、アーマチュアをロータから離間させてコンプレッサの駆動を停止するようにしている。ここで、アーマチュアがロータに磁気吸着されているときにコンプレッサの回転軸がロックすると、それらの摩擦面はスリップ回転をするので、急激に周辺温度が異常上昇して温度ヒューズが溶解される。即ち、励磁コイルの巻き途中に設けられた温度ヒューズからなる安全スイッチが切れて、励磁コイルへの通電ができなくなるので、磁束が消滅してアーマチュアがロータから離間する。従って、ロータに掛けられたベルトが切断されて他の自動車用補機が駆動不能になるなどの事態を防ぐことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電磁クラッチは、励磁コイルの一対の接続部(先行発明2においては、巻終わり端部と延長線の一方の端部)を温ヒューズのリード線と圧着端子で一体に接続している。また、温度ヒューズのケースが、コイルボビンの保持部に固定されたり励磁コイルに嵌合される保持部材に保持され、車載エンジンやコンプレッサの振動に起因する温度ヒューズや圧着端子による接続部分の破損を防止している。しかしながら、励磁コイルの接続部と温度ヒューズのリード線を圧着端子により接続しなければならないので、組立作業に手間が掛かり生産性向上を図ることが難しい。
【0007】
また、先行発明2の別の実施形態として、注型樹脂の熱膨張に起因して温度ヒューズのリード線には引張り荷重が作用するので、リード線に保護チューブを被せたり、リード線に曲げ部(たわみ部分)を設けることが提案されている。また更には、注型樹脂は比較的低温で成形できる樹脂を使用しているので、その成形時において温度ヒューズが溶解する恐れはないと説明されている。しかしながら、コンプレッサ用電磁クラッチの生産性向上や価格の低廉化のために、このような樹脂の成形作業は廃止される傾向にあり、励磁コイルや温度ヒューズの別の保持手段を検討しなければならなかった。また、温度ヒューズの表面を薄膜状に覆って注型樹脂内に埋設することも提案されているが、その樹脂の被覆量のバラツキが温度ヒューズの応答性のバラツキとなってしまうので、注型作業における品質面での工程管理に多大な労力を費やしなければならないと考えられた。この発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、温度ヒューズの応答性や信頼性に優れているとともに生産性が向上されて安価な電磁クラッチを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1に記載された電磁クラッチは、環状に巻かれるとともに巻き途中に一対の接続部(実施形態において符号2a・2b、以下同じ)が設けられた励磁コイル(2)と、この励磁コイル(2)を保持する第1のコイル保持溝(3a)が設けられたコイルボビン(3)と、このコイルボビン(3)の開口部分から突出した前記励磁コイル(2)を保持する第2のコイル保持溝(4a)と、この第2のコイル保持溝(4a)の上壁部(4b)に形成され前記接続部(2a・2b)が引き出された一対の貫通穴(4cまたは24a)と、この貫通穴(4cまたは24a)の開口部分を含む前記上壁部(4b)の外側面に形成された収容部(6または23)とが設けられたコイルカバー(4または24)と、このコイルカバー(4または24)の収容部(6または23)に配設された温度ヒューズ(9または26)と、この温度ヒューズ(9または26)のリード線(9aまたは26b)が圧入されるリード圧入溝(8b)と前記励磁コイル(2)の接続部(2a・2b)が圧入されるコイル圧入溝(8a)が形成された一対の中間端子(8)と、この中間端子(8)が間隔をおいて固定された端子カバー(7または25)と、前記コイルカバー(4または24)の収容部(6または23)が外側に露呈するように前記コイルボビン(3)と前記コイルカバー(4または24)及び前記励磁コイル(2)が環状溝(1a)内に収容されたヨーク(1)と、このヨーク(1)が挿入される環状溝(12a)が設けられ前記ヨーク(1)の開口部分と対向する側面とは反対側の側面を摩擦面(12i)としたロータ(12)と、このロータ(12)の摩擦面(12i)に磁気吸着される摩擦面(14a)が設けられたアーマチュア(14)とを備え、前記コイルカバー(4または24)の収容部(6または23)に、前記励磁コイル(2)の接続部(2a・2b)が個々に係入される一対のコイル係入溝(6eまたは23c)と、前記温度ヒューズ(9または26)のリード線(9aまたは26b)が個々に係入される一対のリード係入溝(6fまたは23d)と、これらリード係入溝(6fまたは23d)の間に形成され前記温度ヒューズ(9または26)のケース(9bまたは26a)が載置される載置部(6dまたは23f)と、前記コイル係入溝(6eまたは23c)と前記リード係入溝(6fまたは23d)とを交差するように形成され前記中間端子(8)が個々に圧入される一対の端子係入溝(6gまたは23e)とを設け、前記中間端子(8)を前記端子係入溝(6gまたは23e)に圧入しながら前記端子カバー(7または25)を前記収容部(6または23)に被せることにより、前記励磁コイル(2)の接続部(2a・2b)と前記温度ヒューズ(9または26)のリード線(9aまたは26b)を前記中間端子(8)により電気的に接続するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載された電磁クラッチは、請求項1に記載された電磁クラッチにおいて、前記端子カバー(25)には、両端部分に形成され前記中間端子(8)が個々に固定された端子固定部(25b)と、これら端子固定部(25b)の間のうち前記中間端子(8)のコイル圧入溝(8a)が対向する側に形成された連結部(25a)と、前記端子固定部(25b)の間のうち前記中間端子(8)のリード圧入溝(8b)が対向する側に形成された収容空間部(27)が設けられ、前記温度ヒューズ(26)のケース(26a)は、前記端子カバー(25)の収容空間部(27)に収容されて前記収容部(23)の外側に露呈されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態として図1から図8に示した電磁クラッチを説明する。図1は、電磁クラッチの断面図であり、図2は、図1のヨークの平面図である。図3から図5には、コイルカバーに設けた収容部のみが示されており、図3は平面図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB−B線断面図である。図6から図8には、中間端子と温度ヒューズが組込まれた端子カバーが示されており、図6は平面図、図7は正面図、図8は右側面図である。これら図面の電磁クラッチは、カーエアコン用コンプレッサのハウジングに固定されるヨーク組立体と、このヨーク組立体に被せられハウジングの支持部に回転自在に支持されるロータと、このロータの摩擦面とエアギャップをおいて対向する摩擦面が設けられたアーマチュアを備え、コンプレッサの回転軸に装着されるアーマチュア組立体とを有する。
【0011】
電磁クラッチのヨーク組立体は、軸線方向に開口する環状溝1aが形成された断面がコ字状で環状なヨーク1と、このヨーク1の環状溝1aに収容された励磁コイル2を備え、励磁コイル2の外側がコイルボビン3とコイルカバー4に包囲されている。コイルボビン3には、ヨーク1の環状溝1aと同方向に開口した環状な第1のコイル保持溝3aが形成され、コイルカバー4には、ヨーク1の環状溝1aに対して逆方向に開口した環状な第2のコイル保持溝4aが形成されている。なお、コイルボビン3の底部には、ヨーク1の貫通穴1bに圧入された収容部3bが一体に形成されており、この収容部3b内に引き出された励磁コイル2の巻始め端部と巻終わり端部が、端子ハウジング5にインサートされた電源側の一対の端子(図示されていない)と電気的に接続されている。また、コイルボビン3の開口部分とコイルカバー4の開口部分には、テーパー状の合わせ面が形成されており、ヨーク1の開口端面に複数のかしめ突起1cを形成することにより、コイルカバー4をコイルボビン3側に押圧して合わせ面を楔状に噛合わせている。
【0012】
図3から図5に示されているように、コイルカバー4の上壁部4bには、円周方向に間隔をおいて一対の貫通穴4cが穿設されており、また、この貫通穴4cを含む上壁部4bの外側面には、収容部6が一体に形成されている。そして、貫通穴4cから収容部6内に励磁コイル2の接続部2a・2bが引込まれている。なお、励磁コイル2の接続部2a・2bは、巻線機により励磁コイル2を巻回するときの巻き途中を引き出して切断することにより形成されたものである。ヨーク1の開口部分から突出するようにコイルカバー4に設けられた収容部6は、コイルカバー4の半径方向内側となる内側壁6aと半径方向外側となる外側壁6bと、これら側壁6a・6bの両端部を連結するとともに、側壁6a・6bより僅かに低く(軸線方向の突出量が小さく)形成された左右の側壁6cと、これら側壁6a・6b・6cにより囲まれているとともに貫通穴4cが開口している底部(上壁部4bの外側面)6dとを有する箱形に形成されている。
【0013】
収容部6の左右の側壁6cには、一対の貫通穴4cを通る直線上に励磁コイル2の接続部2a・2bが係入されるコイル係入溝6eが形成されている。また側壁6cには、後述する温度ヒューズ9のリード線9aが係入されるリード係入溝6fがコイル係入溝6eと平行に形成されている。そして、これらコイル係入溝6eとリード係入溝6fとに直角に交差するように、側壁6cには、後述する中間端子8が圧入される端子係入溝6gが形成されている。コイル係入溝6eは、側壁6cの内側の周壁から外側の周壁まで切欠いた溝に形成され、励磁コイル2の接続部2a・2bの先端部分が外側の周壁より突出しないように係入されている。また、コイル係入溝6eのうち、励磁コイル2の接続部2a・2bの先端部分と外側の周壁との間となる部分には、後述する端子カバー7の突出部7bが圧入されるようになっている。なお、リード係入溝6fは、側壁6cの外側の周壁までは切欠いてはいない溝に形成されている。また、底部6dのうち、一対のリード係入溝6fの間となる部位を、後述する温度ヒューズ9のケース9bが載置される載置部としている。
【0014】
このような形状からなる収容部6には、コイルボビン3やコイルカバー4と同じ合成樹脂で形成された端子カバー7が被せられている。また、収容部6と端子カバー7の合わせ面の全周が、接着剤またはその他の接合技術により固着されている。図6から図8に示されているように、矩形状の端子カバー7には、その長辺方向に間隔をおいて一対の中間端子8がインサートされて固定されている。中間端子8は、平板状の導電部材であり、励磁コイル2の接続部2a・2bが圧入されるコイル圧入溝8aと、後述する温度ヒューズ9のリード線9aが圧入されるリード圧入溝8bと、両端に切欠き部8cが形成され端子カバー7内に埋設された埋設部8dと、収容部6の端子係入溝6gに圧入された際にその係入溝6gの壁面に喰い込む一対の係止部8eが形成されている(図8参照)。
【0015】
また、端子カバー7の長辺方向の端部には、中間端子8と平行に設けられた一対の係合部7aが突出している。また、各係合部7aには、収容部6のコイル係入溝6eに圧入される突出部7bが形成されている。また更に、端子カバー7に固定された中間端子8のリード圧入溝8bに温度ヒューズ9のリード線9aが圧入され、中間端子8の間に温度ヒューズ9のケース9bが配設されている。
【0016】
このような構造からなるヨーク組立体は、以下に述べるように組み立てられる。まず、巻線機により励磁コイル2を巻回するとともに、一対の接続部2a・2b及び巻始め端部と巻終わり端部を引き出した後、巻始め端部と巻終わり端部を収容部3b側に引き出しながら、励磁コイル2の略半分をコイルボビン3のコイル保持溝3aに嵌合する。また、一対の接続部2a・2bを収容部6側に引き出しながら、コイルボビン3から突出した状態の励磁コイル2の略半分をコイルカバー4のコイル保持溝4aに嵌合する。そして、コイルボビン3とコイルカバー4のテーパー状の合わせ面を楔状に噛合わせる。次に、これら部材からなるコイル組立体を、貫通穴1bと収容部3bとを位置合わせしてから、ヨーク1の環状溝1aに嵌合する。嵌合した後は、プレス加工によりヨーク1の開口端面に複数のかしめ突起1cを形成することにより、コイル組立体を環状溝1a内に保持するとともに、コイルボビン3の合わせ面にコイルカバー4の合わせ面を喰い込ませて密閉した状態にする。なお、合わせ面は、予め接着剤またはその他の接合技術により完全に密閉されることもある。
【0017】
コイル組立体を保持した後は、所定の長さに切断された励磁コイル2の接続部2a・2bを、コイルカバー4の収容部6のコイル係入溝6eに係入するとともに、中間端子8と温度ヒューズ9が組み立てられた端子カバー7を収容部6に被せる。また、端子カバー7を被せる際に、中間端子8のコイル圧入溝8a内に励磁コイル2の接続部2a・2bを圧入しながら、中間端子8を収容部6の端子係入溝6gに圧入するとともに、温度ヒューズ9のリード線9aを収容部6のリード係入溝6fに係入して、温度ヒューズ9のケース9bを底部6d(載置部)に載置する。また更に、収容部6に端子カバー7を被せる際に、係合部7aを側壁6aと側壁6bとの間に圧入するとともに、係合部7aの突出部7bをコイル係入溝6eに圧入する。なお、収容部6と端子カバー7の合わせ面は、接着剤またはその他の接合技術により完全に密閉される。また、中間端子8の係止部8eは、端子係入溝6gの壁面に喰い込む。
【0018】
一方、コイルボビン3の収容部3bのコイル係入溝(図示されていない)に、励磁コイル2の巻始め端部と巻終わり端部を係入した後、端子ハウジング5にインサートされた一対の端子(図示されていない)を収容部3bの端子係入溝(図示されていない)に圧入することにより、端子と各端部とを電気的に接続する。また、端子ハウジング5は、ヨーク1の背面に溶着された取付け板10に形成されている一対の切り起こし片(図示されていない)により、ヨーク1に固定される。なお、このような励磁コイル2の端部と端子との電気的な接続方法や端子ハウジング5の固定方法については、特願平9−59812号明細書と図面に記載されている。以上のような手順で組み立てられたヨーク組立体は、コンプレッサのハウジング11に形成された複数の凹陥部11aに取付け板10に形成された複数の凸部10aを嵌合して、端子ハウジング5の突出方向を決定した後、取付け板10をハウジング11にねじ止めすることにより、コンプレッサに装着される。なお、符号10bは、ねじを挿通するために形成された取付け板10の貫通穴である。
【0019】
次に、コンプレッサのハウジング11に形成されている円筒状の支持部11bに回転自在に支持されたロータ12について説明する。ロータ12は、ヨーク1が挿入される環状溝12aが形成された断面がコ字状の環状部材であり、外側の円筒部12bと内側の円筒部12c、これら円筒部12b・12cの端部を連結した円板部12dが設けられている。また、外側の円筒部12bの外周面には、図示されていないベルトが掛けられるベルト溝12eが形成され、内側の円筒部12cには、支持部11bに嵌合されて抜け止めされた軸受13の外輪が圧入されている。なお、軸受13の外輪は、円筒部12cの内周面に形成された突き当て面12fと、円筒部12cの端面に形成された複数のかしめ突起12gとの間に固定されている。一方、円板部12dには、異なる円周上に断続して形成された円弧状の複数の断磁スリット12hが設けられている。また、ヨーク1と対向する側面とは反対側の円板部12dの側面は、後述するアーマチュア14の摩擦面14aとエアギャップSをおいて対向する摩擦面12iとして設けられている。
【0020】
次に、アーマチュア14を備えたアーマチュア組立体について説明する。アーマチュア組立体は、コンプレッサの回転軸15の軸端にスプライン嵌合されたハブ16と、このハブ16のフランジ部に複数のリベットで固定されたストッパプレート17と、このストッパプレート17の貫通穴17aと同心状の貫通穴18aが形成され、ストッパプレート17に溶着されたカップ状の複数のゴムカバー18と、これらゴムカバー18に個々に圧入された複数のダンパゴム19と、各ダンパゴム19の中心に挿入され固着された複数のトルク伝達ピン20と、貫通穴17a・18aを貫通した各トルク伝達ピン20の先端が連結されているとともに、ロータ12の摩擦面12iとエアギャップSをおいて対向する摩擦面14aと、同一円周上に断続して形成された円弧状の複数の断磁スリット14bとが設けられた円板状のアーマチュア14を備えている。
【0021】
このようなアーマチュア組立体は、ハブ16に固定された当て板21の貫通穴を通り軸端のねじ穴に螺合されるボルト22により、回転軸15に装着されている。また、ダンパゴム19の自己復帰力により、アーマチュア14の摩擦面14aとは反対側の側面がストッパプレート17に当接している。なお、ダンパゴム19の自己復帰力は、アーマチュア14をストッパプレート17に重ね合わせた状態でトルク伝達ピン20の先端をアーマチュア14に連結するときに、ダンパゴム19の中心寄りをアーマチュア14側に弾性変形することにより得られる。
【0022】
以上のような構造とした実施形態の電磁クラッチは、端子ハウジング5に電源側のコネクタを接続することにより、励磁コイル2への通電が可能になる。また、ロータ12のベルト溝12eにベルトが掛けられる。したがって、励磁コイル2に通電して磁束を発生させれば、回転するロータ12の摩擦面12iにアーマチュア14の摩擦面14aが磁気吸着されてコンプレッサの回転軸15が回転するので、コンプレッサが駆動される。また、励磁コイル2への通電を断って磁束を消滅させれば、ダンパゴム19の自己復帰力によりアーマチュア14がロータ12から離間されるので、コンプレッサは停止する。また更には、励磁コイル2への通電中にコンプレッサの回転軸15がロックすると、回転しているロータ12の摩擦面12iと固定状態になったアーマチュア14の摩擦面14aとのスリップ回転によるスリップ熱により、周辺温度が急激に上昇して温度ヒューズ9が溶解される。そして、励磁コイル2への通電が断たれて磁束が消滅するとともに、アーマチュア14がロータ12から離間する。
【0023】
次に、別の実施の形態について説明する。図9から図11には、コイルカバーに設けられた収容部のみが示されており、図9は平面図、図10は図9のC−C線断面図、図11は図9のD−D線断面図である。図12から図14には、中間端子と温度ヒューズが組込まれた端子カバーが示されており、図12は平面図、図13は正面図、図14は図12のE−E線断面図である。なお、電磁クラッチの全体の構造は、先に説明した電磁クラッチと同じであるので相違する構造のみを説明する。
【0024】
これら図面に示された別の実施の形態は、温度ヒューズ26のケース26aが端子カバー25で覆われることなく収容部23の外側に露呈される。即ち、コイルカバー24の収容部23は、平面視コ字状に隆起した部分と平面視矩形状に陥没した部分とからなり、陥没した部分がコイルカバー24の中心側に構成されている。また、隆起した部分は、コイルカバー24の中心点を通る横軸(図2において左右に延びる中心線)と平行に延びる直線上に形成された係入部23aと、この係入部23aの両端部分に個々に設けられているとともに、コイルカバー24の中心を通る縦軸(図2において上下に延びる中心線)と平行に延びる直線上に形成された一対の端子圧入部23bが設けられている。また更に、陥没した部分は、温度ヒューズ26のケース26aが載置される載置部23fとして設けられている。
【0025】
係入部23aには、一対の貫通穴24aと、これら貫通穴24aの中心を通る直線上で、各貫通穴24aから端子圧入部23bの端部まで延設された一対のコイル係入溝23cが形成されている。また、端子圧入部23bには、コイル係入溝23cと平行なリード係入溝23dと、このリード係入溝23dとコイル係入溝23cとに直角に交差する端子係入溝23eが形成されている。
【0026】
一方、このような収容部23に被せられる端子カバー25は、平面視コ字状の形状からなり、収容部23の係入部23aに被せられる棒状の連結部25aと、収容部23の端子圧入部23bに被せられる一対の端子固定部25bと、収容部23のコイル係入溝23cとリード係入溝23dの各溝端部と対向する凹部25cが形成され、端子固定部25bの連結部25aとは反対側の側面に設けられた側壁部25dとが形成されている。また、これら連結部25aと端子圧入部25bとで囲まれた空間を、温度ヒューズ26のケース26aが収容される収容空間部27としている。また更に、各端子固定部25bには、中間端子8がインサートされて固定されている。なお、中間端子8は、図8に示されている中間端子8と略同一の形状であり、端子固定部25bの間のうち、この中間端子8のコイル係入溝8bが対向する側が連結部25aとなり、また、中間端子8のリード係入溝8bが対向する側が収容空間部27となるように、中間端子8は端子固定部25bにインサートされて固定されている。
【0027】
このような構造からなる合成樹脂材製の端子カバー25は、コイルカバー24の収容部23に被せられ、合わせ面全体が接着剤またはその他の接合技術により完全に密閉される。これらの組立手順は、先に説明した電磁クラッチと同じであり、温度ヒューズ26のケース26aが収容部23の載置部23fに載置され収容部23の外側に露呈される点が相違する。また、このように温度ヒューズ26のケース26aを収容部23の外側に露呈した電磁クラッチは、先に説明した電磁クラッチと同様に、コンプレッサの駆動または停止用のスイッチとして使用される。また更に、コンプレッサの回転軸15がロックすると、スリップ熱による周辺温度の上昇により温度ヒューズ26が溶解され、コンプレッサへの動力の伝達は遮断される。
【0028】
以上、この発明の実施の形態を説明したが、この発明の電磁クラッチは、カーエアコン用コンプレッサ以外の従動側機器または駆動側機器に装着されることがある。また、中間端子として、平板状の導電部材を例示したが、コ字状に折り曲げられて対向する側板にコイル圧入溝とリード圧入溝が個々に形成された導電部材からなる中間端子であってもよい。この場合、収容部には、一対一組の端子係入溝が2組形成される。また更に、温度ヒューズは、ヨークの内側の円筒部側に配設されているが、ヨークの外側の円筒部側に配設してもよい。また、励磁コイルの接続部や温度ヒューズのリード線が、コイルカバーの円周方向または半径方向に係入されるように、収容部の係入溝を設けてもよい。
【0029】
【発明の効果】
この発明の電磁クラッチは、コイルカバーの収容部に、励磁コイルの接続部が個々に係入される一対のコイル係入溝と、温度ヒューズのリード線が個々に係入される一対のリード係入溝と、これらリード係入溝の間に形成され温度ヒューズのケースが載置される載置部と、コイル係入溝とリード係入溝とを交差するように形成され中間端子が個々に圧入される一対の端子係入溝とを設け、中間端子を端子係入溝に圧入しながら端子カバーを収容部に被せることにより、励磁コイルの接続部と温度ヒューズのリード線を中間端子により電気的に接続するようにしたので、従来のような圧着端子による励磁コイルの接続部と温度ヒューズのリード線との電気的な接続作業がなくなり、また、注型樹脂による温度ヒューズの埋設作業もなくなり、生産性が向上されて安価な電磁クラッチが提供される。
【0030】
また、この発明の電磁クラッチは、端子カバーに中間端子を予め固定するようにしたので、組立工数が削減され生産性を向上することができる。しかも、端子カバー側に温度ヒューズも予め組み込めるので、端子カバーをコイルカバーの収容部に被せるときには、中間端子のコイル圧入溝に励磁コイルの接続部を圧入するのみでよく、電気的な接続作業が簡単にできる。
【0031】
また更に、請求項2に記載された電磁クラッチにおいては、応答性向上のために、温度ヒューズのケースを収容部の外側に露呈するようにしたので、動力伝達の遮断に対する信頼性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態として示された電磁クラッチの断面図である。
【図2】図1のヨークの平面図である。
【図3】コイルカバーに設けられた収容部の平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3のB−B線断面図である。
【図6】中間端子と温度ヒューズが組込まれた端子カバーの平面図である。
【図7】図6の端子カバーの正面図である。
【図8】図6の端子カバーの右側面図である。
【図9】別の実施の形態であり、コイルカバーに設けられた収容部の平面図である。
【図10】図9のC−C線断面図である。
【図11】図9のD−D線断面図である。
【図12】別の実施の形態であり、中間端子と温度ヒューズが組込まれた端子カバーの平面図である。
【図13】図12の端子カバーの正面図である。
【図14】図12のE−E線断面図である。
【符号の説明】
1 …ヨーク
2 …電磁コイル
3 …コイルボビン
4 …コイルカバー
4c…貫通穴
6 …コイルカバーの収容部
6e…コイル係入溝
6f…リード係入溝
6g…端子係入溝
7 …端子カバー
8 …中間端子
8a…コイル圧入溝
8b…リード圧入溝
9 …温度ヒューズ
12 …ロータ
14 …アーマチュア
23 …コイルカバーの収容部
23c…コイル係入溝
23d…リード係入溝
23e…端子係入溝
25 …端子カバー
26 …温度ヒューズ
Claims (2)
- 環状に巻かれるとともに巻き途中に一対の接続部が設けられた励磁コイルと、この励磁コイルを保持する第1のコイル保持溝が設けられたコイルボビンと、このコイルボビンの開口部分から突出した前記励磁コイルを保持する第2のコイル保持溝と、この第2のコイル保持溝の上壁部に形成され前記接続部が引き出された一対の貫通穴と、この貫通穴の開口部分を含む前記上壁部の外側面に形成された収容部とが設けられたコイルカバーと、このコイルカバーの収容部に配設された温度ヒューズと、この温度ヒューズのリード線が圧入されるリード圧入溝と前記励磁コイルの接続部が圧入されるコイル圧入溝が形成された一対の中間端子と、この中間端子が間隔をおいて固定された端子カバーと、前記コイルカバーの収容部が外側に露呈するように前記コイルボビンと前記コイルカバー及び前記励磁コイルが環状溝内に収容されたヨークと、このヨークが挿入される環状溝が設けられ前記ヨークの開口部分と対向する側面とは反対側の側面を摩擦面としたロータと、このロータの摩擦面に磁気吸着される摩擦面が設けられたアーマチュアとを備え、前記コイルカバーの収容部に、前記励磁コイルの接続部が個々に係入される一対のコイル係入溝と、前記温度ヒューズのリード線が個々に係入される一対のリード係入溝と、これらリード係入溝の間に形成され前記温度ヒューズのケースが載置される載置部と、前記コイル係入溝と前記リード係入溝とを交差するように形成され前記中間端子が個々に圧入される一対の端子係入溝とを設け、前記中間端子を前記端子係入溝に圧入しながら前記端子カバーを前記収容部に被せることにより、前記励磁コイルの接続部と前記温度ヒューズのリード線を前記中間端子により電気的に接続するようにしたことを特徴とする電磁クラッチ。
- 請求項1に記載された電磁クラッチにおいて、前記端子カバーには、両端部分に形成され前記中間端子が個々に固定された端子固定部と、これら端子固定部の間のうち前記中間端子のコイル圧入溝が対向する側に形成された連結部と、前記端子固定部の間のうち前記中間端子のリード圧入溝が対向する側に形成された収容空間部が設けられ、前記温度ヒューズのケースは、前記端子カバーの収容空間部に収容されて前記収容部の外側に露呈されていることを特徴とする電磁クラッチ。
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