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JP3911494B2 - 射出成形方法および射出成形装置 - Google Patents

射出成形方法および射出成形装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、複数の樹脂供給口からキャビティへ射出する射出成形方法および射出成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に長尺状の樹脂製品は、射出成形機により製造され、射出成形機は、樹脂材料を溶かして射出する射出装置と、金型を高圧で締め付ける型締め装置、これらを自動的に動かす駆動機構とにより構成される。「型締め力」は、「金型の移動方向に垂直な面での成形品の投影面積」と、「金型内の平均樹脂圧力」との積で表わされ、この数値(トン数で表わす。)が大きくなるほど装置が大型化し、それにつれて設備費等もかさむことになる。例えば、長さが数十cm程度の長尺状の樹脂製品でさえ、300t程度の型締め力を必要とし、そのため装置が大型化するので、型締め力の低減化を図る方法が望まれている。
【0003】
従来から、型締め力の低減化を図るために、主として射出圧力を低くする(結果的に、金型内の平均樹脂圧力も低くなる)手法が取られてきた。このような低圧成形法として、半開状態の金型キャビティ内に溶融樹脂を射出して、固化する前に型締めする方法や、キャビティ内に溶融樹脂を所定量だけ射出しておき、これとは別の副室(樹脂溜り)に充填しておいた溶融樹脂をキャビティ内に押し込んで、固化する前に型締めする方法等が知られている。
【0004】
また成形品の投影面積と射出圧力との両面から型締め力の低減化を図る方法として、2つの射出装置を備え、溶融樹脂を射出するキャビティに2つのゲートを設け、2箇所から溶融樹脂を射出するという方法(特許文献1参照)が知られている。この方法は、まず第一ゲートから溶融樹脂をキャビティ内に射出し、次に第二ゲートから溶融樹脂をキャビティ内に射出する。第二ゲートから射出された溶融樹脂が充填完了側のキャビティ端に達するときまでに、第一ゲートから射出された溶融樹脂がほぼ冷却・固化した状態となるように、第一ゲートと第二ゲートとの射出時期に時間差を設ける。また第一ゲートから射出される樹脂の投影面積を第二ゲートから射出される樹脂の投影面積より大きくして、第一ゲートから射出された樹脂によって満たされなかったキャビティ部分を、第二ゲートから射出された樹脂によって満たす。そして第二ゲートからの射出樹脂の投影面積がキャビティ全体の約3分の1以下となるように第一及び第二ゲートからの射出樹脂に投影面積差を設けている。これにより最大型締め力を決定する第二ゲートからの射出時において、実質的な成型品の投影面積を小さくでき、射出圧力も低くできるので、成型品の投影面積と射出圧力との両面から型締め力の低減化を図ることができる。
【0005】
【特許文献1】
特許第3310271号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし2個の射出部を設ける方法では、型締め力の低減化に限界があり、さらに型締め力を低減するため、新たな方法が望まれている。本発明の課題は、成型品の投影面積と射出圧力との両面から型締め力の低減化を図り、設備費・製造コストの削減に寄与する射出成型方法および射出成形装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の作用・効果】
上記課題を解決するために、本発明の射出成形方法は、一端と他端とが上下方向に離間して位置している長手状のキャビティへ溶融樹脂を供給する上下方向に並んだ複数の樹脂供給口の並びに沿って移動する射出部が、下端の前記樹脂供給口から前記溶融樹脂を射出し、前記キャビティに設けられた射出された前記溶融樹脂の位置の検出センサが射出された前記溶融樹脂を検出時に射出を停止し、順次上方の前記樹脂供給口へ先端ノズルを移動して、前の前記樹脂供給口から射出された前記溶融樹脂が固化しきらないうちに次の前記樹脂供給口から前記溶融樹脂を射出することにより、全樹脂供給口への射出を行う。
【0008】
射出成形用金型に形成されたキャビティ内に溶融樹脂を射出する樹脂供給口を複数個設け、キャビティの長手方向の一端を充填開始側、他端を充填完了側とし、この充填開始側の樹脂供給口から溶融樹脂の充填を開始し、次に第二の樹脂供給口から充填をし、続いて第三、第四と順次樹脂供給口から充填することによりキャビティ全体を樹脂で充填する。
【0009】
長尺状のキャビティに溶融樹脂を射出するために設けられた樹脂供給口の並びに沿って射出部が移動することによって、各樹脂供給口から溶融樹脂を供給することができる。射出部が移動し射出するため、複数の射出部を設置する必要がなく、装置を小型化できる。また複数の樹脂供給口を設けることにより、最後の樹脂供給口から射出される射出樹脂が埋めるべき実質的な投影面積は、他の樹脂供給口から射出された樹脂が冷却・固化することにより大幅に減少し、かつ射出圧力も低くできるので、成形品の投影面積と射出圧力との両面から型締め力の低減化を図ることができる。
【0010】
本発明の射出成形方法は、上下方向に並んだ複数の樹脂供給口の下端の樹脂供給口から、上方の樹脂供給口へ射出部が移動し、キャビティに溶融樹脂を射出する。まず上下方向に設けられた複数の樹脂供給口の下端の樹脂供給口から樹脂を射出し、続いて一つ上の樹脂供給口へ射出部が移動し、ここから射出する。樹脂は、自重でキャビティの下端へ落ちるため、キャビティ下端から隙間なく充填することができる。
【0011】
また本発明は、キャビティの所定位置に備えられた溶融樹脂の充填量を検出する検出センサにより、射出部から一つの樹脂供給口への溶融樹脂の射出を終了し、射出部が他の樹脂供給口へ移動する射出成形方法である。検出センサによって、キャビティ内の樹脂の充填量を検出することができる。これにより、ある樹脂供給口からの射出を停止し、次の樹脂供給口へ移動することになる。
【0012】
さらに本発明は、射出部による一つの樹脂供給口からの溶融樹脂の射出が終了し、溶融樹脂が固化しきらないうちに、次の樹脂供給口から射出する射出成形方法である。キャビティに溶融樹脂を射出し、次の樹脂供給口から射出を開始するまでに、射出された樹脂は固化し始める。次の樹脂供給口から射出される樹脂は、高温であるため、これがキャビティ内に射出されると、キャビティ内の固化しかけた樹脂が少し溶融し、これらが混ざり合い、冷却固化することによって、これらを接合することができる。結果として、射出圧力、型締め力を低減することができる。
【0013】
本発明は、射出成形用金型に形成された長手状のキャビティと、そのキャビティに樹脂を射出するためのキャビティの長手方向に並ぶ複数の樹脂供給口と、樹脂供給口の並び方向に沿って移動可能に設けられた射出部と、その射出部を前記樹脂供給口に対応する位置に順次移動させる射出部駆動装置とを含む射出成形装置である。
【0014】
長手状のキャビティに複数の樹脂供給口を設けることにより、各樹脂供給口から樹脂を射出することができる。樹脂供給口の並び方向に沿って移動可能な射出部を射出部駆動装置で移動させることにより、順次各樹脂給口から射出できる。
【0015】
射出部と射出機構との移動により、複数の各樹脂供給口に押出射出スクリュが移動することができる。樹脂供給口には、射出部に設置された射出機構としての押出射出スクリュの先端のノズルが、射出機構駆動装置であるエアシリンダによって当接(ノズルタッチ)し、樹脂供給口からキャビティ内に溶融樹脂を射出する。こうして、キャビティに設置された複数の各樹脂供給口から溶融樹脂を射出することができる。
【0016】
充填開始側の第一樹脂供給口からの溶融樹脂の充填を終了した後、射出部駆動装置によって、射出部ごと第二樹脂供給口上へ移動し、第二樹脂供給口から溶融樹脂を充填し始める。射出部は、キャビティの長手方向、すなわち樹脂供給口の並び方向に沿って、移動し、全樹脂供給口上に移動することができる。以上の動作を全樹脂供給口において行うことにより、キャビティ内の全体を樹脂で充填することができる。最後の樹脂供給口に対しては所定の射出圧で射出し、成品形状を完成させる。
【0017】
本発明の一態様として、長手状のキャビティの一端と他端とが上下方向に離間して位置しており、射出部は、キャビティの一端側と他端側との間で移動する射出成形装置である。キャビティの長手方向をほぼ上下方向にして、下端の樹脂供給口から樹脂を射出するようにすれば、樹脂の自重によりキャビティの下端から充填することができる。これにより間隙なく、キャビティを樹脂で充填することができる。
【0018】
また本発明は、キャビティの所定の位置に溶融樹脂の充填量を検出する検出センサを備えた射出成形装置である。キャビティの所定の位置に検出センサを備えることにより、キャビティ内に射出した樹脂の充填量を検出することができる。この検出センサからの信号により、射出を停止し、次の樹脂供給口へ移ることができる。
【0019】
さらに溶融樹脂の流出を防ぐシャットオフ機能の付いたホットランナを含む射出成形装置である。樹脂供給口からの射出終了後、射出機構の押出スクリュが樹脂供給口から離れると、固化していない樹脂が、キャビティから流出する。ホットランナにシャットオフ機能を付けることにより、溶融樹脂の流出を防ぐことができる。
【0020】
本発明は、射出成形用金型に形成された長手状のキャビティと、そのキャビティに樹脂を射出するための前記キャビティの長手方向に並ぶ複数の樹脂供給口と、樹脂供給口の並び方向に沿って移動可能に設けられた射出部と、その射出部を前記樹脂供給口に対応する位置に順次移動させる射出部駆動装置とを含む射出成形装置であって、各樹脂供給口から射出する際に、キャビティ内にガスを送り込み、加圧しながら各樹脂供給口から溶融樹脂を射出し、最後の樹脂供給口から射出する直前にガスによる加圧を終了し、最後の樹脂供給口からの射出を行い、充填完了する射出成形装置である。
【0021】
キャビティ内にガスを送り込み、このガスで加圧することにより樹脂の空隙を埋め、溶融樹脂をキャビティ末端から間隙なく充填することができる。
【0022】
ガスによって加圧する射出成形装置の一態様として、長手状のキャビティは、その一端と他端とが水平方向において所定量隔たって位置しているものとすることができる。キャビティが、水平方向もしくはほぼ水平方向に長手状である場合、樹脂の自重によっては、キャビティ内に隙間なく樹脂が充填されにくいため、ガスによって加圧することにより、樹脂を隙間なくキャビティに充填することができる。
【0023】
本発明は、一端と他端とが上下方向に離間して位置している長手状のキャビティに、複数の樹脂供給口を設け、樹脂供給口と同数の固定された射出機構を樹脂供給口へ設置し、キャビティ長手方向の下端に位置する射出機構から溶融樹脂の射出を始め、順次上方の射出機構から溶融樹脂を射出し、最上部の射出機構から射出することにより、キャビティの充填を完了する射出成形方法である。
【0024】
それぞれ樹脂供給口に対し、射出部を設置することにより、前述のような一つの射出部が移動する場合に比べ、時間の削減をすることができる。下端の射出部から射出を始めることにより、キャビティ内の下端から樹脂が充填され、射出圧力や型締め力を低減することができる。
【0025】
複数の樹脂供給口を設け、樹脂供給口から複数回に分けて溶融樹脂を射出するという本発明の効果として、従来、数十cmの長尺上の製品では300tから350t相当の型締め力が必要であったものを、10t程度の型締め力まで低減することが可能である。さらに長い製品を製造する場合、従来の方法によれば、より大型の設備が必要であったが、本機においては、樹脂供給口をさらに増やすことにより、射出を分けて行い、条件によっては10t程度の型締め力で済むという利点がある。この成形方法により型締め力の低減化を図り、設備費・製造コストの低減も図ることができる。また射出圧力の低減化を図ることもできる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例である射出成形機1の正面図である。また図2は、この射出成形機1の側面図である。この射出成形機1は、自動車用樹脂部品等の成形品(例えば、自動車のフェンダー辺りの風の進入を防ぐプロテクタのような長尺状部品)を製造するものである。
【0027】
射出成形機1は、射出成形用金型に形成された長手状のキャビティ18と、キャビティの長手方向に並ぶ樹脂を射出するための複数の樹脂供給口13,14,15,16,17と、樹脂供給口の並び方向に設置された射出部が移動するための射出部移動ガイドとしての射出部移動バー5と、この射出部移動バーに沿って移動する射出部10とを含む。また射出成形機1は、金型を開閉したり高圧で締め付け固定したりする開閉機構30も備えている。
【0028】
射出部10は、キャビティ18内に溶融樹脂を射出する射出機構としての押出射出スクリュ11、押出射出スクリュ11を左右方向(キャビティ長手方向に対して垂直方向)に移動させる射出機構駆動装置であるエアシリンダ24、押出射出スクリュを回転させる押出射出モーター20を含む。
【0029】
射出部10は、昇降用モーター21によって、射出部10が一体として、上下方向に移動する。この移動はキャビティ18の長手方向に沿って行われ、キャビティ18に設けられた樹脂供給口13,14,15,16,17上に押出射出スクリュ11が移動する。また樹脂供給口13,14,15,16,17上に移動した押出射出スクリュ11は、エアシリンダ24により前後方向(キャビティ18長手方向に対し垂直方向)に移動し、この移動により押出射出スクリュ11の先端のノズル12は、キャビティ18に設けられた樹脂供給口13,14,15,16,17に当接(ノズルタッチ)することができる。
【0030】
長尺状のキャビティ18は、長手方向を上下方向とし、複数個の樹脂供給口13,14,15,16,17が設定されており、キャビティ18の下端の方を始端、上端を終端とし、始端側の樹脂供給口13から、終端側の樹脂供給口17まで順次溶融樹脂を射出することにより全キャビティ18内を溶融樹脂で満たし、成形品を作製する。キャビティ18の下端の第一樹脂供給口13から溶融樹脂の充填を始めることにより、溶融樹脂の自重のため、射出圧力をそれほどかけることなく、キャビティ18に隙間無く充填することができる。
【0031】
この射出成形機1に、ホッパ61から導入された被成形材料は、自重により加熱シリンダ22内に落下し、加熱シリンダ22で押出射出スクリュ11により混練されつつヒーターにより溶融される。押出射出スクリュ11の回転は、射出部10に設置された押出射出モーター20の回転がタイミングベルト54を通してプーリー53に伝えられることにより行われる。押出射出スクリュ11の回転により、押出射出スクリュ11の前端のノズル12に到達した溶融樹脂は、射出スクリュ11の先端のノズル12より、キャビティ18の樹脂供給口13,14,15,16,17から、キャビティ18内に射出される。なおタイミングベルト54、プーリー53は、押出射出スクリュ11や押出射出モーター20の外側に設ける構成となっている。
【0032】
第一樹脂供給口13へ射出部10が昇降用モーター21によって移動し、押出射出スクリュ11の先端がエアシリンダ24によって第一樹脂供給口13へ当接し、第一樹脂供給口13からキャビティ18内に溶融樹脂を射出する。キャビティ18の所定の位置には検出センサが設けられており、この検出センサにより、充填量を感知することができる。センサが樹脂を検知した時点で射出を停止、押出射出スクリュ11の先端ノズル12は、エアシリンダ24によって第一樹脂供給口13からキャビティ18の長手方向に垂直に離れる。このとき、シャットオフ機能付きホットランナ25によってキャビティ18内の固化する前の溶融樹脂が流出することはない。その後、射出部10全体が昇降用モーター21によってキャビティ18の長手方向に沿って移動し、第二樹脂供給口14上まで移動したところで停止し、押出射出スクリュ11の先端ノズル12がエアシリンダ24によって第二樹脂供給口14へ当接(ノズルタッチ)するまで、キャビティ18の長手方向に垂直に移動する。その後、第一樹脂供給口13で行った射出と同様に第二樹脂供給口14から、キャビティ18内に、溶融樹脂を射出する。この場合の射出量も検出センサで検出し、射出を終了する。以後同様に第三15、第四16、第五樹脂供給口17においても射出し、順次全樹脂供給口13,14,15,16,17から射出し、キャビティ18内全体を溶融樹脂で充填する。
【0033】
樹脂供給口から押出射出スクリュ11の先端ノズル12が離れた直後は、キャビティ18内の樹脂は固化する前だが、シャットオフ機能付きホットランナ25,26,27,28,29によって流出は防がれている。最終の樹脂供給口17から射出された溶融樹脂が充填完了側末端に達するときまでに、それ以前に充填された溶融樹脂はほぼ冷却・固化した状態となっている。そのため充填完了直前、最終樹脂供給口17から充填する実質的な投影面積は、それ以前に充填されキャビティ18内で既に冷却・固化した部分の投影面積だけ減少し、それに対応して射出圧力も低くてすむようになる。結果として型締め力を低減することができ、設備費、製造コストを削減することができる。
【0034】
開閉機構30には、射出成形機1の一端に設けられた可動プレート31が設けられている。可動プレート31にはその四角形の角隅に開閉側タイバー36が捜通されている。固定金型33と反対方向の開閉側タイバー36の端にはプーリー51が取り付けられ、型移動モーター35の回転をタイミングベルト52でプーリー51に伝えることにより可動プレート31を開閉側タイバー36軸方向に移動させる。
【0035】
可動プレート31には可動金型32が組み付けられている。可動金型32は、可動プレート31とともに移動し、その接近により可動金型32と固定金型33との型締めが、また離間により型開きが行われる構成となっている。またキャビティ18内で射出成形された成形品は、金型内を流通する冷却水によって冷却され固化した後、突き出し機構等によって突き出され、金型から取り出される。
【0036】
図3は射出部10が第二樹脂供給口14上に射出部移動バー5に沿って移動し、押出射出スクリュの先端ノズル12が第二樹脂供給口14に当接(ノズルタッチ)する様子を示している。このようにして第二樹脂供給口14へ先端ノズル12が当接した後、キャビティ18内へ溶融樹脂を射出する。他の樹脂供給口についても同様に射出部10が移動することにより行う。
【0037】
図4は、射出部の駆動について説明する模式図である。射出部駆動装置である昇降用モーター21、射出機構である加熱シリンダ22やホッパ61等を前後に移動するエアシリンダ24,押出射出スクリュ11を回転させる押出射出モーター20,押出射出スクリュ11を前後に動かし樹脂を射出するためのシリンダ23を備えた射出成形装置である。
【0038】
まず射出部10は、射出部駆動装置である昇降用モーター21により、一体として上下に移動する。次にエアシリンダ24により、射出機構である加熱シリンダ22やホッパ61等が一体として、前後に移動する。これにより例えば第一樹脂供給口13に先端ノズル12が当接する。ホッパ61に入れられた樹脂81は、加熱シリンダ22内に落下し、押出射出モーター20により回転した押出射出スクリュ11が、加熱シリンダ22内で溶けた樹脂81を先端ノズル12まで運ぶ。さらに先端に運ばれた樹脂81は、シリンダ23によって、樹脂供給口からキャビティ18へ射出される。なおシリンダ23は省略し、押出射出スクリュ11の回転によって、射出するようにしてもよい。これらの駆動によって、先端ノズル12が、各樹脂供給口13,14,15,16,17へ移動し、当接することができる。そして各樹脂供給口13,14,15,16,17からキャビティ18に樹脂81を射出することができる。
【0039】
図5は射出部が移動するリレー式成形により、長尺状の製品を分割して射出する様子を示す。(a)は、第一樹脂供給口13から射出する様子を示す。キャビティ18の最下端にある樹脂供給口13へ押出射出スクリュ11の先端ノズル12が当接し、キャビティ18へ樹脂を供給する様子である。キャビティ18に射出された溶融樹脂は、自重によりキャビティ18の下端から充填していく。供給した樹脂が第二樹脂供給口14から流出することのないように、キャビティ18の所定の位置に設けられた検出センサの検知によって、射出を停止し、押出射出スクリュ11は、第一樹脂供給口13から離れ、上昇し、第二樹脂供給口14へ当接し、射出を始める。(b)は続いて第二樹脂供給口14から射出する様子を示す。第一樹脂供給口13から射出された樹脂上を第二樹脂供給口14から射出された樹脂が充たしていくことになる。このときまでに第一樹脂供給口13から射出された樹脂は、固化している。固化した第一樹脂供給口13から射出された樹脂は、この高温の第二樹脂供給口14から射出された高温の樹脂により少し溶融し、混ざり合って接合する。以下第三樹脂供給口15、第四樹脂供給口16からも同様に樹脂を射出する。(c)は、第四樹脂供給口16からの樹脂の射出を示す。(d)に示すように、最上端の第五樹脂供給口17からキャビティ18内に射出し、充填を完了する。
【0040】
以上の方法により、従来数十cmの長尺状の樹脂製品では、300tから350t程度の型締め力を必要としていたが、本機では10t程度の型締め力により、長尺状の樹脂製品を製造することができる。なお、図1,3,4,5は、第一から第五まで樹脂供給口が設置してある例を示しているが、樹脂供給口の数は、この場合だけに限られない。従来長い物ほど大きな型締め力が必要であり、そのため装置が大型化していた欠点があったが、本機では特に長い製品を製造する場合でも、樹脂供給口の数を増やせば、前記と同様の10t程度の型締め力で製造することが可能である。また各段の射出圧力は、どこでも同じで600kg/cm位である。一般的には、1000〜1200ないし1500kg/cm位であるので射出圧力も低減化されている。製品の形状によっては、本機においてさらに射出圧力を低減することもできる。
【0041】
移動可能な射出部のガイドとして、バーの場合(射出部移動バー5)を示したが、バーの場合に限られず、他の形状であってもよい。またキャビティは、直線状である必要はなく、曲線等を含む形状であってもよい。その場合も、樹脂供給口を複数設け、射出部が各樹脂供給口に移動し射出する。さらに射出部は、キャビティに設けられた樹脂供給口に沿って移動するが、必ずしも上下方向に限られず、水平方向や斜め方向に移動する形態とすることもできる。
【0042】
第二の実施例として、キャビティ18長手方向を水平方向とした場合の射出成形機100を図6に示す。図6は、射出成形機100を上部から見た図である。射出部は、キャビティ18の長手方向に沿って、すなわち水平方向に移動する。この場合、キャビティ18の一端にある第一樹脂供給口13から射出を始めるとともに、キャビティ18内をガス71により加圧する。この加圧により、射出された溶融樹脂が、キャビティの一端へ押し込まれ、隙間無くキャビティ18内を溶融樹脂で充填することができる。第一樹脂供給口13からの射出を終了した後、引き続きガス71で加圧しながら、第二樹脂供給口14からの射出を開始する。第二樹脂供給口14から所定量の溶融樹脂を充填した後、引き続き第三樹脂供給口15から射出し、順次隣接の樹脂供給口から射出を行う。最終樹脂供給口16から射出を開始する前に、ガス71による加圧を終了し、最終樹脂供給口から射出を行い、キャビティ18内の充填を終了する。その他被成型材料の導入方法や、開閉機構30については第一実施例と同様である。
【0043】
ガスで加圧する形態は、キャビティの長手方向が水平方向である場合に限られない。キャビティの長手方向が上下方向である場合も、ガスによる加圧を行うことができる。ガスによる加圧により、キャビティ内に隙間を形成することなく、樹脂を充填することができる。
【0044】
また第三の実施例として、複数の樹脂供給口13,14,15,16をキャビティ18に設け、それと同数の固定された射出部223,323,423,523を設置した射出成形機200を図7に示す。射出部223,323,423,523には、それぞれ押出射出スクリュ211,311,411,511が設置されている。キャビティ18は長手方向を上下方向とし、最下端に設置された第一射出部223から、最下端の樹脂供給口13へ溶融樹脂を射出する。第一射出部223からの射出が終了した後、第一射出部223の上部に設置してある第二射出部323から射出する。その後、第二射出部323の上部の第三射出部423からの射出を開始する。その後、順次上部の射出部から射出を開始し、最上部に設置されている最終射出部523からの射出によりキャビティ18内の溶融樹脂の充填を終了する。
【0045】
下端の樹脂供給口から樹脂の射出を始めるため、溶融樹脂は、自重によりキャビティ下端から充填され、隙間なくキャビティを満たすことができる。この方法によれば、複数の射出部を設置する必要があるため、装置としては、大がかりのものとなるが、前述の実施例に比べて射出部の移動による時間的なロスが少ないため、製造コストを低減することができる。その他被成型材料の導入方法や、開閉機構については第一実施例と同様である。
【0046】
このように長手状のキャビティに複数の樹脂供給口を設けることにより、分割して射出することができる。これにより成型品の投影面積と射出圧力との両面から型締め力の低減化を図り、設備費・製造コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の射出成形装置の一実施例を示す正面図。
【図2】本発明の射出成形装置の一実施例を示す側面図。
【図3】図1の射出成形装置において第二樹脂供給口へのノズルタッチを示す説明図。
【図4】射出部の駆動の説明図。
【図5】リレー成形により分割射出工程を示す説明図。
【図6】射出部が水平に移動する実施例2を示す図。
【図7】固定射出部を複数個備えた実施例3を示す図。
【符号の説明】
1,100,200 射出成形機
10 射出部
11 押出射出スクリュ
13 第一樹脂供給口
14 第二樹脂供給口
15 第三樹脂供給口
16 第四樹脂供給口
17 第五樹脂供給口
20 押出射出モーター
21 昇降用モーター
31 可動プレート
32 可動金型

Claims (6)

  1. 一端と他端とが上下方向に離間して位置している長手状のキャビティへ溶融樹脂を供給する上下方向に並んだ複数の樹脂供給口の並びに沿って移動する射出部が、下端の前記樹脂供給口から前記溶融樹脂を射出し、前記キャビティに設けられた射出された前記溶融樹脂の位置の検出センサが射出された前記溶融樹脂を検出時に射出を停止し、順次上方の前記樹脂供給口へ先端ノズルを移動して、前の前記樹脂供給口から射出された前記溶融樹脂が固化しきらないうちに次の前記樹脂供給口から前記溶融樹脂を射出することにより、全樹脂供給口への射出を行う射出成形方法。
  2. 射出成形用金型に形成された長手状のキャビティと、
    そのキャビティに樹脂を射出するための前記キャビティの長手方向に並ぶ複数の樹脂供給口と、
    前記樹脂供給口の並び方向に沿って移動可能に設けられた射出部と、
    その射出部を前記樹脂給口に対応する位置に順次移動させる射出部駆動装置と
    を含む射出成形装置。
  3. 前記長手状のキャビティの一端と他端とが上下方向に離間して位置しており、前記射出部は、前記キャビティの一端側と他端側との間で移動する請求項2に記載の射出成形装置。
  4. 溶融樹脂の流出を防ぐシャットオフ機能の付いたホットランナを含む請求項2または3に記載の射出成形装置。
  5. 射出成形用金型に形成された長手状のキャビティと、
    そのキャビティに樹脂を射出するための前記キャビティの長手方向に並ぶ複数の樹脂供給口と、
    前記樹脂供給口の並び方向に沿って移動可能に設けられた射出部と、
    その射出部を前記樹脂給口に対応する位置に順次移動させる射出部駆動装置と
    を含む射出成形装置であって、
    各樹脂供給口から射出する際に、キャビティ内にガスを送り込み、加圧しながら各樹脂供給口から溶融樹脂を射出し、最後の樹脂供給口から射出する直前にガスによる加圧を終了し、最後の樹脂供給口からの射出を行い、充填完了する射出成形装置。
  6. 前記長手状のキャビティは、その一端と他端とが水平方向において所定量隔たって位置している請求項5に記載の射出成形装置。
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