JP3901855B2 - シールド端子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド電線の接合構造並びに接合方法及び該接合に用いるシールド端子に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のシールド電線の端末処理構造として、図10(a),(b)に示す特開平7−201383号公報に開示されたものがある。このシールド電線1は、導体からなる芯線部2と、この芯線部2を覆う絶縁内皮3と、この絶縁内皮3の周囲に設けられた編組線4と、この編組線4の周囲に設けられて該編組線4を覆う絶縁外皮5とから構成されている。
【0003】
そして、このシールド電線1の端末部分の絶縁外皮5の一部を除去して絶縁内皮3と編組線4とに分離し、絶縁内皮3の端末より露出した芯線部2及び編組線4の各端末に各端子金具6をそれぞれ加締めて接続するようになっている。この編組線4の端末側に端子金具6を加締めて接続する前に、該編組線4の端末部分を熱により収縮する熱収縮チューブ7を介して結束させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のシールド電線1の端末処理構造では、絶縁内皮3より編組線4を分離した後で該編組線4の端末に端子金具6を加締めているため、加締め時に編組線4を損傷させる虞があると共に、シールドされていない部分が発生した。また、編組線4の端末側を束ねるために熱収縮チューブ7等の結束部材が必要不可欠となり、加工作業性が悪かった。
【0005】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、編組線の露出部へのシールド端子の接合を該編組線を損傷させることなく容易かつ確実に行うことができるシールド端子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1発明は、導体からなる芯線部と、この芯線部を覆う絶縁内皮と、この絶縁内皮の周囲に設けられた編組線と、この編組線の周囲に設けられて該編組線を覆う絶縁外皮とからなるシールド電線の所定の接地位置に、超音波加振により溶融される低融点接合材を介して接合されるシールド端子において、前記低融点接合材が塗布されると共に前記編組線に加締められて接合される加締め部と、この加締め部に連設されて接地相手に接続される接続部とを備え、前記加締め部の内面にその外周に沿う環状突出部を設けたことを特徴とする。
【0011】
このシールド端子では、加締め部によりシールド電線の端末や中間位置等の各接地位置の接合処理が容易かつ確実に行われる。特に、シールド端子の加締め部の内面に塗布される低融点接合材の溶融時に、該溶融した低融点接合材の外部への流出が環状突出部により確実に防止される。これにより、シールド端子の加締め部とシールド電線の編組線との電気的・強度的な接続信頼性が大幅に向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1(a)は本発明の実施形態のシールド電線の接合構造を示す斜視図、図1(b)は同図1(a)中X−X線に沿う断面図、図1(c)は同接合構造に用いられるシールド端子の斜視図、図2(a)は同接合構造に用いられるシールド電線の斜視図、図2(b)は同シールド電線と同シールド端子の接合前の状態を示す斜視図、図2(c)は同接合後の状態を示す斜視図である。
【0018】
図1(a),(b)及び図2(a),(b),(c)に示すように、上記接合構造に用いられるシールド電線10は、導体からなる芯線部11と、この芯線部11を覆う絶縁内皮12と、この絶縁内皮12の周囲に設けられ、径の細い複数の素線でクロス状に編まれた編組線13と、この編組線13の周囲に設けられて該編組線13を覆う絶縁外皮14とから構成されている。このシールド電線10の端末(接地位置)A側の絶縁外皮14の一部は除去されていて、芯線部11の一部が露出している。この露出した芯線部11の端末Aには端子金具15の一対の加締め部15a,15aを加締めてある。また、端子金具15の雄タブ部(接続部)15bはコネクタ16のフード部16a内に装着突出されて図示しない相手側の雌端子等に電気的に接続されるようになっている。
【0019】
さらに、シールド電線10の端末Aの絶縁外皮14と絶縁内皮12との間の編組線13の一部も露出している。この編組線13の露出部にはシールド端子20を接合自在にしてある。図1(c)に示すように、シールド端子20は、低融点接合材23が塗布されると共に編組線13の露出部に加締められて金属接合される正面略U字状で一対の加締め部21,21と、この一対の加締め部21,21間の底部中央の一側端に一体形成されて図示しない接地相手に接続される平面L字状の雄タブ部(接続部)22とを備えている。この一対の加締め部21,21は相対向する位置に向き合うように折り曲げられていて、その各内面21aに超音波加振により溶融される半田等の低融点接合材23をそれぞれ塗布してある。
【0020】
そして、このシールド端子20をシールド電線10に接続する接合方法について説明すると、まず、図2(a)に示すように、シールド電線10の端末(接地位置)Aの絶縁外皮14の一部を除去して編組線13の端末側の一部を露出させる。次に、図2(b)に示すように、この編組線13の露出部にシールド端子20の一対の加締め部21,21を挿入してセットし、超音波ホーン30の下側の円弧面30aとアンビル31の上側の円弧面31aとの間に挟み、加圧しながら超音波加振する。この超音波ホーン30とアンビル31によってシールド端子20の一対の加締め部21,21を加締めながら超音波加振すると、その超音波エネルギーによって内部発熱を起こし、この内部発熱により一対の加締め部21,21に塗布された低融点接合材23が溶融する。この溶融した低融点接合材23によってシールド端子20の加締められた一対の加締め部21,21と編組線13の露出部とが超音波溶着により接合される。このとき、溶融した低融点接合材23が編組線13の編目内に浸入するため、編組線13とシールド端子20の加締められた一対の加締め部21,21とは大きな接合力で接合される。次に、このシールド電線10の露出した芯線部11の端末Aには予め加締め固定された端子金具15と編組線13の端末A側に接合されたシールド端子20をコネクタ16のフード部16a内に装着する。
【0021】
このように、超音波ホーン30の超音波加振によりシールド端子20の一対の加締め部21,21だけに内部発熱を発生させているので、シールド電線20の端末A部分の編組線13の熱による損傷を最小限に抑えることができる。また、低融点接合材23を用いて溶融した該低融点接合材23が編組線13の編目内に浸入するので、シールド端子20の加締められた一対の加締め部21,21と編組線13の露出部とを容易に溶着接合することができ、その信頼性をより一段と向上させることができる。さらに、従来のように、絶縁内皮12等から編組線13を分離する必要がないため、シールド性能を向上させることができる。
【0022】
また、シールド端子20の一対の加締め部21,21を編組線13の露出部にセットした後で、シールド端子20の一対の加締め部21,21を加締めながら該一対の加締め部21,21と編組線13とを溶着接合するようにしたので、処理工程の簡素化を図ることができ、加工作業性を向上させることができる。
【0023】
図3(a)は上記シールド電線10の中間位置(接地位置)Bの編組線13を露出した状態を示す斜視図、図3(b)は同中間位置Bの編組線13の露出部に上記シールド端子20を接合した状態を示す斜視図である。
【0024】
図3(a),(b)に示すように、シールド電線10の中間位置Bの絶縁外皮14の一部を除去して編組線13の一部を露出させ、この編組線13の露出部にシールド端子20の一対の加締め部21,21を加締めながら溶着接合させる。これにより、シールド端子20の一対の加締め部21,21を介してシールド電線10の端末Aや中間位置B等のあらゆる接地位置にシールド端子20を容易かつ確実に接合することができる。
【0025】
図4は他の態様のシールド端子20′の斜視図、図5は同シールド端子20′の要部の部分拡大断面図、図6は同シールド端子20′を用いたシールド電線の接合構造の要部の断面図である。
【0026】
図4〜図6に示すように、シールド端子20′の相対向する一対の加締め部21′,21′の各内面21aにその外周に沿う環状突出部21bを一体突出形成してある。この各加締め部21′の内面21aの外周に突設した環状突出部21bにより、各加締め部21′を編組線13の露出部に加締めながら溶着接合する際の各加締め部21′の内面21aに塗布された低融点接合材23の溶融時に、該溶融した低融点接合材23の外部への流出を確実に防止することができる。これにより、シールド端子20の一対の加締め部21′,21′とシールド電線10の編組線13との電気的・強度的な接続信頼性を大幅に向上させることができる。
【0027】
図7(a)は本発明の別の実施形態のシールド電線の接合構造を示す斜視図、図7(b)は同図7(a)中Y−Y線に沿う断面図、図7(c)は同接合構造に用いられる別の態様のシールド端子20″の斜視図、図8(a)は同接合構造に用いられるシールド電線10の斜視図、図8(b)は同シールド電線10とシールド端子20″の接合前の状態を示す斜視図、図8(c)は同接合後の状態を示す斜視図である。
【0028】
図7(c)及び図8(b)に示すように、シールド端子20″の一対の加締め部21″,21″が互い違い(齟齬状)に相対向する正面略U字状に形成してある。そして、図8(a)〜図8(c)に示すように、シールド端子20″をシールド電線10に前記実施形態と同様の接合方法により接続する。即ち、超音波ホーン30とアンビル31によってシールド端子20″の齟齬状で一対の加締め部21″,21″を加締めながら超音波加振すると、内部発熱により一対の加締め部21″,21″の内面21aに塗布された低融点接合材23が溶融する。この溶融した低融点接合材23によってシールド端子20″の加締められた一対の加締め部21″,21″と編組線13の露出部とが超音波溶着により接合される。このように、一対の加締め部21″,21″を互い違いに相対向するように折り曲げ形成したものを用いることにより、図7(a),(b)及び図8(c)に示すように、シールド端子20″の一対の加締め部21″,21″の各先端間に隙間が発生することなく、該一対の加締め部21″,21″間内にシールド電線10の端末(接地位置)Aの編組線13を完全に収めることができ、径の細い編組線13の損傷及び断線を確実に防止することができる。その結果、シールド電線10とシールド端子20″の接続の信頼性(電気的な信頼性)の向上をより一段と図ることができる。
【0029】
図9(a)は上記と別の実施形態のシールド電線10の中間位置(接地位置)Bの編組線13を露出した状態を示す斜視図、図9(b)は同中間位置Bの編組線13の露出部にシールド端子20″を接合した状態を示す斜視図である。
【0030】
図9(a),(b)に示すように、シールド電線10の中間位置(接地位置)Bの絶縁外皮14の一部を除去して編組線13の一部を露出させ、この編組線13の露出部にシールド端子20″の一対の加締め部21″,21″を加締めながら溶着接合させる。これにより、シールド端子20″の一対の加締め部21″,21″を介してシールド電線10の端末Aや中間位置B等のあらゆる接地位置にシールド端子20″を容易かつ確実に接合することができる。
【0031】
尚、前記各実施形態によれば、シールド電線の端末或いは中間位置にシールド端子を超音波溶着により接合する場合について説明したが、シールド電線の端末と中間位置の両方にシールド端子をそれぞれ接合しても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、シールド端子の加締め部によりシールド電線の端末や中間位置等のあらゆる接地位置にシールド端子を容易かつ確実に接合することができる。特に、シールド端子の加締め部の内面にその外周に沿う環状突出部を設けたことにより、シールド端子の加締め部の内面に塗布される低融点接合材の溶融時に、該溶融した低融点接合材の外部への流出を加締め部の環状突出部により確実に防止することができる。これにより、シールド端子の加締め部とシールド電線の編組線との電気的・強度的な接続信頼性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施形態のシールド電線の接合構造を示す斜視図、(b)は同(a)中X−X線に沿う断面図、(c)は同接合構造に用いられるシールド端子の斜視図である。
【図2】(a)は上記接合構造に用いられるシールド電線の斜視図、(b)は同シールド電線とシールド端子の接合前の状態を示す斜視図、(c)は同接合後の状態を示す斜視図である。
【図3】(a)は上記シールド電線の中間位置の編組線を露出した状態を示す斜視図、(b)は同中間位置の編組線の露出部に上記シールド端子を接合した状態を示す斜視図である。
【図4】他の態様のシールド端子の斜視図である。
【図5】上記他の態様のシールド端子の要部の部分拡大断面図である。
【図6】上記他の態様のシールド端子を用いたシールド電線の接合構造の要部の断面図である。
【図7】(a)は本発明の別の実施形態のシールド電線の接合構造を示す斜視図、(b)は同(a)中Y−Y線に沿う断面図、(c)は同接合構造に用いられる別の態様のシールド端子の斜視図である。
【図8】(a)は上記と別の実施形態のシールド電線の接合構造に用いられるシールド電線の斜視図、(b)は同シールド電線と別の態様のシールド端子の接合前の状態を示す斜視図、(c)は同接合後の状態を示す斜視図である。
【図9】(a)は上記と別の実施形態のシールド電線の中間位置の編組線を露出した状態を示す斜視図、(b)は同中間位置の編組線の露出部に上記別の態様のシールド端子を接合した状態を示す斜視図である。
【図10】(a)は従来例のシールド電線の端末処理構造の編組線を分離した状態を示す斜視図、(b)は同分離した編組線を熱収縮チューブで結束して端子金具を加締める前の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 シールド電線
11 芯線部
12 絶縁内皮
13 編組線
14 絶縁外皮
20,20′,20″ シールド端子
21,21′,21″ 加締め部
21a 内面
21b 環状突出部
22 雄タブ部(接続部)
23 低融点接合材
30 超音波ホーン
A 端末(接地位置)
B 中間位置(接地位置)
Claims (1)
- 導体からなる芯線部と、この芯線部を覆う絶縁内皮と、この絶縁内皮の周囲に設けられた編組線と、この編組線の周囲に設けられて該編組線を覆う絶縁外皮とからなるシールド電線の所定の接地位置に、超音波加振により溶融される低融点接合材を介して接合されるシールド端子において、
前記低融点接合材が塗布されると共に前記編組線に加締められて接合される加締め部と、この加締め部に連設されて接地相手に接続される接続部とを備え、前記加締め部の内面にその外周に沿う環状突出部を設けたことを特徴とするシールド端子。
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