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JP3900006B2 - 車両のピラー構造 - Google Patents

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JP3900006B2
JP3900006B2 JP2002144463A JP2002144463A JP3900006B2 JP 3900006 B2 JP3900006 B2 JP 3900006B2 JP 2002144463 A JP2002144463 A JP 2002144463A JP 2002144463 A JP2002144463 A JP 2002144463A JP 3900006 B2 JP3900006 B2 JP 3900006B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車体側部のルーフサイドレールとサイドシルを結合するための車両のピラー構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両のセンターピラー構造としては、例えば図8に示したようなものが知られている(特開2001−151151号公報参照)。
【0003】
このセンターピラー構造では、車室内側へ開口する開口部1aを設けた第1部分1と、車室外側に開口する開口部2a及び開口部2a内に配設したリブ2bを設けた第部分2と、第1部分1と第2部分2とを連結する切替えし部3を備えている。
【0004】
この第1の部分1の開口部1aは、シートベルトアンカブラケット等の機能部品を配設可能とする為に設けられている。また、第2の部分2の開口部2a及びリブ2bは、側面衝突荷重が作用した際に、所望の変形モードで変形させやすくする為に設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様なセンターピラー構造を備える車両では、第2の部分2の開口部2a内にリブ2bを設けているので、リトラクタ等の従来センターピラーの下部内に配設される部品を配設できないものであった。しかも、この車両では、リトラクタをセンターピラー内ではなくその側方等に配設する必要があるため、車両レイアウト上、乗員スペースが少なくなるものであった。
【0006】
更に、従来のように、リトラクタ等をセンターピラー内部に配設する様にするため、センターピラーに穴をあけることも考えられる。この場合、センターピラーの穴を開けた部分の断面計数が極端に低下するため、側面衝突等大荷重が加わったときの強度を確保するために、板厚を厚くする等の補強が必要になる。しかし、この様に板厚を厚くすると、重量が増大するという問題があった。
【0007】
そこで、この発明は、機能部品を収納するスペースを確保できると共に、このスペースを設けても補強の必要がなく且つ重量増大がない車両のピラー構造を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1の発明の車両のピラー構造は、上下に延びる板状のピラーインナと、前記ピラーインナに沿って上下に延び且つ前記ピラーインナの外側に配設されたレインフォースと、前記レインフォースの外側に配設されたアウターピラーを備えている。しかも、前記ピラーインナ及びレインフォースの前縁部同士及び後縁部同士が互いに接合されている。また、前記レインフォースは上下方向及び車幅方向に延びる前壁,後壁及びこれらを連設している側壁を有し、前記アウターピラーは前記レインフォースの前壁,後壁及び側壁に沿う前壁,後壁及び側壁を有する。更に、前記ピラーインナと前記レインフォースの側壁の前後方向の中間部には上下方向に延び且つ互いに接近する方向に膨出する第1,第2の膨出突部を形成することにより、前記第1,第2の膨出突部内に車室側及び車室外側に開口する第1,第2の縦溝がそれぞれ形成されている。しかも、前記第1,第2の膨出突部の先端の互いに対向する第1,第2の端壁部同士を接合することにより、前記ピラーインナと前記レインフォースの前側と後側に上下に延びる第1の空間と第2の空間がそれぞれ形成されている。
【0009】
【発明の効果】
この構成によれば、ピラーインナの第1の端壁部とレインフォースの第2の端壁部との接合部が第1,第2の空間の車幅方向中間部に配置されているので、側面衝突荷重がレインフォースに入力されて、レインフォース及びピラーインナに曲げ変形が生じても、第1,第2の端壁部同士の接合部がレインフォースとピラーインナによる構造部の曲げ中心に近づくことになる。
【0010】
これにより、ピラーインナとレインフォースの板厚を厚くしたり、ピラーインナやレインフォースの補強をしたりする等の追加をしなくても、ピラーインナの第1の端壁部とレインフォースの第2の端壁部との接合部の変形量を減少させることが可能となる。このため、接合部の剥離を防止して、レインフォースに入力される荷重を端壁部の接合部を介してピラーインナに効率よく伝達できる。
【0011】
また、車室側に開口する第1の縦溝の下部側の前後方向の幅を大きくすることで、この第1の縦溝の下部内にシートベルトのリトラクタ等の機能部品を配設することができる。
【0012】
更に、車室側に開口する第1の縦溝の上部側の前後方向の幅を大きくすることで、この第1の縦溝の上部内にシートベルトアンカ等の機能部品を配設することができる。
【0013】
この様に第1の縦溝内にリトラクタやシートベルトアンカ等の機能部品を収納させることで、リトラクタやシートベルトアンカ等の機能部品を配置するスペースを別途確保する必要がなくなるので、車両レイアウト上、車室内の乗員スペースを確保できる。
【0014】
また、リトラクタやシートベルトアンカ等の機能部品を第1,第2の端壁部に取り付けることで、シートベルトからリトラクタやシートベルトアンカに入力される力をレインフォースに伝達できるので、リトラクタやシートベルトアンカ等の取付部の板厚を強度補強のために厚くしたり、この部分の補強をしたりする必要がない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1において、10は自動車の車体、11は車体10のルーフサイドレール、12は車体10のサイドシルである。このルーフサイドレール11の前後方向中央部にはセンターピラー13の上端部が溶接固定され、サイドシル12の前後方向中央部間にはセンタピラー13の下端部が溶接固定されている。14は車体10の車室である。
【0016】
このセンターピラー13は、図2に示したように上下に延びる板状のピラーインナ15と、ピラーインナ15に沿って上下に延び且つピラーインナ15の外側に配設されたレインフォース16と、レインフォース16の外側に配設されたアウターピラー17を備えている。このピラーインナ15,レインフォース16及びアウターピラー17は、それぞれ前後方向の幅(寸法)が下方に向かうに従って徐々に大きくなるように形成されている。
【0017】
上述のピラーインナ15の前後方向の中央部には、レインフォース16側に膨出し且つ上下端部近傍まで延びる第1の膨出突部18がピラーインナ側膨出突部として形成されている。この第1の膨出突部18の下部には、図2に示したように前後に分岐する分岐膨出突部(第1の膨出突部18の一部)18a,18bが設けられている。尚、図2,図4,図5において18cは第1の膨出突部18の先端の第1の端壁部、図2,図6において18c1,18c2は分岐膨出突部18a,18bの先端の分岐端壁部(第1の段壁部18cの一部)である。
【0018】
この第1の膨出突部18内には、図3〜図6に示したように、上下に延び且つ車室14側に開口する第1の縦溝(第1の凹部)19が形成されている。
【0019】
そして、この分岐膨出突部18a,18b間には、図2に示したように貫通孔20が形成されている(図6参照)。しかも、ピラーインナ15の前縁部及び後縁部には、図4〜図6に示したようにフランジ15a,15bが設けられている。
【0020】
ここで、センターピラー13のうち上下方向の略中央部より僅かに下部の位置から上端までの範囲を上側部分21、センターピラー13の上側ピラー部18より下方の範囲を下側部分22として、次にレインフォース16の構造を説明する。
【0021】
このレインフォース16は、上下方向及び車幅方向に延びる前壁23及び後壁24と、前壁23の上側部分21の範囲に設けられたフランジ23aと、後壁24の上側部分21の範囲に設けられたフランジ24aを有する。このフランジ23a,24aは、ピラーインナ15のフランジ15aの前縁部及びフランジ15bの後縁部にそれぞれ溶接により一体に接合(固定)されている。しかも、下側部分22の範囲では、前壁23及び後壁24のレインフォース16側縁部が図6に示したようにレインフォース16に溶接固定されていない。即ち、前壁23及び後壁24のレインフォース16側縁部とレインフォース16との間には間隙S1,S2がそれぞれ形成されている。これによりレインフォース16の前縁部である前壁23の下部及び後縁部である後壁24の下部が、ピラーインナ15の前縁部であるフランジ15aの下部及び後縁部であるフランジ15bの下部に対して自由端部となって対向している。
【0022】
また、レインフォース16は、前壁23及び後壁24のフランジ23a,24aとは反対側の縁部を連設している側壁25と、側壁25の前後方向中央部(中間部)に設けられ且つピラーインナ15側に膨出する第2の膨出突部26がレインフォース側膨出突部として形成されている。この様にすることで、第1の膨出突部18と第2の膨出突部26は互いに接近する方向に膨出させられている。しかも、第2の膨出突部26は、レインフォース16の上下端部近傍まで延設されていると共に、前後方向の幅(寸法)が下方に向かうに従って徐々に大きくなるように形成されている。
【0023】
この第2の膨出突部26内には、図2〜図6に示した様に上下に延び且つ車室外側に開口する第2の縦溝(第2の凹部)27が形成されている。また、この膨出突部26の先端には端壁部26aが形成されている。この端壁部26aは、膨出突部18の端壁部18c,18c1,18c2と対向していると共に、スポット溶接等により端壁部18c,18c1,18c2に一体に接合(固定)されている。
【0024】
この様にピラーインナ15とレインフォース16を接合することにより、ピラーインナ15の前側とレインフォース16の前側との間に上下に延びる第1の空間28が形成され、ピラーインナ15の後側とレインフォース16の後側との間に上下に延びる第2の空間29がそれぞれ形成されている。
【0025】
しかも、端壁部26aと端壁部18c,18c1,18c2との接合部Aは、第1,第2の空間28,29の車幅方向の中央部に対応して配置されている。即ち、端壁部26aと端壁部18c,18c1,18c2は、第1,第2の空間28,29の車幅方向の中心(後述の曲げ中心BC)に対応する位置で溶接接合されている。更に、接合部Aは車両前後方向の中央に位置し、第1,第2の空間28,29は接合部Aの前後方向の中心CPを中心として略対称に設けられている。
【0026】
また、レインフォース16の下部には図2及び図6に示したように貫通孔30が形成されている。この貫通孔30は、ピラーインナ15の貫通孔20に対応して設けられている。
【0027】
アウターピラー17は、前壁23に沿って延びる前壁31と、後壁24に沿って延びる後壁32と、側壁25に沿って延び且つ前壁31及び後壁32を連設している側壁33と、フランジ15a,23aに沿って延び且つ前壁32に設けられたフランジ31aと、フランジ15b,24aに沿って延び且つ前壁33に設けられたフランジ32aを有する。このフランジ31aはフランジ15a,23aに溶接により接合(固定)され、フランジ32aはフランジ15b,24aに溶接により接合(固定)されている。この様にしてアウターピラー17はレインフォース16をカバーしている。
【0028】
更に、ピラーインナ15の第1の縦溝19上下方向の中間部(図では略中央部)内にシートベルトの機能部品(シートベルトのスライド支持機能)であるシートベルトアンカ34が配設されている。このシートベルトアンカ34は、端壁部18c,26aに図示しないボルトで固定されている。また、シートベルトの機能部品(シートベルトの巻取、繰り出し、急速引き出し時のロック等の機能)であるリトラクタ35を図6の如く貫通孔20,30に挿通されている。このリトラクタ35は、端壁部18c1,18c2及び26aに図示しないボルトで固定されている。
[作用]
次に、この様な構成のセンターピラー構造の作用を説明する。
(1)機能部品の取付
この様な構成においては、図5に示したようにピラーインナ15の第1の縦溝19上下方向の中間部(図では略中央部)内にシートベルトの機能部品(シートベルトのスライド支持機能)であるシートベルトアンカ34を配設して、このシートベルトアンカ34を端壁部18c,26aに図示しないボルトで固定する。このシートベルトアンカ34も第1の縦溝19内に配設されている。
【0029】
また、シートベルトの機能部品であるリトラクタ35を図6の如く貫通孔20,30に挿通して、このリトラクタ35を端壁部18c1,18c2及び26aに図示しないボルトで固定する。このリトラクタ35は、第1,第2の縦溝19,27内に跨って収まる様になっている。
【0030】
この様に機能部品であるシートベルトアンカ34やリトラクタ35の取付のためのスペースを車室14内に確保する必要がないので、車両レイアウト上、広い乗員スペースを確保できる。
【0031】
また、リトラクタ35を端壁部18c1,18c2及び26aに図示しないボルトで固定することで、シートベルトから作用する荷重がリトラクタ35を介してセンターピラー13のレインフォース16に作用することになる。このため、ピラーインナ15の板厚等を厚くしたり、ピラーインナ15の補強をしたりすることなく、リトラクタ35に入力される荷重をピラーインナ15及びレインフォース16で受けることができる。このため、リトラクタ35からの荷重を受けるために、センターピラー13の重量を増加したりするのを抑制できる。
(2)センターピラー17の衝撃力吸収作用
上述したように、ピラーインナ15とレインフォース16は、車両前後方向および車幅方向の、それぞれの中央部近傍に接合部である端壁部18c(18c1,18c2)と26aを対向させて設けて接合させる構造とした。
【0032】
このことで、図3(b)に示すように、車両側面より荷重36が入力されると、センターピラー13は曲げ変形を起こす際、図4に示したように車室外側14aでは圧縮変形による圧縮応力を受け、また、車室内側14bでは引張り応力を受けることになる。この際、第1,第2の空間28,29の車幅方向の中央、即ち端壁部18c(18c1,18c2)と26aの接合部Aが、曲げ中心Bcとなる。
【0033】
そのため、曲げ中心Bcに近いほど曲げ変形の影響を受け難いため、ピラーインナ15とレインフォース16との接合部(端壁部18c,18c1,18c2と端壁部26aとの接合部A)を本実施例のように曲げ中心Bcに設けることで、或いはピラーインナ15とレインフォース16との接合部Aを曲げ中心Bcの近傍に設けることで、接合部Aの変形量を小さくできる。
【0034】
この結果、接合部Aの変形を防止するために、ピラーインナ15やレインフォース16の板厚を厚くしたり、ピラーインナ15やレインフォース16の更なる補強の追加をしたりする必要がない。このため、センターピラー13の重量増加を抑制できる。また、衝撃荷重がレインフォース16に入力されて、レインフォース16が曲げ変形を受けたときでも、曲げ変形による接合部Aの剥離を防止して、効率よく衝撃荷重によるエネルギーをピラーインナ15に伝達して、ピラーインナ15を曲げ変形させ、衝撃荷重によるエネルギーを吸収できる。
【0035】
更に、第1,第2の膨出突部18,26をピラーインナ15,レインフォース16の上下端部付近まで延設したので、センターピラー13全体で上記エネルギー吸収が可能となる。
【0036】
また、レインフォース16の前壁23及び後壁24のピラーインナ15側縁部の下側部分22の範囲はピラーインナ15に接合せずに自由端部としているので、側面衝突時に衝撃荷重(衝突荷重)がアウターピラー17を介してレインフォース16の下部に入力されたときに、この自由端部である前壁23及び後壁24のピラーインナ15側縁部が下側部分22の範囲において車両前後方向に変形を起こして、入力される衝撃荷重(衝撃エネルギー)を吸収し、センターピラー13全体の変形量を少なくする。
【0037】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、上下に延びる板状のピラーインナ15と、ピラーインナ15に沿って上下に延び且つピラーインナ15の外側に配設されたレインフォース16を備えている。しかも、ピラーインナ15及びレインフォース16の前縁部同士及び後縁部同士が互いに接合されている。また、ピラーインナ15とレインフォース16の前後方向の中間部には上下方向に延び且つ互いに接近する方向に膨出する第1,第2の膨出突部18,26を形成することにより、第1,第2の膨出突部18,26内に車室側及び車室外側に開口する第1,第2の縦溝19,27がそれぞれ形成されている。しかも、前記第1,第2の膨出突部18,26の先端の互いに対向する第1,第2の端壁部18c,26a同士が接合されている。これにより、ピラーインナ15とレインフォース16の前側と後側に上下に延びる第1の空間28と第2の空間29がそれぞれ形成されている。
【0038】
この構成によれば、ピラーインナ15の第1の端壁部18c(18c1,18c2)とレインフォース16の第2の端壁部26aとの接合部Aが第1,第2の空間28,29の車幅方向中間部に配置されているので、側面衝突荷重がレインフォース16に入力されて、レインフォース16及びピラーインナ15に曲げ変形が生じても、第1,第2の端壁部18c(18c1,18c2),26a同士の接合部Aがレインフォース16とピラーインナ15による構造部の曲げ中心に近づくことになる。
【0039】
これにより、ピラーインナ15とレインフォース16の板厚を厚くしたり、ピラーインナ15やレインフォース16の補強をしたりする等の追加をしなくても、ピラーインナ15の第1の端壁部18c(18c1,18c2)とレインフォース16の第2の端壁部26aとの接合部Aの変形量を減少させることが可能となる。このため、接合部Aの剥離を防止して、レインフォース16に入力される荷重を端壁部の接合部を介してピラーインナ15に効率よく伝達できる。
【0040】
また、車室側に開口する第1の縦溝19の下部側の前後方向の幅を大きくすることで、この第1の縦溝19の下部内にシートベルトのリトラクタ35等の機能部品を配設することができる。
【0041】
更に、車室側に開口する第1の縦溝19の上部側の前後方向の幅を大きくすることで、この第1の縦溝19の上部内にシートベルトアンカ34等の機能部品を配設することができる。
【0042】
この様に第1の縦溝19内にリトラクタ35やシートベルトアンカ34等の機能部品を収納させることで、リトラクタ35やシートベルトアンカ34等の機能部品を配置するスペースを別途確保する必要がなくなるので、車両レイアウト上、車室内の乗員スペースを確保できる。
【0043】
また、リトラクタ35やシートベルトアンカ34等の機能部品を第1,第2の端壁部18c(18c1,18c2),26aに取り付けることで、シートベルトからリトラクタ35やシートベルトアンカ34に入力される力をレインフォースに伝達できるので、リトラクタ35やシートベルトアンカ34等の取付部の板厚を強度補強のために厚くしたり、この部分の補強をしたりする必要がない。
【0044】
また、この発明の実施の形態によれば、第1,第2の端壁部18c(18c1,18c2),26aの上下方向の中央部より下方の部分に部品配設用の穴部(貫通孔20,30)が形成されていると共に、レインフォース16の前縁部の上部及び後縁部の上部がピラーインナ15の前縁部の上部及び後縁部の上部にそれぞれ接合され、且つレインフォース16の前縁部の下部及び後縁部の下部がピラーインナ15の前縁部の下部及び後縁部の下部に対して自由端部となって対向している。
【0045】
この構成によれば、リトラクタ35等の機能部品が車幅方向に大きい場合でも、この機能部品を穴部(貫通孔20,30)を利用して断面の第1の縦溝19、27に跨って配設できるので、車両レイアウト上、乗員スペースを更に広く確保可能となる。
【0046】
しかも、レインフォース16の前縁部の下部及び後縁部の下部がピラーインナ15の前縁部の下部及び後縁部の下部に対して自由端部となって対向しているので、側面衝突等の大荷重がレインフォース16の下部に入力されたときに、この自由端部が車両幅方向に変形してレインフォース16が断面変形を起こすことにより、衝突荷重のエネルギーを吸収するため、センターピラー13全体の変形量を低減することができる。
【0047】
さらに、この発明の実施の形態によれば、第1,第2の端壁部18c(18c1,18c2),26aの接合部Aは第1,第2の空間28,29の車幅方向の略中央部に対応して配置されている。
【0048】
この構成によれば、側面衝突等の大荷重が加わり、センターピラー13が曲げ変形するとき、レインフォース16とピラーインナ15の接合部、即ち第1,第2の端壁部18c(18c1,18c2),26aの接合部Aが曲げ中心に近づくため、接合部Aの第1,第2の端壁部18c(18c1,18c2),26a同士が剥離し難くなる。この結果、接合部Aの剥離による力の伝達の低下を抑制する効果、即ちレインフォース16に入力された衝撃荷重(衝突荷重)をピラーインナ15に確実に伝達することができる効果がある。しかも、これによりセンターピラー13の全体の変形を抑える効果がある。
(変形例)
図7は、この発明の変形例を示したものである。この図7では、ピラーインナ15とレインフォース16がアルミ合金等の軽合金の鋳造により形成されている。尚、側壁25は、膨出突部26を設けることにより、前側壁25aと後側壁25bに分けられている。
【0049】
しかも、第1,第2の空間28,29の車幅方向端壁を構成しているピラーインナ15のフランジ(壁部)15a,15bは、側壁25a,25bに対向する部分(範囲)15a1,15b1の板厚が厚く形成されている。また、レインフォース16は、フランジ15a,15bの部分15a1,15b1に対向する壁部25a,25bの板厚が厚く形成されている。これらにより、センターピラー13が側面衝突等の大荷重を受けたときに、センターピラー13の断面係数を大きくして、センターピラー13の剛性を高くすることができる。
【0050】
尚、本変形例では、ピラーインナ15及びレインフォース16の両方をアルミ合金等の軽合金の鋳造により形成したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、ピラーインナ15とレインフォース16の少なくとも一方をアルミ合金等の軽合金の鋳造により形成するようにしても良い。例えば、ピラーインナ15をアルミ合金等の軽合金の鋳造により形成した場合には、ピラーインナ15の壁部15c,15dの板厚を厚く形成して、センターピラー13の断面係数を大きくし、センターピラー13の剛性を高くすることができる。
【0051】
また、レインフォース16をアルミ合金等の軽合金の鋳造により形成した場合には、レインフォース16の壁部25a,25bのの板厚を厚く形成して、センターピラー13の断面係数を大きくし、センターピラー13の剛性を高くすることができる。
【0052】
この様に少なくとも、圧縮応力を受ける車室外側14aと引張り応力を受ける車室内側14bのうち、曲げ中心Bcより内側の壁部15c,15dに肉厚を厚くして、センターピラー13の断面係数を大きくすることにより、センターピラー13の剛性を高くした場合には、衝撃吸収初期にはレインフォース16を先に変形させてある程度衝撃を吸収し、残りの衝撃荷重を剛性をある程度高くしたピラーインナ15により吸収するようにできるので、センターピラー13の変形量を少なくして、センターピラー13に充分な衝撃吸収機能を持たせることができる。
【0053】
以上説明したように、この発明の実施の形態によれば、ピラーインナ15とレインフォース16の少なくとも一方を軽合金で形成したので、即ち、センターピラー13のうち曲げ中心Bcより離れた壁部15c,15d又は壁部25a,25bの板厚を厚くすることで、剛性確保と重量増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる自動車のセンターピラーを有する車体の部分概略斜視図である。
【図2】図1のセンターピラーの分解斜視図である。
【図3】(a)は図1のSA−SA線に沿う断面図、(b)は(a)の作用説明図である。
【図4】図1のSC−SC線に沿う断面図である。
【図5】図1のSF−SF線に沿う断面図である。
【図6】図1のSD−SD線に沿う断面図である。
【図7】図1のSF−SF線に沿う断面の変形例を示す説明図である。
【図8】従来のセンターピラーの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
13・・・センターピラー
14・・・車室
15・・・ピラーインナ
15c,15d・・・壁部
16・・・レインフォース
17・・・アウターピラー
18・・・第1の膨出突部
18c,18c1,18c2・・・第1の端壁部
19・・・第1の縦溝
20,30・・・貫通孔(穴部)
25a,25b・・・壁部
26・・・第2の膨出突部
26a・・・第2の端壁部
27・・・第2の縦溝
28・・・第1の空間
29・・・第2の空間
A・・・接合部

Claims (1)

  1. 上下に延びる板状のピラーインナと、
    前記ピラーインナに沿って上下に延び且つ前記ピラーインナの外側に配設されたレインフォースと、
    前記レインフォースの外側に配設されたアウターピラーを備えると共に、
    前記ピラーインナ及びレインフォースの前縁部同士及び後縁部同士が互いに接合された車両のピラー構造において、
    前記レインフォースは上下方向及び車幅方向に延びる前壁,後壁及びこれらを連設している側壁を有し、
    前記アウターピラーは前記レインフォースの前壁,後壁及び側壁に沿う前壁,後壁及び側壁を有し、
    前記ピラーインナと前記レインフォースの側壁の前後方向の中間部には上下方向に延び且つ互いに接近する方向に膨出する第1,第2の膨出突部を形成することにより、前記第1,第2の膨出突部内に車室側及び車室外側に開口する第1,第2の縦溝がそれぞれ形成されていると共に、前記第1,第2の膨出突部の先端の互いに対向する第1,第2の端壁部同士を接合することにより、前記ピラーインナと前記レインフォースの前側と後側に上下に延びる第1の空間と第2の空間がそれぞれ形成されていることを特徴とする車両のピラー構造。
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