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JP3994270B2 - 反射防止膜の形成方法 - Google Patents

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JP3994270B2 JP2002184519A JP2002184519A JP3994270B2 JP 3994270 B2 JP3994270 B2 JP 3994270B2 JP 2002184519 A JP2002184519 A JP 2002184519A JP 2002184519 A JP2002184519 A JP 2002184519A JP 3994270 B2 JP3994270 B2 JP 3994270B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下地基板からの反射による悪影響の低減に有効な、半導体装置の製造において使用される有機反射防止膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの高集積度化の進展に伴い、リソグラフィープロセスにおいて使用される活性光線もKrFエキシマレーザー(248nm)からArFエキシマレーザー(193nm)へと短波長化される傾向にある。これに伴い活性光線の基板からの乱反射や定在波の影響が大きな問題であった。そこでフォトレジストと基板の間に反射防止膜(Bottom Anti−Reflective Coating:BARC)を設ける方法が広く検討されるようになってきた。
【0003】
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機反射防止膜と、吸光性物質と高分子化合物等とからなる有機反射防止膜が知られている。そして、製造設備などの点で有利であるというようなことから、有機反射防止膜に関して数多くの検討がなされている。
【0004】
有機反射防止膜は、例えば、特開2001−217184号に記載されているように、次のような工程を経て形成されている。すなわち、有機反射防止膜組成物を半導体基板上に回転塗布し塗布膜を形成し、次いで、半導体基板の外周に膨出した塗布膜の不要な部分を除去するために、有機溶剤を用いて基板エッジ部分の洗浄(エッジリンス)が行なわれる。続いて、当該塗布膜のベーキングが行なわれて有機反射防止膜が形成される。そして、有機反射防止膜上にフォトレジスト膜が形成され、露光、現像といった工程を経て基板上にパターンが形成される。
【0005】
ところで、上記エッジリンスの際、洗浄用の有機溶剤によって塗布膜が収縮するため、塗布膜の周辺に縁だまりを生成し、この縁だまりを原因として半導体基板上に不要な残渣を生じるということが知られていた。すなわち、エッジリンスの有機溶剤により基板エッジ部分の不要な塗布膜部分は溶解除去されるが、その内側の塗布膜の一部が表面張力のために収縮して塗布膜の縁部に盛り上がりが生じ、縁だまりが発生する。塗布後の有機反射防止膜組成物は溶剤が蒸発して流動性が低くなっていることから、この縁だまりは解消されずにそのまま残ってしまう。縁だまりを有した状態で塗布膜のベーキングを行なうと、その縁だまりが有機反射防止膜にも反映され、縁だまりを有した有機反射防止膜を生ずることとなる。ここで生じた有機反射防止膜の縁だまりは、その高さが基板中心部における有機反射防止膜の膜厚の10倍以上にもなることがある。そして、この有機反射防止膜の縁だまりを原因として、半導体基板上に、エッチング工程によっても除去されない不要な残渣を生ずるということが問題となっていた。 このような問題を解消するために、縁だまりを除去する方法に関する検討が行なわれている。例えば特開2001−196291号、特開2001−217184号にそのような検討について記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の二つの公報は、反射防止膜組成物の性質を改善することによって縁だまりを回避しようとするのではなく、特定の工程を組み合わせて縁だまりを除去する方法を開示しているにとどまる。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、その課題とするところは、半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて使用される有機反射防止膜の形成方法を提供することである。特に、エッチング工程によっても除去されない不要な残渣を生ずる原因となる、有機反射防止膜の周辺部に生ずる縁だまりの低減された有機反射防止膜の形成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1観点として、基板上に、含フッ素界面活性剤成分として含フッ素(メタ)アクリレートポリマー及びオリゴマーを含有する反射防止膜組成物を塗布し塗布膜を形成し、基板エッジ部の前記塗布膜を溶剤により除去し、ベーキングにより反射防止膜を形成することを特徴とする有機反射防止膜の形成方法、
観点として、前記含フッ素界面活性剤成分の含有量が反射防止膜組成物の全固形分質量に基づき0.0001〜1.5質量%であることを特徴とする第1観点に記載の有機反射防止膜の形成方法、
観点として、前記反射防止膜組成物が(メタ)アクリル樹脂及び架橋剤成分を含むものである第1観点又は第2観点に記載の有機反射防止膜の形成方法、
観点として、前記反射防止膜組成物がノボラック樹脂及び架橋剤成分を含むものである第1観点又は第2観点に記載の有機反射防止膜の形成方法、である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、有機反射防止膜の周辺部に生ずる縁だまりの低減された有機反射防止膜の形成方法を提供するものである。本発明の方法は、含フッ素界面活性剤成分を含有する反射防止膜組成物を半導体基板上に塗布し塗布膜を形成し、基板エッジ部の前記塗布膜を溶剤により除去し、その後、当該塗布膜を有する基板をベーキングすることにより有機反射防止膜を形成する工程より成る。
【0009】
本発明において、反射防止膜組成物に添加される含フッ素界面活性剤成分としては、界面活性作用を有する含フッ素化合物、オリゴマー、ポリマーを使用することができる。含フッ素オリゴマー及びポリマーとしては、側鎖にフッ素原子を有するモノマー単位と側鎖に水酸基、カルボキシル基などの親水性部位を有するモノマー単位によって構成されるポリマー及びオリゴマーを挙げることもできる。側鎖にフッ素原子を有するモノマー単位としては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2−フルオロエチルアクリレート、2−フルオロエチルメタクリレート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)イタコネート、ペンタフルオロエチルメタクリレート、ペンタフルオロエチルアクリレート、ヘプタフルオロプロピルアクリレート、ヘプタフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート等の付加重合性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。側鎖に親水性部位を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸類、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのエステル部分に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルなどの水酸基を有するビニルエーテル類、ビニルアルコール類、ビニルフェノール類等の付加重合性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。この中で、側鎖にフッ素原子を有するモノマー単位と側鎖に水酸基を有するモノマー単位の付加重合によって得られる含フッ素(メタ)アクリレートポリマー及びオリゴマーが好ましい。これらの例として、三菱マテリアル(株)製エフトップEF−121、EF−122A、EF−122B、EF−122C、EF−123A3、EF−301、EF−303、EF−305、EF−351、EF−352、EF−801、EF−802、セイミケミカル(株)製サーフロンS−381、S−383、S−393、SC−101、SC−105、KH−40、SA−100、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−171、F−173、F−174、F−177、F−178A、F178K、F−179、F−183、F−184、R−30等の市販の含フッ素界面活性剤を挙げることができる。
【0010】
これらの含フッ素界面活性剤成分は1種類を用いることもできるが、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。含フッ素界面活性剤成分の含有量としては反射防止膜組成物の全固形分質量に基づき0.0001〜1.5質量%であり、0.0005〜1.0質量%であることが好ましい。
【0011】
本発明に用いられる反射防止膜組成物としては特に制限はなく、これまでリソグラフィープロセスにおいて慣用されているものの中から任意に選択して使用することができる。反射防止膜組成物としては、例えば、吸光性化合物、樹脂及び溶剤を主成分とするもの、化学結合により連結した吸光性基を有する樹脂、架橋剤及び溶剤を主成分とするもの、吸光性化合物、架橋剤及び溶剤を主成分とするもの、吸光性を有する高分子架橋剤及び溶剤を主成分とするもの、等が挙げられる。これらの反射防止膜組成物はまた、必要に応じて、酸成分、酸発生剤成分、レオロジー調整剤等を含むことができる。
【0012】
吸光性化合物としては、反射防止膜の上に設けられるフォトレジスト中の感光成分の感光特性波長領域における光に対して高い吸収能を有するものであれば用いることができる。そのような化合物としては、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アゾ化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、アントラキノン化合物、トリアジン化合物等が挙げられる。
樹脂としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、ノボラック樹脂、ポリアセタール樹脂、(メタ)アクリル樹脂等を挙げることができる。
化学結合により連結した吸光性基を有する樹脂としては、アントラセン環、ナフタレン環、ベンゼン環、キノリン環、キノキサリン環、チアゾール環といった吸光性芳香環構造を有する樹脂を挙げることができる。アントラセン環、ナフタレン環、ベンゼン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂、ノボラック樹脂が好ましく、例えば、以下に示す単位構造を有する樹脂を挙げることができる。
【化1】
Figure 0003994270
【0013】
架橋剤としては、アミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基あるいはその両方で置換されたメラミン、ベンゾグアナミン、尿素、グリコールウリル等を挙げることができる。例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリルといった化合物を挙げることができる。
吸光性を有する高分子架橋剤としては、例えば、米国特許第6323310号に記載されている、メラミン化合物(商品名Cymel303)とベンゾグアナミン化合物(商品名Cymel1123)から製造される高分子架橋剤を挙げることができる。
【0014】
溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2ーヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で、または2種以上の組合せで使用される。
【0015】
酸成分、酸発生剤成分としては、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウムなどの酸性化合物、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシラート、2−ニトロベンジルトシラート等の熱酸発生剤、及びビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩化合物、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン含有化合物、ベンゾイントシレート、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸系化合物等の光酸発生剤が挙げられる。
【0016】
レオロジー調整剤成分としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。
【0017】
次に、本発明の有機反射防止膜の形成方法について説明する。まず、スピナーなどによりシリコンウエハなどの半導体製造に用いられる基板上に反射防止膜組成物を回転塗布し塗布膜を形成する。次いで、基板の外周に膨出した塗布膜の部分を除去するために、有機溶剤を用いて基板エッジ部分の洗浄(エッジリンス)を行なう。その後、当該塗布膜を有する基板をホットプレート上でベーキングすることにより有機反射防止膜を形成することができる。
【0018】
スピナーを用いた反射防止膜組成物の塗布膜は次のような工程により形成される。まず、基板上に反射防止膜組成物を滴下する。ここで、反射防止膜組成物の滴下量は用いる基板の大きさ、要求される反射防止膜の膜厚等に依存するものであるが、0.5〜20mlであることが好ましい。また、滴下に要する時間は、基板の大きさ、反射防止膜組成物の滴下量等に依存するものであるが、0.5〜20秒であることが好ましい。
【0019】
反射防止膜組成物の滴下において、静止した状態の基板に滴下することもできるが、回転数100〜1000rpmで回転している基板上に滴下することも可能である。次いで当該基板を20〜120秒間、回転数100〜4000rpmで回転させ反射防止膜組成物を基板上に引き延ばすことにより塗布膜が形成される。この引き延ばしの工程において、基板を一定の回転数で一定時間回転させることができ、また、例えば、回転数100〜1000rpmといった比較的低い回転数で一定時間回転させた後1000〜4000rpmといった高い回転数で一定時間回転させる、といった異なった回転数を組み合わせることも可能である。
【0020】
次に有機溶剤を用いて基板エッジ部分の洗浄(エッジリンス)を行なう。基板エッジ部分の洗浄は、塗布膜を有する基板を回転数500〜1500rpmで回転させながら洗浄用の有機溶剤(エッジリンス液、バックリンス液)を吐出して基板の外周に膨出した塗布膜の不要な部分を除去し、次いで500〜3000rpmの回転数で洗浄用の有機溶剤を振り切ることによって行なわれる。洗浄用有機溶剤の使用量、吐出時間及び溶剤の振り切りに要する時間は、使用される基板の大きさ、反射防止膜組成物の種類、洗浄用有機溶剤の種類に依存するものであるが、各々、0.5〜20ml、1〜20秒間、1〜20秒間であることが好ましい。また、洗浄時及び溶剤振り切り時の基板の回転数は、一定の回転数である場合もあるが、異なった回転数を組み合わせて用いることも可能である。
【0021】
基板エッジ部分の洗浄(エッジリンス)に用いられる有機溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、アセトン、酢酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の慣用されている有機溶剤及びそれらの組み合わせた溶剤、また、特開平11−218933号にレジスト洗浄除去用溶剤として記載されている有機溶剤を用いることができる。
【0022】
当該塗布膜を有する基板のベーキングは80〜250℃の温度で0.5〜60分間行なわれる。
ベーキング工程は80〜250℃の一定温度にて0.5〜60分間行うことができる。また、例えば、80〜150℃の低温で0.1〜30分間ベーキングし、その後に150〜250℃の高温で0.1〜30分間行う、といったように異なった温度でのベーキングを組み合わせて行なうことも可能である。
【0023】
本発明の方法で形成した有機反射防止膜は半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて使用されるものである。有機反射防止膜の上層にフォトレジスト層が形成され、その後、周知の方法により基板の加工が行なわれるものである。有機反射防止膜の上層に形成されるフォトレジストとしては特に限定はなく、ネガ型、ポジ型いずれも使用でき、ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、アルカリ可溶性バインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジストなどが使用可能である。
【0024】
以上説明したように、本発明の方法において使用される反射防止膜組成物には含フッ素界面活性剤成分が含まれており、その含有量、種類は、反射防止膜形成組成物に含まれる樹脂成分、架橋剤成分等、他成分の種類の変化に応じて適宜選択することができるものである。そのような選択により、反射防止膜組成物塗布により形成される塗布膜の表面エネルギーを調節することができる為、表面エネルギーが調整された塗布膜においては、エッジリンスによる塗布膜縁部の収縮が抑えられる。
【0025】
図1に、基板上に反射防止膜組成物を塗布し塗布膜を形成し、基板エッジ部の前記塗布膜を溶剤によりエッジリンスし、その後のベーキングにより反射防止膜を形成した基板エッジ部分の断面図を示すが、(A)は従来の有機反射防止膜を使用した場合の断面図を示し、(B)は本発明における有機反射防止膜を使用した場合の断面図を示すものである。図1(A)と対比して、図1(B)に示されるように、本発明の方法によって、縁だまりの低減された有機反射防止膜が形成され得る。なお、図中、1は基板、2は有機反射防止膜、3は縁だまり、4は縁だまりの反射防止膜表面からの高さを表す。
【0026】
以下、本発明を実施例、比較例により更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0027】
【実施例】
合成例1
エポキシクレゾールノボラック樹脂(旭チバ(株)製、商品名ECN1299)10.3g、9−アントラセンカルボン酸9.71g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.26g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル80gを混合した。十分に脱気した後、加熱還流下24時間反応を行い、高分子化合物の溶液を得た。
【0028】
合成例2
グリシジルメタクリレート17.9g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート42.1gをプロピレングリコールモノメチルエーテル231.9gに溶解させ、十分脱気した後に60℃に昇温した。アゾビスイソブチロニトリル0.60g、プロピレングリコールモノメチルエーテル10gの混合溶液を滴下し、60℃で24時間反応させて高分子化合物の溶液を得た。得られた高分子化合物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量Mw48000であった。
【0029】
合成例3
合成例2で得た高分子化合物の溶液150g、9−アントラセンカルボン酸13.47g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.36gをプロピレングリコールモノメチルエーテル55.33gに溶解した。十分に脱気した後、加熱還流下24時間反応を行い、高分子化合物の溶液を得た。
【0030】
合成例4
ベンジルメタクリレート2.02g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート1.96g、下式(1)の化合物1.96gをプロピレングリコールモノメチルエーテル20gに溶解させ、十分脱気した後に60℃に昇温した。アゾビスイソブチロニトリル0.060g、プロピレングリコールモノメチルエーテル4.0gの混合溶液を滴下し、60℃で24時間反応させて高分子化合物の溶液を得た。得られた高分子化合物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量Mw52000であった。
【化2】
Figure 0003994270
【0031】
合成例5
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート8.29g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.60gをプロピレングリコールモノメチルエーテル30gに溶解させ、十分脱気した後に60℃に昇温した。アゾビスイソブチロニトリル0.090g、プロピレングリコールモノメチルエーテル4.0gの混合溶液を滴下し、60℃で24時間反応させて高分子化合物の溶液を得た。得られた溶液を水/エタノール混合溶液(1/1重量比)に投入し、高分子化合物を析出させ、これを真空下乾燥して高分子化合物の粉体を得た。得られた高分子化合物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量Mw7400であった。
【0032】
合成例6
グリシジルメタクリレート5.90g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート3.99gをプロピレングリコールモノメチルエーテル30.0gに溶解させ、十分脱気した後に60℃に昇温した。アゾビスイソブチロニトリル0.099g、プロピレングリコールモノメチルエーテル10gの混合溶液を滴下し、60℃で24時間反応させて高分子化合物の溶液を得た。得られた高分子化合物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量Mw33000であった。
【0033】
合成例7
合成例6で得た高分子化合物の溶液30.0g、9−アントラセンカルボン酸5.12g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.144gをプロピレングリコールモノメチルエーテル21.08gに溶解した。十分に脱気した後、加熱還流下24時間反応を行い、高分子化合物の溶液を得た。
【0034】
実施例1
合成例1で得た高分子化合物の溶液10.0gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.263gとp−トルエンスルホン酸ピリジニウム0.035g、界面活性剤メガファックR30(大日本インキ化学工業株式会社製)0.0018gを混合し、溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテル7.10g、エチルラクテート23.83g、シクロヘキサノン4.33gを加えて溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜溶液を調製した。
【0035】
実施例2
合成例3で得た高分子化合物の溶液10.0gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.263gとp−トルエンスルホン酸ピリジニウム0.035g、0.0018gの界面活性剤メガファックR30(大日本インキ化学工業株式会社製)を混合し、溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテル22.28g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12.98gを加えて溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜溶液を調製した。
【0036】
実施例3
合成例4で得た高分子化合物の溶液10.0gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.50gとp−トルエンスルホン酸ピリジニウム0.031g、界面活性剤メガファックR30(大日本インキ化学工業株式会社製)0.0025gを混合し、溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテル12.5g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.28gを加えて溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜溶液を調製した。
【0037】
実施例4
合成例7で得た高分子化合物の溶液15.0gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.726gとp−トルエンスルホン酸ピリジニウム0.0726g、界面活性剤メガファックR30(大日本インキ化学工業株式会社製)0.0030gを混合し、溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテル80.32g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート39.56gを加えて溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜溶液を調製した。
【0038】
実施例5
合成例7で得た高分子化合物の溶液15.0gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.726gとp−トルエンスルホン酸ピリジニウム0.0726g、界面活性剤成分として合成例5で得た高分子化合物0.023gを混合し、溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテル80.32g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート39.56gを加えて溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜溶液を調製した。
【0039】
比較例1
合成例1で得た高分子化合物の溶液10.0gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.263gとp−トルエンスルホン酸ピリジニウム0.035gを混合し、溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテル7.10g、エチルラクテート23.83g、シクロヘキサノン4.33gを加えて溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜溶液を調製した。
【0040】
比較例2
合成例3で得た高分子化合物の溶液10.0gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.263gとp―トルエンスルホン酸ピリジニウム0.035g、溶媒のプロピレングリコールモノメチルエーテル22.28g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12.98gを加えて溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜溶液を調製した。
【0041】
比較例3
合成例4で得た高分子化合物の溶液10.0gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.50gとp−トルエンスルホン酸ピリジニウム0.031g、溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテル12.5g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.28gを加えて溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜溶液を調製した。
【0042】
比較例4
合成例7で得た高分子化合物の溶液15.0gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.726gとp−トルエンスルホン酸ピリジニウム0.0726g、溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテル80.32g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート39.56gを加えて溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して反射防止膜溶液を調製した。
【0043】
有機反射防止膜の形成及び縁だまりの高さの測定
実施例1〜5及び比較例1〜4で調製した反射防止膜溶液をスピナーによりシリコンウェハー基板(基板直径8インチ)上に塗布した。塗布工程は回転数300rpmで基板を回転させながら3秒間で反射防止膜組成物溶液5mlを滴下した。その後、基板を2秒間回転数300rpmで回転させ次いで回転数2500rpmで60秒回転させ反射防止膜組成物を引きのばすことにより塗布膜を形成した。
基板エッジ部分の洗浄(エッジリンス)を行なった。すなわち、前記の塗布膜を有する基板を回転数800rpmで回転させながら洗浄用有機溶剤(エッジリンス液、バックリンス液)を6秒間吐出し塗布膜の不要部分を除去し、次いで、回転数1200rpmで2秒間、回転数2500rpmで10秒間基板を回転させることによって洗浄用有機溶剤の振り切りを行なった。なお、洗浄用有機溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの7対3重量比の混合溶液を用いた。
次に、これら塗布膜を有する基板を205℃のホットプレートで60秒間ベーキングを行なうことによって膜厚0.06μmの有機反射防止膜を形成した。そして、これら有機反射防止膜周辺部の縁だまりの高さを接針型膜厚測定装置DEKTAK3ST(VEEO METROLOGY GROUP製)を用いて測定した。なお、その測定は、図2に示す基板上の4点((a)、(b)、(c)、(d))において行い、その平均値をもって測定値とした。その結果を表1に示した。
【表1】
Figure 0003994270
【0044】
これより、本発明の形成方法により縁だまりの低減された有機反射防止膜を形成できるということが判る。例えば、合成例1の高分子化合物を用いた反射防止膜組成物より有機反射防止膜を形成する場合においては、含フッ素界面活性剤成分を含有した組成物を用いるという本発明の方法により、縁だまりの高さが11分の1に低減されることが判る(実施例1と比較例1の比較)。同様に実施例2〜5と比較例2〜4の比較より、本発明の方法によって、縁だまりの高さが8分の1〜5分の1に低減されていることが判る。
【0045】
【発明の効果】
本発明の目的は、半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて使用される有機反射防止膜の形成方法を提供すること、特に、エッチング工程によっても除去されない不要な残渣を生ずる原因となる、有機反射防止膜の周辺部に生ずる縁だまりの低減された有機反射防止膜の形成方法を提供することにある。
本発明の形成方法により、有機反射防止膜の周辺部に生ずる縁だまりの低減された有機反射防止膜を形成することができる。また、本発明の方法によって形成された有機反射防止膜を用いることによって半導体基板上に不要な残渣が生じるということを防ぐことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機反射防止膜を形成した基板エッジ部分の断面図である。
【図2】基板エッジ部分のエッジリンス後、ベーキングにより有機反射防止膜を形成した基板の平面図である。
【符号の説明】
1…基板。
2…有機反射防止膜。
3…縁だまり。
4…縁だまりの有機反射防止膜表面からの高さ。
(a)、(b)、(c)、(d)…有機反射防止膜の周辺部の縁だまりの高さの測定点。

Claims (4)

  1. 基板上に、含フッ素界面活性剤成分として含フッ素(メタ)アクリレートポリマー及びオリゴマーを含有する反射防止膜組成物を塗布し塗布膜を形成し、基板エッジ部の前記塗布膜を溶剤により除去し、ベーキングにより反射防止膜を形成することを特徴とする有機反射防止膜の形成方法。
  2. 前記含フッ素界面活性剤成分の含有量が反射防止膜組成物の全固形分質量に基づき0.0001〜1.5質量%であることを特徴とする請求項に記載の有機反射防止膜の形成方法。
  3. 前記反射防止膜組成物が(メタ)アクリル樹脂及び架橋剤成分を含むものである請求項1又は2に記載の有機反射防止膜の形成方法。
  4. 前記反射防止膜組成物がノボラック樹脂及び架橋剤成分を含むものである請求項1又は2に記載の有機反射防止膜の形成方法。
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