JP3993361B2 - 多孔性フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛生材料、医療用材料、建築用材料等の用途に使用される多孔性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔性フィルムの製造方法としては、従来、ポリオレフィン樹脂と充填剤を含有する原料組成物を溶融成形しフィルムとなしボイドを発生させる方法が一般的であるが、この多孔性フィルムを使い捨ておむつ、生理用品の資材として用いた場合、人尿、血液等は洩らさず、湿気のみを通す性能が特に要求される。また、ポリオレフィン樹脂と充填剤だけの原料組成物からではしなやかな風合を有するものが得られにくい。そこで、多孔性フィルムの性能改良すべく、原料組成物中にポリオレフィン樹脂と充填剤以外の第三成分を配合する方法が多く提案されている。第三成分としては、モノエステルとポリエステル化合物の混合物(特開昭62−280234)、硬化ひまし油(特開平4−227738号)、硬化ひまし油+脱水ひまし油の混合物(特開平9−221560号)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
多孔性フィルムについての課題は他にも存在し、例えば、使用上、止着テープ等の接着テープのフィルムへの接着性が良好であることが必要である。接着性の悪い多孔性フィルムを使い捨て紙オムツのバックシートとして使用した場合、使い捨て紙オムツを人体に装着する際に止着テープ等で固定することが困難であり、人尿等が漏洩する原因となる。更に、その際、接着テープに含まれる成分が多孔性フィルムに移行し、遮蔽性が損なわれ、不透明感のある部分が透明化して中が透けて見えるという問題がある。しかしながら、前記した公知の方法では、十分な通気性を維持しつつ、遮蔽性の問題を同時解決できうるものが見当たらなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題に鑑み、透気度が従来品と同レベル以上に維持しつつ、優れた遮蔽性を有し、且つ、柔軟性に富んで風合いの良い多孔性フィルムを提供すべく鋭意検討した結果、特定の第三成分を含有原料組成物を使用することで所望の多孔性フィルムが得られることを見出し、本発明に到った。即ち、本発明は、ポリオレフィン樹脂、充填剤及び第三成分を含有する組成物を溶融成形してなる多孔性フィルムであって、該第三成分が、(イ)硬化ひまし油と(ロ)二重結合が分子内に0または1個であり、かつ水酸基がない炭素数8以上のカルボン酸を50%以上含むカルボン酸と炭素数3以下の多価アルコールからなるエステルとの混合物であることを特徴とする多孔性フィルムに存する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に使用されるポリオレフィン樹脂としてはエチレン、プロピレン、ブテン等のモノオレフィン重合体及び共重合体を主成分とするものをいい、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンランダムもしくはブロック共重合体、ポリブテン、エチレン酢酸ビニル共重合体及びこれらの混合物が挙げられる。なかでも線状低密度ポリエチレンがしなやかで強靱であることから好ましい。
【0006】
本発明に用いるポリオレフィン樹脂として、特に好ましくは、線状密度ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレンの混合物である。線状低密度ポリエチレンは、炭素数が3〜8の分子骨格であるα−オレフィンとエチレンとの共重合体である。線状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.910〜0.940g/cm3、メルトインデックスが0.5〜5g/10分のものが好ましい。密度が0.910g/cm3未満になると均一延伸性が低下し、0.940g/cm3を超えると延伸フィルムのソフト感が損なわれる。また、メルトインデックスが0.5g/10分未満になるとフィルムを押し出すときに異常流動により厚みが均一なフィルムを得ることが難しくなり、5g/10分を超えると均一延伸性が悪化する。
【0007】
また、分岐状低密度ポリエチレンは、エチレンを公知の高圧法で重合させることによって得られるもので、メルトインデックスが0.1〜2g/10分、密度が0.915〜0.925g/cm3のものが好ましい。メルトインデックスが0.1g/10分未満になると前者の線状低密度ポリエチレンと混ざり合いが悪くなり、2g/10分を超えると均一厚みのフィルムが得られなくなる。また、密度が0.925を超えると均一厚みのフィルムが得られにくくなる。
【0008】
以上におけるポリエチレン系樹脂の混合比率としては、線状低密度ポリエチレンが通常75〜98重量%、好ましくは85〜96重量%と、分岐状低密度ポリエチレンが通常25〜2重量%、好ましくは15〜4重量%である。分岐状低密度ポリエチレンが25重量%を超えると溶融状態でのフィルムの伸びが低下し、フィルムに加工することが難しくなる。一方、2重量%未満では均一厚みのフィルムを得ることが難しくなる。
【0009】
次に、充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、タルク等が挙げられる。これらのうち、炭酸カルシウム及び硫酸バリウムが特に好ましい。かかる充填剤の平均粒径が通常20μm以下、好ましくは10μm以下、特に好ましくは0.5〜5μmである。また、無機充填剤は、樹脂中での分散性向上のため、表面処理剤で無機充填剤の表面を被覆して疎水化しておくのが望ましく、かかる表面処理剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸又はそれらの金属塩等を挙げることができる。
【0010】
本発明の多孔性フィルムは、以上のようなポリオレフィン樹脂、充填剤を含む樹脂組成物に、第三成分として、(イ)硬化ひまし油と(ロ)二重結合が分子内に0または1個であり、かつ水酸基がない炭素数8以上のカルボン酸を50%以上含むカルボン酸と炭素数3以下の多価アルコールからなるエステルとの混合物を含めることに特徴がある。本発明者等は,種々のグリセリンエステルを検討した結果,硬化ひまし油のみが特異的に遮蔽性を有し、一方、類似のエステル化合物である精製ひまし油(ひまし油)、脱水ひまし油、硬化牛脂油、大豆油、硬化ひまし油のエチレンオキサイド付加物等ではその効果が殆ど見られないことを確認した。本発明において、硬化ひまし油とは、リシノール酸の二重結合部を水素添加し、飽和脂肪酸とした12−ヒドロキシオクタデカン酸を主成分とする脂肪酸混合物とグリセリンとのエステルのことである。このエステルにはモノエステル、ジエステル及びトリエステルがあるが、これらの単独物であっても、また混合物であってもよいが、トリエステルを主成分とするものが好ましい。また、この脂肪酸混合物中の12−ヒドロキシオクタデカン酸の含有量が70重量%以上で、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸等の炭素数12〜22程度の他の脂肪酸の含有量が30重量%未満とすることで、多孔性フィルム表面の遮蔽性が経時的な低下を防止することができる。かかる硬化ヒマシ油は、工業的には不乾性油であるヒマシ油に水素添加することにより製造され、市販品としては、例えば、伊藤製油(株)製、硬化ヒマシ油、商品名:カスターワックス等を挙げることができる。
【0011】
一方、(ロ)エステルとしては二重結合が分子内に0または1個であり、かつ水酸基がない炭素数8以上のカルボン酸を50%以上含むカルボン酸類と炭素数3以下の多価アルコールからなるエステルであり、硬化ひまし油以外が挙げられる。このようなエステルとしてはグリセリントリステアレート、グリセリントリオレイン酸、グリセリントリパルミチン酸、グリセリントリカプリル酸、グリセリンジステアリン酸オレイン酸、グリセリントリ(ジエポキシステアリン酸)、エチレングリコールジステアレート等が挙げられる。二重結合がカルボン酸に2個以上あるカルボン酸が50%より多かったり、水酸基と二重結合を有するカルボン酸は、熱安定性が低下する傾向がある。
また、本発明に使用するエステルは、ケシ油、サフラワー油、大豆油、なたね油、トウモロコシ油、ひまわり油、ブドウ種子油、綿実油、落花生油、アマニ油、オリーブ油、キリ油、ゴマ油、米油、椿油、パーム油、ヤシ油、牛脂油、豚油、乳脂油、パーム核油、アボガド油、カカオ脂、シア脂、サル脂、魚油、鯨油等、および、これらの水素添加油、エポキシ化油からなる二重結合が分子内に1個以下であり、かつ水酸基がない炭素数8以上のカルボン酸が50%以上含むカルボン酸類とグリセリンのエステルが好ましい。これらのエステルは天然のものから、圧搾、抽出したものであるが、精製工程を通して、グリセリンエステル以外の化合物を取り除いたエステルが好ましい。
オリーブ油、カカオ脂、シア脂、サル脂、ゴマ油、米油、サフラワー油(高オレイン酸種)、なたね油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、落花生油類、牛脂、豚脂、乳脂等は、二重結合が0または1個のカルボン酸が50%以上であり、そのまま使用しても、水素添加処理もしくはエポキシ化処理をして使用しても良い。その他の天然油脂は、産地、時期によりカルボン酸種は変化するものの、一般的には二重結合が2個以上のカルボン酸が50%よりも多いため、水素添加処理もしくはエポキシ化処理によりカルボン酸の二重結合数を低下させてから使用するのが好ましい。水素添加処理は、エポキシ化処理は公知の方法で行えばよく、これにより酸化安定、熱安定性、耐候性、耐熱性が向上される。
これら天然油脂由来のグリセリンエステルは、トリグリセリン、ジグリセリン、モノグリセリンの混合物であり、しかもカルボン酸も多岐の炭素数を持つ混合物であるため、多孔性フィルムの原料として添加した場合、非常に微妙な触感を調整する事ができ、入手も容易である。
カルボン酸の同定は公知の手法で行えるが、一般的には1)エステルをケン化し遊離カルボン酸とする、2)エステル交換によるカルボン酸のメチルエステル化等を用い、カルボン酸もしくはメチルエステルカルボン酸を高速液体クロマトグラフィーで分離、定量する。分析中に構造が変化し易いカルボン酸等は、事前に保護基を導入して組成分析を行うこともできる。
【0012】
本発明の多孔性フィルムは、以上のようなポリオレフィン樹脂、充填剤及び(イ)硬化ひまし油と(ロ)二重結合が分子内に0または1個であり、かつ水酸基がない炭素数8以上のカルボン酸を50%以上含むカルボン酸と炭素数3以下の多価アルコールからなるエステルとの混合物を含む樹脂組成物より製造する。この場合の樹脂組成物の組成としては、ポリオレフィン樹脂が通常25〜50重量部、好ましくは35〜45重量部に対し、充填剤が75〜50重量部、好ましくは65〜55重量部の範囲である。無機充填剤が50重量部未満になると、ポリオレフィン樹脂と充填剤との界面が剥離してできる隣接したボイドどうしが連通しなくなり、通気性が得られにくくなる。また、75重量部を超えると、フィルムの延伸時の伸びがなくなり、延伸が困難になる。
【0013】
上記樹脂組成物中への(イ)硬化ひまし油と(ロ)エステルとの混合物の添加は、フィルムの厚みの均一性、延伸性、フィルムの風合い、フィルムの成形性、フィルムの接着性などに大きな影響を及ぼす。添加量が多すぎると、これらがフィルムからブリードアウトし、接着性が悪くなる。一方、添加量が少なすぎると、フィルムが硬くなり風合いが悪くなり、厚み均一性も悪くなる。かかる点を考慮すると、上記ポリオレフィン樹脂と充填剤の合計量100重量部に対し、(イ)硬化ひまし油と(ロ)エステルとの混合物の総量は0.5〜5重量部であることが好ましい。また、(イ)硬化ひまし油に対する(ロ)エステルの重量比は通常0.1〜10の範囲であることが望ましい。重量比が0.1未満では、延伸性や柔軟性が低下し、10より多いと遮蔽性が低下する傾向がある。
なお、樹脂組成物中には、上記の必須成分の他に一般に樹脂組成物用として用いられている添加物、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、スリップ剤、着色剤等を、多孔性フィルムの特性を損なわない程度の範囲で配合してもよい。
【0014】
本発明の多孔性フィルムは、以上の樹脂組成物をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて混合した後、一軸あるいは二軸押出機、ニーダー等で加熱混練し、ペレット化する。次いで、そのペレットをポリエチレン樹脂の融点以上、好ましくは融点+20℃以上、分解温度未満の温度において、Tダイ等が装着された押出成形機、円形ダイが装着されたインフレーション成形機等の公知の成形機を用いて、溶融、製膜する。場合によっては、ペレット化せず直接成形機で製膜することもできる。
【0015】
製膜されたフィルムは、ロール法、テンター法等の公知の方法により、室温〜樹脂の軟化点(JIS K6760による測定値)において、少なくとも一軸方向に延伸を行い、ポリオレフィン樹脂と無機充填剤との界面剥離を起こさせることで多孔性フィルムを得る。延伸は、一段でも多段でもよい。また、延伸倍率は、延伸時のフィルムの破れ、得られるフィルムの通気性、フィルムのソフト感等に関係するので、倍率が高すぎても低すぎても好ましくない。かかる観点から、本発明における延伸倍率は通常1.2〜5倍、好ましくは1.5〜3倍である。二軸延伸する場合は、最初に機械方向、またはそれと直角をなす方向に一軸延伸し、次いで、該方向と直角をなす方向に二軸目の延伸を行う方法、及び、機械方向、およびそれと直角をなす方向に同時に二軸延伸する方法がある。また、延伸した後、必要に応じて、得られた開孔の形態を安定させるために熱固定処理を行ってもよい。
本発明の多孔性フィルムの厚みには特に制限はないが、厚みは通常10〜100μm程度である。10μm未満ではフィルムが破れ易くなり、100μmを超えるとフィルムが硬くなり、布様のソフト感、良好な風合いを有する多孔性フィルムとなり難いので好ましくないからである。
【0016】
【実施例】
以下、本発明についてさらに具体的に説明するため、以下に実施例を示す。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例に示した、経時後の接着強度、下記の方法により測定した値である。
(1)透気度
JIS−P8117に準拠し測定した(単位はsec/50cc)。
(2)柔軟性
指触感触により下記基準に従って評価した。
◎:フィルムを折り曲げてもカサカサ音がせず、肌触りが非常に良好
○:フィルムを折り曲げてもカサカサ音がせず、肌触りが良好
△:フィルムを折り曲げてもカサカサ音はしないが、やや硬く肌触りが悪い
×:フィルムを折り曲げてもカサカサ音がし、硬く肌触りが悪い
(3)フィルムのゲル数
成形した多孔性フィルムの1m2当たりの0.5mm以上のブツ数を測定した
◎:1m2あたり20個以下
○:1m2あたり20個以上40個未満
△:1m2あたり40個以上100個未満
×:1m2あたり100個以上
(4)遮蔽性
フィルムの片表面に幅25mm両面粘着テープ(商品名 コクヨ T−225)の片面を貼付して試料とし、引き続き残りの剥離紙をはがして全光線透過率をT1を測定した。また、フィルムの片表面に幅25mm両面粘着テープ(商品名 コクヨ T−225)の片面を貼付して試料とし、この試料を50℃75%の恒温高湿中に1週間放置した後、室温に戻し、残りの剥離紙をはがした試料の全光線透過率をT2を測定した。そして、全光線透過率の差(T(%)=T1−T2(%))を測定し以下基準で評価した。
◎:Tが10%未満
○:Tが10%以上20%未満
△:Tが20%以上30%未満
×:Tが30%以上
なお、全光線透過率の測定は、JIS−K6718に準拠したヘーズメーター(日本電色社製 NDH−200)を使用した。
(5)ダイライン
幅方向30cmにフィルム表面のスジの数が何本あるかを目視で数えた。
◎:0本
○:1本〜2本
△:3本〜5本
×:6本以上
(6)発煙
ダイスからの発煙量を、比較例1を多い基準として評価した。
◎:殆どなし
○:少ない
△:多い
×:非常に多い
【0017】
実施例1、3〜6
ポリエチレン系樹脂37重量部中、線状低密度ポリエチレン〔日本ポリケム(株)製、商品名:FW20G、密度:0.921g/cm3、MI:1g/10分〕32重量部(ポリエチレン系樹脂中95重量%)に対し、分岐状低密度ポリエチレン〔日本ポリケム(株)製、商品名:LF441、密度:0.919g/cm3、MI:2g/10分〕を5重量部、炭酸カルシウム(平均粒径1.2μm、脂肪酸処理)63重量部、及び表−1に示す各第三成分化合物をタンブラーミキサーにて混合した後、タンデム型混練押出機を用いて220℃で均一に混練し、ペレット状に加工した。このペレットを円形ダイが装着された押出成形機を用いて、200℃において溶融製膜したあと、60℃に加熱した予熱ロール延伸ロールとの間で2.0倍の延伸倍率でライン速度20m/分で機械方向に一軸延伸し、厚さ25μmの通気性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの諸特性を上記方法により測定した。原料の種類及びその配合割合(重量部)及びエステルの成分分析結果を表−1、得られた多孔性フィルムの諸特性を測定した結果を表−2に示す。
実施例2
実施例1において、第3成分として、硬化ひまし油 3重量部、市販の精製カカオ脂 2重量部を用い、ペレット状に加工した。このペレットをTダイが装着された押出成形機を用いて、200℃において溶融製膜したあと、60℃に加熱した予熱ロール延伸ロールとの間で2.1倍の延伸倍率でライン速度20m/分で機械方向に一軸延伸し、厚さ25μmの多孔性フィルムを得た。原料の種類及びその配合割合(重量部)及びエステルの成分分析結果を表−1、得られた多孔性フィルムの諸特性を測定した結果を表−2に示す。
【0018】
比較例1、3及び4
実施例1において、第3成分として表−1に示す化合物及び配合量で用いたこと以外は同様に行った。得られた多孔性フィルムの諸特性を測定した結果を表−2に示す。
【0019】
比較例2
実施例2において、第3成分として表−1に示す化合物及び配合量で用いたこと以外は同様に行った。得られた多孔性フィルムの諸特性測定した結果をを表−2に示す。
【表1】
【0020】
表−1の第三成分は以下の通りである。
硬化ひまし油:伊藤製油(株)製 商品名:硬化ひまし油 カスターワックス
極度硬化牛脂油:小倉合成(株)製
エポキシアマニ油:旭電化工業(株)製 商品名O−180A
グリセリントリステアレート:和光純薬工業(株)
【表2】
【0021】
【発明の効果】
本発明の多孔性フィルムは、透気度、遮蔽性が良好であり、且つ、柔軟性、ダイライン、ゲルも少ない。そのため、使い捨て紙オムツ、体液吸収用パット、ベッドシーツ等の衛生材料、手術衣、温湿布用基材等の医療用材料、ジャンパー、雨着等の衣料用材料、壁紙、屋根防水材等の建築用材料、乾燥剤、防湿剤、脱酸素剤、使い捨てカイロ、鮮度保持包装、食品包装等の包装材、電池用セパレーター等の資材として極めて好適に使用できる。
Claims (6)
- ポリオレフィン樹脂、充填剤及び第三成分を含有する組成物を溶融成形しフィルムとなし、次いで該フィルムを延伸処理してなる多孔性フィルムであって、該第三成分が、(イ)硬化ひまし油と(ロ)二重結合が分子内に0または1個であり、かつ水酸基がない炭素数8以上のカルボン酸を50%以上含むカルボン酸と炭素数3以下の多価アルコールからなるエステルとの混合物であることを特徴とする多孔性フィルム。
- (イ)硬化ひまし油に対する(ロ)エステルの重量比が0.1〜10である請求項1の多孔性フィルム。
- (イ)の硬化ひまし油が、12−ヒドロキシオクタデカン酸を主成分とする脂肪酸混合物とグリセリンとのエステルである請求項1または2記載の多孔性フィルム。
- (ロ)のエステルが、ケシ油、サフラワー油、大豆油、なたね油、トウモロコシ油、ひまわり油、ブドウ種子油、綿実油、落花生油、アマニ油、オリーブ油、キリ油、ゴマ油、米油、椿油、パーム油、ヤシ油、牛脂油、豚油、乳脂油、パーム核油、アボガド油、カカオ脂、シア脂、サル脂、魚油、鯨油、またはこれらの水素添加油、エポキシ化油から選ばれた二重結合が分子内に1または0個であり、かつ水酸基がない炭素数8以上のカルボン酸を50%以上含むカルボン酸類とグリセリンからなるエステルである請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性フィルム。
- ポリオレフィン樹脂が、密度0.910〜0.940g/cm3、メルトインデックス0.5〜5g/10分の線状低密度ポリエチレン75〜98重量%と、メルトインデックス0.1〜2g/10分、密度0.915〜0.925g/cm3の分岐状低密度ポリエチレン25〜2重量%からなる混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性フィルム。
- ポリオレフィン樹脂(A)25〜50重量部、並びに、充填剤(B)75〜50重量部を含み、且つ、(A)及び(B)100重量部に対して(イ)硬化ひまし油と(ロ)二重結合が分子内に0または1個であり、かつ水酸基がない炭素数8以上のカルボン酸を50%以上含むカルボン酸と炭素数3以下の多価アルコールからなるエステルとの混合物0.5〜5重量部を含む請求項1〜5のいずれかに記載の多孔性フィルム。
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