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JP3992083B2 - 固体還元剤を用いる排煙脱硝方法および装置 - Google Patents

固体還元剤を用いる排煙脱硝方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は接触還元法による排煙脱硝技術に係わり、還元剤として安全かつ取り扱いが容易な固体還元剤を用いて脱硝反応を行うのに好適な排煙脱硝方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電所、各種工場、自動車などから排出される排煙中の窒素酸化物(NOx)は、光化学スモッグの原因物質であり、その効果的な除去方法として、アンモニア(NH3)を還元剤とした選択的接触還元による排煙脱硝法が火力発電所を中心に幅広く用いられている。
最近は、ディーゼルエンジン、ガスタービンなどを利用したコージェネレーションシステムが都心部を中心として増加しており、このシステムに対してもNOxの排出規制が適用され、かつ地域によってはその規制が強化されるため、大型プラント同様に排煙脱硝装置の設置が急務となっている。このような小規模施設用排煙脱硝装置はビルなど人口密集地で使用されるため、液化NH3の適用は困難である。そこで、液化NH3の代わりに取り扱いが容易でかつ安全な尿素、シアヌル酸、メラミン、炭酸水素アンモニウム等の固体還元剤を使用する方法が注目されている。
【0003】
ここで、排ガス中に均一に分散されている窒素酸化物と固体還元剤とを反応させるためには、固体還元剤を充分に気化し、排ガス中に混合させることが必要となる。
そのために、例えば固体還元剤を使用する方法として、以下の二つの方法が挙げられる。第一は還元剤水溶液を直接排ガス中に噴霧し蒸発させる方法であり、これに関連する特許として、例えば、特開昭53−62772号、特開昭53−64102号、特開昭53−112273号、特開昭53−115658号等が挙げられる。また、第二の方法は上記還元剤粉末を煙道中に直接噴霧し、気化させて脱硝用還元剤として用いるものであり、特開平2−268811号が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した還元剤を水溶液として直接排ガス煙道中に噴霧する技術は、水溶液の完全蒸発の点について配慮がされておらず、また還元剤を粉末固体で排ガス煙道中に供給する技術は、還元剤自身の完全気化が困難であるという問題点があった。
例えば尿素水溶液の場合、水溶液を排ガス煙道中に投入するために排ガス温度が低下し、排ガス中に硫黄酸化物が存在する場合には、尿素の分解により生じたNH3と硫黄酸化物が反応して酸性硫安の析出が生じ、後流機器に悪影響を与えること、さらに、ドレンが煙道に溜まったり、後流側に設置する脱硝触媒層まで水分が飛散し、触媒性能への悪影響が無視できないこと等が問題としてあった。
【0005】
もう一つの方法である、固体還元剤を直接排ガス煙道中に噴霧し、気化させる方法では、尿素等を固体状態で供給するため、排ガスとの接触混合が悪く、触媒層に流入する還元剤の濃度を均一にすることが難しいと言う問題点を有していた。そればかりでなく固体還元剤の気化速度が遅く、還元剤が気化しないで触媒表面に付着したり、排ガスとともに排出されるという問題があった。
さらに両者の方法に共通する実用上の大きな問題点は、還元剤粉末あるいは還元剤水溶液の注入量を排ガス中のNOxに追従させて一定比率でコントロールすることがアンモニアガスの場合に容易でなく、高脱硝率を得るためにはNOxに対し大過剰の還元剤を注入する必要があることである。この様な運転方法では脱硝率は高く維持できるものの未反応還元剤はNH3やCOになって排出されることにより、人工密集地での使用の妨げになっている。逆に還元剤の注入量を一定量以下に抑えて未反応還元剤の流出を防ごうとすると高い脱硝率が得られないことである。
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点をなくし、アンモニアやCOの流出が少なく、かつNOx変動の少ない、固体を還元剤とする排煙脱硝方法と装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は次の構成によって達成される。
すなわち、排ガス中の窒素酸化物を固体還元剤を用いて接触的に還元除去する排煙脱硝方法において、排ガス煙道中に固体還元剤を噴霧した後、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)から選ばれる一種以上の元素の酸化物からなる組成物を第一成分とし、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選ばれる貴金属をゼオライト、アルミナ、シリカのいずれかの多孔体にあらかじめ担持された前記貴金属含有組成物を第二成分とした触媒組成物からなるアンモニアの分解活性と脱硝活性を併せ持つ触媒に接触させ、未反応状態のアンモニアを分解する固体還元剤を用いる排煙脱硝方法、または
排ガス中の窒素酸化物を固体還元剤を用いて接触的に還元除去する排煙脱硝装置において、排ガス煙道中に、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)から選ばれる一種以上の元素の酸化物からなる組成物を第一成分とし、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選ばれる貴金属をゼオライト、アルミナ又はシリカを含む多孔体にあらかじめ担持された前記貴金属含有組成物を第二成分とした触媒組成物からなるアンモニアの分解活性と脱硝活性を併せ持つ触媒を設置し、その上流部に固体還元剤を噴霧する装置を設置して未反応状態のアンモニアを分解する固体還元剤を用いる排煙脱硝装置である。
【0007】
また、本発明の上記目的は次の構成によっても達成される。
すなわち、排ガス中の窒素酸化物を固体還元剤を用いて接触的に還元除去する排煙脱硝方法において、排ガス煙道中に固体還元剤を噴霧した後、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)から選ばれる一種以上の元素の酸化物からなる組成物を第一成分とし、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選ばれる貴金属をゼオライト、アルミナ又はシリカを含む多孔体にあらかじめ担持された前記貴金属含有組成物を第二成分とした触媒組成物からなる未反応状態のアンモニアを分解する固体還元剤を用いる排煙脱硝方法、または、
排ガス中の窒素酸化物を固体還元剤を用いて接触的に還元除去する排煙脱硝装置において、排ガス煙道中に、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)から選ばれる一種以上の元素の酸化物からなる組成物を第一成分とし、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選ばれる貴金属をゼオライト、アルミナ又はシリカを含む多孔体にあらかじめ担持された前記貴金属含有組成物を第二成分とした触媒組成物からなるアンモニアの分解活性と脱硝活性と一酸化炭素を酸化する活性を併せ持つ触媒を設置し、その上流部に固体還元剤を噴霧する装置を設置して未反応状態のアンモニアを分解する固体還元剤を用いる排煙脱硝装置である。
【0008】
本発明において、(固体還元剤)/(排ガス中の窒素酸化物)のモル比を(固体還元剤のアンモニア換算値)/(排ガス中の窒素酸化物)のモル比で1以上となるような固体還元剤の供給量で排ガス煙道中に供給制御しても、処理排ガス中にはNH3とCOの排出は抑制される。
本発明で使用される固体還元剤は尿素、シアヌル酸、メラミン、炭酸アンモニウム等の分解によりアンモニアを生成する固体化合物である。
また、本発明の触媒には白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を担持した微粒シリカ、ゼオライトもしくはアルミナと酸化チタンを主成分としバナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)を触媒成分として含有する触媒組成物を板状、ハニカム状もしくは粒状に成形したものが用いられる。
また固体還元剤の供給装置には粉末状の還元剤を窒素、空気などで搬送して噴霧する装置(図2参照)、尿素、炭酸アンモン等の水溶液を液体状態で噴霧する装置(図3参照)、還元剤を強熱して発生する蒸気をガス状で吹き込む装置(図4参照)、上記還元剤を予めアルカリ水溶液で加水分解して注入する装置(図5参照)など各種の供給装置が用いられる。
【0009】
【作用】
還元剤供給装置から尿素、シアヌル酸などの固体還元剤そのものが粉末状として、またはその水溶液が液体状として150〜550℃の排ガス煙道内に吹き込まれる。煙道内では排ガスの潜熱により固体還元剤は気化、加水分解および一部は熱分解された状態で排ガス中に分散された後、触媒層に導かれる。
触媒層では触媒中のTi、V、MoあるいはWの作用により、まず還元剤から生成したアンモニアにより次式(1)のNOの還元反応が進行し、NOxの低減が達成される。
NH3+NO+1/4O2 → N2+3/2H2O (1)
【0010】
上記脱硝反応に使用されなかった還元剤の内、すでにアンモニアに分解されているものはそのまま気化され、まだ未分解のものは前述した触媒の作用により排ガス中の水蒸気で加水分解されアンモニアに転化された後、触媒中の貴金属の作用により(2)式に示すように酸素で酸化され無害な窒素と水に分解される。
2NH3+3/2O2 → N2+3H2O (2)
このため、たとえ還元剤を過剰に注入しても触媒層からは未反応の還元剤やアンモニアが流出することがなく、脱硝率を高く維持するためにNOxに対し過剰の還元剤を注入することが可能となる。
【0011】
一般に、前述の還元剤を固体状や液体状で排ガス煙道内に吹き込んだ場合には、固体粒子および液滴の慣性のため還元剤濃度を均一にすることが困難である。また、粉体や液体の供給系の負荷変動に対する制御性は悪く、排ガス中のNOx変動に追従させて還元剤濃度の制御をすることが困難である。従って公知の脱硝機能だけを有する触媒をこのような系に用いた場合には、(a)未反応還元剤もしくは未反応アンモニアの流出を一定以上に抑えようとすると、還元剤の不足する部分や不足する時間帯を生じ脱硝率が著しく悪くなる現象や、(b)脱硝率を一定以上に高くするため過剰に還元剤を注入すると未反応還元剤やアンモニアの流出量が増大するという現象を生じていた。
【0012】
これに対し本発明の方法では触媒が(2)式の未反応アンモニアの分解活性を有するため、注入時の不均一さやNOxの変動を見込んで過剰の還元剤を注入しても触媒層から未反応還元剤やアンモニアの流出を生じることがない。これにより尿素、炭酸アンモニウム、シアヌル酸、メラミンなどの液体アンモニアに比べ運搬や保管の容易な固体還元剤を用いて高脱硝率と未反応還元剤の流出の低減を達成することが可能になる。
さらに、本発明で使用する触媒はNOx、NH3の共存下でもCOの酸化作用があるため、排ガス中に存在するCOまたは還元剤の分解により生成するCOをCO2に酸化することもできる。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例を図面とともに説明する。
本発明の実施例の概略フローを図1に示す。
NOx発生源である燃焼装置(例えばボイラ、自動車用エンジン)1の排ガス煙道2に還元剤注入ノズル3から還元剤が注入される。この還元剤注入ノズル3の後流側の煙道2には脱硝反応器4が配置され、その中に本発明の触媒5が収納されている。脱硝反応器4の後流には熱交換器6が配置され、ここで排ガスの熱を回収した後、煙突7から浄化排ガスが大気中に排出される。ここで、還元剤注入ノズル3には還元剤供給装置8と還元剤貯蔵器9から還元剤が供給される。
【0014】
固体還元剤の供給のための機構としては、図2に示すように、還元剤粉体ホッパ13から粉体フィーダ11を経て混合器10に供給される固体還元剤を混合器10において、窒素または空気供給ライン12から供給される窒素または空気と混合して還元剤注入ノズル3から排ガス煙道2中に粉末状にして還元剤を供給するもの、図3に示すように、尿素、炭酸アンモン等の還元剤水溶液タンク14からポンプ15を経て、還元剤注入ノズル3から排ガス煙道2中に液状の還元剤を噴霧するもの、図4に示すように、還元剤粉体ホッパ13から粉体フィーダ11を経てヒータ16で加熱される気化器17に供給される還元剤を強熱して発生する蒸気をガス状で煙道2中に還元剤注入ノズル3から吹き込むもの、図5に示すように、還元剤水溶液タンク14からポンプ15を経てヒータ16で加熱される加水分解器18に導き、予めアルカリ水溶液で加水分解して加水分解触媒液19とし、この触媒液19にキャリアガス供給ライン20からキャリアガスを吹き込むことで、還元剤注入ノズル3から排ガス煙道2中に一部NH3を含む還元剤を注入するものなど各種の装置が用いられる。
【0015】
実施例1
(1)触媒の製造
メタチタン酸スラリ(TiO2含有量:30wt%、SO4含有量:8wt%)67kgにパラタングステン酸アンモニウム((NH41010・W1246・6H2O)を3.59kgおよびメタバナジウム酸アンモン1.29kgとを加え加熱ニーダを用いて水を蒸発させながら混練し水分約36%のペーストを得た。これを3¢の柱状に押し出し造粒後、流動層乾燥機で乾燥し、次に大気中550℃で2時間焼成した。得られた顆粒をハンマーミルで1μmの粒径が60%以上になるように粉砕し、第一成分である脱硝触媒粉末を得た。このときの組成はV/W/Ti=4/5/91(原子比)である。
【0016】
一方、塩化白金酸(H2[PtCl6]・6H2O)0.665gを水1リットルに溶解したものに、市販微粒シリカ粉末(富田製薬(株)製;マイコンF(商品名))500gを加えて砂浴上で蒸発乾固して白金(Pt)を担持した。これを180℃で2時間乾燥後、空気中で500℃で2時間焼成し0.05wt%Pt−SiO2を調製し第二成分にした。
これとは別に繊維径9μmのEガラス性繊維1400本の捻糸を10本/インチの荒さで平織りした網状物にチタニア40%、シリカゾル20%、ポリビニールアルコール1%のスラリーを含浸させ、150℃で乾燥して剛性を持たせ触媒基材を得た。
【0017】
第一成分20kgと第二成分816gにシリカ・アルミナ系無機繊維5.3kg、水17kgを加えてニーダで混練し、触媒ペーストを得た。上記基材2枚の間に調製したペースト状触媒混合物を置き、加圧ローラを通過させることにより基材の編目間および表面に触媒を圧着して厚さ約1mm板状触媒を得た。得られた触媒は、180℃で2時間乾燥後大気中で500℃−2時間焼成した。本触媒中の第一成分と第二成分の第二成分/第一成分比は4/96で有り、Pt含有量は触媒基材・無機繊維を除いて20ppmに相当する。
比較例1
実施例1において第二成分を添加しないで同様に触媒を調製した。
【0018】
実験例1
上記実施例1および比較例1の触媒を幅20mm×長さ100mmに切断したものを3mm間隔で反応器に3枚充填し、その上部に磁製ラシヒリングを充填した蒸発部を設け、その上に尿素の20wt%水溶液を滴下して蒸発させ還元剤とした。本装置を用い、表1に示した条件で還元剤濃度変化させた場合の脱硝率と反応器出口におけるアンモニア濃度を測定し、還元剤が過剰になった場合のアンモニア流出量を測定した。得られた結果を図6に示す。
【0019】
【表1】
Figure 0003992083
【0020】
図6に示されるように実施例1の触媒は還元剤の注入量を増加させ、尿素/NO比を大きくした場合、脱硝率は比較例1と同等であるにもかかわらず反応器出口におけるアンモニア濃度は数ppmと低い。これに対し比較例1は尿素量/NO比が増加するにつれ高濃度のNH3が反応器出口に検出された。この結果は、本発明の方法が還元剤の濃度にアンバランスがあっても未反応還元剤に起因するアンモニアを極めて低く抑えることができることを示すものである。
【0021】
実施例2および3
実施例1における塩化白金酸を硝酸パラジウム(Pd(NO33)および硝酸ロジウム(Rh(NO33)の硝酸溶解液に変更し、PdもしくはRh担持量0.05wt%のSiO2を調製した。これをPt−SiO2の場合と同様の方法で第一成分に添加して触媒の調製をした。
実施例4および5
実施例1における微粒シリカ粉末(富田製薬(株)製:マイコンF(商品名))に替えてH型モルデナイト粉末およびγ−アルミナ(住友化学(株)製)粉末を用いて同様に第二成分を調製し、これと第一成分とを第二成分/第一成分比=4/96で使用して触媒を調製した。
実施例6
実施例1の第一成分調製法におけるパラタングステン酸アンモニウムに替えてパラモリブデン酸アンモン((NH46・Mo724・4H2O)を用いて他は同様に触媒調製した。
【0022】
実験例2および3
実験例1の装置、還元剤として尿素および炭酸アンモニウム((NH42CO3)を用い、還元剤注入量を1分ごとにNOに対し0.5モル/モルと0.8モル/モル(NH3/NO換算でそれぞれ1.0モル/モルと1.6モル/モル)の間で交互に切り替えて注入し、実施例1〜6および比較例1の触媒について還元剤のアンバランス、時間遅れがある場合の脱硝率とアンモニアの流出の模擬試験を行った。
その結果を表2にまとめて示した。本結果から明らかなように本発明の方法を用いれば、固体還元剤の注入精度が悪い固体還元剤を用いる場合にも高脱硝率と未反応還元剤(アンモニア)の流出を防ぐことができる。これに対し、従来の方法では脱硝率を高くしようとすると多量の未反応還元剤の流出を生じることがわかる。
【0023】
実験例4および5
実験例2の方法において、磁製ラシヒリング層を450℃に加熱し、かつ尿素水溶液に替えて顆粒状の尿素およびシアヌル酸を2分間隔で約4mgずつラシヒリング上に投下して気化、熱分解させて還元剤とし実施例1〜6および比較例1の触媒について脱硝率および流出アンモニアを測定した。得られた結果を表2に併記した。
本結果の場合にも本発明の方法では実験例2および3の場合と同様に高い脱硝率と低い未反応還元剤の流出が達成されることがわかる。
【0024】
【表2】
Figure 0003992083
【0025】
また、比較例1の触媒ではシアヌル酸を還元剤に用いた場合に最高300ppmのCOの生成が認められたが、本発明の方法ではそのようなCO発生は認められなかった。したがって、本発明の方法では排ガス中のCOの抑制も有効に行われることが分かる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、煙道に注入する固体還元剤が均一でなかったり、注入量の制御精度が遅い場合でも、未反応還元剤の流出は極めて僅少にできる。そのため、還元剤の注入量を注入量のアンバランス、時間遅れを見込んで高く制御する方法を採用でき、未反応還元剤の流出を低レベルに抑えたまま脱硝率を達成できる。これにより、簡単な還元剤注入装置を用いることができ、固体還元剤を従来の液化NH3利用脱硝法と同等の簡便さで取り扱うことができるようになる。また、液化NH3貯蔵用高圧容器を設ける必要がないので、脱硝装置を小型かつ安全性大にすることができる。
これらの効果により、ジーゼルエンジンや、ガスタービンなどの都市近郊で用いられる、起動停止の多い発電システムの安全かつ高性能な脱硝装置の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例になる脱硝装置の基本系統図。
【図2】 図1に用いる固体還元剤供給装置の例を示す図。
【図3】 図1に用いる固体還元剤供給装置の例を示す図。
【図4】 図1に用いる固体還元剤供給装置の例を示す図。
【図5】 図1に用いる固体還元剤供給装置の例を示す図。
【図6】 本発明の一実施例の脱硝方法および装置の効果を示す図。
【符号の説明】
1…NOx発生源、2…煙道、3…還元剤注入ノズル、4…脱硝反応器、
5…触媒、6…熱交換器、7…煙突、8…還元剤供給装置、
9…還元剤貯蔵器、10…混合器、11…粉体フィーダ、
12…空気供給ライン、13…還元剤粉体ホッパ、
14…還元剤水溶液タンク、15…ポンプ、16…ヒータ、17…気化器、
18…加水分解器、19…加水分解触媒液、20…キャリアガス供給ライン

Claims (7)

  1. 排ガス中の窒素酸化物を固体還元剤を用いて接触的に還元除去する排煙脱硝方法において、
    排ガス煙道中に固体還元剤を噴霧した後、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)から選ばれる一種以上の元素の酸化物からなる組成物を第一成分とし、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選ばれる貴金属をゼオライト、アルミナ又はシリカを含む多孔体にあらかじめ担持された前記貴金属含有組成物を第二成分とした触媒組成物からなるアンモニアの分解活性と脱硝活性を併せ持つ触媒に接触させ、未反応状態のアンモニアを分解することを特徴とする固体還元剤を用いる排煙脱硝方法。
  2. 排ガス煙道中に固体還元剤の噴霧は(a)固体還元剤を粉体状あるいは液体状で噴霧する、(b)固体還元剤を加熱により気化あるいは熱分解後にガス状で噴霧する、あるいは(c)固体還元剤を水蒸気と予め接触させて一部をアンモニア分解させた後にガス状で噴霧することを特徴とする請求項1記載の固体還元剤を用いる排煙脱硝方法。
  3. (固体還元剤)/(排ガス中の窒素酸化物)のモル比を(固体還元剤のアンモニア換算値)/(排ガス中の窒素酸化物)のモル比で1以上となるような固体還元剤の供給量で排ガス煙道中に供給制御することを特徴とする請求項1または2記載の固体還元剤を用いる排煙脱硝方法。
  4. 排ガス中の窒素酸化物を固体還元剤を用いて接触的に還元除去する排煙脱硝装置において、
    排ガス煙道中に、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)から選ばれる一種以上の元素の酸化物からなる組成物を第一成分とし、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選ばれる貴金属をゼオライト、アルミナ又はシリカを含む多孔体にあらかじめ担持された前記貴金属含有組成物を第二成分とした触媒組成物からなるアンモニアの分解活性と脱硝活性を併せ持つ触媒を設置し、その上流部に固体還元剤を噴霧する装置を設置して未反応状態のアンモニアを分解することを特徴とする固体還元剤を用いる排煙脱硝装置。
  5. 固体還元剤を噴霧する装置は固体還元剤を粉体状あるいは液体状で噴霧する装置、固体還元剤を加熱により気化あるいは熱分解後にガス状で供給する装置あるいは固体還元剤を水蒸気と予め接触させて一部をアンモニア分解させた後にガス状で供給する装置であることを特徴とする請求項記載の固体還元剤を用いる排煙脱硝装置。
  6. 排ガス中の窒素酸化物を固体還元剤を用いて接触的に還元除去する排煙脱硝方法において、
    排ガス煙道中に固体還元剤を噴霧した後、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)から選ばれる一種以上の元素の酸化物からなる組成物を第一成分とし、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選ばれる貴金属をゼオライト、アルミナ、シリカのいずれかの多孔体にあらかじめ担持された前記貴金属含有組成物を第二成分とした触媒組成物からなるアンモニアの分解活性と脱硝活性と一酸化炭素を酸化する活性を併せ持つ触媒に接触させ、未反応状態のアンモニアを分解することを特徴とする固体還元剤を用いる排煙脱硝方法。
  7. 排ガス中の窒素酸化物を固体還元剤を用いて接触的に還元除去する排煙脱硝装置において、
    排ガス煙道中に、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)から選ばれる一種以上の元素の酸化物からなる組成物を第一成分とし、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選ばれる貴金属をゼオライト、アルミナ、シリカのいずれかの多孔体にあらかじめ担持された前記貴金属含有組成物を第二成分とした触媒組成物からなるアンモニアの分解活性と脱硝活性と一酸化炭素を酸化する活性を併せ持つ触媒を設置し、その上流部に固体還元剤を噴霧する装置を設置して未反応状態のアンモニアを分解することを特徴とする固体還元剤を用いる排煙脱硝装置。
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