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JP3990949B2 - 画像符号化装置及び画像符号化方法 - Google Patents

画像符号化装置及び画像符号化方法 Download PDF

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JP3990949B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データを好適に符号化する画像符号化装置及び画像符号化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像符号化の一手法として、ウェーブレット変換とビットプレーン符号化とを組み合わせた方法が知られている。この方式による画像符号化は、ウェーブレット変換におけるサブバンド分解の仕組みを利用して空間解像度を段階的に変えた復号が可能であること、また、復号ビットプレーン数を変えることにより復号画素精度を段階的に変更できること等から注目を集めている。
【0003】
ISO/IEC JTC1/SC29/WG1で標準化作業が進められている静止画像符号化方式JPEG2000(ISO/IEC 15444-1)もウェーブレット変換とビットプレーン符号化との組み合わせによって構成されている。図14は、ウェーブレット変換とビットプレーン符号化とを組み合わせた符号化方式を使用した従来の画像符号化装置の構成を示すブロック図である。図14を用いて、従来の画像符号化処理の流れについて簡単に述べる。
【0004】
図14に示される従来の画像符号化装置は、画像入力部201、離散ウェーブレット変換部202、係数量子化部203、ビットプレーン符号化部204、符号列形成部205及び符号出力部206から構成される。
【0005】
まず、符号化対象となる画像データが画像入力部201より入力される。画像入力部201より入力された符号化対象画像は、離散ウェーブレット変換部202で複数の周波数帯域(サブバンド)に分割される。図15は、ウェーブレット変換によって符号化対象画像が複数のサブバンドへ分割される様子を説明するための図である。図15(a)、(b)、(c)にその分割過程を示すように、画像のウェーブレット変換では、まず、1次元のウェーブレット変換処理を水平及び垂直方向にそれぞれに適用して4つのサブバンドに分割する方法が用いられる。さらに、低周波サブバンド(サブバンドLL)のみを繰り返して水平・垂直方向に分割する方法が一般的である。図16は、2次元のウェーブレット変換処理を2回繰り返して画像のサブバンド分割を行った場合のサブバンドの例を示す図である。
【0006】
そして、係数量子化部203では、各サブバンドの係数をサブバンド毎に定めた量子化ステップで量子化する。さらに、ビットプレーン符号化部204では、量子化された各サブバンドの変換係数を矩形の小領域(以下、「コードブロック」と称す。)に分割し、コードブロック毎に変換係数の上位ビットから下位ビットへとビットプレーン方向を優先して符号化を行う。尚、ビットプレーン中の各ビットを符号化する際には、符号化済みの情報からいくつかの状態(コンテクスト)に分類し、それぞれ異なる出現確率予測モデルで符号化する。
【0007】
また、符号列形成部205では、ビットプレーン符号化部204で生成されたコードブロック符号化データを所定の順序で並べて符号列を生成する。生成された符号列は、符号出力部206から画像符号化装置外部へと出力される。
【0008】
離散ウェーブレット変換部202でウェーブレット変換を施して図16に示すようなサブバンドに分割し、低周波サブバンドLLから高周波サブバンドHH1へと順々に各サブバンドの係数を符号化・伝送した場合、復号側ではサブバンドLLの係数を受信した段階で、1/4の解像度の復元画像を復号することができる。また、サブバンドLL、LH1、HL1、HH1を受信した段階で、1/2の解像度の復元画像を、さらにサブバンドLH2、HL2、HH2までを受信した場合には元の解像度の復元画像をといった具合に、徐々に解像度を上げて画像を復号することができる。
【0009】
また、ビットプレーン符号化部204で得られる各コードブロックのビットプレーン符号化データを上位のビットから下位のビットへと伝送した場合も、復号側では徐々に精度を上げて各サブバンドの変換係数を復元することができる。これによって、伝送の初期状態では粗い画質の画像を復号することが可能であり、伝送が進むにつれて画質を改善した画像を復号することが可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ビットプレーン符号化において各ビットの符号化の度にコンテクストの生成処理を行うことは効率的な処理とはいえない。例えば、N個の多値信号をM枚のビットプレーンに分解して符号化する場合を考える。この場合、N×M個の二値情報源シンボルの符号化を行うことになる。従って、このN×M個の二値シンボルのそれぞれに対してコンテクストを生成し、確率推定の上で二値符号化処理を行う場合、処理負荷が高く、符号化処理及び復号処理にかかる時間が長くなるといった問題が発生する。
【0011】
また、コンテクストの生成手段として、符号化済みのビット、あるいは、符号化済みのビットから定まる事象を元にテーブルを参照してコンテクストを決定する場合も多い。このような場合においては、参照するビット、あるいは事象が多くなればなるほど、テーブルのエントリ数も増えて、これを格納するためのメモリ領域を多く要するという問題が発生する。
【0012】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、コンテクスト生成の負荷を軽減することにより多値信号のビットプレーン符号化処理の高効率化を図ることができるとともに、コンテクスト生成におけるメモリ容量を削減することができる画像符号化装置及び画像符号化方法を提供することを目的とする。
【0013】
上述課題を解決するため、本発明は、複数の多値データを、各多値データを表す二値シンボル毎に符号化する画像符号化装置であって、複数の位置(x、y)に対応する多値データM(x、y)ビットプレーンに分割し、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、n番目のビットプレーンの二値シンボルMn(x、y)を順次出力するビットプレーン走査手段と、前記多値データM(x、y)を持つ位置を含む領域の複数の多値データM(X、Y)(ここで、Xはx−1、x、x+1、Yはy−1、y、y+1)の状態に基づいて定まる、コンテクストC(x、y)を格納するコンテクスト格納手段と、前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(x、y)を用いて、前記二値シンボルMn(x、y)を、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、順次符号化する符号化手段と、前記符号化手段において、前記符号化対象となる多値データM(x、y)について、二値シンボルMn(x、y)を順次符号化する間に、多値データM(x、y)が非有意状態から有意状態へと遷移した場合に、前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値と、符号化対象となる位置からの相対位置と、更新後のコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値との関係を定めた状態遷移表を参照して、複数の多値データM(X、Y)についてのコンテクストC(X、Y)をそれぞれ更新し、再度、前記コンテクスト格納手段に格納する更新手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
上述課題を解決するため、本発明は、複数の多値データを、各多値データを表す二値シンボル毎に符号化する画像符号化方法であって、複数の位置(x、y)に対応する多値データM(x、y)をビットプレーンに分割し、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、n番目のビットプレーンの二値シンボルMn(x、y)を順次出力するビットプレーン走査工程と、前記多値データM(x、y)を持つ位置を含む領域の複数の多値データM(X、Y)(ここで、Xはx−1、x、x+1、Yはy−1、y、y+1)の状態に基づいて定まる、コンテクストC(x、y)をコンテクスト格納手段に格納するコンテクスト格納工程と、前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(x、y)を用いて、前記二値シンボルMn(x、y)を、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、順次符号化する符号化工程と、前記符号化工程において、前記符号化対象となる多値データM(x、y)について、二値シンボルMn(x、y)を順次符号化する間に、多値データM(x、y)が非有意状態から有意状態へと遷移した場合に、前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値と、符号化対象となる位置からの相対位置と、更新後のコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値との関係を定めた状態遷移表を参照して、複数の多値データM(X、Y)についてのコンテクストC(X、Y)をそれぞれ更新し、再度、前記コンテクスト格納手段に格納する更新工程と、を含むことを特徴とする画像符号化方法。
【0015】
上述課題を解決するため、本発明は、複数の多値データを、各多値データを表す二値シンボル毎に符号化する画像符号化プログラムであって、複数の位置(x、y)に対応する多値データM(x、y)をビットプレーンに分割し、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、n番目のビットプレーンの二値シンボルMn(x、y)を順次出力するビットプレーン走査工程と、前記多値データM(x、y)を持つ位置を含む領域の複数の多値データM(X、Y)(ここで、Xはx−1、x、x+1、Yはy−1、y、y+1)の状態に基づいて定まる、コンテクストC(x、y)をコンテクスト格納手段に格納するコンテクスト格納工程と、前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(x、y)を用いて、前記二値シンボルMn(x、y)を、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、順次符号化する符号化工程と、前記符号化工程において、前記符号化対象となる多値データM(x、y)について、二値シンボルMn(x、y)を順次符号化する間に、多値データM(x、y)が非有意状態から有意状態へと遷移した場合に、前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値と、符号化対象となる位置からの相対位置と、更新後のコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値との関係を定めた状態遷移表を参照して、複数の多値データM(X、Y)についてのコンテクストC(X、Y)をそれぞれ更新し、再度、前記コンテクスト格納手段に格納する更新工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0016】
上述課題を解決するため、本発明は、複数の多値データを、各多値データを表す二値シンボル毎に符号化する画像符号化プログラムを格納した記憶媒体であって、複数の位置(x、y)に対応する多値データM(x、y)をビットプレーンに分割し、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、n番目のビットプレーンの二値シンボルMn(x、y)を順次出力するビットプレーン走査工程と、前記多値データM(x、y)を持つ位置を含む領域の複数の多値データM(X、Y)(ここで、Xはx−1、x、x+1、Yはy−1、y、y+1)の状態に基づいて定まる、コンテクストC(x、y)をコンテクスト格納手段に格納するコンテクスト格納工程と、前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(x、y)を用いて、前記二値シンボルMn(x、y)を、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、順次符号化する符号化工程と、前記符号化工程において、前記符号化対象となる多値データM(x、y)について、二値シンボルMn(x、y)を順次符号化する間に、多値データM(x、y)が非有意状態から有意状態へと遷移した場合に、コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値と、符号化対象となる位置からの相対位置と、更新後のコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値との関係を定めた状態遷移表を参照して、複数の多値データM(X、Y)についてのコンテクストC(X、Y)をそれぞれ更新し、再度、前記コンテクスト格納手段に格納する更新工程と、をコンピュータに実行させる画像符号化プログラムを格納したことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による画像符号化装置及び画像符号化方法について説明する。
【0018】
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る第1の実施形態による画像符号化装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像符号化装置は、多値信号入力部101、符号・絶対値変換部102、多値信号格納部103、ビットプレーン走査部104、コンテクスト格納部105、二値算術符号化部106、コンテクスト更新部107、符号出力部108及び有効ビット数判定部109から構成される。
【0019】
図2は、本発明に係る第1の実施形態による画像符号化装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。以下、図1及び図2を参照して、本実施形態における画像符号化装置の各部の動作について詳細に説明する。尚、本実施形態の画像符号化装置は、水平方向サンプル数H、垂直方向サンプル数Vの矩形をなすH×V個の多値信号を符号化対象とする。多値信号は、それぞれ所定のビット幅b(例えば、16ビット)で2の補数表現された符号付きの整数であるとする。また、本実施形態の画像符号化装置は、符号化対象の多値信号の絶対値をビットプレーンに分解し、上位のビットプレーンから下位のビットプレーンへと順々に符号化するものとする。
【0020】
多値信号格納部103は、このH×V個の多値信号を格納する領域を有し、コンテクスト格納部105は(H+2)×(V+2)個のコンテクストを格納する領域を有する。そして、符号化処理に先立って、コンテクスト格納部105の格納領域は全て0に初期化しておく。
【0021】
まず、本実施形態の画像符号化装置の符号化対象となる多値信号が矩形内のラスタースキャン順に多値信号入力部101から入力される(ステップS1)。図3は、入力される符号化対象の多値信号を説明するための図である。図3に示すように、以下、矩形内の水平方向サンプル位置をx、垂直方向サンプル位置をy、位置(x,y)の多値信号をB(x,y)と表す。
【0022】
符号・絶対値変換部102は、多値信号入力部101から入力された2の補数表現された多値信号B(x,y)を符号・絶対値表現に変換し、多値信号格納部103に格納する(ステップS2)。多値信号B(x,y)の符号・絶対値表現をM(x,y)とし、どちらも16ビット幅で表現すると、
B(x,y)≧0の場合
M(x,y)=B(x,y)
B(x,y)<0の場合
M(x,y)=(−B(x,y))| 0x8000
のように変換させる。
【0023】
有効ビット数判定部109は、まず、多値信号格納部103に格納された全ての多値信号M(x,y)について論理和Nを求める。次に、論理和Nの絶対値Nabsを求める。さらに、次式を用いてM(x,y)の絶対値を2進数で表現するために最小限必要となる桁数NBPを求める。
【0024】
NBP=ceil{log2(Nabs+1)}
ここで、ceil{R}は、実数Rに等しいか、あるいはそれ以上の最小の整数値を表すものとする。論理和Nを求める方法としては、全ての多値信号M(x,y)が多値信号格納部103に格納された後、多値信号格納部103に格納された全多値信号を走査して論理和を求めてもよいし、変数Nを0に初期化しておき、変数Nと符号・絶対値変換部102の出力するM(x,y)との論理和を求める処理を繰り返し行ってもよい。
【0025】
ビットプレーン走査部104は、多値信号格納部103に格納された多値信号の絶対値部をNBP枚のビットプレーンに分割して、最上位ビットプレーン(NBP−1ビットプレーン)から下位ビットプレーン(0ビットプレーン)の順に、また、同一ビットプレーン内においては、ラスタースキャン順に、二値シンボルを取り出して出力する(ステップS3)。以下、多値信号M(x,y)を構成するビットのn桁目(最下位ビットを0桁目とする)をMn(x,y)として表す。
【0026】
ここで、ビットプレーン走査部104は、個々の多値信号について最初に符号化される「1」の直後に、その多値信号の正負符号を0、1で表し、出力する。多値信号M(x,y)の正負符号をS(x,y)とし、正であれば0、負であれば1とする。例えば、M(x,y)=−5、有効ビット数判定部109により求められる有効桁数NBP=6とした場合、M(x,y)の絶対値は2進数000101で表され、各ビットプレーンの符号化により上位桁から下位桁へと順に出力される。2ビットプレーンの処理時(この場合、上から4桁目)に最初の「1」が出力され、この直後に正負符号「1」が出力される。
【0027】
ビットプレーン走査部104が出力する二値シンボルは、二値算術符号化部106で算術符号化される(ステップS4)。着目する二値シンボルMn(x,y)の算術符号化では、Mn(x,y)の属する多値信号M(x,y)の周囲8近傍の多値信号を参照して状態(コンテクスト)を判別し、コンテクスト毎に異なる確率推定モデルにより着目ビットを符号化する。図4は、M(x,y)とその周囲8近傍の多値信号M(x−1,y−1)、M(x,y−1)、M(x+1,y−1)、M(x−1,y)、M(x+1,y)、M(x−1,y+1)、M(x,y+1)、M(x+1,y+1)の位置関係を説明するための図である。
【0028】
ここで、本実施形態の画像符号化装置におけるコンテクストの決定方法について述べる。本実施形態では、符号化対象の信号M(x,y)と周囲8近傍の信号の「有意」、「非有意」に基づいて、12種類(サインビット用のコンテクストを除く)のコンテクストに分別して符号化する。
【0029】
図5は、本実施形態における「有意」及び「非有意」の状態の例を説明するための図である。ある多値信号M(x,y)がMn(x,y)まで符号化済みの時点で「有意」であるとは、図5(a)に例示するように、符号化済みのビット、すなわちMn(x,y)及びその上位ビットに少なくとも1つの「1」が含まれる状態をいう。また、ある多値信号M(x,y)が非有意であるとは、図5(b)に例示するように、符号化済みのビットが全て「0」である状態をいう。
【0030】
従って、「有意」又は「非有意」の状態は、上位ビットから下位ビットへと順々に符号化していくにつれて変化し、例えば、図5(b)の場合では、Mn−1(x,y)まで符号化済みの状態では非有意な状態にあり、Mn−2(x,y)まで符号化すると非有意状態から有意状態へと変化するようになる。尚、図5(b)のMn−2(x,y)のように、そのビットの符号化により有意から非有意へと状態を遷移するビットを「状態遷移ビット」と呼ぶ。また、状態遷移ビットよりも下位ビット、例えば、図5(b)のMn−3(x,y)からM0(x,y)を「更新ビット」と呼ぶ。
【0031】
図6は、本実施形態で用いられる12種類のコンテクストを示す図である。図6において、「ΣH」は、着目する多値信号の左右の信号、すなわち、M(x−1,y)とM(x+1,y)のうちの有意状態にある信号の個数を表す。尚、ΣHは、0、1、2のいずれかの値をとる。すなわち、M(x−1,y)とM(x+1,y)が共に非有意であれば0、いずれか一方のみが有意であれば1、共に有意であれば2となる。
【0032】
同様に、「ΣV」は、着目する多値信号の上下の信号、すなわち、M(x,y−1)とM(x,y+1)のうちの有意状態にある信号の個数を表す。また、「ΣD」は、斜め方向の近傍多値信号、すなわち、M(x−1,y−1)、M(x+1,y−1)、M(x−1,y+1)、M(x+1,y+1)のうちの有意状態にある信号の個数を表す。図6において、斜線部分は参照しない部分を表し、例えば、着目する多値信号が非有意な状態にあって、かつ、ΣH=2である場合には、ΣV、ΣDにかかわらず、コンテクスト8に分別される。
【0033】
コンテクスト格納部105には、多値信号M(x,y)の各ビットMn(x,y)(0≦n<NBP)を二値算術符号化する際に使用するコンテクストC(x,y)が格納される。コンテクスト格納部105には矩形の境界部分での例外処理を避けるため、−1≦x≦H、−1≦y≦VのC(x,y)を格納することができるように、周囲に1サンプルずつの余裕を設けておく。そして、コンテクスト格納部105からは、ビットプレーン走査部104からの二値シンボルMn(x,y)の出力に対応してC(x,y)が出力される。尚、コンテクスト格納部105に格納されるC(x,y)は、符号化開始時の初期状態では全て0に設定しておく。
【0034】
二値算術符号化部106は、ビットプレーン走査部104の出力する二値シンボルMn(x,y)及びS(x,y)をコンテクスト格納部105から読み出されるコンテクストC(x,y)を用いて二値算術符号化し、符号出力部108に生成した符号を順次出力する。本実施形態においては、算術符号としてMQ-Coderを用いることとする。このMQ-Coderを用いて、あるコンテクストで発生した2値シンボルを符号化する手順、或いは、算術符号化処理のための初期化手順、終端手順については、静止画像の国際標準ITU-T Recommendation T.88 | ISO/IEC14492勧告等に詳細に説明されているのでここでは説明を省略する。
【0035】
尚、本実施形態では、符号化の開始時に算術符号化器を初期化し、終了時に算術符号化器の終端処理を行うようにする。また、正負符号S(x,y)の符号化にはコンテクスト格納部105からのコンテクスト読み出しは行わず、Mn(x,y)の符号化に用いるコンテクストとは異なる正負符号の符号化専用の単一コンテクストによって算術符号化を行う。本実施形態による画像符号化装置では、絶対値の各ビットの符号化にコンテクスト0〜11を使用しているので、正負符号の符号化専用のコンテクストには、例えば、コンテクスト12等を用いればよい。
【0036】
コンテクスト更新部107は、多値信号M(x,y)の遷移ビット(最初の「1」)が符号化された場合に、M(x,y)の周囲の8つのコンテクストC(x−1,y−1)、C(x,y−1)、C(x+1,y−1)、C(x−1,y)、C(x+1,y)、C(x−1,y+1)、C(x,y+1)、C(x+1,y+1)及びM(x,y)のコンテクストC(x,y)の更新処理を行う(ステップS5)。
【0037】
図7は、コンテクスト更新部107の内部に保持されている状態遷移表を示す図である。コンテクスト更新部107は、図7に示される状態遷移表を参照して、周辺のコンテクストを更新する。図7に示される状態遷移表は、ある着目するコンテクストC(x,y)について、その水平方向の近傍、垂直方向の近傍、斜め方向の近傍で非有意から有意への状態遷移が起こった場合に、それぞれの更新後のコンテクストを格納している。
【0038】
図7において、水平方向の近傍での状態遷移の場合には「H」の列を参照する。また、垂直方向の近傍での状態遷移の場合には「V」の列を参照する。さらに、斜め方向の近傍での状態遷移の場合は「D」の列を参照する。例えば、着目する多値信号M(x,y)の現在のコンテクストC(x,y)が5であり、直前の信号M(x−1,y)において遷移ビットの符号化が行われた場合には、コンテクスト5に対応する行のHの列を参照し、更新後のコンテクスト8を得る。また、着目する多値信号自身が非有意から有意に切り替わった場合には図7のMの列を参照し、更新後のコンテクストを得る。
【0039】
現在のコンテクストをc、非有意から有意へと状態が変化した信号の位置(縦(V)、横(H)、斜め(D)、または着目信号自身(M)のいずれか)をdとして、図7から得られる更新後のコンテクストをST(c,d)と表すと、M(x,y)の周囲8つのコンテクスト及びM(x,y)のコンテクストの更新は、以下のように表現することができる。
【0040】
C(x−1,y−1)=ST(C(x−1,y−1),D)
C(x+1,y−1)=ST(C(x+1,y−1),D)
C(x−1,y+1)=ST(C(x−1,y+1),D)
C(x+1,y+1)=ST(C(x+1,y+1),D)
C(x−1,y) =ST(C(x−1,y) ,H)
C(x+1,y) =ST(C(x+1,y) ,H)
C(x ,y−1)=ST(C(x ,y−1),V)
C(x ,y+1)=ST(C(x ,y+1),V)
C(x ,y) =ST(C(x ,y) ,M)
コンテクスト更新部107では、上述の更新処理に加えて、多値信号M(x,y)の最初の更新ビットが符号化された場合に、M(x,y)のコンテクストC(x,y)を11に更新する処理を行う。図7において、現在のコンテクスト9及び10に対応する行で、Mの列に括弧付きで更新後のコンテクスト番号を示している部分がこの処理に相当する。
【0041】
ビットプレーン符号化部104の出力する全ての二値シンボルMn(x,y)について上述した処理を行うことにより(ステップS6でYesの場合)、多値信号のビットプレーン符号化が行われ、符号出力部108に算術符号化データが渡される。一方、すべての二値シンボルの符号化がまだの場合(ステップS6でNoの場合)、ステップS3の二値シンボルの取り出しから上述の処理が行われる。
【0042】
符号出力部108は、二値算術符号化部106で生成された符号列を装置外部へと出力する(ステップS7)。この符号出力部108は、例えば、ハードディスクやメモリといった記憶装置やネットワーク回線のインタフェース等で実現される。
【0043】
すなわち、本発明は、画像データから生成された二値シンボルを、それぞれの二値シンボルの状態を示すコンテクストを用いて符号化する画像符号化に関し、多値信号入力部101から入力された画像データ内の所定領域の多値信号を符号・絶対値変換部102で二値シンボルに変換する。次に、変換された二値シンボルに係るコンテクストをコンテクスト格納部105から読み出す。そして、読み出されたコンテクストを用いて、二値算術符号化部106は二値シンボルを符号化する。符号化された二値シンボルを用いて、コンテクスト格納部105に格納されたコンテクスト情報がコンテクスト更新部107で更新される。
【0044】
さらにまた、本発明は、二値シンボルに隣接する二値シンボルであって、符号化済みのビットに少なくとも1つの1が含まれる状態にある二値シンボル数の和を左右、上下又は斜め方向ごとに算出し、算出された方向ごとの二値シンボル数の和に基づいて二値シンボルに係るコンテクストが決定される。
【0045】
以上述べたように、多値信号のそれぞれに対応付けられるコンテクストを格納する領域と、更新後のコンテクストを得るための状態遷移表を備え、コンテクストが変更されるような事象の発生した時に随時更新することにより、コンテクスト生成のためのメモリ容量を低減することができるとともに、コンテクスト生成処理の負荷軽減による高速化を期待することができる。
【0046】
<第2の実施形態>
図8は、本発明の第2の実施形態に係る画像符号化装置の構成を示すブロック図である。第1の実施形態で用いた図1に示されるブロック図と共通する部分については同じ符号で示し、それらの説明は省略する。尚、図8において、符号901はコンテクスト更新部、902はコンテクスト更新部、903はセレクタ及び904は信号線を示す。
【0047】
本実施形態による画像符号化装置は、図15に示すようなウェーブレット変換とビットプレーン符号化の組み合わせにより構成される従来の画像符号化システムにおいて、ウェーブレット変換係数、あるいはその量子化値をビットプレーン符号化するビットプレーン符号化部として使用することを想定したものである。そして、第1の実施形態による画像符号化装置において符号化対象の係数の属するサブバンドごとにコンテクストの更新方法を変更するように拡張したものである。
【0048】
本実施形態で多値信号入力部101からは、ウェーブレット変換により生成されたあるサブバンドを矩形に分割した領域(コードブロック)に含まれる変換係数、あるいはその量子化値が入力される。
【0049】
また、信号線904からは、符号化対象であるコードブロックがどのサブバンドに属するかを表す4値(0〜3)のサブバンド識別信号が入力される。サブバンド識別信号0、1、2、3は、それぞれLLサブバンド、LHサブバンド、HLサブバンド、HHサブバンドを表すものとする。
【0050】
第1の実施形態と動作が異なる部分は、コンテクストの更新部分のみであるので、以下ではこの部分の動作について説明する。
【0051】
セレクタ903は、信号線904から入力されるサブバンド識別信号に応じてコンテクスト更新部107、コンテクスト更新部901及びコンテクスト更新部902を切り替えて、コンテクスト格納部105に格納されるコンテクストの更新を行う。サブバンド識別信号が0又は1の場合、すなわち、符号化対象のコードブロックがLLサブバンド又はLHサブバンドに属する場合には、第1の実施形態と同じコンテクスト更新部107を選択する。また、サブバンド識別信号が2である場合にはコンテクスト更新部901を選択し、サブバンド識別信号が3である場合にはコンテクスト更新部902を選択する。
【0052】
一方、符号化対象のコードブロックがHLサブバンドに属する場合には、図9に示すコンテクストを使用する。図9は、本実施形態でHLサブバンドの係数に適用するコンテクストを決定するための図である。すなわち、図9は、第1の実施形態で使用され、かつ、第2の実施形態においてもLLサブバンド及びLHサブバンドのコードブロック符号化時に使用される図5のコンテクストのHとVの意味付けが入れ替わったものである。
【0053】
コンテクスト更新部901では、図9に対応するコンテクストを得るための状態遷移表として図10の表を格納しておく。図10は、コンテクスト更新部901で使用される状態遷移表を示す図である。図10の状態遷移表に基づいて、コンテクスト更新部107と同様にして、多値信号M(x,y)の遷移ビット(最初の「1」)が符号化された場合に、M(x,y)の周囲の8つのコンテクストC(x−1,y−1)、C(x,y−1)、C(x+1,y−1)、C(x−1,y)、C(x+1,y)、C(x−1,y+1)、C(x,y+1)、C(x+1,y+1)及びM(x,y)のコンテクストC(x,y)の更新処理を行い、多値信号M(x,y)の最初の更新ビットが符号化された場合にM(x,y)のコンテクストC(x,y)を11に更新する。
【0054】
符号化対象のコードブロックがHHサブバンドに属する場合には、図11に示すコンテクストを使用する。図11は、HHサブバンドの係数に適用するコンテクストを決定するための図である。コンテクスト更新部902では、図11に対応するコンテクストを得るための状態遷移表として図12に示される表を格納しておく。
【0055】
図12は、コンテクスト更新部902で使用する状態遷移表を示す図である。図12に示すように、コンテクスト更新部107と同様にして、多値信号M(x,y)の遷移ビット(最初の「1」)が符号化された場合に、M(x,y)の周囲の8つのコンテクストC(x−1,y−1)、C(x,y−1)、C(x+1,y−1)、C(x−1,y)、C(x+1,y)、C(x−1,y+1)、C(x,y+1)、C(x+1,y+1)及びM(x,y)のコンテクストC(x,y)の更新処理を行い、多値信号M(x,y)の最初の更新ビットビットが符号化された場合にM(x,y)のコンテクストC(x,y)を11に更新する。
【0056】
尚、図12において、水平方向の近傍係数で非有意から有意へと状態遷移した場合に参照されるHの列と、垂直方向の近傍係数で状態遷移した場合に参照されるVの列は同一であるので、コンテクスト更新部107にはどちらか一方を格納しておき、水平方向、垂直方向を区別しないで使用してもよい。
【0057】
すなわち、本発明に係る画像符号化装置は、符号化された二値シンボルを用いて、コンテクスト格納105部に格納されたコンテクスト情報を更新する複数のコンテクスト更新部107、901、902と、多値信号のタイプに応じて一のコンテクスト更新部を選択するセレクタ903とをさらに備える。また、本発明は、多値信号が、画像データをウェーブレット変換したときの所定サブバンド内の所定領域に含まれるウェーブレット変換係数であって、多値信号のタイプが、ウェーブレット変換係数の属するサブバンドの種類を示すサブバンド識別信号であることを特徴とする。
【0058】
以上に述べたように、サブバンドごとに異なるコンテクスト生成方法を用いることにより、ウェーブレット変換係数の符号化に好適なビットプレーン符号化方式を実現することができる。本実施形態においても、コンテクストを格納する領域と、更新後のコンテクストを得るための状態遷移表を備え、コンテクストが変更されるような事象の発生した時に随時更新することにより、コンテクスト生成のためのメモリ容量を低減することができるとともに、コンテクスト生成処理の負荷軽減による高速化を期待することができる。
【0059】
<第3の実施形態>
図13は、本発明の第3の実施形態に係る画像符号化装置の構成を示すブロック図である。尚、図13においては、第1及び第2の実施形態で用いた図1及び図7と共通する部分については同じ符号で示しており、それらの説明を省略する。図13において、符号1201は複数パスビットプレーン走査部を示す。
【0060】
本実施形態による画像符号化装置は、第2の実施形態の画像符号化装置におけるビットプレーン走査部104を複数パスビットプレーン走査部1401に置き換えたものであり、その他の動作については第2の実施形態における画像符号化装置と同様である。また、第1及び第2の実施形態の画像符号化装置では、1枚のビットプレーンを1パスで走査していたのに対して、本実施形態による画像符号化装置においては、最上位のビットプレーンを除き、各ビットプレーンを3パスで走査する。以下、複数パスビットプレーン走査部1401の動作について説明する。
【0061】
複数パスビットプレーン走査部1401は、多値信号格納部103に格納される多値信号をNBP枚のビットプレーンに分割して、最上位ビットプレーン(NBP−1ビットプレーン)から下位ビットプレーン(0ビットプレーン)へ、また、同一ビットプレーン内においては3回のパスで二値シンボルを取り出して出力する。ビットプレーン中の一つの二値シンボルは3回のパスのうちのいずれか一つのパスにより取り出され、同一ビットプレーンの複数のパスで取り出すことはない。
【0062】
個々の多値信号について最初に符号化される「1」の直後には、ビットプレーン走査部104と同様にその多値信号の正負符号S(x,y)を出力する。ビットプレーン中の各ビットが3つのパスのどのパスに含まれるかは、コンテクスト格納部105に格納されるコンテクストC(x,y)を参照して定める。
【0063】
第1のパスでは、ビットプレーン内をラスタースキャン順に走査して、コンテクスト番号C(x,y)が1〜8であるMn(x,y)を取り出して出力する。この第1パスでは、着目する多値信号の周囲8近傍に有意状態にある多値信号がすくなくとも一つ存在する多値信号のビットを取り出して出力している。
【0064】
第2のパスでは、同じくビットプレーン内をラスタースキャン順に走査して、第1のパスに該当しなかったビットのうち、コンテクスト番号C(x,y)が9〜11であるMn(x,y)を取り出して出力する。この第2パスでは、着目する多値信号が有意状態にある多値信号のビットを取り出して出力している。
【0065】
第3のパスでは、ビットプレーン内をラスタースキャン順に走査して第1及び第2のパスに該当しなかったビットを取り出して出力する。最上位のビットプレーン(NBP−1ビットプレーン)では、第1及び第2のパスに該当するビットは存在しないため、第3のパスのみで走査される。
【0066】
本実施形態に係る画像符号化装置によれば、1つのビットプレーンを複数のパスで符号化することにより、上位ビットから下位ビットへと符号伝送する過程で、伝送符号量に対する復号精度を向上することができる。また、最終符号列を構成する際にビットプレーン単位での符号の並び替えからパス単位の符号並び替えにすることで符号構成の自由度を上げ、より高効率な段階的伝送が可能である。
<その他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した第1〜第3の実施形態においては、ビットプレーン内の走査をラスタースキャン順としたが、垂直方向に連続する複数信号をひとまとまりとし、このまとまりを単位にラスタースキャンを行い、一つの信号のまとまりにおいては上から下へと信号を走査するような方法を取ってもよい。また、ビットプレーン内の各ビットの符号化としてそれぞれのビット毎にコンテクストを生成して二値算術符号化する方式について述べたが、ランレングス符号化等の複数ビットをひとまとめに符号化する方式と組み合わせてもよい。
【0067】
また、二値算術符号化の方法としてMQ-Coderを用いる例について述べたが、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、QM-Coder等、MQ-Coder以外の算術符号化方法を適用してもよい。また、マルチコンテクストの情報源を符号化するに適する方式であればその他の二値符号化方式を適用してもよい。
【0068】
尚、本発明は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置等)に適用してもよい。
【0069】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体(または記憶媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0070】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0071】
本発明を上記記録媒体に適用する場合、その記録媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コンテクスト生成の負荷を軽減することにより多値信号のビットプレーン符号化処理の高効率化を図ることができるとともに、コンテクスト生成におけるメモリ容量を削減することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態による画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態による画像符号化装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【図3】入力される符号化対象の多値信号を説明するための図である。
【図4】M(x,y)とその周囲8近傍の多値信号M(x−1,y−1)、M(x,y−1)、M(x+1,y−1)、M(x−1,y)、M(x+1,y)、M(x−1,y+1)、M(x,y+1)、M(x+1,y+1)の位置関係を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態における「有意」及び「非有意」の状態の例を説明するための図である。
【図6】第1の実施形態で用いられる12種類のコンテクストを示す図である。
【図7】コンテクスト更新部107の内部に保持されている状態遷移表を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施形態でHLサブバンドの係数に適用するコンテクストを決定するための図である。
【図10】コンテクスト更新部901で使用される状態遷移表を示す図である。
【図11】HHサブバンドの係数に適用するコンテクストを決定するための図である。
【図12】コンテクスト更新部902で使用する状態遷移表を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図14】ウェーブレット変換とビットプレーン符号化とを組み合わせた符号化方式を使用した従来の画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図15】ウェーブレット変換によって符号化対象画像が複数のサブバンドへ分割される様子を説明するための図である。
【図16】2次元のウェーブレット変換処理を2回繰り返して画像のサブバンド分割を行った場合のサブバンドの例を示す図である。
【符号の説明】
101 多値信号入力部
102 符号・絶対値変換部
103 多値信号格納部
104 ビットプレーン走査部
105 コンテクスト格納部
106 二値算術符号化部
107、901、902 コンテクスト更新部
108 符号出力部
109 有効ビット数判定部
903 セレクタ
904 信号線
1401 複数パスビットプレーン走査部

Claims (7)

  1. 複数の多値データを、各多値データを表す二値シンボル毎に符号化する画像符号化装置であって、
    複数の位置(x、y)に対応する多値データM(x、y)ビットプレーンに分割し、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、n番目のビットプレーンの二値シンボルMn(x、y)を順次出力するビットプレーン走査手段と、
    前記多値データM(x、y)を持つ位置を含む領域の複数の多値データM(X、Y)(ここで、Xはx−1、x、x+1、Yはy−1、y、y+1)の状態に基づいて定まる、コンテクストC(x、y)を格納するコンテクスト格納手段と、
    前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(x、y)を用いて、前記二値シンボルMn(x、y)を、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、順次符号化する符号化手段と、
    前記符号化手段において、前記符号化対象となる多値データM(x、y)について、二値シンボルMn(x、y)を順次符号化する間に、多値データM(x、y)が非有意状態から有意状態へと遷移した場合に、
    前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値と、符号化対象となる位置からの相対位置と、更新後のコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値との関係を定めた状態遷移表を参照して、
    複数の多値データM(X、Y)についてのコンテクストC(X、Y)をそれぞれ更新し、再度、前記コンテクスト格納手段に格納する更新手段と、
    を備えたことを特徴とする画像符号化装置。
  2. 多値データM(X、Y)は、M(x−1、y−1)、M(x、y−1)、M(x+1、y−1)、M(x−1、y)、M(x+1、y)、M(x−1、y+1)、M(x、y+1)、M(x+1、y+1)、M(x、y)であり、コンテクストC(X、Y)は、コンテクストC(x−1、y−1)、C(x、y−1)、C(x+1、y−1)、C(x−1、y)、C(x+1、y)、C(x−1、y+1)、C(x、y+1)、C(x+1、y+1)、C(x、y)であることを特徴とする請求項1に記載の画像符号化装置。
  3. 前記多値データが、前記画像データをウェーブレット変換したときの所定サブバンド内の所定領域に含まれるウェーブレット変換係数であることを特徴とする請求項1に記載の画像符号化装置。
  4. 複数の多値データを、各多値データを表す二値シンボル毎に符号化する画像符号化方法であって、
    複数の位置(x、y)に対応する多値データM(x、y)をビットプレーンに分割し、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、n番目のビットプレーンの二値シンボルMn(x、y)を順次出力するビットプレーン走査工程と、
    前記多値データM(x、y)を持つ位置を含む領域の複数の多値データM(X、Y)(ここで、Xはx−1、x、x+1、Yはy−1、y、y+1)の状態に基づいて定まる、コンテクストC(x、y)をコンテクスト格納手段に格納するコンテクスト格納工程と、
    前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(x、y)を用いて、前記二値シンボルMn(x、y)を、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、順次符号化する符号化工程と、
    前記符号化工程において、前記符号化対象となる多値データM(x、y)について、二値シンボルMn(x、y)を順次符号化する間に、多値データM(x、y)が非有意状態から有意状態へと遷移した場合に、
    前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値と、符号化対象となる位置からの相対位置と、更新後のコンテクストC(X、Y)のそれぞれ の値との関係を定めた状態遷移表を参照して、
    複数の多値データM(X、Y)についてのコンテクストC(X、Y)をそれぞれ更新し、再度、コンテクスト格納手段に格納する更新工程と、
    を含むことを特徴とする画像符号化方法。
  5. 前記多値データが、前記画像データをウェーブレット変換したときの所定サブバンド内の所定領域に含まれるウェーブレット変換係数であることを特徴とする請求項4に記載の画像符号化方法。
  6. 複数の多値データを、各多値データを表す二値シンボル毎に符号化する画像符号化プログラムであって、
    複数の位置(x、y)に対応する多値データM(x、y)をビットプレーンに分割し、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、n番目のビットプレーンの二値シンボルMn(x、y)を順次出力するビットプレーン走査工程と、
    前記多値データM(x、y)を持つ位置を含む領域の複数の多値データM(X、Y)(ここで、Xはx−1、x、x+1、Yはy−1、y、y+1)の状態に基づいて定まる、コンテクストC(x、y)をコンテクスト格納手段に格納するコンテクスト格納工程と、
    格納されたコンテクストC(x、y)を用いて、前記二値シンボルMn(x、y)を、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、順次符号化する符号化工程と、
    前記符号化工程において、前記符号化対象となる多値データM(x、y)について、二値シンボルMn(x、y)を順次符号化する間に、多値データM(x、y)が非有意状態から有意状態へと遷移した場合に、
    前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値と、符号化対象となる位置からの相対位置と、更新後のコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値との関係を定めた状態遷移表を参照して、
    複数の多値データM(X、Y)についてのコンテクストC(X、Y)をそれぞれ更新し、再度、コンテクスト格納手段に格納する更新工程と、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする画像符号化プログラム。
  7. 複数の多値データを、各多値データを表す二値シンボル毎に符号化する画像符号化プログラムを格納した記憶媒体であって、
    複数の位置(x、y)に対応する多値データM(x、y)をビットプレーンに分割し、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、n番目のビットプレーンの二値シンボルMn(x、y)を順次出力するビットプレーン走査工程と、
    前記多値データM(x、y)を持つ位置を含む領域の複数の多値データM(X、Y)(ここで、Xはx−1、x、x+1、Yはy−1、y、y+1)の状態に基づいて定まる、コンテクストC(x、y)をコンテクスト格納手段に格納するコンテクスト格納工程と、
    前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(x、y)を用いて、前記二値シンボルMn(x、y)を、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向けて、順次符号化する符号化工程と、
    前記符号化工程において、前記符号化対象となる多値データM(x、y)について、二値シンボルMn(x、y)を順次符号化する間に、多値データM(x、y)が非有意状態から有意状態へと遷移した場合に、
    前記コンテクスト格納手段に格納されたコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値と、符号化対象となる位置からの相対位置と、更新後のコンテクストC(X、Y)のそれぞれの値との関係を定めた状態遷移表を参照して、
    複数の多値データM(X、Y)についてのコンテクストC(X、Y)をそれぞれ更新し、再度、前記コンテクスト格納手段に格納する更新工程と、
    をコンピュータに実行させる画像符号化プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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