JP3990070B2 - 照光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載用機器のオン・オフ動作状態の目視確認などに用いられる照光装置に係り、特に、照光領域となる導光体の前端面が斜め前方から目視されることの多い照光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車載用のオートエアコンなどにおいては、そのオン・オフ動作状態が瞬時に目視確認できるようにするため、スイッチオン状態では点灯しスイッチオフ状態では消灯する表示灯が設けられている。このような表示灯としては、アクリル樹脂等からなる導光体にLED等の光源を組み合わせて構成される照光装置が広く採用されており、例えばオートエアコンのパワースイッチのオン・オフ動作に対応して前記光源が点灯したり消灯するように配線されている。
【0003】
図4は、かかる照光装置の従来技術を説明するためのもので、スイッチ操作体1の開口部2に導光体3の前端面4が露出させてあり、この導光体3の後端面5と対向する位置にLED7が配置されている。この導光体3は、照光領域として目視される前端面4は平坦面であるが、LED7の光が照射される後端面5には鋸歯状の凹凸からなるセレーション5aが形成されており、また導光体3の側面6も平坦面なっている。
【0004】
このように構成される照光装置は、外部機器がスイッチオフ状態のときにはLED7が消灯しているが、その外部機器がスイッチオン状態になるとLED7が点灯するように配線されているので、スイッチ操作体1の開口部2に露出する導光体3の前端面4が照光されているか否かを見るだけで、その外部機器のオン・オフ動作状態を瞬時に確認することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車載用機器のうちカーエアコンなどのスイッチ操作体は、運転席の真正面ではなく助手席側へずれた位置に配設されることが多いので、パワースイッチのオン・オフ動作状態を示す表示灯として前記照光装置を採用しているオートエアコンなどでは、通常、その表示灯の照光領域となる導光体3の前端面4が斜め前方から運転者に目視されることになる。その場合、斜め前方から見る運転者の目8に入るLED7の光は、導光体3内において図4中の二点鎖線で示すような光路を進んだ光なので、図5に示すように運転者の目8には、導光体3の前端面4のうち自分に近い側と遠い側とで照光状態が大きく違って見えてしまうという不具合が発生する。つまり、図4において、セレーション5aを通過して図示左側の側面6へ向かって直進するLED7の光は、この側面6のほぼ全面で反射されて前端面4の図示左側および中央領域へと向かうので、これらの領域において前端面4は明るく照光されてしまい、側面6での反射光の影響が少ない前端面4の図示右側領域は相対的に暗く見えてしまう。しかし本来は、前端面4の図示右側領域のように明るさに縞模様の濃淡をもたせた照光状態が好ましく、側面6のほぼ全面で鏡面反射された光が輝いて見えてしまう前端面4の図示左側および中央領域の照光状態は、表示灯としては好ましくない。
【0006】
なお、導光体3の前端面4を覆う位置に、入射光を乱反射させることで照光状態を均一化させる透明性板材を配設した照光装置も提案されているが、部品点数が増加して取付作業も煩雑になるため、大幅なコストアップが避けられないという難点がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導光体の前端面を照光領域となしている照光装置において、斜め前方から見たときに反射光が過剰に目視される恐れのある導光体の側面に、適宜間隔を存して複数の凹部もしくは凸部を設けることとした。このようにすると、導光体の側面のうち凹部や凸部で反射される光の進行方向と平坦部で反射される光の進行方向とが大きく異なるため、導光体を斜め前方から見たとき、該側面での反射光で照光される前端面の一部領域が輝いて見えてしまう心配がなくなり、その照光状態は、該側面での反射光の影響が少ない前端面の他の領域の照光状態とほとんど区別できなくなる。その結果、この照光装置は、導光体を斜め前方から見たときにも、その前端面を照光むらが少なく品位も良好な照光状態となすことができる。また、導光体の前面に別部材を追加する必要がないので、コストアップを抑えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明による照光装置では、前端面が目視され、かつ後端面に鋸歯状の凹凸からなるセレーションを有する導光体と、この導光体の前記後端面に対向して配置された光源とを備え、前記導光体の側面に、反射光の進行方向をばらつかせるための凹部もしくは凸部を該側面の奥行き方向に沿って間隔を存して複数並設し、前記凹部もしくは凸部の形成されていない平坦部で前記凹部もしくは凸部から離れた場所へ光が前記前端面へ向かって鏡面反射するようにした。
また、該凹部もしくは凸部どうしの間隔を前記セレーションのピッチよりも大きく設定した。
【0009】
このような構成の照光装置は、光源から出射されセレーションを通過して導光体の側面へ向かって直進する光のうち、凹部や凸部へ向かう光とそれらの形成されていない平坦部へ向かう光とで反射光の進む方向が異なるため、導光体を斜め前方から見たときに、該導光体の前端面のうち側面での反射光で照光される領域を明るさに濃淡のある所望の照光状態、つまり該側面での反射光の影響が少ない前端面の他の領域と略同等の照光状態にすることができる。したがって、特定の斜め方向から目視される照光装置であれば、予め凹部もしくは凸部の大きさや間隔を適当に定めておくことにより、導光体の前端面の全領域を均一で高品位な照光状態となすことが可能となる。また、導光体を見る角度が違った場合でも、明るさに濃淡のある所望の照光状態はほとんど変わらず、同様の照光状態で見ることができる。
【0010】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は本発明の一実施例に係る照光装置の構成図、図2は図1の照光装置に備えられる導光体の前端面を特定方向から見たときの照光状態を示す説明図、図3は該導光体の前端面を異なる角度方向から見たときの照光状態を示す説明図であり、従来例の説明に用いた図4,5と対応する部分には同一符号が付してある。
【0011】
本実施例に係る照光装置は、車載用のオートエアコンなどのオン・オフ動作状態を示す表示灯として使用されるもので、図1に示すように、導光体3の側面6の形状が前記従来例と大きく異なっている。すなわち、本実施例においては、アクリル樹脂等からなる導光体3の側面6に奥行き方向に沿って丸溝形状の凹部6aが複数並設してあり、LED7から出射された光が導光体3の後端面5(セレーション5a)を通過して側面6へ向かって直進し該凹部6aで反射されても、その反射光のほとんどが前端面4から外れた向きに直進するようになっている。ただし、凹部6aどうしの間隔P2はセレーション5aのピッチP1よりも大きな値に設定してある。
【0012】
この照光装置は、図示せぬ回路基板に実装されているLED7の光を導光体3内へ導き、スイッチ操作体1の開口部2に露出している平坦な前端面4を照光領域となしている。そして、外部機器(オートエアコン)がスイッチオフ状態のときにはLED7が消灯し、スイッチオン状態になるとLED7が点灯するように配線されているので、導光体3の前端面4が照光されているか否かを見るだけで、その外部機器のオン・オフ動作状態を瞬時に確認できるようになっている。
【0013】
また、この照光装置は図3に示すように外部機器の操作パネル9に配列されたスイッチ操作体1の動作表示として用いられ、このスイッチ操作体1を含む操作パネル9は運転席の真正面ではなく助手席側へずれた位置に設置されているので、運転者は導光体3の前端面4を斜め前方から見ることが多く、その場合、運転者の目8に入る光は、導光体3内で図1中の二点鎖線で示すような光路を進む光ということになる。具体的には、セレーション5aを通過後、前端面4へ向かって直進するLED7の光は、前端面4のうち図1の右側領域を照光するので、該領域は図2のA部に示すように、明るさに縞模様の濃淡のある所望の照光状態を呈する。一方、セレーション5aを通過後、図1の左側の側面6へ向かって直進するLED7の光のうち、この側面6の凹部6aへ向かう光は前端面4へ向かっては反射されないが、凹部6aの形成されていない平坦部6bで凹部6aから若干離れた場所へ向かう光は、前端面4の同図左側および中央領域へ向かって鏡面反射されるので、これらの領域においても前端面4は、図2のB部に示すように、明るさに縞模様の濃淡のある所望の照光状態を呈する。したがって、斜め前方に座っている運転者が導光体3を見たとき、前端面4の全領域の照光状態はほぼ均一となって違和感がなく、しかも、ぎらつきのない高品位の照光状態が期待できる。
【0014】
なお、運転者の目8はほぼ特定の斜め方向から導光体3の前端面4を見ることになるので、その特定方向から見たときに前端面4の全領域が均一な照光状態を呈するように、予め凹部6aの大きさやその間隔P2を適当に定めておくことが好ましい。ただし、この照光装置は、前記特定方向に限らず種々の角度方向から導光体3の前端面4を見たときにも、前端面4の全領域はほぼ均一な照光状態を呈することになる。すなわち、図3に示すように、導光体3の前端面4を見る角度が真正面(0度)から5度、10度、15度、20度、25度、30度というように次第に大きくなると、縞模様の濃淡のピッチは次第に大きくなるが、見る角度が大きくなるのに伴って視界は小さくなり、導光体3の前端面4は小さく見えるため、運転者から見える縞模様は各角度の違いに拘らずほぼ一定となる。したがって、導光体3をどのような角度から見たとしても、前端面4には容易に視認されるような照光むらは起こらず、明るさに縞模様の濃淡のある所望の照光状態が維持され、照光状態の均一化や品位向上を図ることができる。
【0015】
また、この照光装置は、導光体3の側面6の形状に工夫を施すだけでよく、その前面に別部材を追加する必要がないので、コストアップの心配がない。しかも本実施例では、導光体3の側面6に形成されている凹部6aが円筒面にて内壁面が形成される丸溝形状であることから、側面が平坦面からなる既存の導光体の成形金型に若干の変更を加えるだけで簡単に該導光体3を作製することができる。ただし、導光体3の側面6に凹部ではなく凸部を設けることによっても、前端面4を所望の照光状態となすことは可能である。
【0016】
なお、上述した実施例では、導光体3の前端面4の面積が後端面5の面積よりも広くなっているが、これとは逆に、後端面5の面積を前端面4の面積よりも広くしておけば、LED7等の光源の光を導光体3内へ多量に導いて、相対的に狭い前端面4を品位を損なわずに明るく照光させることが可能となる。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0018】
前端面が目視されて後端面にセレーションを有する導光体と、この導光体の後端面に対向して配置されたLED等の光源とを備え、前記導光体の側面に、反射光の進行方向をばらつかせるための凹部もしくは凸部を該側面の奥行き方向に沿って間隔を存して複数並設し、前記凹部もしくは凸部の形成されていない平坦部で前記凹部もしくは凸部から離れた場所へ光が前記前端面へ向かって鏡面反射するようにし、また、該凹部もしくは凸部どうしの間隔を前記セレーションのピッチよりも大きく設定した照光装置なので、光源から出射されセレーションを通過して導光体の側面へ向かって直進する光のうち、凹部や凸部へ向かう光とそれらの形成されていない平坦部へ向かう光とで反射光の進む方向が異なり、それゆえ導光体を斜め前方から見たときに、該導光体の前端面のうち側面での反射光で照光される領域を明るさに濃淡のある所望の照光状態、つまり該側面での反射光の影響が少ない前端面の他の領域と略同等の照光状態にすることができる。したがって、この照光装置は、導光体を斜め前方から見たときにも、その前端面を照光むらが少なく品位も良好な照光状態となすことができると共に、導光体の前面に別部材を追加する必要がないため、コストアップを抑えることができる。
【0019】
また、導光体の側面に設ける前記凹部の形状を円筒面にて内壁面が形成される丸溝となせば、側面が平坦面からなる既存の導光体の成形金型に若干の変更を加えるだけで該凹部を簡単に付設することができるので、斜め前方から見ても照光状態が良好な導光体をより安価に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る照光装置の構成図である。
【図2】図1の照光装置に備えられる導光体の前端面を特定方向から見たときの照光状態を示す説明図である。
【図3】該導光体の前端面を異なる角度方向から見たときの照光状態を示す説明図である。
【図4】従来例に係る照光装置の構成図である。
【図5】図4の照光装置に備えられる導光体の前端面の照光状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 スイッチ操作体
3 導光体
4 前端面
5 後端面
5a セレーション
6 側面
6a 凹部
6b 平坦部
7 LED(光源)
8 運転者の目
Claims (3)
- 前端面が目視され、かつ後端面に鋸歯状の凹凸からなるセレーションを有する導光体と、この導光体の前記後端面に対向して配置された光源とを備え、
前記導光体の側面に、反射光の進行方向をばらつかせるための凹部もしくは凸部を該側面の奥行き方向に沿って間隔を存して複数並設し、前記凹部もしくは凸部の形成されていない平坦部で前記凹部もしくは凸部から離れた場所へ光が前記前端面へ向かって鏡面反射するようにしたことを特徴とする照光装置。 - 請求項1の記載において、前記導光体の側面に設ける前記凹部の形状を円筒面にて内壁面が形成される丸溝となしたことを特徴とする照光装置。
- 請求項1の記載において、該凹部もしくは凸部どうしの間隔を前記セレーションのピッチよりも大きく設定したことを特徴とする照光装置。
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