JP3989739B2 - 検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばボトル缶の開口部天面等を光学的に検査する検査装置に係り、特に、検査対象となる領域の表面上における汚れ等の2次元的な領域と、傷等の3次元的な領域とを区別する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばアルミニウム合金等からなるボトル缶では、ボトル缶の開口部天面においてキャップにより密封性が保持されている。このため、ボトル缶の開口部天面を検査する検査装置として、例えばボトル缶の開口部天面を撮像するラインCCDカメラ等の撮像装置を備え、この撮像装置から出力される画像データを処理することによって、キャップによる密封性を損なう傷等の欠損部や突出部が存在するか否かを検査する検査装置が知られている。
このような検査装置では、光源からボトル缶の開口部天面に投光される光の反射状態が、傷等の欠損部や突出部の有無によって変化することを利用しており、例えば開口部天面の画像データ上において、周囲の画素に比べて輝度値の変化が所定値を超える画素の領域が存在すると、この領域に傷等の欠損部や突出部が存在すると判断し、このボトル缶は不良であると判定するように設定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えばアルミニウム合金等からなるボトル型のDI缶(絞りしごき加工法による缶)の成形工程、特に、DI缶の内面塗装に至るまでの工程において、DI缶の内周面には、例えば絞りしごき加工時におけるDI加工用パンチとの摩擦によるパンチ痕や、DI缶を各成形工程間で移送する際の摩擦痕や汚れ等が形成されている場合がある。
そして、内面塗装が施された後のDI缶は、開口部において内周面が外周側に露出するカール形状となるようにカーリングが施され、露出した内周面によって開口部天面が形成される。このため、内周面に形成されていたパンチ痕や摩擦痕や汚れ等が、ボトル缶の開口部天面に現れる場合がある。
【0004】
ただし、これらのパンチ痕や摩擦痕や汚れ等は、開口部天面上での凹凸が無視できる、いわば2次元的なものであって、キャップと開口部天面との密封性を損なうものではないとみなすことができる。
しかしながら、これらのパンチ痕や摩擦痕や汚れ等が存在する領域は、これら以外の領域とは色が異なることから、上記従来技術の一例に係る検査装置において、光源から投光される光の反射状態(つまり、反射量)が変化してしまい、例えば単に汚れ等が開口部天面上に存在するだけで、このボトル缶は不良であると判定されてしまう場合がある。
これにより、キャップとの密封性に問題がないボトル缶までが、不良と判定されて、ボトル缶の製造における歩留まりが低下してしまうという問題が生じる。
【0005】
また、このような問題に対して、例えば2つ以上の撮像装置を備える検査装置によって、互いに異なる方向からボトル缶の開口部天面を撮像することにより、例えば単なる汚れ等のように表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在するだけであるか、あるいは、表面上での凹凸が無視できない3次元的な傷等の欠損部や突出部が存在するか否かを検査することができる。
しかしながら、このような検査装置では、撮像装置の数が増えることによって、装置を構成するのに要する費用が嵩むという問題が生じる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、単一方向から撮像を行う1つの撮像装置によって、所定の表面上における、例えば汚れ等の2次元的な領域と、例えば欠損部や突出部等の3次元的な領域とを、確実に判別することが可能な検査装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の検査装置は、互いに異なる原色の光(例えば、後述する実施の形態における赤色光および青色光)を異なる方向から検査対象物に照射する2つの照射手段(例えば、後述する実施の形態における第1および第2照射装置14A,14B)と、前記検査対象物からの光を、少なくとも2種類の前記互いに異なる原色の光信号に分解し、分解した前記光信号毎に、複数の画素における前記光信号の強度の情報からなる画像データ(例えば、後述する実施の形態における第1および第2画像データIMA、IMB)を生成する撮像手段(例えば、後述する実施の形態における撮像装置15および第1および第2画像データ生成部32A,32B)と、前記撮像手段により生成された前記光信号毎の前記画像データを比較して差異を抽出する差異抽出手段(例えば、後述する実施の形態における異常領域比較部34)と、前記差異抽出手段により抽出された前記差異の程度に応じて前記検査対象物の良否を判定する良否判定手段(例えば、後述する実施の形態における良否判定部35)とを備え、前記良否判定手段は、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在するだけであるのか、あるいは、表面上で凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在するのかを判別する構成とされるとともに、前記検査対象物は円環状の開口部天面を有する容器であり、前記検査対象物を中心軸線周りに回転させる回転手段を備え、前記照射手段は、前記撮像手段による撮像時に、前記開口部天面の周方向における所定領域に前記原色の光を照射し、前記撮像手段は、前記開口部天面の径方向に複数の画素が配置されるようにして、前記回転手段により回転させられる前記検査対象物の前記所定領域を撮像することを特徴としている。
【0008】
上記構成の検査装置によれば、2つの照射手段によって互いに異なる原色の光が異なる方向から検査対象物に照射されると、撮像手段は各原色の光毎に画像データを生成する。ここで、検査対象物に、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在する場合には、例えば周囲とは色が異なる汚れ等のように、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在する場合に比べて、差異抽出手段により抽出される差異が相対的に大きくなる。
すなわち、例えば3次元的な欠損部や突出部等が存在する領域では、照射手段からの照射方向に応じて、光の反射状態(特に、反射方向)が相対的に大きく変化する。一方、例えば表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域では、照射手段からの照射方向が変化した場合であっても、光の反射状態(特に、反射方向)の変化は相対的に小さい。
これにより、良否判定部は、差異抽出手段により抽出された差異の程度に応じて、例えば単に、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在するだけであるのか、あるいは、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在するのかを確実に判別することができる。
さらに、前記検査対象物は円環状の開口部天面を有する容器(例えば、後述する実施の形態におけるボトル缶11)であり、前記検査対象物を中心軸線周りに回転させる回転手段(例えば、後述する実施の形態における回転装置13)を備え、前記照射手段は、前記撮像手段による撮像時に、前記開口部天面の周方向における所定領域に前記原色の光を照射し、前記撮像手段は、前記開口部天面の径方向に複数の画素が配置されるようにして、前記回転手段により回転させられる前記検査対象物の前記所定領域を撮像することを特徴としているので、回転手段により回転させられる検査対象物の開口部天面の周方向における所定領域を、例えば検査対象物の回転速度に応じた所定回数に亘って撮像手段により撮像することによって、開口部天面の全面に対する画像データを生成することができる。
ここで、例えば容器の開口部を封止するキャップ等が、開口部天面において容器の密封性を保持する場合には、この開口部天面上において径方向に伸びる、例えば傷等のような3次元的な欠損部や突出部等が存在する場合に密封性が損なわれることとなる。
このため、撮像手段によって、開口部天面の径方向に複数の画素が配置されるようにして撮像を行うことにより、検査対象物の良否判定を的確に行うことができる。
【0009】
さらに、請求項2に記載の本発明の検査装置は、前記光信号毎の前記画像データにおいて、周囲の画素の領域での前記光信号の強度に比べて、前記光信号の強度の変化(例えば、後述する実施の形態における輝度値の変化)が所定値(例えば、後述する実施の形態における閾偏差)を超える画素の領域を、比較対象領域(例えば、後述する実施の形態における異常領域)として設定する比較対象領域設定手段(例えば、後述する実施の形態における第1および第2異常領域抽出部33A,33B)を備え、前記差異抽出手段は、前記比較対象領域設定手段により抽出された前記光信号毎の前記比較対象領域間の形状に関する差異を抽出することを特徴としている。
【0010】
上記構成の検査装置によれば、比較対象領域設定手段は、撮像手段により生成された光信号毎の画像データにおいて、周囲の画素の領域での光信号の強度に比べて、光信号の強度の変化が所定値を超える画素の領域を、比較対象領域として設定する。
これにより、検査対象物に、例えば周囲とは色が異なる汚れ等のように、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在する場合には、これ以外の領域に比べて光の反射状態(特に、反射量)が変化することから、この2次元的な領域が比較対象領域として設定される。
一方、検査対象物に、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在する場合には、これ以外の領域に比べて光の反射状態(特に、反射方向)が変化することから、この3次元的な領域が比較対象領域として設定される。
【0011】
ここで、照射手段の照射方向の差異に応じた比較対象領域の形状に関する変化、例えば形や面積の変化、位置のずれ等は、2次元的な領域よりも3次元的な領域の方が相対的に大きくなる。このため、良否判定部は、差異抽出手段により抽出された形状に関する差異の程度に応じて、例えば単に、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在するだけであるのか、あるいは、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在するのかを、より一層、確実に判別することができる。
【0012】
さらに、請求項3に記載の本発明の検査装置では、前記光信号毎の前記比較対象領域間の形状に関する差異は、前記光信号毎の前記比較対象領域に含まれる画素のうち、前記光信号毎の前記比較対象領域同士において異なる位置に配置された画素の数(例えば、後述する実施の形態における画素の個数N)であり、前記良否判定手段は、前記画素の数が所定数(例えば、後述する実施の形態における閾個数#N)を超える場合に、前記検査対象物を不良であると判定することを特徴としている。
【0013】
上記構成の検査装置によれば、検査対象物に、例えば周囲とは色が異なる汚れ等のように、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在する場合、および、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在する場合には、照射手段の照射方向の変化に応じて比較対象領域の形状に関する変化、例えば形や面積の変化、位置のずれ等が生じる。
ここで、例えば2つの比較対象領域を比較する際に、一方の比較対象領域、あるいは、他方の比較対象領域にのみ含まれる画素の数によって、比較対象領域の形状に関する変化、例えば形や面積の変化、位置のずれ等の程度を判別することができる。
これにより、良否判定手段は、光信号毎の比較対象領域に含まれる画素のうち、光信号毎の比較対象領域同士において異なる位置に配置された画素の数が所定数を超える場合に、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在すると判断することによって、検査対象物に対する不良判定を的確に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の検査装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る検査装置10の構成図であり、図2は図1に示す搬送装置12の平面図であり、図3(a)はボトル缶11の開口部天面11a上に存在する3次元的な欠損部の一例を示す模式図であり、図3(b)は第1画像データ生成部32Aから出力される画像データの一例を示す模式図であり、図3(c)は第2画像データ生成部32Bから出力される画像データの一例を示す模式図である。
【0017】
本実施の形態に係る検査装置10は、例えばアルミニウム合金からなるボトル型のDI缶(絞りしごき加工法による缶)の開口部天面の検査、特に、開口部天面に汚れや傷等が存在するボトル缶の再検査を行うものであって、例えば図1に示すように、搬送装置12と、回転装置13と、複数(例えば、2つ)の第1および第2照射装置14A,14Bと、撮像装置15と、画像処理装置16と、制御装置17とを備えて構成されている。
【0018】
搬送装置12は、検査対象となる複数のボトル缶11,…,11を、各ボトル缶11の検査が行われる回転装置13まで連続的に搬送し、後述する検査結果における良判定および不良判定に基づいて複数のボトル缶11,…,11を分別するものであって、例えば図2に示すように、コンベア21と、スライドテーブル22と、押出シリンダ23と、良缶押出シリンダ24と、不良缶ブローボックス25とを備えて構成されている。
【0019】
コンベア21のコンベアベルト21a上には、例えば搬送方向Pに一列に複数のボトル缶11,…,11が載置されている。
押出シリンダ23は、コンベア21によって搬送されるボトル缶11を、搬送方向の所定位置において、コンベアベルト21aに隣接するようにして設けられたスライドテーブル22へ押し出すものである。すなわち、コンベアベルト21aの鉛直方向上方に配置された略L字型のシリンダ先端部23aは、ボトル缶11の外周面に当接して、ボトル缶11の搬送方向Pへの移動を規制すると共に、搬送方向Pと交差する方向に往復動することによって、コンベアベルト21a上のボトル缶11を、スライドテーブル22上へ移動させる。
【0020】
スライドテーブル22の表面上には、回転装置13により回転駆動される回転板13aが、スライドテーブル22の表面と滑らかに連なるようにして設けられ、例えばこの回転板13aの所定位置に設けられた吸気口(図示略)からの吸気によって、ボトル缶11の底面が回転板13aに吸着可能とされている。ここで、ボトル缶11の中心軸線は、回転板13aの回転軸と同軸になるように設定されており、押出シリンダ23によってコンベア21から移動させられたボトル缶11は、回転板13aの表面上に底面を吸着させられた状態で中心軸線周りに回転させられる。
【0021】
良缶押出シリンダ24は、後述する検査結果における良判定および不良判定に基づいて、例えば良判定とされたボトル缶11を、回転板13a上からコンベアベルト21a上へ移動させるものである。すなわち、良缶押出シリンダ24のシリンダ先端部24aは、例えば回転板13aの鉛直方向上方においてボトル缶11の搬送方向Pと平行な方向に往復動することによって、回転板13a上に載置されたボトル缶11の外周面に当接し、ボトル缶11を回転板13a上からスライドテーブル22上へ押し出すようにして移動させる。
ここで、スライドテーブル22上には、良缶押出シリンダ24の往復動方向と交差する方向に沿ってコンベアベルト21aの鉛直方向上方の所定位置まで伸びる板状のガイド部材22aが設けられており、シリンダ先端部24aによって回転板13a上からスライドテーブル22上へ押し出されたボトル缶11は、ガイド部材22に当接すると、このガイド部材22aが伸びる方向に沿ってコンベアベルト21a上まで移動させられる。
【0022】
不良缶ブローボックス25は、後述する検査結果における良判定および不良判定に基づいて、例えば不良判定とされたボトル缶11を、吸気等によって回転板13a上から回収するものである。
【0023】
図1に示すように、2つの第1および第2照射装置14A,14Bは、互いに異なる方向から、回転板13a上に載置されたボトル缶11の開口部天面11aの周方向における所定の照射位置に対して、互いに異なる種類の原色の光を照射するものであって、例えば、第1照射装置14Aは赤色LED光源によって赤色光を照射し、第2照射装置14Bは青色LED光源によって青色光を照射するように設定されている。
【0024】
撮像装置15は、例えば入射光をダイクロック・プリズム15a等により光の三原色(赤色R・緑色G・青色B)の3つの光信号に分解し、3つのラインCCDセンサー15A,15B,15C(複数の電荷結合素子が一列に配列されたセンサー)で、それぞれの光信号毎に独立して撮像を行うCCDカメラとされている。
撮像装置15には、例えば回転装置13によるボトル缶11の回転と同期する外部同期信号等が制御装置17から入力されており、外部同期信号等によって撮像動作が制御されている。そして、撮像装置15の各ラインCCDセンサー15A,15B,15Cは、ボトル缶11の開口部天面の径方向に沿って複数の画素が配列されるように撮像を行い、各画素毎の輝度値の情報(例えば、0〜255の間の256段階での値)を具備する撮像データを画像処理装置16へ出力する。
【0025】
画像処理装置16は、例えば、信号選択部31と、複数(例えば、2つ)の第1および第2画像データ生成部32A,32Bと、複数(例えば、2つ)の第1および第2異常領域抽出部33A,33Bと、異常領域比較部34と、良否判定部35とを備えて構成されている。
【0026】
信号選択部31は、撮像装置15の各ラインCCDセンサー15A,15B,15Cから入力される、三原色(赤色R・緑色G・青色B)に対応した各撮像データのうち、各照射装置14A,14Bにより照射される光の原色(例えば、赤色R、青色B)に対応する各撮像データを選択し、各画像データ生成部32A,32Bへ出力する。
例えば、信号選択部31は、赤色光に対応する撮像データを第1画像データ生成部32Aへ出力し、青色光に対応する撮像データを第2画像データ生成部32Bへ出力するように設定されている。
【0027】
各画像データ生成部32A,32Bは、信号選択部31から逐次入力される撮像データを時系列データとして配列して、例えば帯状等の画像データを生成し、各異常領域抽出部33A,33Bへ出力する。すなわち、互いに照射方向が異なる第1および第2照射装置14A,14Bから照射される各光の原色(例えば、赤色R、青色B)毎に、ボトル缶11の開口部天面11aが撮像された第1および第2画像データIMA、IMBが生成される。
これにより、例えば、回転装置13により回転させられるボトル缶11の一回転分の撮像データにより、ボトル缶11の開口部天面11aの一周分の画像データが、各光の原色(例えば、赤色R、青色B)毎に生成される。
【0028】
各異常領域抽出部33A,33Bは、各画像データ生成部32A,32Bから入力される画像データにおいて、例えば、周辺の画素に比べて、輝度値の変化が所定の閾偏差(例えば、輝度値を0〜255の間の256段階で記述する場合において、30段階の偏差)を超える画素の領域(異常領域)を抽出する。
例えば、各異常領域抽出部33A,33Bは、異常領域に含まれる各画素に対して異常判定フラグのフラグ値に「1」を設定し、異常領域以外の各画素に対して異常判定フラグのフラグ値に「0」を設定し、各画素毎の異常判定フラグのフラグ値を異常領域比較部34へ出力する。
これにより、ボトル缶11の開口部天面11a上に、例えば周囲とは色が異なる汚れ等のように、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在する場合には、この汚れの部分と、汚れの無い部分とにおける光の反射量に差異が生じることから、この汚れの部分に対応する画素の領域が異常領域として抽出される。
また、ボトル缶11の開口部天面11a上に、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在する場合には、この傷の部分と、傷の無い部分とにおける光の反射方向に差異が生じ、傷の有無によって輝度値に差異が生じる。これにより、欠損部や突出部等の位置に対応する画素の領域が異常領域として抽出される。
【0029】
異常領域比較部34は、各画像データ生成部32A,32Bから入力される各異常領域の情報を比較し、特に、第1および第2照射装置14A,14Bの照射方向の違いに起因する各異常領域の位置や形状に関する差異を抽出する。
例えば異常領域比較部34は、第1異常領域抽出部33Aから入力される各画素毎の異常判定フラグのフラグ値を第1異常判定フラグ値とし、第2異常領域抽出部33Bから入力される各画素毎の異常判定フラグのフラグ値を第2異常判定フラグ値とし、各画像データ上の同等位置の各画素毎に第1異常判定フラグ値と第2異常判定フラグ値とが一致するか否かを判定する。そして、この判定結果において、不一致となる画素の個数Nを算出し、良否判定部35へ出力する。
【0030】
例えば、図3(a)に示すように、ボトル缶11の開口部天面11a上の適宜の位置において径方向に伸びる断面視略V字形の凹部30が存在し、例えば第1照射装置14Aの照射方向が凹部30を形成する一方の側面30Aに指向するように設定され、第2照射装置14Bの照射方向が凹部30を形成する他方の側面30Bに指向するように設定されていると、第1画像データ生成部32Aから出力される画像データ(例えば、図3(b))と、第2画像データ生成部32Bから出力される画像データ(例えば、図3(c))とにおいて、それぞれ抽出される異常領域の位置および形状に差異が生じる。
すなわち、第1照射装置14Aから照射される光(例えば、赤色光)に対しては、開口部天面11aでの反射方向と凹部30の他方の側面30Bでの反射方向との差異は相対的に小さく、開口部天面11aでの反射方向と凹部30の一方の側面30Aでの反射方向との差異は相対的に大きくなる。このため、第1画像データ生成部32Aから出力される画像データにおいて、輝度値が最も低下する異常領域Aは凹部30の一方の側面30A近傍となる。
【0031】
一方、第2照射装置14Bから照射される光(例えば、青色光)に対しては、開口部天面11aでの反射方向と凹部30の一方の側面30Aでの反射方向との差異は相対的に小さく、開口部天面11aでの反射方向と凹部30の他方の側面30Bでの反射方向との差異は相対的に大きくなる。このため、第2画像データ生成部32Bから出力される画像データにおいて、輝度値が最も低下する異常領域Bは、凹部30の他方の側面30B近傍となる。
つまり、ボトル缶11の開口部天面11a上に、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在する場合には、第1画像データ生成部32Aから入力される異常領域と第2画像データ生成部32Bから入力される異常領域との位置や形状に関する差異は相対的に大きいため、各フラグ値が不一致となる画素の個数Nが相対的に多くなる。
【0032】
これに対し、ボトル缶11の開口部天面11a上に、例えば周囲とは色が異なる汚れ等のように、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在する場合には、第1画像データ生成部32Aから入力される異常領域と第2画像データ生成部32Bから入力される異常領域との位置や形状に関する差異は相対的に小さいため、各フラグ値が不一致となる画素の個数Nが相対的に少なくなる。
例えば、第1および第2照射装置14A,14Bの照射方向の差異が僅かであれば、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域において反射される各光の反射方向の差異も僅かであり、この反射方向の差異に起因する各異常領域の位置や形状の差異は相対的に小さくなる。
一方、第1および第2照射装置14A,14Bの照射方向の差異が僅かであっても、例えば傷等のような3次元的な欠損部や突出部等の形状によっては、各光の反射方向の差異が大きくなり、この反射方向の差異に起因する各異常領域の位置や形状の差異は相対的に大きくなる。
【0033】
以上により、互いに照射方向が異なる第1および第2照射装置14A,14Bから照射される各光の原色(例えば、赤色R、青色B)毎に抽出された各異常領域の位置や形状に関する差異の程度によって、これらの異常領域が、開口部天面11a上の単なる汚れ等のような表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域であるか、あるいは、傷等のような表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部であるかを判別することができる。
【0034】
良否判定部35は、異常領域比較部34から入力される各異常領域の位置や形状に関する差異に基づいて、検査対象とされるボトル缶11に対する良判定あるいは不良判定を行う。
例えば良否判定部35は、異常領域比較部34から入力される各異常判定フラグ値の不一致となる画素の個数Nが所定の閾個数#N(例えば、15)を超える場合に、ボトル缶11の開口部天面11a上に、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在すると判断して、検査対象とされるボトル缶11を不良であると判定し、この判定結果を制御装置17へ出力する。
【0035】
制御装置17は、搬送装置12および回転装置13の駆動、撮像装置15の撮像動作等を制御するものであって、例えば、回転装置13によるボトル缶11の回転と同期させて、撮像装置15によってボトル缶11の開口部天面11aの撮像を行う。
さらに、制御装置17は、画像処理装置16の良否判定部35から入力されるボトル缶11に対する良否判定に応じて、例えばボトル缶11が不良であると判定された場合には、回転板13a上のボトル缶11を不良缶ブローボックス25内へ回収する。一方、ボトル缶11が良であると判定された場合には、回転板13a上のボトル缶11を良缶押出シリンダ24によってスライドテーブル22上へ押し出し、コンベアベルト21a上まで移動させる。
【0036】
本実施の形態による検査装置10は上記構成を備えており、以下に、この検査装置10の動作、特に、ボトル缶11の良否判定の処理について説明する。
図4は、図1に示す検査装置10の動作を示すフローチャートである。
【0037】
先ず、図3に示すステップS01においては、互いに照射方向が異なる第1および第2照射装置14A,14Bから照射される各光の原色(例えば、赤色R、青色B)毎に、ボトル缶11の開口部天面11aを撮像した第1および第2画像データIMA、IMBを生成する。
次に、ステップS02においては、各画像データIMA、IMB毎に、例えば、周辺の画素に比べて、輝度値(例えば、0〜255の間の整数)の変化が所定の閾偏差(例えば、30)を超える画素の領域を異常領域として設定し、この異常領域に含まれる各画素に対して異常判定フラグのフラグ値に「1」を設定する。また、異常領域以外の各画素に対しては、異常判定フラグのフラグ値に「0」を設定する。
【0038】
次に、ステップS03においては、各画像データIMA、IMB上の同等位置の各画素毎に異常判定フラグのフラグ値を比較し、比較結果が不一致となる画素の個数Nを算出する。
次に、ステップS04においては、異常判定フラグのフラグ値の比較結果が不一致となる画素の個数Nが、所定の閾個数#N(例えば、15)を超えるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS05に進み、ボトル缶11の開口部天面11a上に、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在すると判断して、検査対象とされるボトル缶11を不良であると判定し、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS06に進み、ボトル缶11の開口部天面11a上に、例えば周囲とは色が異なる汚れ等のように、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在すると判断して、検査対象とされるボトル缶11を良であると判定し、一連の処理を終了する。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態に係る検査装置10によれば、互いに照射方向が異なる2つの光の原色毎に、ボトル缶11の開口部天面11aを撮像した第1および第2画像データIMA、IMBを生成し、両画像データIMA、IMBにおいて抽出される異常領域の位置や形状を比較することによって、これらの異常領域が、開口部天面11a上の単なる汚れ等のような表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域であるか、あるいは、傷等のような表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等であるかを、確実に判別することができる。
これにより、ボトル缶11の開口部天面11a上に、キャップとの間の密封性を損なう3次元的な欠損部や突出部等が存在する場合にのみ、ボトル缶11を不良であると判定し、キャップと開口部天面11aとの密封性を損なわない単なる汚れ等が存在するだけのボトル缶11を良であると判定することができ、ボトル缶11の製造過程における歩留まりを向上させることができる。
【0040】
しかも、開口部天面11a上における3次元的な欠損部や突出部等の存在を判別する際に、1つの撮像装置15からの画像データを利用するだけで済み、例えば2台以上の撮像装置によって2次元的な領域と3次元的な領域とを区別する場合に比べて、装置の構成に要する費用を削減することができる。
【0041】
なお、上述した本実施の形態において、撮像装置15は3つのラインCCDセンサー15A,15B,15Cを備えるとしたが、これに限定されず、例えば3つのエリアセンサーを備えてもよい。また、センサーの個数は3つに限らず、少なくとも2つ以上であればよい。
要するに、光の三原色(赤色R・緑色G・青色B)の各光信号毎に独立して撮像を行う少なくとも2つ以上のセンサーを備えていればよい。
【0042】
なお、上述した本実施の形態において、画像処理装置16は、2つの第1および第2画像データ生成部32A,32Bと、2つの第1および第2異常領域抽出部33A,33Bとを備えるとしたが、これに限定されず、例えば光の三原色(赤色R・緑色G・青色B)の各光信号毎に対応して、3つの画像データ生成部および異常領域抽出部を備えてもよい。
この場合には、信号選択部31を省略し、3つの異常領域抽出部からの出力のうち、何れか2つの出力を選択して異常領域比較部34へ入力する選択部を備えていればよい。また、3つの異常領域抽出部からの出力を比較して、ボトル缶11の良否を判定してもよい。
【0043】
なお、上述した本実施の形態においては、輝度値を0〜255の間の256段階の値で記述したが、これに限定されず、適宜の段階数で記述してもよい。
また、良否判定部35での判定処理において参照する所定の閾個数#Nは、画像データの各画素の大きさに応じて可変としてもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の本発明の検査装置によれば、差異抽出手段により抽出された差異の程度に応じて、例えば単に、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在するだけであるのか、あるいは、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在するのかを確実に判別することができる。また、開口部天面の径方向に複数の画素が配置されるようにして撮像を行うことにより、検査対象物の良否判定を的確に行うことができる。さらに、請求項2記載の本発明の検査装置によれば、差異抽出手段により抽出された比較対象領域の形状に関する差異の程度に応じて、例えば単に、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在するだけであるのか、あるいは、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在するのかを、より一層、確実に判別することができる。
【0045】
さらに、請求項3記載の本発明の検査装置によれば、光信号毎の比較対象領域に含まれる画素のうち、光信号毎の比較対象領域同士において異なる位置に配置された画素の数が所定数を超える場合に、例えば傷等のように、表面上での凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在すると判断することによって、検査対象物に対する不良判定を的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る検査装置を示す構成図である。
【図2】 図1に示す搬送装置の平面図である。
【図3】 図3(a)はボトル缶の開口部天面上に存在する3次元的な欠損の一例を示す模式図であり、図3(b)は第1画像データ生成部から出力される画像データの一例を示す模式図であり、図3(c)は第2画像データ生成部から出力される画像データの一例を示す模式図である。
【図4】 図1に示す検査装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 検査装置
13 回転装置(回転手段)
14A 第1照射装置(照射手段)
14B 第2照射装置(照射手段)
15 カメラ(撮像手段)
32A 第1画像データ生成部(撮像手段)
32B 第2画像データ生成部(撮像手段)
33A 第1異常領域抽出部(比較対象領域設定手段)
33B 第2異常領域抽出部(比較対象領域設定手段)
34 異常領域比較部(差異抽出手段)
35 良否判定部(良否判定手段)
Claims (3)
- 互いに異なる原色の光を異なる方向から検査対象物に照射する2つの照射手段と、前記検査対象物からの光を、少なくとも2種類の前記互いに異なる原色の光信号に分解し、分解した前記光信号毎に、複数の画素における前記光信号の強度の情報からなる画像データを生成する撮像手段と、前記撮像手段により生成された前記光信号毎の前記画像データを比較して差異を抽出する差異抽出手段と、前記差異抽出手段により抽出された前記差異の程度に応じて前記検査対象物の良否を判定する良否判定手段とを備え、 前記良否判定手段は、表面上での凹凸が無視できる2次元的な領域が存在するだけであるのか、あるいは、表面上で凹凸が無視できない3次元的な欠損部や突出部等が存在するのかを判別する構成とされるとともに、前記検査対象物は円環状の開口部天面を有する容器であり、前記検査対象物を中心軸線周りに回転させる回転手段を備え、前記照射手段は、前記撮像手段による撮像時に、前記開口部天面の周方向における所定領域に前記原色の光を照射し、前記撮像手段は、前記開口部天面の径方向に複数の画素が配置されるようにして、前記回転手段により回転させられる前記検査対象物の前記所定領域を撮像することを特徴とする検査装置。
- 前記光信号毎の前記画像データにおいて、周囲の画素の領域での前記光信号の強度に比べて、前記光信号の強度の変化が所定値を超える画素の領域を、比較対象領域として設定する比較対象領域設定手段を備え、前記差異抽出手段は、前記比較対象領域設定手段により抽出された前記光信号毎の前記比較対象領域間の形状に関する差異を抽出することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
- 前記光信号毎の前記比較対象領域間の形状に関する差異は、前記光信号毎の前記比較対象領域に含まれる画素のうち、前記光信号毎の前記比較対象領域同士において異なる位置に配置された画素の数であり、前記良否判定手段は、前記画素の数が所定数を超える場合に、前記検査対象物を不良であると判定することを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
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