以下、本発明の好適な実施の形態に係る投写表示装置を添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態においては、液晶表示装置として液晶プロジェクタを採用している。
(第1の実施形態)
第1の実施形態を 図1〜 図3に基づき説明する。 図1に示す液晶プロジェクタはリア投写型の3枚式液晶プロジェクタに形成されている。
この液晶プロジェクタは筐体11を有し、この筐体11の内部に赤色、緑色、青色のそれぞれの像表示を行う3枚の液晶パネル12R,12G,12Bと、この液晶パネルのそれぞれに対応して設置した板状の発光体13R,13G,13Bと、この光源体のそれぞれに設置した冷却手段としての板状の冷却体14R,14G,14Bと、ダイクロイックプリズム15と、投写レンズ16とを備える。前記発光体13R,13G,13Bと、前記冷却体14R,14G,14Bとで光源体が構成されている。液晶パネル12R〜12B、光源体(発光体13R〜13B、冷却体14R〜14B)は表示色の組毎にダイクロイックプリズム15の各側面の光入射側に配置されている。
ダイクロイックプリズム15の出光側には投写レンズ16が配置されている。投写レンズ16の出光側には所定距離を置いて透過型のスクリーン17が配置されている。投写レンズ16は図では1枚のレンズで表してあるが、通常、複数枚のレンズで構成される。
この液晶プロジェクタはリア投写型に属するものであって、すなわち、20インチ程度のサイズを持った透過型のスクリーン17のリア側(プロジェクタが存在する側)から、拡大された映像が投写される、タイプのものである。なお、液晶プロジェクションテレビでは、このスクリーンが筺体11に固定されている。
ここで、液晶パネル12R〜12Bそれぞれの光源側の側面を背面、またその方向を背面側と呼び、液晶パネル12R〜12Bそれぞれの出光側を必要に応じて前面側と呼ぶことにする。液晶パネル12R,12G,12Bのそれぞれは、挟持した液晶層を電気的に駆動する素子を形成した基板、偏光板、位相差板などを積層して形成され、赤色、緑色、及び青色の像を表示するようになっている。各液晶パネルのサイズは、対角サイズで例えば33mm(1.3インチ)に形成される。
発光体13R,13G,13Bのそれぞれは、赤色、緑色、または青色の発光を担う有機薄膜からなる電界発光層の構造を板状に形成した有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を用いている。
すなわち、発光体13R,13G,13Bの発光膜部分のそれぞれは 図2に示すように、透明基板20であるガラス基板と、このガラス基板上に形成された透明の導電薄膜層から成る透明電極層21と、この電極層の上に形成された赤色、緑色、または青色で発光する有機薄膜層から成る発光層22と、この発光層を挟んで積層された反射ミラーを兼ねた金属膜から成る反射電極層23とを備える。透明電極層21、発光層22、及び反射電極層23により発光膜構造LTを形成している。光源体の有効発光領域は対角サイズが33mm以上に形成され、液晶パネルの背面側に近接して配置される。
透明電極層21と反射電極層23との間に印加する電界によって発光層22が赤色、緑色、または青色で発光する。有機薄膜を形成する有機材料としては、赤色の場合は、キノリノールアルミ錯体に赤色の蛍光色素を添加した材料など(波長610nm程度)、緑色の場合は、キノリノールアルミ錯体など(波長540nm程度)、青色の場合は亜鉛のオキサゾール錯体など(波長460nm程度)が使用される。
発光体13R,13G,13Bのそれぞれには、図3に示すように、発光膜構造LTの背面側に貼り付けた、発光膜構造LTを封止する封止基板24を備える。封止基板24の材料としては、アルミニウム、銅などの金属が好適である。
また、冷却体14R,14G,14Bのそれぞれは、封止基板24からの伝導熱を伝える熱伝導体25と、この熱伝導体25の背面側に貼り付けられた板状の電子冷却素子26とを備える。熱伝導体25には、熱の良導体である液体や金属が使用される。例えば、熱伝導性に優れたシリコーングリース、或いは熱伝導性に優れた接着剤などである。その他、半田であっても良い。熱伝導体は、100〜200℃に耐える耐熱性を備えることが好ましい。
電子冷却素子26は、電流を通じると吸熱・発熱するペルチェ効果を利用した素子であり、その吸熱側が熱伝導体25側に一体的に貼り付けられている。
このため、熱伝導体25に伝えられた発光膜構造LTの発熱は電子冷却素子26により吸熱され、その熱が反対側から放熱される。電子冷却素子26の放熱側は自然放熱としてもよいが、図示しないヒートシンク材を取り付けて積極的に放熱することが望ましい。例えば、放熱フィンが好ましい。
さらに好ましくは、この放熱フィンからの放熱を積極的に行う目的で、放熱フィンの背面に放熱フィンの風冷用のファン(例えば、小型ファン)を設ける。この放熱ファンは個々の放熱フィンに対して設けるか、或いは筺体内に空気を対流させる目的の下で筺体の一部に設けても良い。
本実施形態の作用効果を説明する。赤色、緑色、及び青色の発光体13R,13G,13Bから発光された光は、各色毎に対向する液晶パネル12R,12G,12Bに入射する。この入射光は、赤色、緑色、及び青色の像を表示している液晶パネル12R,12G,12Bを照明する。液晶パネル12R,12G,12Bから出た像表示の光は、ダイクロイックプリズム15に入射して合成され、その合成光が投写レンズ16で例えば10倍に拡大される。拡大された光は透過型スクリーン17に投写される。これにより、スクリーン17上に、対角サイズで例えば330mm(13インチ)のカラー像が表示される。
この表示中に発光体13R,13G,13Bの各発光膜構造LTから発せられた熱は、封止基板24、熱伝導体25を介して冷却体26に伝えられる。冷却体26では、伝導してきた熱を吸熱・発熱し、放散する。このため、発光膜構造LT、すなわち発光層22で生じた熱はその殆どが発光体13R,13G,13Bに蓄積されることなく、外部に放散され、積極的に冷却される。
したがって、発熱に因る発光層22の発光性能の劣化が抑制され、光源としての寿命の長期化が達成される。また、表示画面の輝度も高い値に保持され、安定した明るい画面が創出される。
さらに、有機EL素子を用いた発光体を、その冷却体と共に搭載して、有機EL素子を光源として用いることの軽量化、小形化の利点を享受しつつ、従来の困難さを打破し、実用可能な投写表示装置を提供することができる。
なお、発光体としては上述したように赤、緑、または青の特定の色のみを発光するものに限定されることなく、3つの発光体に共通に、赤、緑、及び青の色の合成光を発する発光層、または、それらの3原色を含む白色光を発する発光層を搭載してもよい。この場合、図1の構成では、液晶パネル12R,12G,12Bのそれぞれとダイクロイックプリズム15との間に、赤、緑、及び青の色のみを透過する波長フィルタを各別に挿入すればよい。
また、画素毎の赤、緑、青のカラーフィルタを形成した1枚の液晶パネルと、白色光を発生する有機EL素子構造の1枚の発光体と、投写レンズとを組み合わせることもできる。
さらに、スクリーンとしては、透過型に代えて、100インチ程度のサイズを持った反射型のスクリーンを用いるプロジェクタ構造も可能である。反射型のスクリーンを用いた場合は、スクリーンに投影された映像が、プロジェクタが存在する側から観察される。
(第2の実施形態)
第2の実施形態を図4及び図5に基づき説明する。この実施形態も前述と同様に、有機EL素子を用いた発光体の冷却に関する。なお、第1の実施形態で説明したものと同一または同等の構成要素には同一な符号を付して、その説明を省略または簡略化する(この説明の仕方は、第3の実施形態及びそれ以降の実施形態でも同様とする)。
図4に示す液晶プロジェクタは、リア投写型の3枚式液晶プロジェクタに形成されている。第1の実施形態の液晶プロジェクタとは、有機EL素子を用いた発光体13R,13G,13Bの冷却手段が異なる。第1の実施形態のものは電子冷却素子を用いていたが、本実施形態では放熱フィンを用いた冷却体としている。
発光体13R,13G,13Bそれぞれの背面には、図4に示す如く、自然放熱に係る冷却手段としての冷却体31R,31G,31Bが各別に貼り付けられている。冷却体31R,31G,31Bの各々は、図5に示すように、封止基板24に形成した熱伝導体25と、この熱伝導体25に貼り合わした放熱フィン32とを備える。
放熱フィン32は、熱の良導体としての例えばアルミニウムの素材で形成されている。しかも、放熱フィン32の熱伝導体25とは反対側の面、すなわち放熱面は断面が波形となるように、複数本の凹凸から成る上下方向のうねり( 図5における放熱フィン32の縦方向)を形成してある。この放熱フィンの背面或いは筐体11の一部には、第1の実施形態で説明したと同様な放熱ファンを設けるとより好ましい。
このため、発光膜構造LTからの発熱は封止基板24及び熱伝導体25を通して放熱フィン32に導かれ、その放熱面から自然放熱により放散される。この結果、この第2の実施形態においても発光体13R,13G,13Bの発熱の蓄積を良好に抑制する冷却が行われ、第1の実施形態のときと同等の優れた効果が得られる。さらに、この場合、冷却手段が放熱フィンであるので、電子冷却素子のように通電の必要が無いので、電源回路を小形化できるという利点もある。
なお、上述した第2の実施形態に係る冷却体31R,31G,31Bは例えば 図6、7に示すように、種々の変形が可能である。 図6に示す冷却体は、上述した放熱フィン、熱伝導体、及び封止基板の3者を一体に形成して、放熱フィン付き封止基板33としたものである。これにより、よりコンパクトな構成が可能になる。
さらに、 図7に示す冷却体は、図6のものと同様に、放熱フィン、熱伝導体、及び封止基板の3者を一体に形成して、放熱フィン付き封止基板33を得るとともに、放熱フィンの放熱面の中央部分CTを、波形の形状を維持しつつ、ほかの部分よりも外側に盛り上げ、表面積を余計に稼いでいる。これは、有機EL素子で成る面状の発光層の面中央部ほど発熱の度合いが高いことが知られているので、この部分の冷却をより強力に進めるためである。
(第3の実施形態)
第3の実施形態を図8〜図11に基づき説明する。この実施形態は、有機EL素子を用いた発光体の交換構造に関する。
図8に示す液晶プロジェクタは、リア投写型の3枚式液晶プロジェクタに形成されている。3枚の液晶パネル12R,12G,12Bの背面側のそれぞれには、着脱自在に取り付け可能な発光体13R(13G,13B)と、この発光体13Rの背面側に一体的に貼り付けられた冷却体34R(34G,34B)とを備える。この冷却体34R(34G,34B)は前述した図6と同様に構成されているが、その貼付け面積の大きさは発光体13R(13G,13B)の背面側面積よりも若干小さく形成されている。
発光体13R(13G,13B)の背面側の残された端部周辺には 図8、10、11に示すように、ボード35が貼り付けられている。ボード35は後述するように交換・取付け時の被ガイド部材として機能するとともに、その下端部を介して電源回路と電気的な導通をとる機能を有する。
この液晶プロジェクタにはさらに、上記ボード35、すなわち発光体及び冷却体の組をその上下方向に案内するための、ベース(図示せず)上に互いに対抗配置した1対の凹状のガイド36、36を有する。このガイド36、36のベース上の位置は、ボード差し込み時に発光体13R(13G,13B)が液晶パネル12R(12G,12B)の背面近傍に正確に位置するように、しかも、発光体から液晶パネルに至る光軸が真っ直ぐかつ正確に設定位置となるように位置決めされている。
1対のガイド36、36の中間のベース上の位置には図9に示すように、コネクタ37が配設されている。このコネクタ37には、前記ボード35の下端部に一体形成した突起状の差込み部35L(図10、11参照)が進退自在に挿入されるようになっている。差込み部35Lの一方の面には、発光体13R(13G,13B)に通じる電力、信号伝送用のプリント回路による端子部TNが実装されている。このため、ベース35(すなわち発光体と冷却体の組)がガイド36、36により案内されながらコネクタ37に差し込まれると、図示しない電力・信号回路と発光体13R(13G,13B)とが電気的に導通することになる。そのほかの構成そして機能は前述した実施形態のものと同様になっている。
このため、発光体13R,13G,13Bの発光性能が許容限度まで低下し、その寿命が尽きたと判断したときや、保守点検時などに、任意の発光体を単独でいつでも自在に交換可能になる。交換時には、古い方の発光体のみをボード35ごと一体に引き抜き、新しい発光体をボード35とガイド36、36とのガイド機能を利用してスムーズに差し込むことができる。これにより、発光体毎に簡単に交換でき、保守点検の手間が軽減されるとともに、任意の発光体だけを単独に交換できるから、保守点検のコストや保守用の部品コストの低減にも寄与する。
特に、カラー表示の3板式液晶プロジェクタでは3枚の液晶プロジェクタ毎に発光体が設置されており、その数も多いが、簡単に交換できることで、表示色のバランスを崩したまま駆動させるなどの不安定かつ低い表示品質の状態を少なくまたは回避できる。
また、交換後の発光体との電気的な接続確保は勿論のこと、ガイド36、36の正確な案内機能によって、発光体が交換後に所定の光学的位置へ容易かつ正確に復帰できる。交換された発光体の向きや位置が交換前に比べてずれることが無いから、液晶パネルへの光の入射状況も不変で、表示性能も高品質で安定させることができる。
なお、前述した被案内部材としてのボード及び案内部材としての形状や案内の仕組みは、本発明の趣旨の範囲内で種々の変形が可能である。
(第4の実施形態)
第4の実施形態を図12、図13に基づき説明する。この実施形態は、有機EL素子を用いた発光体からの出射光の向きの改善に関する。
本実施形態に係る液晶プロジェクタは、図12及び図13に示す光学配置を採る。なお、この光学配置は前述してきたように3板式の液晶プロジェクタに採用してもよいし、また単板式の液晶プロジェクタに採用してもよい。
図12及び図13に示す光学配置によれば、液晶パネル12R(12G,12B)と有機EL素子を用いた発光体13R(13G,13B)との間に、指向性調整手段としてのレンズアレイ41を挿入してある。このレンズアレイ41の光入射側、すなわち発光体側の入射表面には複数のマイクロレンズ41a,…,41aが2次元的に形成されている。この複数のマイクロレンズ41a,…,41aのピッチはそれぞれ、例えば、液晶パネル12R(12G,12B)の画素ピッチに対して4.5:1程度の割合に形成され、モアレが生じないかあるいは目立たなくて且つ極力細かく最適化されている。
これを定量的に表せば、マイクロレンズの焦点距離が発光体の発光層にほぼ一致する約1mm、液晶パネルの画素サイズがP(例えばP=33μm)の条件のとき、マイクロレンズ41aの曲率半径は約500μm、レンズピッチは4.5P(例えば150μm)で表される程度の曲率及びレンズピッチが好ましい。
このため、面光源としての発光体13R(13G,13B)から出射される光は通常、相当にランダムな方向の光成分が含まれるが、この光の各成分はレンズアレイ41のマイクロレンズ41a,…,41aによって指向性が調整され、好適には、その大部分がほぼ平行な光に揃えられて液晶パネル12R(12G,12B)に入射する。
したがって、発光体13R(13G,13B)から出射された光の大部分が効率良く且つ無駄が少なく液晶パネル12R(12G,12B)に入射することになる。これは、表示画面の輝度の低下を防止することになる。見方を変えると、光の指向性を平行にして効率良く液晶パネルに入射させる分、有機EL素子の発光力が小さくて済み、これはとりも直さず発熱に因る発光性能の劣化、つまり寿命の短縮を防止できることにもなる。
また、発光体13R(13G,13B)から出射された光またはレンズアレイ41に入射した光の中で、レンズアレイ41の光入射側または光出射側の表面で全反射する光成分(図12中の矢印A参照)は、マイクロレンズ41a,…,41aの寄与により多少は存在する。
このように全反射する光成分が、発光体13R(13G,13B)に戻った場合、その光成分は発光体の反射電極層で反射して、再びレンズアレイ41への入射光にリサイクルされる。このため、レンズアレイ41の配置は発光体から放射される光の利用効率の向上にも寄与する。
この第4の実施形態の変形例を図14、15に示す。この変形例に係る光学配置では、レンズアレイに代えて、指向性調整手段としてのプリズムアレイ42を図示の如く介挿させたものである。このプリズムアレイ42はその入射面に、複数のマイクロプリズム42a,…,42aを2次元的に形成したものである。複数のマイクロプリズム42a,…,42aは、レンズアレイのときと同様に、その境界面による入射光の全反射が極力少なく、かつ、なるべく平行な光が液晶パネルに向かって出射されるように、そのサイズ、頂点までの高さ、ピッチなどを設定するのが望ましい。これにより、前述したレンズアレイのときと同等な作用効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態を 図16、17に基づき説明する。この実施形態は、有機EL素子を用いた発光体からの出射光の効率改善に関する。
本実施形態に係る液晶プロジェクタは、図16に示す発光体を採用する。なお、この発光体は3板式の液晶プロジェクタに採用してもよいし、また単板式の液晶プロジェクタに採用してもよい。
図16に示す発光体によれば、透明基板としてのガラス基板43と、このガラス基板43上に積層された発光膜構造LT(透明電極層21、発光層22、及び反射電極層23)とを備える。この内、ガラス基板43の光出射側の出射面には、複数のドーム状のレンズ43a,…,43aを2次元的に配置したレンズアレイ構造を形成してある。この複数のレンズアレイのピッチは極力細かく且つ発光した光が極力、全反射(図中の矢印A参照)しないで出光するように最適化されている。これを定量的に表せば、レンズアレイ構造は、ガラス基板43の厚みが1mm、液晶パネルの画素ピッチがP(例えばP=33μm)の条件のとき、レンズ43の曲率半径が330μm、レンズピッチ4.5P(例えば150μm)で表される程度の曲率及びレンズピッチが好ましい。
このため、レンズアレイ構造が在ることで、発光層22全体で面光源として発光した光(図16では分かり易くするため、発光の様子の一部のみを表わしている)は、 図17に示すような平坦な光出射面を有するガラス基板20の場合に比べて、面全体としては全反射が少なくなる。つまり、液晶パネル12R(12G,12B)に向けた出光効率がレンズアレイ構造によって著しく増加する。このため出射した光の無駄が少なくなり、輝度の高い、明るいスクリーン画面が得られ、表示品質を高めることができる。
なお、図16においてガラス基板43の光出射面に全体として大きな1つのドーム型のレンズを形成することも想定されるが、そのようにした場合、基板面の中心部で相当に基板が厚くなってしまうこと、全反射がさほど無くならないなどの面で不利であり、前述したレンズアレイ構造の方が本発明には適している。
また、この第5の実施形態の変形例を図18に示す。この変形例では、マイクロレンズアレイ43aに代えて、マイクロプリズムアレイ43bを用いたものである。この変形例の発光体も、透明基板としてのガラス基板43と、このガラス基板43上に積層された発光膜構造LT(透明電極層21、発光層22、及び反射電極層23)とを備える。
この内、ガラス基板43の光出射側の出射面には、複数の三角形状のプリズム43b,…,43bを2次元的に配置したプリズムアレイ構造を形成してある。この複数のプリズムアレイのピッチは極力細かく且つ発光した光が極力、全反射(図中の矢印A参照)しないで出光するように最適化されている。したがって、図18に示す第5の変形例によっても、図17に示すような構造のものと同様に出射効率がよくなる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態を 図19〜図21に基づき説明する。この実施形態は、有機EL素子を用いかつ共振器構造を搭載した発光体を備えた投写表示装置に関し、これにより発光体自体の指向性及びスペクトル波形の改善に関する。
本実施形態に係る液晶プロジェクタは、図19に示すように、液晶パネル12R(12G,12B)の背面側に発光体13R(13G,13B)を各別に配置している。発光体13R,13G,13Bのそれぞれは前述してきたものとは異なり、近年開発が盛んな共振器構造を有している。この共振器構造としては、例えば、電子情報通信学会技術研究報告OME94−79号に開示されているものが知られている。
具体的には、発光体13R,13G,13Bのそれぞれは 図19に示す如く、ガラスなどの透明基板50に、誘電体多層膜からなるハーフミラー層51、SiO2などの透明誘電体膜からなるスペーサ層52、ITO(インジウム錫酸化物)などの透明導電膜からなる透明電極層53、電界発光に寄与する有機薄膜からなるホール注入層54、発光させる有機薄膜からなる発光層55、及び金属膜からなる反射電極層56をこの順に積層させて形成される。この内、ハーフミラー層51、スペーサ層52、透明電極層53、ホール注入層54、発光層55、及び反射電極層56により発光膜構造LTが形成される。
ハーフミラー層51と反射電極層56とにより共振器が構成されるから、発光層55で発光した光の内、共振器長さ(すなわち,ハーフミラー層51と反射電極層56との間の光学的な間隔)で決まる波長の光のみが共振して、効率良く外部へ出射される。この出射光が液晶パネル12R,12G,12Bを照明する光となり、そのほかの波長成分はその殆どが外部へは出射されない。
スペクトル中心の発光波長を決める共振器長はスペーサ層52、透明電極層53の厚みを調整して変えることができる。中心の発光波長を赤、緑、青のいずれに設定するかに応じて共振器長や発光層材料などが最適化される。
図20には、Applied.Physics Letters Vol.68 p2633-2635(1966)に示された、共振器構造を発光体13R(13G,13B)に持たせたときとそうでないときとのスペクトル波形を示してある。「共振器構造あり」の曲線は「共振器構造なし」のものに比べて、半値幅が狭く、鋭いピークを持つ。このため、発光体13R(13G,13B)に共振器構造を持たせることで、発光体自体から出射される光(赤、緑、青それぞれの光)の純度を高めることができる。このため、所望の波長以外の不要な波長成分が少なくなり、高品質のカラー表示が可能になる。
図21には、同文献に示された、共振器構造を発光体13R(13G,13B)に持たせたときとそうでないときとの指向性を示す。「共振器構造あり」の指向性は「共振器構造なし」のものに比べて、光源正面方向に鋭くなっている。このため、共振器構造を持たせることで、正面輝度の高い画像を提供することができる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態を図22〜図26に基づき説明する。この実施形態は、有機EL素子を用いた発光体の劣化判断の機構に関する。
有機EL素子を用いた発光体はその駆動時間の経過とともに自然現象として徐々に劣化し、輝度が徐々に低下することが分かっている。この定性的な低下の様子を 図22に表す。駆動時間と輝度との関係は同図に示すように、縦軸及び横軸とも対数でプロットすると、ほぼ直線的に低下する。また、有機EL素子の発光層構造は、通常、定電流で駆動されるが、駆動時間と発光層構造の端子電圧との関係は定性的には図23のように表される。つまり、駆動時間が増えてきて劣化するにしたがって端子電圧が徐々に増加するようになる。なお、この図22、23の特性の傾きなどの細かい変化の具合は、使用する有機材料(すなわち発光させる色)によって異なる。
さらに、有機EL素子の発光膜構造に流す電流と発光輝度との定性的な関係を 図24に示す。すなわち、同図に示すように、縦軸及び横軸とも対数でプロットすると電流に対してほぼ直線的に発光輝度が増加するように変化する。
これらの状況を踏まえて、本実施形態に係る投写表示装置としての液晶プロジェクタは、図25に示す測定・制御回路を発光体13R(13G,13B)に接続している。発光体13R(13G,13B)の発光膜構造LTの電極間には定電流源60が接続され、定電流駆動される。この定電流源60は制御信号によって流す定電流値を変更できるようになっている。
発光膜構造LTの電極間には、また、この電極間の端子電圧を測定する電圧計61が接続されている。この電圧計61の計測信号はA/D変換器62によりデジタル量に変換され、CPU63に取り込まれる。CPU63には発光体の交換時期を告知するLED64が接続されるとともに、D/A変換器65が接続されている。CPU63は 図26の処理を行ってLED64を点灯させる一方で、制御信号を、D/A変換器65を介して前記定電流源60に送り、定電流値を制御するようになっている。
CPU63の制御動作の一例を 図26に基づいて説明する。この制御は一定時間毎かつ色毎に、例えば1時間毎の割込み処理として実行される。
CPU63は、まず、A/D変換器62を介して電圧計61の計測電圧値を読み込む(ステップS1)。次いで、図23に示した曲線のテーブルを参照することで、計測した電圧値に対応した駆動時間の積算値を逆演算する(ステップS2)。次いで、図22に示した曲線のテーブルを参照することで、駆動時間の積算値に対応した輝度Bを逆演算する(ステップS3)。
続いて、求めた輝度Bが予め設定してある輝度の許容値B0 に等しいかまたはそれを未だ上回っているか否かを判断する(ステップS4)。この判断でNO、すなわちB<B0 のときは、輝度が許容値よりも低下してその色の画像が暗くなっているのであるから、直ちにLED64を点灯させ、発光体を交換した方が良い旨の告知を行う(ステップS5)。
反対にステップS4の判断でYESのときは、赤、緑、青の色バランスが設定した通りの状態であるか否かを3色の輝度値に基づき判断する(ステップS6)。色バランスが設定状態ではない(NO)のときは、 図24に示した曲線のテーブルを参照して、所望の輝度値を得るための駆動電流値を逆演算する(ステップS8)。そこで、CPU63はその駆動電流値を得るための制御信号を、D/A変換器65を介して定電流源60に送る。これにより、駆動電流値が補正され、発光体13R(13G,13B)が担当している色の所望輝度値が得られる。
このように発光体の端子電圧をモニタすることにより、発光体の交換時期を自動的に的確に知らせることができ、保守が容易になるとともに、常に明るい画面を確保することができる。併せて、端子電圧値から色バランスが自動的に補正されるので、常に安定した高品質の画面が提供される。
なお、上述した図25の処理において、図22〜 図24に関わる逆演算は必ずしもテーブル参照でなくてもよく、その都度、近似曲線(直線)から計算により求めるようにしてもよい。また、より簡便な手法として、輝度値まで求めずに、端子電圧値から駆動時間の積算値を求め、この積算値を、経験上確定できる駆動時間の限界値と比較し、その比較結果で便宜的に発光層の寿命を判断するようにしてもよい。
またなお、上述した各実施形態の構成、手段の内、適宜なものを組み合わせて実施してもよく、その組み合わせにより、液晶プロジェクタ全体の小形化、軽量化、高輝度の明るい画面、保守点検の容易さなど、前述した各種の効果がより高められる。
(第8の実施形態)
第1の実施形態を図27に基づいて説明する。本実施形態は光源そして光源の制御方法及び装置に関する。図1は光源の概略構成含む断面図である。
発光体100は、ガラス基板101上に陽極となる透明電極膜102、有機発光層103及び陰極となる金属電極膜104が順次積層され、封止基板105で封止されて構成されている。この発光体100の平面的な大きさは、照明すべき対象にもよるが、例えば30mm×25mm程度とすることができる。
また、発光体100の封止基板105には熱伝導性の良いグリース109を介してヒートシンク106が設けられている。ヒートシンク106には熱伝導性の良いグリース109を介してペルチェ効果を利用した平板状の電子冷却素子107が取り付けられる。なお、発光体100を構成する封止基板105がヒートシンク106を兼ねても良く電子冷却素子107はフアン108で空冷される。
ヒートシンク106にはヒートシンクの温度を測定するために温度センサ110となる熱電対が埋め込まれている。温度センサ110としては熱電対以外にもサーミスタなどを用いることができ、また、温度センサはヒートシンクに埋め込まずにヒートシンクに貼り付けても良い。
温度スイッチ回路は、発光体100を点灯、消灯させる点灯スイッチ112と、電子冷却素子107に電力を供給あるいは不供給とする冷却スイッチ114とを駆動制御できる。直流電源113のプラス極は透明電極に、直流電源113のマイナス極は点灯スイッチ112を介して金属電極膜104にそれぞれ接続されている。直流電源115のプラス極は直接、マイナス極は冷却スイッチ114を介して電子冷却素子107に接続されている。
透明電極膜102と金属極膜104に、直流電源113からの直流電圧を印加することによって有機発光層103が発光し、発光光116はガラス基板101の方へ放射される。
有機発光層103は一層でも良いが、有機膜から成る電荷輸送層と有機発光膜との積層構造を用いることが多い。
つづいて、光源装置の制御方法について説明する。
まず、被照明体を照明するために有機EL面状光源を点灯する場合の手順を説明する。
発光体100を点灯する前に、冷却スイッチ114を閉じてまず電子冷却素子107を起動する。電子冷却素子107は直流電源115で駆動され、ヒートシンク106及び発光体100を徐々に冷やしていく。
ヒートシンク106の温度は温度センサ110でモニターされ、ヒートシンク106がある設定された温度、例えば10度Cになった時点で温度スイッチ回路111によって有機EL面状光源の点灯スイッチ112を閉じる。
点灯スイッチ112を閉じることによって発光体100に直流電源113から電力が供給され、発光体100が光を放射する。
発光体100が十分冷却されないうちに発光体100を点灯すると、有機EL素子の温度の上昇が著しくなり、短時間のうちに輝度が低下するなど有機EL素子の劣化が進む。
一方、有機EL素子を冷やしすぎると、有機EL素子表面や側面が結露し、この露は発光光の放射パターンの変化や、湿度によって特性の変化を生し易い有機膜の特性を変化させる原因となる。
電子冷却素子107で発光体100を冷やしても、有機EL素子が点灯している場合には、有機EL素子で発生する熱で有機EL素子の温度はヒートシンク106の温度より高い温度で定常状態になり、光源へ露が付くことはない。
次に、被照明体の照明をやめるために有機EL面状光源を消灯する場合の手順を説明する。
まず、発光体100を構成する有機発光層103に供給する電流を減らして発光輝度を下げる。発光輝度を下げるのとほぼ同時に冷却スイッチ114を開放して電子冷却素子107への電力の供給を停止し、冷却を停止する。
このとき、有機発光層103を流れる電流は、有機発光層がわずかに光っている程度で良く、発光体100の表面に露が付かない程度に発光体100が発熱していれば良い。
ここで、有機発光層103に大きな電流を流していると、冷却は停止しているので発光体100の温度が上昇し、光源としての機能の劣化を速めることになる。
ヒートシンク106の温度がある設定された温度、例えば10度Cまで上昇した時点で、点灯スイッチ112を開放して有機発光層103への電流の供給を停止し、有機EL素子を消灯する。
ここで説明した手順ではなく、発光体100の消灯と電子冷却素子107の停止を同時に行うと、ヒートシンク106は冷えたままであり、且つ、発光素子100の発熱は停止しているので、有機EL素子が冷やされて露付きが生じてしまう。
本実施形態の光源の構成において、発光体100の封止基板105とヒートシンク106との間に介在するグリース109のかわりに、熱伝導性の高いシートを介在させることも可能である。この場合、有機EL面状光源100をヒートシンク106から取り外すことが容易になり、有機EL面状光源100の交換が容易になる。
(第9の実施形態)
第9の実施形態を図28に基づいて説明する。本実施形態は投写表示装置に上記第8の実施の形態を適用したものに関する。図2は投写表示装置を構成する主たる光学系の概略断面図である。
なお、投写表示装置については第1の実施の形態で説明したものと同一または同等の構成要素には同一の符号を付し、また、光源装置の制御方法を実現する装置については第8の実施形態で説明したものと同一または同等の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略または簡略化する。この説明の仕方は第10の実施形態及びそれ以降の実施形態でも同様とする。
赤色成分の画像を表示する赤表示用液晶パネル12R、緑色成分の画像を表示する緑表示用液晶パネル12G、そして青色成分の画像を表示する青表示用液晶パネル12Bに表示される画像を、ダイクロイックプリズム15で合成した後、投写レンズ16で拡大してスクリーン17に表示する。
図を見やすくするために液晶パネル、投写レンズの構造は描いておらず、プロックとして描いてある。
また、スクリーン17としては反射型のスクリーン、あるいは透過型のスクリーンのどちらでも適用が可能である。
赤表示用液晶パネル12Rは、その背面に配置された赤色で発光する赤色発光体100Rによって照明される。発光体100Rは例えば図27に示したような構造を有し、やはり 図27に示されているようにヒートシンク106、電子冷却素子107及びファン108から構成される冷却機構で冷却される。図28では図を見やすくするために、図27には描かれているグリース、温度センサ、温度スイッチ回路は省いてあるが、第8の実施形態で説明したような制御方法によって電子冷却素子107の起動、停止そして有機EL面状光源の点灯、消灯が制御される。
緑表示用液晶パネル12Gそして青表示用液晶パネル12Bについても同様に、緑表示用液晶パネル12Gの背面には緑色で発光する緑色発光体100Gが、また、青表示用液晶パネル12Gの背面には青色で発光する青色発光体100Bが配置され、それぞれの有機EL面状光源は第8の実施形態で説明したような冷却機構で冷却される。
(第10の実施形態)
第10の実施形態を図29に基づいて説明する。本実施形態は光源そして光源の制御方法及び装置に関する。図29は光源の概略構成を示す断面図である。
図27に示した第8の実施形態の光源の構成とは温度センサ110の位置が異なるだけで、他の構成要素は同一である。
温度センサ110によって発光体100の温度を検出し、その温度によって発光体100の点灯スイッチ112あるいは電子冷却素子107の冷却スイッチ114を制御する温度スイッチ回路111を備えている。
次に、光源の制御方法について説明する。
まず、被照明体を照明するために有機EL素子を点灯する場合の手順を説明する。
発光体100を点灯する前に、まず電子冷却素子107を起動する。電子冷却素子107は直流電源115で駆動され、ヒートシンク106そして発光体100を徐々に冷やしていく。
発光体100の温度は温度センサ110でモニターされ、発光体100がある設定された温度、例えば10度Cになった時点で温度スイッチ回路111によって点灯スイッチ112を閉じる。
点灯スイッチ112を閉じることによって発光体100に直流電源113から電力が供給され、発光体100が光を放射する。
次に、被照明体の照明をやめるために有機EL素子を消灯する場合の手順を説明する。
まず、発光体100を構成する有機発光層103に供給する電流を減らして発光輝度を下げる。発光輝度を下げるのとほぼ同時に冷却スイッチ114を開放して電子冷却素子107への電力の供給を停止させ、冷却を停止させる。この時、有機発光層103を流れる電流は、有機発光層103がわずかに光っている程度で良く、発光体100の表面に露が付かない程度に有機EL素子が発熱していれば良い。
冷却を停止した後、しばらくはヒートシンク106が発光体100を冷却しているが、ヒートシンク106の温度が上昇を始めると発光体100の温度も上昇を始める。
発光体100の温度がある設定された温度、例えば10度Cまで上昇した時点で、点灯スイッチ112を開放して有機発光層103への電流の供給を停止し、有機EL素子を消灯する。
第8の実施形態そして第10の実施形態では、温度センサをヒートシンクあるいは有機EL素子のどちらか一方にだけ取り付けたが、両者に取付けて、ヒートシンクと有機EL素子の両方の温度を監視しながら冷却の開始、停止及び有機EL素子の点灯、消灯を行うタイミングを制御することも可能である。
(第11の実施形態)
第11の実施形態を説明する。本実施形態は投写型液晶表示装置に光源装置の制御装置を適用したものに関する。
第11の実施の形態は、要するに、第10の実施の形態を投写表示装置に適用したものである。
(第12の実施形態)
第12の実施形態を 図30に基づいて説明する。本実施形態は光源そして光源の制御方法及び装置に関する。図30は光源の概略構成を示す断面図である。
図27に示されている第8の実施形態の光源において、温度センサ110そして温度スイッチ回路111を取り除いて、かわりにタイマー回路121を備えた構成となっている。その他の構成要素、すなわち、発光体100、ヒートシンク106、電子冷却素子107、ファン108は第8の実施形態と同様である。
タイマー回路121は、発光体100の点灯スイッチ112あるいは電子冷却素子107の冷却スイッチ114を制御する。
光源の制御方法について説明する。
まず、被照明体を照明するために有機EL面状光源を点灯する場合の手順を説明する。
発光体100を点灯する前に、冷却スイッチ114を閉じてまず電子冷却素子107を起動する。電子冷却素子107は直流電源115で駆動され、ヒートシンク106及び有機EL面状光源100を徐々に冷やしていく。
冷却スイッチ114を閉じた時点からタイマー回路121が経過時間を計測し、冷却スイッチ114を閉じた時点からある設定された時間が経過した時点で、発光体100に接続されている点灯スイッチ112を閉じる。
点灯スイッチ112を閉じることによって、発光体100に直流電源113から.電力が供給され、発光体100が光を放射する。
冷却を開始してからの発光体100の温度変化を事前に測定することにより、冷却スイッチ114を閉じてから発光体100がある設定された温度になるまでの時間を求めることができ、この時間を基にして冷却スイッチ114を閉じてから点灯スイッチ112を閉じるまでの時間を設定することができる。
次に、被照明体の照明をやめるために、発光体100を消灯する場合の手順を説明する。
まず、発光体100を構成する有機発光層103に供給する電流を減らして発光輝度を下げる。発光輝度を下げるのとほぼ同時に冷却スイッチ114を開放して電子冷却素子107への電力の供給を停止し、冷却を停止する。
冷却スイッチ114を開放した時点からある設定された時間が経過した時点で発光体100に接続されている点灯スイッチ112を開放し、発光体100を消灯する。
冷却を停止してからの有機EL素子の温度変化を事前に測定することにより、冷却スイッチ114を開放して冷却を停止してから有機EL素子がある設定された温度になるまでの時間を求めることができ、この時間を基にして冷却スイッチ114を開放してから点灯スイッチ112を開放するまでの時間を設定することができる。
本実施形態の光源の構成において、発光体100の封止基板105とヒートシンク106との間に介在するグリース109の代わりに、熟伝導性の高いシートを介在させることも可能である。この場合、発光体100をヒートシンク106から取り外すことが容易になり、発光体100の交換が容易になる。
(第13の実施形態)
第13の実施形態を説明する。本実施形態は上記第12の実施の形態を投写表示装置に適用したものに関する。
すなわち、第13の実施の形態は、第12の実施の形態を、図28に示す投写表示装置に適用した例を説明するためのものである。
以上、本発明の光源装置そして光源装置の制御方法及び装置と、この制御方法及び装置が適用された表示装置について説明した。有機EL素子への結露を抑えながら有機EL素子を十分冷やすために冷却のタイミングと光源装置の点灯のタイミングをずらす、という本発明の主旨の中で、種々の構成及び制御方法を考えることができる。例えば、タイマー回路と温度スイッチ回路の両方を備えて、有機EL素子の点灯時は温度スイッチ回路、消灯時はタイマー回路を利用する等の構成及び制御方法を考えることができる。
また、湿度センサを備えることにより、湿度に応じて設定温度、あるいは設定時間を変えることができるようにすることも可能である。
(産業上の利用可能性)
以上説明したように、本発明の投写表示装置によれば、有機EL素子を発光層とした発光体を用い、その冷却手段、着脱自在な取付け手段、出射された光の指向性を調整する手段、出光効率を上げる手段、共振器構造の採用、寿命の自動判断手段などを設けることができるため、従来では克服困難であった問題を打破して、軽量かつ小形で、実用可能な、有機EL素子による発光体を採用した投写表示装置を提供することができる。
特に、電子冷却素子や放熱フィンによる冷却手段を発光体に設置することで、有機EL素子の発熱に因る発光性能の低下を抑制して、長寿命化を図るとともに、輝度を安定させ、かつ常に最高輝度を確保することができる。
また、液晶パネル及び発光体を載置する基台部分に当該発光体を着脱自在に取り付ける取付け手段を設けることで、有機EL素子による発光体を発光体毎に独立して、電気的接続及び光学的位置を確保した状態で容易に交換可能になり、交換作業の能率化及び保守点検の容易化が図られる。
さらに、発光膜構造の電極間の端子電圧を計測し、この端子電圧値から発光膜構造の寿命を判断し、寿命が判断されたときにこの寿命を告知するようにすることで、発光体の交換時期のタイミングを容易に判断でき、画面表示の高い質を確保できるとともに、保守点検をも容易になる。
さらに、発光体から出射された光の指向性が液晶パネルに向くように調整するレンズアレイやプリズムアレイなどの指向性調整手段を備えることで、有機EL素子による発光体から液晶パネルへ入射する光の指向性が改善され、液晶パネルへの光の入射効率が向上し、高輝度の安定した画面を提供できる。
さらにまた、発光体の透明基板の出光面にマイクロレンズアレイあるいはマイクロプリズムアレイを一体に形成することで、有機EL素子による発光体からの出光効率を上げることができ、高輝度の安定した画面を提供できる。
さらにまた、発光体の発光層構造に特定波長の光を選択的に共振させて出光させる共振器構造を設けることで、液晶パネルへの入射光の指向性や効率を大幅に改善することができる。
本発明に係わる光源装置は、有機EL素子とそれを冷却する冷却機構とを備え、有機EL素子あるいは冷却手段に取り付けられた温度センサ、あるいはタイマーを備えているので、冷却手段による有機EL素子を冷却状態に制御することができる。
また、本発明の光源装置の制御方法は、温度センサによる有機EL素子の温度の監視あるいは前記タイマーによって、冷却の開始、停止と有機EL面状光源の点灯、消灯のタイミングとをずらすことを特徴とし、有機EL素子への結露を抑えながら有機EL素子を十分冷やすことができ、有機EL素子の劣化を抑えてその寿命を長くすることができる。
また、本発明の光源装置の制御装置は、温度センサによる有機EL素子の温度の監視あるいは前記タイマーによって、冷却の開始、停止と有機EL面状光源の点灯、消灯のタイミングとを制御することを特徴とし、有機EL素子への結露を抑えながら有機EL素子を十分冷やすことができ、有機EL素子の劣化を抑えてその寿命を長くすることができる。
また、本発明の光源装置の制御方法そして装置が適用された投写表示装置によれば、本発明の表示装置を、放電ランプを光源とする表示装置に比べて著しく小型化できる。
11…筐体、12R,12G,12B…液晶パネル、13R,13G,13B…発光体、14R,14G,14B…冷却体、15…ダイクロイックプリズム、16…投写レンズ、17…透過型のスクリーン、20…透明基板、21…透明電極層、22…発光層、23…反射電極層、24…封止基板、25…熱伝導体、26…電子冷却素子