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JP3986751B2 - 楽音演奏装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定長の楽音パターンデータをループ状に繰り返し読み出して自動演奏する楽音演奏装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
所定長の楽音パターンデータをループ状に繰り返し読み出して自動演奏する楽音演奏装置、すなわち、楽音パターンデータの先頭から自動演奏を開始し、その末尾まで自動演奏が進行すると、再び先頭に戻って、以後、ユーザが停止を指示するまで同様の自動演奏を繰り返すようにした楽音演奏装置は、従来から知られている。
【0003】
このような従来の楽音演奏装置には、自動演奏する楽音パターンデータを作成する機能(楽音パターン作成機能)が設けられている。そして、この楽音パターン作成機能により楽音パターンデータを作成するときには、各楽音データをノンリアルタイムに1つずつ指定して入力するモード(ステップ入力モード)と、各楽音データを、楽器を演奏するようにリアルタイムに入力するモード(リアルタイム入力モード)のいずれかをユーザが選択できるように構成されている。
【0004】
所定長(たとえば1小節長)の楽音パターンデータを作成する場合、ステップ入力モードでは、たとえばその拍位置をそれぞれ指定する操作子群を設け、この操作子群のいずれかを操作することにより目的の拍位置を指定し、他の操作子を操作することにより、この指定された拍位置に目的の楽音データを入力するという操作処理を繰り返して、目的の楽音パターンデータを作成する。したがって、拍位置を指定する操作子は、指定可能な拍位置の個数だけ必要となる。他方、リアルタイム入力モードでは、楽音を入力する操作子として、たとえば鍵盤を設け、通常の電子鍵盤楽器のように、目的の鍵を押鍵すると、その押鍵タイミングでその鍵に割り当てられた楽音データが入力されるという操作処理を繰り返して、目的の楽音パターンデータを作成する。したがって、楽音データを入力する操作子(鍵)は、少なくとも1オクターブ内の音高の個数分の鍵、すなわち8個の白鍵と5個の黒鍵の合計13鍵が必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記従来の楽音演奏装置では、ステップ入力モードで用いる操作子と、リアルタイム入力モードで用いる操作子とを、別々の操作子で実現していたので、装置全体のサイズが大きくなり、また、製造コストも増大していた。
【0006】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、操作性を犠牲にすることなく、1種類の操作子で複数の機能を実現することにより、装置全体のサイズの縮小化および製造コストの削減化を図ることが可能な楽音演奏装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の楽音演奏装置は、シンセトラックとリズムトラックとを含む複数トラックからなる楽音パターンデータを記憶した記憶手段と、前記楽音パターンデータの時間区間を指定する区間指定操作子であって、1段に少なくとも8個配列された区間指定操作子が2段で形成された区間指定操作子群と、トラック指定手段と、前記区間指定操作子の操作に応じて、前記トラック指定手段により指定されたトラックの楽音パターンデータの時間区間を特定する区間特定手段と、該区間特定手段によって特定された時間区間の楽音パターンデータを設定または編集するための設定編集手段と、該設定編集手段によって設定または編集された前記トラックの楽音パターンデータを前記特定された時間区間毎に前記記憶手段に書き込むステップ書き込み手段と、前記記憶手段に記憶された前記楽音パターンデータを繰り返し読み出して再生する再生手段と、リアルタイム入力モードを指定するモード指定手段と、該モード指定手段によってリアルタイム入力モードが指定された場合には、前記区間特定手段を無効化し、さらに、前記トラック指定手段によってシンセトラックが指定されているときには、前記区間指定操作子群の各操作子が楽器鍵盤相当の音高配列になるように、前記区間指定操作子群の下段の区間指定操作子中8個の隣接する操作子に鍵盤の白鍵に相当する音名の楽音を割り当てるとともに、前記区間指定操作子群の上段の区間指定操作子中5個の操作子に鍵盤の黒鍵に相当する音名の楽音を割り当てる一方、前記トラック指定手段によってリズムトラックが指定されているときには、前記区間指定操作子群の各操作子にリズムパターンとして入力される打楽器音色に相当する音高を割り当てる音高割り当て手段と、前記モード指定手段によってリアルタイム入力モードが指定された場合に、前記区間指定操作子に対する操作に応じて、前記音高割り当て手段により割り当てられた音高の演奏操作情報を逐次前記楽音パターンデータとして前記指定されたトラックに書き込むリアルタイム書き込み手段とを有し、前記鍵盤の黒鍵に相当する楽音が割り当てられた、前記区間指定操作子群の上段の操作子と、前記鍵盤の白鍵に相当する楽音が割り当てられた、前記区間指定操作子群の下段の操作子との位置関係は、実際の楽器鍵盤における黒鍵と白鍵との位置関係に対応するとともに、前記黒鍵に相当する楽音が割り当てられる区間指定操作子は暗色で着色されていることを特徴とする。
【0008】
また、好ましくは、前記再生手段により楽音パターンデータを再生する場合には、前記音高割り当て手段は、前記区間指定操作子群の各操作子が楽器鍵盤相当の音高配列になるように、前記区間指定操作子群の下段の区間指定操作子中8個の隣接する操作子に鍵盤の白鍵に相当する音名の楽音を割り当てるとともに、前記区間指定操作子群の上段の区間指定操作子中5個の操作子に鍵盤の黒鍵に相当する音名の楽音を割り当て、前記区間指定操作子の操作に応じて前記割り当てられた音名の楽音を前記再生される楽音パターンデータとともに出力する演奏出力手段をさらに有することを特徴とする
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る楽音演奏装置の概略構成を示すブロック図である。
【0013】
同図に示すように、本実施の形態の楽音演奏装置は、リアルタイムに演奏を指示するために用いる複数の操作子からなる演奏指示操作子1と、各種設定を行うために用いる複数の操作子からなる設定操作子2と、演奏指示操作子1の各操作子の各操作状態を検出する操作状態検出回路3と、設定操作子2の各操作子の各操作状態を検出する操作状態検出回路4と、装置全体の制御を司るCPU5と、該CPU5が実行する制御プログラムや、各種テーブルデータ等を記憶するROM6と、演奏データ、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM7と、タイマ割込み処理における割込み時間や各種時間を計時するタイマ8と、各種情報等を表示する、たとえば大型液晶ディスプレイ(LCD)若しくはCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイおよび発光ダイオード(LED)等を備えた表示器9と、記憶媒体であるフロッピディスク(FD)20をドライブするフロッピディスクドライブ(FDD)10と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種データ等を記憶するハードディスク(図示せず)をドライブするハードディスクドライブ(HDD)11と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種データ等を記憶するコンパクトディスク−リード・オンリ・メモリ(CD−ROM)21をドライブするCD−ROMドライブ(CD−ROMD)12と、外部からのMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号を入力したり、MIDI信号を外部に出力したりするMIDIインターフェース(I/F)13と、通信ネットワーク101を介して、たとえばサーバコンピュータ102とデータの送受信を行う通信インターフェース(I/F)14と、演奏指示操作子1を用いて入力された演奏データや予め設定された演奏データ等を楽音信号に変換する音源回路15と、該音源回路15からの楽音信号に各種効果を付与するための効果回路16と、該効果回路16からの楽音信号を音響に変換する、たとえば、DAC(Digital-to-Analog Converter)やアンプ、スピーカ等のサウンドシステム17とにより構成されている。
【0014】
上記構成要素3〜16は、バス18を介して相互に接続され、CPU5にはタイマ8が接続され、MIDII/F13には他のMIDI機器100が接続され、通信I/F14には通信ネットワーク101が接続され、音源回路15には効果回路16が接続され、効果回路16にはサウンドシステム17が接続されている。
【0015】
HDD11のハードディスクには、前述のように、CPU5が実行する制御プログラムも記憶でき、ROM6に制御プログラムが記憶されていない場合には、このハードディスクに制御プログラムを記憶させておき、それをRAM7に読み込むことにより、ROM6に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU5にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。
【0016】
CD−ROMドライブ12のCD−ROM21から読み出された制御プログラムや各種データは、HDD11内のハードディスクにストアされる。これにより、制御プログラムの新規インストールやバージョンアップ等が容易に行える。なお、このCD−ROMドライブ12以外にも、外部記憶装置として、光磁気ディスク(MO)装置等、様々な形態のメディアを利用するための装置を設けるようにしてもよい。
【0017】
MIDII/F13は、専用のものに限らず、RS−232CやUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)等の汎用のインターフェースより構成してもよい。この場合、MIDIメッセージ以外のデータをも同時に送受信してもよい。
【0018】
通信I/F14は、上述のように、たとえばLAN(Local Area Network)やインターネット、電話回線等の通信ネットワーク101に接続されており、該通信ネットワーク101を介して、サーバコンピュータ102に接続される。HDD11内のハードディスクに上記各プログラムや各種パラメータが記憶されていない場合には、通信I/F14は、サーバコンピュータ102からプログラムやパラメータをダウンロードするために用いられる。クライアントとなるコンピュータ(本実施の形態では、楽音演奏装置)は、通信I/F14および通信ネットワーク101を介してサーバコンピュータ102へとプログラムやパラメータのダウンロードを要求するコマンドを送信する。サーバコンピュータ102は、このコマンドを受け、要求されたプログラムやパラメータを、通信ネットワーク101を介してコンピュータへと配信し、コンピュータが通信I/F14を介して、これらプログラムやパラメータを受信してHDD11内のハードディスクに蓄積することにより、ダウンロードが完了する。
【0019】
この他、外部コンピュータ等との間で直接データのやりとりを行うためのインターフェースを備えてもよい。
【0020】
なお、本実施の形態の楽音演奏装置は、上述の構成から分かるように、汎用的なパーソナルコンピュータを基礎にして構築されたものであるが、これに限らず、本発明を実施できる最小限要素のみから構成した専用装置上に構築するようにしてもよい。
【0021】
図2は、本実施の形態の楽音演奏装置のパネル面の構成を示す平面図である。同図に示すように、パネル面には、演奏指示操作子1、設定操作子2および表示器9が設けられている。なお、操作子および表示器は、実際には、図示されているもの以外のものもパネル面に設けられているが、これらは、本発明の特徴を説明する上で必須のものではないため、図示されていない。
【0022】
図2に示すように、演奏指示操作子1としては、各操作面に1〜16の整数値がそれぞれプリントされた、16個の自動復帰型のスイッチ11〜116が設けられている。ここで、自動復帰型のスイッチとは、ユーザが当該スイッチに対するオン(押下)操作を止めると、自動的に復帰してオフ状態になるスイッチのことである。16個のスイッチ11〜116は、パネル面上、8個ずつ2段に配列されている。上段のスイッチ11〜18は、下段のスイッチ19〜116に対して、全体的に横方向にずらせて配置させている。これは、後述するように、演奏指示操作子1を擬似鍵盤として使用するときに、その操作性を向上させるためである。
【0023】
また、演奏指示操作子1には、その名称の通り、鍵盤のような演奏を指示する操作子としての機能と、これとは別に、楽音パターンデータをステップ入力モードで作成したり、作成された楽音パターンデータをエディットしたりするときに、その楽音パターンデータ内のデータ位置を指示する操作子としての機能の、主として2種類の異なった機能が割り当てられている。このように、1種類の操作子に、異なった種類の機能を割り当てることにより、装置全体のサイズの縮小化および製造コストの低減化を図ることができる。
【0024】
なお、演奏指示操作子1を構成する16個のスイッチ11〜116のうち、スイッチ12,13,15〜17の各操作面の一部は、たとえば黒色に着色されており、残りの部分は、他のスイッチ11,14,18〜116の各操作面と同様に、無色透明になっている。所定のスイッチ12,13,15〜17のみに着色したのは、演奏指示操作子1を鍵盤として使用するときに、当該スイッチ12,13,15〜17が黒鍵に相当することをユーザに一目で分からせるようにするためである。また、操作面の一部にのみ着色するようにしたのは、他の着色されていないスイッチ11,14,18〜116と共通することであるが、これら各スイッチ11〜116には、それぞれLED(図示せず)が内蔵され、所定の操作状態でLEDを点灯または点滅させることにより、この操作状態をユーザに知らせるような機能が備えられているからである。
【0025】
また、設定操作子2としては、後述するシンセトラック(SYNTH TRACK)を選択するシンセトラック選択スイッチ2aと、後述するリズムトラックを選択するリズムトラック選択スイッチ2bと、楽音パターンデータを自動演奏中に演奏指示操作子1を擬似鍵盤として使用するキーボード(KEYBOARD)スイッチ2cと、楽音パターンデータを選択するパターンセレクト(PATTERN SELECT)スイッチ2dと、ステップ入力モードとリアルタイム入力モードとをトグルで切り替えるためのイベントセレクト(EVENT SELECT)スイッチ2eと、ステップ1〜8を選択するためのステップ(STEP)1〜8スイッチ2fと、ステップ9〜16を選択するためのステップ(STEP)9〜16スイッチ2gと、楽音パターンデータを作成して記録させるための録音(REC)スイッチ2iと、楽音パターンデータの自動演奏を停止させるためのストップスイッチ2jと、楽音パターンデータの自動演奏を開始させるスタートスイッチ2kと、楽音パターンデータの読み出し位置をその先頭に戻すトップ(TOP)スイッチ2lと、楽音パターンデータを巻き戻すREWスイッチ2mと、楽音パターンデータを早送りするFFスイッチ2nと、各種パラメータをそれぞれ指定するための複数のダイヤル操作子2hとが設けられている。
【0026】
さらに、表示器9としては、LCD9aと、3つのLED9b〜9dとが設けられている。LCD9aは、自動演奏可能な楽音パターンデータの名称の一覧を表示したり、現在設定されているモードの名称を表示したり、楽音パターンデータをエディットするときの各種エディット情報を表示したりする。LED9b〜9dは、それぞれリズムトラック(RHYTHM TRACK)1〜3に対応して設けられ、これら3つのリズムトラックのうち、いずれのトラックが選択されたかを、対応するLEDを点灯させることで表示するようにしている。
【0027】
以上のように構成された楽音演奏装置が実行する制御処理を、まずその概要を説明し、次に図3を参照して詳細に説明する。
【0028】
本実施の形態の楽音演奏装置は、大きく分けて、(1)楽音パターンデータを作成する機能(楽音パターン作成機能)と、(2)既に作成されている楽音パターンデータをエディットする機能(エディット機能)と、(3)楽音パターンデータを自動演奏する機能(自動演奏機能)の3種類の機能を営むように構成されている。
【0029】
上記(1)の楽音パターン作成機能は、楽音パターンデータを、一から、または、予め作成された基本的なパターンに新たな楽音データを付加したりして作成するためのものである。この楽音パターン作成機能には、前記従来の楽音演奏装置と同様に、ステップ入力モードとリアルタイム入力モードが備えられ、ユーザはそのいずれかのモードを選択できるように構成されている。そして、ステップ入力モードが選択されたときには、前記演奏指示操作子1は、各楽音データを入力する位置を指示する操作子として使用され、リアルタイム入力モードが選択されたときには、演奏指示操作子1は、擬似鍵盤として使用される。
【0030】
また、上記(2)のエディット機能は、上記(1)の楽音パターン作成機能によって作成された楽音パターンデータまたは予め作成されている楽音パターンデータの一部をエディットするためのものである。このエディット機能が選択されたときには、演奏指示操作子1は、エディットするイベント(楽音データ)の位置を指示する操作子として使用される。
【0031】
さらに、上記(3)の自動演奏機能は、上記(1)の楽音パターン作成機能によって作成された楽音パターンデータ、上記(2)のエディット機能によってエディットされた楽音パターンデータ、または、予め作成された楽音パターンデータをループ状に繰り返し読み出して自動演奏させるためのものである。この自動演奏機能が選択されて、楽音パターンデータの自動演奏がなされているときには、演奏指示操作子1は、前記キーボードスイッチ2cのオン操作に応じて、擬似鍵盤として使用される。すなわち、この擬似鍵盤により、ユーザは、自動演奏に合わせた演奏を行うことができる。
【0032】
次に、上記(1)〜(3)の機能を実現する制御処理を、さらに詳細に説明する。
【0033】
[楽音パターン作成機能]
楽音パターン作成機能には、上述したように、(a)ステップ入力モードと、(b)リアルタイム入力モードの2種類のモードが設けられ、ユーザはそのいずれかのモードを選択できるように構成されている。なお、楽音パターン作成機能を作動させるモード(楽音パターン作成モード)には、たとえば前記録音スイッチ2iを押すことで、移行する。
【0034】
上記(a)のステップ入力モードにおける楽音データの入力方法とは、目的の楽音データ、すなわち作成したい楽音パターンデータを構成する楽音データを1つずつ指定しながら楽音パターンデータを作成して行く入力方法をいう。具体的には、たとえば、1小節長の楽音パターンデータを作成するものとして、この1小節長を16等分に分割し、分割後の各部分区間(各拍に相当する)にそれぞれ前記演奏指示操作子1の16個のスイッチ11〜116を対応づける。つまり、ステップ入力モードでは、各スイッチ11〜116は、楽音データの入力位置を指定する操作子として機能する。ユーザは、まず、楽音データを入力したい位置を、スイッチ11〜116のうち対応するスイッチを押すことにより指定し、次に、好みの楽音データを指定して入力する。
【0035】
本実施の形態では、自動演奏トラックは、1つのシンセトラックと、3つのリズムトラックによって構成され、楽音パターンデータは、各トラック毎に作成するようにしている。ここで、シンセトラックは、シンセサイザ系の楽音パターンデータを自動演奏するためのトラックであり、このトラックでは、ユーザによって選択設定された一音色のみの楽音パターンデータが自動演奏される。また、リズムトラックは、リズム系(ドラム系やベース系)の楽音パターンデータを自動演奏するためのトラックであり、このトラックでは、ユーザによって各楽音データ毎に選択設定された音色の楽音パターンデータが自動演奏される。したがって、シンセトラックでは、一音色のみの楽音パターンデータが自動演奏されるのに対して、各リズムトラックでは、それぞれ複数の音色が混在した楽音パターンデータが自動演奏される。
【0036】
シンセトラックに対応する楽音パターンデータを作成するときには、ユーザは、まず、イベントセレクトスイッチ2eを押すことにより、ステップ入力モードに移行させ、次に、シンセトラック選択スイッチ2aを押すことにより、シンセトラックを選択し、音色を設定するためのダイヤル操作子2h(複数のダイヤル操作子2hのうち、音色設定機能が割り当てられたいずれかの操作子)を操作することにより、好みの音色を選択する。そして、上述のように、楽音データを入力したい位置を、スイッチ11〜116のうち対応するスイッチを押すことで指定した(このとき、押したスイッチの位置が分かるように、そのスイッチに内蔵された前記LEDが点滅する)後に、ピッチ、ゲートタイム(発音時間を示すパラメータ)、ベロシティ等を、それぞれ対応するダイヤル操作子2hを操作することで指定し、以下この処理を繰り返すことにより、好みの楽音パターンデータを作成する。なお、点滅しているLEDは、他のスイッチが操作されたときに消灯される。
【0037】
また、リズムトラックに対応する楽音パターンデータを作成するときには、ユーザは、まず、イベントセレクトスイッチ2eを押すことで、ステップ入力モードに移行させる。なお、既にステップ入力モードが選択されているときには、この操作は不要である。
【0038】
次に、リズムトラック選択スイッチ2bを押すことで、リズムトラックを選択する。リズムトラックは、本実施の形態では上述のように、3トラックあるため、ユーザはそのいずれかを選択する。リズムトラックは、リズムトラック選択スイッチ2bを押す度に、異なったトラックを選択できるように構成され、その選択に応じて、前記LED9b〜9dのうち対応するものを点灯させるように構成されている。これにより、ユーザは、現在選択されているトラックを一目で知ることができる。
【0039】
そして、上述のように、楽音データを入力したい位置を、スイッチ11〜116のうち対応するスイッチを押すことで指定した後に、音色、ピッチ、ゲートタイム、ベロシティ等を、それぞれ対応するダイヤル操作子2hを操作することで指定し、以下この処理を繰り返すことにより、好みの楽音パターンデータを作成する。なお、この楽音データ入力処理は、前記シンセトラックに対応する楽音パターンデータを作成する場合の対応する処理と、楽音データ毎に音色を指定する操作が追加されていることを除いて同様である。したがって、スイッチ11〜116のうち、押したものは点滅するように構成されている。
【0040】
また、上記(b)のリアルタイム入力モードにおける楽音データの入力方法とは、実際に楽器を演奏するように、演奏指示操作子1をリアルタイムに操作することで、当該演奏指示操作子1に割り当てられた各楽音データを指定しながら、楽音パターンデータを作成して行く入力方法をいう。このリアルタイム入力モードが選択された場合でも、楽音パターンデータは、ステップ入力モードと同様に、自動演奏トラック毎に作成する。
【0041】
リアルタイム入力モードで、シンセトラックに対応する楽音パターンデータを作成するときには、ユーザは、まず、リアルタイム入力モードに移行させる。本実施の形態では、デフォルト状態をリアルタイム入力モードとしているため、通常は何らかの操作をする必要はないが、ただ、現在ステップ入力モードが選択されているときには、イベントセレクトスイッチ2eを押すことで、ステップ入力モードからデフォルトのリアルタイム入力モードに移行させる必要がある。
【0042】
次に、シンセトラック選択スイッチ2aを押すことにより、シンセトラックを選択し、音色を設定するための前記ダイヤル操作子2hを操作することにより、好みの音色を選択する。そして、スタートスイッチ2kを押すことにより、録音を開始させ、好みのタイミングで演奏指示操作子1を押すことにより、その操作子に割り当てられた音高の楽音データを入力する。
【0043】
演奏指示操作子1は、本実施の形態では上述したように、スイッチ11〜116によって構成されているが、これらスイッチ11〜116のうち、スイッチ12,13,15〜17の各スイッチを鍵盤の黒鍵に見立て、スイッチ19〜116を鍵盤の白鍵に見立てている。すなわち、全16個のスイッチ11〜116のうち、黒鍵に相当する5個のスイッチおよび白鍵に相当する8個のスイッチの合計13個のスイッチを用いて擬似鍵盤を形成させている。そして、シンセトラックに対応する楽音パターンデータを作成するときには、この擬似鍵盤の各鍵(スイッチ)には、実際の鍵盤と同様に、1オクターブ内の全音高の楽音がそれぞれ割り当てられ、ユーザは、好みのタイミングで、好みのスイッチを押すことによって、当該タイミングで、対応する音高の楽音データを入力することができる。なお、鍵盤の鍵に対応づけられないスイッチ、すなわちスイッチ11,14,18には、リアルタイム入力モードが選択されている場合、いずれの楽音も割り当てられないように構成され、ユーザが当該スイッチに対して操作を行ったとしても、いずれの楽音データも入力することができない。
【0044】
リアルタイム入力モードで、リズムトラックに対応する楽音パターンデータを作成するときには、ユーザは、まず、シンセトラックに対応する楽音パターンデータを作成するときと同様にして、リアルタイム入力モードに移行させる。
【0045】
次に、リズムトラック選択スイッチ2bを所定回数押すことにより、3つのリズムトラックのうち好みのトラックを選択する。そして、前記擬似鍵盤を用いて入力する楽音データの音色を決定する。上述したように、リズムトラックは、リズム系楽器の音色、すなわちドラム系楽器やベース系楽器の音色の楽音パターンデータを自動演奏するためのトラックであるため、ユーザは、ドラム系楽器やベース系楽器の音色の中から好みのものを選択する。
【0046】
ドラム系楽器の音色が選択された場合、ドラム系楽器は、通常、楽器の種類が決まれば、音色は言うまでもなく、音高も決まることが多いため、この場合には、擬似鍵盤の各鍵には、それぞれ1つの楽器(ドラムセットの場合には、バス・ドラム、スネア・ドラム、ハイハット・シンバル等の各楽器)の音色を割り当てるようにする。なお、楽器の種類に応じて、擬似鍵盤の各鍵と、該各鍵に割り当てるべき楽器とを対応づけたテーブルデータを、たとえば前記ROM6に記憶しておき、ユーザが楽器の種類を決定したときに、その楽器の種類に対応するテーブルデータを読み出し、このテーブルデータに基づいて、擬似鍵盤の各鍵に楽器の音色を割り当てるようにすればよい。なお、ドラム系楽器のように、各楽器毎に発音する楽音の音高が決まっているものを、演奏指示操作子1に割り当てる場合には、演奏指示操作子1は、鍵盤を模倣したものにする必要はないので、演奏指示操作子1を構成するすべてのスイッチ11〜116を使用するようにしてもよいし、すべてのスイッチ11〜116に割り当てるべき音色がない場合には、そのうち必要な数のスイッチを選択するようにすればよい。その場合にも、黒鍵を意識して、隣接するスイッチを飛び越して音色を割り当てる必要はない。
【0047】
また、ベース系楽器の音色が選択された場合、ベース系楽器によって発音される各楽音には、それぞれ音高があるので、この場合には、上記シンセトラックに対応する楽音パターンデータを作成するときのように、擬似鍵盤の各鍵には、1オクターブ内の全音高の楽音をそれぞれ割り当てるようにすればよい。
【0048】
そして、スタートスイッチ2kを押すことにより、録音を開始させ、好みのタイミングで演奏指示操作子1を押すことにより、その操作子に割り当てられた楽音データを入力する。
【0049】
[エディット機能]
エディット機能は、上述のようにして生成した(または予め生成されている)楽音パターンデータを構成する各楽音データのパラメータを修正するためのものであり、エディットモードが選択されたときに、エディット機能が作動するように構成されている。このエディットモードへの移行は、本実施の形態では、楽音パターン作成モードが選択されていない状態で、前記パターンセレクトスイッチ2dによって、エディットすべき楽音パターンデータを選択した後に、前記イベントセレクトスイッチ2eが押されたときに、なされる。なお、楽音パターン作成モードが選択されているときには、この楽音パターン作成モードを解除する必要があるが、その解除方法は、たとえば前記ストップスイッチ2jを押すようにすればよい。
【0050】
エディットモードに移行したときには、エディットすべき楽音パターンデータが選択されているので、まず、エディットしたいトラックを、前記シンセトラック選択スイッチ2aまたはリズムトラック選択スイッチ2bを押すことにより選択する。
【0051】
次に、選択されたトラックに対応する楽音パターンデータの各楽音データを、前記ステップ入力モードで説明した方法と同様の方法によって、エディットして行く。すなわち、まず、スイッチ11〜116のうち、いずれかのスイッチを押すことにより、エディットしたい位置の楽音データを指定する。なお、楽音パターンデータを構成する各楽音データは、すべてのスイッチ11〜116に対応した位置に存在しているとは限らず、一部スイッチに対応した位置にのみ存在することもある。したがって、楽音が存在する位置を指示するスイッチに対しては、その内蔵LEDを点灯するようにした方が好ましい。次に、押したスイッチに対応する楽音データの現在の設定状況(各種パラメータの設定値)が、前記LCD9aに表示されるので、前記ダイヤル操作子2hを操作することにより、ユーザの好みに合うように修正する。
【0052】
同様にして、他の位置の楽音データや、他のトラックに対応する楽音パターンデータの各楽音データに対してもエディットを行う。
【0053】
[自動演奏機能]
自動演奏機能は、上述したように、新たに作成した楽音パターンデータ、エディット後の楽音パターンデータまたは予め作成され何の加工も施されていない楽音パターンデータをループ状に繰り返し読み出して自動演奏させるためのものであり、自動演奏モードが選択されたときに、自動演奏機能が作動するように構成されている。この自動演奏モードは、本実施の形態では、デフォルトモードとしているため、モード移行が行われていない場合には、改めてモード移行を行う必要はなく、自動演奏モード以外のモードが選択されているときにのみ、所定の操作、たとえばストップスイッチ2jを押す操作によって、自動演奏モードに移行させる。
【0054】
自動演奏モードが選択された状態で、まず、ユーザは、たとえば前記パターンセレクトスイッチ2dを押すことにより、自動演奏可能な楽音パターンデータの一覧を前記LCD9aに表示させる。そして、ユーザは、パターンセレクトスイッチ2dを繰り返し押すことにより、この一覧から好みの楽音パターンデータを1つ選択する。
【0055】
次に、スタートスイッチ2kを押すことで、選択された楽音パターンデータの自動演奏を開始させる。自動演奏が、楽音パターンデータの末尾まで進行すると、再び先頭に戻って、先頭の楽音データから順次読み出すという処理を、ユーザがストップスイッチ2jを押すまで、エンドレスに行う。
【0056】
本実施の形態の楽音演奏装置では、ユーザは、この自動演奏に合わせて、たとえばアドリブ演奏等の演奏を行うことができるように構成されている。演奏は、演奏指示操作子1を用いて行い、このとき、演奏指示操作子1は、前記リアルタイム入力モードにおいてシンセトラックに対する楽音パターンデータを作成するときのように、擬似鍵盤として機能させる。したがって、演奏指示操作子1のスイッチ12,13,15〜17,19〜116のみに対応する音高の楽音が割り当てられ、このいずれかのスイッチを操作することで、1オクターブ内の音高の楽音を、自動演奏に合わせて発音させることができる。
【0057】
図3は、本実施の形態の楽音演奏装置、特にCPU5が実行するメインルーチンの手順を示すフローチャートである。
【0058】
同図において、まず、RAM7のクリアや、各種パラメータをデフォルト設定する等の初期化処理を行う(ステップS1)。
【0059】
次に、ユーザによるパネル上の操作子に対する操作状況を検出し、この検出結果に基づいて、各種設定処理を行うパネル処理を行う(ステップS2)。本実施の形態で説明した処理は、自動演奏を除いて、ほとんどこのステップS2の処理に含まれる。
【0060】
次に、たとえば前記MIDII/F13や通信I/F14を介して入力された各種入力を受け付け、その入力に応じた処理を行うその他入力受付処理を行う(ステップS3)。
【0061】
そして、自動演奏によって読み出された各楽音データに基づいて楽音信号を生成し、前記音源回路15や効果回路16に出力する楽音信号生成処理を行った(ステップS4)後に、ステップS2に戻って、上述の処理を繰り返す。
【0062】
なお、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPU5やMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0063】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0064】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、たとえば、前記フロッピーディスク20、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM21、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM6などを用いることができる。また、他のMIDI機器100や通信ネットワーク101を介してサーバコンピュータ102からプログラムコードが供給されるようにしてもよい。
【0065】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0066】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU5などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、リアルタイム入力モードが選択されないときに、楽音パターンデータの時間区間を指定する機能を営む区間指定操作子複数からなる区間指定操作子群は、リアルタイム入力モードが選択されたときには、の下段の区間指定操作子中8個の隣接する操作子に鍵盤の白鍵に相当する楽音割り当てられるとともに、の上段の区間指定操作子中5個の操作子に鍵盤の黒鍵に相当する楽音割り当てられるので、操作子群の操作性を損なうことなく、装置全体のサイズの縮小化および製造コストの削減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る楽音演奏装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の楽音演奏装置のパネル面の構成を示す平面図である。
【図3】 図1の楽音演奏装置、特にCPUが実行するメインルーチンの手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 演奏指示操作
〜116 スイッ
2e イベントセレクトスイッ
5 CP

Claims (2)

  1. シンセトラックとリズムトラックとを含む複数トラックからなる楽音パターンデータを記憶した記憶手段と、
    前記楽音パターンデータの時間区間を指定する区間指定操作子であって、1段に少なくとも8個配列された区間指定操作子が2段で形成された区間指定操作子群と、
    トラック指定手段と、
    前記区間指定操作子の操作に応じて、前記トラック指定手段により指定されたトラックの楽音パターンデータの時間区間を特定する区間特定手段と、
    該区間特定手段によって特定された時間区間の楽音パターンデータを設定または編集するための設定編集手段と、
    該設定編集手段によって設定または編集された前記トラックの楽音パターンデータを前記特定された時間区間毎に前記記憶手段に書き込むステップ書き込み手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記楽音パターンデータを繰り返し読み出して再生する再生手段と、
    リアルタイム入力モードを指定するモード指定手段と、
    該モード指定手段によってリアルタイム入力モードが指定された場合には、前記区間特定手段を無効化し、さらに、前記トラック指定手段によってシンセトラックが指定されているときには、前記区間指定操作子群の各操作子が楽器鍵盤相当の音高配列になるように、前記区間指定操作子群の下段の区間指定操作子中8個の隣接する操作子に鍵盤の白鍵に相当する音名の楽音を割り当てるとともに、前記区間指定操作子群の上段の区間指定操作子中5個の操作子に鍵盤の黒鍵に相当する音名の楽音を割り当てる一方、前記トラック指定手段によってリズムトラックが指定されているときには、前記区間指定操作子群の各操作子にリズムパターンとして入力される打楽器音色に相当する音高を割り当てる音高割り当て手段と、
    前記モード指定手段によってリアルタイム入力モードが指定された場合に、前記区間指定操作子に対する操作に応じて、前記音高割り当て手段により割り当てられた音高の演奏操作情報を逐次前記楽音パターンデータとして前記指定されたトラックに書き込むリアルタイム書き込み手段と
    を有し、
    前記鍵盤の黒鍵に相当する楽音が割り当てられた、前記区間指定操作子群の上段の操作子と、前記鍵盤の白鍵に相当する楽音が割り当てられた、前記区間指定操作子群の下段の操作子との位置関係は、実際の楽器鍵盤における黒鍵と白鍵との位置関係に対応するとともに、前記黒鍵に相当する楽音が割り当てられる区間指定操作子は暗色で着色されていることを特徴とする楽音演奏装置。
  2. 前記再生手段により楽音パターンデータを再生する場合には、前記音高割り当て手段は、前記区間指定操作子群の各操作子が楽器鍵盤相当の音高配列になるように、前記区間指定操作子群の下段の区間指定操作子中8個の隣接する操作子に鍵盤の白鍵に相当する音名の楽音を割り当てるとともに、前記区間指定操作子群の上段の区間指定操作子中5個の操作子に鍵盤の黒鍵に相当する音名の楽音を割り当て、
    前記区間指定操作子の操作に応じて前記割り当てられた音名の楽音を前記再生される楽音パターンデータとともに出力する演奏出力手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の楽音演奏装置。
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