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JP3978335B2 - スクータ型自動二輪車の新気取入構造 - Google Patents

スクータ型自動二輪車の新気取入構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクータ型自動二輪車の新気取入構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクータ型自動二輪車においては、エアダクトから吸引される新気をエアクリーナや伝動ケース内のベルト冷却室に導入し、該新気をキャブレタ等における混合気形成に供したり、ベルトの冷却に供することが行われている。
【0003】
ところで、スクータ型自動二輪車における新気取入構造として、例えば吸気口を車体フレームのバックステーに設けられたジョイント部に接続し、フレームパイプを吸気管として共用したもの、吸気管をシート前側下部のフートボード足載せ面よりも上方まで延ばして開放したもの等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前者の新気取入構造にあっては、吸気口のフレームへの接続部に強度負荷が掛かり易いため、該接続部の強度的な負担が大きく、又、通気管路の断面積がフレームパイプのサイズによって限定され、大きな管路断面積を確保することができないという問題があった。
【0005】
又、後者の新気取入構造においては、断面積の大きな吸気管が車体中心部を通るため、例えば燃料タンク等の他の車体取付部品の形状や機能に影響を与えるという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、少スペースで大きな吸気通路断面積と高い防塵性及び防水性を確保することができるスクータ型自動二輪車の新気取入構造を提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、フートボードの下方に燃料タンクを配置し、エアダクトから吸引される新気をエアクリーナ又は伝動ケース内のベルト冷却室に導入するスクータ型自動二輪車の新気取入構造において、前記燃料タンクの後部の上面、左右両側面及び後面を覆うカバーと、該カバーと前記燃料タンクとの間に形成されたチャンバー室とを備え、該チャンバー室は、前記カバーと前記燃料タンクの後面とによって形成され、前記エアダクトは、前記チャンバー室に開口するスクータ型自動二輪車の新気取入構造であることを要旨とする。
【0010】
従って、本発明によれば、フートボードの下方に配置された燃料タンク等の車体取付部品を利用してチャンバー室を形成し、このチャンバー室に開口するエアダクトからエアクリーナ又は伝動ケースのベルト冷却室へと新気を導入するようにしたため、最小のスペースで大きな吸気通路断面積を確保することができる。
【0011】
又、チャンバー室の大気中への開放はクリーンサイドを狙って任意の場所に設定することができるため、エアダクトへの埃や水の侵入を防いで高い防塵性と防水性を確保することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明に係る新気取入構造を備えるスクータ型自動二輪車の側面図、図2は同スクータ型自動二輪車前部の部分正断面図であり、以下、図示のスクータ型自動二輪車の構成について概説する。
【0014】
図1に示すスクータ型自動二輪車1の車体前方上部にはヘッドパイプ2が位置しており、該ヘッドパイプ2内にはステアリング軸3が回動自在に挿通している。そして、このステアリング軸3の上端にはハンドル4が取り付けられ、同ステアリング軸3の下端にはフロントフォーク5が結着されており、該フロントフォーク5の下端部には前輪6が回転自在に軸支されている。
【0015】
又、前記ヘッドパイプ2からはダウンチューブ7が車体後方に向かって斜め下方に延出した後、折り曲げられて車体方向に向かって略水平に延出しており、該ダウンチューブ7の途中からは左右一対のバックステー8が分岐して車体後方に向かって斜め上方に延設されている。
【0016】
ところで、車体前部の前記ヘッドパイプ2、ダウンチューブ7等は樹脂製のフロントカバー9によって覆われており、該フロントカバー9の後半部は同じく樹脂製のレッグシールド10を構成している。
【0017】
更に、前記ハンドル4の後方にはタンデム型のシート11が配置されており、該シート11とハンドル4との間には低床式のフートボード(足載せ台)12が設けられている。そして、このフートボード12の下方の空間には車体取付部品としての燃料タンク13が配設されている。
【0018】
又、上記フートボード12の後方であって、前記シート11の下方には、動力ユニットとしてのユニットスイング式エンジン14が設けられている。
【0019】
上記ユニットスイング式エンジン14は車体の左側に配され、これは駆動源としてのエンジン15と不図示のVベルト式自動変速機及び減速機構を内蔵して成る伝動ケース16を一体化して構成され、伝動ケース16はエンジン15の車体左側から車体後方に延び、その後端には後輪17が回転自在に軸支されている。そして、伝動ケース16の上部にはエアクリーナ18が取り付けられており、該エアクリーナ18から車体前方へ向かって延びる吸気管19は前記エンジン15の吸気系に接続され、その途中にはキャブレタ20が設けられている。尚、キャブレタ20において形成された混合気は、ユニットスイング式エンジン14のエンジン15に供給されて燃焼に供される。
【0020】
ところで、図示しないが、伝動ケース146には、Vベルト式自動変速機のVベルトを冷却するためのベルト冷却室が形成されており、伝動ケース16の前端から車体前方に延びるベルト室冷却ダクト46から伝動ケース16内に吸引された新気は、ベルト冷却室に導入されてVベルトの冷却に供される。
【0021】
以上の構成を有するユニットスイング式エンジン14は、前記バックステー8に固着されたエンジン懸架ブラケット21にリンク機構22を介して上下に揺動自在に支持されており、その後端は後輪17と共にリヤクッション23を介してバックステー8に支持されている。
【0022】
他方、車体のシート11よりも下方の部位は樹脂製の車体カバー24によって覆われており、該車体カバー24内の前記ユニットスイング式エンジン14の上方には、上面が開口する収納ボックス25が前後の取付部材26とクロス部材27を介してバックステー8に取り付けられて配置されている。この収納ボックス25はシート11の全長に亘って長く延びて大容量が確保されており、これの内部には図示のようにハーフキャップ型のヘルメットH1とフルフェイス型のヘルメットH2を同時に収納することができる。そして、この収納ボックス25上に前記シート11が支持され、シート11は、その前端がヒンジ28を中心として上下に回動して前記収納ボックス25を開閉する。尚、左右のバックステー8には前記取付部材26及びクロス部材27の他、クロス部材29が架設されており、取付部材26とクロス部材27にはグラブバー30が取り付けられている。
【0023】
ところで、本実施の形態に係るスクータ型自動二輪車1においては、車体前部の前記フロントカバー9とレッグシールド10で囲まれる空間内の前記ヘッドパイプ2の左側には、図2に示すように、小容量のサブタンク31が配され、ヘッドパイプ2の右側にはバッテリ32が配されている。
【0024】
そして、上記サブタンク31の底部から下方へ延びる可撓性の燃料ホース33は、フートボード12の下方に配設された大容量の前記メインタンク13に接続されている。ここで、サブタンク31の手前側上部には給油口34が斜めに立設されており、この給油口34には着脱可能なタンクキャップ35が被着され、同給油口34の周囲にはフィラー36が給油口34を囲むように設けられている。
【0025】
上記フィラー36は給油時に給油口からオーバーフローした燃料であるガソリンを受けるものであって、その底部からはオーバーフローパイプ37が下方に向かって延び、このオーバーフローパイプ37の下端は、メインタンク13の前方の車体下部において大気中に開口している。
【0026】
又、サブタンク31の上部からはチャージホース38が下方に向かって延びており、このチャージホース38は、前記ダウンチューブ7の下端近傍に配されたメインタンク13の左側方に斜めに配置されたキャニスタ39の後面に接続されている。
【0027】
他方、シート11前部の下方であって、車体カバー24で覆われた前記収納ボックス25の前端部近傍には、燃料ポンプ42が不図示のステイを介して前記クロス部材29に取り付けられて配置されている。そして、この燃料ポンプ42にはエンジン15の吸気系から延びる負圧ホース43が接続されており、該燃料ポンプ42は、吸気圧の脈動で駆動され、燃料タンク13からガソリンを燃料ホース44を経て吸引して該燃料を昇圧し、このガソリンを燃料ホース45を経て前記キャブレタ20に供給して混合気形成に供する。
【0028】
ところで、キャニスタ39は、サブタンク31からチャージホース38を通って導入される気化ガソリンをガソリンとエアとに分離する装置であって、これは車体の最下部、つまり、前述のようにダウンチューブ7の下端近傍に配された前記燃料タンク13の左側方に車体前方に向かって下がるよう斜めに配置されている。
【0029】
そして、このキャニスタ39の前面から車体前方に向かって斜め下方に延びるエアーホース40は前記オーバーフローパイプ37の下端部に接続され、キャニスタ39の後面から導出するパージホース41は車体方向に向かって斜め上方に延び、その端部は前記キャブレタ20に接続されている。
【0030】
ここで、本発明に係る新気取入構造の詳細を図3〜図12に基づいて説明する。尚、図3はスクータ型自動二輪車の部分側面図、図4は同部分平面図、図5は図3の矢視A方向の図、図6は図3のB−B線断面図、図7は図3のC−C線断面図、図8は図3のD部詳細断面図、図9は図4のE−E線断面図、図10はカバーの正面図、図11は同カバーの側面図、図12は同カバーの平面図である。
【0031】
図3及び図4に示すように、前記フートボード12の下方に配置された燃料タンク13の後部上面にはゴム製のカバー47が載置されて固定され、燃料タンク13の後部の底面を除く上面と左右両側面及び後面はカバー47によって覆われている。
【0032】
ここで、上記カバー47の構成の詳細は図10〜図12に示されるが、該カバー47は、耐熱製の高いゴムによって逆チャンネル状に一体成形され、左右両側部から前方へ略水平に突出するアーム部47aの先端には係合突起47bが下方に向かって突設されている。又、図12に示すように、カバー47の左側後端上面には水平な取付部47cが形成され、該取付部47cには円孔47dが穿設されている。
【0033】
更に、カバー47の後部から垂直下方向かって延設された後壁47eの下端部には、左右2つの円孔47f(図10参照)が穿設されている。
【0034】
而して、以上のように構成されたカバー47は、燃料タンク13の後部上面に載せられ、図3及び図7に示すように、その前端から前方へ延出するアーム部47aに突設された前記係合突起47bを燃料タンク13のフランジ部に形成された円孔13aに上方から差し込んで係合せしめることによって前部左右が燃料タンク13に固定されている。
【0035】
又、カバー47は、図8に示すように、その取付部47cに穿設された円孔47dを前記ベルト室冷却ダクト46に突設された係合突起46aに通して係合せしめることによって、その左側後端上面がベルト室冷却ダクト46に固定されている。
【0036】
更に、カバー47の後壁47eは、図3に示すように、これに穿設された前記円孔47fに車体側の突起48を差し込むことによって車体側に固定されている。
【0037】
而して、以上のようにカバー47が固定されて燃料タンク13の後部を覆うと、フートボード12の下方には、図6及び図9に示すように、カバー47と燃料タンク13との間にチャンバー室Sが形成される。そして、このチャンバー室Sの前面には、図5に示すようにカバー47と燃料タンク13の上面の一部との間に形成された吸気用開口部S1が開口するとともに、図6に示すように燃料タンク13の左側面とカバー47との間に形成された吸気用開口部S2が開口している。
【0038】
上述のように、フートボード12の下方にはカバー47と燃料タンク13との間にチャンバー室Sが形成されるが、図6に示すように、前記ユニットスイング式エンジン14の伝動ケース16の前端から車体前方に向かって延びる前記ベルト室冷却ダクト46はカバー47内のチャンバー室Sの左端部に開口している。
【0039】
而して、ユニットスイング式エンジン14が始動され、伝動ケース16内に収容された不図示のファンが回転駆動されると、伝動ケース16のベルト冷却室に発生する負圧によって新気がフートボード12下方に形成されたチャンバー室Sの開口部S1,S2からチャンバー室S内に吸引される。そして、チャンバー室Sに吸引された新気は、チャンバー室Sに開口するベルト室冷却ダクト46を通って伝動ケース16内のベルト冷却室に導入されてVベルトの冷却に供され、Vベルトの冷却によって暖められた空気は伝動ケース16に開口する不図示の排出口から大気中に排出される。
【0040】
以上において、本実施の形態によれば、フートボード12の下方に配置された燃料タンク13を利用してカバー47との間にチャンバー室Sを形成し、このチャンバー室Sに開口するベルト室冷却ダクト46から伝動ケース16内のベルト冷却室へと新気を導入するようにしたため、燃料タンク13等の形状や機能に影響を与えることなく、フートボード12の下方の最小のスペースで大きな吸気通路断面積を確保することができ、そ必要十分な新気を伝動ケース16内のベルト冷却室に供給してVベルトを効率良く冷却することができる。
【0041】
又、フートボード12の下方に形成されたチャンバー室Sの大気中への開放はクリーンサイドを狙って任意の場所に設定することができるため、ベルト室冷却ダクト46への埃や水の侵入を防いで高い防塵性と防水性を確保することができる。
【0042】
尚、本実施の形態では、チャンバー室Sにベルト冷却ダクト46を開口させて新気を伝動ケース16内のベルト冷却室に導入する新気取入構造に対して本発明を適用した形態について述べたが、本発明は、エアクリーナから延びるエアクリーナダクトをチャンバー室に開口せしめて新気をエアクリーナに導入する新気取入構造に対しても同様に適用可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、フートボードの下方に車体取付部品を配置し、エアダクトから吸引される新気をエアクリーナ又は伝動ケース内のベルト冷却室に導入するスクータ型自動二輪車の新気取入構造において、前記フートボードの下方の前記車体取付部品との間にチャンバー室を形成し、該チャンバー室に前記エアダクトを開口せしめたため、少スペースで大きな吸気通路断面積と高い防塵性及び防水性を確保することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクータ型自動二輪車の側面図である。
【図2】スクータ型自動二輪車の部分正断面図である。
【図3】スクータ型自動二輪車の部分側面図である。
【図4】スクータ型自動二輪車の部分平面図である。
【図5】図3の矢視A方向の図である。
【図6】図3のB−B線断面図である。
【図7】図3のC−C線断面図である。
【図8】図3のD部詳細断面図である。
【図9】図4のE−E線断面図である。
【図10】カバーの正面図である。
【図11】カバーの側面図である。
【図12】カバーの平面図である。
【符号の説明】
1 スクータ型自動二輪車
12 フートボード
13 燃料タンク(車体取付部品)
16 伝動ケース
18 エアクリーナ
46 ベルト室冷却ダクト(エアダクト)
47 カバー
S チャンバー室

Claims (4)

  1. フートボードの下方に燃料タンクを配置し、エアダクトから吸引される新気をエアクリーナ、又は伝動ケース内のベルト冷却室に導入するスクータ型自動二輪車の新気取入構造において、
    前記燃料タンクの後部の上面、左右両側面及び後面を覆うカバーと、
    該カバーと前記燃料タンクとの間に形成されたチャンバー室とを備え、
    該チャンバー室は、前記カバーと前記燃料タンクの後面とによって形成され、
    前記エアダクトは、前記チャンバー室に開口することを特徴とするスクータ型自動二輪車の新気取入構造。
  2. 前記チャンバー室は、前記燃料タンクの後方に配置され、
    前記ベルト冷却室は、前記チャンバー室の後方に配置されることを特徴とする請求項1に記載のスクータ型自動二輪車の新気取入構造。
  3. 前記チャンバー室は、前記燃料タンクの後方に配置され、
    前記エアクリーナは、前記チャンバー室の後方に配置されることを特徴とする請求項1に記載のスクータ型自動二輪車の新気取入構造。
  4. 前記カバーは、前記燃料タンクに取り付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクータ型自動二輪車の新気取入構造。
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