JP3977113B2 - 発射音発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は飛翔体を発射させる発射装置について、実飛翔体を使用しない発射訓練に用いられるの発射音発生装置に関するものである。さらに詳しくは、発射装置から飛翔体や緊塞部の破片を放出させることがなく、発射装置前方における取り扱い性を良好に維持することができる発射音発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発射音発生装置の使用目的は、発射訓練中において実飛翔体を使用しなくとも臨場感のある音量を操作者に対して感じさせることにある。そのような目的で開発された発射音発生装置としては、これまで2種のタイプが知られている。
【0003】
1つ目のタイプは、発射装置で発生したガス発生剤の燃焼ガスを、コルク、樹脂、木質繊維板等の材質からなる蓋栓又は塞栓を用いて封じ込め、発射装置内に圧力を生じさせて、蓋栓又は塞栓が破裂を伴いながら放出される構成をとることによって発射音を生じさせる装置である。
【0004】
このような例として、例えば特許第3002729号公報では、放出後の蓋栓の破片を極小化するように軸方向に貫通する複数の孔が形成されている木質繊維板などが蓋栓によって火薬の燃焼ガスが緊塞される構成が用いられている。
【0005】
また、特開昭64−46593号公報では、仮比重が0.1以上0.33未満の弱い強度の材質で形成された薄い板状物を堆積させた蓋栓を用いることで発射装置内にガスを緊塞し、緊塞したガス圧によって蓋栓又は塞栓が破壊されるときに発射装置内からガスを排出することによって発射音を発生させている。
【0006】
また、もう1つのタイプは、例えば特開平7−190698号公報に記載されており、薬きょうの開口部に続けて緊塞部の強固な係止を目的とするテーパ部分とノズル部分とを設けて燃焼ガスを緊塞する装置である。その結果として得られる反動を利用し、薬きょうの排出及び弾の交換等の自動機構の作動を得る装置である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許第3002729号公報に開示された装置では、破裂後の木質繊維板の破片を極小化して装置外に飛散した破片の飛距離を低減させ、かつその威力を低下させているが、装置前方の近傍ではエネルギーを持った破片の飛び出しを完全に防ぐことができず、依然として取り扱い性の悪いものであった。
【0008】
また、特開昭64−46593号公報に開示されている例でも、装置から蓋栓の破片の飛び出しを完全に防ぐことはできず、前方の近傍においては取り扱い性に問題があった。
【0009】
また、特開平7−190698号公報に開示されている装置においては、実飛翔体を射出するときと同程度に威力のある火薬を多量に使用するため、発射音発生装置内の焼蝕が発生し易い上、発射音発生装置の取り扱い性を良好に維持できないという問題があった。
【0010】
加えて、単一のノズルによってガス発生剤の燃焼ガスを緊塞させるため、一部のガス発生剤が前方に吹き出すことを完全に防ぐことができず、発射装置前方における取り扱い性の確保についても問題があった。
【0011】
本発明は以上のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、緊塞部の破片が放出されるのを防止でき、前方における取り扱い性を良好に維持することができるとともに、発射音を前方へ十分に到達させることができる発射音発生装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の発明の発射音発生装置は、底壁及び底壁の周囲より立設された周壁並びに周壁の前端部に蓋をして内部に収容空間を形成する蓋体からなる筐体によって構成され、該筐体の底壁に設けられる点火具と、収容空間の点火具に近接する位置に配置される着火薬と、収容空間に装填されるガス発生剤とを備えた発射音発生装置であって、前記筐体は飛翔体が装填されない訓練用の発射装置に組み込まれるものであり、筐体の周壁又は蓋体にガス発生剤の燃焼ガスにより筐体内に10〜50MPaの緊塞圧力を生じるように構成されたガス排出孔を複数有するとともに、ガス発生剤の粒径をガス排出孔の孔径より大きくし、前方30m地点における発射音が109〜116dbとなるように構成することを特徴とするものである。
【0013】
第2の発明の発射音発生装置は、第1の発明において、前記底壁と蓋体との間には点火筒が支持されるとともに、点火筒の周囲にはガス発生剤が環状に配置され、前記点火筒内には着火薬が装填されるとともに、点火筒の筒壁には着火薬が着火されて発生する火炎が吹き出される吹き出し孔が複数設けられているものである。
【0015】
第3の発明の発射音発生装置は、第1又は第2の発明において、前記ガス排出孔が交差スリットを設けた破裂板によって閉塞されているものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明の発射音発生装置の第1実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図3に示すように、発射装置11は通常の火砲(砲弾)を模して作製されたもので、後端側の直径の大きな円筒状をなす薬室部(燃焼室)12と前端側の直径の小さな円筒状をなす砲身部13とが中間のテーパ部14を介して接続され、後端部が鎖栓15で一体化されて構成されている。該発射装置11の薬室部12の後端部には発射音発生装置16が収容されている。
【0018】
図1に示すように、発射音発生装置16を構成する筐体17は、底壁18と、底壁18の周囲より立設された円筒状の周壁19と、周壁19の前端部に蓋をして内部に収容空間20を形成する円板状の蓋体21とから構成されている。その周壁19前端の内周面には雌ねじ部22が螺刻されている。蓋体21はその外周面に雄ねじ部23を有し、その雄ねじ部23が筐体17の周壁19前端の雌ねじ部22に螺合されることにより、筐体17の前端部に固定されている。図1及び図2に示すように、蓋体21の外周域には同一円周上に一定の間隔をおいて9つのガス排出孔24が透設されている。ガス排出孔24の数は、ガス排出孔24の総面積、ガス排出孔24の加工性などに基づいて設定される。
【0019】
この筐体17を構成する材料としては、発射音発生装置16が作動するときに生じるガスの圧力や熱に対して耐え得る必要があり、アルミニウム、鉄、真鍮等の金属材料、又はセラミック等の無機材料が使用可能である。これらの材料の中では、ガス発生剤の急速な燃焼による衝撃に対する強度と燃焼ガスの耐熱性の面から鉄を用いるのが好ましい。
【0020】
筐体17の底壁18の中心部には挿通孔25が設けられ、その挿通孔25には点火具26が支持されている。その点火具26の前方位置の収容空間20には着火薬27が配置されている。収容空間20の着火薬27より前方位置にはガス発生剤28が装填されている。
【0021】
筐体17は発射装置11内に装填可能なようにその外径は発射装置11の薬室部12の内径と同等以下であり、筐体17の長さも発射装置11の薬室部12内に装填できる長さ以下である。筐体17の外径は、発射装置11内に円滑に着脱でき、かつ発射装置11内に位置決めできるように発射装置11の内径より1〜2mm小さいものが好ましい。
【0022】
また、筐体17の長さは筐体17の外径の1/2以上であることが望ましい。その理由は、筐体17には底壁18に点火具26が設けられ、底壁18を下にして置かず、周壁19を下にして置くため、その場合の安定性を良好に保持するためである。また、筐体17の長さは発射装置11の薬室部12の長さの1/2以下が望ましい。その理由は、筐体17の重量を軽減し、発射装置11への筐体17の装填及び取り出しを容易にするためである。筐体17内の容積は筐体17の外径及び長さで決定されるが、好ましくは発射装置11の容積の1/2以下である。
【0023】
そして、点火具26が点火されると点火具26近傍に配置された着火薬27が着火され、さらに着火薬27の着火による火炎でガス発生剤28全体が燃焼されるようになっている。点火具26は発射装置11の外部からの電気信号又は打撃によって点火する雷管が好ましい。
【0024】
着火薬27は点火具26の点火により速やかに点火されてガス発生剤28に火炎を伝播する。着火薬27の種類は黒色火薬、ニトロセルロースを主成分とするシングルベース系点火薬、ボロン/硝石系点火薬、又はマグネシウム/フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)系点火薬等が使用できるが、一般に弾薬に用いられている黒色火薬やニトロセルロース系点火薬が好ましい。
【0025】
ガス発生剤28は着火薬27の着火により筐体17内にガスを発生させるものであり、着火薬27の着火後、急速にガスを発生させるものならばいかなるものでも使用できるが、発射薬や推進薬等の火薬を用いたものが好ましい。
【0026】
ガス発生剤28は、組成及び形状によってガス発生時に筐体17内におけるガス発生速度を変化させるが、ガス排出孔24の面積を調整することで発射音を発生する緊塞圧力に対応できるため、特殊なガス発生剤ではなく、一般に用いられている既存の組成や形状のものが使用できる。
【0027】
具体的には、組成ではニトロセルロースを主とするシングルベース系、ニトロセルロース、ニトログリセリンを主とするダブルベース系、又はニトロセルロース、ニトログリセリン、ニトログアニジンを主とするとトリプルベース系のガス発生剤が使用できる。
【0028】
また、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、硝酸アンモニウムやニトラミン等の酸化剤と、ポリブタジエン、ポリエーテルやポリエステル等の燃料兼粘結剤とからなるコンポジット系ガス発生剤も使用できる。
【0029】
これらの中では発射装置11に腐食等の影響を及ぼさない燃焼ガスを生成するという点から、シングルベース系、ダブルベース系またはトリプルベース系の無煙火薬で構成されるガス発生剤が好ましい。
【0030】
ガス発生剤28の形状としては、一般にガス発生剤に用いられている溝付き長管状、単孔管状、棒状、球状、板状、多孔管状等の形状が採用されるが、ガス発生剤28の安定な燃焼を確保するためには燃焼開始から終了まで燃焼面積が変化しない形状が望ましい。そのような観点から、溝付き長管状又は単孔管状が望ましい。さらに、燃焼途中のガス発生剤がガス排出孔から放出されないようにするためには、ガス発生剤28の粒径がガス排出孔24の孔径より大きいことが好ましい。
【0031】
ガス排出孔24の位置は、筐体17の蓋体21又は周壁19であるが、好ましくは排出ガスが発射装置11に直接吹き付けることのない蓋体21であり、その配置数は2以上の複数である。ガス排出孔24の位置は、ガス排出に伴い発射装置11に加わる反動を均一に分散させるために、蓋体21の前方部を中心に同一円周上に配置することが望ましい。
【0032】
ガス排出孔24の孔径、形状やその面積の総計は、筐体17内に生じるガス発生速度と発射音を発生させるのに必要な緊塞圧力に応じて適宜設定される。ガス排出孔24の形状は、ガス排出孔24の面積が一定であればその形状は規定されないが、ガス排出孔24の焼蝕や変形の影響を受けにくい円形が好ましい。
【0033】
また、ガス発生剤28が小粒状の場合、急燃性のガス発生剤28以外のガス発生剤28ではガス排出孔24から未燃のガス発生剤28が飛び出し、発射装置11外に放出されて発射装置11前方の良好な取り扱い性が確保できなくなる。
【0034】
従って、ガス排出孔24の孔径は前記緊塞圧力の範囲になるようにガス排出孔24の総面積を保ちつつ、孔の数を複数設けてガス発生剤28の外径より小さくすることが好ましい。すなわち、次式の関係を満たすように設定することが好ましい。
【0035】
ガス発生剤の粒子径>〔(A/nπ)×4〕1/2
A:ガス排出孔24の総面積、n:ガス排出孔24の個数
燃焼途中のガス発生剤28のガス排出孔24からの飛び出しを考慮すると、ガス排出孔24の孔径をガス発生剤28の外径の50%以下に設定することがより好ましい。
【0036】
前記緊塞圧力は、主にガス排出孔24の総面積と筐体17内のガス発生速度の組み合わせによって決定される。
より具体的には、筐体17内のガス発生剤28の燃焼により、あるガス発生速度で筐体17内にガスが生成する。筐体17内で生成するガス発生量がガス排出孔24から排出されるガスの排出量より大きい燃焼初期では、筐体17内の圧力は増加してガスが緊塞された状態になる。一方、筐体17内のガス発生量がガス排出孔24から排出されるガスの排出量より小さくなる燃焼後期では、筐体17内の圧力は低下しはじめる。主要な発射音は筐体17内の圧力が最大圧力を経過した後、緊塞圧力が急激に低下しながら筐体17の外にガスが一気に排出されるときに生じる。また、一般に緊塞圧力が高いほど発生する音は大きくなる傾向がある。
【0037】
従って、好ましい発射音を発生させるには10〜50MPaの緊塞圧力を確保することが好ましく、15〜30MPaの緊塞圧力を確保することがさらに好ましい。この緊塞圧力が50MPaを越える場合には、筐体17内で生じたガスが円滑にガス排出孔24から排出されず、異常な圧力上昇の原因となりやすい。一方、緊塞圧力が10MPa未満の場合には、十分な発射音を発生することができなくなる傾向にある。なお、この緊塞圧力の範囲は、燃焼中の筐体17内の圧力が全てこの範囲に維持されるのではなく、最大圧力がこの範囲内に抑えられるという意味である。
【0038】
また、緊塞圧力の制御は、筐体17内のガス発生速度がガス発生剤の薬量、形状、組成等の諸元と筐体17の内容積で決定されるため、筐体17とガス発生剤28の諸元に対してガス排出孔24の面積を最適に調整することで筐体17内の緊塞圧力を制御することができる。
【0039】
ガス発生剤28の燃焼によって発生したガスにより筐体17が破壊されないようにするためには、筐体17の底壁18と周壁19の強度及び蓋体21の強度に加え、周壁19と蓋体21の接合強度の合計強度が筐体17内のガスの発生圧力による強度(10〜50MPa)を上回ることが必要である。
【0040】
さて、発射音発生装置16を用いて発射音を発生させる場合には、まず発射装置11の外部からの電気信号によって点火具26が点火される。この点火具26の点火により、その前方に位置する着火薬27が着火され、その火炎によってガス発生剤28が燃焼されて燃焼ガスが発生する。
【0041】
ガス発生剤28の燃焼初期には、筐体17内の圧力が増大してガスが筐体17内に緊塞された状態になり、その後筐体17内の圧力が最大圧力に至り、ガス発生剤28の燃焼後期には、筐体17内の圧力は低下しはじめる。この過程で、筐体17内の圧力が最大圧力を経過した後、緊塞圧力が急激に低下しながらガス排出孔24から筐体17外にガスが一気に排出されるときに発射音が発生する。
【0042】
その結果、発射音発生装置16から100〜120db(デシベル)程度の発射音が得られ、発射訓練において発射音発生装置16の前方に十分なる音を到達させることができる。
【0043】
以上のような第1実施形態により発揮される効果を以下にまとめて記載する。・ 第1実施形態の発射音発生装置によれば、発射装置11に飛翔体は設けられず、緊塞部としての蓋体は破られず、ガス排出孔24からガスが排出されるため蓋体21の破片が外部に放出されることがない。従って、発射装置11前方には何も放出されず、前方における取り扱い性を良好に維持することができる。
【0044】
また、ガス発生剤28の燃焼ガスがガス排出孔27を通過する際に、つまり筐体17内の緊塞圧力が解放される際に発生する音が発射装置11前方に十分に到達することにより、発射装置11前方において注意を喚起することができる。このとき、ガス排出孔24が複数設けられていることから、収容空間20で発生されたガスの圧力の開放を容易に調整することができ、上記の効果を確実に発揮させることができる。
【0045】
・ また、ガス排出孔24が筐体17内に10〜50MPaの緊塞圧力を生じるように構成されていることから、筐体17内に異常な圧力上昇を引き起こすことなく、ガス排出孔24で十分な発射音を発生させることができる。
【0046】
・ 加えて、筐体17内のガス発生速度に対してガス排出孔24の面積を変化させることにより、筐体17内のガス緊塞圧力を制御でき、発射音量を変化させて目的レベルに対応させることができる。
【0047】
・ さらに、ガス発生剤28の形状、組成、重量等に応じ、それに適するガス排出孔24の面積を設定できることから、一般的なガス発生剤や一般的な形状のものを用いることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4に従って説明する。この第2実施形態においては、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0048】
図4に示すように、筐体17の底壁18と蓋体21の各中心部間には、筐体17と同じ材質で作製された円筒状の点火筒としての中心点火筒29が接合されて支持されている。この中心点火筒29内には着火薬27が装填されるとともに、中心点火筒29の筒壁30には多数の開口孔31が貫設されている。
【0049】
中心点火筒29の外径は、筐体17の内径以下で、筐体17の蓋体21を緊塞圧力以上の強度で保持することができれば特に限定されないが、ガス発生剤量を十分に確保するためには筐体17の内径の5〜20%の範囲であることが好ましい。
【0050】
そして、点火具26の点火により、中心点火筒29内の着火薬27が着火し、中心点火筒29の筒壁30に設けられた多数の開口孔31より火炎が吹き出されてガス発生剤28を燃焼させるようになっている。
【0051】
従って、本第2実施形態の発射音発生装置16によれば、ガス発生剤28の燃焼を中心部から効率良く行うことができ、燃焼速度を速くすることができる。従って、発射音発生装置16から発射音を速やかに発生させることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図5及び図6に従って説明する。この第3実施形態においては、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0052】
図5(a),(b)に示すように、筐体17の蓋体21に設けられたガス排出孔24には、円板状の交差スリット32付きの破裂板33が蓋体21の内面に設けられたガス排出孔24より大きい直径を有する係止凹部34に固着されている。破裂板33の交差スリット32は、破裂板33の中心で交差するように十字状に形成されている。
【0053】
そして、点火具26により着火薬27が着火し、さらにガス発生剤28が燃焼すると、破裂板33は、ガス発生剤28の燃焼ガスを筐体17内に緊塞し、所定の緊塞圧力に達すると破裂板33が交差スリット32の交差部分から外周部に向かって破裂し、一気にガスが放出される。このため、図6(a),(b)に示すように、破裂板33が均一な4枚の扇板35に分割形成されるようになっている。各扇板35は破裂板33の外周部で折り曲げられ、破裂板33に保持されたままの状態で残る。
【0054】
ここで、破裂板33に設けられる交差スリット32は破裂板33が破裂した場合に細かい破片が生じないように破裂形状を制御するために設けられる。交差スリット32はガス排出孔24の中心で交差する2本以上の直線で形成することが好ましく、交差スリット32に沿って破裂した金属板が交差スリット32外周に保持されるためには、2本の交差スリット32がより好ましい。
【0055】
破裂板33の材質としては、通常アルミニウム、真鍮、鉄等の金属板を用いることができるが、破裂後の金属板を保持する必要性から展性の強いアルミニウムが好ましい。そして、破裂板33を所定の緊塞圧力に応じて破砕させるために、破裂板33の材質に応じた厚みが設定される。
【0056】
従って、第3実施形態の発射音発生装置16によれば、破裂板33がその交差スリット32で破裂される音に加え、ガス排出孔24が第1又は第2実施形態のそれより大きく、そのガス排出孔24を通過する多量のガスにより発生する音によって、十分に大きな音が得られる。その結果、発射装置11前方においてその音を十分に認識することができ、発射音発生装置16の取り扱い性をさらに向上させることができる。
【0057】
【実施例】
(実施例1)
図1及び図2に示す前記第1実施形態の発射音発生装置16として、以下に示す構成の装置を製作した。
【0058】
筐体17の底壁18及び周壁19を鋼鉄(SK3)を用いて作製した。筐体17の蓋体21も同じ材質を用い、蓋体21の雄ねじ部23を周壁19の雌ねじ部22に螺合して蓋体21を周壁19に固定した。蓋体21には直径5mmのガス排出孔24を同心円上に等間隔をおいて9個配置した。筐体17の周壁19の内径は約140mm、長さは約80mmで、収容空間20の容積は約800cm3であった。
【0059】
ガス発生剤28の組成として、ニトロセルロースとニトログリセリンを主成分とするダブルベース系ガス発生剤を用いた。ガス発生剤28は外径約7mm、内径約2mm、長さ60mmの単孔管状薬であり、薬量は128〜184gとした。
【0060】
筐体17の底壁18には、電気式雷管からなる点火具26を取り付け、ガス発生剤28に均一に着火させるため着火薬27として黒色火薬6gを点火具26近傍に配置した。次に、筐体17内部に検圧器(日本製鋼所製、商品名:T−18)を配置した後、蓋体21を取り付けた。
【0061】
そして、発射音発生装置16を水平に固定した後、点火具26を結線し、遠隔操作で電気を通電することにより、点火具26を点火させ、着火薬27を着火させてガス発生剤28を燃焼させた。その結果、筐体17内に発生したガスはガス排出孔24から排出され、発射音を発生すると同時に発射音発生装置16の前方に発煙を生じた。
【0062】
発射音量(db)は試験装置の前方30m地点に配置した騒音計(リオン製、商品名:NA−24)により計測し、緊塞圧力(MPa)は前記検圧器により計測した。なお、発射音量はJIS C 1502による騒音計にて測定し、A特性の周波数補正を行った値である。
【0063】
緊塞圧力と発射音量の結果を表1に示した。
(実施例2及び3)
ガス発生剤量を表1に示すように変えること以外は実施例1に準じて行い、緊塞圧力(MPa)及び発射音量(db)を計測した。それらの試験結果を表1に示した。
【0064】
【表1】
表1に示したように、実施例1〜3においては、緊塞圧力が10〜50(MPa)で発射音量が109〜116(db)であり、発射音発生装置の前方30m地点での音は十分に大きく、その音を認識するのに十分であった。従って、発射音発生装置の前方における取り扱い性を良好に維持することができた。
【0065】
なお、本発明は前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 図7(a)に示すように、筐体17をその前端部が小さい円筒状をなす小円筒部36を有する凸型形状とすることができる。そして、ガス排出孔24をその小円筒部36の周壁19aに穿設してもよい。
【0066】
・ また、図7(b)に示すように、筐体17の前部を前端ほど小径となるテーパ状に形成された周壁19bを設け、その周壁19bにガス排出孔24を穿設することもできる。
【0067】
・ ガス排出孔24の平面形状を楕円形状にしたり、多角形状にしたりすることもできる。また、ガス排出孔24の数、大きさ又は位置を適宜変更することもできる。
【0068】
・ 図7(a),(b)において、ガス排出孔24を蓋体21と周壁19の双方に設けることも可能である。
・ 点火筒を筐体17の底壁18と蓋体21の各中心以外の位置に設けることもでき、また点火筒を筐体17内に複数設けることもできる。
【0069】
・ 筐体17の底壁18を周壁19と別体で構成し、両者をねじなどの手段によって一体化することもできる。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
【0070】
・ 前記点火筒は筐体の底壁と蓋体の各中心位置に支持されている請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の発射音発生装置。このように構成した場合、請求項2に記載の発明の効果を最も有効に発揮することができる。
【0071】
・ 前記緊塞圧力は、筐体内でガス発生剤の燃焼により発生されるガス発生量がガス排出孔から排出されるガス排出量より大きくなるように設定されて生ずるものである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発射音発生装置。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明の効果を確実に発揮させることができる。
【0072】
・ 前記筐体は飛翔体が装填されない訓練用の発射装置に組み込まれるものである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発射音発生装置。このように構成した場合、飛翔体の発射訓練用として、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明の効果を有効に発揮させることができる。
【0073】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
第1の発明の発射音発生装置によれば、緊塞部の破片が放出されるのを防止でき、前方における取り扱い性を良好に維持することができるとともに、発射音を前方へ十分に到達させることができる。さらに、異常な圧力上昇を引き起こすことなく、十分な発射音を発生することができる。
【0074】
第2の発明の発射音発生装置によれば、第1の発明の効果に加えて、ガス発生剤の燃焼を効率良く行うことができ、燃焼速度を速くすることができて、発射音発生装置から発射音を速やかに発生させることができる。
【0075】
第3の発明の発射音発生装置によれば、第1又は第2の発明の効果に加えて、十分に大きな音が得られ、発射音発生装置の前方においてその音を十分に認識することができて、発射音発生装置の取り扱い性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の発射音発生装置を模式的に示す断面図であって、図2の1−1線における断面図。
【図2】 第1実施形態の発射音発生装置を模式的に示す斜視図。
【図3】 発射装置の一部を示す断面図。
【図4】 第2実施形態の発射音発生装置を模式的に示す断面図。
【図5】 (a)は第3実施形態の発射音発生装置を模式的に示す断面図であって図5(b)の5a−5a線における断面図、(b)は発射音発生装置を示す平面図。
【図6】 (a)は第3実施形態の発射音発生装置の作用を示す断面図であって図6(b)の6a−6a線における断面図、(b)は発射音発生装置を示す平面図。
【図7】 (a)及び(b)は各々別例の発射音発生装置を示す断面図。
【符号の説明】
16…発射音発生装置、17…筐体、18…底壁、19,19a,19b…周壁、20…収容空間、21…蓋体、24…ガス排出孔、26…点火具、27…着火薬、28…ガス発生剤、29…点火筒としての中心点火筒、32…交差スリット、33…破裂板。
Claims (3)
- 底壁及び底壁の周囲より立設された周壁並びに周壁の前端部に蓋をして内部に収容空間を形成する蓋体からなる筐体によって構成され、該筐体の底壁に設けられる点火具と、収容空間の点火具に近接する位置に配置される着火薬と、収容空間に装填されるガス発生剤とを備えた発射音発生装置であって、
前記筐体は飛翔体が装填されない訓練用の発射装置に組み込まれるものであり、筐体の周壁又は蓋体にガス発生剤の燃焼ガスにより筐体内に10〜50MPaの緊塞圧力を生じるように構成されたガス排出孔を複数有するとともに、ガス発生剤の粒径をガス排出孔の孔径より大きくし、前方30m地点における発射音が109〜116dbとなるように構成することを特徴とする発射音発生装置。 - 前記底壁と蓋体との間には点火筒が支持されるとともに、点火筒の周囲にはガス発生剤が環状に配置され、前記点火筒内には着火薬が装填されるとともに、点火筒の筒壁には着火薬が着火されて発生する火炎が吹き出される吹き出し孔が複数設けられている請求項1に記載の発射音発生装置。
- 前記ガス排出孔が交差スリットを設けた破裂板によって閉塞されている請求項1又は請求項2に記載の発射音発生装置。
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