JP3972438B2 - 化学増幅型のポジ型レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体の微細加工に用いられる化学増幅型のポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体の微細加工には通常、レジスト組成物を用いたリソグラフィプロセスが採用されており、リソグラフィにおいては、レイリー (Rayleigh) の回折限界の式で表されるように、原理的には露光波長が短いほど解像度を上げることが可能である。半導体の製造に用いられるリソグラフィ用の露光光源は、波長436nmのg線、波長365nmのi線、波長248nmのKrFエキシマレーザーと、年々短波長になってきており、次世代の露光光源として、波長193nmのArFエキシマレーザーが有望視されている。
【0003】
ArFエキシマレーザー露光機に用いられるレンズは、従来の露光光源用のものに比べて寿命が短いので、ArFエキシマレーザー光に曝される時間はできるだけ短いことが望ましい。そのためには、レジストの感度を高める必要があることから、露光により発生する酸の触媒作用を利用し、その酸により解裂する基を有する樹脂を含有するいわゆる化学増幅型レジストが用いられる。
【0004】
ArFエキシマレーザー露光用のレジストに用いる樹脂は、レジストの透過率を確保するために芳香環を持たず、またドライエッチング耐性を持たせるために芳香環の代わりに脂環式環を有するものがよいことが知られている。このような樹脂としてこれまでにも、 D.C. Hofer, Journal of Photopolymer Science and Technology, Vol.9, No.3 (1996) 387-398 に記載されるような各種の樹脂が知られている。しかしながら、従来公知の樹脂では、特にその極性が足りない場合に、現像時の接着性不足から、現像剥がれを起こしやすいという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、樹脂成分と酸発生剤を含有し、ArFやKrFなどのエキシマレーザーリソグラフィに適した化学増幅型のポジ型レジスト組成物であって、感度や解像度などの各種のレジスト性能が良好であるとともに、特に基板への接着性に優れるものを提供することにある。
【0006】
本発明者らは、化学増幅型のポジ型レジスト組成物を構成する樹脂として、特定構造の重合単位を有するものを用いることにより、基板への接着性が改良されることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、2−アルキル−2−アダマンチルを酸解裂基として有する(メタ)アクリル酸エステル系の重合単位と無水イタコン酸から導かれる重合単位の両方を含み、さらに、アルキルで置換されてもよいブチロラクトン残基を有する重合単位を含む樹脂、及び酸発生剤を含有してなる化学増幅型ポジ型レジスト組成物を提供するものである。
【0008】
ここで、2−アルキル−2−アダマンチルを酸解裂基として有する(メタ)アクリル酸エステル系の重合単位とは、下式(I)で示される2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート由来の単位をいい、また無水イタコン酸から導かれる重合単位とは、下式(II)で示される単位をいう。
【0009】
【0010】
式中、R1 は水素又はメチルを表し、R2 は炭素数1〜4のアルキルを表す。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記式(I)の重合単位を有する樹脂は、特開平 9-73173号公報に記載され、また上記式(II)の重合単位を有する樹脂は、特開平 7-234511 号公報に記載されているが、これら二つの重合単位を組み合わせることにより、ドライエッチング耐性、解像度及び接着性の改善が図られる。式(I)中のR2 は炭素数1〜4のアルキルであり、このアルキルは通常、直鎖であるのが有利であるが、分岐していてもよい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルなどが挙げられる。式(I)及び式(II)の各重合単位を含む樹脂は、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル及び無水マレイン酸をそれぞれ必須の構成モノマーとして共重合を行うことにより、製造できる。
【0012】
またこの樹脂は、式(I)及び式(II)以外の重合単位を含んでいてもよい。任意に含有しうる他の重合単位は、芳香環を持たず、そして脂環式環、ラクトン残基、式(II)以外の環状酸無水物残基などの、環状構造を有するものが好ましい。脂環式環は特に、脂環式炭化水素残基、それも架橋炭化水素環であるのが好ましく、例えば、ボルナン環、ノルボルナン環、トリシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、アダマンタン環などが挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル酸の脂環式エステルから導かれる重合単位、脂環式カルボン酸のビニルエステル又はイソプロペニルエステルから導かれる重合単位などを挙げることができる。さらには、遊離のカルボン酸基やアルコール性水酸基を部分的に含有することもできる。
【0013】
なかでも、樹脂中にブチロラクトン残基を含有させることは、接着性の観点から特に好ましい。ここでいうブチロラクトン残基は、無置換であっても、またアルキルで置換されていてもよく、このアルキルは、メチル、エチル、プロピル及びブチルのように、炭素数1〜4程度であることができる。このブチロラクトン残基は、例えば、エステル結合やエーテル結合の形で樹脂基体に結合することができる。ブチロラクトン残基における結合手の位置は特に限定されないが、例えば、ブチロラクトンのα−位(すなわち2−位)から結合手の出ているものであることができる。このようなブチロラクトン残基は、例えばアクリル酸やメタクリル酸のエステルのような形で、樹脂の主鎖に直接つながっていてもよいし、脂環式環にブチロラクトン残基がエステル結合又はエーテル結合し、その脂環式環が樹脂の主鎖にエステル結合又はエーテル結合するような形でもよい。
【0014】
樹脂中にブチロラクトン残基を導入するには、一般に、ブチロラクトン残基を有するモノマーを、前記の2−アルキル−2−アダマンチルメタクリレート及び無水イタコン酸とともに共重合する方法が採用されるが、カルボン酸基やアルコール性水酸基を有する樹脂を、ブチロラクトンエステルにしたりブチロラクトンエーテルにする方法も採用しうる。モノマー又は樹脂中にブチロラクトン残基を導入するためのエステル化やエーテル化には、例えば、アルキルで置換されてもよいブチロラクトンのハロゲン置換体を用いることができる。ブチロラクトン残基を有するモノマーとしては、例えば、α−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0015】
ブチロラクトン残基を有する重合単位として、典型的には、下式(III) で示されるものを挙げることができる。
【0016】
【0017】
式中、R3 は水素又はメチルを表す。
【0018】
また、化学増幅型ポジ型レジスト用の樹脂は一般に、それ自体ではアルカリに不溶ないし難溶であるが、酸の作用により一部の基が解裂し、解裂後はアルカリ可溶性となるものであり、本発明に用いる樹脂では、前記式(I)中の2−アルキル−2−アダマンチル基が酸の作用により解裂する。したがって、式(I)の重合単位を有することにより、この樹脂を含有するレジスト組成物はポジ型に作用するが、必要に応じて、酸の作用により解裂する基を有する他の重合単位を含んでいてもよい。
【0019】
酸の作用により解裂する他の基として、具体的には、カルボン酸の各種エステル、例えば、tert−ブチルエステルに代表される炭素数1〜6程度のアルキルエステル、メトキシメチルエステル、エトキシメチルエステル、1−エトキシエチルエステル、1−イソブトキシエチルエステル、1−イソプロポキシエチルエステル、1−エトキシプロピルエステル、1−(2−メトキシエトキシ)エチルエステル、1−(2−アセトキシエトキシ)エチルエステル、1−〔2−(1−アダマンチルオキシ)エトキシ〕エチルエステル、1−〔2−(1−アダマンタンカルボニルオキシ)エトキシ〕エチルエステル、テトラヒドロ−2−フラニルエステル、テトラヒドロ−2−ピラニルエステルのようなアセタール型エステル、イソボルニルエステルのような脂環式エステルなどが挙げられる。このようなカルボン酸エステルを有する重合単位へ導くためのモノマーは、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステルのようなアクリル系のものでもよいし、ノルボルネンカルボン酸エステル、トリシクロデセンカルボン酸エステル、テトラシクロデセンカルボン酸エステルのように、カルボン酸エステル基が脂環式モノマーに結合したものでもよく、さらには、Iwasa et al, Journal of Photopolymer Science and Technology, Vol.9, No.3 (1996) 447-456 に記載されるような、脂環式カルボン酸エステルの脂環式基がアクリル酸又はメタクリル酸とエステルを形成したものでもよい。
【0020】
本発明で用いる樹脂は、パターニング露光用の放射線の種類や任意に含まれる他の重合単位の種類などにより変動するが、一般には、式(I)及び式(II)で示される重合単位をそれぞれ20〜70モル%の範囲で含有するのが好ましく、またブチロラクトン残基を有する重合単位は、70モル%以下の範囲で含有しうる。さらに、式(I)で示される重合単位以外の、酸の作用により解裂する基を有する重合単位を含む場合、その量は50モル%以下程度が好ましい。この樹脂は、式(I)の重合単位中に脂環式環を有するので、それとは別に脂環式環を有する重合単位を設けなくてもよいが、脂環式環を有する重合単位は、全体で20モル%以上存在するのが好ましい。
【0021】
もう一つの成分である酸発生剤は、その物質自体に、あるいはその物質を含むレジスト組成物に、光や電子線などの放射線を作用させることにより、その物質が分解して酸を発生するものである。酸発生剤から発生する酸が前記樹脂に作用して、式(I)中の2−アルキル−2−アダマンチルを、また酸の作用で解裂する他の基が存在する場合はそれをも解裂させることになる。このような酸発生剤には、例えば、オニウム塩化合物、有機ハロゲン化合物、スルホン化合物、スルホネート化合物などが包含される。具体的には、次のような化合物を挙げることができる。
【0022】
ジフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
【0023】
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
【0024】
2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
【0025】
1−ベンゾイル−1−フェニルメチル p−トルエンスルホネート(通称ベンゾイントシレート)、
2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル p−トルエンスルホネート(通称α−メチロールベンゾイントシレート)、
1,2,3−ベンゼントリイル トリスメタンスルホネート、
2,6−ジニトロベンジル p−トルエンスルホネート、
2−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、
4−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、
【0026】
ジフェニル ジスルホン、
ジ−p−トリル ジスルホン、
ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
(ベンゾイル)(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
【0027】
N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミドなど。
【0028】
また、一般に化学増幅型のポジ型レジスト組成物においては、塩基性化合物、特に塩基性含窒素有機化合物、例えばアミン類を、クェンチャーとして添加することにより、露光後の引き置きに伴う酸の失活による性能劣化を改良できることが知られており、本発明においても、このような塩基性化合物を配合するのが好ましい。クェンチャーに用いられる塩基性化合物の具体的な例としては、以下の各式で示されるようなものが挙げられる。
【0029】
【0030】
式中、R11、R12、R13、R14及びR15は互いに独立に、水素、水酸基で置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アリール又はアルコキシを表し、Aはアルキレン、カルボニル又はイミノを表す。ここで、R11〜R15で表されるアルキル及びアルコキシは、炭素数1〜6程度であることができ、シクロアルキルは、炭素数5〜10程度であることができ、そしてアリールは、炭素数6〜10程度であることができる。また、Aで表されるアルキレンは、炭素数1〜6程度であることができ、直鎖でも分岐していてもよい。
【0031】
本発明のレジスト組成物は、その全固形分重量を基準に、樹脂を80〜99.9重量%、そして酸発生剤を0.1〜20重量%の範囲で含有するのが好ましい。また、クェンチャーとしての塩基性化合物を用いる場合は、同じくレジスト組成物の全固形分重量を基準に、0.0001〜0.1重量%の範囲で含有するのが好ましい。この組成物はまた、必要に応じて、増感剤、溶解抑止剤、他の樹脂、界面活性剤、安定剤、染料など、各種の添加物を少量含有することもできる。
【0032】
本発明のレジスト組成物は通常、上記の各成分が溶剤に溶解された状態でレジスト液となり、シリコンウェハーなどの基体上に塗布される。ここで用いる溶剤は、各成分を溶解し、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発した後に均一で平滑な塗膜を与えるものであればよく、この分野で通常用いられているものであることができる。例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類、γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などを挙げることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、2−ヘプタノンを溶剤の少なくとも一部として、例えば溶剤全体の50重量%以上用いた場合は、塗布性に優れ、また解像度においても優れた結果が得られる。
【0033】
基体上に塗布され、乾燥されたレジスト膜には、パターニングのための露光処理が施され、次いで脱保護基反応を促進するための加熱処理を行った後、アルカリ現像液で現像される。ここで用いるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であることができるが、一般には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液が用いられることが多い。
【0034】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。例中にある部は、特記ないかぎり重量基準である。
【0035】
合成例1(モノマーの合成)
2−メチル−2−アダマンタノール83.1gとトリエチルアミン101gを仕込み、200gのメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこに、メタクリル酸クロリド78.4g(2−メチル−2−アダマンタノールに対して1.5モル倍)を滴下し、その後、室温で約10時間攪拌した。濾過後、有機層を5重量%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を2回行った。有機層を濃縮した後、減圧蒸留して、次式で示されるメタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルを収率75%で得た。
【0036】
【0037】
合成例2(別のモノマーの合成)
α−ブロモ−γ−ブチロラクトン100gとメタクリル酸104.4g(α−ブロモ−γ−ブチロラクトンに対して2.0モル倍)を仕込み、α−ブロモ−γ−ブチロラクトンの3重量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこにトリエチルアミン183.6g(α−ブロモ−γ−ブチロラクトンに対して3.0モル倍)を滴下し、その後、室温で約10時間攪拌した。濾過後、有機層を5重量%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を2回行った。有機層を濃縮して、次式で示されるα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを収率85%で得た。
【0038】
【0039】
合成例3(樹脂A1の合成)
合成例1で得られたメタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル及び無水イタコン酸を、50:50のモル比(20.0g:9.6g)で仕込み、全モノマーの2重量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこに、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを全モノマー量に対して1モル%添加し、90℃で約8時間加熱した。その後、反応液を大量のヘプタンに注いで沈殿させる操作を2回行い、精製した。その結果、次式で示され、各単位の組成モル比が50:50で、重量平均分子量が約 8,000の共重合体を得た。
【0040】
【0041】
合成例4(樹脂A2の合成)
メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル及び無水イタコン酸を60:40のモル比(20.0g:6.4g)で仕込んだ以外は、合成例3と同様の操作を行った。その結果、次式で示され、各単位の組成モル比が60:40で、重量平均分子量が約 8,000の共重合体を得た。
【0042】
【0043】
合成例5(樹脂A3の合成)
合成例1で得られたメタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、合成例2で得られたα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン及び無水イタコン酸を、50:25:25のモル比(20.0g:7.3g:4.8g)で仕込み、全モノマーの2重量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこに、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを全モノマー量に対して1モル%添加し、90℃で約8時間加熱した。その後、反応液を大量のヘプタンに注いで沈殿させる操作を2回行い、精製した。その結果、次式で示され、各単位の組成モル比が50:25:25で、重量平均分子量が約 8,000の共重合体を得た。
【0044】
【0045】
合成例6(樹脂AXの合成:比較用)
メタクリル酸1−エトキシエチル、メタクリル酸イソボルニル及びメタクリル酸を、5:3:2のモル比(31.6g:26.7g:6.9g)で仕込み、全モノマーの2重量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこに、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを全モノマー量に対して2モル%添加し、80℃で約8時間加熱した。その後、反応液を大量のヘプタンに注いで沈殿させる操作を2回行い、精製した。その結果、次式で示され、各単位の組成モル比が50:30:20で、重量平均分子量が約 10,000 の共重合体を得た。
【0046】
【0047】
実施例1、参考例1〜3及び比較例1〜2
各例毎に、表1に示す樹脂を10部、酸発生剤として4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート(みどり化学(株)製)を0.20部及びクェンチャーとして2,6−ジイソプロピルアニリンを0.015部用い、これらを表1に示す溶剤60部に溶かし、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト液を調製した。これを、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で処理したシリコンウェハー(水の接触角60°)又は有機反射防止膜を塗布したシリコンウェハーに、乾燥後の膜厚が0.455μmとなるよう塗布した。有機反射防止膜は、Brewer社の“DUV-18L” を、215℃、60秒のベーク条件で570Åの厚さとなるように塗布して形成させた。レジスト液塗布後のプリベークは、120℃、60秒の条件で、ダイレクトホットプレート上にて行った。
【0048】
こうしてレジスト膜を形成したウェハーに、KrFエキシマステッパー〔(株)ニコン製の“NSR 2205 EX12B”、NA=0.55 〕を用いて、ラインアンドスペースパターンを露光した。次に、ホットプレート上にて120℃、60秒の条件でポストエキスポジャーベーク(PEB)を行った。次に、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液又はそれを超純水で表1に示すように希釈した現像液により、60秒間のパドル現像を行った。現像後のパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、有機反射防止膜基板上に設けたレジスト膜から得られたパターンについて、以下の方法で感度及び解像度を調べた。
【0049】
感度: 0.3μmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量(実効感度)で表示した。
【0050】
解像度: 実効感度の露光量で分離するラインアンドスペースパターンの最小寸法で表示した。
【0051】
また、有機反射防止膜を設けない基板上のパターンについて、接着性の評価を行い、0.3μmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量で基板に接着しているものを○、剥がれているものを×と表示した。以上の結果を、用いた樹脂及び溶剤とともに表1に示す。
【0052】
【表1】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
例 No. 樹脂 溶剤* 現像液 実効感度 解像度 接着性
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
参考例1 A1 PGMEA 希釈なし 25 mJ/cm2 0.21μm ○
〃 2 A1 MAK 希釈なし 35 mJ/cm2 0.18μm ○
〃 3 A2 〃 希釈なし 35 mJ/cm2 0.18μm ○
実施例1 A3 PGMEA 希釈なし 25 mJ/cm2 0.19μm ○
──────────────────────────────
比較例1 AX PGMEA 1/20希釈 40 mJ/cm2 0.23μm ○
〃 2 AX 〃 1/5 希釈 35 mJ/cm2 0.25μm ×
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0053】
(表1の脚注)* 溶剤
PGMEA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MAK :2−ヘプタノン(別名メチルアミルケトン)
【0054】
表1に示すとおり、樹脂A1、A2又はA3を用いたレジストは、現像液濃度が高くても現像剥がれを起こすことがなく、基板に対する接着性に優れている。また解像度も改良されており、感度が損なわれることもない。実施例1および参考例1〜3で用いた組成物は、ArFエキシマレーザー露光機による露光でも、同様に優れた性能のレジストパターンを与える。
【0055】
【発明の効果】
本発明の化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、基板への接着性に優れており、また感度や解像度などのレジスト諸性能も良好である。したがって、この組成物は、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーなどを用いた露光に適しており、それによって高い性能のレジストパターンを与える。
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