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JP3971147B2 - ポリウレタン発泡エラストマー - Google Patents

ポリウレタン発泡エラストマー Download PDF

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JP3971147B2
JP3971147B2 JP2001311482A JP2001311482A JP3971147B2 JP 3971147 B2 JP3971147 B2 JP 3971147B2 JP 2001311482 A JP2001311482 A JP 2001311482A JP 2001311482 A JP2001311482 A JP 2001311482A JP 3971147 B2 JP3971147 B2 JP 3971147B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン発泡エラストマー及びその製造法に関する。更に詳しくは、例えば、シート、ベッド、玩具、靴底、自動車、原動機付き自転車等に用いられる衝撃吸収体、吸音体、振動吸収体、クッション材料等として好適に使用しうるポリウレタン発泡エラストマー及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
低反発弾性素材は、移動機器分野、医療機器分野及び福祉機器分野を中心に衝撃・振動吸収材として用いられている。この低反発弾性素材には、フォーム密度が0.1g/cm3以下、なかんづく0.03〜0.07g/cm3 であり、硬度(Asker C) が1以下又は測定限界値以下である低反発弾性軟質ポリウレタンフォームが広く用いられている。
【0003】
しかしながら、低反発弾性軟質ポリウレタンフォームは、その引張強度が通常、それ単独では1kg/cm2以下であり、充分な強度を有しないため、他の素材と積層することによって使用されている。また、従来のポリウレタン発泡エラストマーは、密度が0.2 〜1.0g/cm3の領域では反発弾性率が20%を超えるものしかなく、それ単独での硬度(Asker C) が1以上、引張強度が1kg/cm2以上であり、反発弾性率が20%以下であるポリウレタン発泡エラストマーが未だ得られていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低反発弾性を有するとともに、それ単独であっても十分な強度を有するポリウレタン発泡エラストマー及びその製造法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
(1)2個以上の活性水素を有する化合物A(以下、「化合物A」という)を含有する組成物I(以下、「組成物I」という)とイソシアネートプレポリマーIIとを発泡剤の存在下で反応させてなる(イソシアネートインデクッスが50〜80) ポリウレタン発泡エラストマーであって、前記化合物Aがポリエーテルポリオール又はポリエーテルポリオールを基剤とするポリマーポリオールであって、水酸基価100 mgKOH/g 未満の化合物aと水酸基価100 mgKOH/g以上の化合物bとからなり、前記イソシアネートプレポリマーIIが芳香族ポリイソシアネート又はその変性体である、密度が0.2 〜1.0 g/cm3 、厚さ10mmにおける反発弾性率が15%以下、硬度(Asker C)が3〜90であるポリウレタン発泡エラストマー、並びに
(2)2個以上の活性水素を有する化合物Aを含有する組成物IとイソシアネートプレポリマーIIとを発泡剤の存在下で反応させるポリウレタン発泡エラストマーの製造法であって、前記化合物Aがポリエーテルポリオール又はポリエーテルポリオールを基剤とするポリマーポリオールであって、水酸基価100 mgKOH/g 未満の化合物aと水酸基価100 mgKOH/g以上の化合物bとからなり、前記イソシアネートプレポリマーIIが芳香族ポリイソシアネート又はその変性体であり、イソシアネートインデクッスが50〜80である、密度が0.2 〜1.0 g/cm3 、厚さ10mmにおける反発弾性率が20%以下、硬度(Asker C)が3〜90のポリウレタン発泡エラストマーの製造法
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のポリウレタン発泡エラストマーは、従来用いられている低反発弾性軟質ポリウレタンフォーム(フォーム密度:0.1g/cm3以下)とは異なり、密度0.2 〜1.0 g/cm3 を有する。したがって、このポリウレタン発泡エラストマーは、ヒケ等の収縮をほとんど生じさせることなく、所望の形状に成形することができるとともに、軽量化、高強度化及び耐摩耗性の向上が図られたものである。ポリウレタン発泡エラストマーの密度は、軽量化、高強度化及び耐摩耗性の向上の観点から、好ましくは0.3 〜0.8g/cm3、より好ましくは0.3 〜0.6g/cm3である。
【0007】
ポリウレタン発泡エラストマーの厚さ10mmにおける反発弾性率は、優れた防振性及び衝撃吸収性を付与する観点から、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。反発弾性率は、JIS K 6301に基づいて厚さ10mmの試験片を用いて測定したときの値である。
【0008】
また、ポリウレタン発泡エラストマーの硬度(Asker C)は、脱型後の成形体の収縮を抑制し、脱型時間を短縮させる観点から、1〜90、好ましくは3〜85、より好ましくは5〜70である。
【0009】
ポリウレタン発泡エラストマーは、組成物Iと、イソシアネートプレポリマーIIとを発泡剤の存在下で反応させることによって得られる。
【0010】
組成物Iは、化合物Aを含有するものである。
化合物Aの代表例としては、水酸基を2個以上有するポリエーテルポリオールやポリエーテルポリオールを基剤とするポリマーポリオール等が挙げられる。
【0011】
ポリエーテルポリオールの代表例としては、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオールの末端水酸基にエチレンオキシドが付加されたポリオキシプロピレンポリオール系ポリオール(以下、「PPG」という)及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0012】
PPGは、2個以上の活性水素を有する化合物を出発原料とし、これに通常のアルキレンオキシドの開環付加反応を行い、更にエチレンオキシドを分子末端にブロック的に付加する方法等によって製造することができる。
【0013】
2個以上の活性水素を有する化合物の代表例としては、多価アルコール、多価フェノール、ポリアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。
【0014】
2個以上の活性水素を有する化合物の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、デキストロース、シュークロース、ビスフェノールA、エチレンジアミン、それらの変性物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0015】
2個以上の活性水素を有する化合物に開環付加反応されるアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシドの単独使用、又はプロピレンオキシドを主成分 (50重量%以上) とするプロピレンオキシドと他のアルキレンオキシドとのランダム共重合体又はブロック共重合体が好ましい。
【0016】
ポリマーポリオールの代表例としては、重合性不飽和基含有モノマーを重合させて得られたポリマー微粒子がポリエーテルポリオール中に分散した状態にあるもの等が挙げられる。
【0017】
ポリマーポリオールの製法としては、例えば、重合性不飽和基含有モノマーを重合させて得られたポリマー微粒子とポリエーテルポリオールとを混合して分散させる方法、ポリエーテルポリオール中で重合性不飽和基含有モノマーを重合させることにより得られたポリマー微粒子をポリエーテルポリオール中に分散させる方法等が挙げられる。これらの方法の中では、後者の方法は、ポリマー微粒子がポリエーテルポリオール中に均一に分散されたポリマーポリオールを容易に得ることができるので好ましい。
【0018】
重合性不飽和基含有モノマーとしては、例えば、スチレン;アクリロニトリル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート;グリシジルメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルアクリレート;グリシジルアクリレート等が挙げられ、これらのモノマーは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0019】
化合物Aの平均官能基数は、低反発性付与し、形状安定性及び脱型性を向上させる観点から、2〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。平均官能基数は、ポリエーテルポリオールと副生成物であるモノオールとの比率から求められる。官能基としては、例えば、水酸基等が挙げられる。
【0020】
化合物Aの水酸基価は、低反発弾性保持及び形状安定性の観点から、25〜600 mgKOH/g が好ましく、25〜500mgKOH/gがより好ましい。
【0021】
化合物Aのなかでは、水酸基価が100mgKOH/g未満である化合物a(以下、化合物aという)と、水酸基価が100mgKOH/g以上である化合物b(以下、化合物bという)との混合物が低反発弾性を有するポリウレタン発泡エラストマーを得る観点から好ましい。
【0022】
化合物aの水酸基価は、強度保持の観点から、25mgKOH/g 以上100mgKOH/g以下が好ましく、25〜50mgKOH/g がより好ましい。化合物aの数平均分子量は、強度保持の観点から、1000〜7000が好ましく、4000〜6000がより好ましい。
【0023】
化合物bの水酸基価は、低反発弾性付与及び形状安定性の観点から、100mgKOH/g以上600mgKOH/g以下が好ましく、300 〜500mgKOH/gがより好ましい。化合物bの数平均分子量は、低反発弾性付与及び形状安定性の観点から、200 〜700 が好ましく、300 〜600 がより好ましい。
【0024】
化合物bの中では、出発原料として、グリセリン、エチレンジアミン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びシュークロースは、低反発性を付与するとともに形状安定性を高める観点から好ましい。
【0025】
化合物aと化合物bとの重量比(化合物a/化合物b)は、低反発弾性付与と強度保持との両立の観点から、0/100 〜90/10が好ましく、10/90〜80/20がより好ましく、20/80〜75/25が更に好ましい。
【0026】
組成物Iにおける化合物Aの含有量は、目的とするポリウレタン発泡エラストマーの硬度、密度等によって異なるので一概には決定することができないが、低反発弾性付与と脱型時間短縮及び成形体の物性低下の観点から、60〜99重量%が好ましく、80〜96重量%がより好ましく、85〜96重量%が特に好ましい。
【0027】
組成物Iには、化合物A以外に添加剤として、架橋剤、黄変防止剤、整泡剤、ウレタン化触媒、顔料、可塑剤、抗菌剤等の添加剤が適宜含まれていてもよい。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。添加剤の量は、組成物Iにおける化合物Aの残部、即ち、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは5〜20重量%、5〜15重量%が特に好ましい。
【0028】
架橋剤としては、2個以上のイソシアネート反応性水素原子を含む化合物が挙げられる。架橋剤の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール等のグリコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、3-アミノプロパノール等の脂肪族アミン;4,4'- ジアミノジフェニルメタン及びその芳香環の水素原子の一部が塩素原子で置換された化合物等が挙げられる。
【0029】
架橋剤の量は、所望するポリウレタン発泡エラストマーの硬度によって異なるので一概には決定することができない。通常、得られるポリウレタン発泡エラストマーに十分な強度を付与し、亀裂や収縮の発生を抑制する観点、及び組成物IとイソシアネートプレポリマーIIとの初期反応速度を適切にするとともに成形時の充填性を高める観点から、組成物Iにおける架橋剤の含有量は、好ましくは0.5 〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは2〜7重量%である。
【0030】
整泡剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリシロキサン−ポリアルキレンオキシドブロック共重合体等の市販されているポリウレタン発泡用シリコーン化合物、界面活性剤等が挙げられる。
【0031】
組成物Iにおける整泡剤の含有量は、得られるポリウレタン発泡エラストマーに存在する気泡の形状を安定化させる観点から、0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%が望ましい。
【0032】
顔料としては、市販の顔料を用いることができる。その例としては、チタンホワイト、カーボンブラック、ベンガラ等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0033】
顔料の量は、目的とするポリウレタン発泡エラストマーの彩色等に応じて調整すればよい。通常の場合、組成物Iにおける顔料の含有量(有効成分量に換算)は、0〜5重量%程度である。
【0034】
組成物Iは、化合物A及び添加剤を混合することによって得ることができる。混合する際の温度は、40〜90℃程度であればよい。なお、これらの成分を混合する際には、後述する発泡剤を同時に混合してもよい。
【0035】
イソシアネートプレポリマーIIとしては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系又は脂肪族系のポリイソシアネート、それらの混合物、それらを変性して得られる変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0036】
イソシアネートプレポリマーIIの具体例としては、トリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、水添メチレンジフェニルジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、それらの混合物、それらの変性体等が挙げられる。
【0037】
変性体としては、例えば、ポリオールとの反応生成物であるプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体等が挙げられる。
【0038】
イソシアネートプレポリマーIIの中では、芳香族ポリイソシアネート及びその変性体が好ましい。特に、ポリオキシアルキレングリコールとメチレンジフェニルジイソシアネート及び/又はその変性体からなるプレポリマー型変性体は、低反発弾性付与と成形体の物性の観点から好ましい。
【0039】
ポリオキシアルキレングリコールは、PPGを製造する方法と同様の方法で製造することができる。
【0040】
ポリオキシアルキレングリコールの中では、水酸基1個あたりの分子量が1000以上であるポリオキシプロピレン系グリコールが好ましい。また、メチレンジフェニルジイソシアネートの中では、強度をより一層高める観点から、4,4'- ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0041】
イソシアネートプレポリマーIIのNCO %は、射出量の安定化及びイソシアネートプレポリマーの長期保存安定性の観点から、10〜25が好ましく、15〜20がより好ましい。NCO %は、一定量の過剰アミンとイソシアネート基を反応させ、未反応アミンを塩酸で滴定することによって求めることができる。
【0042】
また、イソシアネートプレポリマーIIには、黄変防止剤、可塑剤等の添加剤、及び水以外の後述する発泡剤が含まれていてもよい。
【0043】
イソシアネートプレポリマーIIは、例えば、窒素ガス等の不活性ガス置換された反応容器内で、イソシアネート、ポリオキシアルキレングリコール及び必要により添加剤を40〜90℃の温度で混合し、反応させることによって得ることができる。
【0044】
発泡剤としては、例えば、フロン、シクロペンタン等の蒸発型発泡剤;水等の反応型発泡剤;アゾビスカルボンアミド、メチルテトラゾール等の分解型発泡剤が挙げられる。これらの発泡剤の中では、環境保護及び安全性の面から水が好ましい。
【0045】
なお、発泡剤として、水を用いる場合には、水は、イソシアネートプレポリマーと反応するため、組成物Iと混合することが好ましい。また、水以外の発泡剤を用いる場合には、該発泡剤は、組成物I及びイソシアネートプレポリマーIIのいずれと混合してもよい。
【0046】
発泡剤の量は、発泡剤の種類や所望するポリウレタン発泡エラストマーの密度等によって異なるので一概には決定することができない。例えば、発泡剤として水を用いる場合、密度が0.2 〜1.0 g/cm3 、好ましくは0.3 〜0.8g/cm3、より好ましくは0.3 〜0.6g/cm3を有するポリウレタン発泡エラストマーを得るためには、組成物Iとイソシアネートプレポリマーとの混合物における発泡剤の含有量が0.06〜1.8 重量%、好ましくは0.1 〜1.5 重量%、より好ましくは0.3 〜1.3 重量%である。
【0047】
ポリウレタン発泡エラストマーは、例えば、発泡剤を組成物I又はイソシアネートプレポリマーIIと混合(但し、発泡剤として水を使用する場合には、水を組成物Iと混合)した後、組成物IとイソシアネートプレポリマーIIとを混合し、反応させることによって得られる。
【0048】
組成物Iと、イソシアネートプレポリマーIIとの割合は、組成物Iに含まれているイソシアネートと反応しうる活性水素の量(一般的には水酸基価)、水分含量、イソシアネートプレポリマーIIのNCO %を考慮して決定される。
【0049】
組成物Iに含まれているイソシアネートと反応しうる活性水素の量がイソシアネートプレポリマーIIのイソシアネート基に対して化学量論的に当量である場合、イソシアネートインデックスが100 となる。イソシアネートインデックスは、耐収縮性を向上させる観点、及び低反発弾性の保持と脱型性を発揮させる観点から、好ましくは45〜105 、より好ましくは50〜80、更に好ましくは55〜70である。なお、イソシアネートインデックスは、後述の実施例に記載の方法により測定された値である。
【0050】
組成物IとイソシアネートプレポリマーIIとを混合する際の温度は、あまりにも高い場合には、樹脂化と泡化反応が早く、射出成形が困難となるので、好ましくは60℃以下、より好ましくは35〜50℃である。
【0051】
かくして得られたポリウレタン発泡エラストマーは、それ単独であっても十分な強度を有するものである。
【0052】
また、このポリウレタン発泡エラストマーは、低反発弾性を有するので、一般的なポワリングやダイレクトタイプの射出成形機によって射出成形が可能である。かかる射出成形を利用した場合には、成形型の内面が複雑な形状を有する場合であっても、その内面に追従した形状を与えた成形体を得ることができる。このことから、本発明のポリウレタン発泡エラストマーは、成形材料として好適に使用することができる。
【0053】
射出成形の際には、市販の射出成型機を用いることができる。射出成型機として、例えば、デスマ(DESMA) (KLOECKNER Schuhmaschinem GmbH 社製、商品名) やグズビー(GUS-BI) (officina Mecc. S.p.A. 社製、商品名) 、ポリウレタン靴底用成型機 (PEC)〔(株)ポリウレタンエンジニアリング製〕やRIM 成形機を用いることができる。なお、成形機の操作方法等は、その成形機の製造メーカーが発行する取扱説明書の記載内容に基づいて行なえばよい。
【0054】
所望形状を有する成形体は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0055】
まず、組成物I及びイソシアネートプレポリマーIIをそれぞれの原料タンクに仕込んだ後、それぞれの温度を所定の温度、例えば、好ましくは60℃以下、より好ましくは35〜50℃に調節する。
【0056】
他方、成形型においては、目的とする成形体の形状に対応した内面形状を有する成形型の内面に離型剤を塗布しておき、通常、温度25〜60℃に温度調節しておく。
【0057】
次に、成形型内への注入量が規定量どおりとなるように、前記各原料タンクから搬送された組成物IとイソシアネートプレポリマーIIとを混合し、得られた混合物を成形型内に射出又は注型し、一定時間(通常、2〜10分間)経過後、脱型することにより、成形体を得ることができる。
【0058】
かくして得られた成形体は、所望の形状に成形されているので、切り出し加工が不要であり、しかも補強や表張りがなくても十分な強度を有するので、例えば、シート、ベッド等の福祉用機器、自動車、自動二輪車、原動機付き自転車等の移動機器、玩具、靴底、医療機器、事務機器等に用いられる衝撃吸収体、吸音体、振動吸収体、クッション材料等として好適に使用することができる。
【0059】
【実施例】
製造例1〜9〔組成物Iの調製〕
窒素ガス置換された反応容器内に、40℃に温調しながら表1に示す成分を攪拌下で混合し、組成物Iを得た。得られた組成物Iの物性を表1に示す。
【0060】
なお、表1に記載の各成分は、以下のことを意味する。
〔化合物A〕
・化合物a
化合物a1: ポリプロピレントリオール〔旭硝子ウレタン(株)製、商品名:エクセノール820 、官能基数:3、水酸基価:34mgKOH/g 、数平均分子量:4900〕
化合物a2: ポリマーポリオール〔旭硝子ウレタン(株)製、商品名:エクセノール910 、官能基数:3、水酸基価:28mgKOH/g 〕
化合物a3: ポリプロピレンテトラオール〔旭硝子ウレタン(株)製、商品名:エクセノール838 、官能基数:4、水酸基価:28mgKOH/g 、数平均分子量:3000〕
化合物a4: ポリプロピレントリオール〔旭硝子ウレタン(株)製、商品名:エクセノール845 、官能基数:3、水酸基価:28.5mgKOH/g 、数平均分子量:5900〕
化合物a5: ポリプロピレントリオール〔旭硝子ウレタン(株)製、商品名:エクセノール850 、官能基数:3、水酸基価:24mgKOH/g 、数平均分子量:7000〕
化合物a6: ポリプロピレングリコール〔旭硝子ウレタン(株)製、商品名:プレミノール5005、官能基数:2、水酸基価:28mgKOH/g 、数平均分子量:4000〕
化合物a7: ポリプロピレングリコール〔旭硝子ウレタン(株)製、商品名:エクセノール510 、官能基数:2、水酸基価:28mgKOH/g 、数平均分子量:4000〕
【0061】
・化合物b: ペンタエリスリトール系ポリエーテル〔三洋化成工業(株)製、商品名:サンニックスHD-402、官能基数:4、水酸基価:405mgKOH/g、数平均分子量:550 〕
【0062】
〔添加剤〕
・整泡剤:東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名:SRX-253
・白色顔料:大日精化工業(株)製、商品名:FTR ホワイト
【0063】
【表1】
Figure 0003971147
【0064】
調製例1〔イソシアネートプレポリマーJの調製〕
窒素ガス置換された反応容器内に4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート100 部(重量部、以下同じ)を仕込み、ポリプロピレングリコール〔旭硝子ウレタン(株)製、商品名:エクセノール420 、官能基数:2、水酸基価:280mgKOH/g〕37.4部を反応温度が80℃を超えないように徐々に反応容器内に滴下させた。滴下終了後、2時間攪拌し、更に亜リン酸トリフェニル1.4 部を添加し、0.5 時間攪拌を継続し、イソシアネートプレポリマーJ(黄色透明液体、NCO %:18.5%、粘度(40℃):500 mPa ・s)を得た。
【0065】
実施例1〜7及び比較例1〜7
各製造例で得られた組成物I及びイソシアネートプレポリマーをそれぞれの原料タンクに仕込み、40℃に温度調整した。
【0066】
なお、表2に示すイソシアネートプレポリマーKは、市販品〔花王(株)製、商品名:エディフォームB-6106M (NCO%:16.0%、イソシアネートプレポリマーに用いられるイソシアネート:4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート)〕である。
【0067】
一方、所望の内面形状を有する成形型の内面に、離型剤〔花王(株)製、商品名:プラパワー2060〕0.002g/cm3を塗布しておき、50±1℃に温調した。
【0068】
次に、組成物Iとイソシアネートプレポリマーとを表2に示すイソシアネートインデックスとなるように混合し、得られた混合物をポリウレタン靴底用成形機〔(株)ポリウレタンエンジニアリング製、型番:MU-203S 〕に射出し、一度捨て打ちを行った後、二度目に前記成形型内に射出し、6分間経過後に脱型し、成形体を取り出した。
【0069】
得られた成形体の物性を以下の方法に従って測定した。その結果を表2に示す。
【0070】
なお、物性は、100 mm×300mm ×10mm(厚さ)のシートを用いて測定した。
【0071】
〔イソシアネートインデックス〕
組成物IとイソシアネートプレポリマーIIとが化学量論的に当量となるように調整したとき、イソシアネートプレポリマー100部に対する組成物量をxとする。
【0072】
したがって、イソシアネートプレポリマーII/組成物I(重量比)が100/x である場合、イソシアネートインデックスは100 となる。このことから、実際のイソシアネートプレポリマーII/組成物I(重量比)が100/y である場合には、イソシアネートインデックスは、式:
〔イソシアネートインデックス〕=(x/y) ×100
で求められる。
【0073】
〔硬度〕
Asker C 硬度計にて測定した。
【0074】
〔密度〕
100 mm×300mm ×10mm(厚さ)のポリウレタン発泡エラストマーシートの質量を測定し、その質量を体積300 cm3 で除することにより、密度を算出した。
【0075】
〔引張強度〕
JIS K-6301に記載の方法に従い、樹脂の代わりにポリウレタン発泡エラストマーを用いて測定した。
【0076】
〔伸度〕
JIS K-6301に記載の方法に従い、樹脂の代わりにポリウレタン発泡エラストマーを用いて測定した。
【0077】
〔引裂強度〕
JIS K-6301に記載の方法に従い、樹脂の代わりにポリウレタン発泡エラストマーを用いて測定した。
【0078】
〔反発弾性率〕
JIS K-6301に基づいて、100mm ×300mm ×10mm(厚さ)のポリウレタン発泡エラストマーシートを用いて測定した。
【0079】
【表2】
Figure 0003971147
【0080】
表2に示された結果から、実施例1〜7で得られたポリウレタン発泡エラストマーは、いずれも、低反発弾性軟質ウレタンフォームと比べて引張強度、伸度及び引裂強度が高く、また従来のポリウレタン発泡エラストマーと比べて反発弾性率が低いことがわかる。
【0081】
一方、比較例1で得られたポリウレタン発泡エラストマーは、柔らかすぎて物性を測定することができず、また比較例2で得られたポリウレタン発泡エラストマーは、収縮を生じ、所望形状に成形することができなかった。また、他の比較例で得られたものは、いずれも、強度が高いものの、低反発弾性を付与することができないことがわかる。更に、硬度を下げたり、イソシアネートインデックスを調整したとしても、低反発弾性が付与されない。
【0082】
【発明の効果】
本発明のポリウレタン発泡エラストマーは、低反発弾性を有するとともに、低反発弾性軟質ポリウレタンフォームと比較し、それ単独であっても優れた強度を有するものである。

Claims (7)

  1. 2個以上の活性水素を有する化合物Aを含有する組成物IとイソシアネートプレポリマーIIとを発泡剤の存在下で反応させてなる(イソシアネートインデクッスが50〜80) ポリウレタン発泡エラストマーであって、前記化合物Aがポリエーテルポリオール又はポリエーテルポリオールを基剤とするポリマーポリオールであって、水酸基価100 mgKOH/g 未満の化合物aと水酸基価100 mgKOH/g以上の化合物bとからなり、前記イソシアネートプレポリマーIIが芳香族ポリイソシアネート又はその変性体である、密度が0.2 〜1.0 g/cm3 、厚さ10mmにおける反発弾性率が15%以下、硬度(Asker C)が3〜90であるポリウレタン発泡エラストマー。
  2. 化合物aと化合物bの重量比(化合物a/化合物b)が、10/90〜80/20である請求項1記載のポリウレタン発泡エラストマー。
  3. 2個以上の活性水素を有する化合物Aが、平均官能基数2〜6及び水酸基価25〜600 mgKOH/g を有するものである請求項1又は2記載のポリウレタン発泡エラストマー。
  4. イソシアネートプレポリマーIIのNCO %が10〜25である請求項1〜3いずれか記載のポリウレタン発泡エラストマー。
  5. イソシアネートプレポリマーIIに用いられているイソシアネートが4,4'- ジフェニルメタンジイソシアネートである請求項1〜4いずれか記載のポリウレタン発泡エラストマー。
  6. 架橋剤の存在下で、組成物IとイソシアネートプレポリマーIIとを反応させてなる請求項1〜5いずれか記載のポリウレタン発泡エラストマー。
  7. 2個以上の活性水素を有する化合物Aを含有する組成物IとイソシアネートプレポリマーIIとを発泡剤の存在下で反応させるポリウレタン発泡エラストマーの製造法であって、前記化合物Aがポリエーテルポリオール又はポリエーテルポリオールを基剤とするポリマーポリオールであって、水酸基価100 mgKOH/g 未満の化合物aと水酸基価100 mgKOH/g以上の化合物bとからなり、前記イソシアネートプレポリマーIIが芳香族ポリイソシアネート又はその変性体であり、イソシアネートインデクッスが50〜80である、密度が0.2 〜1.0 g/cm3 、厚さ10mmにおける反発弾性率が20%以下、硬度(Asker C)が3〜90のポリウレタン発泡エラストマーの製造法。
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