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JP3960276B2 - 光学記録媒体および光学記録方法 - Google Patents

光学記録媒体および光学記録方法 Download PDF

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JP3960276B2
JP3960276B2 JP2003291973A JP2003291973A JP3960276B2 JP 3960276 B2 JP3960276 B2 JP 3960276B2 JP 2003291973 A JP2003291973 A JP 2003291973A JP 2003291973 A JP2003291973 A JP 2003291973A JP 3960276 B2 JP3960276 B2 JP 3960276B2
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Description

本発明は、有機色素を記録層に用いた光学記録媒体およびその光学記録方法に係わるものであり、より詳しくは青色レーザーにより記録再生が可能な光学記録媒体およびその光学記録方法に関するものである。
現在、CD−R/RW、DVD±R/RW、MO等の各種光学記録媒体は、大容量の情報を記憶でき、ランダムアクセスが容易であるために、コンピュータのような情報処理装置における外部記憶装置として広く認知され普及している。これらの中で、CD−RやDVD−Rに代表される有機色素系光学記録媒体は、低コストで且つ製造も容易であるという点で、優位性を有するものと考えられている。
また、取り扱う情報量の増大により、媒体の記録密度を高めることが望まれている。近年、開発が著しい青色レーザー等の発振波長の短いレーザー(いわゆる短波長レーザー)を用いた高密度の記録再生可能な光学記録媒体が提唱されつつある(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−043423号公報
一般に、CD−RやDVD−Rなどとして市販されている光学記録媒体の場合、例えば、CD−Rは波長780nm程度のレーザー光による記録・再生に適するように、またDVD−Rは波長600〜700nm程度のレーザー光による記録・再生に適するように設計されている。このような、比較的長波長のレーザー光を用いる光学的記録・再生用に適合する記録媒体では、より短波長のレーザーを用いて記録・再生すると、反射率が低く記録・再生ができないという問題を有している。なお、青色レーザーとは通常、波長350nm〜530nm程度のレーザーを言う。
本発明は、より短波長の青色レーザーによって記録・再生が可能な有機色素系光学記録媒体を提供することを目的とする。
本発明者らは青色半導体レーザーに高い感受性を有する有機色素について種々検討した結果、前記一般式(1)で示される化合物を、青色半導体レーザーに対応する光学記録媒体の記録層に使用し得ることを知得し本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、基板上にレーザーによる情報の記録または再生が可能な記録層が設けられた光学記録媒体において、該記録層が下記一般式(1)で示される化合物を含有すること、および波長が350nm〜530nmのレーザー光を用い、該光学記録媒体に対して情報の記録を行うことよりなる光学記録方法に存する。
Figure 0003960276
(式中、R1ないしR6は各々独立に水素原子、置換されてもよい直鎖または分岐のアルキル基を表す。kおよびnは各々独立に0〜2の整数を表し、かつ0≦k+n≦4である。lおよびmは各々独立に0または1を表し、かつ1≦l+m≦2である。環Aおよび環Bは各々独立に、任意の置換基を有していてもよい芳香族環を表す。但し、該任意の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。)
本発明化合物の含有溶液は、短波長のレーザー光による記録再生に適した吸収を有する塗布膜を形成することが出来、且つ成膜性にも優れているので、本発明化合物を用いた記録層を有する記録媒体は、短波長レーザーに対応する記録再生用光学記録媒体として有用である。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明で使用される化合物は、350〜530nmの青色光領域に適度の吸収を有し、青色レーザーでの記録に適する色素化合物が好ましい。本発明ではかかる色素として、前記一般式(1)によって示される色素化合物が使用される。以下に前記一般式(1)で表される化合物について説明する。
本発明に係る化合物を示す前記一般式(1)において、R1ないしR6は各々独立に水素原子、置換されてもよい直鎖または分岐のアルキル基を表す。R1ないしR6は好ましくは、各々独立に水素原子または置換されてもよい直鎖のアルキル基であり、特に好ましくは各々独立に水素原子または無置換の炭素数1〜3の直鎖アルキル鎖である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基である。
また、k、l、m、nはそれぞれ不飽和結合の数を表すものである。kおよびnはC=C二重結合の数を表し、lおよびmはC=N二重結合の数を表す。kおよびnは各々独立に0〜2の整数を表し、かつ0≦k+n≦4である。lおよびmは各々独立に0または1を表し、かつ1≦l+m≦2である。
ここで前記一般式(1)は、環A、環Bを便宜上ベンゼン環で表すと、下記一般式で表される(以下の説明でも同様である。)。
Figure 0003960276
前記一般式において、lおよびmを変化させずにkおよびnを変化させた場合の構造の具体例を以下に示す(但し、R1’ないしR6’としては、各々独立に、前記R1ないしR6におけると同様な基を挙げることができる。)。
Figure 0003960276
k、nの値は環A、Bの構造、環の有する置換基の種類などにより決定されるが、通常好ましくは、kおよびnは各々独立に0または1を表し、かつ0≦k+n≦2である。
一方、前記一般式において、kおよびnを変化させずにlおよびmを変化させた場合の構造の具体例を以下に示す。
Figure 0003960276
l、mの値は環A、Bの構造、環の有する置換基の種類などにより決定されるが、通常好ましくは、lおよびmは各々独立に0または1を表し、かつ1≦l+m≦2である。より好ましくはl+m=1である。
前記一般式(1)において、環Aおよび環Bは各々独立に、任意の置換基を有していてもよい芳香族環を表す。但し、該任意の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。芳香族環としては、例えばベンゼン環、ナフチル環などの芳香族炭化水素環、フラン環、ピリジン環、キノリン環等の芳香族複素環などが挙げられるがこれらに限られない。
本発明においては、芳香族環として、5〜6員環の単環またはその2〜3縮合環を用いるのが好ましい。5〜6員環の単環またはその2〜3縮合環の構造は特に制限されないが、例えば下記に示す芳香族環構造などが挙げられる。
Figure 0003960276
これらの中で特に好ましいものとしては、5〜6員環の単環または2縮合環である、炭化水素環または複素環構造が挙げられる。
本発明において、環A、環Bで表される芳香族環は置換基を有していてもよい。個々で用いられる置換基としては任意のものでよく、更に置換されていてもよいが、あまり大きすぎると基本骨格に予期せぬ影響を与えるので通常、置換基の分子量が1000以下である。下限は特になく1以上である。
該任意の置換基の例としては、次のようなものが例示される。メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-へプチル基
等の置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の置換されてもよい炭素数3〜18の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の置換されてもよい炭素数2〜18の直鎖または分岐のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の置換されてもよい炭素数3〜18の環状アルケニル基;2-チエニル基、2-ピリジル基、4-ピペリジル基、モルホリノ基等の置換されてもよい複素環基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の置換されてもよい炭素数6〜18のアリール基;ベン
ジル基、フェネチル基等の置換されてもよい炭素数7〜20のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルコキシ基;
プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基等の置換されてもよい炭素数3〜18の直鎖または分岐のアルケニルオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基等の置換されて
もよい炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキルチオ基が挙げられる。
他の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;イソシアノ基;シアナト基;イソシアナト基;チオシアナト基;イソチオシアナト基;メルカプト基;ヒドロキシ基;ヒドロキシアミノ基;ホルミル基;スルホン酸基;カルボキシル基;−COR7で表されるアシル基、−NR89で表される
アミノ基、−NHCOR10で表されるアシルアミノ基、−NHCOOR11で表されるカーバメート基、−COOR12で表されるカルボン酸エステル基、−OCOR13で表されるアシルオキシ基、−CONR1415で表されるカルバモイル基、−SO216で表されるス
ルホニル基、−SO2NR1718で表されるスルファモイル基、−SO319で表されるスルホン酸エステル基、−NHSO220で表されるスルホンアミド基等が挙げられる。
これらの置換基の位置は特に限定されず、置換基の数も任意の範囲で可能である。複数の置換基を有する場合、同種でも異なってもよい。
ここで、R7、R10、R11、R12、R13、R16、R19、R20は置換されてもよい炭化水
素基、または置換されてもよい複素環基を表し、R8、R9、R14、R15、R17、R18は水素原子、置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい複素環基のいずれかを表す。
このR7〜R20で表される炭化水素基とは、直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキ
ル基、直鎖または分岐のアルケニル基、環状アルケニル基、アラルキル基、アリール基を表す。中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-へプチル基等の炭素数1〜18の直鎖または分岐
のアルキル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数3〜18の環状アルキル基、ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜18の直鎖または分岐のアルケニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜18の環状アルケニル基、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の炭素数6〜18アリール基が挙げられる。
これらの基のアリール基部分は前述の環A、環Bが有し得ると同様の置換基で更に置換されていてもよい。また、これらの基のアルキル鎖部分は後述する置換基で更に置換されていてもよい。
またR7〜R20で表される複素環基は、4−ピペリジル基、モルホリノ基、2-モルホリ
ニル基、ピペラジル基等の飽和複素環でも、2-フリル基、2-ピリジル基、2-チアゾリル基、2-キノリル基等の芳香族複素環でもよい。これらは複数のヘテロ原子を含んでいても、さらに置換基を有していてもよく、また結合位置も問わない。複素環として好ましい構造のものは、5〜6員環の飽和複素環、5〜6員環の単環およびその2縮合環の芳香族複素環である。
具体的には、−COR7で表される置換されていてもよいアシル基、−NR89で表さ
れる置換されていてもよいアミノ基、−NHCOR10で表される置換されていてもよいアシルアミノ基、−NHCOOR11で表される置換されていてもよいカーバメート基、−C
OOR12で表される置換されていてもよいカルボン酸エステル基、−OCOR13で表される置換されていてもよいアシルオキシ基、−CONR1415で表される置換されていてもよいカルバモイル基、−SO216で表される置換されていてもよいスルホニル基、−S
2NR1718で表される置換されていてもよいスルファモイル基、−SO319で表される置換されていてもよいスルホン酸エステル基、−NHSO220で表される置換されて
いてもよいスルホンアミド基等が挙げられる。
アシル基(−COR7
Figure 0003960276
アミノ基(−NR89
Figure 0003960276
アシルアミノ基(−NHCOR10
Figure 0003960276
カーバメート基(−NHCOOR11
Figure 0003960276
カルボン酸エステル基(−COOR12
Figure 0003960276
アシルオキシ基(−OCOR13
Figure 0003960276
カルバモイル基(−CONR1415
Figure 0003960276
スルホニル基(−SO216
Figure 0003960276
スルファモイル基(−SO2NR1718
Figure 0003960276
スルホン酸エステル基(−SO319
Figure 0003960276
スルホンアミド基(−NHSO220
Figure 0003960276
前記環A、環Bが有し得る直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキル基、直鎖または分岐のアルケニル基、環状アルケニル基、直鎖または分岐のアルコキシ基、直さまたは分岐のアルキルチオ基、およびR7〜R20が示すアルキル基のアルキル鎖部分は、更に置換
基を有し得るが、その置換基としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、
エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜12のアリール基(これらは任意の置換基でさらに置換されていてもよい。);フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;アリルオキシ基、ビニルオキシ基等の炭素数2〜12のアルケニルオキシ基等が例示される。
更に、他の置換基として、2-チエニル基、2-ピリジル基、4-ピペリジル基、モルホリノ基等の複素環基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシル基;アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等の炭素数1〜10のアルキルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n-プロピルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n-プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n-ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
前記環A、環Bが有し得る置換基は、互いに結合して、各々独立に縮合環を形成しても
よい。これらが形成する縮合環は、飽和または不飽和の炭化水素環でも、ヘテロ原子を一つまたは複数個含む飽和または不飽和の複素環でもよい。環状構造の員数は特に制限されないが、炭化水素環、複素環ともに好ましいのは5〜7員環で、特に好ましいのは5〜6員環である。
また、前記R8とR9、R14とR15、R17とR18は互いに結合して、各々独立に環構造を形成してもよい。これらが形成する環は、飽和または不飽和の炭化水素環でも、ヘテロ原子を一つまたは複数個含む飽和または不飽和の複素環でもよい。環状構造の員数は特に制限されないが、炭化水素環、複素環ともに好ましいのは5〜7員環で、特に好ましいのは5〜6員環である。
これらが示す好ましい環構造を下記に示す。
Figure 0003960276
これらの縮合位置は、隣接する置換基同士の間であればその位置や数は制限されない。また、これらの縮合環は環Aまたは環Bが有し得ると同様の置換基を有していてもよい。
次に、本発明において前記一般式(1)で表される化合物の、より好ましい構造について説明する。
環A、環Bで表される芳香族環の有し得る前記置換基の中でも、より好ましい置換基としては、以下のようなものが挙げられる。メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-へプチル基等の置換されてもよい
炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の置換され
てもよい炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基等の置換
されてもよい炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキルチオ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;メルカプト基;ヒドロキシ基;−NR89で表されるアミノ基、−NHCOR10で表されるアシルアミノ基、−NHCOOR11で表されるカーバメート基、−COOR12で表されるカルボン酸エステル基、−OCOR13で表されるアシルオキシ基、−CONR1415で表されるカルバモイル基;隣接する置換基が互いに結合して縮合し形成する飽和複素環基である。
中でも特に好ましい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-へプチル基等の置換されてもよい炭
素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の置換されて
もよい炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基等の置換さ
れてもよい炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキルチオ基;メルカプト基;ヒドロキシ基;−NR89で表されるアミノ基、−NHCOR10で表されるアシルアミノ基;隣接する置換基が互いに結合して縮合し形成する飽和複素環基である。
置換基の結合位置としては、環Aまたは環Bがベンゼン環の場合、不飽和結合に対してパラ位に置換基を有することが好ましい。また環Aまたは環Bが5員環の複素環である場合、不飽和結合および置換基が2位および/または5位で結合していることが好ましい。
本発明において、前記一般式(1)で表される化合物の好ましい例としては下記のものが挙げられる。
Figure 0003960276
Figure 0003960276
Figure 0003960276
Figure 0003960276
Figure 0003960276
Figure 0003960276
前記一般式(1)で表される化合物は、薄膜状に形成した際の最大吸収波長(λmax)
が320〜400nm程度の比較的短波長領域に存在するものが多いこと、吸収スペクトルのピーク形状が比較的シャープであること、モル吸光係数εが2万以上であること等、青色半導体レーザーを用いて記録・再生を行なう上で優れた光学的特性を備えている。ここで、最大吸収波長とは、通常、波長300nm以上における最大吸収波長を言う。また、溶媒に溶解あるいは分散した状態での薄膜形成性に優れているため、光学記録媒体を製造する際に要求される化学的特性をも満たしている。従って、一般式(1)で表される化合物は、青色半導体レーザーを用いて記録・再生を行なう光学記録媒体の記録層に、極めて好適に使用することができる。
なお、本発明の光学記録媒体の記録層に用いうる化合物は、溶液状態での光学密度OD
が80以上あること、一般的に用いられる無害且つ安価な溶媒への溶解性が高いこと、薄膜を形成する際に良質な膜が形成されること(成膜時に結晶化しないこと)、溶液状態および薄膜状態での保存安定性が良いこと、などを満たすことがより好ましい。
また、本発明の光学記録媒体の記録層は、記録および再生光波長における消衰係数(複素屈折率の虚部)kが0〜0.20であることが好ましい。さらに、屈折率(複素屈折率の実部)nが1.8以上であることが好ましい。
次に、本発明の光学記録媒体について説明する。
本発明の光学記録媒体は少なくとも、基板と、前記一般式(1)で表される化合物を含有する記録層とから構成される。更に、必要に応じて下引き層、反射層、保護層等を設けても良い。
好ましい層構成の一例としては、基板の上に記録層を設け、その上に更に反射層、保護層をこの順に積層した、高反射率の媒体が挙げられる。この場合、基板側からレーザー光を照射して、情報の記録・再生を行なうことになる(媒体構造例1)。
以下、こうした構造の媒体(媒体構造例1)を例にとりながら、本発明の光学記録媒体について説明する。なお、以下の記載では、説明の便宜上、積層時に保護層が存在する側及び基板が存在する側を、それぞれ上方及び下方とみなし、これらの方向に対応する各層の各面を、それぞれ各層の上面及び下面と呼ぶことにする。
本発明の光学記録媒体における基板は、基本的に記録光及び再生光の波長において透明な材質であれば、様々な材質を用いたものを使用することができる。具体的には、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂製の基板、ガラス製の基板、ガラス上に光硬化性樹脂等の放射線硬化性樹脂からなる樹脂層を設けた基板等が挙げられる。
中でも、高生産性、コスト、耐吸湿性などの観点からは、射出成型ポリカーボネート製の基板が好ましい。また、耐薬品性、耐吸湿性などの観点からは、非晶質ポリオレフィン製の基板が好ましい。更に、高速応答などの観点からは、ガラス製の基板が好ましい。
樹脂製の基板を使用した場合、又は、記録層と接する側(上側)に樹脂層を設けた基板を使用した場合には、その樹脂製基板又は樹脂層の上面に、記録再生光の案内溝やピットを形成してもよい。案内溝の形状としては、光学記録媒体の中心を基準とした同心円状の形状やスパイラル状の形状が挙げられる。スパイラル状の案内溝を形成する場合には、溝ピッチが0.2〜1.2μm程度であることが好ましい。
基板の上側に直接、又は必要に応じて基板上に設けた下引き層等の上側に、前記一般式(1)で表される化合物を含む記録層を形成する。記録層の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等、一般に行なわれている様々な薄膜形成法が挙げられる。量産性やコストの観点からは、スピンコート法が好ましく、均一な厚みの記録層が得られるという観点からは、塗布法よりも真空蒸着法等の方が好ましい。スピンコート法による成膜の場合、回転数は500〜15000rpmが好ましい。また、場合によっては、スピンコートの後に、加熱する、溶媒蒸気にあてる等の処理を施しても良い。
ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布法により記録層を
形成する場合に、前記一般式(1)で表される化合物を溶解させて基板に塗布するために使用する塗布溶媒は、基板を侵食しない溶媒であれば特に限定されない。具体的に挙げると、例えばジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
真空蒸着法を用いる場合には、例えば、前記一般式(1)で表される化合物と、必要に応じて他の色素や各種添加剤等の記録層成分とを、真空容器内に設置されたるつぼに入れ、この真空容器内を適当な真空ポンプで10-2〜10-5Pa程度にまで排気した後、るつぼを加熱して記録層成分を蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた基板上に蒸着させることによって、記録層を形成する。
また、記録層には、前記一般式(1)で表される化合物に加えて、安定性や耐光性の向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等)等を含有させたり、記録感度の向上のために、金属系化合物等の記録感度向上剤を含有させたりしても良い。ここで、金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えばエチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
なお、記録層には、必要に応じて、前記一般式(1)で表される化合物を複数種類併用しても良い。
更に記録層には、前記一般式(1)で表される化合物に加え、必要に応じて他系統の色素を併用することもできる。他系統の色素としては、主として記録用レーザーの発振波長域に適度な吸収を有するものであればよく、特に制限されない。また、CD−R等に使用され、770〜830nmの波長帯域中に発振波長を有する近赤外レーザーを用いた記録・再生に適する色素や、DVD−R等に使用され、620〜690nmの波長帯域中に発振波長を有する赤色レーザーを用いた記録・再生に適する色素等を、前記一般式(1)で表される化合物と併用して記録層に含有させることにより、異なる波長帯域に属する複数種のレーザー光を用いた記録・再生に対応する光学記録媒体を製造することもできる。
前記一般式(1)で表される化合物以外の他系統の色素としては、含金属アゾ系色素、ベンゾフェノン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、含金属インドアニリン系色素、トリアリールメタン系色素、メロシアニン系色素、アズレニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素、ピリリウム系色素等が挙げられる。
更に、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセ
ルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
記録層の膜厚は、記録方法などにより適した膜厚が異なる為、特に限定するものではないが、記録を可能とするためにはある程度の膜厚が必要とされるため、通常、少なくとも1nm以上であり、好ましくは5nm以上である。但しあまり厚すぎても記録が良好に行えなくなるおそれがあり、通常300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。
記録層の上には、反射層を形成する。その膜厚は、好ましくは50〜300nmである。
反射層の材料としては、再生光の波長において十分高い反射率を有する材料、例えばAu、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd等の金属を、単独あるいは合金にして用いることができる。これらの中でもAu、Al、Agは反射率が高く、反射層の材料として適している。また、これらの金属を主成分とした上で、加えて他の材料を含有させても良い。ここで主成分とは、含有率が50%以上のものをいう。主成分以外の他の材料としては、例えばMg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、Ta、Ti、Pt、Pd、Ndなどの金属及び半金属を挙げることができる。中でもAgを主成分とするものは、コストが安い点、高反射率が出やすい点、後述する印刷受容層を設けた場合に地色が白く美しいものが得られる点等から、特に好ましい。例えば、AgにAu、Pd、Pt、Cu、及びNdから選ばれる一種以上を0.1〜5原子%程度含有させた合金は、高反射率、高耐久性、高感度且つ低コストであり好ましい。具体的には、例えばAgPdCu合金、AgCuAu合金、AgCuAuNd合金、AgCuNd合金等である。金属以外の材料としては、低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、これを反射層として用いることも可能である。
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、基板の上や反射層の下に、反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために、公知の無機系又は有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
反射層の上に形成する保護層の材料は、反射層を外力から保護するものであれば、特に限定されない。有機物質の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機物質としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF2、SnO2等が挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いる場合は、適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を反射層の上に塗布して乾燥させれば、保護層を形成することができる。UV硬化性樹脂を用いる場合は、そのまま反射層の上に塗布するか、又は適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を反射層の上に塗布し、UV光を照射して硬化させることによって、保護層を形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。これらの材料は、単独で用いても、複数種を混合して用いても良い。また、保護層は、単層として形成しても、多層として形成してもよい。
保護層の形成方法としては、記録層と同様に、スピンコート法やキャスト法等の塗布法や、スパッタリング法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、中でもスピンコート法が好
ましい。保護層の膜厚は、その保護機能を果たすためにはある程度の厚みが必要とされるため、一般に0.1μm以上であり、好ましくは3μm以上である。但しあまり厚すぎると、効果が変わらないだけでなく保護層の形成に時間がかかったりコストが高くなる虞があるので通常100μm以下であり、好ましくは30μm以下である。
以上、光学記録媒体の層構造として、基板、記録層、反射層、保護層をこの順に積層して成る構造を例に採って説明したが、前述した如く、この他の層構造を採っても構わない。
例えば、上例の層構造における保護層の上面に、又は上例の層構造から保護層を省略して反射層の上面に、更に別の基板を貼り合わせてもよい。この際の基板は、何ら層を設けていない基板そのものであってもよく、貼り合わせ面又はその反対面に反射層など任意の層を有するものでも良い。また、同じく上例の層構造を有する光記録媒体や、上例の層構造から保護層を省略した光学記録媒体を、それぞれの保護層及び/又は反射層の上面を相互に対向させて2枚貼り合わせてもよい。
更に、本発明の好ましい光学記録媒体の層構成の一例としては、基板の上に反射層を設け、その上にさらに記録層、保護被膜をこの順に積層した媒体が挙げられる。この場合、保護被膜を通してレーザー光を照射して、情報の記録・再生を行うことになる(媒体構造例2)。
この保護被膜は、フィルムまたはシート状のものを接着剤によって貼り合わせてもよいし、あるいは前述の保護層と同様の材料を用い、成膜用の塗液を塗布し硬化または乾燥することにより形成しても良い。保護被膜の厚みは、その保護機能を果たすためにはある程度の厚みが必要とされるため、一般に0.1μm以上であり、好ましくは3μm以上である。但しあまり厚すぎると、効果が変わらないだけでなく保護層の形成に時間がかかったりコストが高くなる虞があるので通常300μm以下であり、好ましくは200μm以下である。
このような層構成においても、記録層、反射層などの各層は通常、前述の媒体構造例1と同様のものが用い得る。但し、本層構成では基板は透明である必要はなく、従って、前述の材料以外にも、不透明な樹脂、セラミック、金属(合金を含む)などからなる基板が用い得る。
このような層構成においても、上記各層間には、本発明の特性を損なわない限り、必要に応じて任意の層を有してよい。
ところで、光学記録媒体の記録密度を上げるための一つの手段として、対物レンズの開口数を上げることがある。これにより情報記録面に集光される光スポットを微小化できる。しかしながら、対物レンズの開口数を上げると、記録・再生を行うためにレーザー光を照射した際に、光学記録媒体の反り等に起因する光スポットの収差が大きくなりやすいため、良好な記録再生信号が安定して得られない場合がある。
このような収差は、レーザー光が透過する透明基板や保護被膜の膜厚が厚いほど大きくなりやすいので、収差を小さくするためには基板や保護被膜をできるだけ薄くするのが好ましい。ただし、通常、基板は光学記録媒体の強度を確保するためにある程度の厚みを要するので、この場合、媒体構造例2(基板、反射層、記録層、薄い保護被膜なる基本的層構成の光学記録媒体)を採用するのが好ましい。媒体構造例1の基板を薄くするのに比べると、媒体構造例2の保護被膜は薄くしやすいため、好ましくは媒体構造例2を用いる。
但し、媒体構造例1(透明基板、記録層、反射層、保護層なる基本的層構成の光学記録媒体)であっても、記録・再生用レーザー光が通過する透明基板の厚みを50〜300μm程度にまで薄くすることで、収差を小さくして使用できるようになる。
また、他の各層の形成後に、記録・再生レーザー光の入射面(通常は基板の下面)に、表面の保護やゴミ等の付着防止の目的で、紫外線硬化樹脂層や無機系薄膜等を成膜形成してもよく、記録・再生レーザー光の入射面ではない面(通常は反射層や保護層の上面)に、インクジェット、感熱転写等の各種プリンタ、あるいは各種筆記具を用いて記入や印刷が可能な印刷受容層を設けてもよい。
本発明の光学記録媒体において、情報の記録・再生のために使用するレーザー光は、高密度記録を実現する観点から波長が短いほど好ましいが、特に波長350〜530nmのレーザー光が好ましい。かかるレーザー光の代表例として、中心波長405nm、410nm、515nmのレーザー光が挙げられる。
350〜530nmのレーザー光は、405nm、410nmの青色又は515nmの青緑色の高出力半導体レーザーを使用することによって得られるが、その他にも、例えば、(a)基本発振波長が740〜960nmの連続発振可能な半導体レーザー、及び(b)半導体レーザーによって励起される基本発振波長740〜960nmの連続発振可能な固体レーザーの何れかの発振レーザー光を、第二高調波発生素子(SHG)により波長変換することによっても得られる。
上記のSHGとしては、反転対称性を欠くピエゾ素子であればいかなるものでもよいが、KDP、ADP、BNN、KN、LBO、化合物半導体などが好ましい。第二高調波の具体例として、基本発振波長が860nmの半導体レーザーの場合には、その基本発振波長の倍波である430nm、また、半導体レーザー励起の固体レーザーの場合には、CrドープしたLiSrAlF6結晶(基本発振波長860nm)からの倍波の430nmな
どが挙げられる。
本発明の光学記録媒体に対して情報の記録を行なう際には、記録層に対して(通常は基板側から基板を透過させ)、通常、0.4〜0.6μm程度に集束したレーザー光を照射する。記録層のレーザー光が照射された部分は、レーザー光のエネルギーを吸収することによって分解、発熱、溶解等の熱的変形を起こすため、光学的特性が変化する。
記録された情報の再生を行なう際には、同じく記録層に対して(通常は記録時と同じ方向から)、よりエネルギーの低いレーザー光を照射する。記録層において、光学的特性の変化が起きた部分(すなわち、情報が記録された部分)の反射率と、変化が起きていない部分の反射率との差を読みとることにより、情報の再生が行なわれる。
以下本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例によって限定されるものではない。
[化合物の合成法]
前記一般式(1)で示される化合物の合成法は特に限定されるものではないが、一般的な製法としては下記のような例が挙げられる。
例えば、前記一般式(1)においてlまたはm=1かつl+m=1、k=0、n=0、環A,Bがベンゼン環で表される化合物を合成する場合は、例えばベンゼンスルホンアミドとベンズアルデヒドをトルエン中でBF3触媒下、加熱することによって
Figure 0003960276
得られる。
ここで、ベンズアルデヒドに代えてシンナムアルデヒドを用いることで、前記一般式(1)においてkまたはn=1であるような化合物が得られる。同様に、使用するアルデヒドを異ならせることで、kおよびnの異なる種々の化合物を合成することができる。
また、ベンゼンスルホンアミドに代えて、Tetrahedron Letters,37,16,2859-2862(1996)に記載されているようにスルファミドを原料に用いることで、l=1、m=1かつl+m=2の化合物を得ることができる。
更に、種々のベンゼン環の誘導体や複素芳香環等を用いることで、例示化合物に示されるような、環A,Bがさまざまな環構造を有する化合物を合成することができる。
[実施例1](a)色素化合物製造例
Figure 0003960276
上記構造式[I]で示されるベンゼンスルホンアミド1.57g(10mmol)と上記構造式[II]で示されるp−ジエチルアミノベンズアルデヒド1.95g(11mmol)をトルエン35ml中に加え、撹拌下70℃で加熱溶解させた。その後三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.6gを滴下し、3時間還流した。反応液を冷却し、濾過により未反応のベンゼンスルホンアミドを除き、濾液に水100mlを加えて抽出洗浄を行い、無水硫酸マグネシウムを加えて一晩静置した。その後この溶液を濾過し、濾液を留去したのち、ジイソプロピルエーテル30mlを加えて撹拌、濾過して固体を濾別することにより例示化合物(1a)の構造で示される固体0.84gを得ることが出来た(収率26.5%)。
生成物のクロロホルム中における吸収スペクトルの測定結果を図1に示す。
例示化合物(1a)のクロロホルム中での最大吸収波長(λmax)は392.5nmで
あり、モル吸光係数は5.5×104であった。
(b)記録媒体作製例
例示化合物(1a)をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1.0wt%に調整した。これを濾過してできた溶解液を、直径120mm、厚さ1.2mmの射出成型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピナー法により塗布し、塗布後、100℃で30分間乾燥した。
この塗布膜の吸収スペクトルの測定結果を図2に示す。例示化合物(1a)の塗布膜の
最大吸収波長(λmax)は391nmであった。
なお本発明において、塗布膜の吸収スペクトルは、塗布膜側から光を入射して塗布膜に照射し、紫外可視分光光度計を用いて測定される。
この塗布膜上に、例えば、Agなどをスパッタリング法等にて成膜して反射層を形成し、次いで紫外線硬化性樹脂をスピンコート法等にて塗布したのち紫外線を照射して硬化させて保護層を形成することで光学記録媒体とすることができる。この光学記録媒体は、塗布膜の最大吸収波長(λmax)の値から、例えば中心波長405nmの半導体レーザーに
よる記録再生が可能であることが明らかである。
[実施例2](a)色素化合物製造例
Figure 0003960276
上記構造式[III]で示されるp−トルエンスルホンアミド1.71g(10mmol)
と上記構造式[IV]で示される4−メトキシシンナムアルデヒド1.62g(10mmol)をトルエン40ml中に加え、撹拌下70℃で加熱溶解させた。その後三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.6gを滴下し、7時間還流した。反応液を冷却し、濾過により未反応のp−トルエンスルホンアミドを除き、濾液に水75mlを加えて抽出洗浄を行い、無水硫酸マグネシウムを加えて一晩静置した。その後この溶液を濾過し、濾液を留去したのち、ジイソプロピルエーテル20mlを加えて撹拌、濾過して固体を濾別することにより例示化合物(2a)の構造で示される固体0.81g得ることが出来た(収率26.6%)。
生成物のクロロホルム中での最大吸収波長(λmax)は353.5nm、モル吸光係数
は2.5×104であった。
(b)記録媒体作製例
例示化合物(2a)をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1.0wt%に調整した。これを濾過してできた溶解液を、直径120mm、厚さ1.2mmの射出成型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピナー法により塗布し、塗布後、100℃で30分間乾燥した。この塗布膜の最大吸収波長(λmax)は357.5nmであった。
この塗布膜上に、例えば、Agなどをスパッタリング法等にて成膜して反射層を形成し、次いで紫外線硬化性樹脂をスピンコート法等にて塗布したのち紫外線を照射して硬化させて保護層を形成することで光学記録媒体とすることができる。この光学記録媒体は、塗布膜の最大吸収波長(λmax)の値から、例えば中心波長405nmの半導体レーザーに
よる記録再生が可能であることが明らかである。
[実施例3〜9]
以下、前記合成法やその他の方法を用いて、例示化合物(3a)〜(7a)、(51)、および(52)の各化合物を合成し、次いで実施例1と同様にして塗布膜を形成した。
これら化合物の溶液中での最大吸収波長(λmax)、モル吸光係数、塗布膜での最大吸
収波長(λmax)を、実施例1〜2の結果と併せて表−1に示す。
これらの塗布膜上に、例えば、Agなどをスパッタリング法等にて成膜して反射層を形成し、次いで紫外線硬化性樹脂をスピンコート法等にて塗布したのち紫外線を照射して硬化させて保護層を形成することで光学記録媒体とすることができる。これらの光学記録媒体は、塗布膜の最大吸収波長(λmax)の値から、例えば中心波長405nmの半導体レ
ーザーによる記録再生が可能であることが明らかである。
[実施例10]
(a)有機色素製造例
前記合成法やその他の方法を用いて、p-トルエンスルホンアミドとN―エチル−N−
(2−シアノエチル)ベンズアルデヒドから例示化合物(53)を合成した。生成物のクロロホルム中での最大吸収波長(λmax)は373.5nm、モル吸光係数は4.7×1
4であった。
(b)記録媒体作製例
例示化合物(53)をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1.0wt%に調整した。これを濾過してできた溶解液を直径120mm、厚さ1.2mmの射出成型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピナー法により塗布し、塗布後、100℃で30分間乾燥した。この塗布膜の最大吸収波長(λmax)は、380.5nmであった。この結果を表
−1に示す。
(c)光記録媒体の作製例
Niスタンパを用いて、ポリカーボネートを射出成形して、溝ピッチ425nm、溝幅200nm、溝深さ90nm程度の溝が形成された、直径120mm、厚さ0.6mmの第1の基板を作製した。次に、例示化合物(53)の0.4%オクタフルオロペンタノール溶液を第1の基板上にスピンコート法により塗布し、100℃で30分間加熱処理して、厚さ60nm程度の色素記録層を形成した。次に、Agを97原子%以上含むAg合金をスパッタリングし、厚さ約100nmの反射層を形成した。
次に、この反射層上に、紫外線硬化性樹脂からなる接着剤を塗布し、予め作製した直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート製の第2の基板を載置し、続いて、第2の基板側から紫外線を照射して、接着剤を硬化させて光記録媒体を作製した。
この記録層に対して、第1の基板側より光を入射して、情報の記録、再生を行った。記録再生は、波長405nm、NA0.65の光学系を用いた。記録条件は、線速5.7m/sで、8T=690nmのマークを記録パワー11mWで記録した。その後、同情報を、
再生強度0.2mWのレーザー光で照射しながらデータを読み出した。この時のノイズと信号強度との比の目安であるC/Nを測定したところ34dBであった。この結果から、色素(53)は短波長を用いた光記録媒体に使用する事ができる事がわかる。なお、このC/Nは記録ストラテジーや色素膜厚等の諸条件をさらに最適化することで、より向上させることが可能である。
Figure 0003960276
従って、波長が350nm〜530nmの短波長レーザー光を用いて本光学記録媒体に対して情報の記録を行えば、より高密度に、かつ大容量の情報を記録・再生することができる。
実施例1にて合成した化合物の、クロロホルム溶液中での吸収スペクトルである。 実施例1にて合成した化合物の、塗布膜の吸収スペクトルである。

Claims (5)

  1. 基板上にレーザーによる情報の記録または再生が可能な記録層が設けられた光学記録媒体において、該記録層が下記一般式(1)で示される化合物を含有することを特徴とする光学記録媒体。
    Figure 0003960276
    (式中、R1ないしR6は各々独立に水素原子、置換されてもよい直鎖または分岐のアルキル基を表す。kおよびnは各々独立に0〜2の整数を表し、かつ0≦k+n≦4である。lおよびmは各々独立に0または1を表し、かつ1≦l+m≦2である。環Aおよび環Bは各々独立に、任意の置換基を有していてもよい芳香族環を表す。但し、該任意の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。)
  2. 前記一般式(1)において、R1ないしR6が水素原子または無置換の炭素数1〜3の直鎖アルキル基を表す、請求項1に記載の光学記録媒体。
  3. 前記一般式(1)において、kおよびnが各々独立に0または1を表し、かつ0≦k+n≦2である、請求項1または2に記載の光学記録媒体。
  4. 前記一般式(1)において、環Aおよび環Bが各々独立に、任意の置換基を有していてもよい、5〜6員環の単環または2〜3縮合環を表す(但し、該任意の置換基同士が結合して環を形成していてもよい)、請求項1ないし3のいずれかに記載の光学記録媒体。
  5. 波長が350nm〜530nmのレーザー光を用い、請求項1ないし4に記載の光学記録媒体に対して情報の記録を行うことを特徴とする光学記録方法。
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