JP3959888B2 - 回路しゃ断器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線用しゃ断器,ないしは電動機の起動,停止,および過電流保護を行う開閉器などを対象とした回路しゃ断器に関し、詳しくはその組立構造に係わる。
【0002】
【従来の技術】
まず、橋絡形2接点方式の主回路接点を備えた回路しゃ断器を例に、その従来例の組立構造を図7(a),(b) に示す。図において、1は下部ケース1aと上部カバー1bとの組合せからなる樹脂モールド品の本体ケース、2は各相に対応する電源側の主回路端子、3は負荷側の主回路端子、4は主回路端子2の導体に連なる一方の固定接触子、5は他方の固定接触子、6は固定接触子4と5を橋絡する可動接触子、7は可動接触子ホルダ、7aは接触ばね、8は可動接触子ホルダ7を開閉方向に案内支持するケージ、9消弧装置、10は可動接触子6を開極位置に駆動する開閉レバー、11は開閉レバー10に連係させた開閉機構部、12は手動操作ハンドル、13は過負荷電流に応動して限時動作するバイメタル式の熱動形引外し装置13a,および短絡電流などに応動して瞬時動作する電磁形引外し装置13bを組合せた過電流引外し装置であり、過電流引外し装置13は固定接触子5と負荷側の主回路端子3との間に直列に介装して主回路に接続されている。なお、過電流引外し装置13の作動片13cはトリップクロスバーなどを介して開閉機構部11のラッチに連係されている。
【0003】
かかる回路しゃ断器の動作は周知の通りであり、操作ハンドル12をONに投入すると開閉レバー10が後退し、可動接触子6は接触ばね7aの付勢によりホルダ7とともに上昇して固定接触子4と5の間を橋絡する。この閉極状態では、主回路電流が電源側の主回路端子2から固定接触子4→可動接触子6→固定接触子5→過電流引外し装置→負荷側の主回路端子3に流れる。また、操作ハンドル12をOFF位置に操作すると、開閉機構部11を介して開閉レバー10が時計方向に揺動して可動接触子ホルダ7を押し下げる。これにより、可動接触子6が固定接触子4,5から開離して主回路接点が開極する。一方、主回路に過負荷電流,短絡電流が流れると、過電流引外し装置13の動作により開閉機構部10のラッチが釈放され、これにより開閉レバー10が回転駆動されて可動接触子6を開極して主回路電流をしゃ断する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した従来構造の回路しゃ断器では、その生産性,および過電流引外し装置の定格事項に関する仕様変更に対して次記のような問題点がある。
すなわち、図7に示した回路しゃ断器を製作する組立ラインでは、最初に組立ラインに供給した本体ケース1の下部ケース1aをベースとして、続く各組立工程で主回路の各部品,開閉レバー,開閉機構部,および指定仕様の過電流引外し装置を順に組み込み、最後に上部カバーを被着して製品が完成する。また、組立の済んだ製品に対しては検査工程で各種の動作試験を行い、非合格品は調整工程に移し、本体ケースのカバーを外した上で内装部品の位置ずれ修正,調整,さらには不良部品を良品に交換するなどした上で再度組立て直すようにしている。
【0005】
しかしながら、前記のように本体ケース1をベースにして全ての部品を順に組み込んでいく組立構造では部品の投入から製品が完成するまで多くの組立工程を必要とし、それだけ組立作業に時間が掛かるため、例えば至急納期の製品が要求された場合には生産の対応が困難となる。さらに、同じ組立ラインで定格レンジ,操作ハンドルなどが異なる各種仕様のしゃ断器を組立てる場合には、組付け部品の種類も増して組立工程,作業が複雑化する。特に、過電流引外し装置,および開閉機構部は、組立位置のずれ,調整不良が開閉動作,引外し動作特性に大きく影響を及ぼすことからその組立には念入りな作業が要求される。
【0006】
また、組立後の製品について、例えばユーザーから過電流引外し装置の仕様変更の要求があった場合には、一旦組立てたしゃ断器を分解して別な仕様の部品に取り替えた上で再度組立直す手間の掛かる作業を要する。さらに、需要先での電気設備変更などに伴い、稼働中の回路しゃ断器に対する過電流保護機能の仕様を変更する必要が生じた場合(このような事例は数多い)でも、前記と同様に部品の付け替えにはしゃ断器の分解,再組立を必要とするためにユーザーサイドでは簡単には対応できない。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、しゃ断器本体の組立性を改善して製品の生産性を向上し、併せて定格の仕様変更などにも柔軟に対応できるように組立構造を改良した回路しゃ断器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、本体ケースに各相の主回路端子,固定接触子,可動接触子,消弧部,可動接触子の開閉機構部,および過電流引外し装置を組み込んでなる回路しゃ断器において、前記開閉機構部,および過電流引外し装置をそれぞれ独立したユニットケースに組み込んで開閉機構ユニット,および過電流引外しユニットを構成した上で、各ユニットを主回路部品を組み付けた本体ケースに収納して組立てるとともに、前記開閉機構ユニット,および過電流引外しユニットの各ユニットケースに、橋絡形2接点方式の各固定接触子,およびその端子を一体に組み込み、かつ過電流引外しユニットに対しては固定接触子,および主回路端子をユニットケース内で過電流引外し装置の接続端子に直接接合するように構成する(請求項1)。
【0009】
かかる構成によれば、開閉機構ユニット,過電流引外しユニットは、しゃ断器本体の組立とは別な組立工程で独自に組立てた上で、そのユニットを単位として部品の調整,動作試験を行うことができる。そして、しゃ断器本体の組立ラインでは、既に組立の済んだ開閉機構ユニット,過電流引外しユニットをケース本体に収納するだけでよく、これによりしゃ断器本体の組立工数が大幅に減って製品生産性向上化が図れる。さらに、過電流引外しユニットについては、あらかじめ定格電流の異なる各種仕様のものを製作して用意しておくことで、急な仕様変更の要求にもユニット単位で取り替えるだけで柔軟に対応できる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明のように、本体ケースに各相の主回路端子,固定接触子,可動接触子,消弧部,可動接触子の開閉機構部,および過電流引外し装置を組み込んでなる回路しゃ断器において、開閉機構部,および過電流引外し装置をそれぞれ独立したユニットケースに組み込んで開閉機構ユニット,および過電流引外しユニットを構成した上で、各ユニットを主回路部品を組み付けた本体ケースに収納して組立てるとともに、各相の可動接触子を一括保持した絶縁物製の接触子ホルダを、本体ケースと各ユニットケースとの相互間に画成したスペースに介装して接触子開閉方向に案内支持するようにする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6に示す実施例に基づいて説明する。なお、各実施例の図中で図7に対応する同一部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
【0016】
〔実施例1〕
図1は本発明の一実施例を示すものである。この実施例においては、過電流引き外し装置13,および開閉機構部11をそれぞれ独立した樹脂成形品としてなるユニットケース14,15に組み込んで開閉機構ユニット,および過電流引外しユニットを構成した上で、各ユニットが可動接触子6の組立体,および消弧装置9を組み込んだ本体ケース1の下部ケース1aに並置して収納されており、各ユニットケース14,15を本体ケース1の上部カバー1bにて共通に覆った構成になる。なお、ユニットケース14,15は、例えば本体ケース1の下部ケース1aに上部カバー1bを被せて両者間をボルトで締結することにより、所定位置に挟持固定される。
【0017】
また、この実施例ではユニットケース14の底壁部には固定接触子5が一体にインサート形成されており、固定接触子5の一端がユニットケース内で過電流引外し装置13の接続端子にろう付けなどで直接接合され、さらに過電流引外し装置13の他方の接続端子には負荷側の主回路端子3が直接接合されている。なお、過電流引外し装置13の作動片13cはユニットケース14の側壁に開口した穴を貫通して側方に引出してあり、図示の組立状態でユニットケース15の側壁開口部を通じて開閉機構部11のラッチと連係している。一方、開閉機構部11のユニットケース15についても、その底壁部には電源側の主回路端子2の導体に連なる固定接触子4がインサート形成されて一体に組み込まれており、組立位置で固定接触子4,5が橋絡形の可動接触子6に対向している。
【0018】
一方、本体ケース1の下部ケース1aに組み込まれている可動接触子6の接触子ホルダ7は樹脂成形品としてなり、図5で示すように各相(図示例は三相)の可動接触子6を接触ばね7a,および接触ばねの支持枠7bとともに一括保持している。そして、先記のように、本体ケース1の下部ケース1aに前記のユニットケース14,15を収納した組立状態で、図6の詳細図で表すように下部ケース1aとユニットケース14,15の相互間に画成されたポケット状のスペースで前記接触子ホルダ7を上下動可能に案内支持するようにしている。なお、この収納位置で開閉機構部11から突き出した開閉レバー10がホルダ7の上面に対向している。この構成により、図7に示した従来構造で下部ケース1aの内部に組み込んだホルダ案内支持用のケージ8が不要となり、その分だけ部品点数,組立工数が削減できる。
【0019】
また、図2は先記した過電流引外しユニットのユニットケース14の形状を図1と若干変えた応用実施例を示すものである。すなわち、図1の構成では、ユニットケース14の周壁が下部ケース1aで完全に包囲されるように収納されているが、図2の構成では負荷側の主回路端子3に対する端子カバーがユニットケース14側に形成されており、図示の組立状態でユニットケース14の外周壁が本体ケース1の下部ケース1aと上部カバー1bとの間に重なり合ってしゃ断器ケースの外壁を兼ねるようにしている。
【0020】
〔実施例2〕
次に、本発明の他の実施例の組立構造を図3に示す。この実施例においては、過電流引外し装置13,および開閉機構部11をそれぞれ独立したユニットケース14,15に組み込んだ上で、各ユニットケースが本体ケース1の下部ケース1aに並置して収納されている点は先記実施例1の構成と同様であるが、さらに本体ケース1の上部カバー1bを左右二分割した上で、各分割カバー11b-1,11b-2をそれぞれ過電流引外し装置13のユニットケース14,開閉機構部11のユニットケース15の上に被着してある。
【0021】
そして、各ユニットを図中の点線位置から本体ケース1に組み込んだ実線の組立状態では、前記の分割カバー11b-1,11b-2が左右に連なり合ってしゃ断器ケースの外被カバーを形成している。
【0022】
なお、この実施例においても、実施例1と同様にユニットケース14,15には固定接触子4,5、および主回路端子2,3が一体に組み込まれており、さらに組立状態で可動接触子ホルダ7を下部ケース1とユニットケース14,15の相互間で可動接触子6の開閉動作方向に案内支持するようにしている。
【0023】
かかる構成によれば、しゃ断器本体の組立工程とは別な過電流引外しユニット,および開閉機構ユニットの組立工程で各分割カバー11b-1,11b-2をユニットケース14,15に組付けておくことができる。これにより、しゃ断器本体の組立工程では、各ユニットを本体ケース1の下部ケース1bに組み込んだ後にカバーを組付ける工程が省けるほか、各ユニットを保管する場合にはカバー付きであるので、その内部機構を保護できる。
【0024】
〔実施例3〕
次に本発明の更に異なる実施例を図4(a),(b) に示す。この実施例においては、先記の実施例1,2と比べて次の点が異なる。すなわち、過電流引外しユニットは本体ケース1の下部ケース1aに対して、カセット式に随時着脱できるように装着されており、かつそのユニットケース14には独立した専用カバー14aが被着されている。なお、16は専用カバー14aに備えた過電流引外し装置13の定格電流調整用のダイヤルである。
【0025】
また、過電流引外しユニットを図示の点線位置から本体ケース1に収納セットした際にユニットケース14を下部ケース1aに係止固定するためには、例えば、ユニットケース14に係合爪を形成し、これと対向する下部ケース1bに係合溝を形成して両者を掛け合い式に固定することができる。さらに、過電流引外しユニットを本体ケースに収納セットした状態で、本体ケース1の下部ケース1aにあらかじめ組み込まれている負荷側の主回路端子3と過電流引外し装置13の接続端子との間を導電接続するために、この実施例では主回路端子3の内側端部に上向きに開口したソケット式のコネクタ3aを形成し、これに対向して過電流引外し装置13の接続端子には差込み式のコネクタピン13dを形成し、ユニット収納位置でコネクタ3aとコネクタピン13dを嵌め合わせて導電路を形成するようにしている。
【0026】
一方、本体ケース1の上部カバー1bには、過電流引外しユニットの装荷位置に合わせてユニット差込み穴1b-3をあらかじめ開口しておき、しゃ断器本体の組立工程では本体ケース1の下部ケース1aに開閉機構ユニット,上部カバー1bを組付けた後、過電流引外しユニットの組立体を図示点線位置から上部カバー1bに開口しているユニット差込み穴1b-3に挿入して所定位置に収納セットするようにしている。
【0027】
かかる構成によれば、製品の組立後,あるいは納品先の使用現場でも、しゃ断器本体を分解することなく、過電流引外しユニットを必要に応じて取り外すことが可能である。これにより、製品組立後,あるいは納品後にユーザーから定格電流の仕様変更の要求があった場合でも、過電流引外しユニットを別な仕様のものに差し替えるだけで直ちに対応できる。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の構成によれば、開閉機構ユニット,過電流引外しユニットは、しゃ断器本体の組立とは別な組立工程で独自に組立てた上で、そのユニットを単位として部品の調整,動作試験を行うことができる。したがって、しゃ断器本体の組立ラインでは、既に組立,調整が済んだ開閉機構ユニット,過電流引外しユニットをケース本体に収納セットするだけでよく、これによりしゃ断器本体の組立工数が大幅に減って製品生産性向上化が図れる。しかも、過電流引外しユニットについては、あらかじめ定格電流の異なる各種仕様のものを製作して用意しておくことで、その仕様変更の要求にもユニット単位で取り替えるだけで柔軟に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に対応する回路しゃ断器の構成断面図
【図2】本発明の実施例1の応用実施例を表す回路しゃ断器の構成断面図
【図3】本発明の実施例2に対応する回路しゃ断器の構成断面図
【図4】本発明の実施例3に対応する回路しゃ断器の構成図であり、(a) は上面図、(b) は縦断面図
【図5】図1〜図4における可動接触子ホルダの正面図
【図6】図5の可動接触子ホルダをしゃ断器本体に組み込んだ状態の側面図
【図7】本発明の実施対象となる回路しゃ断器の従来例の構成図であり、(a) は全体の構成断面図、(b) は(a) 図における可動接触子ホルダ部分の拡大図
【符号の説明】
1 本体ケース
1a 下部ケース
1b 上部カバー
1b-1 過電流引外しユニット用の分割カバー
1b-2 開閉機構ユニット用の分割カバー
1b-3 過電流引外しユニットの差込み穴
2 主回路端子(電源側)
3 主回路端子(負荷側)
3a コネクタソケット
4,5 固定接触子
6 可動接触子
7 可動接触子ホルダ
9 消弧装置
11 開閉機構部
12 操作ハンドル
13 過電流引外し装置
13a 熱動形引外し装置
13b 電磁形引外し装置
13d コネクタピン
14 過電流引外しユニットのユニットケース
14a ユニット専用カバー
15 開閉機構ユニットのユニットケース
Claims (2)
- 本体ケースに各相の主回路端子,固定接触子,可動接触子,消弧部,可動接触子の開閉機構部,および過電流引外し装置を組み込んでなる回路しゃ断器において、開閉機構部,および過電流引外し装置をそれぞれ独立したユニットケースに組み込んで開閉機構ユニット,および過電流引外しユニットを構成した上で、各ユニットを主回路部品を組み付けた本体ケースに収納して組立てるとともに、前記開閉機構ユニット,および過電流引外しユニットの各ユニットケースに、橋絡形2接点方式の各固定接触子,およびその端子を一体に組み込み、かつ過電流引外しユニットに対しては固定接触子,および主回路端子をユニットケース内で過電流引外し装置の接続端子に直接接合したことを特徴とする回路しゃ断器。
- 本体ケースに各相の主回路端子,固定接触子,可動接触子,消弧部,可動接触子の開閉機構部,および過電流引外し装置を組み込んでなる回路しゃ断器において、開閉機構部,および過電流引外し装置をそれぞれ独立したユニットケースに組み込んで開閉機構ユニット,および過電流引外しユニットを構成した上で、各ユニットを主回路部品を組み付けた本体ケースに収納して組立てるとともに、各相の可動接触子を一括保持した絶縁物製の接触子ホルダを、本体ケースと各ユニットケースとの相互間に画成したスペースに介装して接触子開閉方向に案内支持したことを特徴とする回路しゃ断器。
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