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JP3958196B2 - 誘電体記録再生ヘッド及び誘電体記録再生装置 - Google Patents

誘電体記録再生ヘッド及び誘電体記録再生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体の微小領域に多値で情報を記録し再生する誘電体記録再生ヘッド、誘電体記録装置、誘電体再生装置及び誘電体記録再生装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より高密度大容量でランダムアクセスが可能な記録再生装置として、光ディスク装置やHDD(Hard Disc Drive)装置が知られている。また、近年、誘電体記録媒体をナノスケールで分析するSNDM(Scanning Nonlinear Dielectric Microscopy:走査型非線形誘電率顕微鏡)を利用した記録再生の技術について、本願発明者等によって提案されているところである。
【0003】
光記録はレーザを光源とした光ピックアップを用い、ディスク表面のピット(凹凸)や相変化媒体の結晶相を形成してデータを記録し、アモルファス相の反射率の違い、或いは光磁気効果を利用してデータの再生を行う。しかしながらピックアップは大きく高速読み出しに不適であることや、記録ピットの大きさは光の回折限界で規定され、50Gbit/inchが限界とされる。
【0004】
また、HDDに代表される磁気記録の長手記録では近年、GMR(GiantMagnetic Resistance)によるMRヘッドが実用化されており、更に垂直磁気記録を用いることで光ディスク以上の記録密度が期待されているが、磁気記録情報の熱揺らぎや符号反転部分でのブロッホ壁の存在、更にこれらを考慮したパターンドメディアを用いても記録密度は1Tbit/inchが限界とされている。
【0005】
SNDMは強誘電体記録媒体の非線形誘電率を測定することで強誘電体ドメインの正負を判別できる。更にAFM(Atomic Force Microscopy)等に用いられる先端に微小な探針を設けた導電性のカンチレバー(プローブ)を用いることで、サブナノメートルもの分解能を有することがわかっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
さて、従来のSNDMの技術を適用した記録再生装置は、プローブとこれらに接続されたインダクタ及び発振器、探針先端から誘電体記録媒体を通過した高周波電界が戻るためのリターン電極でヘッドが形成されている。プローブ直下の誘電体記録媒体の容量とインダクタとによって共振回路が形成され、誘電体記録媒体の垂直方向の分極状態による発振周波数の変動を検出することで再生が行われ、また、プローブから誘電体記録媒体の垂直方向に電界を印加してデータに対応した分極状態を形成することでデータの記録が行われる。即ち、情報は垂直の分極方向に対応した「0」又は「1」の2値の記録再生である
従って本発明は、SNDM法を用いた記録再生に関し、記録容量を増大させるために、誘電体記録媒体の表面に平行な分極方向を有する分極ドメインを形成して多値記録することが可能な誘電体記録再生ヘッドと、この誘電体記録再生ヘッドを適用した誘電体記録装置、誘電体再生装置及び誘電体記録再生装置の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、誘電体記録媒体にデータを記録し、再生する誘電体記録再生ヘッドであって、記録時には前記データに対応して前記誘電体記録媒体に電界を印加し、再生時には前記誘電体記録媒体の分極状態を検出する探針と、前記探針の周囲に設けられ、前記誘電体記録媒体の表面に平行な電界を形成する複数のバイアス電極と、前記探針に印加する電界の高周波成分が戻るためのリターン電極とを備える誘電体記録再生ヘッドであることを特徴とする。
【0008】
また、請求項7に記載の発明は、誘電体記録媒体にデータを記録する誘電体記録装置であって、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の誘電体記録再生ヘッドと、前記データに対応した記録信号を生成する記録信号生成手段と、前記記録信号を前記誘電体記録再生ヘッドの探針とバイアス電極との間に印加する電圧印加手段とを備える誘電体記録装置であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項8に記載の発明は、誘電体記録媒体に記録したデータを再生する誘電体再生装置であって、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の誘電体記録再生ヘッドと、前記誘電体記録再生ヘッドのバイアス電極に印加する交流電圧を生成する交流電圧生成手段と、前記誘電体記録媒体の分極状態に応じて発振する発振手段と、前記発振手段による発振信号を復調する復調手段と、前記復調手段により復調された信号と前記交流電圧生成手段の交流電圧とからデータを再生するデータ再生手段とを備える誘電体再生装置であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項11に記載の発明は、誘電体記録媒体にデータを記録し再生するための、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の誘電体記録再生ヘッドを用いた誘電体記録再生装置であって、(i)記録装置として、前記データに対応した記録信号を生成する記録信号生成手段と、前記記録信号を前記誘電体記録再生ヘッドの探針とバイアス電極との間に印加する電圧印加手段とを備え、(ii)再生装置として、前記誘電体記録再生ヘッドのバイアス電極に印加する交流電圧を生成する交流電圧生成手段と、前記誘電体記録媒体の分極状態に応じて発振する発振手段と、前記発振手段による発振信号を復調する復調手段と、前記復調手段により復調された信号と前記交流電圧生成手段の交流電圧とからデータを再生するデータ再生手段とを備え、且つ、前記誘電体記録再生装置の探針とバイアス電極間に、記録時には前記記録信号生成手段による記録信号を印加し、一方、再生時には前記交流電圧生成手段による交流電圧を印加する切り替え手段を備える誘電体記録再生装置であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
【0012】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録再生ヘッドは、誘電体記録媒体にデータを記録し、再生する誘電体記録再生ヘッドであって、記録時には前記データに対応して前記誘電体記録媒体に電界を印加し、再生時には前記誘電体記録媒体の分極状態を検出する探針と、前記探針の周囲に設けられ、前記誘電体記録媒体の表面に平行な電界を形成する複数のバイアス電極と、前記探針に印加する電界の高周波成分が戻るためのリターン電極とを備える。
【0013】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録再生ヘッドによれば、誘電体記録媒体にデータを記録し、又は再生するために、その先端を誘電体記録媒体に対向させる探針と、誘電体記録媒体の表面に平行なバイアス電界を印加するための複数のバイアス電極が探針の周囲に設けられている。また、探針に印加する電界の高周波成分が戻るためのリターン電極を備える。
【0014】
探針とバイアス電極間に電圧を印加し、この電圧によって生じる電界により、誘電体記録媒体の表面に平行な分極方向を有する分極ドメインが形成される。分極方向は探針とバイアス電極で決定される方向であり、データの記録が分極ドメインの分極方向として記録される。従って、分極方向として、例えば4つの方向が可能であれば、4種類のデータが所定の部位に記録することが可能となり、多値記録が行われる。
【0015】
また、バイアス電極と接地間、或いは所定の2つのバイアス電極間に電圧を印加することで、誘電体記録媒体の表面に平行な電界を形成することができ、その電界の方向によって対応する分極ドメインの分極方向が検出される。従って分極方向として記録されたデータの再生が可能となる。また、電界の方向は複数のバイアス電極と夫々に印加される位相の異なる交流電圧で決定することも可能である。
【0016】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録再生ヘッドの一態様として、前記バイアス電極は前記探針を挟んで複数のバイアス電極対を成し、当該複数のバイアス電極対の夫々は所定の角度を有して配置されている。
【0017】
この態様によれば、バイアス電極は探針を挟んで対を形成していて、その対は複数設けられる。従ってバイアス電極による誘電体記録媒体の表面に平行な電界は探針を中心として形成される。
【0018】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録再生ヘッドの他の態様として、前記複数のバイアス電極対は2つの直交したバイアス電極対である。
【0019】
この態様によれば、バイアス電極による誘電体記録媒体の表面に平行な電界は探針を中心として4つの方向に決定される。
【0020】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録再生ヘッドの他の態様として、前記バイアス電極は前記探針を挟んで複数のバイアス電極対を成し、当該複数のバイアス電極対の夫々は所定の角度を有して配置されていると共に、夫々のバイアス電極対に印加する所定の位相差を有する交流電圧を生成する交流電圧生成手段を備える。
【0021】
この態様によれば、バイアス電極は前記探針を挟んで複数のバイアス電極対を形成していて、夫々のバイアス電極対に所定の位相差を有する交流電圧が印加される。バイアス電極対の交差角度と交流電圧の位相差を所定の関係に設定することで誘電体記録媒体の表面に平行な回転電界が形成され、分極ドメインの分極方向を連続して容易に求めることが可能となる。
【0022】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録再生ヘッドの他の態様として、前記複数のバイアス電極の対は2つの直交したバイアス電極対であり、且つ、前記交流電圧生成手段は前記2つの直交したバイアス電極対に印加する位相差が90度の交流電圧を生成する。
【0023】
この態様によれば、バイアス電極対は直交した2つであり、夫々のバイアス電極対には位相差が90度異なる交流電圧が印加される。探針を中心として、4つの分極方向の検出に好適である。
【0024】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録再生ヘッドの他の態様として、当該誘電体記録再生ヘッドは非線形誘電率測定法に基づき、誘電体記録媒体にデータを記録し再生するヘッドである。
【0025】
この態様によれば、誘電体記録媒体の表面に平行な分極方向を有する分極ドメインが形成され、高密度でデータを記録し、再生が可能である。
【0026】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録装置は、誘電体記録媒体にデータを記録する誘電体記録装置であって、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の誘電体記録再生ヘッドと、前記データに対応した記録信号を生成する記録信号生成手段と、前記記録信号を前記誘電体記録再生ヘッドの探針とバイアス電極との間に印加する電圧印加手段とを備える。
【0027】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録装置によれば、上述した誘電体記録再生ヘッドの探針とバイアス電極間に、記録信号生成手段で生成された、記録すべきデータに対応した信号を印加することで、誘電体記録媒体の表面に平行であって探針とバイアス電極とで決定される分極方向を有する分極ドメインが形成され、データが分極ドメインの分極方向として記録される。
【0028】
本発明の実施の形態に係わる誘電体再生装置は、誘電体記録媒体に記録したデータを再生する誘電体再生装置であって、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の誘電体記録再生ヘッドと、前記誘電体記録再生ヘッドのバイアス電極に印加する交流電圧を生成する交流電圧生成手段と、前記誘電体記録媒体の分極状態に応じて発振する発振手段と、前記発振手段による発振信号を復調する復調手段と、前記復調手段により復調された信号と前記交流電圧生成手段の交流電圧とからデータを再生するデータ再生手段とを備える。
【0029】
本発明の実施の形態に係わる誘電体再生装置によれば、上述した誘電体記録再生ヘッドの探針とバイアス電極間、又は2つのバイアス電極間に交流電圧を印加することで、誘電体記録媒体の表面に平行な電界が形成され、その電界の方向に対応した分極方向を有する分極ドメインが検出される。その分極ドメインの分極状態に対応した容量に基づいて発振信号が得られ、この容量に基づいてFM変調された発振信号を復調し、復調した信号と印加した交流電圧とから記録されているデータを再生することができる。
【0030】
本発明の実施の形態に係わる誘電体再生装置の一態様として、前記データ再生手段は同期検波によるデータ再生である。
【0031】
この態様によれば、容量に基づいてFM変調された発振信号の復調信号からのデータ再生は、印加した交流電圧との位相に基づく同期検波によって行われる。
【0032】
本発明の実施の形態に係わる誘電体再生装置の他の態様として、前記データ再生手段はロックインアンプである。
【0033】
この態様によれば、容量に基づいてFM変調された発振信号の復調信号からのデータ再生は、印加した交流電圧との位相に基づくロックインアンプによって行われる。
【0034】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録再生装置は、誘電体記録媒体にデータを記録し再生するための、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の誘電体記録再生ヘッドを用いた誘電体記録再生装置であって、(i)記録装置として、前記データに対応した記録信号を生成する記録信号生成手段と、前記記録信号を前記誘電体記録再生ヘッドの探針とバイアス電極との間に印加する電圧印加手段とを備え、(ii)再生装置として、前記誘電体記録再生ヘッドのバイアス電極に印加する交流電圧を生成する交流電圧生成手段と、前記誘電体記録媒体の分極状態に応じて発振する発振手段と、前記発振手段による発振信号を復調する復調手段と、前記復調手段により復調された信号と前記交流電圧生成手段の交流電圧とからデータを再生するデータ再生手段とを備え、且つ、前記誘電体記録再生装置の探針とバイアス電極間に、記録時には前記記録信号生成手段による記録信号を印加し、一方、再生時には前記交流電圧生成手段による交流電圧を印加する切り替え手段を備える。
【0035】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録再生装置によれば、上述した誘電体記録装置と誘電体再生装置との機能を備え、記録装置としての動作と再生装置としての動作の選択は、探針とバイアス電極間に、記録時には前記記録信号生成手段による記録信号を印加し、一方、再生時には前記交流電圧生成手段による交流電圧を印加することを切り替え手段によって切り替えることで行われる。
【0036】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録再生装置の一態様として、前記データ再生手段は同期検波によるデータ再生である。
【0037】
この態様によれば、容量に基づいてFM変調された発振信号の復調信号からのデータ再生は、印加した交流電圧との位相に基づく同期検波によって行われる。
【0038】
本発明の実施の形態に係わる誘電体記録再生装置の他の態様として、前記データ再生手段はロックインアンプである。
【0039】
この態様によれば、容量に基づいてFM変調された発振信号の復調信号からのデータ再生は、印加した交流電圧との位相に基づくロックインアンプによって行われる。
【0040】
尚、以上に説明した誘電体記録再生ヘッド、誘電体記録装置、誘電体再生装置及び誘電体記録再生装置において、電界を印加する探針の形状としては、針状のものや、カンチレバー状等のものが具体的な構造として知られる。これらの形状を有する電極を総称して本願では適宜「探針」と記す。
【0041】
また、誘電体記録媒体として、例えば強誘電体であるLiTaOやPZT等が好適に用いられる。他の誘電体記録媒体を用いても良いことは当然である。
【0042】
更に、本発明の誘電体記録再生ヘッド、誘電体記録装置、誘電体再生装置及び誘電体記録再生装置は走査型非線形誘電率顕微鏡法に基づき、前記誘電体記録媒体に情報を記録し、再生する方法を用いる。SNDM技術に関しては本願発明者の長康雄により、応用物理第67巻、第3号、p327(1998)に詳しく紹介されている。即ち、誘電体上を探針が走査し、誘電体の分極状態を検出するものであって、その分極方向に対応した容量が検出され、記録されたデータに対応する。また、探針から誘電体に電界を印加し分極ドメインを形成することでデータの記録が行われる。極めて高密度の記録が可能となる。
【0043】
本発明のこのような作用、及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
【0044】
【実施例】
(誘電体記録再生ヘッドの実施例)
本発明に係わる誘電体記録再生ヘッドの実施例について、図1〜図4を参照して説明する。ここで、図1は誘電体記録再生ヘッドの実施例を示す図であって、同図(a)は平面図であり、同図(b)は側面図である。また、図2は誘電体記録再生ヘッドの電極の配置と印加電圧との関係を示す図であり、図3は誘電体記録再生ヘッドの作動状態を示す図であり、図4は誘電体に対する情報の記録再生について説明するための図である。
【0045】
図1に示すように本実施例に係わる誘電体記録再生ヘッド1の構成は、その先端部が誘電体記録媒体20に対向して電界を印加する探針11と、探針11から印加された電界の高周波成分が戻るリターン電極12と、リターン電極12の下方に設けられたバイアス電極13a、13b、14a、14bを備える。
【0046】
探針11は、導電性の部材、或いは絶縁性部材に導電性膜を被覆したものであり、誘電体記録媒体20に対向する先端部は所定の半径を有する球状である。この半径は誘電体記録媒体20に記録データに対応して形成される分極の半径を決める大きな要素であり、10nmオーダーの極めて小さいものである。また、探針11として、針状のものや、カンチレバー状等のものがある。また、誘電体記録媒体20として、例えば強誘電体であるLiTaOやPZT等が好適に用いられる。
【0047】
リターン電極12は、探針11から誘電体記録媒体20に印加した高周波電界が戻る電極であって、探針11を取り巻くように設けられている。尚、高周波電界が抵抗なくリターン電極12戻るものであれば、その形状や配置は任意に設定が可能である。
【0048】
バイアス電極13a、13b、14a、14bは、誘電体記録媒体20の表面と平行な成分を有する電界を印加する電極であって、バイアス電極13aとバイアス電極13b、及びバイアス電極14aとバイアス電極14bは夫々、探針11を挟んで対をなしている。また、夫々の対は直交している状態に配置されている。即ち、夫々の電極は探針11を中心とした所定の円周上に90度毎に配置されている。これらバイアス電極は誘電体記録媒体20の表面から、例えば1mm程離して上方に設けられる。
【0049】
図1に示したように配置されたバイアス電極13a、13b、14a、14bに対して、図2に示すようにバイアス電極13aには交流信号発生器15aから電圧Vが印加され、また、バイアス電極13bには交流信号発生器15bから電圧−Vが印加される。また、バイアス電極14aには交流信号発生器16aから電圧Vが印加され、バイアス電極14bには交流信号発生器16bから電圧−Vが印加される。更に、電圧Vと電圧Vとは位相差が90度の交流信号である。即ち、V=V10sinωt、V=V20cosωtである。
【0050】
バイアス電極13aにV=V10sinωtが、また、バイアス電極13bに−V=−V10sinωtが印加されることで、バイアス電極13aとバイアス電極13b間の電圧はV−(−V)=2V=2V10sinωtとなり、この電圧2Vとバイアス電極13a及びバイアス電極13b間の距離に基づく電界17(E=E10sinωt)が、Z軸方向であって誘電体記録媒体20の表面と平行に生じる。
【0051】
同様に、バイアス電極14aにV=V20cosωtが、また、バイアス電極14bに−V=V20cosωtが印加されることで、バイアス電極14aとバイアス電極14b間の電圧はV−(−V)=2V=2V20cosωtとなり、この電圧2Vとバイアス電極14a及びバイアス電極14b間の距離に基づく電界18(E=E20cosωt)が、X軸方向であって誘電体記録媒体20の表面と平行に生じる。
【0052】
電界17(E=E10sinωt)と電界18(E=E20cosωt)は位相差が90度であり、また、その方向は直交しているので、合成される電界は誘電体記録媒体20の表面と平行な回転電界となる。この回転電界が誘電体記録媒体20の表面に印加されることで、誘電体記録媒体20の表面に平行に形成されている分極ドメインにバイアスをかけることになり、分極ドメインの分極方向と回転電界の方向が一致したところで、分極状態に対応した容量が検出されることになる。
【0053】
また、交流信号発生器に換わり、探針11と所定のバイアス電極に記録すべきデータに対応した電圧を印加することで、選択されたバイアス電極と探針11とで決定される分極方向を有する分極ドメインを形成することが可能となる。その分極ドメインは誘電体記録媒体20の表面に平行であって、その方向は探針11とバイアス電極13a、13b、14a、14bのいずれかの組み合わせで決定される方向の4種がある。従って、誘電体記録媒体20の所定に部位に4つの方向のうちの何れか1つの方向に分極ドメインの分極方向を定めることで4つのうちの1つを記録する多値記録が可能となるものである。即ち、例えばZ軸方向を(0,0)、X軸方向を(0,1)、−Z軸方向を(1,0)、−X軸方向を(1,1)に対応付けることで、誘電体記録媒体20の所定に部位に2ビット(4種類)のデータを記録することができる。さらに、従来のSNDM記録再生装置と同じく誘電体記録媒体20に裏面電極を形成し、探針と誘電体記録媒体20との間に垂直方向の電界を印加可能となるような構成としておけば、前記±X、±Zの4値に±Y方向を加えて合計6値の記録再生が可能となる。
【0054】
図3は分極ドメインの分極方向を検出する方法を示していて、バイアス電極13a、13bに関して図示されている。バイアス電極14a、14bに関しても同様である。探針11とリターン電極12の間にインダクタタンスがLのインダクタ19が設けられていて、探針11の直下の分極ドメインの状態に対応した容量Csとで共振回路が構成される。この共振周波数f=1/2π√LCsは例えば1GHz程度になるようにインダクタ19のインダクタンスLが決定される。
【0055】
バイアス電極13a、13bに夫々電圧V、電圧−Vが印加された状態で、これが発生する電界に沿って誘電体記録媒体が分極されていたとすると、発振器31は共振周波数f=1/2π√LCsで発振する。印加する電界が回転することによってCsも変化し、従って、発振周波数はCsの変化によって変調されたFM変調信号となる。このFM変調信号を電圧Vの位相に基づいて復調することにより、分極ドメインの分極方向を検出することができる。即ち、その検出された方向に応じて4種のデータのうちの一つを決定することができ、多値記録されたデータを再生することが可能となる。電圧Vの周波数は例えば5〜8KHzである。尚、電界Eは探針11からバイアス電極に戻る電界であって、容量Csをその経路中に含む。また、電界Eは発振器31が発振する高い周波数がリターン電極12に戻る電界である。
【0056】
上述した誘電体記録媒体20に対する記録再生の原理は図4に示すように、誘電体記録媒体20は、その表面に平行に分極ドメインが設けられていてその分極方向Pの方向によって記録データと対応付けられる。図4にはZ軸方向のみが図示されているが、Z軸方向に直角なX軸方向にも同様である。さらに、X及びZに対して垂直であるY方向への記録再生を利用する場合についても同様である。
【0057】
記録は、探針11とバイアス電極13a、バイアス電極13bの間に誘電体記録媒体20の抗電界以上の電界が印加され、印加電界の方向に対応した方向を有して誘電体記録媒体20は分極する。その分極方向はデータに対応し、例えば図2に示すZ軸方向、X軸方向、−Z軸方向、−X軸方向の4つの方向がある。
【0058】
再生は分極状態に対応した容量Csを検出して、即ち上述したように容量Csの変化に対応する発振周波数の変化を検出して行われる。リターン電極12は、探針11から誘電体記録媒体20に印加した高周波成分の電界が戻る電極であって、探針11を取り巻くように設けられている。
【0059】
(誘電体再生装置の実施例)
本発明に係わる誘電体再生装置の実施例について、図5を参照して説明する。図5に示すように誘電体再生装置2は、誘電体記録媒体20の分極ドメインを探査する探針11と、探針11に加わる高周波成分の電界が戻るリターン電極12と、誘電体記録媒体20に回転電界を印加するバイアス電極13a、13b、14a、14bとを備える誘電体記録再生ヘッド1を有し、また、探針11とリターン電極12の間に設けられるインダクタ19と、インダクタ19と探針11の直下の誘電体記録媒体20に形成される、記録情報に対応して分極ドメインの容量Csとで決まる共振周波数で発振する発振器31と、バイアス電極13a、13b、14a、14bに印加する交流信号を発生する交流信号発生器15a、15b、16a、16bと、探針11の直下の誘電体記録媒体20が有する分極ドメインに対応した容量で変調されるFM変調信号を復調するFM復調器32と、復調された信号からデータを再生する同期検波器33、34等を備えて構成される。
【0060】
探針11は誘電体記録媒体20に接触、若しくは微小の空間を有して対向していて、探針11の先端部の半径に対応して誘電体記録媒体20にはデータに対応した分極ドメインが形成されている。再生時には探針11の先端部の誘電体記録媒体20の分極に対応した容量Csがインダクタ19との共振回路に加わることで、発振周波数が容量Csに依存することになる。この容量Csに基づいてFM変調された発振信号を復調することで図4に示す検出電圧が出力され、記録されているデータが再生される。
【0061】
交流信号発生器15a、15b、16a、16bは、バイアス電極13a、13b、14a、14bに印加する交流信号を発生する。これらの交流信号は図2を参照して説明したように、誘電体記録媒体20の表面に、これと平行な回転電界を形成する。この回転電界と誘電体記録媒体20の分極ドメインの分極方向が一致したところで、分極状態に対応した容量Csが検出されることになる。尚、この交流信号はFM復調された信号から同期検波によりデータを再生するときの参照信号として用いられる。これらの交流信号の周波数は、例えば5〜8KHzであるが、データの転送レートのためには高い周波数であることが好ましい。
【0062】
インダクタ19は、探針11とリターン電極12との間に設けられていて、例えばマイクロストリップラインで形成される。インダクタ19のインダクタンスLと容量Csとで共振回路が構成される。この共振周波数f=1/2π√LCsは例えば1GHz程度になるようにインダクタ19のインダクタンスLが決定される。
【0063】
誘電体記録媒体20は、例えば強誘電体であるLiTaOやPZT等が用いられる。また、誘電体記録媒体20の形状として、例えばディスク形態やカード形態等がある。探針11との相対的な位置の移動は媒体の回転によって行われ、或いは探針11と媒体のいずれか一方が直線的に移動して行われる。
【0064】
発振器31は、インダクタンスLと容量Csとで決定される周波数で発振する発振器である。その発振周波数は容量Csの変化に対応して変化するものであり、従って記録されているデータに対応した分極ドメインの分極方向によって決定される容量Csの変化に対応してFM変調が行われる。このFM変調を復調することで記録されているデータを読み取ることができる。
【0065】
FM復調器32は、容量Csによって変調された発振器31の発振周波数を復調し、探針11がトレースした部位の分極された状態に対応した波形を復元する。記録されているデータに対応して変調される周波数をFM復調する。
【0066】
同期検波器33、34は、FM復調器32で復調された信号と印加した交流信号発生器15a、16aからの交流信号に基づき記録されたデータを再生する。FM復調によって復調された信号は、誘電体記録媒体20に記録された4つの分極ドメインの分極方向に対応して、参照用の交流信号によって、その分極方向が検出され、多値記録されたデータを再生する。尚、同期検波器として、例えばロックインアンプ等が好適に用いられる。
【0067】
以上説明したように、本実施例の誘電体再生装置によれば、誘電体記録媒体の表面に形成された、表面に平行な分極ドメインの分極方向を検出することが可能となり、従って分極方向に対応させて記録した多値データの再生を可能とする。
【0068】
(誘電体記録装置の実施例)
本発明に係わる誘電体記録装置の実施例について、図6を参照して説明する。図6に示すように誘電体記録装置3は、誘電体記録媒体20の分極ドメインを探査する探針11と、探針11に加わる高周波成分の電界が戻るリターン電極12と、誘電体記録媒体20にデータに対応した分極ドメインを形成するための電圧を印加するバイアス電極13a、13b、14a、14bとを備える誘電体記録再生ヘッド1と、記録するデータを形成する記録信号発生器38等を備えて構成される。
【0069】
探針11は誘電体記録媒体20に接触、若しくは微小の空間を有して対向している。探針11とバイアス電極13a、13b、14a、14bのいずれか1つのバイアス電極との間に電圧を印加することで、そのバイアス電極と探針11とを結ぶ方向に、電界が発生し、その電界に沿って誘電体記録媒体20の表面と平行に分極ドメインが形成される。
【0070】
記録信号発生器38は、バイアス電極13a、13b、14a、14bに印加するデータを生成し、夫々のバイアス電極に供給する。生成されるデータは所定の記録フォーマットで変換され、また、付随する制御情報やエラー訂正に関する処理、データ圧縮等の処理がなされたものを含んでいても良い。
【0071】
記録信号発生器38からはバイアス電極13a、13b、14a、14bに、データに対応して電界が発生する電圧が供給される。例えば図2に示す+Z軸方向に電界を発生させるためには、バイアス電極13bに(+)の電圧及びバイアス電極13aに(−)の電圧を供給する。探針11とバイアス電極13a、13bの間に発生する電界によって誘電体記録媒体20の表面と平行に、分極方向が+Z軸方向の分極ドメインが形成される。また、−Z軸方向、+X軸方向、−X軸方向についても同様である。尚、印加する電圧は誘電体記録媒体20の抗電界以上の電界が発生する電圧である。
【0072】
上述したように、誘電体記録装置3は4つの方向のうち一つの方向の分極ドメインを誘電体記録媒体20の所定の部位に形成することができるので、多値記録が可能となる。即ちZ軸方向を(0,0)、X軸方向を(0,1)、−Z軸方向を(1,0)、−X軸方向を(1,1)とすれば、2ビットの情報を分極ドメインの方向に対応付けて記録することができる。
【0073】
(誘電体記録再生装置の実施例)
本発明に係わる誘電体記録再生装置の実施例について、図7を参照して説明する。図7に示すように誘電体記録再生装置4は、記録系として誘電体記録媒体20の分極ドメインを探査する探針11と、探針11に加わる高周波成分の電界が戻るリターン電極12と、誘電体記録媒体20にデータに対応した分極ドメインを形成するための電圧を印加するバイアス電極13a、13b、14a、14bとを備える誘電体記録再生ヘッド1と、記録するデータを形成する記録信号発生器38等を備え、再生系として上記誘電体記録再生ヘッド1の他に探針11とリターン電極12の間に設けられるインダクタ19と、インダクタ19と探針11の直下の誘電体記録媒体20に形成される、記録情報に対応して分極ドメインの容量Csとで決まる共振周波数で発振する発振器31と、バイアス電極13a、13b、14a、14bに印加する交流信号を発生する交流信号発生器15a、15b、16a、16bと、探針11の直下の誘電体記録媒体20が有する分極ドメインに対応した容量で変調されるFM変調信号を復調するFM復調器32と、復調された信号からデータを再生する同期検波器33、34、更に記録時と再生時にバイアス電極に印加する電圧を切り替えるためのSW1、SW2、SW3、SW4等を備えて構成される。
【0074】
SW1〜SW4は記録時と再生時に一緒に切り替えられる。例えばSW1は記録時には記録信号発生器38の信号がバイアス電極13aに印加され、再生時には交流信号発生器15aの信号がバイアス電極13aに印加されるように切り替えられる。この切り替えによって記録時には記録データに基づいた電圧がバイアス電極13aに印加されて、探針11とバイアス電極13aの方向に分極ドメインが形成され、再生時には交流信号に基づいた電圧がバイアス電極13aに印加されて分極ドメインの形成方向が検出される。SW2、SW3、SW4についても同様である。
【0075】
尚、その他の各構成要素の動作、作用は誘電体再生装置2及び誘電体再生装置3で説明したことと同様であり、ここでの再度の説明は省略する。
【0076】
次に図8を参照して、同期検波に用いられる同期検波器の一例としてロックインアンプについて説明する。ロックインアンプ5の構成は図8に示すように、入力端子T1、T2と、増幅器51と、波形整形器52と、同相分配器53、54と、90度移相器55と、乗算器である混合器56、57と、低域通過フィルタ58、59と、出力端子T3、T4とによって構成されている。
【0077】
増幅器51は、入力端子T1を介して入力される復調信号を増幅して同相分配器53に出力する。同相分配器53は、増幅された復調信号を同相分配して混合器56と混合器57に出力する。一方、波形整形器52は、入力端子T2を介して入力された基準信号を方形波に整形して同相分配器54に出力する。同相分配器54は、波形整形器52から出力される基準信号を同相で分配して混合器57と90度移相器55に出力する。90度移相器55は、基準信号を基準信号の周波数において90度だけ移相して混合器56に出力する。混合器56は、復調信号と90度だけ移相された基準信号を乗算して混合し、前記復調信号の周波数と前記基準信号の周波数の和と差の周波数を有する信号に変換して低域通過フィルタ58に出力する。低域通過フィルタ58は、入力される混合後の信号のうちの直流信号のみを通過させて出力端子T3に出力電圧Va1を出力する。混合器57は、基準信号と復調信号とを乗算して混合し、前記復調信号の周波数と前記基準信号の周波数の和と差の周波数を有する信号に変換して、低域通過フィルタ59に出力する。低域通過フィルタ59は、入力される混合後の信号のうちの直流信号のみを通過させて出力端子T4に出力電圧Va2を出力する。
【0078】
このような機能の回路によりピックアップされた信号は、交流信号発生器15a、16aの交流信号を同期信号として再生され、記録されている情報を再現する。尚、同期検波に用いられる手段はこの構成のロックインアンプに限ることはなく、他の同期検波手段を用いても良い。
【0079】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う誘電体記録再生ヘッド、誘電体記録装置、誘電体再生装置及び誘電体記録再生装置もまた本発明の技術思想に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる誘電体記録再生ヘッドの実施例を示す図である。
【図2】本発明に係わる誘電体記録再生ヘッドの電極の配置と印加電圧との関係を示す図である。
【図3】本発明に係わる誘電体記録再生ヘッドの作動状態を示す図である。
【図4】誘電体に対する情報の記録再生について説明するための図である。
【図5】本発明に係わる誘電体再生装置の実施例の構成を示す図である。
【図6】本発明に係わる誘電体記録装置の実施例の構成を示す図である。
【図7】本発明に係わる誘電体記録再生装置の実施例の構成を示す図である。
【図8】同期検波器であるロックインアンプの構成について示す図である。
【符号の説明】
1・・・誘電体記録再生ヘッド
2・・・誘電体再生装置
3・・・誘電体記録装置
4・・・誘電体記録再生装置
11・・・探針
12・・・リターン電極
13a、13b、14a、14b・・・バイアス電極
15a、15b、16a、16b・・・交流信号発生器
17、18・・・電界
19・・・インダクタ
20・・・誘電体記録媒体
31・・・発振器
32・・・FM復調器
33、34・・・同期検波器
38・・・記録信号発生器
51・・・増幅器
52・・・波形整形器
53、54・・・同相分配器
55・・・90度移相器
56、57・・・混合器
58、59・・・LPF

Claims (14)

  1. 誘電体記録媒体にデータを記録する誘電体記録装置であって、
    誘電体記録媒体にデータを記録し、再生する誘電体記録再生ヘッドであって、記録時には前記データに対応して前記誘電体記録媒体に電界を印加し、再生時には前記誘電体記録媒体の分極状態を検出する探針と、前記探針の周囲に設けられ、前記誘電体記録媒体の表面に平行な電界を形成する複数のバイアス電極と、前記探針に印加する電界の高周波成分が戻るためのリターン電極とを備える誘電体記録再生ヘッドと、
    前記データに対応した記録信号を生成する記録信号生成手段と、
    前記記録信号を前記誘電体記録再生ヘッドの探針とバイアス電極との間に印加する電圧印加手段と
    を備えることを特徴とする誘電体記録装置。
  2. 前記バイアス電極は前記探針を挟んで複数のバイアス電極対を成し、当該複数のバイアス電極対の夫々は所定の角度を有して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の誘電体記録装置。
  3. 前記複数のバイアス電極対は2つの直交したバイアス電極対であること
    を特徴とする請求項2に記載の誘電体記録装置。
  4. 前記バイアス電極は前記探針を挟んで複数のバイアス電極対を成し、当該複数のバイアス電極対の夫々は所定の角度を有して配置されていると共に、夫々のバイアス電極対に印加する所定の位相差を有する交流電圧を生成する交流電圧生成手段を備えること
    を特徴とする請求項1に記載の誘電体記録装置。
  5. 前記複数のバイアス電極の対は2つの直交したバイアス電極対であり、且つ、前記交流電圧生成手段は前記2つの直交したバイアス電極対に印加する位相差が90度の交流電圧を生成すること
    を特徴とする請求項4に記載の誘電体記録装置。
  6. 当該誘電体記録再生ヘッドは非線形誘電率測定法に基づき、誘電体記録媒体にデータを記録し再生するヘッドであること
    を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の誘電体記録装置。
  7. 誘電体記録媒体にデータを記録し、再生する誘電体記録再生ヘッドであって、記録時には前記データに対応して前記誘電体記録媒体に電界を印加し、再生時には前記誘電体記録媒体の分極状態を検出する探針と、前記探針の周囲に設けられ、前記誘電体記録媒体の表面に平行な電界を形成する複数のバイアス電極と、前記探針に印加する電界の高周波成分が戻るためのリターン電極とを備える誘電体記録再生ヘッドを用いた誘電体記録再生装置であって、
    (i)記録装置として、
    前記データに対応した記録信号を生成する記録信号生成手段と、
    前記記録信号を前記誘電体記録再生ヘッドの探針とバイアス電極との間に印加する電圧印加手段と
    を備え、
    (ii)再生装置として、
    前記誘電体記録再生ヘッドのバイアス電極に印加する交流電圧を生成する交流電圧生成手段と、
    前記誘電体記録媒体の分極状態に応じて発振する発振手段と、
    前記発振手段による発振信号を復調する復調手段と、
    前記復調手段により復調された信号と前記交流電圧生成手段の交流電圧とから
    データを再生するデータ再生手段と
    を備え、且つ、
    前記誘電体記録再生装置の探針とバイアス電極間に、記録時には前記記録信号生成手段による記録信号を印加し、一方、再生時には前記交流電圧生成手段による交流電圧を印加する切り替え手段を備えること
    を特徴とする誘電体記録再生装置。
  8. 前記データ再生手段は同期検波によるデータ再生であること
    を特徴とする請求項に記載の誘電体記録再生装置。
  9. 前記データ再生手段はロックインアンプであること
    を特徴とする請求項に記載の誘電体記録再生装置。
  10. 前記バイアス電極は前記探針を挟んで複数のバイアス電極対を成し、当該複数のバイアス電極対の夫々は所定の角度を有して配置されていることを特徴とする請求項7に記載の誘電体記録再生装置。
  11. 前記複数のバイアス電極対は2つの直交したバイアス電極対であること
    を特徴とする請求項10に記載の誘電体記録装置。
  12. 前記バイアス電極は前記探針を挟んで複数のバイアス電極対を成し、当該複数のバイアス電極対の夫々は所定の角度を有して配置されていると共に、夫々のバイアス電極対に印加する所定の位相差を有する交流電圧を生成する交流電圧生成手段を備えること
    を特徴とする請求項7に記載の誘電体記録再生装置。
  13. 前記複数のバイアス電極の対は2つの直交したバイアス電極対であり、且つ、前記交流電圧生成手段は前記2つの直交したバイアス電極対に印加する位相差が90度の交流電圧を生成すること
    を特徴とする請求項12に記載の誘電体記録再生装置。
  14. 当該誘電体記録再生ヘッドは非線形誘電率測定法に基づき、誘電体記録媒体にデータを記録し再生するヘッドであること
    を特徴とする請求項7から13のいずれか一項に記載の誘電体記録再生装置。
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