JP3956562B2 - 電気光学装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置等の電気光学装置の技術分野に属し、特に液晶等の電気光学物質を挟持する一対の基板のうち一方の基板面上に画像信号線等の配線が設けられており、他方の基板面上に該配線に対向する部分を含む対向電極が形成されてなる電気光学装置の技術分野に属する。
【0002】
【背景技術】
この種の電気光学装置は、データ線や走査線などの各種配線、画素電極、画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(以下適宜、TFTと称する)や薄膜ダイオード(以下適宜、TFDと称する)などのスイッチング素子等が形成された素子アレイ基板と、ストライプ状や全面的に形成された対向電極、カラーフィルタ等が形成された対向基板とが対向配置されている。これら一対の基板間で、液晶等の電気光学物質がシール材により包囲されており、平面的に見てシール材が存在するシール領域の内側にあるシール内領域に、複数の画素電極が配置されている。
【0003】
ここで特に、素子アレイ基板上においては、平面的に見てシール領域の外側にあるシール外領域に、外部信号源から入力端子を介して画像信号が供給される画像信号線が設けられている。そして、画像信号線からシール領域を介してシール内領域に配線されたデータ線に至る引き出し線が設けられている。他方、対向基板上においては、シール内領域には対向電極が設けられており、シール領域には、該対向電極の端部が設けられている。そして、対向電極の端部は、シール外領域において上下導通材により素子アレイ基板側に設けられた上限導通端子に接続されている。
【0004】
このように構成された電気光学装置においては、近時における表示画像の高精細化に対処すべく画像信号の引き出し線とデータ線との間に、TFT等をスイッチとするサンプリング回路が設けられており、共通の画像信号線に接続される複数のデータ線間における画像信号のクロストークを、各サンプリングスイッチの開閉動作により防止する構成が一般に採用されている。更に表示画像の高精細化を図るべくシリアルーパラレル展開された複数の画像信号(更に、カラー表示の場合には、R(赤)G(緑)B(青)別に夫々分けられた画像信号)を、外部信号源から複数の画像信号線に供給する構成も採用されている。これらによりデータ線は、例えば6本同時駆動、12本同時駆動のように複数本同時駆動することも可能とされており、所謂XGA、SVGA等の高周波駆動方式による画像表示を良好に行える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した電気光学装置によれば、シール領域やその付近において、素子アレイ基板上の画像信号線、その引き出し線等の配線と、対向電極とは、シール材や液晶等の誘電物質を介して対向しているため、両者間で容量カップリング(寄生容量)が生じている。
【0006】
本願発明者の研究によれば、このような容量カップリングは、表示画像における横クロストークやゴーストという画像劣化の一要因となることが判明している。ここで図9に示すように、サンプリング回路500を備えた6本同時駆動方式の液晶装置において、中間調の背景601中に黒いウインドウ(矩形画像)602が存在する画像600を表示する場合を例にとり説明する。尚、図9は、上半分に表示画像を示し、下半分にこれに対応する画素部分を拡大して各画素を駆動するための配線や回路と共に示す図式的概念図である。
【0007】
図9において、ウインドウ602から見て、走査方向(サンプリングスイッチのシフト方向)の下流側には、中間調の背景601を表示すべき表示領域に、黒いウインドウ602に隣接して中間調よりも白いブロックゴースト(以下、反転ゴーストという)611が発生し、更にこれに隣接して中間調よりも黒いブロックゴースト(以下、単にブロックゴーストという)612が発生する。より詳細には、反転ゴースト611は、一の画像信号線501の引き出し線501aに接続されており、同一のサンプリングスイッチ駆動信号線502により同時駆動される複数のデータ線503の途中に、ウインドウ602の輪郭線(但し、走査方向に対して黒から中間調に変化する部分における輪郭線)が位置する場合に発生する。ブロックゴースト612は、この反転ゴースト611を発生させるデータ線503の次に同時駆動される複数のデータ線503に対応する画素で発生する。
【0008】
ここで、図10のタイミングチャートに示す通りに、あるENB期間(各サンプリングスイッチがオンされて画素電極と対向電極との間に電圧が印加される期間)では、黒のウインドウ602を表示すべく画像信号VIDは、黒に対応する電位レベルにあり、対向電極の電位LCCOMは、一定電位に保たれているとする。その後、画像信号VIDが、中間調の背景601を表示すべく中間調に対応する電位レベルに変化されると、この変化の時点で、一定電位に維持されることが想定されている対向電極の電位LCCOMが、図中矢印で示すように上述した容量カップリングにより変動し、時定数で一定電位に復帰する。しかしながら、このように一定電位に復帰する以前に、次のENB期間に至ってしまう場合には、ブロックゴースト612が生じるものと考察される。従って、図9に示したブロックゴースト612に限らず、容量カップリングの大きさや対向電極における時定数によっては、反転ゴースト611を発生させるデータ線502の次に同時駆動される複数のデータ線502に対応する画素のみならず、更にその次に同時駆動される複数のデータ線502に対応する画素でも、ブロックゴーストが発生する可能性もある。
【0009】
以上の例では、サンプリング回路500を備えた複数本同時駆動方式の電気光学装置について説明したが、より一般には、一方の基板面上に画像信号線等の配線が設けられており、他方の基板面上に該配線に対向する部分を含む対向電極が形成されている電気光学装置では、これら配線と対向電極との間の容量カップリングに起因して、対向電極の電位が配線の電位に応じて変動することにより、画像劣化が起きるという問題点がある。
【0010】
本発明は上述した問題点に鑑みなされたものであり、画像信号線等の配線における電位変動に起因した対向電極の電位変動による画像劣化が低減された電気光学装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持され、画像信号に規定された画像を画像表示領域に表示する電気光学装置であって、第1基板は、画像表示領域を形成する複数の画素電極、および各画素電極に画像信号を供給するための複数の配線を有し、第1基板の画素電極と、第2基板に設けられた対向電極とが対向するように画像表示領域の外周に沿った接着しろであるシール領域にて、第1及び第2基板を固着するシール材と、シール領域の少なくとも一部において、配線と、対向電極との間に設けられた導電性のシールド層と、を備え、シールド層には、電気光学装置を駆動するための周辺回路に供給されている定電位源からの定電位が印加されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、シール領域の少なくとも一部において、配線と、対向電極との間に介在する導電性のシールド層に、電気光学装置を駆動するための周辺回路に供給されている定電位源からの定電位を印加することにより、安定したシールド性能を得ることができる。
よって、画像信号線等の配線における電位変動に起因した対向電極の電位変動による画像劣化が低減された電気光学装置を提供することができる。
【0013】
本発明の電気光学装置によれば、第1基板は、画素電極ごとに対となるスイッチング素子と、画像信号をサンプリングし、各スイッチング素子に供給する複数のサンプリングスイッチを備えたサンプリング回路と、サンプリング回路のサンプリングタイミングを定めるサンプリング回路駆動信号を生成するデータ線駆動回路と、画素電極に画像信号を書き込むタイミングを定めた走査線信号を生成する走査線駆動回路と、をさらに備えるとともに、シールド層を前記配線の上層部に配し、周辺回路には、データ線駆動回路および走査線駆動回路が含まれることが好ましい。
【0014】
本発明の電気光学装置によれば、配線は、外部の信号源から供給される画像信号を伝達する画像信号線と、画像信号線からサンプリング回路に至る引き出し線と、サンプリング回路駆動信号をサンプリング回路に伝達するためのサンプリング回路駆動信号線と、を含み、画像信号線は、画像信号として信号源からシリアル−パラレル展開された複数の展開信号が夫々供給される並列に配列された複数の並列部分を含み、引き出し線は、画像信号線の複数の並列部分と少なくとも部分的に相交差し、画像信号線とは異なる導電層からなることが好ましい。
【0015】
本発明の電気光学装置によれば、周辺回路は、第1基板における画像表示領域の周辺部位に設けられ、サンプリング回路は、第1基板と、シールド層との間に配置されることが好ましい。
【0016】
本発明の電気光学装置によれば、画像信号の電圧極性は、所定周期で反転されることが好ましい。
【0017】
本発明の電気光学装置によれば、シールド層は、第1基板上に画素電極と同一工程にて形成された導電性薄膜であることが好ましい。
【0018】
本発明の電気光学装置によれば、シールド層は、第2基板における第1基板に面した対向電極の上層部に絶縁膜を介して設けられることが好ましい。
【0019】
本発明の電気光学装置によれば、シール材は、第1及び第2基板間のギャップを規定するギャップ材を含んでおり、シールド層が形成されていないシール領域には、シールド層と同一層からなるダミー層が形成されていることが好ましい。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持され、シリアル−パラレル展開された複数相の画像信号に規定された画像を画像表示領域に表示する電気光学装置であって、第1基板には、画像表示領域を形成する複数の画素電極と、画素電極ごとに対となるスイッチング素子と、画像信号をサンプリングし、各スイッチング素子に供給する複数のサンプリングスイッチを備えたサンプリング回路と、複数相に相展開された画像信号を伝達する複数の画像信号線、およびサンプリング回路のサンプリングタイミングを定めるサンプリング回路駆動信号をサンプリング回路に伝達するサンプリング回路駆動信号線を含む複数の配線とが、少なくとも設けられ、第1基板の画素電極と、第2基板に設けられた対向電極とが対向するように画像表示領域の外周に沿った接着しろであるシール領域にて、第1及び第2基板を固着するシール材と、シール領域の少なくとも一部において、配線と、対向電極との間に設けられた導電性のシールド層と、を備え、シールド層には、電気光学装置を駆動するための周辺回路に供給されている定電位源からの定電位が印加されていることを特徴とする。
この構成によれば、シール領域の少なくとも一部において、配線と、対向電極との間に介在する導電性のシールド層に、電気光学装置を駆動するための周辺回路に供給されている定電位源からの定電位を印加することにより、安定したシールド性能を得ることができる。
よって、画像信号線等の配線における電位変動に起因した対向電極の電位変動による画像劣化が低減された電気光学装置を提供することができる。
【0021】
本発明の電気光学装置によれば、シールド層は、第1基板上に画素電極と同一工程にて形成された導電性薄膜であることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、画素電極を形成する際に、これと同一膜(例えば、ITO膜)からシールド層を形成することも可能となり、第1基板上における積層構造及び製造プロセスを簡略化する上で有利である。
特に、画像表示領域に形成される画素電極と、画像表示領域の周囲に形成されるシールド層とは、隣接しており重ならないことから、画素電極とシールド層とを同一膜により形成しても、画素電極の構成や機能の妨げとはならないので大変有利である。
【0023】
本発明の電気光学装置によれば、シールド層は、第2基板における第1基板に面した対向電極の上層部に絶縁膜を介して設けられることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、第2基板上に金属膜を蒸着、スパッタリング等で形成することにより、導電性のシールド層を比較的容易且つ安価に製造することも可能となる。
さらに、シールド層は、対向電極の上層部に絶縁膜を介して設けられることから、シールド層と対向電極との短絡などを防止することができる。
【0025】
本発明の電気光学装置によれば、シール材は、第1及び第2基板間のギャップを規定するギャップ材を含んでおり、シールド層が形成されていないシール領域には、シールド層と同一層からなるダミー層が形成されていることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、シール領域には、一部にシールド層が設けられているが、シールド層が設けられていないシール領域には、シールド層と同一層からなる(従って同一層厚を持つ)ダミー層が形成されている。このため、当該シール領域においてシール材に含まれるギャップ材を用いて、第1及び第2基板間のギャップ制御を精度良く行うことができる。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持され、シリアル−パラレル展開された複数相の画像信号に規定された画像を画像表示領域に表示する電気光学装置であって、第1基板には、画像表示領域を形成する複数の画素電極と、画素電極ごとに対となるスイッチング素子と、画像信号をサンプリングし、各スイッチング素子に供給する複数のサンプリングスイッチを備えたサンプリング回路と、複数相に相展開された画像信号を伝達する複数の画像信号線、およびサンプリング回路のサンプリングタイミングを定めるサンプリング回路駆動信号をサンプリング回路に伝達するサンプリング回路駆動信号線を含む複数の配線とが、少なくとも設けられ、第1基板の画素電極と、第2基板に設けられた対向電極とが対向するように画像表示領域の外周に沿った接着しろであるシール領域にて、第1及び第2基板を固着するシール材と、シール領域の少なくとも一部において、配線と、対向電極との間に設けられた、電気光学装置を駆動するための周辺回路にて用いられる定電位が印加された導電性のシールド層と、を備えることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、シールド層には、周辺回路にて用いられている電源電位などの安定した定電位が印加されることから、反転駆動方式の種別に拘らず、安定したシールド性能を得ることができる。
さらに、配線には、相展開された複数の並列部分を含む画像信号線、およびサンプリング回路駆動信号線が含まれることから、当該配線と、対向電極間の容量カップリングを、当該間に介在する安定したシールド性能を有するシールド層により低減することができる。
これにより、図10に示すような配線における電位変動があった場合であっても、容量カップリングによりシールド層に伝達された当該電位変動は、安定したシールド層に吸収されてしまうことになる。または、シールド層の電位に微小な影響を及ぼしたとしても、電気的に接続されていない対向電極にまで影響を及ぼすことはない。
よって、画像信号線等の配線における電位変動に起因した対向電極の電位変動による画像劣化が低減された電気光学装置を提供することができる。
【0029】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記シールド層は、定電位源に接続されている。
【0030】
この態様によれば、第1基板上の周辺回路の電源等である定電位源に接続されたシールド層により、シールド層を介して対向する対向電極と配線との間における容量カップリングを一層低減することが可能となる。
【0031】
この態様では、前記シールド層は、接地電位とされてもよい。
【0032】
このように構成すれば、第1基板上の周辺回路の電源等である接地電位とされたシールド層により、シールド層を介して対向する対向電極と配線との間における容量カップリングをより確実に低減することが可能となる。
【0033】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記シール材は、前記第1及び第2基板間のギャップを規定するギャップ材を含んでおり、前記シールド層が形成されていない前記シール領域には、前記シールド層と同一層からなり、各配線に対向する部分毎に分断された複数のダミー層が形成されている。
【0034】
この態様によれば、シール領域には、その一部にシールド層が設けられているが、シールド層が設けられていないシール領域には、シールド層と同一層からなる(従って同一層厚を持つ)ダミー層が形成されている。このため、当該シール領域においてシール材に含まれるギャップ材を用いて、第1及び第2基板間のギャップ制御を精度良く行える。しかも、ダミー層は、分断されているので、ダミー層を形成することによりシール領域における配線や対向電極で短絡や断線等が発生する可能性も低減されている。
【0035】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
(電気光学装置の全体構成)
先ず、本実施形態の電気光学装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここでは、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の透過型の液晶装置を例にとる。
【0038】
図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。
【0039】
図1及び図2において、電気光学装置は、透明な第1基板の一例としてのTFTアレイ基板10と透明な第2基板の一例としての対向基板20との間に液晶層50が封入されてなり、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10の周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0040】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、当該電気光学装置がプロジェクタ用途のように小型で拡大表示を行う電気光学装置であれば、両基板間の距離(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材(スペーサ)が散布されてもよい。或いは、当該電気光学装置が液晶ディスプレイや液晶テレビのように大型で等倍表示を行う電気光学装置であれば、このようなギャップ材は、液晶層50中に含まれてよい。
【0041】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10の額縁領域を規定する第1遮光膜53が対向基板20上に設けられている。
【0042】
シール材52が配置されたシール領域の外側の周辺領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも一個所において、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための上下導通材106が設けられている。
【0043】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線、容量線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、ポリイミド系材料からなる配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、カラーフィルタ、第1遮光膜53等が形成された最上層部分(図2で最下に位置する層)に、ポリイミド系材料からなる配向膜が形成されている。これらの一対の配向膜は夫々、製造プロセスにおいてポリイミド系材料を塗布し、焼成した後、液晶層50中の液晶を所定方向に配向させると共に液晶に所定のプレチルト角を付与するように配向処理が施されている。
【0044】
また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0045】
本実施形態では特に、図1に示すように平面的に見てシール材52の下辺の大部分を囲む太線で示した矩形領域には、図2に示すようにシール材52とTFTアレイ基板10との間に、導電体からなるシールド層80が形成されている。特にシールド層80は、TFTアレイ基板10上に形成された後述の画像信号線及びその引き出し線並びにサンプリング回路駆動信号線と対向基板20上に形成された対向電極21との間に介在しており、後者を前者から電気的シールドするように構成されている。
【0046】
尚、本実施形態では、図1では図示していないが、シールド層80が設けられていないシール領域には、図2に示すように、シールド層80と同一層からなる(従って同一層厚を持つ)ダミー層80’が形成されている。このため、シール領域におけるTFTアレイ基板10の最上層の表面は、シール領域の全周に渡って高さが殆ど一定となり、当該シール領域においてシール材52に含まれるギャップ材を用いた場合にも、両基板間のギャップ制御を精度良く行える。逆に言えば、シールド層80を形成することによる基板間ギャップ制御の精度を落とすことは殆どない。しかも、ダミー層80’は、好ましくは、平面的に見てダミー層80’が重ねられる後述の走査線、容量線等の配線に対向する部分毎に分断されているので、ダミー層80’を形成することによりシール領域における配線や対向電極で短絡や断線等が発生する可能性も低減されている。但し、ダミー層80’を、シールド層80とは異なるがシールド層80と同一層厚を持つ絶縁層から形成すれば、この様に分断する必要はない。
【0047】
(電気光学装置の回路構成)
本実施形態による電気光学装置の回路構成について、図3を参照して説明する。ここに、図3は、本実施形態による電気光学装置のブロック図である。
【0048】
図3は、電気光学装置のTFTアレイ基板上において画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路及び画像表示領域の周辺に位置する周辺回路を示している。
【0049】
図3において、本実施形態による電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素は、画素電極9aを制御するためのTFT30がマトリクス状に複数形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、画像信号S1、S2、…、Snを、N(但し、Nは2以上の自然数)個の信号にシリアル−パラレル変換し、N本の画像信号線115から相隣接するN本のデータ線6a同士に対してグループ毎に供給するようにしてもかまわない。
【0050】
また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極(図2参照)との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過不可能とされ、ノーマリーブラックモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過可能とされ、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。例えば、画素電極9aの電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量70により保持される。これにより、保持特性は更に改善され、コントラスト比の高い電気光学装置が実現できる。尚、蓄積容量70を形成する方法としては、容量を形成するための配線である容量線3bを設けても良いし、前段の走査線3aとの間で容量を形成しても良いことは言うまでもない。
【0051】
図3において、電気光学装置は、上述のようにデータ線6a、走査線3a等が形成されたTFTアレイ基板上における画像表示領域の周囲に、周辺回路の例として、データ線6aを駆動するデータ線駆動回路101、走査線3aを駆動する走査線駆動回路104及び画像信号をサンプリングするサンプリング回路103を備えている。更に、画像表示領域の周囲には、外部回路接続端子から上述の如きN個にシリアル−パラレル変換された画像信号S1、S2、…、Snを供給するためのN本の画像信号線115が配線されている。画像信号線115には、図示しない制御回路から外部回路接続端子を介してN個にシリアル−パラレル変換された画像信号S1、S2、…、Snが供給される。
【0052】
データ線駆動回路101は、走査線駆動回路104がパルス的に走査線3aに順番にゲート電圧を送るのに合わせて、サンプリング回路駆動信号線114を介してサンプリング回路駆動信号をサンプリング回路103を構成する各サンプリングスイッチ103aの制御端子に供給する。サンプリング回路103は、このサンプリング回路駆動信号に応じて、画像信号線115上の画像信号をサンプリングして、データ線6aに供給する。
【0053】
本実施形態では特に、図3において太線で示した矩形領域には、シールド層80が形成されている。特にシールド層80は、TFTアレイ基板10上に形成された画像信号線115及びその引き出し線115a並びにサンプリング回路駆動信号線114を覆っており、対向基板20上に形成された対向電極21(図2参照)をこれらの配線から電気的シールドするように構成されている。尚、シールド層80を、図1及び図2に示した額縁53が設けられた領域(即ち、好ましくは額縁53下に隠れてサンプリング回路103が形成された領域)にまで形成してもよい。
【0054】
サンプリング回路103は、好ましくは、平面的に見て図1に示した額縁53下に隠れた基板上領域に形成される。即ち、この領域は、画像表示に寄与しないため、この領域をサンプリング回路103を形成する領域に割り当てることで、限られた基板上領域で画像表示領域を相対的に大きくとることが可能となる。また、サンプリング回路103を構成する各サンプリングスイッチ103aは、製造効率等の観点から好ましくは、画素部におけるTFT30と同一製造プロセスにより製造可能なnチャネル型、pチャネル型、あるいは相補型等のTFTから構成される。
【0055】
また、本実施形態の電気光学装置では、画像信号線115を介して供給される画像信号の電圧極性は、所定周期で反転され、ビデオ反転駆動方式、1H反転駆動方式、1S反転駆動方式、又はドット反転駆動方式等の反転駆動方式により駆動されるように構成してもよい。このように構成すれば、直流電圧印加による液晶の劣化を防止しつつ、フリッカーやクロストークを低減できる。
【0056】
次に、図4から図6を参照して、本実施形態におけるシールド層80について詳述する。ここに、図4は、図1のC−C’断面におけるTFTアレイ基板10側の積層構造を拡大して示す図式的断面図である。また、図5及び図6は夫々、これに対応する個所における変形例の積層構造を拡大して示す図式的断面図である。
【0057】
図4に示すように、TFTアレイ基板10上には、後に詳述する第1、第2及び第3層間絶縁膜12、4及び7が形成されており、データ線と同一のAl等の金属膜からなる画像信号線115、引き出し線115a又はサンプリング回路駆動信号線114が第2層間絶縁膜4と第3層間絶縁膜7との間に形成されている。TFTアレイ基板10の液晶層50に面する最上層には、配向膜16が形成されている。他方、対向基板20の液晶層50に面する最上層には、配向膜22が形成されている。
【0058】
本実施形態では特に、平面的に見てシール領域の少なくとも一部において相互に重なる対向電極21と、画像信号線115、引き出し線115a又はサンプリング回路駆動信号線114との間に介在する導電性のシールド層80を備える。従って、平面的に見てシール領域の少なくとも一部において、対向電極21と、画像信号線115、引き出し線115a又はサンプリング回路駆動信号線114とは、相互に重なっているものの、両者間における容量カップリングは低減され、画像信号線115、引き出し線115a又はサンプリング回路駆動信号線114の電位変動による対向電極21の電位変動が低減される。この結果、本発明の電気光学装置によれば、例えば図9で説明した如き画像劣化を低減でき、高精細で高品位の画像表示が可能となる。
【0059】
このようなシールド層80を形成する導電層としては、蒸着、スパッタリング等で形成可能な金属膜が挙げられる。好ましくは、シールド層80は、画素電極9aと同一のITO膜からなる。このように構成すれば、画素電極9aを形成するのと同一工程で同時に、シールド層80を形成できる。特に、画素電極9aは画像表示領域に形成され、平面的に見てこの周囲にシールド層80は形成される。このため画素電極9aと同一膜からシールド層80を形成しても、画素電極9aの構成や機能の妨げとはならないので大変有利である。
【0060】
このように形成されるシールド層80は、好ましくは接地電位等の定電位源に接続されている。この場合、定電位源としては、当該電気光学装置を駆動するための周辺回路(例えば、走査線駆動回路、データ線駆動回路等)に供給される負電源、正電源等の定電位源、接地電源、対向電極21に供給される定電位源等が挙げられる。このように周辺回路等の電源を利用すれば、専用の電位配線や外部回路接続端子を設ける必要なく、シールド層80を定電位にできる。従って、シールド層80を介して対向する対向電極21と、画像信号線115、引き出し線115a又はサンプリング回路駆動信号線114との間における容量カップリングを一層低減することが可能となる。尚、シールド層80の容量が大きければ、シールド層80を浮遊電位としてもシールドの効果はある程度得られる。
【0061】
本実施形態の一の変形例としては、図5に示すように、画素電極9aを透明なITO膜から形成し、シールド層80を非透明なTi(チタン)等の金属膜から形成してもよい。この場合、シール領域におけるシールド層80による画像信号線115、引き出し線115a、対向電極21等の短絡や断線等を防止する観点から、シールド層80と配向膜16との間に透明絶縁膜(パッシベーション膜)81を介在させるのが好ましい。
【0062】
或いは本実施形態の他の変形例としては、図6に示すように、TFTアレイ基板10上にシールド層80を形成するのに代えて、対向基板20上に金属膜を蒸着、スパッタリング等で形成することにより、導電性のシールド層90を形成してもよい。この場合にも、シール領域におけるシールド層90による画像信号線115、引き出し線115a、対向電極21等の短絡や断線等を防止する観点から、シールド層90と対向電極21との間に透明絶縁膜(パッシベーション膜)91を介在させ、更にシールド層90と配向膜22との間に透明絶縁膜(パッシベーション膜)92を介在させるのが好ましい。
【0063】
次に、本実施形態の電気光学装置の画像表示領域内における画素部の構成について図7及び図8を参照して説明する。図7は、データ線、走査線、画素電極、第2遮光膜等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図8は、図7のA−A’断面図である。尚、図8においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0064】
図7において、電気光学装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。データ線6aは、コンタクトホール5を介してポリシリコン膜等の半導体層1aのうち後述のソース領域に電気的接続されており、画素電極9aは、コンタクトホール8を介して半導体層1aのうち後述のドレイン領域に電気的接続されている。また、半導体層1aのうち後述のチャネル領域(図中右下りの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されている。そして、図中右上がりの斜線で示した領域に画素部における第2遮光膜11aが設けられている。即ち第2遮光膜11aは、画素部において、半導体層1aのチャネル領域を含むTFTをTFTアレイ基板の側から見て各々覆う位置に設けられている。
【0065】
図8に示すように、電気光学装置は、TFTアレイ基板10と対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
【0066】
他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極(共通電極)21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
【0067】
TFTアレイ基板10には、各画素電極9aに隣接する位置に、各画素電極9aをスイッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設けられている。
【0068】
対向基板20には、各画素の開口領域以外の領域に、第3遮光膜23を設けても良い。これにより、対向基板20の側から入射光が画素スイッチング用TFT30の半導体層1aのチャネル領域1a’やLDD(Lightly Doped Drain)領域である低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに侵入することはない。更に、第3遮光膜23は、コントラストの向上、色材の混色防止などの機能を有する。
【0069】
画素スイッチング用TFT30に各々対向する位置においてTFTアレイ基板10と各画素スイッチング用TFT30との間には、第2遮光膜11aが各々設けられている。第2遮光膜11aは、好ましくは不透明な高融点金属であるTi(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)及びPb(鉛)のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等から構成される。このような材料から構成すれば、TFTアレイ基板10上の第2遮光膜11aの形成工程の後に行われる画素スイッチング用TFT30の形成工程における高温処理により、第2遮光膜11aが破壊されたり溶融しないようにできる。第2遮光膜11aが形成されているので、TFTアレイ基板10の側からの戻り光等が画素スイッチング用TFT30のチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに入射する事態を未然に防ぐことができ、光電流の発生により画素スイッチング用TFT30の特性が劣化することはない。
【0070】
更に、第2遮光膜11aと複数の画素スイッチング用TFT30との間には、第1層間絶縁膜12が設けられている。第1層間絶縁膜12は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aを第2遮光膜11aから電気的絶縁するために設けられるものである。更に、第1層間絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、画素スイッチング用TFT30のための下地膜としての機能をも有する。即ち、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用TFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。第1層間絶縁膜12は、例えば、NSG(ノンドープトシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの高絶縁性ガラス又は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等からなる。第1層間絶縁膜12により、第2遮光膜11aが画素スイッチング用TFT30等を汚染する事態を未然に防ぐこともできる。
【0071】
本実施形態では、走査線3aの一部からなるゲート電極と半導体層1aとの間に設けるゲート絶縁膜2を、走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体層1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。
【0072】
画素スイッチング用TFT30は、LDD構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。高濃度ドレイン領域1eには、複数の画素電極9aのうちの対応する一つが接続されている。また、走査線3a、ゲート絶縁膜2及び第1層間絶縁膜12の上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が各々形成された第2層間絶縁膜4が形成されている。更に、データ線6a及び第2層間絶縁膜4の上には、高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8が形成された第3層間絶縁膜7が形成されている。前述の画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜7の上面に設けられている。
【0073】
画素スイッチング用TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を持ってよいし、ゲート電極3aをマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。また本実施形態では、画素スイッチング用TFT30の走査線3aの一部からなるゲート電極をソース−ドレイン領域間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。この際、各々のゲート電極には同一の信号が印加されるようにする。
【0074】
尚、本実施の形態では特に、第2遮光膜11aは定電位源に電気的接続されており、第2遮光膜11aは、定電位とされる。このように第2遮光膜11aを定電位としておけば、画素スイッチング用TFT30に対し第2遮光膜11aの電位変動が実践上悪影響を及ぼすことはない。この場合、定電位源としては、当該電気光学装置を駆動するための周辺回路(例えば、走査線駆動回路、データ線駆動回路等)に供給される負電源、正電源等の定電位源、接地電源、対向電極21に供給される定電位源等が挙げられるが、本実施の形態では、第2遮光膜11aは走査駆動回路の負電源に接続されるものとする。このように周辺回路等の電源を利用すれば、専用の電位配線や外部回路接続端子を設ける必要なく、第2遮光膜11aを定電位にできる。第1層間絶縁膜12が十分に厚い場合は、第1遮光膜を各画素単位毎に島状に形成し、電気的にフローティングになるように構成してもよい。また、額縁領域を規定する第1遮光膜53と第2遮光膜11aは電気的に接続されても良い。これにより、額縁領域を規定する第1遮光膜53が定電位に固定されるため、データ線6aや走査線3aへのノイズの飛び込みを防止できる。
【0075】
また本願発明を、TFTアクティブマトリクス駆動方式以外の、TFDアクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス駆動方式などいずれの方式の電気光学装置に適用しても、対向電極がシールド層により画像信号線やその引き出し線等の配線から電気的にシールドされて対向電極電位が安定するという本実施形態と同様の効果は発揮される。
【0076】
以上説明した各実施形態における電気光学装置では、対向基板20の外面及びTFTアレイ基板10の外面には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
【0077】
本発明は、上述した各実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう電気光学装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電気光学装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】図1の電気光学装置の回路構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態の図1のC−C’断面におけるTFTアレイ基板側の積層構造を拡大して示す図式的断面図である。
【図5】実施形態の一の変形例における図1のC−C’断面に対応する個所でのTFTアレイ基板側の積層構造を拡大して示す図式的断面図である。
【図6】実施形態の他の変形例における図1のC−C’断面に対応する個所でのTFTアレイ基板側の積層構造を拡大して示す図式的断面図である。
【図7】データ線、走査線、画素電極、第2遮光膜等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図8】図7のA−A’断面図である。
【図9】従来の電気光学装置の問題点を説明するための図式的概念図である。
【図10】従来の電気光学装置の問題点を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
1a…半導体層
3a…走査線
3b…容量線
9a…画素電極
10…TFTアレイ基板
10…画像表示領域
11a…第2遮光膜
20…対向基板
21…対向電極
23…第3遮光膜
30…TFT
50…液晶層
52…シール材
53…第1遮光膜
70…蓄積容量
80、90…シールド層
81、91、92…絶縁膜
101…データ線駆動回路
103…サンプリング回路
103a…サンプリングスイッチ
104…走査線駆動回路
114…サンプリング回路駆動信号線
115…画像信号線
115a…画像信号線の引き出し線
Claims (9)
- 一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持され、画像信号に規定された画像を画像表示領域に表示する電気光学装置であって、
前記第1基板は、前記画像表示領域を形成する複数の画素電極、および前記各画素電極に前記画像信号を供給するための複数の配線を有し、
前記第1基板の前記画素電極と、前記第2基板に設けられた対向電極とが対向するように前記画像表示領域の外周に沿った接着しろであるシール領域にて、前記第1及び第2基板を固着するシール材と、
前記シール領域の少なくとも一部において、前記配線と、前記対向電極との間に設けられた導電性のシールド層と、を備え、
前記シールド層には、前記電気光学装置を駆動するための周辺回路に供給されている定電位源からの定電位が印加されていることを特徴とする電気光学装置。 - 前記第1基板は、前記画素電極ごとに対となるスイッチング素子と、
前記画像信号をサンプリングし、前記各スイッチング素子に供給する複数のサンプリングスイッチを備えたサンプリング回路と、
前記サンプリング回路のサンプリングタイミングを定めるサンプリング回路駆動信号を生成するデータ線駆動回路と、
前記画素電極に前記画像信号を書き込むタイミングを定めた走査線信号を生成する走査線駆動回路と、をさらに備えるとともに、前記シールド層を前記配線の上層部に配し、
前記周辺回路には、前記データ線駆動回路および前記走査線駆動回路が含まれることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。 - 前記配線は、外部の信号源から供給される前記画像信号を伝達する画像信号線と、
前記画像信号線から前記サンプリング回路に至る引き出し線と、
前記サンプリング回路駆動信号をサンプリング回路に伝達するためのサンプリング回路駆動信号線と、を含み
前記画像信号線は、前記画像信号として前記信号源からシリアル−パラレル展開された複数の展開信号が夫々供給される並列に配列された複数の並列部分を含み、
前記引き出し線は、前記画像信号線の複数の並列部分と少なくとも部分的に相交差し、
前記画像信号線とは異なる導電層からなることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。 - 前記周辺回路は、前記第1基板における前記画像表示領域の周辺部位に設けられ、
前記サンプリング回路は、前記第1基板と、前記シールド層との間に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。 - 前記画像信号の電圧極性は、所定周期で反転されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記シールド層は、前記第1基板上に前記画素電極と同一工程にて形成された導電性薄膜であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記シールド層は、前記第2基板における前記第1基板に面した前記対向電極の上層部に絶縁膜を介して設けられることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
- 前記シール材は、前記第1及び第2基板間のギャップを規定するギャップ材を含んでおり、前記シールド層が形成されていない前記シール領域には、前記シールド層と同一層からなるダミー層が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持され、シリアル−パラレル展開された複数相の画像信号に規定された画像を画像表示領域に表示する電気光学装置であって、
前記第1基板には、前記画像表示領域を形成する複数の画素電極と、
前記画素電極ごとに対となるスイッチング素子と、
前記画像信号をサンプリングし、前記各スイッチング素子に供給する複数のサンプリングスイッチを備えたサンプリング回路と、
複数相に相展開された前記画像信号を伝達する複数の画像信号線、および前記サンプリング回路のサンプリングタイミングを定めるサンプリング回路駆動信号を前記サンプリング回路に伝達するサンプリング回路駆動信号線を含む複数の配線とが、少なくとも設けられ、
前記第1基板の前記画素電極と、前記第2基板に設けられた対向電極とが対向するように前記画像表示領域の外周に沿った接着しろであるシール領域にて、前記第1及び第2基板を固着するシール材と、
前記シール領域の少なくとも一部において、前記配線と、前記対向電極との間に設けられた導電性のシールド層と、を備え、
前記シールド層には、前記電気光学装置を駆動するための周辺回路に供給されている定電位源からの定電位が印加されていることを特徴とする電気光学装置。
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