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JP3953135B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP3953135B2
JP3953135B2 JP07015897A JP7015897A JP3953135B2 JP 3953135 B2 JP3953135 B2 JP 3953135B2 JP 07015897 A JP07015897 A JP 07015897A JP 7015897 A JP7015897 A JP 7015897A JP 3953135 B2 JP3953135 B2 JP 3953135B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂フィルムを空気透過防止層として有する空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、空気透過防止層に、空気透過係数が25×10-12 [cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg]以下の熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂とエラストマーとのブレンドよりなる熱可塑性エラストマー組成物のフィルムを用い、かつビード部においてカーカス層とフィニッシング層の間にフィルムが挟まる構造を有する、耐空気漏れ性や転がり抵抗を損うことなく、加硫後のフィニッシング層とカーカス層の間のフィルム層での剥離を防止した、生産性が良好で軽量の空気入りタイヤに関する。
【0002】
空気入りタイヤは、図1に示されるように、一般に、左右一対のビードコア10,10間にカーカス層11が装架され、トレッド部12においては2層のベルト層13,13がタイヤ1周に亘って配置されている。タイヤ内壁面には、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂フィルムが内貼りされてカーカス層11の内面を実質的に覆う空気透過防止層14が形成されている。
【0003】
【従来の技術】
従来、空気入りタイヤの内面には空気漏れを防止してタイヤ空気圧を一定に保つために、ハロゲン化ブチルゴムなどの低気体透過性ゴムからなるインナーライナー層(空気透過防止層)が設けられている。しかしながら、ハロゲン化ブチルゴムをタイヤの空気透過防止材料として用いた場合、これを直接カーカスに貼り付けるとブチルゴムがカーカスコードの間隙にくい込んで転がり抵抗が悪化するという問題があった。このため、タイゴムを間に挿入しているが、層全体の厚さが1mm以上となるために質量が増大していた。このためハロゲン化ブチルゴムに比較して、空気透過性の低いフィルムを用いて厚さを薄くし、軽量化することが考えられている(特願平8−119198号出願など参照)。
【0004】
しかしながら、例えば図2に示すように、ビードコア部10においてカーカス層11とフィニッシング層15の間に空気透過防止層(フィルム)14が挟まる構造を取った場合には、加硫時の熱により、フィルム層14からガスが発生し、フィルムはゴムと比較して融点が低く、高温での強度が得られないため、図3(a)及び図3(b)に示すように、加硫直後にフィニッシング層15とカーカス層11の間のフィルム層14で剥離したり、フィルム層14が破壊してしまうという製造上の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、耐空気漏れ性や転がり抵抗を損うことなく、加硫後のフィニッシング層とカーカス層の間のフィルム層での剥離を防止した、生産性が良好で軽量の空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、空気透過防止層に、空気透過係数が25×10-12 [cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg]以下の熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂とエラストマーとのブレンドよりなる熱可塑性エラストマー組成物のフィルムを用い、かつビード部においてカーカス層とフィニッシング層の間にフィルムが挟まる構造を有する空気入りタイヤにおいて、少なくともカーカス層とフィニッシング層に挟まれるフィルムの一部が切り欠かれ、フィニッシング層とカーカス層が直接接着する部分を有する空気入りタイヤが提供される。
【0007】
本発明に従えば、空気透過防止層に、空気透過係数が25×10-12 [cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg]以下の熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂とエラストマーとのブレンドよりなる熱可塑性エラストマー組成物のフィルムを用い、かつビード部においてカーカス層とフィニッシング層の間にフィルムが挟まる構造を有する空気入りタイヤにおいて、フィニッシング層とフィルムのラップ量が10mm以下である空気入りタイヤが提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の態様において、前記ビード部において、カーカス層とフィニッシング層に挟まれるフィルム部分に「切り欠き」等を設けることによってカーカス層とフィニッシング層が直接接着する部分を設け、この部分でカーカス層とフィニッシング層を強固に接着させることによりフィルム層の剥離を効果的に防止することができる。
【0009】
本発明の第二の態様では、カーカス層とフィニッシング層の間にフィルムが挟まる構造を有する空気入りタイヤにおいて、前記ビード部において、フィニッシング層とフィルム層とのラップ量を10mm以下とすることによって、フィルム層の剥離を効果的に防止することができる。
【0010】
本発明の第一の態様におけるフィニッシング層とカーカス層間のフィルムの切り欠き16は、少なくとも針刺し(プリッキング)による切り欠き16が施されていれば、フィニッシング層は剥がれないが、フィニッシング層とフィルムが重なる面積に対し、単位面積当りの平均の切り欠き率が少なくとも5%以上であれば、剥離が抑えられるので好ましく、30%以上であると更に好ましい。この切り欠き率が、図4に示すように、逆に80%を越えると、成形は可能であるものの、フィルムに「こし」がなくなることにより成形機のガイド機構が正常に働かなくなり、センタリングができにくくなくなるので、フィルムの単位面積当りの平均の切り欠き率は80%以下であることが望ましい。
【0011】
フィニッシング層とカーカス層の接着性を考慮すると、切り欠き部16は均一に施してもよく、また、図5(a)、(b)に示すように偏在させてもよい。この切り欠き16はフィニッシング層とカーカス層に挟まれた領域に存在する方が望ましいが、図6(a)、(b)及び(c)に示すように、切り欠き16がフィニッシング層と重なる領域17より上部にあってもよい(はみ出ても良い)。また切り欠き16がはみ出す場合には、はみ出した切り欠き部の面積がタイヤ内表面積に対し15%以内であれば、耐空気漏れ性に問題はないが、15%を越えると耐空気漏れ性が低下するおそれがあるので好ましくない。図7(a)〜(b)に示すように、フィルムの切り欠きの形状は、針刺し(プリッキング)18、任意形状の穴19、その他の切り欠き20などの種々の形状のものが挙げられ、特に限定はない。
【0012】
更に図8(a)及び(b)に示すように、フィニッシング層15とフィルム14のラップ量が少ない構造としても良い。この時、フィニッシング層15とフィルム14のラップ量が10mm以下であれば、発生ガスがフィニッシング層上端より逃げやすくなる上、発生ガスの絶対量も少なくなるので有効であり、フィニッシング層15とフィルム14のラップ量が5mm以下であれば更に望ましい。なお、フィニッシング層15とフィルム14のラップ量が10mm以下で、フィルム14に切り欠きが施されていてもよい。ラップ量を少なくする構造としては、図8(a)のAで示すようにフィルム14の幅をせまくしてもよいし、図8(b)のBで示すようにフィニッシング層15の立上り高さを低くしてもよい。
【0013】
また、本発明で用いる空気透過防止層フィルム14を構成する熱可塑性樹脂は、空気透過係数が25×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下、好ましくは5×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下のものである。空気透過係数が25×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHgを越えると、タイヤ空気圧を保持するため空気透過防止層の厚さを厚くしなければならず、タイヤの軽量化の目的に反することになる。また、フィルムのヤング率には特に限定はないが、タイヤ成形時のシワなどの発生や耐久性を考慮すると1〜500MPa であるのが好ましい。
【0014】
この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体)、及びそれらのN−アルコキシアルキル化物、例えば6−ナイロンのメトキシメチル化物、6−610−ナイロンのメトキシメチル化物、612−ナイロンのメトキシメチル化物、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PE10)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミド酸/ポリブチレートテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル)、ポリニトリル系樹脂(例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体)、ポリメタクリレート系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル)、ポリビニル系樹脂(例えば、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体)、セルロース系樹脂(例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース)、フッ素系樹脂(例えば、ポリフッ素化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体)、イミド系樹脂(例えば、芳香族ポリイミド(PI)などを挙げることができ、2種以上であってもよい。
【0015】
また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂フィルムとしては、上記の熱可塑性樹脂にエラストマーをブレンドしたフィルムでも良い。前記熱可塑性樹脂とブレンドすることができるエラストマー成分としては、熱可塑性樹脂成分とブレンドした状態で組成物をなし、結果として上記空気透過係数及びヤング率を有するものであれば、その種類及び量は特に限定されない。
【0016】
この熱可塑性樹脂とブレンドするエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物(例えば、NR,IR、エポキシ化天然ゴム、SBR,BR(高シスBR及び低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR)、オレフィン系ゴム(例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM,EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、IIR、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体)、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、含ハロゲンゴム(例えば、Br−IIR,CI−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、CR、ヒドリンゴム(CHR・CHC)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM))、シリコンゴム(例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム)、含イオウゴム(例えば、ポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー)などを挙げることができ、2種以上であってもよい。
【0017】
前記した特定の熱可塑性樹脂とエラストマー成分との相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を添加するのが好ましい。系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマー成分との界面張力が低下し、その結果、分散層を形成しているゴムの粒子が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマー成分の両方又は片方の構造を有する共重合体、或いは熱可塑性樹脂又はエラストマー成分と反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合の構造をとるものとすることができる。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラストマー成分の種類によって選定すれば良いが、通常使用されるものにはスチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM:EPDM/スチレン又EPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はないが、好ましくはポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマー成分の総和)100重量部に対して、0.5〜10重量部が良い。
【0018】
熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドする場合の特定の熱可塑性樹脂(A)とエラストマー成分(B)との組成比は、特に限定はなく、フィルムの厚さ、耐空気透過性、柔軟性のバランスで適宜決めればよいが、好ましい範囲は重量比(A)/(B)で10/90〜90/10、更に好ましくは15/85〜90/10である。
【0019】
本発明に係わるポリマー組成物(樹脂フィルム30)は、上記必須ポリマー成分に加えて、本発明のタイヤ用ポリマー組成物の必要特性を損なわない範囲で前記した相溶化剤ポリマーなどの他のポリマーを混合することができる。他ポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマー成分との相溶性を改良するため、材料のフィルム成形加工性を良くするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等であり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS,SBS、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン共重合体、そのマレイン酸変性体、又はそのグリシジル基導入体なども挙げることができる。本発明に係わるポリマー組成物には、更に一般的にポリマー配合物に配合される充填剤、カーボンブラック、石英粉体、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタンなどを上記空気透過係数(及びヤング率)の要件を損なわない限り任意に配合することもできる。
【0020】
また、前記エラストマー成分は熱可塑性樹脂との混合の際、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマー成分の組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオン系加硫剤としては粉末イオウ、沈降イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr [ゴム成分(ポリマー)100重量部あたりの重量部]程度用いることができる。
【0021】
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ビクロロベンゾイルパーオキサイド、2,Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等、チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等を挙げることができる。
【0022】
また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr 程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれらのZn塩(2〜4phr 程度)等が使用できる。
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、予め熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分(ゴムの場合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相(マトリックス相)を形成する熱可塑性樹脂中にエラストマー成分を分散相(ドメイン)として分散させることによる。エラストマー成分を加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマー成分を動的に加硫させてもよい。また、熱可塑性樹脂またはエラストマー成分への各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。なかでも熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練およびエラストマー成分の動的加硫には、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。また、混練時の剪断速度は1000〜7500 sec-1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で作製されたポリマー組成物は、次に押出し成形またはカレンダー成形によってシート状のフィルムに形成される。フィルム化の方法は、通常の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーをフィルム化する方法によればよい。
【0023】
このようにして得られるフィルムは、熱可塑性樹脂(A)のマトリックス中にエラストマー成分(B)が分散相(ドメイン)として分散した構造をとる。かかる状態の分散構造をとることにより、熱可塑の加工が可能となり、かつベルト補強層としてのフィルムに十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により十分な剛性を併せ付与することができると共に、エラストマー成分の多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができるため、通常の樹脂用成形機、即ち押出し成形、またはカレンダー成形によって、フィルム化することが可能となる。
【0024】
フィルムと相対するゴム層との接着は、通常のゴム系、フェノール樹脂系、アクリル共重合体系、イソシアネート系等のポリマーと架橋剤を溶剤に溶かした接着剤をフィルムに塗布し、加硫成形時の熱と圧力により接着させる方法、または、スチレンブタジエンスチレン共重合体(SBS)、エチレンエチルアクリレート(EEA)、スチレンエチレンブチレンブロック共重合体(SEBS)等の接着用樹脂を熱可塑性フィルムと共に共押出、或いはラミネートして多層フィルムを作製しておき、加硫時にゴム層と接着させる方法がある。溶剤系接着剤としては、例えば、フェノール樹脂系(ケムロック220・ロード社)、塩化ゴム系(ケムロック205、ケムロック234B)、イソシアネート系(ケムロック402)等を例示することができる。
【0025】
なお、本発明では、上記実施形態において、2層のベルト層13を配置した例を示したが、それに限定されず、ベルト層を3層以上設けた複数のベルト層を配置するものであっても好適に用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下、標準例、実施例及び比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0027】
標準例、実施例1〜6及び比較例1〜3
下記の材料からなるフィルムを空気透過防止層としてタイヤサイズ:165SR13(リムサイズ:13×41/2−J)の本発明の第一の態様に従った実施例を含む空気入りタイヤを製造した。
得られた各タイヤについて、下記の方法により空気漏れ試験(圧力低下率)、フィニッシング層の剥がれ及び成形時の生産性を評価した。結果を表Iに示す。なお、材料の部は全て重量部を示す。
【0028】
予め、SBR100部、カーボンブラックHAF60部、ステアリン酸1部、石油系炭化水素樹脂(エスコレッツ1102、エッソ)10部、パラフィンオイル(マシン油22・昭和シェル)10部をゴム用バンバリーで混練し、マスターバッチを作製しておいた。
次に、2軸混練機にて、ナイロン6(アミランCM1041、東レ)50部と、上記マスターバッチ90.5部を混練して、樹脂成分中にゴム成分を分散せしめた後、ZnO1.5部、DM(ノクセラーDM、大内新興化学)0.5部及び、イオウ0.3部を加え動的加硫してペレット化した。
これをTダイにて、押出成形し、厚さ0.1mmのフィルムを作製した。フィルムの空気透過係数は、4.33×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHgでヤング率は91MPa であった。
【0029】
フィルムの空気透過係数測定法:
JIS K7126「プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法(A法)」に準じた。
試験片:各例で作成したフィルムサンプルを用いた。
試験気体:空気(N2 :O2 =8:2)
試験温度:30℃
【0030】
空気漏れ試験法(圧力低下率):
初期圧力200kPa 、室温21℃、無負荷条件にて3ヵ月間放置する。内圧の測定間隔は4日毎とし、測定圧力Pt、初期圧力Po、経過日数tとして、次の式
【0031】
【数1】
Figure 0003953135
に回帰してα値を求める。得られたαを用い、t=30(日)を代入し、
β=[1−exp(−αt)]×100
を得る。βを1ヵ月当たりの圧力低下率(%/月)とする。
【0032】
成形時の生産性(2レベルで表示)
×:成形可能であるが量産の実用性はない、○:成形に問題はない
【0033】
フィニッシングの剥がれ(3レベルで表示)
×:完全に剥がれる、△:使用に耐えうるレベル、○:接着している
【0034】
評価結果を表Iに示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003953135
【0036】
【表2】
Figure 0003953135
【0037】
標準例は従来のブチルライナー(空気透過係数55×10-12 [cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg])の一般的な例を示し、ライナーゲージは空気透過防止層及びタイゴムの両方で1.2mmである。
比較例1は、フィルムに切り欠きを施さないもので実用的な使用には耐えない結果を示した。
【0038】
これに対し、実施例1は、針刺し(プリッキング)を施したもので、これでもフィニッシング層は剥がれず、実用に耐え得るものであった。更に、実施例2〜4はフィルム面積に対する切り欠き面積の比率を5%、30%及び80%としたもので、この比率が5〜80%の時に良好な結果が得られることを示している。比較例2は、切り欠き面積の比率を90%としたものであるが、ここまで大きくすると成形しにくくなり、量産に耐え得ないものであった。
【0039】
実施例5〜6は、切り欠きのはみ出し率が15%以下の範囲であれば切り欠きがはみ出しても問題のないことを示している。これに対し、比較例3に示されるように、切り欠きのはみ出し率が15%を越えると、空気透過率が悪化するので好ましくないことを示している。
【0040】
実施例7〜8及び比較例4
前記材料を用いたフィルムを空気透過防止層としたタイヤサイズ:165SR13(リムサイズ:13×41/2−J)の本発明の第二の態様に従った実施例を含む空気入りタイヤを製造し、上と同様にして評価した。結果を表IIに示す。実施例7及び8の結果から明らかなように、フィニッシング層とフィルムのラップ量が10mm以下であるとフィニッシング層の剥離が抑えられ、ラップ量5mm以下であると更に望ましい。しかし、このラップ量を15mmとすると、比較例4に示されるように、フィニッシングが剥がれてしまう。
【0041】
【表3】
Figure 0003953135
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に従えば、耐空気漏れ性能や転がり抵抗を損なうことなく、かつフィニッシング層とカーカス層の間のフィルム層での剥離を生ずることなく、生産性の良い軽量なタイヤを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気入りタイヤの一般的構造を示す図面である。
【図2】従来のビード部の構造を示す図面である。
【図3】従来の図2に示すようなビード部が加硫時にフィルムからガスが発生し、それによって層剥離が起こる状態を示す図面である((a)図及び(b)図)。
【図4】本発明に係る空気透過防止層フィルムの切り欠き部の構造とフィニッシング層との重なり領域を示す図面である。
【図5】本発明に係る空気透過防止層フィルムの切り欠き部の構造とフィニッシング層との重なり領域を示す他の図面である。
【図6】本発明に係る空気透過防止層フィルムの切り欠き部の構造とフィニッシング層との重なり領域を示す他の図面で、この態様では切り欠きがフィニッシング層が重なる領域よりはみ出している。
【図7】本発明に係る空気透過防止層フィルムの切り欠き部の種々の形状を示す図面である。
【図8】本発明に係る空気透過防止層の第二の態様を示す図面で、フィニッシング層とフィルムのラップ量が少ない構造を有する。
【符号の説明】
10…ビードコア部
11…カーカス層
12…トレッド部
13…ベルト層
14…空気透過防止層(フィルム層)
15…フィニッシング層
16…切り欠き部
17…切り欠き部とフィニッシッグ層との重なり領域

Claims (3)

  1. 空気透過防止層に、空気透過係数が25×10-12 [cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg]以下の熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂とエラストマーとのブレンドよりなる熱可塑性エラストマー組成物のフィルムを用い、かつビード部においてカーカス層とフィニッシング層の間にフィルムが挟まる構造を有する空気入りタイヤにおいて、少なくともカーカス層とフィニッシング層に挟まれるフィルムの一部が切り欠かれ、フィニッシング層とカーカス層が直接接着する部分を有する空気入りタイヤ。
  2. フィニッシング層とカーカス層に挟まれたフィルム面積の5%〜80%の面積でフィニッシング層とカーカス層に挟まれたフィルムが切り欠かれている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 空気透過防止層に、空気透過係数が25×10-12 [cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg]以下の熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂とエラストマーとのブレンドよりなる熱可塑性エラストマー組成物のフィルムを用い、かつビード部においてカーカス層とフィニッシング層の間にフィルムが挟まる構造を有する空気入りタイヤにおいて、フィニッシング層とフィルムのラップ量が10mm以下である空気入りタイヤ。
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