JP3948294B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関の各気筒毎に搭載された燃料噴射弁を介して高圧燃料を内燃機関の各気筒に噴射供給する燃料噴射装置に関するもので、特にコモンレール内に蓄圧された高圧燃料を、内燃機関の各気筒に搭載された電磁式燃料噴射弁を介して内燃機関の各気筒に噴射供給するコモンレール式燃料噴射システムに係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、サプライポンプによってコモンレール内に高圧燃料を加圧圧送して蓄圧すると共に、コモンレール内に蓄圧された高圧燃料を、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関(以下エンジンと言う)の各気筒毎に搭載された電磁式燃料噴射弁(インジェクタ)に分配供給し、各気筒のインジェクタからエンジンの各気筒へ高圧燃料を所定の噴射タイミングで噴射供給するコモンレール式燃料噴射システムが知られている。このようなコモンレール式燃料噴射システムにおいて、燃料を噴射する場合には、エンジンの運転条件に応じて設定された燃料噴射量と噴射期間特性との関係を予め実験等により求めて作成した特性マップから計算して、インジェクタに噴射指令パルスを出力することにより、インジェクタの噴射量制御が実行されている。
【0003】
ここで、燃料噴射量と噴射期間特性を算出する特性マップは、エンジンのTDC付近で燃料を噴射させて、燃料噴射量に対する噴射期間特性を予め実験等により測定して適合させたマップである。なお、噴射期間特性は、燃料を噴射する気筒内圧およびコモンレール圧により影響を受けるが、従来のシングル噴射で使用される範囲が燃料噴射量に対する噴射期間特性を適合したエンジンのTDC付近であったため、気筒内圧の影響を無視することができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年のディーゼルエンジン搭載車の排気ガス規制値の達成のためにマルチ噴射というエンジンの1燃焼行程中に燃料を複数回に分けて噴射する噴射率制御が開発されている。このようなマルチ噴射を行なう場合、エンジンのTDC前後の広い範囲で複数回に分けて燃料を噴射するため、燃料噴射量と噴射期間特性を適合した時のエンジンのTDC付近の気筒内圧と実際燃料噴射を開始する時の気筒内圧とが異なる。なお、エンジンの気筒内圧は、一般的にエンジンのTDC付近を頂点としてエンジンのTDC前後では低い値となる。これにより、気筒内圧の変化を受けて燃料噴射量と噴射期間特性が変化し、エンジンの運転条件に応じて設定されたマルチ噴射の各々の燃料噴射量に対して実際の燃料噴射量がばらつき、正しい値の燃料を噴射できないという問題が生じている。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、マルチ噴射の各々の燃料噴射量と噴射期間特性を適合した時のエンジンの上死点付近の気筒内圧とマルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧とが異なり、マルチ噴射の各々の燃料噴射量と噴射期間特性が変化するという点に着目し、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧を計算して気筒内圧の変化量による燃料噴射量と噴射期間特性の変化分を補正して、エンジンの運転条件に応じて設定されたマルチ噴射の各々の燃料噴射量を正しく噴射できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、エンジンの上死点付近で燃料噴射させて、マルチ噴射の各々の燃料噴射量と噴射期間特性を測定して適合させたマップまたは計算式より、マルチ噴射の各々の燃料噴射の基本噴射期間を計算する。そして、エンジンの運転条件に応じて設定された噴射時期と上記の基本噴射期間より、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の噴射開始角度を計算する。そして、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の噴射開始角度と気筒内圧特性を測定して適合させたマップまたは計算式より、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧を計算する。
【0007】
そして、マルチ噴射の各々の燃料噴射量と噴射期間特性を適合させた時のエンジンの上死点付近の気筒内圧に対する、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧の変化量に応じて、マルチ噴射の各々の燃料噴射量およびマルチ噴射の各々の燃料噴射の基本噴射期間を補正することにより、エンジンの上死点前後の広い範囲で燃料噴射するマルチ噴射の各々の燃料噴射時に、エンジンの運転条件に応じて設定されたマルチ噴射の各々の燃料噴射量を正しく噴射できるようになる。なお、噴射期間決定手段において、燃料圧検出手段によって検出される燃料圧を加味してマルチ噴射の各々の燃料噴射の基本噴射期間を計算するようにしても良い。
【0008】
さらに、請求項1に記載の発明によれば、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧の計算値に、吸気圧検出手段によって検出される吸気圧を加味して、マルチ噴射の各々の燃料噴射量と噴射期間特性を適合させた時のエンジンの上死点付近の気筒内圧からの、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧の変化分を考慮した噴射量補正量を求めることにより、エンジンの上死点前後の広い範囲で燃料噴射するマルチ噴射を行なう場合に、エンジンの運転条件に応じて設定された指令噴射量とマルチ噴射の各々の燃料噴射量を加算したトータルの噴射量とのばらつきを抑えることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、マルチ噴射の各々の燃料噴射直前の燃料圧より燃料圧補正係数を計算する。そして、請求項1に記載の噴射量補正量に、計算して出した燃料圧補正係数を乗算した値を、マルチ噴射の各々の燃料噴射の気筒内圧補正噴射量とすることを特徴としている。これにより、請求項1に記載の発明の効果をより向上することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の噴射量制御手段によって設定されたマルチ噴射の各々の燃料噴射量に、請求項2に記載の気筒内圧補正噴射量を加味して、マルチ噴射の各々の燃料噴射の最終的な補正噴射量を計算することにより、請求項1に記載の発明の効果をより向上することができる。また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の噴射期間決定手段によって設定されたマルチ噴射の各々の燃料噴射の基本噴射期間に、マルチ噴射の各々の燃料噴射直前の燃料圧および請求項2に記載の気筒内圧補正噴射量を加味して、マルチ噴射の各々の燃料噴射の最終的な噴射期間を計算することにより、請求項1に記載の発明の効果をより向上することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
[実施例の構成]
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。ここで、図1はコモンレール式燃料噴射システムの全体構造を示した図で、図2は2方弁式電磁弁付きインジェクタを示した図である。
【0012】
本実施例のコモンレール式燃料噴射システムは、4気筒ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下エンジンと言う)1により回転駆動されるサプライポンプ3と、燃料噴射圧に相当する高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器としてのコモンレール4と、このコモンレール4に蓄圧された高圧燃料をエンジン1の各気筒の燃焼室内に噴射供給する複数個(本例では4個)の2方弁式電磁弁付きインジェクタ(以下インジェクタと略す)5と、サプライポンプ3および複数個のインジェクタ5を電子制御する電子制御ユニット(以下ECUと呼ぶ)10とを備えている。
【0013】
サプライポンプ3は、エンジン1のクランク軸(クランクシャフト)31の回転に伴ってポンプ駆動軸32が回転することで燃料タンク6内の燃料を汲み上げる周知のフィードポンプ(低圧供給ポンプ)と、フィードポンプにより吸い出された燃料が流入するポンプ室と、ポンプ駆動軸32により駆動されるプランジャ(図示せず)と、このプランジャの往復運動によりポンプ室から流入した燃料を加圧する加圧室(プランジャ室)とを有している。そして、サプライポンプ3は、燃料を加圧して吐出口からコモンレール4へ高圧燃料を吐出する高圧供給ポンプ(燃料供給ポンプ)である。このサプライポンプ3のポンプ室から加圧室への燃料流路には、その燃料流路を開閉する電磁式アクチュエータとしての吸入調量弁7が取り付けられている。
【0014】
吸入調量弁7は、図示しないポンプ駆動回路を介してECU10からのポンプ駆動信号によって電子制御されることにより、サプライポンプ3の加圧室内に吸入される燃料の吸入量を調整する吸入量調整用電磁弁で、各インジェクタ5からエンジン1へ噴射供給する燃料噴射圧、つまりコモンレール圧を変更する。その吸入調量弁7は、通電が停止されると弁状態が全開状態となるノーマリオープンタイプのポンプ流量制御弁である。
【0015】
コモンレール4には、連続的に燃料噴射圧に相当する高い圧力(コモンレール圧)が蓄圧される必要があり、そのために燃料配管33を介して高圧燃料を吐出するサプライポンプ3の吐出口と接続されている。なお、内部に高圧燃料流路を形成する燃料配管33またはコモンレール4と内部に燃料還流路を形成するリリーフ配管35との間には、コモンレール圧が限界設定圧を越えると開弁するプレッシャリミッタ34が配設されてコモンレール圧が限界設定圧よりも高くなることを防止している。また、サプライポンプ3からのリーク燃料は、内部に燃料還流路(リーク燃料流路)を形成するリーク配管36を経て燃料タンク6にリターンされる。
【0016】
エンジン1の各気筒毎に搭載されたインジェクタ5は、コモンレール4より分岐する複数の分岐管(高圧燃料流路)39の下流端に接続され、エンジン1の各気筒の燃焼室内に高圧燃料を噴射供給する燃料噴射ノズル11と、この燃料噴射ノズル11を駆動する電磁式アクチュエータとしての2方弁式電磁弁(以下電磁弁と略す)12とから構成される。燃料噴射ノズル11は、複数個の噴射孔16を開閉するノズルニードル13、このノズルニードル13を閉弁方向に付勢するリターンスプリング(図示せず)、ノズルニードル13に連動して動作するコマンドピストン14、およびこれらを収容するノズル本体15等から構成されている。
【0017】
ここで、17は常に高圧燃料が供給される燃料溜まり、18は燃料溜まり17および背圧制御室19に高圧燃料を供給するための燃料通路(高圧通路)、20、21は通過する燃料の流量を調節するためのオリフィス(固定絞り)である。電磁弁12は、車載電源22とインジェクタ駆動回路(EDU)に内蔵された常開型スイッチ23を介して電気的に接続されたソレノイドコイル24、このソレノイドコイル24の起磁力により図示上方へ吸引されるアーマチャ付きの弁体25、およびこの弁体25を閉弁方向に付勢するリターンスプリング26等から構成されている。なお、インジェクタ5から燃料タンク6へリークするリーク燃料は、インジェクタ5内の各摺動部および背圧制御室19からソレノイドコイル24の周囲を巡る流路27を通って燃料出口28から外部に排出され、内部に燃料還流路(リーク燃料流路)を形成するリーク配管37を経て燃料タンク6に還流するように構成されている(図1および図2参照)。
【0018】
そして、各気筒のインジェクタ5からエンジン1への燃料の噴射は、電磁弁12を駆動するインジェクタ駆動回路(EDU)への電磁弁制御信号により電子制御される。そして、インジェクタ駆動回路(EDU)から各気筒毎のインジェクタ5の電磁弁12のソレノイドコイル24にインジェクタ駆動電流が印加されて電磁弁12が開弁している間、ノズルニードル13が弁座よりリフト(離間)することによって、噴射孔16と燃料溜まり17とが連通する。これにより、コモンレール4に蓄圧された高圧燃料がエンジン1の各気筒の燃焼室内に噴射供給される。
【0019】
ECU10には、制御処理、演算処理を行なうCPU、各種プログラムおよびデータを保存する記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路、インジェクタ駆動回路およびポンプ駆動回路等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。そして、各種センサからのセンサ信号は、A/D変換器でA/D変換された後にマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
【0020】
ここで、本実施例の気筒判別手段は、エンジン1のカム軸に対応して回転するシグナルロータ(例えばクランク軸31が2回転する間に1回転する回転体)と、このシグナルロータの外周に設けられた各気筒に対応した気筒歯(突起部)と、これらの気筒歯の接近と離間によって気筒判別信号パルスを発生する気筒判別センサ(電磁ピックアップ)41とから構成されている。この気筒判別センサ41は、エンジン1のクランク軸31の回転に伴って、#1気筒のピストンが噴射直前の位置に達した時に幅広の基準気筒判別信号パルス(G)を出力し、その後に、#3気筒のピストンが噴射直前の位置に達した時に幅狭の気筒判別信号パルス(G)を出力し、その後に、#4気筒のピストンが噴射直前の位置に達した時に幅狭の気筒判別信号パルス(G)を出力し、その後に、#2気筒のピストンが噴射直前の位置に達した時に幅狭の気筒判別信号パルス(G)を出力する。
【0021】
また、本実施例の回転速度検出手段は、エンジン1のクランク軸31に対応して回転するシグナルロータ(例えばクランク軸31が1回転する間に1回転する回転体)と、このシグナルロータの外周に多数形成されたクランク角検出用の歯(突起部)と、これらの歯の接近と離間によってNE信号パルスを発生するクランク角センサ(電磁ピックアップ)42とから構成されている。このクランク角センサ42は、シグナルロータが1回転(クランク軸31が1回転)する間に複数のNE信号パルスを出力する。そして、ECU10は、NE信号パルスの間隔時間を計測することによってエンジン回転速度(以下エンジン回転数と言う:NE)を検出する。
【0022】
そして、ECU10は、エンジン1の運転条件に応じた最適なコモンレール圧を演算し、ポンプ駆動回路を介してサプライポンプ3の吸入調量弁7を駆動する吐出量制御手段(SCV制御手段)を有している。すなわち、ECU10は、クランク角センサ42等の回転速度検出手段によって検出されたエンジン回転数(NE)およびアクセル開度センサ43によって検出されたアクセル開度(ACCP)等のエンジン運転情報から目標コモンレール圧(Pt)を算出し、この目標コモンレール圧(Pt)を達成するために、吸入調量弁7へのポンプ駆動信号(駆動電流値、SCV通電値)を調整して、サプライポンプ3より吐出される燃料の圧送量(ポンプ吐出量)を制御するように構成されている。
【0023】
さらに、より好ましくは、燃料噴射量の制御精度を向上させる目的で、コモンレール圧センサ45によって検出されるコモンレール圧(PC)がエンジン運転情報によって決定される目標コモンレール圧(Pt)と略一致するように、サプライポンプ3の吸入調量弁7へのポンプ駆動信号をフィードバック制御することが望ましい。なお、吸入調量弁7への駆動電流値(SCV通電値)の制御は、デューティ(duty)制御により行なうことが望ましい。すなわち、目標コモンレール圧(Pt)に応じて単位時間当たりのポンプ駆動信号のオン/オフの割合(通電時間割合・デューティ比)を調整して、吸入調量弁7の弁開度を変化させるデューティ制御を用いることで、高精度なデジタル制御が可能になる。
【0024】
また、ECU10は、各気筒のインジェクタ5の噴射量制御を行なう噴射量制御手段を有している。これは、エンジン1の運転条件に応じた最適な指令噴射量を決定する噴射量決定手段と、エンジン1の運転条件および指令噴射量に応じた噴射時期(=メイン噴射の噴射開始時期、噴射タイミング)を決定する噴射時期決定手段と、コモンレール圧(PC)および指令噴射量に応じた噴射期間(=インジェクタ5の電磁弁12のソレノイドコイル24への通電を開始してから終了するまでのインジェクタ通電期間、噴射指令パルス時間、噴射指令パルス幅)を演算する噴射期間決定手段と、インジェクタ駆動回路を介して各気筒のインジェクタ5の電磁弁12のソレノイドコイル24にパルス状のインジェクタ駆動電流(以下噴射指令パルスと言う)を印加するインジェクタ駆動手段とから構成されている。
【0025】
すなわち、ECU10は、クランク角センサ42等の回転速度検出手段によって検出されたエンジン回転数(NE)およびアクセル開度センサ43によって検出されたアクセル開度(ACCP)等のエンジン運転情報にエンジン冷却水温および燃料温度を加味して指令噴射量を算出し、コモンレール圧(PC)および指令噴射量から算出された噴射期間に応じて各気筒のインジェクタ5の電磁弁12のソレノイドコイル24に噴射指令パルスを印加するように構成されている。これにより、エンジン1が運転される。
【0026】
ここで、本実施例では、エンジン1の運転条件を検出する運転条件検出手段として、クランク角センサ42等の回転速度検出手段、アクセル開度センサ43を用いて指令噴射量、噴射時期、噴射期間、目標コモンレール圧を演算するようにしているが、コモンレール圧センサ45によって検出されるコモンレール圧(PC)、あるいは運転条件検出手段としてのその他のセンサ類(例えば吸気圧センサ44、吸入空気量センサ、吸気温センサ、冷却水温センサ、燃料温度センサ、噴射時期センサ等)からの検出信号(エンジン運転情報)を加味して指令噴射量、噴射時期、噴射期間および目標コモンレール圧を補正するようにしても良い。なお、吸気圧センサ44は、エンジン1の気筒内に吸入される吸入空気の圧力(吸気圧:PIM)を検出する吸気圧検出手段で、エンジン1のインテークマニホールドに取り付けられている。
【0027】
ここで、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムにおいては、エンジン1の特定気筒のインジェクタ5においてエンジン1の1周期(1行程:吸気行程−圧縮行程−燃焼行程−排気行程)中、つまりエンジン1のクランク軸31が2回転(720°CA)する間、特にエンジン1の各気筒の1燃焼行程中に2回以上のマルチ噴射(例えばパイロット噴射・プレ噴射・メイン噴射よりなる多段噴射)を行なうことが可能である。
【0028】
したがって、ECU10は、エンジン1の運転条件(運転情報)と指令噴射量とから、マルチ噴射の各々の燃料噴射量(Q)、つまりパイロット噴射量(Qpilot)、プレ噴射量(Qpre)およびメイン噴射量(Qmain)を演算する噴射量決定手段と、パイロット噴射とプレ噴射との間のインターバル、およびプレ噴射とメイン噴射との間のインターバルを演算するインターバル決定手段と、パイロット噴射量(Qpilot)およびコモンレール圧(PC)よりパイロット基本噴射期間(TQpilot)を演算するパイロット噴射期間決定手段と、プレ噴射量(Qpre)およびコモンレール圧(PC)よりプレ基本噴射期間(TQpre)を演算するプレ噴射期間決定手段と、メイン噴射量(Qmain)およびコモンレール圧(PC)よりメイン基本噴射期間(TQmain)を演算するメイン噴射期間決定手段とを有している。
【0029】
[実施例の制御方法]
次に、本実施例のインジェクタ5のマルチ噴射の各々の燃料噴射の噴射期間補正方法を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。ここで、図3はインジェクタのパイロット噴射、プレ噴射およびメイン噴射の噴射期間補正方法の概略を示したフローチャートである。
【0030】
この図3のルーチンは、図示しないイグニッションスイッチがONとなった後に、所定のタイミング毎に繰り返される。例えばk気筒のインジェクタ5の噴射量制御を、前回サイクルでのk気筒のインジェクタ5の噴射終了直後に開始しても良いし、また、今回サイクルでk気筒の直前噴射気筒(k気筒が#1気筒の場合は#2気筒、k気筒が#3気筒の場合は#1気筒、k気筒が#4気筒の場合は#3気筒、k気筒が#2気筒の場合は#4気筒)の噴射終了直後に開始しても良い。あるいは、k気筒のパイロット噴射期間の補正を今回サイクルでk気筒のパイロット噴射直前に行なうようにしても良いし、また、k気筒のプレ噴射期間の補正をプレ噴射直前に行なうようにしても良いし、また、k気筒のメイン噴射期間の補正をメイン噴射直前に行なうようにしても良い。
【0031】
先ず、気筒判別信号パルスおよびNE信号パルス等のエンジンパラメータを読み込む。特に指令噴射量および噴射タイミングの算出に必要なエンジン回転数(NE)とアクセル開度(ACCP)等を読み込む。次に、気筒判別信号パルスとNE信号パルスから、噴射量制御を実施する気筒を判別(k気筒?)する。続いて、従来制御と同様にして噴射量と噴射タイミング指令値等を算出する(ステップS1)。
【0032】
すなわち、エンジン回転数(NE)とアクセル開度(ACCP)から指令噴射量を算出する。次に、エンジン回転数(NE)と指令噴射量から噴射タイミング(メイン噴射時期:T)、噴射回数および噴射間隔(インターバル)を算出する。次に、マルチ噴射の各々の燃料噴射量(Q)を算出する。具体的には、パイロット噴射量(Qpilot)を、指令噴射量とエンジン回転数(NE)とパイロット噴射量(Qpilot)との関係を予め実験等により求めて作成した特性マップまたは計算式を用いて算出する(パイロット噴射量決定手段)。
【0033】
また、プレ噴射量(Qpre)を、指令噴射量とエンジン回転数(NE)とプレ噴射量(Qpre)との関係を予め実験等により求めて作成した特性マップまたは計算式を用いて算出する(プレ噴射量決定手段)。また、指令噴射量からパイロット噴射量(Qpilot)およびプレ噴射量(Qpre)を減算してメイン噴射量(Qmain)を算出する(メイン噴射量決定手段)。
【0034】
また、パイロット噴射とプレ噴射との噴射間隔(パイロットインターバル)を、指令噴射量とエンジン回転数(NE)とパイロットインターバル(TINTpilot)との関係を予め実験等により求めて作成した特性マップまたは計算式を用いて算出する(パイロットインターバル決定手段)。また、プレ噴射とメイン噴射との噴射間隔(プレインターバル)を、指令噴射量とエンジン回転数(NE)とプレインターバル(TINTpre)との関係を予め実験等により求めて作成した特性マップまたは計算式を用いて算出する(プレインターバル決定手段)。
【0035】
次に、マルチ噴射の各々の燃料噴射量(Q)と前回サイクル時に取り込んだコモンレール圧(PC)より、マルチ噴射の各々の燃料噴射の基本噴射期間(TQ)をマップ補間して算出する(噴射期間決定手段:ステップS2)。具体的には、コモンレール圧センサ45によって検出されたコモンレール圧(PC)と燃料噴射量(Q)と基本噴射期間(TQ)との関係を予め実験等により求めて作成した特性マップを用いて、パイロット基本噴射期間(TQpilot)、プレ基本噴射期間(TQpre)およびメイン基本噴射期間(TQmain)を算出する。ここで、マルチ噴射の各々の燃料噴射の基本噴射期間(TQ)を算出するための特性マップは、エンジン1のTDC(上死点)付近で燃料を噴射させて、マルチ噴射の各々の燃料噴射量(Q)とコモンレール圧(PC)と噴射期間特性を実験等により測定して適合されたマップである。
【0036】
次に、ステップS1で算出された噴射タイミング(メイン噴射時期:T)、ステップS2で算出された基本噴射期間(TQ)等より、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時のインジェクタ噴射開始角度(燃料噴射開始クランク角:QCA)を算出する(噴射開始角度算出手段:ステップS3)。具体的には、ステップS1で算出された噴射タイミング(メイン噴射時期:T)、パイロットインターバル(TINTpilot)、プレインターバル(TINTpre)、ステップS2で算出されたパイロット基本噴射期間(TQpilot)、プレ基本噴射期間(TQpre)等より、パイロット噴射開始角度(QCApilot)、プレ噴射開始角度(QCApre)およびメイン噴射開始角度(QCAmain)を算出する。
【0037】
次に、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の噴射開始角度(QCA)よりマルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の基本気筒内圧(QCPB)をマップ補間して算出する(気筒内圧予測手段:ステップS4)。すなわち、マルチ噴射の各々の噴射開始角度(QCA)と基本気筒内圧(QCPB)との関係を予め実験等により求めて作成した特性マップ(図4参照)を用いて、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の基本気筒内圧(QCPB)を算出する。具体的には、上記の特性マップを用いて、パイロット噴射開始時の基本気筒内圧(QCPBpilot)、プレ噴射開始時の基本気筒内圧(QCPBpre)およびメイン噴射開始時の基本気筒内圧(QCPBmain)を算出する。
【0038】
次に、マルチ噴射の各々の燃料噴射量(Q)と噴射期間特性に適合させた時のエンジン1のTDC付近の気筒内圧に対する、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧変化量を算出し(気筒内圧変化量算出手段)、更に、マルチ噴射の各々の噴射開始時の基本気筒内圧(QCPB)と吸気圧センサ44によって検出された吸気圧(PIM)より下記の数1の計算式を用いて、エンジン1の気筒内圧の変化による燃料噴射量に対する噴射期間特性の変化分に対応した噴射量補正量(QCP)を算出する(噴射量補正量算出手段:ステップS5)。具体的には、下記の数1の計算式を用いて、エンジン1の気筒内圧の変化による燃料噴射量に対する噴射期間特性の変化分に対応したパイロット噴射量補正量(QCPpilot)、プレ噴射量補正量(QCPpre)およびメイン噴射量補正量(QCPmain)を算出する。
【数1】
但し、K1、K2は定数で、QCPBはマルチ噴射の各々の噴射開始時の基本気筒内圧で、PIMは今回サイクルでのマルチ噴射の各々の燃料噴射直前の吸気圧で、QCPは、エンジン1のTDC付近の気筒内圧による燃料噴射量と噴射期間特性に対する、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧による燃料噴射量と噴射期間特性の変化分を考慮した噴射量補正量である。
【0039】
次に、マルチ噴射の各々の燃料噴射直前のコモンレール圧(PC)より、マルチ噴射の各々の燃料噴射のコモンレール圧補正係数(PCC)をマップ補間して算出する(補正係数算出手段:ステップS6)。すなわち、マルチ噴射の各々の燃料噴射直前のコモンレール圧(PC)とコモンレール圧補正係数(PCC)との関係を予め実験等により求めて作成した特性マップ(図5参照)を用いて、マルチ噴射の各々の燃料噴射のコモンレール圧補正係数(PCC)を算出する。これは、エンジン1のTDC付近のコモンレール圧(PC)による噴射量と噴射期間特性との関係に対する、マルチ噴射の各々の燃料噴射直前のコモンレール圧(PC)による噴射量と噴射期間特性の変化分を考慮した燃料圧補正係数である。具体的には、特性マップを用いてパイロット噴射のコモンレール圧補正係数(PCCpilot)、プレ噴射量のコモンレール圧補正係数(PCCpre)およびメイン噴射のコモンレール圧補正係数(PCCmain)を算出する。
【0040】
次に、ステップS5で算出したマルチ噴射の各々の燃料噴射の噴射量補正量(QCP)とステップS6で算出したマルチ噴射の各々の燃料噴射のコモンレール圧補正係数(PCC)より下記の数2の計算式を用いて、マルチ噴射の各々の燃料噴射の気筒内圧補正噴射量(QCPQ)を算出する(補正量算出手段:ステップS7)。具体的には、下記の数2の計算式を用いて、エンジン1の気筒内圧の変化およびコモンレール圧の変化による燃料噴射量に対する噴射期間特性の変化分に対応したパイロット噴射の気筒内圧補正噴射量(QCPQpilot)、プレ噴射の気筒内圧補正噴射量(QCPQpre)およびメイン噴射の気筒内圧補正噴射量(QCPQmain)を算出する。
【数2】
但し、QCPはマルチ噴射の各々の燃料噴射の噴射量補正量で、PCCはマルチ噴射の各々の燃料噴射のコモンレール圧補正係数で、QCPQはマルチ噴射の各々の燃料噴射の気筒内圧補正噴射量である。
【0041】
次に、マルチ噴射の各々の燃料噴射量(Q)とマルチ噴射の各々の燃料噴射の気筒内圧補正噴射量(QCPQ)とマルチ噴射の各々の燃料噴射直前のコモンレール圧(PC)より、マルチ噴射の各々の燃料噴射の最終噴射期間(TQF)をマップ補間して算出する(ステップS8)。その後に、図3のルーチンを抜ける。すなわち、マルチ噴射の各々の燃料噴射量(Q)とコモンレール圧(PC)とマルチ噴射の各々の燃料噴射の最終噴射期間(TQF)との関係を予め実験等により求めて作成した特性マップ(図示せず)を用いて、マルチ噴射の各々の燃料噴射の最終噴射期間(TQF)を算出する。具体的には、特性マップを用いて、パイロット噴射の最終噴射期間(TQFpilot)、プレ噴射の最終噴射期間(TQFpre)およびメイン噴射の最終噴射期間(TQFmain)を算出する。
【0042】
なお、上記の図3のルーチンでは、メイン噴射開始時の基本気筒内圧(QCPB)とプレ噴射用およびメイン噴射用のコモンレール圧補正係数(PCC)とをマップ補間して算出しているが、計算式でも求めることができる。また、コモンレール式燃料噴射システム用にコモンレール圧補正係数(PCC)を使用して補正を実施しているが、分配型燃料噴射ポンプ等を備えたコモンレールを有しない燃料装置においても、コモンレール圧の補正を無しにして使用することができる。
【0043】
[実施例の特徴]
次に、本実施例のインジェクタ5の駆動方法を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。ここで、図2(a)はエンジン1の特定気筒のインジェクタ5の無噴射状態を示した図である。
【0044】
エンジン1の特定気筒のインジェクタ5の電磁弁12に印加する噴射指令パルスは、パイロット噴射→プレ噴射→メイン噴射の順にエンジン1の1燃焼行程中に出力される。このエンジン1の1燃焼行程中のマルチ噴射の各噴射間隔およびエンジン1の1燃焼行程中の噴射回数は、本実施例の2回だけでなく、エンジン1の運転条件および指令噴射量によって任意に決定される。
【0045】
エンジン1の特定気筒のインジェクタ5からエンジン1への燃料噴射は、図2(b)に示したように、インジェクタ駆動回路の常開型スイッチ23が閉じられて、特定気筒のインジェクタ5の電磁弁12のソレノイドコイル24に噴射指令パルスが印加されると、電磁弁12の弁体25が開弁する。この電磁弁12が開弁している間は、背圧制御室19内の燃料がオリフィス21を介してリーク配管36にリークされるので、図示しないスプリングの付勢力に打ち勝ってノズルニードル13がノズル本体15を構成するノズルボデーの弁座よりリフト(離間)する。これにより、噴射孔16と燃料溜まり17とが連通するため、コモンレール4に蓄圧された高圧燃料がエンジン1の特定気筒の燃焼室内に噴射供給される。
【0046】
その後に、噴射パルス開始時期から噴射期間が経過して噴射パルス終了時期になると、つまりインジェクタ駆動回路の常開型スイッチ23が開かれると、図2(c)に示したように、電磁弁12の弁体25が閉弁する。この電磁弁12が閉弁している間は、燃料通路(高圧通路)18からオリフィス20を介して背圧制御室19内に高圧燃料が充満するため、リターンスプリングの付勢力によってノズルニードル13がノズルボデーの弁座に着座する。これにより、噴射孔16と燃料溜まり17との連通状態が遮断されるため、エンジン1の特定気筒の燃焼室内への燃料噴射が終了する。
【0047】
ここで、エンジン1のTDC付近で実施されるメイン噴射よりも前に実施されるパイロット噴射およびプレ噴射は、インジェクタ5の電磁弁12のソレノイドコイル24への噴射指令パルスの通電開始時刻から所定の噴射開始遅れ時間が経過してからノズルニードル13が開弁し、噴射指令パルスの通電終了時刻から所定の噴射終了遅れ時間が経過してからノズルニードル13が閉弁するはずが、燃料噴射量と噴射期間特性を適合させた時のTDC付近の気筒内圧およびコモンレール圧に対して、エンジン1の気筒内圧やコモンレール圧が変化することにより、ノズルニードル13の開弁時期または閉弁時期が本来の開弁時期または閉弁時期よりも早くなったり、遅くなったりする場合がある。これにより、ノズルニードル13の閉弁時期または開弁時期が予め設定された閉弁時期または開弁時期であると、当然のごとく実際噴射される燃料噴射量が、計算で出されたパイロット噴射量(Qpilot)およびプレ噴射量(Qpre)よりも増えたり、あるいは減ったりしてしまい、正しい値の燃料を噴射できないという問題が生じる。
【0048】
そこで、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムにおいては、マルチ噴射の各々の燃料噴射量(Q)に対する噴射期間特性を適合した時のエンジン1のTDC付近の気筒内圧およびコモンレール圧と実際噴射される時の気筒内圧およびコモンレール圧とが異なり、マルチ噴射の各々の燃料噴射量(Q)に対する噴射期間特性が変化するという点に着目し、上記の図3のルーチンに示したように、マルチ噴射の各々の燃料噴射の基本噴射期間(TQ)およびインジェクタ噴射開始角度(QCA)を計算し、インジェクタ噴射開始角度(QCA)よりマルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の基本気筒内圧(QCPB)を計算し、マルチ噴射の各々の燃料噴射量(Q)と噴射期間特性に適合させた時のエンジン1のTDC付近の気筒内圧に対する、マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧変化量を計算するようにしている。
【0049】
そして、マルチ噴射の各々の噴射開始時の基本気筒内圧(QCPB)と吸気圧(PIM)より、エンジン1の気筒内圧の変化による燃料噴射量に対する噴射期間特性の変化分に対応した噴射量補正量(QCP)を計算し、エンジン1の気筒内圧の変化およびコモンレール圧の変化による燃料噴射量に対する噴射期間特性の変化分に対応したマルチ噴射の各々の燃料噴射の気筒内圧補正噴射量(QCPQ)を計算し、マルチ噴射の各々の燃料噴射量(Q)とマルチ噴射の各々の燃料噴射の気筒内圧補正噴射量(QCPQ)とマルチ噴射の各々の燃料噴射直前のコモンレール圧(PC)より、マルチ噴射の各々の燃料噴射の最終噴射期間(TQF)をマップ補間して計算している。
【0050】
したがって、実際噴射される時の気筒内圧の変化量を計算で出して気筒内圧の変化およびコモンレール圧の変化による燃料噴射量に対する噴射期間特性の変化分を最適な噴射期間特性となるように補正することにより、エンジン1のTDC前後の広い範囲で燃料噴射するマルチ噴射のパイロット噴射、プレ噴射およびメイン噴射時においても、エンジン1の運転条件に応じて設定されたマルチ噴射の各々の燃料噴射量(パイロット噴射量、プレ噴射量、メイン噴射量)を正しく噴射することができる。
【0051】
また、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムでは、エンジン1の各気筒の1燃焼行程中に燃料を3回に分けて噴射する制御、つまりパイロット噴射、プレ噴射およびメイン噴射よりなるマルチ噴射を行なうことにより、初期噴射率の急激な上昇を抑えることができるので、エンジン1の騒音やエンジン振動を抑制することができ、プレ噴射の前にパイロット噴射を行なうことによってエンジン1の騒音やエンジン振動を更に抑制することができる。
【0052】
また、エンジン1の各気筒の1燃焼行程中に燃料を3回に分けて噴射する制御、つまりプレ噴射、メイン噴射およびアフター噴射よりなるマルチ噴射を行なう場合には、メイン噴射の後にアフター噴射を行なうことによってメイン噴射での未燃ガスを燃やすことができるので、スモークの排出を抑え排気ガス性能の向上を図ることができる。また、エンジン1の各気筒の1燃焼行程中に燃料を5回に分けて噴射する制御、つまりパイロット噴射、プレ噴射、メイン噴射、アフター噴射およびポスト噴射よりなるマルチ噴射を行なう場合には、アフター噴射の後にポスト噴射を行なうことによって触媒の活性化を図ることができる。
【0053】
[変形例]
本実施例では、本発明の燃料噴射装置の一例として、コモンレール式燃料噴射システムに適用した例を説明したが、コモンレール等の蓄圧配管を持たず、燃料供給ポンプから高圧配管を経て直接インジェクタに高圧燃料を供給するタイプの燃料噴射装置に適用しても良い。また、本実施例では、エンジン1の各気筒の燃焼室内に燃料を噴射供給するインジェクタの一例として、2方弁式電磁弁付きのインジェクタ5を使用した例を説明したが、3方弁式電磁弁付きのインジェクタやその他のタイプのインジェクタを使用しても良い。
【0054】
本実施例では、コモンレール圧センサ45をコモンレール4に直接取り付けて、コモンレール4内に蓄圧される燃料圧(コモンレール圧)を検出するようにしているが、燃料圧力検出手段をサプライポンプ3のプランジャ室(加圧室)からインジェクタ5内の燃料通路までの間の燃料配管等に取り付けて、サプライポンプ3の加圧室より吐出された燃料圧を検出するようにしても良い。
【0055】
本実施例では、サプライポンプ3のプランジャ室(加圧室)内に吸入される燃料の吸入量を変更(調整)する吸入調量弁7を設けた例を説明したが、サプライポンプ3のプランジャ室(加圧室)からコモンレール4への燃料の吐出量を変更(調整)する吐出調量弁を設けても良い。なお、吸入調量弁7または吐出調量弁の弁開度がその電磁弁への通電を停止した時に全開となるノーマリオープンタイプの電磁弁を用いても良いが、吸入調量弁7または吐出調量弁の弁開度がその電磁弁を通電した時に全開となるノーマリクローズタイプの電磁弁を用いても良い。
【0056】
本実施例では、本発明の燃料噴射装置の一例として、エンジン1の特定気筒のインジェクタ5においてエンジン1の1燃焼行程中に3回のマルチ噴射(例えばパイロット噴射・プレ噴射・メイン噴射)を行うことが可能なコモンレール式燃料噴射システムを適用した例を説明したが、2回のマルチ噴射(例えばパイロット噴射・メイン噴射)、あるいは3回のマルチ噴射(例えばパイロット噴射・メイン噴射・アフター噴射)を行うことが可能なコモンレール式燃料噴射システムに適用しても良く、あるいは、4回のマルチ噴射(例えばパイロット噴射・プレ噴射・メイン噴射・アフター噴射またはパイロット噴射・メイン噴射・アフター噴射・ポスト噴射)を行うことが可能なコモンレール式燃料噴射システムに適用しても良い。
【0057】
また、5回のマルチ噴射(例えばパイロット噴射・プレ噴射・メイン噴射・アフター噴射・ポスト噴射)を行うことが可能なコモンレール式燃料噴射システムに適用しても良く、また、6回以上のマルチ噴射を行うことが可能なコモンレール式燃料噴射システムに適用しても良い。このエンジン1の1燃焼行程中の6回以上のマルチ噴射の各噴射間隔およびエンジン1の1燃焼行程中の噴射回数は、エンジン1の運転条件および指令噴射量によって任意に決定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】コモンレール式燃料噴射システムの全体構造を示した概略図である(実施例)。
【図2】(a)〜(c)はインジェクタの作動状態を示した説明図である(実施例)。
【図3】インジェクタのパイロット噴射、プレ噴射およびメイン噴射の噴射期間補正方法の概略を示したフローチャートである(実施例)。
【図4】噴射開始角度と基本気筒内圧との関係を示した特性図である(実施例)。
【図5】コモンレール圧とコモンレール圧補正係数との関係を示した特性図である(実施例)。
【符号の説明】
1 エンジン
3 サプライポンプ(燃料供給ポンプ)
4 コモンレール
5 インジェクタ(電磁式燃料噴射弁)
7 吸入調量弁
10 ECU(噴射量制御手段)
41 気筒判別センサ(気筒判別手段、運転条件検出手段)
42 クランク角センサ(回転速度検出手段、運転条件検出手段)
43 アクセル開度センサ(運転条件検出手段)
44 吸気圧センサ(吸気圧検出手段)
45 コモンレール圧センサ(燃料圧検出手段)
Claims (4)
- 燃料を加圧して高圧化する燃料供給ポンプと、
この燃料供給ポンプより吐出された高圧燃料をエンジンの各気筒へ噴射供給する燃料噴射弁と、
前記エンジンの運転条件に応じた指令噴射量および噴射時期を計算し、計算された指令噴射量および噴射時期に応じて前記燃料噴射弁を駆動する噴射量制御手段とを備え、
前記エンジンの1燃焼行程中に燃料を複数回に分けて噴射するマルチ噴射を行うことが可能な燃料噴射装置において、
前記噴射量制御手段は、前記エンジンの上死点付近で燃料噴射させて、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射量と噴射期間特性を測定して適合させたマップまたは計算式より、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射の基本噴射期間を計算する噴射期間決定手段と、
前記噴射時期と前記基本噴射期間より、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の噴射開始角度を計算する噴射開始角度算出手段と、
前記マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の噴射開始角度と気筒内圧特性を測定して適合させたマップまたは計算式より、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧を計算する気筒内圧算出手段と、
前記マルチ噴射の各々の燃料噴射量と噴射期間特性を適合させた時の前記エンジンの上死点付近の気筒内圧に対する、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧の変化量に応じて、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射量および前記マルチ噴射の各々の燃料噴射の基本噴射期間を補正する燃料噴射装置であって、
燃料噴射圧に相当する燃料圧を検出する燃料圧検出手段と、
前記エンジンの気筒内に吸入される空気の吸気圧を検出する吸気圧検出手段とを備え、
前記噴射量制御手段は、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧の計算値に、前記吸気圧検出手段によって検出される吸気圧を加味して、
前記マルチ噴射の各々の燃料噴射量と噴射期間特性を適合させた時の前記エンジンの上死点付近の気筒内圧からの、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射開始時の気筒内圧の変化分を考慮した噴射量補正量を計算する補正量算出手段を有することを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
前記補正量算出手段は、前記燃料圧検出手段によって検出される、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射直前の燃料圧より燃料圧補正係数を計算する補正係数算出手段を有し、
前記噴射量補正量に前記燃料圧補正係数を乗算した値を、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射の気筒内圧補正噴射量とすることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項2に記載の燃料噴射装置において、
前記噴射量制御手段は、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射量に、前記気筒内圧補正噴射量を加味して、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射の最終的な補正噴射量を計算する噴射量補正手段を有することを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項2または請求項3に記載の燃料噴射装置において、
前記噴射量制御手段は、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射の基本噴射期間に、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射直前の燃料圧および前記気筒内圧補正噴射量を加味して、前記マルチ噴射の各々の燃料噴射の最終的な噴射期間を計算する噴射期間補正手段を有することを特徴とする燃料噴射装置。
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