JP3943912B2 - 外板接着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外板接着方法に関し、特に、航空機の外板を所定の内部構造体に固定する際に使用される外板接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、航空機のバルクヘッドやストリンガなどの所定の内部構造体に外板を固定する際には、リベットによる接合方法(以下、「打鋲法」という)が採用されていた。この打鋲法では、外板や内部構造体に一定間隔で複数の打鋲用孔を穿設し、この打鋲用孔にリベットの軸を挿入し、このリベットの軸端をかしめて接合するという工程を経ている。
【0003】
近年では、外板が複合材で製造されることが多く、この複合材製の外板に前記したような打鋲用孔を穿設すると、図4(a)に示したような葉裂(デラミネーション)100が発生して外板の強度が低下することがあった。また、硬質であるカーボン複合材製の外板に打鋲用孔を穿設する場合には専用のドリルが必要であるため、工具費が嵩む。さらに、打鋲用孔穿設やかしめの衝撃によって外板内部に亀裂200が発生することがあり(図4(b)参照)、この亀裂200の発生防止のためにブラインドリベットを採用する場合には材料費も嵩むこととなっていた。
【0004】
このような打鋲法を採用した際に発生する問題を解決するために、近年では、接着剤を用いた接合方法(以下、「接着法」という)が採用されている。接着法では、図5(a)に示したようなフィルム状接着剤300や、図5(b)に示したようなペースト状接着剤400が使用されており、この接着法によれば、打鋲法を採用した場合に発生する荷重伝達時の(リベット近傍における)応力集中の問題をも解消することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記した接着法においては、所定の内部構造体500の接着面上にフィルム状接着剤300の配置またはペースト状接着剤400の塗布を行い、その上に外板600を被せて接着させるため、内部構造体500と外板600との接着部に空隙(ボイド)が形成され易い。この空隙内の気泡は、高空の低圧下で膨張して接着強度を低下させてしまうため、接着の際にはこのような空隙を形成しないように熟練した作業技術が必要であった。所定の内部構造体500の接着面が凹凸を有する場合には、特に高い熟練度を要した。
【0006】
また、所定の内部構造体500の接着面が凹凸を有する場合には、接着剤を配置または塗布する前に、接着面の凹んだ部分にあらかじめ板状部材を配置して接着面を平坦にする作業(以下、「シム調整」という)を行う必要があった。このシム調整の態様は内部構造体500毎に異なるため、スケジュールの立案が困難であり、航空機製造サイクルの遅延をもたらす場合もあった。
【0007】
本発明の課題は、内部構造体と外板との接着部に空隙が形成されるのを効果的に防止することができ、作業手順がきわめて簡易な外板接着方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、所定の構造体に外板を接着する方法において、前記外板に接着剤注入孔を設ける孔穿設工程と、前記構造体と前記外板との接着部の周囲に通気性を有するシール材を配置するシール材配置工程と、前記構造体上に前記シール材を介して前記外板を固定する外板配置工程と、前記外板の前記接着剤注入孔から接着剤を注入して前記構造体と前記外板との接着部に接着剤を充填する接着剤充填工程と、前記接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出する充填状態検出工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、外板に接着剤注入孔を設ける工程と、構造体と外板との接着部の周囲に通気性を有するシール材を配置する工程と、構造体上にシール材を介して外板を固定する工程と、外板の接着剤注入孔から接着剤を注入して構造体と外板との接着部に接着剤を充填する工程と、接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出する工程とを備えるため、接着剤注入孔から接着剤を注入した際に、構造体と外板との接着部に残存する空気をシール材から効率的に排出しながら、構造体と外板との接着部に接着剤を確実に充填することができる。従って、構造体と外板との接着部に空隙が形成されるのを効果的に防止することができる。
【0010】
また、請求項1記載の発明によれば、空隙形成防止のために熟練した作業技術を要することがなく、作業手順がきわめて簡易である。従って、作業者の技量が未熟な場合においても、外板の接着作業を安心して遂行することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の外板接着方法において、前記充填状態検出工程は、前記接着剤注入孔から接着剤が漏出したか否かによって前記接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出するものであることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の作用効果を奏することができるのに加え、接着剤注入孔から接着剤が漏出したか否かによって接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出する充填状態検出工程を備えるため、接着剤注入孔を、接着剤注入手段および充填状態検出手段として機能させることができる。従って、外板に余分な孔や切り欠きを設ける必要がないので、外板の強度を確保することができるとともに、作業上のコストを低減させることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、例えば図1に示すように、所定の構造体に外板を接着する方法において、前記外板に接着剤注入孔および接着剤排出孔を設ける孔穿設工程と、前記構造体と前記外板との接着部の周囲に通気性を有するシール材を配置するシール材配置工程と、前記構造体上に前記シール材を介して前記外板を固定する外板配置工程と、前記外板の前記接着剤注入孔から接着剤を注入して前記構造体と前記外板との接着部に接着剤を充填する接着剤充填工程と、前記接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出する充填状態検出工程とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、外板に接着剤注入孔および接着剤排出孔を設ける工程と、構造体と外板との接着部の周囲に通気性を有するシール材を配置する工程と、構造体上にシール材を介して外板を固定する工程と、外板の接着剤注入孔から接着剤を注入して構造体と外板との接着部に接着剤を充填する工程と、接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出する工程とを備えるため、接着剤注入孔から接着剤を注入した際に、構造体と外板との接着部に残存する空気を接着剤排出孔から効率的に排出しながら、構造体と外板との接着部に接着剤を確実に充填することができる。従って、構造体と外板との接着部に空隙が形成されるのを効果的に防止することができる。
また、シール材が通気性を有するものであるため、接着剤注入孔から接着剤を注入した際に、構造体と外板との接着部に残存する空気をより効率的に排出することができる。従って、構造体と外板との接着部に空隙が形成されるのをより確実に防止することができる。
【0015】
また、請求項3記載の発明によれば、空隙形成防止のために熟練した作業技術を要することがなく、作業手順がきわめて簡易である。従って、作業者の技量が未熟な場合においても、外板の接着作業を安心して遂行することができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の外板接着方法において、例えば図1に示すように、前記充填状態検出工程は、前記接着剤排出孔から接着剤が漏出したか否かによって前記接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出するものであることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明の作用効果を奏することができるのに加え、接着剤注入孔から注入した接着剤が接着剤排出孔から漏出したか否かによって接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出する充填状態検出工程を備えるため、容易かつ正確に充填状態の検出を行うことができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3または4記載の外板接着方法において、前記シール材は、柔軟性を有することを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、請求項1、2、3または4記載の発明の作用効果を奏することができるのに加え、シール材が柔軟性を有するものであるため、接着剤注入孔から接着剤を注入した際に、シール材を構造体と外板との隙間を埋めるように変形させることができる。従って、構造体の接着面が凹凸を有する場合にもシム調整が不要となり、作業手順をさらに簡素化することができるとともに、航空機の製造サイクルの迅速化をもたらすことができる。
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4または5記載の外板接着方法において、前記シール材は、通気性および柔軟性を有するポリウレタンフォームで形成されることを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1、2、3、4、5または6記載の外板接着方法において、前記シール材は、その一部が両面テープで構成されることを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、請求項1、2、3、4、5または6記載の発明の作用効果を奏することができるのに加え、シール材の一部が両面テープで構成されるため、構造体に外板を仮固定することができる。従って、外板の接着剤注入孔から接着剤を注入して構造体と外板との接着部に接着剤を充填する際に、外板を構造体に固定するための治具や手間を省くことができる。この結果、作業手順のさらなる簡素化をもたらすことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態においては、バルクヘッドやストリンガ等の航空機の内部構造体10に外板20を接着する方法(外板接着方法)について説明する。一般に、広い面積を有する外板20を内部構造体10に接着する場合には、外板20の周辺部や中間部に狭幅の接着部11が部分的に設けられる。このため、本実施の形態においては、この狭幅の接着部11とその周辺に関して説明することとする。なお、内部構造体10や外板20は、金属、合成樹脂、繊維強化樹脂複合材などの従来から使用されている材料で製造することができる。
【0024】
まず、図1に示すように、外板20に接着剤注入孔21および接着剤排出孔22を設ける(孔穿設工程)。接着剤注入孔21は、内部構造体10と外板20との接着部11に接着剤を注入する際に機能するものである。また接着剤排出孔22は、接着部11に接着剤が充分に充填されたか否かを検出する充填状態検出手段として機能するものである。
【0025】
接着剤注入孔21および接着剤排出孔22の大きさや形状は、前記した機能を果たすことができれば特に制限されるものではなく、本実施の形態では双方とも円形状のものとしている(図1参照)。また、接着剤注入孔21および接着剤排出孔22が設けられる位置は、前記した機能を果たすことができれば特に制限されるものではなく、本実施の形態では、接着部11の長さ方向の一方の端部に接着剤注入孔21を、他方の端部に接着剤排出孔22を、それぞれ設けている(図1参照)。
【0026】
次いで、図1に示すように、内部構造体10と外板20との接着部11の周囲に、接着剤を介してシール材30を配置する(シール材配置工程)。このシール材30は、接着剤注入孔21から接着部11に注入した接着剤が周囲に漏出するのを防止するという機能を果たす。
【0027】
シール材30の材料は、前記した機能を果たすものであればいかなるものでもよく、布、ゴム、合成樹脂、発泡合成樹脂など種々の材料から調製することができる。本実施の形態においては、シール材30として、ポリウレタンフォームを採用している。
【0028】
次いで、図1に示すように、内部構造体10上に、シール材30を介して外板20を配置し、図示されていない所定の治具で外板20を内部構造体10に固定する(外板配置工程)。次いで、外板20の接着剤注入孔21から接着剤を注入して接着部11に接着剤を充填し(接着剤充填工程)、接着部11に接着剤が充分に充填されたか否かを検出する(充填状態検出工程)。本実施の形態では、外板20の接着剤排出孔22から接着剤が漏出したか否かによって、接着部11に接着剤が充分に充填されたか否かを検出している。
【0029】
次いで、接着剤排出孔22から漏出した接着剤を拭き取り、所定のテープで接着剤注入孔21および接着剤排出孔22を塞いだ後、接着部に充填した接着剤を硬化させて接着作業を終了する。
【0030】
本実施の形態に係る外板接着方法によれば、外板20に接着剤注入孔21を設ける工程と、内部構造体10と外板20との接着部11の周囲にシール材30を配置する工程と、内部構造体10上にシール材30を介して外板20を固定する工程と、外板20の接着剤注入孔21から接着剤を注入して接着部11に接着剤を充填する工程と、接着剤注入孔21から注入した接着剤が接着剤排出孔22から漏出したか否かによって接着部11に接着剤が充分に充填されたか否かを検出する工程とを備えるため、内部構造体10と外板20との接着部11に残存する空気を接着剤排出孔21から効率的に排出しながら、内部構造体10と外板20との接着部11に接着剤を確実に充填することができる。従って、内部構造体と外板との接着部に空隙が形成されるのを効果的に防止することができる。
【0031】
また、本実施の形態に係る外板接着方法によれば、空隙形成防止のために熟練した作業技術を要することがなく、作業手順がきわめて簡易である。従って、作業者の技量が未熟な場合においても、内部構造体10への外板20の接着作業を安心して遂行することができる。
【0032】
また、本実施の形態に係る外板接着方法によれば、シール材30として、通気性に優れるポリウレタンフォームを採用しているため、接着剤注入孔21から接着剤を注入した際に、内部構造体10と外板20との接着部11に残存する空気をより効率的に排出することができる。従って、内部構造体10と外板20との接着部11に空隙が形成されるのをより確実に防止することができる。
【0033】
さらにまた、本実施の形態に係る外板接着方法によれば、シール材30として、柔軟性に優れるポリウレタンフォームを採用しているため、接着剤注入孔21から接着剤を注入した際に、シール材30を内部構造体10と外板20との隙間を埋めるように変形させることができる。従って、内部構造体10の接着面が凹凸を有する場合にもシム調整が不要となり、作業手順をさらに簡素化することができるとともに、航空機の製造サイクルの迅速化をもたらすことができる。
【0034】
なお、本実施の形態に係る外板接着方法(本発明方法)を用いた場合の作業コストと、従来の打鋲法(従来法)を用いた場合の作業コストとを比較したグラフを、図2に示した。この図2から明らかなように、本発明方法を用いた場合には、治具/工具費、材料費ともに約40〜50%のコストダウンを達成することができ、作業コスト全体として約40%のコストダウンを達成することができる。
【0035】
以上の実施の形態では、シール材30としてポリウレタンフォームを採用したが、このシール材30の一部(例えば、図1に示した一組の対向した短尺のシール材)を両面テープで構成することもできる。この場合には、内部構造体10に外板20を仮固定することができるので、接着剤注入孔21から接着剤を注入して内部構造体10と外板20との接着部11に接着剤を充填する際に、外板20を内部構造体10に固定するための治具や手間を省くことができる。この結果、作業手順のさらなる簡素化をもたらすことができる。
【0036】
また、図3(a)に示すように、外板20が接着面と反対方向への「反り」を有するために両面テープでの仮固定が不可能である場合には、図示していない両面テープの上からリベット40を打ち込むことによって、仮固定を確実に行うことができる(図3(b)参照)。なお、このように仮固定にリベット40を用いることによって、接着部11に剥がれ(ピール)が発生してもその進行を防止することができる。
【0037】
また、前記した実施の形態では、外板20に接着剤注入孔21と接着剤排出孔22とを設けたが、接着剤注入孔21のみを設けて、この接着剤注入孔21を接着剤注入手段および充填状態検出手段として機能させることもできる。この場合には、充填状態検出工程においては、接着剤注入孔21から接着剤が漏出したか否かによって、接着部11に接着剤が充分に充填されたか否かを検出することとする。このように接着剤注入孔21を接着剤注入手段および充填状態検出手段として機能させる場合には、外板20に余分な孔や切り欠きを設ける必要がないので、外板20の強度を確保することができるとともに、作業上のコストを低減させることができる。
【0038】
また、前記した実施の形態において、接着剤排出孔22に、ドップラーレーダなどの小型の反射式の距離計測装置を配置すると、接着部11に注入された接着剤の充填状態を容易に検出することができる。この場合には、距離計測装置で検出した接着剤の充填状態をモニタなどで可視化し、この可視化された情報に応じて接着剤の注入を行うことができるので、接着剤排出孔22から接着剤が漏出するか否かによって接着剤の充填状態を検出する必要がない。
【0039】
また、前記した実施の形態において、接着剤排出孔22に前記した距離計測装置を配置するとともに、接着剤注入孔21に接着剤の注入量を検出する流量計測装置を配置して接着部11に充填される接着剤の注入量を測定することによって、次回に同一の作業を行う際に、所要量の接着剤をあらかじめ準備することができる。
【0040】
また、前記した距離計測装置と流量計測装置とを併用することによって、シール材30から接着剤が漏出したか否かを検出することができる。例えば、流量計測装置で測定した所要量の接着剤を注入し終えた場合において、接着部11における接着剤の充填状態が不十分である旨の計測結果が距離計測装置によって示された場合には、シール材30から接着剤が漏出しているとみなすことができる。
【0041】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、接着剤注入孔から接着剤を注入した際に、構造体と外板との接着部に残存する空気をシール材から効率的に排出しながら、構造体と外板との接着部に接着剤を確実に充填することができる。従って、構造体と外板との接着部に空隙が形成されるのを効果的に防止することができる。
【0042】
また、請求項1記載の発明によれば、空隙形成防止のために熟練した作業技術を要することがなく、作業手順がきわめて簡易である。従って、作業者の技量が未熟な場合においても、外板の接着作業を安心して遂行することができる。
【0043】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果を奏することができるのは勿論のこと、接着剤注入孔から接着剤が漏出したか否かによって接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出するため、接着剤注入孔を接着剤注入手段および充填状態検出手段として機能させることができる。従って、外板に余分な孔や切り欠きを設ける必要がない。この結果、外板の強度を確保することができるとともに、作業上のコストを低減させることができる。
【0044】
請求項3記載の発明によれば、接着剤注入孔から接着剤を注入した際に、構造体と外板との接着部に残存する空気を接着剤排出孔から効率的に排出しながら、構造体と外板との接着部に接着剤を確実に充填することができる。従って、構造体と外板との接着部に空隙が形成されるのを効果的に防止することができる。
また、シール材が通気性を有するものであるため、接着剤注入孔から接着剤を注入した際に、構造体と外板との接着部に残存する空気をより効率的に排出することができる。従って、構造体と外板との接着部に空隙が形成されるのをより確実に防止することができる。
【0045】
また、請求項3記載の発明によれば、空隙形成防止のために熟練した作業技術を要することがなく、作業手順がきわめて簡易である。この結果、作業者が未熟な場合においても、外板の接着作業を安心して遂行することができる。
【0046】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明の効果を奏することができるのは勿論のこと、接着剤注入孔から注入した接着剤が接着剤排出孔から漏出したか否かによって接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出するため、正確に充填状態の検出を行うことができる。
【0048】
請求項5記載の発明によれば、請求項1、2、3または4記載の発明の効果を奏することができるのは勿論のこと、シール材が柔軟性を有するものであるため、接着剤注入孔から接着剤を注入した際に、シール材を構造体と外板との隙間を埋めるように変形させることができる。従って、構造体の接着面が凹凸を有する場合にもシム調整が不要となり、作業手順をさらに簡素化することができるとともに、航空機の製造サイクルの迅速化をもたらすことができる。
請求項6記載の発明によれば、シール材として、通気性を有するポリウレタンフォームを採用しているため、接着剤注入孔から接着剤を注入した際に、内部構造体と外板との接着部に残存する空気をより効率的に排出することができる。従って、内部構造体と外板との接着部に空隙が形成されるのをより確実に防止することができる。さらにまた、シール材として、柔軟性を有するポリウレタンフォームを採用しているため、接着剤注入孔から接着剤を注入した際に、シール材を内部構造体と外板との隙間を埋めるように変形させることができる。従って、内部構造体の接着面が凹凸を有する場合にもシム調整が不要となり、作業手順をさらに簡素化することができるとともに、航空機の製造サイクルの迅速化をもたらすことができる。
【0049】
請求項7記載の発明によれば、請求項1、2、3、4、5または6記載の発明の効果を奏することができるのは勿論のこと、シール材の一部が両面テープで構成されるため、構造体に外板を仮固定することができる。従って、外板の接着剤注入孔から接着剤を注入して構造体と外板との接着部に接着剤を充填する際に、外板を構造体に固定するための治具や手間を省くことができる。この結果、作業手順のさらなる簡素化をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る外板接着方法を説明するための概念図である。
【図2】本実施の形態に係る外板接着方法(本発明方法)を採用した場合の作業コストと、従来の打鋲法(従来法)を採用した場合の作業コストとを比較するための棒グラフである。
【図3】(a)は、本実施の形態に係る外板接着方法によって内部構造体に接着される外板が反りを有する場合を示した概念図であり、(b)は、(a)に示した外板をリベットで仮固定した状態を示す概念図である。
【図4】(a)は、従来の外板固定方法である打鋲法において、複合材製の外板にドリルで孔を穿設した際に発生した葉裂(デラミネーション)を示した概念図であり、(b)は、従来の外板固定方法である打鋲法において、複合材製の外板内部に発生した亀裂を示した概念図である。
【図5】(a)は、従来の外板固定方法である接着法において、フィルム状接着剤を使用した場合の概念図であり、(b)は、従来の外板固定方法である接着法において、ペースト状接着剤を使用した場合の概念図である。
【符号の説明】
10 内部構造体
11 接着部
20 外板
21 接着剤注入孔
22 接着剤排出孔
30 シール材
40 リベット
100 葉裂(デラミネーション)
200 亀裂
300 フィルム状接着剤
400 ペースト状接着剤
500 内部構造体
600 外板
Claims (7)
- 所定の構造体に外板を接着する方法において、
前記外板に接着剤注入孔を設ける孔穿設工程と、
前記構造体と前記外板との接着部の周囲に通気性を有するシール材を配置するシール材配置工程と、
前記構造体上に前記シール材を介して前記外板を固定する外板配置工程と、
前記外板の前記接着剤注入孔から接着剤を注入して前記構造体と前記外板との接着部に接着剤を充填する接着剤充填工程と、
前記接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出する充填状態検出工程とを備えることを特徴とする外板接着方法。 - 前記充填状態検出工程は、
前記接着剤注入孔から接着剤が漏出したか否かによって前記接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出するものであることを特徴とする請求項1記載の外板接着方法。 - 所定の構造体に外板を接着する方法において、
前記外板に接着剤注入孔および接着剤排出孔を設ける孔穿設工程と、
前記構造体と前記外板との接着部の周囲に通気性を有するシール材を配置するシール材配置工程と、
前記構造体上に前記シール材を介して前記外板を固定する外板配置工程と、
前記外板の前記接着剤注入孔から接着剤を注入して前記構造体と前記外板との接着部に接着剤を充填する接着剤充填工程と、
前記接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出する充填状態検出工程とを備えることを特徴とする外板接着方法。 - 前記充填状態検出工程は、
前記接着剤排出孔から接着剤が漏出したか否かによって前記接着部に接着剤が充分に充填されたか否かを検出するものであることを特徴とする請求項3記載の外板接着方法。 - 前記シール材は、
柔軟性を有することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の外板接着方法。 - 前記シール材は、
通気性および柔軟性を有するポリウレタンフォームで形成されることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の外板接着方法。 - 前記シール材は、
その一部が両面テープで構成されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の外板接着方法。
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JP2003154311A (ja) | 2003-05-27 |
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