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JP3836987B2 - 半導体評価装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体評価装置に関し、詳細には、半導体デバイスの微細構造やその欠陥を高分解能で測定して評価する半導体評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスは、デバイス内部に絶縁破壊や電気的リーク等による微少な欠陥が存在すると、半導体デバイスの信頼性を低下させる。
【0003】
例えば、半導体デバイスに電界を印加して動作させた場合、半導体デバイスに欠陥があると、当該欠陥からの発光現象、ホットエレクトロン及びラッチアップ等による発光現象が起こることがある。このホットエレクトロンは、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor )の絶縁膜に損傷を与え、その電気特性を劣化させるという問題がある。また、CMOS素子においてラッチアップ現象が発生すると、電源端子から接点端子まで電流が流れっぱなしになり、その電気特性を劣化させるという問題がある。
【0004】
このような半導体デバイスの欠陥は、デバイスに用いられている絶縁膜の厚さや表面の平坦性、不純物による汚染及びストレス等による内部構造の変化等様々な原因によって引き起こされる。
【0005】
そのため、半導体デバイスの欠陥場所を高分解能で検出し、欠陥の原因を明らかにすることにより、半導体デバイスの信頼性を向上させるための設計方針の変更や半導体デバイスの作製方法の改良を行うことができる。
【0006】
そして、半導体デバイスのどのような場所で動作時に発光現象が起きるかを解明することは、半導体デバイスの特性や信頼性を評価するために、大変重要な要因である。また、半導体デバイスの欠陥とその原因を解明するためにも、有効な手段となる。
【0007】
そこで、従来、上記発光現象を、半導体デバイスを動作させ、デバイス中に発生した光をマイクロスコープで集光した後、モノクロメーターで分光、あるいは、フィルタを用いて分光し、光電子増倍管やCCD(Charge Coupled Device )等の受光素子で光量を測定することにより観測している。
【0008】
ところが、半導体デバイスのサイズがハーフミクロン、さらにサブハーフミクロンと縮小されていく中で、実寸寸法デバイスでの直接観察による評価が困難となってきており、従来、多くの場合、マクロな電気特性に基づくコンピュータシミュレーション等の手法により、発光現象を推定している。
【0009】
また、従来、p−n接合に走査電子顕微鏡を用いて電子線を照射し、p−n接合間に流れる電子励起電流(EBIC)を用いて発光現象を観測することが行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の発光現象の観測方法を用いて半導体デバイスの評価を行うと、近年の集積化の進んでいる半導体デバイスを適切に評価することができないという問題があった。
【0011】
すなわち、近年、半導体デバイスは、集積度の向上に伴って、その配線の最小線幅の微細化が進んでおり、例えば、16Mビットのメモリでは、最小線幅が、0.5μm程度、さらに、最近、1Gビットのメモリが出現しており、このような1Gビットのメモリでは、0.1μm程度である。したがって、ホットキャリアやラッチアップによる発光現象を検出して、半導体デバイスを評価するためには、0.1μm以下の微少領域での観測測定が必要となる。
【0012】
ところが、従来のコンヴェンショナルな光学系を用いたマイクロスコープで観測する手法では、原理的に光の回折限界以下の領域の測定は不可能であり、その分解能は、せいぜい約1μm程度である(IEEE Transactions on electron devices Vol.37,No.9 1990,2080ページ参照)。
【0013】
また、走査電子顕微鏡を用いた方法は、p−n接合の接合位置を直接測定することはできるが、試料に対するコンタミネーションの問題や走査電子顕微鏡の性能面での限界により、その分解能が約1μm程度である。
【0014】
したがって、上記従来の発光現象の観測方法は、高密度化が進む半導体デバイスの評価に用いるには、分解能的に不十分であり、より一層微少領域での高分解能な測定方法が要求されている。
【0015】
そこで、従来、近接場光学顕微鏡を用いた半導体材料の評価方法及びその装置が提案されている(特開平9−82771号公報参照)。この半導体材料の評価方法及びその装置は、試料台上の試料である半導体材料に通電し、当該通電された半導体材料から発生する近視野光を検出するもので、試料から発生する近視野光を捕捉するプローブと、このプローブを試料表面に対して垂直方向に振動させる加振機構と、プローブの振動の振幅または周波数の変化を検出して試料表面との間隙を制御する変位検出機構と、プローブで捕捉した光をプローブの振動に合わせて分割して検出する光検出システムを有している。
【0016】
ところが、実際の発光現象は全ての発光成分が散乱されるため、この公報記載の従来の方法では、発光現象の近接場成分のみを検出することができず、適切に半導体デバイスの評価を行うことができないという問題があった。
【0017】
そこで、請求項1記載の発明は、載置テーブルに載置された半導体デバイスに近接して配設され先端が所定の光波長以下の大きさに形成されるとともに当該先端に微小開口の形成されたプローブと半導体デバイスとの相対位置を変化させつつ、半導体デバイスとプローブとの近接場相互作用により半導体デバイスに電子正孔対を発生させ、該電子正孔対が半導体デバイス中を流れる光励起電流の変化を検出して、半導体デバイスの評価を行うことにより、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等を高分解能で測定し、半導体デバイスの評価をより正確に行うことのできる半導体評価装置を提供することを目的としている。
【0018】
請求項2記載の発明は、プローブを当該プローブの共振周波数で水平方向に振動させ、当該振動されるプローブの振動を検出して、当該検出結果に基づいてプローブと半導体デバイスとの間の位置制御を行うことにより、プローブと半導体デバイスとの距離をより精密に制御するとともに、プローブの共振周波数のみで振動させて、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能で、かつ、簡単な構成で測定し、半導体デバイスの評価をより一層正確に、かつ、安価に行うことのできる半導体評価装置を提供することを目的としている。
【0019】
請求項3記載の発明は、光励起電流の変化を検出するとともに、半導体デバイスとプローブとの近接場相互作用による発光現象の変化をプローブで検出して半導体デバイスの評価を行うことにより、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等を測定するとともに、半導体デバイスの欠陥位置及び欠陥分布を高分解能で測定して、半導体デバイスの評価をより正確に行うことのできる半導体評価装置を提供することを目的としている。
【0020】
請求項4記載の発明は、半導体デバイスのp−n接合間に逆バイアス電圧を印加して、半導体デバイスの空乏層の幅を変化させるとともに、当該逆バイアス電圧を変化させながら半導体デバイスの評価を行うことにより、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能で測定し、半導体デバイスの評価をより一層正確に行うことのできる半導体評価装置を提供することを目的としている。
【0021】
請求項5記載の発明は、プローブに導入する光の波長を変化させて、半導体デバイスへの近接場光の侵入深さの変化に応じて電子正孔対を局所的に発生させ、該電子正孔対が半導体デバイス中を流れる光励起電流の変化を検出して半導体デバイスの評価を行うことにより、半導体デバイスの異なった深さのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能に測定し、半導体デバイスの評価をより一層正確に行うことのできる半導体評価装置を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の半導体評価装置は、半導体デバイスの欠陥を近接場相互作用を利用して検出して、前記半導体デバイスの評価を行う半導体評価装置であって、前記半導体デバイスを載置する載置テーブルと、前記載置テーブルに載置されている前記半導体デバイスに近接して配設され先端が所定の光波長以下の大きさに形成されるとともに当該先端部に微小開口の形成されたプローブと、前記プローブと前記半導体デバイスとの相対位置を制御する位置制御手段と、前記プローブに前記所定波長の光を導入する光導入手段と、を備え、前記位置制御手段により前記半導体デバイスと前記プローブとの相対位置を変化させつつ、前記プローブに前記光導入手段から前記光を導入して、前記半導体デバイスと前記プローブとの近接場相互作用により前記半導体デバイスに電子正孔対を発生させ、該電子正孔対が前記半導体デバイス中を流れる光励起電流の変化を検出して、前記半導体デバイスの評価を行うことにより、上記目的を達成している。
【0023】
上記構成によれば、載置テーブルに載置された半導体デバイスに近接して配設され先端が所定の光波長以下の大きさに形成されるとともに当該先端に微小開口の形成されたプローブと半導体デバイスとの相対位置を変化させつつ、半導体デバイスとプローブとの近接場相互作用により半導体デバイスに電子正孔対を発生させ、該電子正孔対が前記半導体デバイス中を流れる光励起電流の変化を検出して、半導体デバイスの評価を行うので、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等を高分解能で測定することができ、半導体デバイスの評価をより正確に行うことができる。
【0024】
この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記半導体評価装置は、前記プローブを当該プローブの共振周波数で水平方向に振動させる加振手段と、前記加振手段により振動される前記プローブの振動を検出する振動検出手段と、をさらに備え、前記位置制御手段が、前記振動検出手段の検出結果に基づいて前記プローブと前記半導体デバイスとの間の距離を前記プローブの微小開口径の長さ以下の距離に位置制御するものであってもよい。
【0025】
上記構成によれば、プローブを当該プローブの共振周波数で水平方向に振動させ、当該振動されるプローブの振動を検出して、当該検出結果に基づいてプローブと半導体デバイスとの間の位置制御を行うので、プローブと半導体デバイスとの距離をより精密に制御することができるとともに、プローブの共振周波数のみで振動させて、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能で、かつ、簡単な構成で測定することができ、半導体デバイスの評価をより一層正確に、かつ、安価に行うことができる。
【0026】
また、例えば、請求項3に記載するように、前記半導体評価装置は、前記光励起電流の変化を検出するとともに、前記半導体デバイスと前記プローブとの近接場相互作用による発光現象の変化を、前記プローブで検出して前記半導体デバイスの評価を行うものであってもよい。
【0027】
上記構成によれば、光励起電流の変化を検出するとともに、半導体デバイスとプローブとの近接場相互作用による発光現象の変化をプローブで検出して半導体デバイスの評価を行うので、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等を測定することができるとともに、半導体デバイスの欠陥位置及び欠陥分布を高分解能で測定することができ、半導体デバイスの評価をより正確に行うことができる。
【0028】
さらに、例えば、請求項4に記載するように、前記半導体評価装置は、前記半導体デバイスに所定のバイアス電圧を印加する電圧印加手段をさらに備え、当該電圧印加手段により、前記半導体デバイスのp−n接合間に逆バイアス電圧を印加して、前記半導体デバイスの空乏層の幅を変化させるとともに、当該逆バイアス電圧を変化させながら前記半導体デバイスの評価を行うものであってもよい。
【0029】
上記構成によれば、半導体デバイスのp−n接合間に逆バイアス電圧を印加して、半導体デバイスの空乏層の幅を変化させるとともに、当該逆バイアス電圧を変化させながら半導体デバイスの評価を行うので、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能で測定することができ、半導体デバイスの評価をより一層正確に行うことができる。
【0030】
また、例えば、請求項5に記載するように、前記半導体評価装置は、前記光導入手段から前記プローブに導入する前記光の波長を変化させて、前記半導体デバイスへの近接場光の侵入深さを変化させ、当該半導体デバイスへの近接場光の侵入深さの変化に応じて電子正孔対を局所的に発生させ、該電子正孔対が前記半導体デバイス中を流れる光励起電流の変化を検出して前記半導体デバイスの評価を行うものであってもよい。
【0031】
上記構成によれば、プローブに導入する光の波長を変化させて、半導体デバイスへの近接場光の侵入深さの変化に応じて電子正孔対を局所的に発生させ、該電子正孔対が半導体デバイス中を流れる光励起電流の変化を検出して半導体デバイスの評価を行うので、半導体デバイスの異なった深さのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能に測定することができ、半導体デバイスの評価をより一層正確に行うことができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0033】
図1は、本発明の半導体評価装置の一実施の形態を示す図であり、図1は、本発明の半導体評価装置の一実施の形態を適用した半導体評価装置1の概略構成図である。
【0034】
図1において、半導体評価装置1は、PZTステージ2、プローブ3、加振機構4、フィードバック回路5、レーザーダイオード(LD)6、フォトダイオード(PD)7、パーソナルコンピュータ8、半導体レーザ9、チョッパー10、反射鏡11、ロック・イン・アンプ12及びバイアス回路13等を備えており、PZTステージ2上に試料14である評価対象の半導体デバイスが設置される。
【0035】
上記PZTステージ(載置テーブル)2上に載置された試料14には、バイアス回路(電圧印加手段)13からバイアス電圧が印加され、試料14とプローブ3との位置制御をパーソナルコンピュータ8が行う。すなわち、パーソナルコンピュータ8は、X方向、Y方向及びZ方向にPZTステージ2を移動させて、PZTステージ2上の試料14とプローブ3との位置制御を行い、位置制御手段として機能している。
【0036】
このプローブ3には、レーザーダイオード6からレーザー光が照射され、その反射光をフォトダイオード7で受光する。フォトダイオード7は、検出結果をフィードバック回路5を介してパーソナルコンピュータ8に出力している。パーソナルコンピュータ8は、PZTステージ2の位置制御を行って、ロックイン検出することにより、プローブ3の高さ方向のフィードバック信号を得て、プローブ3と試料14との位置制御を行う。
【0037】
すなわち、加振機構(加振手段)4は、プローブ3に水平方向の振動を付与するものであり、例えば、PZT等が使用されている。加振機構4は、プローブ3の共振周波数でプローブ3を水平方向に振動させる機能を有しており、このプローブ3の共振周波数は、数kHz〜100kHz程度である。加振機構4でプローブ3をプローブ3の共振周波数で振動させてプローブ3と試料14を接近させると、プローブ3と試料14との間に横方向(水平方向)の剪断応力(シェアフォース)が働き、プローブ3の振幅が小さくなる。このプローブ3の振幅をレーザーダイオード6とフォトダイオード7によりモニターして、パーソナルコンピュータ8によりPZTステージ2の高さ方向(Z方向)の調整を行って、プローブ3と試料14との距離を正確に制御する。上記レーザーダイオード6、フォトダイオード7及びフィードバック回路5は、振動検出手段として機能している。
【0038】
そして、この高さ方向の情報を2次元的にプロットすることにより、試料14の2次元高さ分布(Z方向分布)の情報を得ることができる。また、レーザダイオード6からレーザー光をプローブ3に照射し、その反射回折光をフォトダイオード7で検出して、ロック・イン・アンプ12を用いてロックインさせることにより、プローブ3の高さ方向のフィードバック信号を得ることができる。
【0039】
上記プローブ3の一方側端部には、半導体レーザ9から出射されたレーザー光がチョッパー10及び反射鏡11を介して入射され、プローブ3は、レーザー光が入射されると、他方側端部(先端部)に形成された微小開口部にエバネッセント場が生じて、試料14に照射することができる(応用物理 第65巻 第1号(1996)2ページ参照)。
【0040】
すなわち、プローブ3は、先端部が入射される光の波長以下の大きさに形成されているとともに、当該先端部に光の波長よりも充分に小さい曲率半径に設定された微小開口を有し、他端側からレーザー光が入射されることにより、先端部の微小開口からエバネッセント場が発生する。
【0041】
このようなプローブ3は、先端と反対側の端部からレーザー光が入射されると、先端部の微小開口部にエバネッセント場が発生し、試料14に照射することができる。そして、測定時には、同時に上記剪断応力をモニターしているため、試料14の形状に対応した光の分布が測定可能であり、また、この部分にモノクロメーターを接続することにより、各波長に対応した試料14からの発光分布、すなわち、欠陥等の所在位置及ぶ分布を測定することができる。
【0042】
上記プローブ3の微小開口の形成された先端部を試料14に近接させて微小開口からエバネッセント場を発生させることにより、試料14の表面の形状や光学的特性を測定することができるが、この場合の分解能は、プローブ3の先端の微小開口径とプローブ3と試料14との距離によって決定され、通常の光学顕微鏡のように光の回折限界の影響を受けることがなく、試料14の微小領域からの発光のみを選択的に取り出すことができる。そして、試料14の微小発光部分にプローブ3を近接させると、プローブ3と試料14の発光部分の近距離相互作用(近接相互作用)により当該発光部分の強度、寿命がプローブ3の影響を受けて変化する。この近接相互作用は、試料14から離れると、その距離の3乗に反比例して減少し、プローブ3と試料14表面との間の距離が近接している場合にのみ存在する成分である。そして、プローブ3には、測定対象の発光部分以外からの発光の成分がプローブ3に入らないような遮蔽構造が必要である。すなわち、発光部分以外からの発光の成分は、雑音となるため、信号成分のSN比を向上させる上で、プローブ3には、充分な遮蔽構造が必要である。
【0043】
上記のような作用を行うプローブ3は、例えば、石英ファイバをフッ酸混液で化学エッチングして先鋭化した後、金属コーティングして先端に微小開口を設けることにより、あるいは、シリコンを原子間力顕微鏡用のカンチレバーの根本部分にフォトダイオードの受光構造をくくりつけることにより、あるいは、シリコンの異方性エッチングにより微小開口を空けることにより、形成されている。
【0044】
そして、プローブ3は、上記遮蔽構造を充分に取るために、例えば、厚さ100〜200nm程度の金属膜(例えば、金、銀、アルミニウム、ニッケル等)がコーティングされている。また、プローブ3の先端部の微小開口は、プローブ3を斜めに回転させながら金属を蒸着させたり、有機薄膜をコーティングした後、適当なエッチング液でウェットエッチングすることにより形成することができる。
【0045】
プローブ3の先端には、上述のように、伝搬光成分を遮断するための金属膜がコーティングされて、数十nmの微小開口が形成されているため、伝搬光成分を除去した近接場光成分のみを検出することができる。
【0046】
そして、試料14は、上記プローブ3から近接場光が照射されると、特に、試料14のp−n接合付近で近接場光が照射されると、Siの価電子帯の電子がバンドギャップを飛び越えて、電子正孔対が発生する。半導体評価装置1は、この電子正孔対が試料14中を拡散して流れる光励起電流の変化を検出して、パーソナルコンピュータ8により試料14、すなわち、半導体デバイスの評価を行う。
【0047】
すなわち、半導体評価装置1は、パーソナルコンピュータ8がロック・イン・アンプ12のロックインに基づいてチョッパー10を制御して、半導体レーザ9から出射されるレーザー光をプローブ3の振動と共振させた状態に変調し、当該変調したレーザー光を反射鏡11を介してプローブ3に導入する。半導体評価装置1は、この変調されたレーザー光により、プローブ3にエバネッセント場を発生させるとともに、プローブ3を加振機構4により振動させる。この状態で、パーソナルコンピュータ8が、上述のように、ロック・イン・アンプ12のロックイン及びフィードバック回路5のロックインのフィードバック信号に基づいてPZTステージ2の位置制御を行って、試料14とプローブ3の位置制御を行うとともに、フィードバック回路5の検出結果に基づいて、試料14中を流れる光励起電流を測定して、試料14、すなわち、半導体デバイスの評価を行う。
【0048】
また、半導体評価装置1は、試料14から発生している光をプローブ3で捕獲して、図示しないモノクロメータで検出し、この検出結果から発光分布すなわち欠陥等の所在位置及び分布を測定する。
【0049】
次に、本実施の形態の作用を説明する。半導体評価装置1は、PZTステージ2上に半導体デバイスである試料14が載置され、この試料14にロック・イン・アンプ12を介してバイアス電圧を印加する。そして、半導体評価装置1は、パーソナルコンピュータ8によりPZTステージ2をXYZの3方向に位置調整して、PZTステージ2上の試料14とプローブ3との粗い位置調整を予め行った後、加振機構4によりプローブ3に水平方向であってプローブ3の共振周波数で振動させ、そのときのプローブ3の振幅をレーザーダイオード6からプローブ3に照射したレーザー光をフォトダイオード7で受光することにより、検出する。そして、この加振機構4によりプローブ3に付与する振動は、上述のようにプローブ3の共振周波数の振動である。
【0050】
パーソナルコンピュータ8は、PZTステージ2を介して試料14をプローブ3方向に移動させて、試料14をプローブ3に接近させる。すなわち、プローブ3に、共振周波数の振動が付与されつつ試料14に接近されると、プローブ3と試料14との間に横方向の剪断応力が働いて、プローブ3の振幅が小さくなる。このプローブ3の振幅をレーザーダイオード6からプローブ3に照射したレーザー光の反射回折光をフォトダイオード7で検出することにより検出し、フィードバック回路5からのロックイン検出信号により、プローブ3の高さ方向(Z方向)のフィードバック信号を取得して、試料14の位置制御を行う。
【0051】
この状態で、パーソナルコンピュータ8は、半導体レーザ9からレーザー光を出射させるとともに、チョッパー10を制御して上記共振周波数の振動に同期させて半導体レーザ9から出射されたレーザー光を変調し、この変調したレーザー光をプローブ3に入射させる。
【0052】
プローブ3は、レーザー光が入射されると、プローブ3の先端の微小開口から近接場光が漏れ出て試料14に照射する。試料14は、近接場光が照射されると、Siの価電子帯の電子がバンドギャップを飛び越えて電子正孔対が発生し、この電子正孔対が半導体の試料14中を拡散して、光励起電流として検出される。
【0053】
例えば、p領域で発生した電子(少数キャリア)は、空亡層に到達する前に多数キャリアと結合して死滅するが、空亡層及びn領域に到達したわずかな電子は、空亡層及びn領域では再結合確率が小さいため、そのまま電流として検出される。特に、空亡層内ではキャリアの再結合が少ないため、空亡層に到達した電子は、全て電流として検出される。したがって、電流強度が一番強い部分が接合位置に一致する。
【0054】
また、半導体評価装置1は、試料14に逆バイアス電圧を印加して、試料14の評価を行う。すなわち、試料14のp−n接合に逆バイアスを印加すると、空亡層が広がるため、得られる近接場励起電流の信号半値幅が増大する。このとき、近接場励起電流の信号値の半値幅をΔW(E)、ドーピングした不純物濃度をNd、空亡層の幅をD(E)とすると、次式が成り立つ。
【0055】
D(E)−D(0)=(1/Nd)1/2 ・C・(ΔW(E)−ΔW(0))・・・(1)
ただし、Cは、比例定数であり、Eは、バイアス電圧である。
【0056】
上記(1)式の傾きを求めることにより、試料14の不純物濃度を測定することができる。
【0057】
さらに、半導体評価装置1は、励起波長を変化させて、すなわち、プローブ3に入射させる半導体レーザ9のレーザー光の波長を変化させて、試料14の評価を行う。すなわち、励起波長を変化させると、プローブ3の微小開口から試料14にカップリングした近接場光の試料14内へのしみ出し深さが変化し、励起波長を短くするほど、しみ出し深さが小さくなる。例えば、Si基板に対しては、アルゴンレーザーの515nmの光では、685nm、415nmの光では、280nm、351nmの光では、10nm程度と変化する。したがって、励起光であるプローブ3に導入するレーザー光の波長を変化させることにより、試料14の異なった深さの情報を得ることができる。
【0058】
また、半導体評価装置1は、プローブ3からエバネッセント場を照射させたときに試料14から発生する光を検出して、試料14の評価を行う。すなわち、半導体評価装置1は、プローブ3からエバネッセント場を照射したときに試料14から発生する光をプローブ3で捕獲して、図示しないモノクロメータで検出し、この検出結果から各波長に対応した発光分布、すなわち、試料14の欠陥等の所在位置及び分布を測定する。
【0059】
このように、本実施の形態の半導体評価装置1は、載置テーブルであるPZTステージ2に載置された半導体デバイスである試料14に近接して配設され先端が所定の光波長以下の大きさに形成されるとともに当該先端に微小開口の形成されたプローブ3と試料14との相対位置を変化させつつ、試料14とプローブ3との近接場相互作用により試料14に少数キャリアを励起させ、当該光励起電流の変化を検出して、試料14の評価を行っている。
【0060】
したがって、試料14のp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等を高分解能で測定することができ、試料14である半導体デバイスの評価をより正確に行うことができる。
【0061】
また、半導体評価装置1は、プローブ3を当該プローブの共振周波数で水平方向に振動させ、当該振動されるプローブ3の振動を検出して、当該検出結果に基づいてプローブ3と試料14の間の位置制御を行っている。
【0062】
したがって、プローブ3と試料14との距離をより精密に制御することができるとともに、プローブ3の共振周波数のみで振動させて、試料14のp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能で、かつ、簡単な構成で測定することができ、半導体デバイスである試料14の評価をより一層正確に、かつ、安価に行うことができる。
【0063】
さらに、半導体評価装置1は、光励起電流の変化を検出するとともに、試料14とプローブ3との近接場相互作用による発光現象の変化をプローブ3で検出して試料14の評価を行っている。
【0064】
したがって、試料14のp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等を測定することができるとともに、試料14の欠陥位置及び欠陥分布を高分解能で測定することができ、半導体デバイスである試料14の評価をより正確に行うことができる。
【0065】
また、半導体評価装置1は、試料14のp−n接合間に逆バイアス電圧を印加して、試料14の空乏層の幅を変化させるとともに、当該逆バイアス電圧を変化させながら試料14の評価を行っている。
【0066】
したがって、試料14のp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能で測定することができ、半導体デバイスである試料14の評価をより一層正確に行うことができる。
【0067】
さらに、半導体評価装置1は、プローブ3に導入する光の波長を変化させて、試料14への近接場光の侵入深さの変化に応じて少数キャリアを局所的に励起し、当該励起電流の変化を検出して試料14の評価を行っている。
【0068】
したがって、試料14の異なった深さのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能に測定することができ、半導体デバイスである試料14の評価をより一層正確に行うことができる。
【0069】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0070】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の半導体評価装置によれば、載置テーブルに載置された半導体デバイスに近接して配設され先端が所定の光波長以下の大きさに形成されるとともに当該先端に微小開口の形成されたプローブと半導体デバイスとの相対位置を変化させつつ、半導体デバイスとプローブとの近接場相互作用により半導体デバイスに電子正孔対を発生させ、該電子正孔対が前記半導体デバイス中を流れる光励起電流の変化を検出して、半導体デバイスの評価を行うので、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等を高分解能で測定することができ、半導体デバイスの評価をより正確に行うことができる。
【0071】
請求項2記載の発明の半導体評価装置によれば、プローブを当該プローブの共振周波数で水平方向に振動させ、当該振動されるプローブの振動を検出して、当該検出結果に基づいてプローブと半導体デバイスとの間の位置制御を行うので、プローブと半導体デバイスとの距離をより精密に制御することができるとともに、プローブの共振周波数のみで振動させて、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能で、かつ、簡単な構成で測定することができ、半導体デバイスの評価をより一層正確に、かつ、安価に行うことができる。
【0072】
請求項3記載の発明の半導体評価装置によれば、光励起電流の変化を検出するとともに、半導体デバイスとプローブとの近接場相互作用による発光現象の変化をプローブで検出して半導体デバイスの評価を行うので、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等を測定することができるとともに、半導体デバイスの欠陥位置及び欠陥分布を高分解能で測定することができ、半導体デバイスの評価をより正確に行うことができる。
【0073】
請求項4記載の発明の半導体評価装置によれば、半導体デバイスのp−n接合間に逆バイアス電圧を印加して、半導体デバイスの空乏層の幅を変化させるとともに、当該逆バイアス電圧を変化させながら半導体デバイスの評価を行うので、半導体デバイスのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能で測定することができ、半導体デバイスの評価をより一層正確に行うことができる。
【0074】
請求項5記載の発明の半導体評価装置によれば、プローブに導入する光の波長を変化させて、半導体デバイスへの近接場光の侵入深さの変化に応じて電子正孔対を局所的に発生させ、該電子正孔対が半導体デバイス中を流れる光励起電流の変化を検出して半導体デバイスの評価を行うので、半導体デバイスの異なった深さのp−n接合位置及び少数キャリアの拡散長等をより一層高分解能に測定することができ、半導体デバイスの評価をより一層正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体評価装置の一実施の形態を適用した半導体評価装置の概略構成図。
【符号の説明】
1 半導体評価装置
2 PZTステージ
3 プローブ
4 加振機構
5 フィードバック回路
6 レーザーダイオード
7 フォトダイオード
8 パーソナルコンピュータ
9 半導体レーザ
10 チョッパー
11 反射鏡
12 ロック・イン・アンプ
13 バイアス回路
14 試料

Claims (5)

  1. 半導体デバイスの欠陥を近接場相互作用を利用して検出して、前記半導体デバイスの評価を行う半導体評価装置であって、前記半導体デバイスを載置する載置テーブルと、前記載置テーブルに載置されている前記半導体デバイスに近接して配設され先端が所定の光波長以下の大きさに形成されるとともに当該先端部に微小開口の形成されたプローブと、前記プローブと前記半導体デバイスとの相対位置を制御する位置制御手段と、前記プローブに前記所定波長の光を導入する光導入手段と、を備え、前記位置制御手段により前記半導体デバイスと前記プローブとの相対位置を変化させつつ、前記プローブに前記光導入手段から前記光を導入して、前記半導体デバイスと前記プローブとの近接場相互作用により前記半導体デバイスに電子正孔対を発生させ、該電子正孔対が前記半導体デバイス中を流れる光励起電流の変化を検出して、前記半導体デバイスの評価を行うことを特徴とする半導体評価装置。
  2. 前記半導体評価装置は、前記プローブを当該プローブの共振周波数で水平方向に振動させる加振手段と、前記加振手段により振動される前記プローブの振動を検出する振動検出手段と、をさらに備え、前記位置制御手段が、前記振動検出手段の検出結果に基づいて前記プローブと前記半導体デバイスとの間の距離を前記プローブの微小開口径の長さ以下の距離に位置制御することを特徴とする請求項1記載の半導体評価装置。
  3. 前記半導体評価装置は、前記光励起電流の変化を検出するとともに、前記半導体デバイスと前記プローブとの近接場相互作用による発光現象の変化を、前記プローブで検出して前記半導体デバイスの評価を行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体評価装置。
  4. 前記半導体評価装置は、前記半導体デバイスに所定のバイアス電圧を印加する電圧印加手段をさらに備え、当該電圧印加手段により、前記半導体デバイスのp−n接合間に逆バイアス電圧を印加して、前記半導体デバイスの空乏層の幅を変化させるとともに、当該逆バイアス電圧を変化させながら前記半導体デバイスの評価を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体評価装置。
  5. 前記半導体評価装置は、前記光導入手段から前記プローブに導入する前記光の波長を変化させて、前記半導体デバイスへの近接場光の侵入深さを変化させ、当該半導体デバイスへの近接場光の侵入深さの変化に応じて電子正孔対を局所的に発生させ、該電子正孔対が前記半導体デバイス中を流れる光励起電流の変化を検出して前記半導体デバイスの評価を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の半導体評価装置。
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