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JP3836782B2 - 短尺経糸用部分整経機および短尺経糸の製造方法 - Google Patents

短尺経糸用部分整経機および短尺経糸の製造方法 Download PDF

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JP3836782B2 JP2002334005A JP2002334005A JP3836782B2 JP 3836782 B2 JP3836782 B2 JP 3836782B2 JP 2002334005 A JP2002334005 A JP 2002334005A JP 2002334005 A JP2002334005 A JP 2002334005A JP 3836782 B2 JP3836782 B2 JP 3836782B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本第1の発明は、軸方向搬送装置を有する整経ドラムと該整経ドラムの周りを移動可能な少なくとも1つの糸ガイドとコーン形成装置とを備えており、整経ドラムで成端する糸供給路が設けられている短尺経糸用部分整経機に関する。また、本第2の発明はさらに、少なくとも1本の糸が整経ドラムに巻き取られ、すでに巻き取られた糸と糸供給が制御されて整経ドラム上にコーンが形成されるような短尺経糸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような形態の短尺経糸用部分整経機とこのような短尺経糸の製造方法は、EP0652310A1により公知である。短尺経糸はしばしば「柄用経糸」とも称される。
【0003】
【特許文献1】
EP(ヨーロッパ特許)第0652310A1公報。
【0004】
このような短尺経糸または柄用経糸を製造する場合、短尺経糸が特定長さに至るまでは整経ドラムへの給糸は比較的問題なくおこなうことができる。
【0005】
しかし、例えば整経ドラム円周の3倍または4倍に相当し得る所定長さを超えると、予防措置が講じられていない場合には、短尺経糸を整経ドラムから引き出すときに問題が生じる可能性を有する。
【0006】
知られている可能性としては、糸が整経ドラムの正面側でコーンを形成するように巻着され、個々の糸が或る意味で正確に積層して給糸されなければならない。
コーンの製造に関してはさまざまな可能性がある。例えば、糸ガイドがそれを介して糸を軸方向搬送装置上に、例えば軸方向に移動するベルト上に給糸する案内装置を設けることができる。この案内装置は糸ガイドの各回転ごとに整経方向に動かされる。そして、糸ガイドの回転回数が予め設定された巻取値に達すると、前記案内装置は第2区間(運動区間)だけ戻され、軸方向搬送装置はそれと同時にやはり所定区間(運動区間)だけ整経方向に動かされる。
これに対する選択案として、糸ガイドは各回転ごとに整経方向において第1区間(運動区間)だけ動かすことができる。糸ガイドの回転回数が特定値に達したなら、糸ガイドが戻され、同時に軸方向搬送装置が整経方向で第2の所定区間(運動区間)だけ動かされる。
さらに別の選択案として、軸方向搬送装置の運動のみによってコーン形成を行うことも可能である。
【0007】
いずれにしても、糸ガイドおよび/または軸方向搬送装置の前記運動区間は、短尺経糸を形成する糸の太さまたは糸の直径に依存しているということである。糸の直径が既知である場合には、この値(糸の直径に関するデータ)が部分整経機に入力され、大抵の場合、直径が直接入力されるだけでなく、メートル番手(Nm)の入力および場合によってはさらに糸の材料も入力される。
【0008】
その際、以下の問題が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
つまり、糸太さを導き出すのに利用される式は、少なからぬ事例において、正しい結果を生じさせない。同じ材料および同じ番手の糸の直径がまったく異なることがある。これは特に、使用される糸の準備に左右される。コーン形成のためのコントローラを基に何らかの手法によってコーンも確かに形成される。しかし、その場合にコーン角度が急峻すぎると、コーンは十分な安定性を具備しないものとなる。これは一般に、コーンの傾斜角度(コーン角度)が25°よりも大きい場合に十分な安定性を具備しない。つまり、安定性を具備しないと糸が滑り落ち、その場合、短尺経糸を整経ドラムから繰り出すときに問題が生じることになる。
【0010】
うっかりと間違った値が糸太さの値として入力されて、コーン形成装置が間違った設定をなされるような誤操作によって、他の問題が生じる。そこでも、コーン角度が過度に急峻となり、その急峻なコーン角度に応じた不安定性を生じさせることがある。
【0011】
本発明の課題は、短尺経糸の形成を簡単に高品質で確保することができる、短尺経糸用部分整経機および短尺経糸の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この第1の課題は、冒頭に指摘した種類の短尺経糸用部分整経機において、糸供給路中に糸太さ測定装置が配置されて、この糸太さ測定装置が部分整経機のコントローラに接続されていることによって解決される。
【0013】
操業中に糸の太さを継続的に監視し、こうして、間違った入力または間違った計算によって現実に合致していない糸太さに関する設定がコーン形成装置に好ましくない影響を与えることのないことを担保することが、この糸太さ測定装置によって、可能となる。
こうして、コーン角度が常に所定範囲内(所定角度範囲内)になるよう担保される。このコーン角度を、糸がもはや滑り落ちることのないほどに浅く選定することができる。このようなコーン角度としては例えば18°以下の範囲内の角度である。前記EP0652310A1に述べられているコーン角度が約22.5°〜約62.5°の如き角度条件では、コーンの安定的形成は保証できるものではない。
【0014】
さらに、糸太さ測定装置を短尺経糸用部分整経機内に配置する利点として、糸を整経ドラムに巻着する状態で、つまりコーン形成にとって決定的に重要な状態のときに、即ち、整経ドラムに巻着する最終段階において、糸太さが測定されることである。この場合、糸が受けている応力条件もこの糸太さ測定で測定される糸に反映されている。これは糸太さ測定が部分整経機の外部でおこなわれるように、糸太さ測定装置を外部に配置すると、つまり部分整経機で処理する以前の処理工程(準備段階)のときには、可能でない。また、このように以前の工程(準備段階)において、作用する応力も反映した糸の糸太さの測定をおこなおうことを可能にするには、かなりの費用が必要な装置となる。糸太さ測定装置が部分整経機のコントローラに直接接続されているので、この発明にかかる部分整経機では、コーンが過度に急峻なコーン角度で巻き取られることがないことを担保するべく、所要の安全措置または制御措置を講じることが容易にできる。
【0015】
好ましくは、糸ディスクが設けられ、その縁を経由して糸供給路が形成されており、糸太さ測定装置は、この糸ディスクの領域内に、特に糸の走行方向で糸ディスクの背後(整経ドラム側)に配置しておくような構成である。このように構成することによって、前記定義された条件が生じる。すなわち、確実に維持される特定の整列を各糸が有する、糸区間部分を得ることができる。前記糸ディスクは、単数または複数本の糸を糸ガイドの回転軸線から特定の半径方向距離で保持して、糸太さ測定装置の領域にかなりの長い周回路を持つ。この結果、複数本の糸の場合でも十分に長い時間が得られ、この時間内に糸太さ測定装置は確実な測定結果を得ることができる。前記糸ディスクが整経ドラムとほぼ同じ直径を有し、糸太さ測定装置が糸ディスクの背後(整経ドラム側)に配置されている場合、測定時に、糸は、ほぼ糸ガイド(あるいは整経ドラム)の回転軸線と平行に走ることになる。
【0016】
好ましくは、糸太さ測定装置が各糸ごとに独自の測定区間を有するよう構成することである。その場合、糸太さ測定装置をクリールに配置することが、望ましい。整経時に常に同時に1本の糸のみが整経される場合、これは問題なく可能である。その場合、この糸を糸太さ測定装置に通し、この糸の太さを継続的に監視することができる。回転式クリールが使用され、つまり複数本の糸を同時に整経しようとする場合、ここでも各糸ごとに独自の測定区間を設けることができる。その場合にも、整経過程中、糸の太さを継続的に監視することが可能である。この監視方式は信頼性が高い。ただし、そうすると装置に多少多くの費用を必要とする。
【0017】
好ましくは、各糸は、整経ドラムに関して軸方向を向く成分を有する部分が、円軌道上で案内されており、糸太さ測定装置はこの円軌道に対して接線方向に配置されているように構成することである。このように構成すると、単数または複数本の糸を糸太さ測定装置の脇に通しまたはそのなかを通過させるための比較的簡単な構成を実現することが可能である。前述のように糸太さ測定装置を接線方向に配置する場合、単数または複数本の糸が通過する円の外側に糸太さ測定装置全体が配置されているように、配慮することができる。そのことで配置が簡素になる。部分整経機の内部に配置する必要がない。
【0018】
好ましくは、糸太さ測定装置が送波器と受波器との間に放射測定域を有するような構成である。糸太さ測定装置によって、糸が測定されるとき、糸はこの放射測定域を通過することになる。つまり、受波器は、糸が存在するときには存在しないときに比べて、より少ない放射量(放射束)を受け取り、この少ない放射量から糸太さを確実に判断することができる。
【0019】
好ましくは、各糸を放射測定域内で所定軌道上に案内する糸案内装置が設けられているように構成することである。このように構成すると、糸案内装置が各糸と測定装置との間の位置関係を決定し、糸が予測不可能な付加的運動をおこなうような危険は小さく抑えられる。この糸案内装置は、放射測定域内で糸に所定の運動(走行)を強制し、糸太さ測定装置は各糸太さ測定時に常に同じ条件で測定をおこなうことが可能となる。
【0020】
特別に好ましくは、糸案内装置が案内面を有し、この案内面に沿って糸が滑動し、案内面が放射方向と平行に整列したように構成することである。この構成の場合、糸が案内面に沿って滑動する間、該糸が放射方向に垂直に常に同じ位置を占めるように配慮されることになる。つまり、糸太さ測定装置の受波器は、前記滑動している時間の間、同じ陰影に曝されていることになる。そのことから、糸太さの測定の信頼性がより向上する。
【0021】
好ましくは、前記糸太さ測定装置がレーザ測定装置により構成されているような構成である。この構成の場合、放射は光線によって、より正確にはレーザ光によって形成されている。レーザ光は指向性(方向性:非拡散性)を有するという利点があり、この結果、糸太さに関するばらつきの影響を小さく抑えることができる。
【0022】
例えば、1本の糸が測定域を通過するとき糸太さの測定を5回実施し、この5回の測定から平均値を算出することができる。このような構成は、高い精度でもって糸太さを算出(測定)するうえで、比較的簡単な処理手法である。
【0023】
好ましくは、糸太さ測定装置が糸ディスクと糸ガイドとの間に配置されているように構成することである。このような構成では、糸ガイドを、半径方向においてその回転軸線から糸ディスクの縁と同じ距離(寸法)だけ離間しているように配置することができる。つまり、糸は糸ディスクと糸ガイドとの間の領域でほぼ回転軸線と平行に走ることになる。こうして、歪みの無い状態で、太さ測定をすることが可能となる。
【0024】
好ましくは、糸太さ限界値用設定装置とエラー計数器とを備えた制御装置を、コーン形成装置が有し、エラー計数器が各糸ごとに別々に糸太さ限界値の超過を「エラー」として計数し、所定数のエラーが生じると、制御装置が部分整経機のコントローラのために第1停止信号を発生するように構成することである。このような構成では、入力された値を基に、または入力された値から導き出された値を基に、所望のコーンが形成される。これらの値は、単数または複数本の糸に直接関係した値か、または部分整経機調整の値のいずれかの値とすることができる。しかし、前記制御装置は糸太さ測定装置を利用して、これらの設定値が実際に利用される値に一致するかどうか、または合理的関係にし得るかどうか、または許容されているかどうかを点検することができる。例えば、入力した値に基づいて、測定した糸太さに関する値(測定値)が許容される糸太さ限界値を超過することが判明すると、制御装置は何かが多少合っていないことを確認して、部分整経機を停止させる。しかし、制御装置は、糸太さ限界値を測定値が最初に超過するときには、直ちに反応するのではない。つまり、これは、多くの天然糸で局所的に現れるような糸スラブ(毛羽等による糸の不均整)が測定されるだけの場合に部分整経機が停止されるような事態を回避するためである。そのため、単独のエラーが現れたような事態は許容される。しかし、例えば2つのエラーが前後して現れまたは糸径(糸太さ)が2回のラウンドで2度超過するような場合、部分整経機は停止させられる。その場合、部分整経機はその整経過程(作業)を終了する。
【0025】
好ましくは、制御装置がリセット入力装置を有し、このリセット入力装置を介してエラー計数器に作用して且つ第1停止信号に重ね書きし、所定数のエラー後に制御装置が第2停止信号を発生し、この第2停止信号はリセット入力装置を介して重ね書き可能でないように構成することである。こうして、例えば局所的に現れるだけの糸スラブによって糸太さの超過が単に偶然であった場合に、重ね書きするという、付加的に安全措置が講じられる。つまり、エラーが最初に現れると、部分整経機は停止するが、オペレータによって再び始動させることができる。しかしエラーが再度発生すると、重ね書き可能でなく、部分整経機はただちにその整経過程(作業)を停止する。すると、部分整経機は、再び初期状態にリセットされる場合を除いて、始動させることができない。すなわち、すでに巻着された糸は完全に取り除かれねばならず、新たに整経プログラムが入力され実行されなければならない。これは基本的に大きな損失なしに可能となる。なぜならば、過度に太い糸が実際に使用される場合にのみ、部分整経機の完全な整経過程(作業)の停止が実行されるからである。しかし、実際に整経される糸が所定長さにわたって過度に太い場合には、エラーは整経過程の再開時に直ちに現れることから、整経ドラムに給糸された巻糸は基本的に極く僅かとなる。このように損失が僅かな巻糸ですむ場合には、材料損失が少なく、他方で、使用可能な柄用経糸を形成することのない糸が、大きな困難なしに整経ドラムから引き出し得ることを、可能とする。
【0026】
選択的または付加的な1つの構成としては、糸太さ測定装置がコーン形成装置の駆動装置に作用するように構成することである。制御装置が実際の糸太さに関する値を利用できる場合、制御装置は、整経ドラムへの給糸を制御する軸方向搬送装置の送りおよび/または糸ガイドの動作を、希望するコーン角度が実際に形成されるように制御し又は相互に調整することができる。糸太さ測定装置は、その場合、単に監視に役立つだけでなく、実際にはコントローラの制御のための構成要素にもなっている。
【0027】
好ましくは、糸太さ測定装置が継続的に存在信号を発生し、その際、部分整経機のコントローラはこの存在信号が検出できない状態ではロック(施錠)されているように構成することである。こうして、糸太さ測定装置なしでは操作員(あるいは部分整経機の所有者)が部分整経機を操業できないことが確保される。操作員が部分整経機から糸太さ測定装置を撤去しまたはそれらの接続を遮断すると、前記存在信号が無くなり、部分整経機はまったく運転できないことになる。
【0028】
前記第2の課題は、冒頭に指摘した種類の方法において、糸の各回転(整経ドラムの回転)ごとに糸の太さが少なくとも1回測定されることによって解決される。
【0029】
短尺経糸用部分整経機に関連して上述したように、こうして用意される糸太さに関する値でもって部分整経機のコントローラは作動し、または特にコーン形成時に許容限界値が守られているか否かが、自動的に点検できる。
【0030】
その際、好ましくは、測定された糸太さがコーン形成の制御に利用されるように構成することである。例えば、整経ドラムに給糸するのに利用される軸方向搬送装置および/または糸ガイドの運動は、糸太さに依存して、例えば18°以下のコーン角度が生じるように選定(設定)することができる。
【0031】
選択的にまたはそれを補足して、測定された糸太さは、設定された調整が許容されているか否かを確認可能な監視量として利用することができる。その場合、測定された糸太さは、確かに、操業中に部分整経機を制御、つまり調整するのに利用されることはない。しかし、例えば過度に急峻なコーン角度を生じる「禁止」値または非許容値となる場合に、部分整経機の運転ができなくなることが担保される。つまり、操作員は、間違った入力によって満足できない結果を伴うコーン角度が生じる状況を、引き起こすことができない。
【0032】
好ましくは、設定された調整が、既存の糸太さにおいて許容されていない場合、部分整経機が停止されるように構成することである。こうして、操作員が不注意からまたは特定の意図から間違った設定値を入力するような場合にも、所定のコーン角度を超過するようなことがない状態を担保できる。
【0033】
以下、図面に基づいて好ましい実施形態を例に挙げて、本発明を詳しく説明する。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1に示す短尺経糸用部分整経機または柄用経糸用部分整経機は整経ドラム1を有し、整経ドラム1の周面に該整経ドラム1の軸線と平行に配置された搬送ベルト2を有する。そして、柄用経糸が整経されるとき、搬送ベルト2は詳しくは図示しない駆動コントローラの制御によって図1の矢印3で示す方向にゆっくりと動かされる。この状態のとき、整経ドラム1は回転不可能にしっかり保持されている。一方、柄用経糸が整経ドラム1から繰り出されるときには、前記搬送ベルト2は停止しており、整経ドラム1は軸線を中心に回転できる。この搬送ベルト2が軸方向搬送装置を構成しているが、場合によっては、軸方向搬送装置は別の形態のもので実現することも可能である。
【0035】
前記整経ドラム1には、軸線と平行にデバイディングロッド4、5、6が配置されており、これらはその生ずる機能によって「リーズロッド」または「切断ロッド」とも称されるものである。
【0036】
給糸のために、図2に図示するように、回転式クリール7が設けられており、このクリール7は多数のボビン9を担持した回転体8を有する。回転体8はカルダン軸17を介して、回転体8専用でない駆動装置(別の装置を駆動する駆動装置)によって駆動される。しかし、回転体8は回転体8専用の駆動装置によって駆動するような構成であってもよい。
【0037】
整経ドラム1の一端に配置された糸ガイド11は、該整経ドラム1の周囲に糸層を形成する際、回転式クリール7の回転体8と同期して駆動される。糸ガイド11は回転式クリール7から糸12を引き出して搬送ベルト2上に給糸し、選択的にデバイディングロッド4、5、6の上または下に給糸する。すでに述べたように、この作業過程のときには前記整経ドラム1は回転が不可能に保持されるとともに、前記搬送ベルト2が図1の矢印3の方向に移動することによって整経ドラム1の周囲に糸層が形成される。
【0038】
糸ガイド11は調整可能(変更可能)となっている。すなわち、整経ドラム1の軸方向における給糸位置を変更することが可能になっている。操業時、糸ガイド11の給糸位置を連続的に変更して搬送ベルト2の送り量に合わせることができ、糸ガイド11に向き合う整経ドラム1上の糸層の端部(糸層の糸ガイド側の端部)は円錐状に角度を有する端部となる。このコーン角度は20°未満、好ましくは18°以下、とすべきである。コーン部分整経機の場合には、一般に15°のコーン角度が使用されるが、この部分整経機の場合にもこのコーン角度になるように努めるべきである。
【0039】
このコーン角度を形成する際に、コーン角度形成の重要な要素となるのは搬送ベルト2の送り量である。この送り量は、例えば多段式変速機を介して、糸ガイド11の各回転時に送り速度が0.5mm、1mm、2mmまたは3mmとなるように調整することができる。送り速度が大きければ大きいほどコーン角度は一層浅く(コーン角度が小さく)なる。糸ガイド11の1回転当りの送り量が大きければ大きいほど、相並んで整経ドラム1に配置される糸密度が一層少なくなり、従って製造可能な柄用経糸の長さが一層短くなる。
【0040】
コーン角度は糸12の太さにも左右される。糸12の太さが大きければ大きいほど、糸ガイド11の1回転当りの搬送ベルト2の送り量は、希望する浅いコーン角度を達成するためには一層大きく設定されなければならない。
【0041】
コーン角度が過度に急峻(大きな角度)であると、巻取り時に糸がコーンから滑り落ちてもつれ(あるいは「ほつれ」)、整経過程後に短尺経糸または柄用経糸の正常な引出しが不可能となる可能性をはらんでいる。自動化によって一定の保護を提供するために、部分整経機内にプログラムコントローラが設けられており、このプログラムコントローラには入力装置13を介して糸12の太さまたはその糸12の太さに対応するパラメータが入力される。これらのパラメータから部分整経機のプログラムコントローラは糸ガイド11の1回転当りの搬送ベルト2の送り速度(送り量)を計算し、変速機の複数の変速段から適合する変速段を選択する。このように選択された変速段(変速比)とその他のパラメータは、表示装置14に表示することができる。
【0042】
しかし、利用者によっては時として入力ミスを犯し、すなわち糸12太さに関してうっかりと間違ったパラメータを入力することがある。その間違った入力によって、望ましくない状態、つまりコーン角度が一層急峻となってしまい、柄用経糸を整経ドラム1から正常に繰り出すことができなくなることにもなる。そのことから問題が大きくなってしまうため、主として、このような事態を一層確実に防止することが望まれる。
【0043】
このため、本発明にかかる部分整経機には糸太さ測定装置19が設けられている。この糸太さ測定装置19を、図2〜図4に基づいて詳しく説明する。
【0044】
糸12は、停止した糸ディスク16を介して糸ガイド11へと給糸される。この際、糸12は糸ディスク16を介して軸方向と周方向に引っ張られる。それゆえに糸ディスク16と糸ガイド11との間に形成されている、糸供給路18の糸部分18aは、糸ガイド11の回転軸線に対して実質上平行に延びることになる。前記糸部分18aは整経ドラム1で成端する糸供給路の糸の一部を構成する。見易くする理由から、図2には図1よりも少ない数の糸12が示してある。回転式クリール7を使用する場合、基本的に約12本の糸12を整経することができる。その場合、糸ディスク16上での糸12の間隔は30°となる(図3参照)。
【0045】
前記糸給糸路の糸走行方向において、糸ディスク16の直後(整経ドラム1側)に糸太さ測定装置19が配置されており、糸12が整経ドラム1の周囲に巻着されるまでの間に、この糸太さ測定装置19によって、糸12の太さは算出できる。つまり糸太さの測定は、巻取結果に直結するような状態(過程)下で行われる。
【0046】
この糸太さ測定装置19は、送波器20と受波器21を有し、これらの両者の間に放射測定域22が形成されている。この実施形態では、糸太さ測定装置19はレーザ測定装置により構成されている。つまり、放射測定域22内にレーザ光線からなる「放射束」が存在し、糸が糸ガイド11によって整経ドラム1の周りでの周回を実行する少し前に、この放射束を糸12が通過する。糸12が放射測定域22に進入すると直ちに受波器21に対して陰影を生じさせる。受波器21は、この陰影によって受波出力の低下をきたし、この低下の程度から通過する糸12の太さを比較的正確に算出することができる。
【0047】
望ましくは、糸12が放射測定域22内にあるときに、糸太さの測定は複数回、例えば5回実施される。次に、この5回の測定結果から平均値が算出される。
【0048】
詳しくは、図示しないが送波器20が電子制御装置を有し、受波器21は電子受波・評価装置を有する。送波器20の放射源は紫外線放射から赤外線放射までの範囲内の波長を有するものであってよい。このような放射は平行に、すなわちテレセントリックに、整列しておこなわれ、均一な強度分布(放射束の密度分布)を有するようにおこなわれる。好ましくは、放射は1直線に形成されることである。放射は脈動的に、すなわち閃光の形で放出することができ、望ましくは閃光のタイミングは糸の走行に同期化されておこなわれるようにすることである。この放射は、混合波長で構成することができ、またはレーザが使用される場合、単一の波長を有するものとするもできる。
【0049】
送波された放射を受波器21が受波するが、その際、放射は直接的にあるいは光学系を利用して受波器21に達するように構成することができる。
【0050】
詳しくは、図示しないが、糸太さ測定装置は他の個所に、例えば糸を供給するクリール出口に配置しておくこともできる。これは、常に1本の糸のみが同時に引き出されて整経ドラム1に巻掛けられる標準クリールである場合、簡単に実施可能な形態となる。その場合も、走行中の糸は糸太さ測定装置の測定区間を通すことができる。
【0051】
しかし、回転式クリール7を使用する場合でも、糸太さ測定装置19を回転式クリール7の領域に配置し、各糸ごとに独自の測定区間を設け、糸12の太さを連続的に監視できるようにすることが可能である。
【0052】
糸太さの評価(測定)に関しては複数の可能性を有する。一方で、受波器21は受波した放射の量を算出できる。糸によって陰影が生じると受波する放射量(放射束)は減少する。放射量(放射束)の差、すなわち受波出力の低減が糸径の尺度となる。
【0053】
選択的な1つの構成では、センサは受波した放射の量を、付加的に測定域内の陰影位置によって算出できるものであってもよい。糸のエッジまたは縁を算定することによって、電子評価装置を利用して糸の直径は算定できる。
【0054】
糸ディスク16と糸太さ測定装置19との間は、剛的に結合されていないので、糸12はこれらの間で予測不可能な付加的動きをする可能性がある。このような糸12の動き、および場合によって存在する糸12の振動が、糸太さの測定結果に影響するのを極力小さく抑えるために、測定区間内に糸案内装置50を配置する。この構成では、糸12が測定域内を移動する限り、この糸案内装置50が糸12に直線運動を強いることになる。この糸案内装置50は、例えば、光線(放射)方向と平行に放射測定域22内を延びる棒の形態によって構成することもできる。その構成が、図3に略図的に示されている。ここでは、糸12は放射測定域22の領域では円軌道から外れて、光線(放射)方向と平行に放射測定域22内を直線に延びる(円軌道に対して接線方向に延びる)棒の形態の糸案内装置50に沿って滑動する。
【0055】
この実施形態の場合、放射測定域22の長さ、すなわち送波器20と受波器21との距離は約300mmである。糸太さ測定装置19でもって、糸は最大糸径1mmまで測定することが可能である。測定できる最小糸径は約0.05mmである。この測定結果は、ごく小さな、具体的には±0.05mmの公差を伴う。
【0056】
この糸太さ測定のとき、確かに、各糸の太さはその全長にわたって連続的に確認されるのではない。しかし、一定の確実性をもって、糸がその長さにわたって実質的に同じ太さを有することを前提とすることができ、整経に使用される各糸を短い間隔で太さ検査すればコーン構成のための制御としては十分である。
【0057】
図4に示す他の実施形態では、図1〜図3と同じ部品に同じ符号が付けてある。回転式クリール7の代りにここでは、単一の糸12を同時に整経できるのみの標準クリール7'が使用されるている。この実施形態では、糸交換のために、柄糸の一つとして使用される糸を受容して投下する交換箱15が設けられている。
【0058】
糸太さ測定装置19は、図1〜図3の実施形態におけると同様に作用する。
【0059】
図5は糸太さがどのように利用されるのかを概略示している。ここでは、入力装置13を介して、操作員は、糸太さ自体かまたは番手Nmと密度ρのいずれかを設定する。こうして、糸太さdは密度ρを利用して設定する場合、次式で推定できる:
【0060】
【数1】
Figure 0003836782
【0061】
選択的に、未知の直径の糸を糸太さ測定装置19の放射測定域22に通すために「テストラウンド」を行うこともできる。
【0062】
入力装置13を介して設定された糸太さの値を基に、部分整経機のコントローラ24が変速機の適合する変速段を選定し、整経過程を開始することができる。しかし、この実施形態では、整経時に糸12の糸太さは連続的に監視されるようになっている。選択された変速機の変速段を基に、すなわち糸ガイド11の1回転当りの搬送ベルト2の送り量を基に、希望するコーン角度を実現するために個別の糸がいかなる最大太さを持ち得るかを計算することができる。監視されるこの最大糸径が設定装置25に通知され、設定装置25は最大許容糸径にさらに安全係数、例えば係数3を掛ける。この設定装置25は比較器26に接続されており、比較器26の別の入力端は糸太さ測定装置19と接続されている。
【0063】
操業時に、設定装置25によって設定された最高許容糸太さよりも大きい糸太さを糸太さ測定装置19が検出すると、これはエラーと検知されてエラー計数器27に通知される。エラー計数器27は、部分整経機が回転式クリール7を利用する場合、各糸ごとに個別のレジスタを有する。このエラー計数器27は発生したエラーを計数する。例えば糸ガイド11の連続する2回転において1本の糸で、設定装置25によって設定された糸太さの超過が2度起きると、部分整経機のコントローラ24は部分整経機を停止させる。この停止のために、前記エラー計数器27は第1停止信号を発生させる。
【0064】
その後、部分整経機を再び始動させることができる。この再始動のために、操作員は、入力装置28を介して始動信号を発じさせる。しかし、再度エラーが現れるや、部分整経機はただちに再度停止させられ、次に始動できる条件は、整経のプログラムが新たに開始されるときにのみ、すなわち、すでに巻き取られた糸が整経ドラム1から取り外されて後に、新たな整経プログラムをスタートさせるときにのみ始動できることになる。
【0065】
前記作用を奏する整経機の採用に際して、多くの糸が例えば毛羽によって局所スラブを有する事実が配慮される。単一のスラブの存在は過度に太い糸が使用されたことの顕著な証(あかし)ではまだない。このような単一のスラブ(毛羽)はコーン構成を事実上妨げることもないからである。しかしながら、整経ドラム1の円周に所定の間隔でこのようなスラブ(毛羽)が複数存在する可能性は比較的小さい。つまり、エラーが二度現れるなら、これはすでに、選択された糸の太さが全体として大きすぎることの証(あかし)と判断される。従って、エラーが二度現れると部分整経機は停止させられ、操作員はこのエラーの原因を点検する必要がある。操作員は、点検の結果、糸の太さが、結局正しいと確認すると、部分整経機を再び始動させることができる。操作員が点検の結論を間違った場合、そのことは糸太さ測定装置19によってその後確実に検知され、部分整経機は最終的に停止させられることになる。従って、作業員の人為的ミスが生じる可能性はない。
【0066】
図5において、糸太さ測定装置19から部分整経機のコントローラ24に至る破線L31によって、点検の可能性が排除されるのを防止するために特定の安全措置が講じられることが示されている。糸太さ測定装置19は破線L31を介して存在信号31を部分整経機のコントローラ24に継続的に送信する。この存在信号31が存在していないと、部分整経機のコントローラ24は該部分整経機を始動させることができない。
【0067】
さらに、糸12が放射測定域22を通過するたびに測定信号が発生されるか否かも確認される。糸12が放射測定域22を通過する時点はあらかじめ判っている。ここで、絶対的に予想される通過時に測定信号が現れないと、部分整経機はやはり停止される。
【0068】
図6に示す別の処理手法では、糸太さ測定装置19を、部分整経機を制御するのに、直接利用できる。部分整経機のコントローラ24は、搬送ベルト2用に速度を無段的に調節可能な駆動装置29、また糸ガイド11の給糸位置用にやはり調節可能な位置決め駆動装置30を有する。糸太さ測定装置19の出力信号(糸太さに関する信号)がこれら両方の駆動装置29、30に供給されることが図6に略示されている。事実、糸太さ測定装置19の出力信号は、当然に、直ちに処理されねばならない。図6で選択された略図で示そうとするのは、搬送ベルト2の送り量と糸ガイド11の位置決めが実際に測定された糸太さに依存して行われることを示そうとしている。
【0069】
【発明の効果】
本発明にかかる短尺経糸用部分整経機および短尺経糸の製造方法によれば、短尺経糸の形成を簡単に且つ高品質で確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 短尺経糸用部分整経機の略斜視図である。
【図2】 糸太さ測定を説明するための詳細図である。
【図3】 糸ディスク部分の略正面図である。
【図4】 別の実施形態における糸太さ測定の構成を示す。
【図5】 第1の部分整経機の構成を説明する概略のブロック図(構成図)である。
【図6】 第2の部分整経機の構成を説明する概略のブロック図(構成図)である。
【符号の説明】
1……整経ドラム
2……搬送ベルト(軸方向搬送装置)
11……糸ガイド
18……糸供給路
19……糸太さ測定装置

Claims (17)

  1. 軸方向搬送装置を有する整経ドラムと整経ドラムの周りを移動可能な少なくとも1つの糸ガイドとコーン形成装置とを備えるとともに、前記整経ドラムに給糸する糸供給路が設けられている短尺経糸用部分整経機において、
    前記糸供給路(18)中に糸太さ測定装置(19)が配置され、この糸太さ測定装置(19)が部分整経機のコントローラ(24)に接続されていることを特徴とする部分整経機。
  2. 糸ディスク(16)が設けられ、その縁を経由して前記糸供給路(18)が延びており、前記糸太さ測定装置(19)が糸の走行方向において前記糸ディスク(16)の背後、つまり該糸ディスク(16)の前記整経ドラム側の領域に、配置されていることを特徴とする請求項1記載の部分整経機。
  3. 前記糸太さ測定装置(19)が、各糸用に独自の測定区間を有することを特徴とする請求項1記載の部分整経機。
  4. 各糸は整経ドラム(1)に関して軸方向を向く成分を有する糸部分(18a)が円軌道上で案内されており、糸太さ測定装置(19)はこの円軌道に対して接線方向に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の部分整経機。
  5. 前記糸太さ測定装置(19)が、送波器(20)と受波器(21)との間に、放射測定域(22)を有することを特徴とする請求項4記載の部分整経機。
  6. 各糸を前記放射測定域(22)内において所定軌道上に案内する糸案内装置(50)が設けられていることを特徴とする請求項5記載の部分整経機。
  7. 前記糸案内装置(50)が案内面を有し、この案内面に沿って糸(12)が滑動し、該案内面が放射方向と平行に整列していることを特徴とする請求項6記載の部分整経機。
  8. 前記糸太さ測定装置(19)がレーザ測定装置で構成されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項記載の部分整経機。
  9. 前記糸太さ測定装置(19)が、糸ディスク(16)と糸ガイド(11)との間に、配置されていることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項記載の部分整経機。
  10. 前記コーン形成装置が、糸太さ限界値用設定装置(25)とエラー計数器(27)とを備えた制御装置を有し、このエラー計数器(27)が各糸ごとに別々に糸太さ限界値の超過をエラーとして計数し、所定数のエラー後に、前記制御装置が部分整経機のコントローラ(24)のために第1停止信号を発生することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1の項に記載の部分整経機。
  11. 前記制御装置がリセット入力装置(28)を有し、このリセット入力装置を介してエラー計数器(27)に作用し且つ第1停止信号に重ね書きし、所定数のエラー後に制御装置が第2停止信号を発生し、この第2停止信号はリセット入力装置(28)を介して重ね書き可能でないことを特徴とする請求項10記載の部分整経機。
  12. 前記糸太さ測定装置(19)が、コーン形成装置の駆動装置(29、30)に作用することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の部分整経機。
  13. 前記糸太さ測定装置(19)が継続的に存在信号(31)を発生し、前記部分整経機のコントローラ(24)が前記存在信号(31)の受信がない状態ではロックされるよう構成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載の部分整経機。
  14. 少なくとも1本の糸が整経ドラム上に巻き取られ、すでに巻き取られた糸と次の糸の糸供給が制御されて整経ドラム上にコーンが形成されるようになった短尺経糸製造方法において、
    糸が前記整経ドラム上を各回転されるときに、該糸の太さが少なくとも1回測定されることを特徴とする方法。
  15. 測定された糸太さがコーン形成の制御に利用されることを特徴とする請求項14記載の方法。
  16. 測定された糸太さは、設定された糸給糸に関する調整が許容されるものであるか否かを確認可能とする監視量として利用されることを特徴とする請求項14記載の方法。
  17. 前記調整が測定された糸太さに対し測定された糸太さが許容されていないと、部分整経機が停止することを特徴とする請求項16記載の方法。
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