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JP3835240B2 - ラケット - Google Patents

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JP3835240B2
JP3835240B2 JP2001316917A JP2001316917A JP3835240B2 JP 3835240 B2 JP3835240 B2 JP 3835240B2 JP 2001316917 A JP2001316917 A JP 2001316917A JP 2001316917 A JP2001316917 A JP 2001316917A JP 3835240 B2 JP3835240 B2 JP 3835240B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はテニスラケットやバドミントンラケット等に好適なラケットに係り、詳しくは振動吸収機能を有したラケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
テニスやバドミントン等の球技用ラケットは、フェース部にガット(ストリング)が張られるのであるが、この際、フェース部にグロメットと通称されるガット保護部材を装着してからガットを張るようにしている。
【0003】
このガット保護部材は、フェース部の孔に挿通される複数の筒部と、筒部の基端同士をつなぐ帯部とからなる。この筒部の内孔にガットが挿通される。
【0004】
このガット保護部材に振動吸収機能をもたせるために、特開昭61−73675号公報に、フェース部と接触する部分をtanδ0.01〜1.0の合成樹脂又はゴムで構成することが記載されている。また、実開平5−35161号公報には、帯部に中空部を形成することにより振動吸収機能をもたせたガット保護部材が記載されている。
【0005】
かかるガット保護部材によると、ガットから伝播してくる振動をある程度吸収でき、フェース部に伝わる振動がそれなりに小さくなるが、ガットの振動そのものを減衰させる作用は殆ど奏されない。
【0006】
特開平9−299517号公報には、フェース部の内周面に沿って溝を設け、この溝に振動吸収材を設けることが記載されている。
【0007】
また、特開2000−61006号には、フェース部にガット挿通用の孔が設けられており、該外周部に沿ってガット保護部材の帯部が配置され、該帯部から起立した筒部が該孔に挿入されているラケットにおいて、該ガット保護部材の筒部は該外周部の孔にのみ挿通されており、該内周部の孔には、該ガット保護部材とは別体であり、該ガット保護部材よりも軟質な筒状の振動吸収材が装着されているラケットが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特開平9−299517号のように、振動吸収材をラケットフレームの内周面に沿って取り付けた場合、ラケットのガットを張る場合に、振動吸収材が邪魔になって、ガットを張る器械を選ばないと張れなかったり、無理にガットを張って振動吸収材を傷つけたり壊してしまったりするなど、ガットを張る作業の上で問題があった。
【0009】
また、特開2000−61006号では、優れた振動吸収作用が奏されるが、ガットを張る際にガットをガット保護部材と振動吸収材の双方に通す必要があり、ガット張り作業に手間がかかる。
【0010】
本発明の目的は、振動吸収性が高く、見栄えも良く、更に、ガットを張る作業性も良い振動吸収材を設けたラケットを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のラケットは、ガットが張られるフェース部を有し、該フェース部にガット挿通用の孔が間隔をおいて設けられており、該フェース部の外周面に沿ってガット保護部材の帯部が配置され、該帯部から起立した複数の筒部の各々が該孔に挿入され、該筒部の先端がフェース部の内周面から突出しているラケットにおいて、該ガット保護部材の筒部に外嵌され、且つ該ガット保護部材と共に該ガット挿通孔に挿入された、該ガット保護部材よりも軟質な振動吸収材を備えており、前記振動吸収材は前記フェース部の内周面から突出しており、前記振動吸収材は、前記ガット保護部材の筒部に外嵌したスリーブと、該スリーブと一体であり、前記フェース部の外周面と前記ガット保護部材の帯部との間に介在されたフランジとを有しており、複数の振動吸収材が連なって振動吸収材連続体を構成しており、前記ガット保護部材の筒部付け根部の外周面に突起が設けられており、前記振動吸収材には、該突起が係合する切欠状部が設けられており、前記突起は前記ガット保護部材の長手方向に張り出すように前記筒部から直径方向に突設されており、前記切欠状部は、前記スリーブの直径方向に対峙して設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
かかるラケットにあっては、ガット保護部材の筒部が該振動吸収材に接触しているため、ガットの振動が該筒部を介して振動吸収材に伝わり、吸収される。
【0013】
この振動吸収材は、振動吸収効果を高めるためにガット保護部材の筒部のなるべく多くの部分に外嵌していることが好ましく、筒部と共にフェース部の内周面から突出している。なお、このように構成すると、ボールヒット時に筒部が振動吸収材を押して撓むことができ、ラケットの反発性能も向上する。
【0014】
本発明では、振動吸収材は、前記ガット保護部材の筒部に外嵌したスリーブと、該スリーブと一体であり、前記フェース部の外周面と前記ガット保護部材の帯部との間に介在されたフランジとを有する。
【0015】
このガット保護部材の帯部とフェース部外周面との間に介在したフランジも振動吸収作用を奏する。即ち、ガットの振動がガット保護部材の帯部からフランジに伝播し、該フランジによって吸収される。
【0016】
振動吸収材は、振動吸収材の装着作業性を高めるために、複数の振動吸収材を連ねて振動吸収材連続体とされている
【0017】
また、ガット保護部材の筒部付け根部の外周面に突起を設けると共に、振動吸収材のスリーブに切欠状部を設けているため、この突起と切欠状部とを係合させて振動吸収材の位置決め(特に周方向の向きの固定)を図ることができる
【0018】
この突起は前記ガット保護部材の長手方向に張り出すように前記筒部から直径方向に突設されており、前記切欠状部は、前記スリーブの直径方向に対峙して設けられている。この切欠状部は、ボールヒット時に筒部と帯部との交叉部付近に加えられる応力集中を緩和し、振動吸収材特にスリーブに亀裂が入ることを防止する作用も奏する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は実施の形態に係るテニス用ラケットの分解斜視図、図2はガット保護部材及び振動吸収材の斜視図、図3はガット保護部材及び振動吸収材の拡大斜視図、図4は図3のIV−IV線に沿う断面図、図5は図3のV−V線に沿う断面図、図6はガット保護部材及び振動吸収材を装着したラケットの図1におけるVI−VI線に沿う断面図である。
【0020】
このテニス用ラケット1は、フェース部2、シャフト部3及びグリップ部4を備え、フェース部2にガットが張られる。
【0021】
フェース部2には、外周側と内周側とを連通するガット挿通孔6が多数設けら
れている。このガット挿通孔6のうち、フェース部2のサイド部のものはその他のものより孔径の大きな孔6Aとなっている。
【0022】
フェース部2の外周面には溝7が周方向に延設され、この溝7に係合するようにしてガット保護部材10,11,12が装着されている。なお、図示はしないが、フェースボトム部にもガット保護部材が設けられてもよい。
【0023】
ガット保護部材10はフェーストップ側に配置されており、ガット保護部材11は両フェースサイド部に配置され、ガット保護部材12はフェース部のボトム近傍側に配置されている。各ガット保護部材10,11,12は、ガット挿通孔6に挿通される筒部10a,11a,12aが帯部10b,11b,12bを介して一体化された構造を有している。
【0024】
ガット保護部材11の外周面(筒部11aと反対側)には、図2の通り細幅の溝11cが設けられている。この溝11cは帯部11bの長手方向に延在している。筒部11aの孔11dはこの溝11c内に開口している。
【0025】
このガット保護部材11の筒部11aの付け根側には、直径方向に張り出す1対の突起11tが設けられている。各突起11tは、ガット保護部材11の長手方向に張り出している。
【0026】
前記溝7は、フェース部2の両サイド部において幅広溝7aとなっており、この幅広溝7aに振動吸収材13のフランジ13fが配置されている。
【0027】
この振動吸収材13は、円筒状のスリーブ13sと、該スリーブ13sの一端から拡開する前記フランジ13fとを有している。この実施の形態では、振動吸収材13は複数個(ガット保護部材11の筒部11aと同数個)のものがタイ部13tを介して連なった振動吸収材連続体14を構成している。この振動吸収材連続体14は、ガット保護部材11よりも軟質のゴム又は合成樹脂よりなる。タイ部13tは、各振動吸収材13のフランジ13f同士を繋いでいる。
【0028】
この振動吸収材13のフランジ13f側には、前記ガット保護部材11の突起11tが係合する1対の切欠状部13kが設けられている。1対の切欠状部13k、13kはスリーブ13sの直径方向に対岐している。切欠状部13k、13kを結ぶ方向は、振動吸収材14の長手方向に合致する。
【0029】
この振動吸収材連続体14の各振動吸収材13をガット保護部材11の各筒部11aに係合させて振動吸収材連続体14とガット保護部材11とを一体化させ、次いで、筒部11a及びスリーブ13sをフェース部2の孔6Aに挿入する。筒部11a及びスリーブ13sは、共に該孔6Aを通り抜けてフェース部2の内周面から突出する長さを有している。また、筒部11aはスリーブ13sから若干突出する長さを有している。
【0030】
なお、振動吸収材13のフランジ13fは、フェース部2の外周面とガット保護部材11の帯部11bとの間に介在される。
【0031】
他のガット保護部材10,12については、それらの筒部10a,12aをフェース部2の孔6にそのまま挿入してフェース部2の外周面に装着する。その後、ガットを張る。このガット張り作業は、従来のラケットとまったく同じ作業手順、作業内容により容易に行うことができる。
【0032】
このように構成されたラケットは、ガット張りに関しては従来のラケットと同様に容易に行うことができる。また、ボールヒット時にガットに生じた振動は、筒部11aから振動吸収材13のスリーブ13sに伝播し、吸収される。また、ガットからガット保護部材11の帯部11bに伝播した振動は、振動吸収材13のフランジ13fによっても吸収される。
【0033】
なお、振動吸収材13に切欠状部13kを設けているため、ボールヒット時にスリーブ13sとフランジ13fとの交叉部付近に集中しようとする応力が緩和され、振動吸収材13とりわけスリーブ13sに亀裂が入ることが防止される
【0034】
のラケットでは、ボールヒット時に筒部11aがスリーブ13sを押し潰すようにして撓むことができるので、ラケットの反発力が高くなる
【0035】
記実施の形態では、フェースサイド部のガット保護部材にのみ振動吸収材が装着されているが、その他のものにも振動吸収材が装着されてもよい。
【0036】
次に、本発明のラケットを構成する材料や寸法の好適例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
フレームは金属又は繊維強化合成樹脂製であることが好ましい。金属としては、マグネシウム合金、アルミニウム合金、チタニウム合金などが例示される。繊維強化合成樹脂としては、ガラス繊維やカーボン繊維、有機繊維や金属繊維、セラミック繊維等の繊維とエポキシ樹脂などの複合材料が例示される。
【0038】
ガット保護部材の材料は、強度の比較的強いナイロン系の樹脂が好ましく、その硬さはShore D硬度で50〜70°、とりわけ55〜65°が好ましい。あまり硬いと柔軟性に欠け、扱いづらく、柔らか過ぎるとガットの張力によって切れてしまうからである。また、その筒部の内径は、ガットの径がおよそ1.4mmであることから、およそ1.7mm程度であり、外径はおよそ3.6mm程度であることが好ましい。
【0039】
振動吸収材は、熱可塑性樹脂や熱可塑性ゴムなど弾性体からなり、その硬さは、Shore A硬度で30〜70°、特に40〜60°であることが好ましい。スリーブの外径は5.5〜6.5mm、特に5.8〜6.2mmが好ましい。
【0040】
【実施例】
実施例1
カーボン繊維強化合成樹脂製のラケットフレームと、Shore D硬度50°のナイロン製ガット保護部材と、Shore A硬度50°の振動吸収材連続体とを用いたラケットを製作し、ガットを張った。細部の寸法は次の通りである。
孔6Aの内径 : 6mm
孔6の内径 : 3.6mm
筒部11aの外径 : 3.6mm
筒部11aの内径 : 1.7mm
筒部11aの長さ : 16mm
フランジ13fの外径 : 9.6mm
フランジ13fの厚さ : 1.5mm
スリーブ13sの外径 : 6.0mm
スリーブ13sの内径 : 3.8mm
スリーブ13sの長さ : 14mm
フェース部の幅広溝7aの幅 : 11mm
フェース部の幅広溝7aの長さ : 120mm
フェース部の幅広溝7aの深さ : 4mm
【0041】
上級〜中級程度のプレーヤー20人により試打を行ったところ、このラケットは市販のものに比べ打感が柔らかく、振動吸収性も良いとのアンケート結果であった。
【0042】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、振動吸収性能に優れ、ガットも張り易いラケットが提供される。本発明によると、ラケットの反発性能を高めることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態に係るテニス用ラケットの分解斜視図である。
【図2】 ガット保護部材及び振動吸収材の斜視図である。
【図3】 ガット保護部材及び振動吸収材の拡大斜視図である。
【図4】 図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】 図3のV−V線に沿う断面図である。
【図6】 ガット保護部材及び振動吸収材を装着したラケットの図1におけるVI−VI線に沿う断面図である
【符号の説明】
1 テニス用ラケット
2 フェース部
6 ガット挿通孔
7 溝
7a 幅広部
10,11,12 ガット
10a,11a,12a 筒部
10b,11b,12b 帯部
11t 突起
振動吸収材
13 スリーブ
13 フランジ
13t タイ部

Claims (1)

  1. ガットが張られるフェース部を有し、該フェース部にガット挿通用の孔が間隔をおいて設けられており、
    該フェース部の外周面に沿ってガット保護部材の帯部が配置され、該帯部から起立した複数の筒部の各々が該孔に挿入され、該筒部の先端がフェース部の内周面から突出しているラケットにおいて、
    該ガット保護部材の筒部に外嵌され、且つ該ガット保護部材と共に該ガット挿通孔に挿入された、該ガット保護部材よりも軟質な振動吸収材を備えており、
    前記振動吸収材は前記フェース部の内周面から突出しており、
    前記振動吸収材は、前記ガット保護部材の筒部に外嵌したスリーブと、該スリーブと一体であり、前記フェース部の外周面と前記ガット保護部材の帯部との間に介在されたフランジとを有しており、
    複数の振動吸収材が連なって振動吸収材連続体を構成しており、
    前記ガット保護部材の筒部付け根部の外周面に突起が設けられており、前記振動吸収材には、該突起が係合する切欠状部が設けられており、
    前記突起は前記ガット保護部材の長手方向に張り出すように前記筒部から直径方向に突設されており、前記切欠状部は、前記スリーブの直径方向に対峙して設けられていることを特徴とするラケット。
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