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JP3823362B2 - シランカップリング剤 - Google Patents

シランカップリング剤 Download PDF

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JP3823362B2
JP3823362B2 JP04448896A JP4448896A JP3823362B2 JP 3823362 B2 JP3823362 B2 JP 3823362B2 JP 04448896 A JP04448896 A JP 04448896A JP 4448896 A JP4448896 A JP 4448896A JP 3823362 B2 JP3823362 B2 JP 3823362B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシランカップリング剤およびこのシランカップリング剤で処理した積層板用ガラス繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
近年、ガラス繊維を補強材とし、不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂をマトリックスとするプリント配線基板が多く用いられるようになってきている。このようなプリント配線基板は、銅箔回路を形成したプリント配線板となり、さらにIC、LSI等のチップを装着してコンピューター、通信機器等に使用される。
【0003】
プリント配線板にチップ部品を装着する場合、従来はプリント配線板に空けられたスルーホール部分にチップの足を挿入し、溶融半田にディップして半田によるチップの固定を行うディップ法が採用されていた。しかし、チップの高集積化に伴い、チップの固定は半田ペーストによる点付け法に変わりつつある。点付け法の場合には、瞬間的に半田ペーストを溶融してチップを接着固定する必要があるため、ディップ法よりもさらに高温での加熱が行われる。この際の加熱によりプリント基板自体にも熱衝撃が加わり、その結果、基材織物のタテ糸とヨコ糸の交点部分にミーズリングと呼ばれる小さな剥離が起こる場合がある。このような剥離が起こると、スルーホールメッキ時に、メッキ液がこの剥離部分に浸み込み、その結果不必要な部分での回路導通が起こるという問題があった。
【0004】
また、ガラス繊維とマトリックスの密着力が弱いとスルーホール内壁が粗くなり、メッキ液がガラス繊維とマトリックスの界面に浸み込み、やはり不必要な部分での回路導通が起こることになる。
【0005】
ガラス繊維とマトリックスの接着力を増大し、かつプリント基板の耐熱性を改良するためにガラス繊維をシランカップリング剤で処理する方法が採られている。このようなシランカップリング剤としては、(a)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランまたは(b)N−(ビニルベンジル)−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランの塩酸塩等が用いられるが、前者のシランカップリング剤(a)は化合物自体の耐熱性が充分でなく、また後者のシランカップリング剤(b)はアミノ基の部分が樹脂の含浸を阻害するため充分な効果は得られていない。
【0006】
そこで特開平2−279688号公報は、上記シランカップリング剤(b)中のアミノ基にハロゲン含有スチレン誘導体を付加させることにより、特に耐ミーズリング特性を高めたシランカップリング剤を提案している。しかしながら、ハロゲン含有スチレン誘導体を付加させたシランカップリング剤は、疎水性であり、水溶性が劣り、ガラス繊維織物のシランカップリング剤処理は工業的にはほとんどが溶媒として水が使われていることから、大きな問題となる。
【0007】
本発明の第一の目的は、含浸性に優れ、補強材であるガラス繊維製品に優れた耐熱性を付与することができるだけでなく、それ自体水溶性に優れ、水性溶媒を用いるシランカップリング剤処理を工業的に円滑に行なうことができる、新規なシランカップリング剤を提供することである。
【0008】
本発明の第二の目的は、上記の新規シランカップリング剤を用いて、耐熱性に優れた積層板を得ることができるガラス繊維製品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の目的は、一方の末端にビニルベンジル基、他方の末端にトリアルコキシシリル基を有し、これら両末端基の間に含窒素アルキレン基を有するシラン化合物またはその塩(A)と無水酢酸(B)との反応物からなることを特徴とするシランカップリング剤によって達成された。
【0010】
本発明の第二の目的は、上記第一の目的を達成するシランカップリング剤で処理された積層板用ガラス繊維製品によって達成された。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のシランカップリング剤は、シラン化合物またはその塩(A)と無水酢酸(B)との反応物からなることを特徴とするものであり、本発明のシランカップリング剤は、含浸性に優れ、ガラス繊維製品に優れた耐熱性を付与できるというシラン化合物またはその塩(A)の利点をそのまま活かし、同時に、シラン化合物またはその塩(A)に無水酢酸(B)を反応させることにより、水溶性を向上させ、水性溶媒を用いるシランカップリング剤処理を工業的に円滑に行なうことを可能にしたものである。
【0012】
本発明のシランカップリング剤において、その原料であるシラン化合物またはその塩(A)は、一方の末端にビニルベンジル基、他方の末端にトリアルコキシシリル基を有し、これら両末端基の間に含窒素アルキレン基を有するシラン化合物またはその塩である。
【0013】
シラン化合物またはその塩(A)としては、一般式(I)
【化3】
Figure 0003823362
で示されるシラン化合物またはハロゲン化水素塩が好ましい。
【0014】
ここに、一般式(I)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基であるが、メチル基、エチル基が好ましい。mはビニルベンジル基の数を示し、1または2の整数である。xは窒素原子上の水素の数を示し、mが1のとき、xは1であり、mが2のとき、xは零である。nは基
【化4】
Figure 0003823362
の数を示し、1〜2の整数である。
【0015】
一般式(I)のシラン化合物の特に好ましいものとして、下記のものが挙げられる。
【0016】
【化5】
Figure 0003823362
【化6】
Figure 0003823362
【化7】
Figure 0003823362
【化8】
Figure 0003823362
【0017】
シラン化合物またはその塩(A)と無水酢酸(B)との反応は、より具体的にはシラン化合物またはその塩(A)中の−NH2基と無水酢酸(B)との反応であり、下式により示される。
【0018】
【化9】
Figure 0003823362
上記反応に遊離のシラン化合物を用いる場合、シラン化合物の活性窒素原子1個に対して、無水酢酸を0.2〜1個用いるのが好ましい。一方、上記反応にシラン化合物の塩を用いる場合、シラン化合物の塩の活性窒素原子1個に対して、無水酢酸0.2〜1個用いるのが好ましい。
【0019】
本発明のシランカップリング剤を構成する、シラン化合物またはその塩(A)と無水酢酸(B)との反応物とは、シラン化合物またはその塩(A)中のアミノ基(イミノ基)と無水酢酸(B)とが反応して得られた反応生成物を主要成分として含み、場合により未反応のシラン化合物またはその塩(A)および/または無水酢酸(B)を含むものを意味する。
【0020】
本発明のシランカップリング剤を用いる積層板用ガラス繊維製品の処理は常法により行なわれる。特に代表的な方法を記すと以下のとおりである。
【0021】
シランカップリング剤を濃度0.05〜5.0wt%、好ましくは0.1〜2.0wt%となるように蒸留水で希釈し、酢酸でpHを3〜5、好ましくは3.5〜4.5の範囲に調整し、全部で100重量部になるように調整して処理液を調合する。
【0022】
この処理液にガラス繊維製品を含浸後、シランカップリング剤のガラス繊維製品への付着率が0.01〜1.0%、好ましくは0.05〜0.20%となるように、マングルで絞り、100〜130℃で5〜10分、または水分がなくなるまで十分乾燥する。
【0023】
このようにして本発明の積層板用ガラス繊維製品を得ることができ、この積層板用ガラス繊維製品をマトリックス用樹脂に含浸させて耐熱性の優れた積層板を得ることができる。積層板用のマトリックス樹脂としては不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂などが用いられるが、これに限定されるものではない。
【0024】
【実施例】
実施例1
(1)シランカップリング剤の製造
冷却器、撹拌器、滴下ロート、温度計を取り付けた2リットルのセパラブルフラスコにN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを222.1g(1.0モル)仕込み、これを50−60℃に加熱した後、滴下ロートよりクロロメチルスチレンを最終的に152.5g(1.0モル)となるようにゆっくりと滴下した。
【0025】
滴下終了後、より緩やかにセパルブルフラスコ内の原料を撹拌しながら加熱し、加熱温度を50−60℃に維持し続けた。
【0026】
セパラブルフラスコの内容物を30分ごとに採り、その一部をTLC(薄層クロマトグラフィー)で展開しクロロメチルスチレンの消失を確認した後、加熱を停止し、反応を終了させた。なおTLCプレートはメルク社製キーゼルゲル160F254を用い、展開溶媒にはベンゼンを用いた。
【0027】
得られたN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩に無水酢酸を最終的に102g(1.0モル)となるようにゆっくり滴下した。
【0028】
滴下終了後、より緩やかにセパラブルフラスコ内の原料を撹拌しながら加熱し、加熱温度を50−60℃に維持し続けた。
【0029】
セパラブルフラスコの内容物を30分ごとに採り、その一部をフーリエ赤外分光光度計で無水酢酸の代表的吸収帯である1830cm−1の吸収帯の消失を確認した後、加熱を停止し、反応を終了させて、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩と無水酢酸との反応物からなる本発明のシランカップリング剤を得た。
【0030】
さらにメタノール714.9gを加え40重量%のメタノール溶液とした。
【0031】
図1にメタノールを除去した後の反応物(シランカップリング剤)のIRチャートを示す。併わせてN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩のIRチャートを図2に、無水酢酸のIRチャートを図3に示す。
【0032】
図1において、無水酢酸の代表的吸収帯である1830cm−1における吸収帯が消失していることから、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩と無水酢酸との反応が確認できた。
【0033】
得られた反応物の粘度測定は、JIS Z 8803に準拠し、キャノン−フェンスケ粘度計を使用して測定したところ、2.64cStであった。
【0034】
(2)ガラス繊維織物のシランカップリング剤処理および積層板の製造
ガラス繊維製品として、日東紡績(株)製ガラス繊維織物WEA−18Wを使用した。一方、(1)で製造したシランカップリング剤を、蒸留水中に1.0wt%溶解させ、酢酸でpH4に調整して得た浴中に、上記ガラス繊維織物を浸漬させ、ピックアップ量を30wt%にスクイーズロールで絞液し、これを110℃で5分間乾燥した。得られたシランカップリング剤処理ガラス織物の表、裏1枚ずつを、ガラスペーパーである日本バイリーン(株)EPM−4050を間にはさみ、不飽和ポリエステル樹脂ワニス(不飽和ポリエステル100重量部+スチレンモノマー40重量部+クメンハイドロパーオキサイド1重量部)を含浸させ両表面層に35μmの銅箔を重ね、2分間脱泡して150℃1時間加熱して、1.6mmの積層板を得た。さらに全面エッチングによって銅箔を除去後、水洗、風乾したものについて、次の試験を行った。
【0035】
(1)ポリエステル樹脂の含浸性
目視によりポリエステル樹脂の含浸性の良否を判定した。
◎:極めて良好、○:良好、△:普通、×:不良
(2)半田耐熱性
煮沸1,2,3時間の前処理を行ない、その後260℃の半田浴に20秒間それぞれ浸漬し、フクレの有(×)、無(○)を調べた。
(3)ミーズリング特性
250℃、270℃、300℃にそれぞれ加熱した直径2mmの半田ごてを10秒間、100g荷重をかけて押し当て、ミーズリングの有(×)、無(○)を調べた。
なお、得られたシランカップリングの溶解性試験も以下のようにして行なった。
(4)溶解性試験
処理液調合時の溶解状態を観察し、完全に透明なものを◎、やや白濁するものを○、白濁し沈殿するものを×で表示した。
結果を表1に示す。
【0036】
実施例2
実施例1と同様に、冷却器、撹拌器、滴下ロート、温度計を取り付けた2リットルのセパラブルフラスコにN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを222.1g(1.0モル)仕込み、これを50−60℃に加熱した後、滴下ロートよりクロロメチルスチレンを最終的に152.5g(1.0モル)となるようにゆっくりと滴下した。
【0037】
滴下終了後、より緩やかにセパルプルフラスコ内の原料を撹拌しながら加熱し、加熱温度を50−60℃に維持し続けた。
【0038】
さらにメタノール714.9gを加え40重量%のメタノール溶液とした。
【0039】
上記生成物(塩酸塩)を遊離化するために、このうち200gをとり、ナトリウムメチラートを41.18g(上記生成物1モルに対して1モルに相当)加えて撹拌を行った。12時間撹拌後、沈殿物を濾過により取り除き、上澄み液をとった。
【0040】
得られた上澄み液、すなわちN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランに無水酢酸を最終的に12.08g(シラン化合物1モルに対して1.0モル)となるようにゆっくりと滴下した。
【0041】
滴下終了後、より緩やかにセパラブルフラスコ内の原料を撹拌しながら加熱し、加熱温度を50−60℃に維持し続けた。
【0042】
無水酢酸の代表的吸収帯である1830cm−1のピークが消失していることから、 N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランと無水酢酸との反応が確認できた。シラン化合物と無水酢酸との反応により得られたシランカップリング剤の粘度は、2.47cStであった。
【0043】
実施例1と同様に、このシランカップリング剤でガラス繊維織物を処理し、積層板を成形し評価を行った。結果を表1に示す。
【0044】
実施例3
無水酢酸を最終的に24.16g(シラン化合物1モルに対して2.0モル)用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0045】
無水酢酸の代表的吸収帯である1830cm−1のピークが消失していることから、 N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランと無水酢酸との反応が確認できた。シラン化合物と無水酢酸との反応により得られたシランカップリング剤の粘度は、2.46cStであった。
【0046】
実施例1と同様にガラス繊維織物を処理し、積層板を成形し評価を行った。結果を表1に示す。
【0047】
実施例4
無水酢酸を最終的に51g(シラン化合物1モルに対して0.5モル)用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0048】
無水酢酸の代表的吸収帯である1830cm−1のピークが消滅していることから、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩と無水酢酸との反応が確認できた。得られたシランカップリング剤の粘度は、2.45cStであった。
【0049】
実施例1と同様に、ガラス繊維織物を処理し、積層板を成形し評価を行った。結果を表1に示す。
【0050】
比較例1
シランカップリング剤として、公知のシランカップリング剤であるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用い、これを蒸留水中に0.7wt%溶解させ、酢酸でpH4に調整して処理浴を得た。この処理浴に、実施例1で用いたと同一のガラス繊維織物を浸漬して実施例1と同様にシランカップリング処理した後、実施例1と同様に積層板を得た。得られた積層板の評価結果を表1に示す。
【0051】
比較例2
シランカップリング剤として、公知のシランカップリング剤であり、実施例において本発明のシランカップリング剤の原料として用いたN−(ビニルベンジル)−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩を用い、これを蒸留水中に1.0wt%溶解させ、酢酸でpH4に調整して処理浴を得た。この処理浴に、実施例1で用いたと同一のガラス繊維織物を浸漬して実施例1と同様にシランカップリング処理した後、実施例1と同様に積層板を得た。得られた積層板の評価結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0003823362
【0053】
表1より、実施例1〜4においてはポリエステル樹脂の含浸性、ポリエステル樹脂積層板の半田耐熱性、ミーズリング特性が優れていることが明らかである。また実施例1〜4で得られたシランカップリング剤の溶解性も優れており、特に実施例1のものの溶解性が優れていた。これに対して比較例1ではポリエステル樹脂積層板の半田耐熱性、ミーズリング特性、溶解性が劣り、比較例2ではポリステル樹脂の含浸性、ミーズリング特性、溶解性が劣っていた。
【0054】
実施例5
実施例1で得られたシランカップリング剤処理ガラス繊維織物を下記のNEMA規格に準拠したFR−4組成のエポキシ樹脂を用いてプリプレグとした。
エポキシ樹脂の組成(FR−4)は次のとおりである。
【0055】
Figure 0003823362
【0056】
このプリプレグを8枚積層して両面に18μm厚の銅箔を当て、170℃、30kgf/cm2で90分加熱加圧して、1.5mm厚さの銅張り積層板とした。銅張り積層板は、エッチングにより銅箔を除去し、4cm四方に切り出して試験片とした。得られた試験片について次の試験を行なった。
【0057】
(1)エポキシ樹脂の含浸性
エポキシ樹脂のガラス繊維織物への含浸性を目視により評価し、極めて良好なものを◎、良好なものを○、普通のものを△、不良のものを×で表示した。
(2)エポキシ樹脂積層板の半田耐熱性
積層板を133℃に設定されたプレッシャークッカーに入れ、次に260℃の半田溶解物に20秒間漬けた。積層板を引き上げデラミネーションを調べた。
なお、積層板をプレッシャークッカーに入れた時間は、120分、135分、150分とし、各時間ごとに調べた枚数は3枚とした。デラミネーションの状態は、ふくれ無しを○で、ふくれ有りを×で表示した。
(3)吸水率
積層板を133℃に設定されたプレッシャークッカーに入れ、135分処理した後で吸水率の測定を行った。吸水率の計算は下記の式による。
Figure 0003823362
またシランカップリング剤の溶解性試験も以下のようにして行なった。
(4)溶解性試験
処理液調合時の溶解状態を観察し、完全に透明なものを◎、やや白濁するものを○、白濁し沈殿するものを×で表示した。
結果を表2に示す。
【0058】
実施例6〜7
実施例2および4で得られたシランカップリング剤処理ガラス繊維織物を実施例5と同様に処理してエポキシ樹脂含浸積層板を得、実施例5と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0059】
比較例3
比較例2で得られた公知のシランカップリング剤処理ガラス繊維織物を実施例5と同様に処理してエポキシ樹脂積層板を得、実施例5と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0060】
比較例4
シランカップリング剤として、公知のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用い、これを蒸留水中に0.7wt%溶解させ、酢酸でpHを調整した浴中に実施例1と同様にガラス繊維織物を浸漬して、公知のシランカップリング剤処理ガラス繊維織物を得た。
【0061】
得られた公知のシランカップリング剤処理ガラス繊維織物を以下実施例5と同様に処理してエポキシ樹脂積層板を得、実施例5と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
Figure 0003823362
【0063】
表2より実施例5〜7においてエポキシ樹脂の含浸性やエポキシ樹脂積層板の半田耐熱性、耐水性が比較例3、4と比較して優れていることが判る。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明のシランカップリング剤はポリエステル樹脂だけでなくエポキシ樹脂に対しても効果を有し、本発明のシランカップリング剤で処理されたガラス繊維製品は、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂の含浸性に優れ、またこのガラス繊維製品を補強材とすることにより、半田耐熱性やミーズリング性などの耐熱特性及び耐水性の優れた積層板を得ることができる。
更に、本発明のシランカップリング剤は水に対する溶解性に優れているためシランカップリング剤による処理を工業的に円滑に実施することができる利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】シラン化合物の塩と無水酢酸との反応物であるシランカップリング剤のIRチャート
【図2】原料であるシラン化合物の塩のIRチャート
【図3】無水酢酸のIRチャート

Claims (4)

  1. 一方の末端にビニルベンジル基、他方の末端にトリアルコキシシリル基を有し、これら両末端基の間に含窒素アルキレン基を有するシラン化合物またはその塩(A)と無水酢酸(B)との反応物からなることを特徴とするシランカップリング剤。
  2. シラン化合物またはその塩(A)が、一般式(I)
    Figure 0003823362
    [式中、
    Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、
    mはビニルベンジル基の数を示し、1または2の整数であり、
    xは窒素原子上の水素の数を示し、mが1のとき、xは1であり、mが2のとき、xは零であり、
    nは基
    Figure 0003823362
    の数を示し、1〜2の整数である。]
    で示されるシラン化合物またはそのハロゲン化水素塩である、請求項1に記載のシランカップリング剤。
  3. シラン化合物またはその塩(A)の活性窒素原子1個に対して、無水酢酸(B)の分子を0.2〜1個用いている、請求項1または2に記載のシランカップリング剤
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のシランカップリング剤で処理された積層板用ガラス繊維製品。
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