JP3821947B2 - ウェーハ研磨装置及びウェーハ研磨方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェーハ、特に半導体ウェーハ、単結晶シリコンウェーハ研磨用のウェーハ研磨装置及びウェーハ研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ウェーハは円筒状のインゴットをスライス切断、面取りを行なった後、研磨(ラップ)定盤とアズカットウェーハを、砥粒を含む研磨液を介して摺擦させながらラッピングを行ない、そして該ラッピングされたウェーハはエッチング処理された後、仕上げ加工工程に導かれる。
仕上加工工程においては、研磨(ポリッシング)布とウェーハ間にSiO2系微粒子を弱アルカリ液中に懸濁させたポリッシング液を用い、いわゆる化学機械的研磨法により鏡面研磨される。
【0003】
この鏡面研磨では、ウェーハを保持する方法として、研磨用プレートにウェーハ片面をウェーハ接着用のワックスを用い貼り付けるワックス法があるが、かかるワックス法においては、接着層(ワックス層)の厚さの不均一性がそのまま、研磨後ウェーハの平面度、平行度等を反映するため、接着層厚を均一にすることが重要である。また、ウェーハ研磨後にウェーハからワックスを除去する必要があるため、工程が複雑になり、またワックスの塗付や除去に使用する薬液、及び廃液処理設備が必要となるので、加工コストが上がるという問題点があった。
【0004】
ワックスレス法は上記ワックス法の欠点を解消したもので、真空吸着による第1のワックスレス法と、多孔質の樹脂、例えばポリウレタン樹脂多孔質体からなるバッキングパッドを用いてウェーハを水貼りする第2のワックスレス法とが利用されているが、いずれも前記したウェーハに対するワックスの塗布、除去が不要になる長所がある。
【0005】
バッキングパッドを用いたワックスフリー研磨装置は、図4に示すように、研磨布2(ポリッシングパッド)を貼着した下側回転テーブル1と、下面側にキャリアプレート3、バッキングパッド6を介して、複数のウェーハ位置決め用穴(保持孔)11aにウェーハ10が保持されたウェーハ保持治具13が取り付けられた複数のポリッシングヘッド4と、前記研磨布2にスラリー(研磨懸濁液)を供給するスラリー管5からなり、ウェーハ10を回転テーブル1側の研磨布2に押し付けてウェーハの凹凸を平滑化する研磨装置である。
【0006】
そしてかかる装置に用いるウェーハ保持治具13は、キャリアプレート3上に1個以上のウェーハ位置決め用穴11aを有するテンプレート7を用い、位置決め用穴にバッキングパッド6が入り、固着させるように形成されている。またテンプレート7は、ガラスエポキシ樹脂、ポリカーボネートシート、ポリエステルシート等から形成されており、またバッキングパッド6は多孔質の樹脂、例えばポリウレタン樹脂多孔質体から形成されている。
【0007】
そしてポリッシングヘッド4は、研磨布2を貼着した下側回転テーブル1に対し自公転し、ウェーハ10はウェーハ保持治具13内で連れ回し回転可能に構成されている。ここで連れ回しとは、回転テーブル1上に他の回転軸を有するウェーハ保持治具13を置くとウェーハ保持治具の面内で遠心力分布が生じ、遠心力の差によりウェーハ保持治具が自転する現象のことである。
即ち、図4においては、回転テーブル1の回転中心に対し、複数のポリッシングヘッド4の回転中心を半径方向に変位した位置に配置し、両者を互いに矢印方向に回転させることにより、ウェーハ保持治具13及びウェーハ保持治具13の保持孔11aに嵌設させたウェーハ10は、矢印方向に回転し、結果としてウェーハ10は研磨布2に対し相対的に自転且つ公転しながら研磨される。
【0008】
又、図5は他の研磨装置の構成を示すもので、太陽歯車53と内歯車54とを組合せた回転方式を示し、かかる回転手段では同図に見るように、円盤状のウェーハ保持治具13はウェーハ保持孔11aを形成させ且つ外周に外周歯13aを設ける構成である。矢印A方向に回転する下側回転定盤51の中心に設けた太陽歯車53と該回転定盤51の外側に設けた内歯車54とに噛み合わせ、ウェーハ保持治具13を自転且つ公転させながらウェーハ10の回転を行なう。
この回転方式は、両面ポリッシングや両面ラッピング等の研磨で用いられ、上下の回転定盤にポリッシングの時は研磨布、ラッピングの時は研磨定盤(ラップ定盤)が用いられている。また、この回転方式で用いられるウェーハ保持治具13は、単にキャリアとも呼ばれる。この回転方式では、ウェーハ保持治具(キャリア)は、強制自転しているが、キャリア内のウェーハは遠心力の差、つまり連れ回りの現象と同じような作用で回転している。
【0009】
さて前記したワックスフリー研磨装置においてもワックス研磨装置と同様に、バッキングパッド層の厚さの不均一性がそのまま、研磨後ウェーハの平面度、平行度等を反映する。そこで研磨中にウェーハをウェーハ保持治具13内において自転させることにより、研磨後厚さを平均化させている。
したがってワックスフリー研磨においては、研磨中にウェーハを安定して自転させることが重要である。そのためバッキングパッドに凹凸を付けたり、又バッキングパッドとウェーハとの間に空気や潤滑剤等を介在させることが行なわれており、バッキングパッドとウェーハとの摩擦力を低減させている。
【0010】
しかしバッキングパッドとウェーハとの摩擦力は双方の表面粗さに影響され、それぞれの表面粗さが大きいほど摩擦力が増大してウェーハが自転しにくくなり、研磨後の平坦度が悪化する。特にウェーハ裏面にはPBS(Polyback Seal )やCVD(Chemical Vapor Deposition )などのポリシリコン層や酸化膜層が形成されたものがあり、それぞれ異なった粗さを有する。
両面研磨、両面ラッピング等でも、ウェーハを自転させることが好ましいことは同様である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
かかるワックスフリー研磨装置において、研磨ヘッド及びキャリアプレートのみ回転し、ウェーハがテンプレート中で研磨中に自転しない状態の場合、バッキングパッド厚さの不均一性が平面度、平行度等を反映する。即ちワックス層の厚さが1μm であるのに対してバッキングパッド厚さは100〜300μmあり、バッキングパッド厚さの不均一性は10〜50μmに達し、平坦度への影響はワックス研磨よりも遥かに大きく、問題である。
【0012】
またウェーハが研磨中に自転する他の回転方式の研磨方法においては、ウェーハ保持治具と研磨(ポリッシング)ヘッドそれぞれの位置のバランスが悪いと、ウェーハ保持治具の自転が不安定となる。
以上のように平坦度の良いウェーハを製造するためには、強制的に自転させていないウェーハまたはウェーハ保持治具を安定して自転させる必要がある。
【0013】
さて、前記夫々の研磨装置に用いられている研磨布(ポリッシングパッド)は、例えば一次ポリッシングを行なう際に、ポリウレタン含浸ポリエステル不織布その他の不織布を用い、また例えば二次ポリッシングを行なう際に発泡ポリウレタン層(表層)とポリエステル層(裏層)の2層構造からなる多孔質の研磨布が実用化されている。
これらの研磨布は、ウェーハと研磨布との間に研磨剤を安定供給することにより、研磨能率を増加させる目的で、図2(B)に示すように研磨布2のウェーハ摺動面に、格子状に等間隔で、溝20dを設けた溝入研磨布を用いているものもある。(特開平9−201765号)
【0014】
本発明はかかる溝入研磨布の溝密度の工夫を施すことにより、ウェーハまたはウェーハ保持治具が安定して自転することにより、研磨ウェーハの平坦度が改善されるウェーハ研磨用ウェーハ研磨装置及びウェーハ研磨方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は研磨布(ポリッシングパッド)の中心からの距離によって溝の密度を変化させる点、具体的には、研磨布の中心から遠ざかるほど溝密度を増加させる点を要旨とするものであるが、本願発明はワックスフリー研磨、両面研磨等でウェーハ自身が効率良く回転することが望まれる研磨方法に対して行なわれ、また研磨体はポリッシングパッドのみならず、ラッピング加工を行なう際の研磨定盤(ラップ定盤)についても同様な溝加工を行なうのがよい。
【0016】
即ち、請求項1記載の発明は、ウェーハとの間で相対的速度差をもって摺動させながら該ウェーハの研磨を行なう研磨布を有するウェーハ研磨装置において、
前記研磨布からなる研磨体のウェーハ摺動面に所定間隔毎に格子状若しくは同心円の溝及び放射状の溝を設けると共に、該研磨体の中心から遠ざかる方向に向けて前記ウェーハが摺動するウェーハ摺動面上に形成される溝密度を異ならせ、前記研磨体の周速度が大きい部位の溝密度を、周速度が小さい部位の溝密度に対し増加させたことを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、ウェーハとの間で相対的速度差をもって摺動させながら該ウェーハの研磨を行なう研磨布を有するウェーハ研磨装置において、
前記研磨布からなる研磨体のウェーハ摺動面に所定間隔毎に格子状若しくは同心円の溝及び放射状の溝を設けると共に、該研磨体の中心から遠ざかる方向に向けて前記ウェーハが摺動するウェーハ摺動面上に形成される溝密度を異ならせ、前記研磨体周縁側部位の溝密度を、その内側に位置する溝密度に対し増加させたことを特徴とする。
前記研磨体に形成した格子状若しくは同心円の溝及び放射状の溝の密度をリング状に異ならすと共に、ウェーハ保持治具に保持された複数のウェーハに対して中心側に位置するウェーハが溝なし若しくは相対的に疎な溝部位と相対的に密な溝部位との間を跨ぐように、且つ外側に位置するウェーハが相対的に疎な溝部位と相対的に密な溝部位との間を跨ぐように、夫々溝間隔を設定すると本発明の効果が一層円滑に達成できる。
【0018】
請求項4記載の発明は、前記した請求項1記載のウェーハ研磨方法に関するもので、ウェーハと研磨布からなる研磨体との間で相対的速度差をもって摺動させながら該ウェーハの研磨を行なうウェーハ研磨方法において、
前記研磨布からなる研磨体のウェーハ摺動面に所定間隔毎に格子状若しくは同心円の溝及び放射状の溝を設けると共に、該研磨体の中心から遠ざかる方向に向けて前記ウェーハが摺動するウェーハ摺動面上に形成される溝密度を異ならせ、前記研磨体の周速度が大きい部位の溝密度を、周速度が小さい部位の溝密度に対し増加させた研磨体を用いてウェーハの研磨を行なうことを特徴とする。
【0019】
請求項5記載の発明は、前記した請求項2記載のウェーハ研磨方法に関するもので、ウェーハと研磨布からなる研磨体との間で相対的速度差をもって摺動させながら該ウェーハの研磨を行なうウェーハ研磨方法において、
前記研磨布からなる研磨体のウェーハ摺動面に所定間隔毎に格子状若しくは同心円の溝及び放射状の溝を設けると共に、該研磨体の中心から遠ざかる方向に向けて前記ウェーハが摺動するウェーハ摺動面上に形成される溝密度を異ならせ、前記研磨体周縁側部位の溝密度を、その内側に位置する溝密度に対し増加させた研磨体を用いてウェーハの研磨を行なうことを特徴とする。
【0020】
これらの発明も前記研磨体に形成した格子状若しくは同心円及び放射状の溝の密度をリ ング状に異ならすと共に、ウェーハ保持治具に保持された複数のウェーハに対して中心側に位置するウェーハが溝なし若しくは相対的に疎な溝部位と相対的に密な溝部位との間を跨ぐように、且つ外側に位置するウェーハが相対的に疎な溝部位と相対的に密な溝部位との間を跨ぐように、夫々溝間隔を設定するのがよく、更に、前記ウェーハ研磨方法が、バッキングパッドにワックスフリーで貼着したウェーハを研磨布に押し付けてウェーハの凹凸を平滑化するウェーハ研磨方法であるのがよい。
【0021】
そして本発明はいずれも前記研磨体のウェーハ摺動面に設けた格子状若しくは同心円且つ放射状の溝の溝密度を一定化させることなく、ウェーハの連れ回り方向に作用する摩擦力が大きくなるように前記溝の密度を変化させた研磨体を用いてウェーハの研磨を行なうものである。
【0022】
研磨体の格子状若しくは同心円且つ放射状の溝がウェーハのエッジに対して斜め方向に当たるとウェーハを回転させる作用がある。
但しこの作用の方向は溝がエッジのいずれの部分に当たるかによって異なり、研磨布の外周側(相対速度の大きい側)に当たった溝は、連れ回り方向に作用し、研磨布の中心側(相対速度の小さい側)に当たった溝は、連れ回り方向と逆方向に作用する。
従って研磨布の外周側(相対速度の大きい側)部位の溝密度を、研磨布の中心側(相対速度の小さい側)の溝密度より密(増加)させることにより円滑な連れ回り回転が可能となる。
【0023】
従って請求項6記載のように、前記研磨体に形成した格子状若しくは同心円且つ放射状の溝の密度をリング状に異ならすと共に、ウェーハ保持治具に保持された複数のウェーハに対して中心側に位置するウェーハが溝なし若しくは相対的に疎な溝部位と相対的に密な溝部位との間を跨ぐように、且つ外側に位置するウェーハが相対的に疎な溝部位と相対的に密な溝部位との間を跨ぐように、夫々溝間隔を設定したことにより、一層好ましいウェーハの連れ回り回転と平坦度化が達成される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
図1は研磨布(ポリッシングパッド)2のウェーハ摺動面上に形成される溝密度を中心部位から周縁側に遠ざかるほど、増加させた格子状若しくは同心円且つ放射状の溝の溝形状の一例である。
(A)は格子状溝密度の一例で、中心部位21fは溝なし20f、その外側21bは疎な溝20b、最外側21aは密な溝20aに設定してある。
実際には、例えば直径1.4mの研磨布(ポリッシングパッド)に中心は溝なし、中心付近に近いリング円部は、40mm角の疎の密度の溝を設け、周辺では10mm角の密な溝を形成する。研磨布(ポリッシングパッド)の厚さは1〜1.5mmであり、溝は深さ0.5〜1mm、幅2〜3mmである。これらの溝は、研磨布(ポリッシングパッド)を切削することにより形成されるがプレスにより形成してもよい。
【0026】
(B)は前記(A)の垂直縦断面図で、矢印Aは研磨布2の回転方向、矢印Bはウェーハ10を回転自在に嵌合するウェーハ保持治具の回転方向、矢印Cは連れ回されるウェーハ10の回転方向を夫々示す。
【0027】
本図より明らかなように、ウェーハ保持治具に保持された中心側に位置するウェーハ10が溝なし部位20fと疎溝部位20bとの間を跨ぐように、外側に位置するウェーハ10が疎溝部位20bと密溝部位20aとの間を跨ぐように、夫々溝間隔を設定することにより、一層好ましいウェーハ10の連れ回し回転と平坦度化が達成される。
【0028】
図2は他の実施例にかかる研磨布を示し、溝は同心円状且つ放射状に形成すると共に、中心部位は溝なし20f、その外側は疎な溝20b、最外側は密な溝20aに設定してある。
又ウェーハ保持治具に保持された中心側に位置するウェーハ10が溝なし部位20fと疎溝部位20bとの間を跨ぐように、外側に位置するウェーハ10が疎溝部位20bと密溝部位20aとの間を跨ぐように、夫々溝間隔を設定してあることも前記した通りである。
【0029】
かかる実施形態によれば、研磨布2にこのような溝を形成することにより、ウェーハ10と研磨布2との間に介在するスラリーが溝20(20a,20b)に押し出される。従ってウェーハ10はハイドロプレーニング現象により研磨布2から浮き上がることなく研磨布2と接触するようになり、摩擦力が増大する。
この摩擦力はウェーハ全面に作用するが、研磨布2の外周側ほど溝20の密度を高くするとウェーハ10と研磨布2とが接触し易くなり、連れ回り方向に作用する摩擦力が大きくなってウェーハまたはウェーハ保持治具は連れ回りしやすくなる。
本発明の効果を連れ回り式の研磨装置で研磨を行なって、その確認をした。
【0030】
先ず実施例においては、研磨布(ポリッシングパッド)は不織布により形成され、具体的にはSuba600(ロデール・ニッタ株式会社製)を使用した。
直径1400mmの研磨布(ポリッシングパッド)2において、図2(A)に示すように、中心〜直径470mmは40mm角の溝20cを形成し、直径470〜1200mmは20mm角の溝20b、直径1200〜1400mmは10mm角の溝20aを形成した。溝はそれぞれ深さ0.7mm、幅3mmである。ウェーハ保持治具は8インチウェーハ5枚を仕込むことのできる、直径565mmのものである。ウェーハ10は裏面にPBSを形成したものを使用した。
これらを研磨荷重240g/cm2 、定盤回転速度35rpm、研磨時間15minの条件で研磨した。
【0031】
(比較例)
研磨布は不織布により形成され、具体的にはSuba600(ロデール・ニッタ株式会社製)を使用し、実施例と同様に連れ回り式の研磨装置で研磨を行なった。
そして図2(B)に示すように、直径1400mmの研磨布において20mm角の構20dを均一な密度で形成した。溝20dはそれぞれ深さ0.7mm、幅3mmである。ウェーハ保持治具13はウェーハ5枚を仕込むことのできる、直径565mmのものである。ウェーハ10は裏面にPBS層を形成したものを使用した。
これらを実施例と同一の研磨荷重240g/cm2 、定盤回転速度35rpm、研磨時間15minの条件で研磨した。
【0032】
実施例と比較例の平坦度を評価したところ、比較例では全平坦度(Total Thickness Variation:TTV)が3.5μm、実施例では全平坦度が1.0μmと大幅に改善していることが理解できる。
又図3にその平坦度形状を示す。この評価は静電容量式ウェーハ平坦度測定装置により行なった。
本図より明らかなように、(A)に示す実施例ではほぼ水平な形状が得られるのに対し、(B)に示す比較例では斜めに傾斜した形状しか得られなかった。即ち本発明の研磨体を用いて研磨することによりウェーハが効率良く回転し、回転対称な形で研磨され、ほぼ水平な形状で平坦度の良いウェーハが得られることが分かる。
【0033】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によればウェーハまたはウェーハ保持治具が安定して自転することにより、研磨ウェーハの平坦度が改善される。なお、本発明は本実施例に限られるものではなく両面ポリッシングやラッピング等でも、キャリア内でウェーハが回転するため効果がある。また実施例では複数枚同時に処理するバッチ式の例を示したが、ポリッシングヘッドの回転中心とウェーハの回転中心を一到させた枚葉式ワックスフリー研磨でも同じ効果が得られる。更に、ウェーハ保持治具(研磨用プレート)にウェーハをワックスで貼り付けた方法でも、本発明の研磨体を用いることでウェーハ保持治具自体を効率良く回転させることができ、同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかる研磨布の溝形状を示し、(A)は格子状溝の一例で、(B)は前記(A)の垂直縦断面図、(C)は同心円と放射形状からなる溝の一例を示す。
【図2】 本発明の効果確認の実験に用いた研磨布の溝形状を示し、(A)は実施例、(B)は比較例である。
【図3】 実施例(A)と比較例(B)の平坦度形状を示す
【図4】 バッキングパッドを用いたワックスフリー研磨装置を示す。
【図5】 太陽歯車と内歯車とを組み合せたウェーハ回転方式の研磨装置を示す。
【符号の説明】
2 研磨布
10 ウェーハ
13 ウェーハ保持治具
20 溝
Claims (6)
- ウェーハとの間で相対的速度差をもって摺動させながら該ウェーハの研磨を行なう研磨布を有するウェーハ研磨装置において、
前記研磨布からなる研磨体のウェーハ摺動面に所定間隔毎に格子状若しくは同心円の溝及び放射状の溝を設けると共に、該研磨体の中心から遠ざかる方向に向けて前記ウェーハが摺動するウェーハ摺動面上に形成される溝密度を異ならせ、前記研磨体の周速度が大きい部位の溝密度を、周速度が小さい部位の溝密度に対し増加させたことを特徴とするウェーハ研磨装置。 - ウェーハとの間で相対的速度差をもって摺動させながら該ウェーハの研磨を行なう研磨布を有するウェーハ研磨装置において、
前記研磨布からなる研磨体のウェーハ摺動面に所定間隔毎に格子状若しくは同心円の溝及び放射状の溝を設けると共に、該研磨体の中心から遠ざかる方向に向けて前記ウェーハが摺動するウェーハ摺動面上に形成される溝密度を異ならせ、前記研磨体周縁側部位の溝密度を、その内側に位置する溝密度に対し増加させたことを特徴とするウェーハ研磨装置。 - 前記研磨体に形成した格子状若しくは同心円の溝及び放射状の溝の密度をリング状に異ならすと共に、ウェーハ保持治具に保持された複数のウェーハに対して中心側に位置するウェーハが溝なし若しくは相対的に疎な溝部位と相対的に密な溝部位との間を跨ぐように、且つ外側に位置するウェーハが相対的に疎な溝部位と相対的に密な溝部位との間を跨ぐように、夫々溝間隔を設定したことを特徴とする請求項1若しくは2記載のウェーハ研磨装置。
- ウェーハと研磨布からなる研磨体との間で相対的速度差をもって摺動させながら該ウェーハの研磨を行なうウェーハ研磨方法において、
前記研磨布からなる研磨体のウェーハ摺動面に所定間隔毎に格子状若しくは同心円の溝及び放射状の溝を設けると共に、該研磨体の中心から遠ざかる方向に向けて前記ウェーハが摺動するウェーハ摺動面上に形成される溝密度を異ならせ、前記研磨体の周速度が大きい部位の溝密度を、周速度が小さい部位の溝密度に対し増加させた研磨体を用いてウェーハの研磨を行なうことを特徴とするウェーハ研磨方法。 - ウェーハと研磨布からなる研磨体との間で相対的速度差をもって摺動させながら該ウェーハの研磨を行なうウェーハ研磨方法において、
前記研磨布からなる研磨体のウェーハ摺動面に所定間隔毎に格子状若しくは同心円の溝及び放射状の溝を設けると共に、該研磨体の中心から遠ざかる方向に向けて前記ウェーハが摺動するウェーハ摺動面上に形成される溝密度を異ならせ、前記研磨体周縁側部位の溝密度を、その内側に位置する溝密度に対し増加させた研磨体を用いてウェーハの研磨を行なうことを特徴とするウェーハ研磨方法。 - 前記研磨体に形成した格子状若しくは同心円及び放射状の溝の密度をリング状に異ならすと共に、ウェーハ保持治具に保持された複数のウェーハに対して中心側に位置するウェーハが溝なし若しくは相対的に疎な溝部位と相対的に密な溝部位との間を跨ぐように、且つ外側に位置するウェーハが相対的に疎な溝部位と相対的に密な溝部位との間を跨ぐように、夫々溝間隔を設定したことを特徴とする請求項4若しくは5記載のウェーハ研磨方法。
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