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JP3819487B2 - 半導体素子の製造方法 - Google Patents

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JP3819487B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
銅からなるスパッタリングターゲット、及び銅からなるスパッタリングターゲットを用いて成膜された配線を有する半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のLSI製作技術の進歩はめざましく、配線幅の微細化の実現によってLSIから超LSIへ、さらに超々LSIへと急速に発展して、高集積化のために配線幅の微細化が進んでいる。64メガビット以上のDRAM等の、線幅0.3μm以下の微細加工を必要とする次世代LSIの配線材料として、とりわけ銅(Cu)が有力視されている。
【0003】
従来より、シリコン基板上に形成されるLSIの配線材料としては、Al合金の薄膜が広く利用されているが、Al合金による配線は純金属Alと比較して比抵抗が高く、さらにエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションによる断線、コンタクト部でのSiの析出、熱処理によるヒロックの発生等がおこっている。このようなAl合金に代わる配線材料として銅が検討されており、銅はAlに比べて電気抵抗が低いので電流密度を大きくとることができ、かつ融点が400゜C以上高いことからエレクトロマイグレーション性が高いが、銅配線は耐酸化性が低いので層間絶縁膜堆積時に配線の内部まで酸化が進行し電気抵抗が増大する傾向がある。
【0004】
これらの問題点を解決するため特公平5−87173号では、銅の酸化温度より低い温度で、銅配線膜を覆うように酸素含有絶縁膜を付着させて、銅の高温処理時の酸化を防ぐ方法が示されている。また、特開平3−166731号には、銅膜を被着後熱処理することで結晶粒径を巨大化して銅の耐酸化性を向上させる技術が開示されている。さらに、特開平5−47760号には、電気陰性度の異なる元素を添加した銅合金を用いて成膜する技術が示されている。
【0005】
また、特開平5−311424号に記載されているように、銅にTi、Znを微量元素として添加することも有効であり、例えば、Tiの添加には、耐食性、素子基板への付着強度増、耐エレクトロマイグレーション性増の効果がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の技術においては、添加金属を均一に分散させることが必要であり、そのために例えば純度99.9999重量%の銅にTiを添加したスパッタリングターゲットを作成する場合では、鋳塊を急冷して添加元素の析出を防止しなければならない。このためには急冷可能な連続鋳造装置等を必要とした。またTiの純度が99.99重量%と低いために意図しない不純物の混入を招き、薄膜の特性制御が難しいという問題があった。
【0007】
前述のように銅配線を用いるにあたり種々の技術改良がなされているが多くの課題が残されており十分満足できるものではなかった。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、純度99.9999重量%以上の銅からなるスパッタリングターゲット、及び銅を用いたスパッタリングターゲットを用いて配線された、耐酸化性、耐エレクトロマイグレーション性、耐ストレスマイグレーション性に優れた銅配線を持つ半導体素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するための第1の手段に係るスパッタリングターゲットは、銅からなるスパッタリングターゲットであって、酸素(O)、窒素(N)、及び炭素(C)と水素(H)のガス成分を除いた純度99.9999重量%以上の銅からなることを特徴とする。
【0010】
第2の手段に係る半導体素子は、第1の手段に記載のスパッタリングターゲットを用いて成膜された配線を有することを特徴とする。
【0011】
第3の手段に係る半導体素子は、銅からなるスパッタリングターゲットを用いて成膜された配線を有する半導体素子であって、真空中又は不活性ガス雰囲気で450゜C未満の温度の熱処理で配線の結晶粒を粗大化したことを特徴とする。
【0012】
第4の手段に係る半導体素子は、第2と第3との手段の双方の特徴を同時に兼ね備えたことを特徴とする。
【0013】
第5の手段は、第3又は第4の手段に記載の半導体素子において、粗大化した配線の結晶粒の大きさが2μm以上であることを特徴とする。
【0014】
第6の手段は、第3〜第5の何れかの手段に記載の半導体素子において、粗大化した配線の結晶粒の長さ/幅の値が6以上であり、長さ/厚さの値が2.5以上であることを特徴とする。
【0015】
第7の手段のスパッタリングターゲットの製造方法は、酸素(O)、窒素(N)、及び炭素(C)と水素(H)のガス成分を除いた純度99.9999重量%以上の銅を真空中又は不活性ガス雰囲気中で溶解する溶解工程と、溶解した銅を真空中又は不活性ガス雰囲気中で鋳造する鋳造工程とを有することを特徴とする。
【0016】
第8の手段の半導体素子の製造方法は、第1の手段に記載のスパッタリングターゲットを用いて配線を成膜する配線工程を有することを特徴とする。
【0017】
第9の手段の半導体素子の製造方法は、銅からなるスパッタリングターゲットを用いて配線を成膜する配線工程を有する半導体素子の製造方法であって、真空中又は不活性ガス雰囲気中で、450゜C未満の温度で配線の結晶粒を粗大化する熱処理工程を有することを特徴とする。
【0018】
第10の手段の半導体素子の製造方法は、第8と第9との手段の双方の特徴を同時に兼ね備えたことを特徴とする。
【0019】
第11の手段は、第9又は第10の手段に記載の半導体素子の製造方法において、配線の結晶粒の大きさが2μm以上になるまで粗大化を行うことを特徴とする。
【0020】
第12の手段は、第9〜第11の手段の何れかに記載の半導体素子の製造方法において、配線の結晶粒の長さ/幅の値が6以上、且つ、長さ/厚さの値が2.5以上になるまで粗大化を行うことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
発明者らの研究により、新たに銅配線膜の酸化進行メカニズムを調査した結果、結晶粒界より酸化が進行していくこと、及び高純度銅の特徴の一つである低い再結晶温度と結晶粒の粗大化効果を利用した擬似的な単結晶もしくは結晶粒の粗大化した結晶を有する配線は耐酸化性が高いことが分かった。
【0022】
ガス成分(O,N,C,H)を除いた純度99.9999重量%以上の銅からなるスパッタリングターゲットをスパッタ法により素子に成膜された銅配線は、真空もしくは不活性ガス中で450゜C未満の温度で熱処理すことで配線中の結晶粒を成長させることにより、耐酸化性、耐エレクトロマイグレーション性、及び耐ストレスマイグレーション性に優れた特性を示すようになる。
【0023】
スパッタリングターゲットは以下に示す方法により作成する。
【0024】
銅はガス成分(O,N,C,H)を除いた純度99.9999重量%以上のものを用いる。この理由はこの純度より低いものを用いると、微量不純物が作用して所定の効果が得られなくなるからである。また、これらに微量不純物として含まれるものは溶解以降の処理では除去することができないからである。
【0025】
上記純度についてガス成分(O,N,C,H)を除くのは、通常の純度を示すファイブナインすなわち99.999重量%やシックスナイン99.9999重量%と表示される純度には、金属中に含有されるガス成分、例えばOであれば酸素ガス、酸化物を構成するO分、Cであれば炭化物、ガス、炭化水素、SであればS硫化物、亜硫酸過物、ガス、Hであれば水、ガス、アンモニアガス、水素化物等が挙げられるがこれらのガス成分は通常分析されず、金属成分の分析結果から純度が表示されるため、実際の純度は不明となっている。従って、本明細書においては、ガス成分(O,N,C,H)を除いた純度で表すことにした。
【0026】
銅の溶解・鋳造においては特開平5−311424号に記載の連続鋳造方法が利用できるが、溶解を単独で行ってから鋳造を後で行うバッチ方式を用いてもよく、溶解時の不純物の混入を避けるために不純物の混入対策を講じた溶解炉や鋳造炉であれば使用できる。
【0027】
溶解の雰囲気としては不活性ガス中もしくは真空中とする。これは銅中に存在する微量不純物の一部が揮発除去できること、また大気中で溶解した場合雰囲気中の酸素と反応し銅の酸化物が生成して銅を汚染するためである。
【0028】
鋳造中にも溶解時と同様な理由で不活性ガス雰囲気もしくは真空中で行う必要がある。この雰囲気は金属が凝固・冷却するまで継続させるが、冷却は急冷や徐冷のどちらでもよいが、急冷のほうが好ましい。
【0029】
鋳造によって得た凝固後の金属(鋳塊)は必要に応じて圧延や鍛造・切削加工等の機械加工を実施してスパッタリングターゲットとする。
【0030】
このスパッタリングターゲットを用いて薄膜形成処理を行う。
【0031】
形成された薄膜配線は、真空あるいは不活性ガス中で450゜C未満の温度において熱処理する。
【0032】
熱処理雰囲気としては雰囲気中に酸素の巻き込みを避けるために真空中で行うか、不活性ガス中で行うことが望ましい。
【0033】
なお、本実施の形態では不活性ガスとして高純度アルゴンを使用した。この高純度アルゴンには、太陽東洋酸素社製のUグレード(6N=99.9999%、不純物0.1ppm以下)を用いた。またアルゴン中の、O,N,C,Hの濃度をは以下の通りである。
【0034】
O =< 0.1 ppm
N =< 1 ppm
C =< 0.1 ppm
H =< 0.1 ppm
この熱処理だけで配線材料の組成によっては、雰囲気中にわずかに存在する残存酸素により、薄膜配線が酸化して酸化膜層を自己形成する場合がある。
【0035】
この熱処理温度を450゜C未満で行うことが本発明の特徴の1つである。
【0036】
熱処理温度が高いと配線材と下地材との熱膨張の差に起因して配線部の剥離が生じたり、残留応力が原因でストレスマイグレーションを引き起こしたりする。
【0037】
熱処理によって残留応力が下がり比抵抗を下げることができるが、高純度銅を用いて成膜した配線は銅の再結晶化が進む。
【0038】
これにより擬似的な単結晶もしくは結晶粒の粗大化した結晶を有する配線が得られる。
【0039】
以下に本発明に係る実施例及び比較例を図面を参照しながら詳述する。
【0040】
(実施例1)
本実施例は、ガス成分(O,N,C,H)を除いた純度99.9999重量%の銅からバッチ式鋳造炉を用いてスパッタリングターゲットを作成して、このスパッタリングターゲットを用いて配線した銅配線に高純度アルゴン中で100゜Cで1時間の熱処理を行ったときの例を示すものである。
【0041】
図1は、本実施例に係るスパッタリングターゲットの製造方法の処理の流れを示したフローチャートである。
【0042】
また、図2は、本実施例に用いたバッチ式鋳造炉の概略断面図である。以下の説明において図2の概略断面図を参照しながら説明する。
【0043】
図2の高純度カーボン製るつぼ21の中に、ガス成分を除いた純度99.9999重量%の銅22を約10Kg充填した。なお、るつぼ21はあらかじめ超高純度アルゴン雰囲気中で1500゜Cで5時間カラ焼きを行ったものを使用した。
【0044】
溶解室の真空排気及び高純度アルゴンガス置換を数回繰り返した後、昇温・溶解を開始した。そして、原料の銅22が完全に溶解してから、るつぼ21の底部から徐冷して凝固させた。得られた鋳塊は直径10cm、厚さ14cmの円筒形をしていて、鋳塊には鋳造欠陥がなく、鋳塊は単結晶に近いものであった。これを原料として鍛造により厚さ3cmに加工した。
【0045】
この鍛造によって、鋳塊の組織が微細化してスパッタリングターゲットに適した微細多結晶になった。
【0046】
次に硝酸により鋳塊の表面の汚染層を除去した後、高純度アルゴン雰囲気中で135゜Cで30分間焼鈍し加工歪を除去した。焼鈍後の鋳塊の結晶粒径は1mm以下であった。次にクロス圧延をおこなって厚さ7mmの板に加工した。得られた圧延板の表面研削及び外形加工を行って、直径6インチ、厚さ5mmの円盤にした。次に有機溶剤による円盤の洗浄後、希硝酸を用いて円盤にエッチングを行いスパッタリングターゲットとした。
【0047】
スパッタリングターゲットの不純物分析はグロー放電質量分析法により行った。その結果不純物金属成分は原料の分析値と同じであり、その分析結果を図3の表に示した。
【0048】
以上のようにして得られたスパッタリングターゲットを用いてRFスパッタ法により幅0.3μm、厚さ0.8μmの銅配線を形成した。このときの成膜条件はアルゴンガス圧力3×10-3Torr、放電電力500Wとして、Si基板上に堆積させた。次に高純度アルゴンガス雰囲気中で100゜Cで1時間の熱処理を行った。この処理により銅配線の結晶粒は熱処理の前後で0.1μmから2.1μmに変化した。
【0049】
次に保護膜としてCVD法により厚さ0.8μmのSiN膜を堆積させた。この試料について電流密度1×106 A/cm2 、 雰囲気温度200゜Cで2000時間の加速試験を行い断線不良率を測定した。その結果試料の断線不良率は0.3%であり、その結果を図3の表に併せて示した。
【0050】
(参考例1)本参考例は、ガス成分(O,N,C,H)を除いた純度99.9999重量%の銅からバッチ式鋳造炉を用いてスパッタリングターゲットを作成して、このスパッタリングターゲットを用いて配線した銅配線に熱処理を行わなかったときの例を示すものである。
【0051】
実施例1に記載したスパッタリングターゲットを用いてRFスパッタ法により幅0.3μm、厚さ0.8μmの銅配線を形成した。なお、成膜条件は実施例1と同じである。なお、その詳細な方法は、実施例1と同じであるので省略する。
【0052】
薄膜試料は実施例1に記載の熱処理を行わないままでCVD法により厚さ0.8μmのSiN保護膜を堆積させた。この試料について電流密度1×106 A/cm2 、雰囲気温度200゜Cにて2000時間の加速試験を行った。その結果試料の断線不良率は1.0%であり、図3の表に併せて示した。
【0053】
(実施例2)本実施例は、ガス成分(O,N,C,H)を除いた純度99.99999重量%の銅からバッチ式鋳造炉を用いてスパッタリングターゲットを作成して、このスパッタリングターゲットを用いて配線した銅配線に高純度アルゴン中で100゜Cで1時間の熱処理を行ったときの例を示すものである。
【0054】
純度99.99999重量%の銅を用いたこと以外は実施例1に記載の方法と同様に行った。スパッタリングターゲットの作成方法及び銅の配線方法、不純物金属の分析方法、及び断線不良率の測定方法は、実施例1と同じであるので省略する。
【0055】
不純金属物の分析結果と断線不良率の測定結果を図3の表に併せて示した。なお、このときのは断線不良率は0.15%であった。
【0056】
(実施例3)本実施例は、ガス成分(O,N,C,H)を除いた純度99.99999重量%の銅から連続式鋳造炉を用いてスパッタリングターゲットを作成して、このスパッタリングターゲットを用いて配線した銅配線に高純度アルゴン中で100゜Cで1時間の熱処理を行ったときの例を示すものである。
【0057】
図1は、本実施例に係るスパッタリングターゲットの製造方法の処理の流れを示したフローチャートである。
【0058】
また、図4は、本実施例に用いた連続式鋳造炉の概略断面図である。以下の説明において図4の概略断面図を参照しながら説明する。
【0059】
図4の連続式鋳造炉は、図2に示した鋳造装置とは異なり、カーボン製るつぼ41内で溶解された銅を整形・凝固させるための鋳型43(以下ダイスと呼ぶ)を備えてる。
【0060】
銅42の溶解及び鋳造は以下のような手順で行った。超高純度アルゴン雰囲気中で1500゜Cにて5時間のカラ焼きを行ったるつぼ41及びダイス43にガス成分を除いた純度99.9999重量%の銅42を約8Kg充填した。
【0061】
銅22の溶解は、溶解室の真空排気及び高純度アルゴンガス置換を数回繰り返した後で行った。なお、ダイス43内には溶湯を導く目的であらかじめダイス43の寸法と同一の銅塊44(以下スターターバーと呼ぶ)を挿入しておいた。また、スターターバーには母材と同一のガス成分を除いた純度99.9999重量%の無酸素銅を使用した。溶解時には水冷ジャケット45によりスターターバー44を冷却し、溶解を防止した。溶解した銅はダイス44内に溶湯圧(自重)により流入し、スターターバー44に溶着する。このスターターバーに溶着した銅を、引き出しロール46により、ダイス44内で溶湯を急冷凝固させながら引き抜いた。なおこの時の鋳造速度は45mm/分とした。
【0062】
得られた鋳塊の寸法はダイス44寸法と同じで厚さ15mm、幅150mm、長さ400mmであった。また、得られた鋳塊の結晶粒径は約1mmであり、実施例1〜3に示した鍛造後の加工組織と同程度であった。
【0063】
次に硝酸により表面をエッチングした後、クロス圧延により厚さ約7mmの圧延板に加工した。得られた圧延板の表面研削及び外形加工を行って、直径6インチ、厚さ5mmの円盤にした。次に有機溶剤による円盤の洗浄後、希硝酸を用いて円盤にエッチングを行いスパッタリングターゲットとした。
【0064】
スパッタリングターゲットの不純物分析はグロー放電質量分析法により行った。その結果不純物金属成分の分析値は実施例1に記載したものと同じであった。なお、その分析結果を図3の表に併せて示した。
【0065】
以上のようにして得られたスパッタリングターゲットを用いてRFスパッタ法により幅0.3μm、厚さ0.8μmの銅配線を形成した。このときの成膜条件はアルゴンガス圧力3×10-3Torr、放電電力500WとしてSi基板上に堆積させた。次に高純度アルゴンガス雰囲気中で100゜Cにて1時間の熱処理を行った。この処理により銅配線の結晶粒は熱処理の前後で0.1μmから2.2μmに変化した。
【0066】
次に保護膜としてCVD法により厚さ0.8μmのSiN膜を堆積させた。この試料について電流密度1×106 A/cm2 、 雰囲気温度200゜Cにて2000時間の加速試験を行い断線不良率を測定した。その結果試料の断線不良率は0.3%であり、その結果を図3の表に併せて示した。
【0067】
(比較例1)
本比較例は、ガス成分(O,N,C,H)を除いた純度99.99重量%の銅からバッチ式鋳造炉を用いてスパッタリングターゲットを作成して、このスパッタリングターゲットを用いて配線した銅配線に高純度アルゴン中で100゜Cで1時間の熱処理を行ったときの例を示すものである。
【0068】
なお、図2に示したバッチ式鋳造炉を用いて鋳塊を作成する方法は、原料の銅の純度以外は全て実施例1と同じであるので省略する。
【0069】
以下に、鋳塊を得た後の処理を説明する。
【0070】
得られた鋳塊を鍛造により厚さ3cmに加工した。次に硝酸により鋳塊の表面の汚染層を除去した後、高純度アルゴン雰囲気中で、350゜Cで30分間焼鈍し加工歪を除去した。焼鈍後の鋳塊の結晶粒径は1mm以下であった。(次にクロス圧延をおこなって厚さ7mmの板に加工した。)得られた圧延板の表面研削及び外形加工を行って、直径6インチ、厚さ5mmの円盤にした。次に有機溶剤による円盤の洗浄後、希硝酸を用いて円盤にエッチングを行いスパッタリングターゲットとした。
【0071】
スパッタリングターゲットの不純物分析はグロー放電質量分析法により行った。その結果不純物金属成分は原料の分析値と同じであった。なお、その分析結果を図3の表に併せて示した。
【0072】
以上のようにして得られたスパッタリングターゲットを用いてRFスパッタ法により幅0.3μm、厚さ0.8μmの銅配線を形成した。このときの成膜条件は実施例1と同じにし、アルゴンガス圧力3×10-3Torr、放電電力500WとしてSi基板上に堆積させた。次に高純度アルゴンガス雰囲気中で100゜Cにて1時間の熱処理を行った。この熱処理前後により銅配線の結晶粒径の変化は認められず、0.1μmから0.2μmのままであった。
【0073】
次に保護膜としてCVD法により厚さ0.8μmのSiN膜を堆積させた。この試料について電流密度1×106 A/cm2 、 雰囲気温度200゜Cにて2000時間の加速試験を行い断線不良率を測定した。その結果試料の断線不良率は3.0%であり、その結果を図3の表に併せて示した。
【0074】
(比較例2)
本比較例は、比較例1で作成したスパッタリングターゲットを用いて配線した銅配線に高純度アルゴン雰囲気中で400゜Cで1時間の熱処理を行ったときの例を示すものである。
【0075】
比較例1に記載したスパッタリングターゲットを用いてRFスパッタ法により幅0.3μm、厚さ0.8μmの銅配線を形成した。なお、成膜条件は実施例1と同じである。
【0076】
次に高純度アルゴンガス雰囲気中で400゜Cで1時間熱処理を行った。ここで熱処理温度を400゜Cにしたのは、99.99重量%の純度の銅の再結晶温度350゜C以上での熱処理効果を確認するためである。この熱処理により、銅配線の結晶粒は0.06μmから0.8μmに変化した。
【0077】
次に保護膜としてCVD法により厚さ0.8μmのSiN膜を堆積させた。この試料について電流密度1×106 A/cm2 、雰囲気温度200゜Cにて2000時間の加速試験を行い断線不良率を測定した。その結果試料の断線不良率は2.0%であり、その結果を図3の表に併せて示した。
【0078】
(比較例3)
本比較例は、ガス成分(O,N,C,H)を除いた純度99.99重量%の銅から連続式鋳造炉を用いてスパッタリングターゲットを作成して、このスパッタリングターゲットを用いて配線した銅配線に真空中で400゜Cで1時間の熱処理を行ったときの例を示すものである。
【0079】
なお、図4に示した連続式鋳造炉を用いて鋳塊を作成する方法は、原料の銅とスターターバーの銅の純度以外は全て実施例3と同じであるので省略する。また、スターターバーには母材と同一の99.99重量%の無酸素銅を使用した。
【0080】
以下に、鋳塊を得た後の処理を説明する。
【0081】
硝酸により、得られた鋳塊の表面をエッチングして付着したカーボンを除去した後、クロス圧延により厚さ約7mmの圧延板に加工した。得られた圧延板の表面研削及び外形加工を行って、直径6インチ、厚さ5mmの円盤にした。次に有機溶剤による円盤の洗浄後、希硝酸を用いて円盤にエッチングを行いスパッタリングターゲットとした。
【0082】
スパッタリングターゲットの不純物分析はグロー放電質量分析法により行った。その測定結果を図3の表に併せて示した。
【0083】
以上のようにして得られたスパッタリングターゲットを用いてRFスパッタ法により幅0.3μm、厚さ0.8μmの銅配線を形成した。このときの成膜条件はアルゴンガス圧力3×10-3Torr、放電電力500WとしてSi基板上に堆積させた。次に真空中で400゜Cで1時間の熱処理を行った。この処理により銅配線の結晶粒は熱処理の前後で0.1μmから1.0μmに変化した。
【0084】
次に保護膜としてCVD法により厚さ0.8μmのSiN膜を堆積させた。この試料について電流密度1×106 A/cm2 、 雰囲気温度200゜Cにて2000時間の加速試験を行い断線不良率を測定した。その結果試料の断線不良率は2.0%であり、その
結果を図3の表に併せて示した。
【0085】
(その他の実施例)
本発明は上記実施例に限定される物ではなく、種々の変形を許容するものである。
【0086】
上記実施例では、ガス成分を除いた純度が99.9999重量%と99.99999重量%の2種の銅を使用したものを示したが、ガス成分を除いた純度が99.9999重量%以上であれば他の純度の銅を用いてもよい。
【0087】
また、上記実施例では、不活性ガスとして高純度アルゴンガスを用いたものを示したが、他の不活性ガスを用いても同様に実施できる。
【0088】
さらに、上記実施例では、100゜Cと400゜Cの温度の熱処理で配線の結晶粒を粗大化したものを示したが、450゜C以下の温度であれば他の温度でも同様に適用できる。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ガス成分を除いた純度99.9999重量%以上の銅を原料にすることにより、低不純物、低温での高い熱伝導率、低抵抗等の特性を持つスパッタリングターゲットを作成することができる。
【0090】
また、銅からなるスパッタリングターゲットを用いて成膜された配線を、真空中又は不活性ガス雰囲気で450゜C未満の温度の熱処理で配線の結晶粒を粗大化することにより、有する半導体素子の配線の耐酸化性、耐エレクトロマイグレーション性、耐ストレスマイグレーション性を優れたものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るスパッタリングターゲットの製造方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】実施の形態に係るバッチ式鋳造炉の概略断面図である。
【図3】実施の形態に係るスパッタリングターゲットの不純物金属成分の分析値及び銅配線の断線不良率を表で示した図である。
【図4】実施の形態に係る連続式鋳造炉置の概略断面図である。

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  1. 酸素(O)、窒素(N)、及び炭素(C)と水素(H)のガス成分を除いた純度99.9999重量%以上の銅からなるスパッタリングターゲットを用いて配線を成膜する配線工程を有する半導体素子の製造方法であって、
    真空中又は不活性ガス雰囲気中、450゜C未満の温度で、配線の結晶粒を2μm以上になるまで粗大化を行う熱処理工程を有することを特徴とする半導体素子の製造方法。
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