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JP3816806B2 - 建設機械制御システム - Google Patents

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JP3816806B2
JP3816806B2 JP2002011538A JP2002011538A JP3816806B2 JP 3816806 B2 JP3816806 B2 JP 3816806B2 JP 2002011538 A JP2002011538 A JP 2002011538A JP 2002011538 A JP2002011538 A JP 2002011538A JP 3816806 B2 JP3816806 B2 JP 3816806B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は土木工事を行う建設機械の制御システムに関し、特に、回転レーザ装置及び受光センサ装置からなる高さ測定装置と、GPS受信機を用いた水平面内の位置測定装置とを備えた建設機械を使用する建設機械制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
グレーダ、ブルドーザ等の建設機械を用いて造成地の整地作業や、道路舗装工事の整地作業を行うには、建設機械の水平面内の位置、及び整地高さを測定するシステムが必要である。近年、建設機械の水平面内の位置をGPSシステムで測定し、整地高さを回転レーザ装置によって測定して建設機械を制御するシステムが開発されている。このシステムでは、回転レーザ装置によって基準高さを設定し、この基準高さに基づいて建設機械を制御している。
【0003】
次に、図47を参照して、この建設機械制御システムを説明する。図47は、このシステムをブルドーザに適用した例である。建設機械制御システム900は、回転レーザ装置951と、レーザセンサ907を備えたブルドーザ902とから構成される。回転レーザ装置951は三脚903によって所定の位置に設置される。回転レーザ装置951はレーザ光線904を水平方向に照射しながら、レーザ光線904を回転させて、レーザ光線904によって基準平面を形成する。
【0004】
ブルドーザ902は上下動可能に支持されたブレード905を有し、このブレードによって整地作業を行う。レベルセンサ907がポール906を介してブレード905に取付けられる。レベルセンサ907は回転レーザ装置951の射出したレーザ光線904を受光して、レベルセンサ907の高さを検出する。ブルドーザ902は制御装置(図示せず)を備える。制御装置(図示せず)はレベルセンサ907が検出した高さをもとにブレード905の高さを計算し、この高さが所望の高さになるようにブレード905の高さを制御する。
【0005】
前述のように、レーザ光線904は水平基準面を形成しているので、水平基準面とブレード905の刃先905aとの間の距離が一定になるように制御を行うことによって、地面を水平に整地することができる。また、水平基準面とブレード905aとの間の距離を変えることによって、異なる高さに整地することも可能である。
【0006】
次に、図48を参照して、水平面内におけるブルドーザ902の位置の測定について説明する。ブルドーザ902の水平面内の位置測定にはGPSを用いる。まず、GPSベースアンテナ908を既知の位置に設置する。もう1つのGPSアンテナ909をブルドーザ902に設置する。GPSベースアンテナ908は、人工衛星910からの電波を受信して、GPSベースアンテナ908の位置を検出する。同様に、GPSアンテナ909も人工衛星910からの電波を受信して、GPSアンテナ909の位置を検出する。これらの位置を比較することによって、GPSベースアンテナ908に対するGPSアンテナ909の相対位置が計算される。既知であるGPSベースアンテナ908の位置、及び計算された相対位置からブルドーザ902の位置を計算する。計算されたブルドーザ902の位置に基づいて、所要の範囲の整地作業を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
整地作業は、比較的小規模な現場を除き、複数の建設機械で同時に行われるのが一般的である。更に、整地作業を同時に行う建設機械が、異なる高さに整地を行うことも多い。この場合には、レベル設定を行うために各建設機械について、個別の回転レーザ装置を稼動させる必要がある。複数の回転レーザ装置を同時に稼動させると、建設機械に備えられたレベルセンサが、別の建設機械が認識すべきレーザ光を誤って認識して、建設機械が誤動作を起こすという課題がある。
【0008】
複数の建設機械を誤動作なく同時に制御するためには、単一の回転レーザ装置でレベル設定を行うことが望ましい。しかしながら、単一の回転レーザ装置で複数の高さのレベル設定を行うためには、回転レーザ装置が一回転する間に、レーザ光線を受光する複数の建設機械に向けて、それぞれ異なる高さのレーザ光線を射出する必要がある。ところが、従来、回転レーザ装置は、数百rpmの回転数で回転する投光器からレーザ光線を射出し、基準面、基準線を設定している。このような高速回転中に、夫々異なる高さで複数の方向にレーザ光線を射出するように、投光器の高さを上下方向に調節することは不可能である。従って、1つの回転レーザ装置によって、複数の建設機械に対して異なる高さの整地作業の制御を行う建設機械制御システムは実現していない。
【0009】
また、実際の整地作業においては、水平面に整地する場合に加えて、僅かに傾斜した平面に整地する場合も多い。造成工事においては水捌け用の勾配が必要であり、また、舗装工事においては、地形に応じた勾配と共に水捌け用の勾配を付けることも必要である。従来の整地作業では、建設機械制御システムによって水平面に整地を行った後、測量作業を行って所定の勾配を有する傾斜面を形成していた。
【0010】
このため、水平面に整地する場合には、上記の建設機械制御システムを使用することによって熟練者でなくても容易に整地作業を行うことができたが、勾配を付けた整地は困難な作業であり、熟練者でなければ行うことができなかった。また、整地された傾斜面の仕上がり状況も、作業者の熟練度に依存するところが大きい。このため、作業者の熟練度によって仕上がりの善し悪しが変り、また、整地作業の進捗状況も作業者の熟練度によって異なるため、仕上がり精度の管理や工程管理が難しいという課題があった。
【0011】
また、1つの土木作業現場で、2以上の異なる高さの水平面を整地する場合もある。このような場合には、一度、回転レーザ装置を設定して1つの水平面を整地した後、再び回転レーザ装置を設定し直して別の水平面を整地するという面倒な作業を行わなければならないという課題があった。
【0012】
【発明の目的】
本発明の目的は、これらの課題を解決して、単一の回転レーザ装置で複数の建設機械を制御し、それら複数の建設機械が異なる高さの水平面を整地するのを可能にすることにある。また、本発明の他の目的は、建設機械を制御して作業者の熟練度に左右されずに能率的に傾斜面を整地することを可能にし、更に、複数の建設機械が異なる傾斜の傾斜面を同時に整地するのを可能にすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の建設機械制御システムは、既知の点に設置され、水平面と交わる少なくとも2つのファンビームレーザ光を回転照射する回転レーザ装置と、建設機械側に取付けられ、ファンビームレーザ光を受光する受光センサ装置と、建設機械の位置を検出するためのGPS受信装置と、建設機械に設けられた演算装置と、を有し、演算装置は、受光センサ装置が受光したファンビームレーザ光によって求められた、ファンビームレーザ光の射出点と受光センサ装置の受光部とを結ぶ直線と、水平面とのなす角度、及びGPS受信装置によって求められた回転レーザ装置と受光センサ装置との間の水平方向距離に基づいて、建設機械を制御するための高さを算出することを特徴としている。
【0014】
このように構成された本発明においては、回転レーザ装置がファンビームレーザ光を回転させながら射出する。このファンビームレーザ光は、建設機械に取付けられた受光センサ装置によって受光される。また、建設機械には、GPS受信装置、及び、演算装置が取付けられており、演算装置はGPS受信装置の検出信号に基づいて、回転レーザ装置と受光センサ装置との間の水平方向距離を算出する。また、演算装置は、受光センサ装置によって受光されたファンビームレーザ光によって、ファンビームレーザ光の射出点と受光センサ装置の受光部とを結ぶ直線と、水平面とのなす角度を求める。更に、演算装置は、角度と水平方向距離に基づいて、建設機械を制御するための高さを算出する。
【0015】
また、演算装置は地形データを記憶しており、演算装置はGPS受信装置によって検出された建設機械の位置及び地形データに基づいて求めた高さと、角度及び水平方向距離に基づいて求めた高さとの差に基づいて建設機械を制御するように構成することもできる。
このように構成された本発明においては、所定の地形データに合わせて建設機械を制御することができる。
【0017】
また、本発明の建設機械制御システムは、回転レーザ装置の位置を検出するためのGPSベース装置をさらに有し、演算装置が、回転レーザ装置に対する建設機械の位置を検出しても良い
【0018】
また、回転レーザ装置は、偏光方向が互いに異なる少なくとも2つのファンビームレーザ光を射出するのが良い。
【0019】
また、回転レーザ装置が射出するファンビームレーザ光の強度は、ファンビームレーザ光の各部分で異なっていても良い。
さらに、回転レーザ装置が、ファンビームレーザ光を少なくとも3つ射出し、各ファンビームレーザ光と所定の水平基準面との交線が等間隔になるように、本発明を構成しても良い。
また、回転レーザ装置が射出する少なくとも3つのファンビームレーザ光は、それらが受光される範囲内で互いに交差しないように構成するのが良い。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の建設機械制御システムを図面に基づいて説明する。
(1)第1の実施形態
(1.1)建設機械制御システムの全体構成
最初に、本発明による建設機械制御システムの概略構造を説明する。図1に示すように、本発明による建設機械制御システム100は回転レーザ装置151と、GPSベース装置501と、受光センサ装置154を有する建設機械、例えば、ブルドーザー502とを含む。本発明による建設機械制御システム100は、建設機械502の高さ位置をレーザ光線によって測定し、建設機械502の水平面内の位置を建設機械502に設けられたGPS受信装置510によって測定する。測定された高さ位置及び水平面内の位置に基づいて建設機械502の整地器具、例えば、ブレード505を操作することによって整地作業を行う。
【0021】
図2に示すように、回転レーザ装置151は2つのファンビーム152及び153を射出ながら、これら2つのファンビームを、点Cを中心に回転させる。
図3に示すように、ファンビーム152は水平面に対して角度αをなして射出され、ファンビーム153は水平面に対して角度βをなして射出される。更に、ファンビーム152と水平面が交わる交線と、ファンビーム153と水平面が交わる交線のなす角度をδとする。2つファンビーム152、153はこのような関係を保ちながら回転するので、ファンビーム152、153は建設機械502に取付けられた受光センサ装置154を、時間差をもって横切る。本発明による建設機械制御システムはこの時間差を基に受光センサ装置154の水平面からの高さを測定するように構成される。
【0022】
(1.2)回転レーザ装置
(1.2.1)2つのファンビームレーザ光を射出する回転レーザ装置
次に、水平面に対して傾斜した2つのファンビームレーザ光を発しながら鉛直軸線を中心に該レーザ光を回転させる回転レーザ装置を説明する。
図4に示すように、本発明による回転レーザ装置151はケーシング101と、レーザ投光器103とを有する。切頭円錐形の凹部102がケーシング101の上面中央に形成される。レーザ投光器103が凹部102の中央を上下方向に貫通する。レーザ投光器103は傾斜することができるように、球面座104を介して凹部102に支持される。ペンタプリズム109を有する回転自在な回転部105がレーザ投光器103の頭部に設けられる。回転部105は走査モータ106によって駆動ギア107、走査ギア108を介して回転駆動される。
【0023】
回転レーザ装置151は、レーザ投光器103の周囲に設けられた2組の傾斜機構を有する(一方のみ図示する)。一方の傾斜機構110は傾斜用モータ111と、傾斜用スクリュー112と、傾斜ナット113とを有する。傾斜用モータ111は駆動ギア114、傾斜用ギア115を介して傾斜用スクリュー112を回転させることができる。傾斜用スクリュー112の回転により傾斜ナット113を上下に移動させる。傾斜ナット113は傾斜用アーム116を介してレーザ投光器103と連結される。傾斜ナット113が上下動することによってレーザ投光器103が傾斜する。また、図示していないもう一組の傾斜機構は、傾斜機構110と同様の機構によって、上記の傾斜機構110が傾斜する方向に直交する方向に投光器103を傾斜させる。
【0024】
傾斜用アーム116に平行な固定傾斜センサ118と、傾斜用アーム116に対して直角方向の固定傾斜センサ119がレーザ投光器103の中間部に設けられる。傾斜機構110により傾斜用アーム116を傾斜させ、固定傾斜センサ118が常に水平になるように制御を行なうことができる。また、同時に、もう一組の傾斜機構によって固定傾斜センサ119が常に水平になるように制御を行なうことができる。
【0025】
レーザ投光器103及びそれに取付けられた回転部105について説明する。図5に示すように、レーザ光線投光器132、及びレーザ光線投光器132から発せられるレーザ光線を平行光線にするコリメートレンズ133等を含む投光光学系が、レーザ投光器103の内部に内蔵されている。投光光学系からのレーザ光線は回転部105の回折格子(BOE)134によって2つのファンビーム152、153に形成される。ファンビーム152、153は、ペンタプリズム109によって水平方向に偏向され、投光窓131から照射される。
【0026】
図6に示すように、レーザ光線がペンタプリズム109によって偏向された後に透過する位置に回折格子(BOE)134aを配置しても良い。なお、図6に示す構成では、回折格子134aの配置以外の構成は、全て図5に示す構成と同じである。
【0027】
図7に示すように、レーザ光線は回折格子(BOE)134を透過すると2つのファンビーム152、153に形成される。
以上説明したように、レーザ投光器103は、レーザ光線投光器132から発せられ、次いで回折格子(BOE)134によって2つのファンビーム152、153に形成されたレーザ光線を照射する。レーザ光線はペンタプリズム109によって水平方向に偏向され、回転部105を回転させる事により基準面を形成する。
【0028】
(1.2.2)異なる偏光の2つのファンビームレーザ光を射出する回転レーザ装置
次に、異なる偏光の2つのファンビームレーザ光を射出する回転レーザ装置について説明する。
後で詳細に述べるように、精度の高い位置測定を行うためには、互いに異なる偏光を有する2つのファンビームレーザ光を射出する回転レーザ装置を使用するのが有利である。図8に示すように、回転レーザ装置151aは2つのファンビーム152a、153aを射出する。2つのファンビーム152a、153aが異なる偏光を有することにより、受光センサ装置154aの受光部が2つのファンビーム152a、153aを区別することが可能になる。
【0029】
図9に示すように、回転レーザ装置151aに内蔵されたレーザ投光器103a及び及びそれに取付けられた回転部105a以外のレーザ投光器を傾斜させる機構は図4と同じである。ここでは、レーザ投光器103a及びその回転部105aについて説明する。
【0030】
図10を参照すると、異なる偏光のファンビーム152a、153aを射出する回転レーザ装置151aは、レーザ投光器103a及び回転部105aを有する。なお、図中の各光学素子を通るレーザ光線の方向は実線の矢印で図示し、レーザ光線の偏光方向は破線の矢印で模式的に図示されている。
【0031】
レーザ投光器103aに使用するレーザ光線投光器132aにレーザダイオードを用いると、レーザ光は直線偏光になる。この偏光方向をここではX方向とし、レーザ光の射出される方向をZ方向とし、XZ平面に直交する方向をY方向とする。レーザ光線投光器132aから発せられたレーザ光線は、コリメートレンズ133aにより平行光に形成され、1/4波長板140に入射する。1/4波長板140は、レーザ光線投光器132aが射出し、X方向に直線偏光されたレーザ光が円偏光になるような方向に配置される。1/4波長板140を通過したレーザ光は再度1/4波長板139を透過して、図9に示すような、X方向と45゜の角度をなす方向に直線偏光される。ここで、回転部105aは回動自在に保持されているので、1/4波長板140と1/4波長板139との相対位置は変化する。しかしながら、1/4波長板140を通過したレーザ光は円偏光であるので、再度1/4波長板139を透過した後の直線偏光の偏光方向は、相対位置の変化の影響を受けず、1/4波長板139により決定される。次に、レーザ光は偏光ビームスプリッター141を通過する。偏光ビームスプリッター141はY方向の偏光成分を反射させ、X方向の偏光成分を透過させるように構成される。したがって、1/4波長板139によってX方向と45゜の角度をなす方向に直線偏光されたレーザ光のY方向成分は偏光ビームスプリッター141によって反射されて90゜偏向される。一方、レーザ光のX方向成分は偏光ビームスプリッター141を通過する。
【0032】
偏光ビームスプリッター141によって反射したレーザ光は、再度1/4波長板138に入射して円偏光となり、次にシリンダーミラー136により反射される。シリンダーミラー136は、レーザ光が回転部105aより射出された際に水平面に対してαの角度になるような方向に配置される。シリンダーミラー136で反射されたレーザ光は、再度1/4波長板138を透過してZ方向の直線偏光になるため、今度は、偏光ビームスプリッター141を透過することができ、回転部105aより射出される。
【0033】
一方、偏光ビームスプリッター141を透過したレーザ光は、同様に再度1/4波長板137に入射して円偏光となり、次にシリンダーミラー135によって反射される。シリンダーミラー135は、レーザ光が回転部105aより射出された際に水平面に対しβの角度になるような方向に配置される。シリンダーミラー135で反射されたレーザ光は、再度1/4波長板137を透過してY方向の直線偏光になるため、今度は、入射時に透過した偏光ビームスプリッター141で反射され、回転部105aより射出される。
【0034】
シリンダーミラー135、136の代りに同様の効果を持つ回折格子を使用しても良い。回折格子を使用した場合には、必要に応じてファンビーム光の強度分布を変える事も可能になる。ファンビーム光の水平面付近の光は、遠くの位置にあってもファンビーム光を受光センサ装置154aによって受光できるように、より強い光量が必要となる。水平方向から大きく離れた部分の光は、回転レーザ装置151aから離れると地表面と干渉するか若しくは受光不可能な高さまで広がってしまう。従って、受光センサ装置154aでの受光は近距離に限られるので強い光量を必要としない。
【0035】
又、光学系は、次の様な特徴を持っている。レーザ投光器103aより射出したレーザ光は、どちらのファンビーム光も回転部105a内において、偏光ビームスプリッター141における反射と、シリンダーミラー135、136における反射の合計2回反射して射出される。そのため、射出されるレーザ光の偏光角度は、回転部105aの回転角にかかわらず、回転部105aの透過偏角により決定される。この構成は、一般的に使用されているペンタプリズムを使用したのと同様の効果がある。
【0036】
その他2つのファンビームを発生させる方法について、図11乃至図13に図示する。
図11は回転部105の他の実施形態である。図11を参照すると、1/4偏光板139に円偏光で入射されたレーザ光は偏光ビームスプリッター141を透過する。ビームスプリッター141を透過した光は1/4波長板138を透過する。透過したレーザ光の一部はシリンダーハーフミラー147で反射され、再び1/4波長板138を透過する。1/4波長板138を透過したレーザ光は今度はビームスプリッター141によって反射され、ファンビーム152として射出される。シリンダーハーフミラー147はファンビーム152の傾き角度がαになるような方向に配置される。
【0037】
一方、ハーフミラー147を透過した光は偏光ビームスプリッター141aを透過し、1/4波長板137に入射する。この光は1/4波長板137を透過してシリンダーミラー135に入射する。ミラー135に入射した光はミラー135によって反射されて、再び1/4波長板を透過する。この光は、今度はビームスプリッター141aによって反射され、ファンビーム153として射出される。ミラー135はファンビーム153の傾き角度がβになるような方向に配置される。
【0038】
図12は回転部105の更に別の実施形態である。図12を参照すれば、回転部105に入射した光は、ペンタプリズム109に入る。ペンタプリズム109に入った光の一部はペンタプリズム109の上面のハーフミラー146によって反射され、ペンタプリズム109によって偏向される。偏向された光はシリンダーレンズ145aによってファンビーム152に形成されて射出される。シリンダーレンズ145aはファンビーム152の傾き角度がαになるような方向に配置される。
【0039】
一方、ペンタプリズム109のハーフミラー146を透過した光はペンタプリズム109aに入射して偏向される。ペンタプリズム109aによって偏向された光はシリンダーレンズ145bによってファンビーム153に形成されて射出される。シリンダーレンズ145bはファンビーム153の傾き角度がβになるような方向に配置される。
【0040】
図13は2つのファンビーム152、153を形成する別の実施形態である。図13(a)に示すように、シリンダーレンズロッド144を切断し、切断されたシリンダーレンズ144a、144bを再度接合する(図13(b))。この接合されたシリンダーレンズを光が透過すると2つのファンビーム152、153が形成される(図13(c))。
【0041】
(1.3)受光センサ装置
(1.3.1)2つのファンビームレーザ光を射出する回転レーザ装置用の受光センサ装置
次に、回転レーザ装置151の射出したファンビーム152、153を受光するための受光センサ装置154について説明する。図14及び図15に示すように、受光センサ装置154の筐体164には、ファンビーム152、153を検出するための受光部155、156が固定される。筐体164は、表示部157と、警告部161、例えばブザーと、入力キー162と、指標163とを有する。更に筐体164は記憶部165、受光状態判断部166、及び標尺目盛読取部167を内蔵し、目盛160が設けられたポール506に取付けられる。表示部157には、例えば、水平基準面から受光センサ装置154までの高さと、回転レーザ装置151と受光センサ装置154との間の距離が表示される。
【0042】
(1.3.1.1)受光センサ装置による角度の測定原理
前述のように、回転レーザ装置151はファンビーム152、153を射出しながら点Cを中心に回転する。図3に示したように、ファンビーム152は水平面に対して角度αをなして射出され、ファンビーム153は水平面に対して角度βをなして出射される。更に、ファンビーム152と水平面が交わる交線と、ファンビーム153と水平面が交わる交線は角度δをなしている。2つファンビーム152、153はこのような関係を保ちながら回転するので、ファンビーム152、153は時間差をもって受光センサ装置154の受光部を横切る。
【0043】
受光センサ装置154の受光部が水平面内の位置Aにある場合には、受光センサ装置154が検出する光は図16(a)に示すようになる。これに対して、受光部がAの鉛直上方Bの位置にある場合には、検出されるファンビームは図16(b)に示すようになる。ここで、図16(a)に示すように、受光部がA点にある場合の2つのファンビームの検出時間間隔をt0とし、回転レーザ装置151の回転周期をTとすると2つビームの検出時間間隔は(数式1)で与えられる。
【数1】
Figure 0003816806
【0044】
又、受光部が任意の高さBにある場合の検出時間間隔tは、受光部の位置Bとファンビームレーザ光の射出点Cとを結んだ直線と、水平面とのなす角度∠BCA=γに比例するので、γが大きくなると検出時間間隔tが長くなる。従って、Bにおける検出時間間隔tを測定することにより、回転レーザの射出点Cと受光部の位置Bとを結んだ直線が水平面となす角度γを下記の(数式2)又は(数式3)から算出することができる。
【数2】
Figure 0003816806
【数3】
Figure 0003816806
【0045】
2つのファンビーム152、153が受光センサ装置154の受光部を横切る時間間隔t及び、回転レーザ装置151の回転周期Tから角度γを算出する演算処理を、受光センサ装置154に内蔵された受光状態判断部166が行なうことによりγを測定することができ、この測定結果を表示部157が表示することができる。
【0046】
次に、回転レーザ装置151が、水平面内で交差する2つのファンビームを射出する場合、即ち図3の角度δを0゜とした場合について説明する。この状態を図17に示す。
【0047】
受光センサ装置154の受光部が水平面内の位置Aにある場合、回転する2つのファンビーム152、153が受光センサ装置154を同時に通過するため、t0=0となる。従って、任意の高さの点Bと回転レーザ装置の回転中心Cとを結んだ直線と、水平面とのなす角度∠BCA=γは、(数式2)及び(数式3)にt0=0を代入することにより、(数式4)、(数式5)によって得られる。
【数4】
Figure 0003816806
【数5】
Figure 0003816806
【0048】
(数式4)又は(数式5)からわかるように、α、βは定数であるから、角度γは回転レーザ装置151の回転周期T及び2つファンビームの検出時間間隔tの関数として表される。回転レーザ装置151の回転にむらがあり、設定された回転周期Tに誤差がある場合、又は、設定回転周期Tに誤差がないとしても、1回転中に回転むらがある場合には検出時間間隔tに誤差が生じ、算出されるγにも誤差が生じることになる。水平基準面を測定する場合において、図17のように2つのファンビーム152、153が水平面内で交わる様に構成すれば、γ=0においてt=0となるため、この誤差の影響を受けない。
【0049】
実際の土木工事においては、水平面を基準平面とする場合が多く、水平面内でファンビーム152、153が交差しない図2の構成よりも、水平基準面において測定誤差が最小になる図17に示す構成が望ましい。
ここで説明した受光センサ装置154による角度の測定原理は、2つの異なる偏光を有するファンビーム152a、153aを受光するための受光センサ装置154aについても全く同様に成り立つ。
【0050】
(1.3.1.2)2つの受光部を用いた受光センサ装置による角度の測定原理次に、受光部を2つ有する受光センサ装置154による角度の測定原理について説明する。2つの受光部を使用して、回転レーザ装置151に対する受光センサ装置154の高さ、及びそれらの間の距離を求めることができる。図18に示すように、2つ受光部155、156が受光センサ装置154に鉛直方向に並べて設けられる。
【0051】
2つのファンビーム152、153は水平面内において交差するように配置され、ファンビーム152は水平面と角度αをなし、ファンビーム153は水平面と角度βをなして回転する。2つの受光部155、156は鉛直方向に距離Dを隔てて配置される。
2つファンビーム152、153は上記の関係を保ちながら回転しているので、ファンビーム152、153が受光センサ装置154を横切るとき、受光センサ装置154の受光部155、156に図19に示すような時間差が検出される。
【0052】
検出された、時間間隔t1、t2、t3、Tと定数α、β、Dより、受光部155の水平基準面からの高さd1は(数式6)で与えられ、受光部156の高さd2は(数式7)で与えられる。
【数6】
Figure 0003816806
【数7】
Figure 0003816806
【0053】
また、受光部155とファンレーザビームの射出点Cとを結んだ直線と、水平面とのなす角度をγ2とし、受光部156と点Cとを結んだ直線と、水平面とのなす角度をγ1とすると、(数式4)よりγ2、γ1はそれぞれ(数式8)、(数式9)のように求められる。
【数8】
Figure 0003816806
【数9】
Figure 0003816806
【0054】
一方、回転レーザ装置151から受光センサ装置154のまでの距離Lは、 γ2、γ1、d1、d2によって(数式10)及び(数式11)のように表わすことができる。
【数10】
Figure 0003816806
【数11】
Figure 0003816806
【0055】
(数式6)乃至(数式9)を(数式10)及び(数式11)に代入することにより(数式12)及び(数式13)が得られる。
【数12】
Figure 0003816806
【数13】
Figure 0003816806
【0056】
(数式12)及び(数式13)何れの式でも、回転レーザ装置151と受光センサ装置154との間の距離を求めることができるが、t2―t1=0の時には(数式12)に0の除算が存在し、t3=0の時には(数式13)に0の除算が存在してしまうので、その場合は他方の式を使用する。
【0057】
次に、図20に示すように、受光センサ装置154が角度εだけ傾斜している場合について説明する。この場合においても、検出された時間間隔t1、t2、t3、及び回転周期Tより傾斜の補正を行ない、回転レーザ装置151に対する受光センサ装置154の高さ、及びそれらの間の距離を求めることができる。
【0058】
α+ε<90゜の場合には、ファンビームは、受光センサ装置154の受光部155、156において図19と同じ順序で検出される。検出された時間間隔t1、t2、t3、回転周期T、定数α、β、及び受光部155と受光部156との間の距離Dより、水平基準面から受光部155、156までのそれぞれの鉛直距離d1、d2は(数式14)及び(数式15)で与えられる。
【数14】
Figure 0003816806
【数15】
Figure 0003816806
又、受光センサ装置154の傾斜角εは、(数式16)で与えられる。
【数16】
Figure 0003816806
【0059】
距離Lは、(数式14)、(数式15)、(数式8)、(数式9)で求められたd1、 d2、 γ1、 γ2を(数式10)、(数式11)に代入する事により求めることができる。
次に、図21及び図22を参照して、ファンビームを検出するための受光部155、156が水平方向に2つ並んだ場合について説明する。
【0060】
2つのファンビーム152、153は水平面内において交差するように配置され、ファンビーム152は水平面と角度αをなし、ファンビーム153は水平面と角度βをなして回転する。受光センサ装置154にはファンビームを検出する2つの受光部155、156が距離Dを隔てて水平方向に並んで配置される。
【0061】
2つファンビームは上記の関係を保ちながら回転しているので、受光センサ装置154の受光部155、156をファンビームが横切ると、ファンビームが図22のように検出される。検出された時間間隔t1、t2、t3、Tと定数α、β、Dによって、回転レーザ装置151の回転中心Cから受光センサ装置154の受光部155、156までの水平距離が、(数式17)で与えられる。
【数17】
Figure 0003816806
【0062】
水平基準面から受光部155までの鉛直距離d1、水平基準面から受光部156までの鉛直距離d2は、(数式10)、(数式11)を変形した(数式18)、(数式19)で与えられる。
【数18】
Figure 0003816806
【数19】
Figure 0003816806
【0063】
(数式18)、(数式19)に(数式8)、(数式9)、(数式17)を代入すると(数式20)、(数式21)が得られる。
【数20】
Figure 0003816806
【数21】
Figure 0003816806
【0064】
ここで、γ2、γ1≒0の場合、tan(γ)≒γの関係が成り立つので(数式22)及び(数式23)が成り立つ。
【数22】
Figure 0003816806
【数23】
Figure 0003816806
【0065】
1、d2、εを計算する(数式14)、(数式15)、(数式16)、(数式22)、(数式23)をみると、計算式に回転周期Tが存在しないことがわかる。このことは、回転レーザ装置151の回転に回転むらがあり、設定された回転周期Tに誤差があったとしても誤差の影響を受けにくいということを表わしている。即ち、2つのファンビーム152、153が受光センサ装置154の受光部155、156を横切る際の短い時間内において、時間間隔t1、t2、t3に影響を与えるような回転むらが生じなければ、測定誤差が発生することはない。
【0066】
なお、ここで説明した測定原理は2つの異なる偏光を有するファンビーム152a、153aを受光する受光センサ装置154aについても全く同様に適用することができる。
【0067】
(1.3.1.3)受光センサ装置の位置の判別原理
受光センサ装置154の受光部が1つの場合、若しくは2つの受光部が水平方向に配置されている場合であって、なおかつ2つのファンビームが水平面上で交差する場合には、水平基準面から上方向、及び下方向に等距離離れた2つの位置では、両方とも同じ時間間隔でファンビームが検出され、時間間隔を測定しただけでは前記2つの位置を判別することができない。この場合、受光センサ装置154が水平基準面の上にあるか下にあるかを判別するために、受光センサ装置154を上下に動かし受光状態の変化を確認する必要があった。即ち、受光センサ装置154を上方に移動させたときに時間間隔が長くなったとすれば、受光センサ装置154は水平基準面の上側にあり、時間間隔が短くなったとすれば受光センサ装置154は水平基準面の下側にあるということがわかる。受光部が少なくとも2つ以上あり、かつ水平方向以外に配置された場合には、上記操作を行なう事なく、水平基準面の上であるか、下であるかを判別することが可能になる。また、偏光方向、波長等から2つのファンビーム152、153を識別することができる場合には、受光部が1つの場合、若しくは2つの受光部が水平方向に配置されている場合であっても、どちらのファンビームが先に検出されたかによって、水平基準面の上か下かを判別することができる。
【0068】
(1.3.1.4)ファンビームの検出時間間隔が短い場合の測定原理
前記の通り、受光センサ装置154は2つのファンビームが受光センサ装置154の受光部を横切る時間間隔tを計測し、それを演算する事により、回転レーザ装置151に対する受光センサ装置154の高さ、それらの間の距離、及び受光センサ装置154の傾斜角を算出する。受光部が受光した2つのファンビーム152、153の受光時間間隔が図23(a)のように長い場合には、正確な受光時間間隔tを計測することができる。しかし、図23(b)及び図23(c)のように、2つのファンビーム152、153の受光間隔が短く、受光信号がお互いに干渉している場合には正確な受光時間間隔を計測することができない。2つのファンビームによる信号を偏光により区別し、各々別の信号として認識する事により、受光間隔が短い場合でも正確な受光時間間隔の計測を行なう事が可能になる。
【0069】
(1.3.2)2つの異なる偏光を有するファンビームレーザ光を射出する回転レーザ装置用の受光センサ装置
上記の2つの異なる偏光を有するファンビームレーザ152a、153aを受光する受光センサ装置154aについて説明する。なお、ここでは、2つの異なる偏光を有するレーザ光を識別する部分の構成について説明する。その他の構成、及び回転レーザ装置に対する受光センサの高さ、及びそれらの間の距離等を求める測定原理は前記の受光センサ装置154と同一である。
【0070】
図24(a)は受光センサ装置154aの正面図、(b)はそのA−A断面図を示す。図24に示すように、この受光センサ装置154aの受光部155aは、受光素子155b、155cと、各受光素子の前に設けられた偏光ビームスプリッター168とを有し、受光部156aは、受光素子156b、156cと、各受光素子の前に設けられた偏光ビームスプリッター169とを有する。偏光ビームスプリッター168、169は入射レーザ光の偏光方向に応じて、レーザ光を透過又は反射する。反射光用に受光素子155b、156bが、透過光用に受光素子155c、156cが設けられており、入射レーザ光の偏光方向を判別できるようになっている。これにより、2つのファンビーム152a、153aが短い時間間隔で受光部155a、156aに入射されたとしても、例えば、受光素子155b、156bがファンビーム152aを、受光素子155c、156cがファンビーム153aを夫々検出するので、時間間隔を正確に検出することができる。
【0071】
別の実施形態として、回転レーザ装置151aの光路の最後に、さらに1/4波長板(図示せず)を設け円偏光でレーザ光を射出するように構成して、受光部155、156の偏光ビームスプリッター168、169の前に1/4波長板(図示せず)を設けると、受光センサ装置154が傾いていたとしてもビームスプリッター168、169によって正確に2つのファンビームを分離することができる。
【0072】
(1.3.3)単一の受光部を有する受光センサ装置
受光センサ装置154又は154aに設けられた受光部のうち1つを省略することができる。この場合には、単一の受光部を有する受光センサ装置によって測定を1回行った後、受光センサ装置を上又は下に移動させて2回目の測定を行う。例えば、受光センサ装置を上に移動させた場合に、受光部で受光されるファンビームの受光時間間隔が長くなったとすれば、受光センサ装置は水平基準面の上にあり、短くなったとすれば、受光センサ装置は水平基準面の下にあることがわかる。水平基準面に対する受光センサ装置の位置を判別した後は、1回目又は2回目の測定データを使用して水平基準面と受光センサ装置との間の距離を求めることにより、受光センサ装置の高さを求めることができる。
【0073】
また、受光センサ装置が常に水平基準面の上又は下に配置されていることが明らかな条件で、建設機械制御システムを使用する場合には、上記の操作を省略することができる。受光センサ装置の他の構成は受光部が1つになること以外は全て同一である。
【0074】
(1.3.4)3つ以上の受光部を有する受光センサ装置
また、受光センサ装置154又は154aに設ける受光部を3つ以上にしても良い。受光部の数以外の構成は前記の受光センサ装置の構成と同一である。この場合には、図23で説明したような2つのファンビームによる信号の干渉が1つの受光部で起きたとしても、他の2つ以上の受光部で同時に干渉が起こることはない。従って、干渉が起った受光部の測定値を捨て、残りの2つの受光部によって受光された測定値を用いることにより、2つのファンビームを偏光によって識別できない場合においても正確な計測を行なうことができる。
【0075】
図25(a)乃至(f)に全方向受光可能な受光センサ装置154bの実施形態を図示する。図25(a)に示すように、全方向受光可能な受光センサ装置154bは、支柱180と、3つの受光部155d、155e、155fと、受光センサ制御部177とを有する。3つの受光部155d、155e、155fは支柱180に等間隔に取付けられ、受光センサ制御部177は支柱の下部に取付けられる。図25(b)乃至(d)に示すように、各受光部155d、155e、155fはそれぞれ環状のシリンドリカルフレネルレンズ176と、環状のファイバーシート175と、環状に配置された複数の受光素子173とを有し、これらは同心円状に配列される。更に、環状に配置された受光素子173の内側には受光素子制御部174が設けられる。図25(e)及び(f)に示すように、受光センサ制御部177は表示部157と、警告部161、例えば、ブザーと、入力キー162と、記憶部165と、受光状態判断部166と、外部通信部178とを有する。
【0076】
ファンレーザビームが各受光部に照射されると、光はシリンドリカルフレネルレンズ176によって、ファイバーシート175を介して受光素子173に合焦される。受光素子173は光を受けると、受光信号を受光素子制御部174に送る。各受光部155d、155e、155fに内蔵された受光素子制御部174は受光信号を受光センサ制御部177に送る。受光センサ制御部177における信号の処理は、受光センサ装置154における信号の処理と同じである。
【0077】
(1.4)建設機械制御システムの作動
(1.4.1)受光センサ装置による高さ位置の測定
(1.4.1.1)2つの受光部を有する受光センサ装置による測定
回転レーザ装置151及び受光センサ装置154による高さの測定手順を説明する。図26に示す信号処理の手順を使用して受光センサ装置154の高さを測定する。まず、受光部155、156が回転レーザ装置151の発するファンビーム152、153を受光する。受光部155、156はビームを受光すると図19に示すような信号を発生する。この信号は受光センサ装置154の受光状態判断部166に送られ、時間間隔t1、t2、t3が計算される。
【0078】
受光状態判断部166は(数式16)を使用して、記憶部165に記憶されているファンビーム152、153の傾き角α、β及び時間間隔t1、t2、t3から受光センサ装置154の傾斜角εを計算する。受光状態判断部166は更に、(数式14)、(数式15)を使用して、記憶部165に記憶されている受光部155と受光部156との間隔D、時間間隔t1、t2、t3、及び先に計算した傾斜角εから、水平基準面から受光部156までの鉛直距離d1、水平基準面から受光部155までの鉛直距離d2を計算する。
このようにして得られた計算結果d1、d2を表示部157に送って表示することによって、回転レーザ装置151に対する受光センサ装置154の高さを測定することができる。
【0079】
(1.4.1.2)単一の受光部を有する受光センサ装置による高さ測定
図27を参照して、受光部が1つだけの実施形態における測定手順を説明する。受光部がファンビーム152、153を受光すると、図16に示すような信号を発生する。この信号は受光状態判断部166に送られ、受光時間間隔tが計算される。受光時間間隔t、ファンビームレーザー光152、153の回転周期T、及び傾き角α、βを使用して、(数式4)により角度γを計算する。前述のように角度γは、受光部の置かれた点Bとファンビームレーザ光の回転中心Cとを結ぶ直線と、水平面とのなす角である。角度γは表示部157に送られ、表示される。また、受光部と水平面との間の鉛直距離、即ち高さは、前記のように求められた角度γと、後述するGPS装置によって求められる距離L(受光部と回転中心Cとの間の水平方向距離)から(数式18)を使用して計算することができる。
【0080】
(1.4.1.3)3つ以上の受光部を有する受光センサ装置による高さ測定
受光部が3つ以上の実施形態においては、3つ以上の受光部で同時にファンビームを受光する。次に、受光したデータの中から、ファンビームの時間間隔が十分に大きく、信号に干渉が起っていない任意の2組の受光データを選択する。2組の受光データを選択した後の計算は図26に示した計算手順と全く同じである。ただし、受光部の間隔Dには、選択した2つの受光部の間の間隔を使用して計算する。
【0081】
回転レーザ装置を、異なる偏光の2つのレーザビームを射出する回転レーザ装置151aとし、受光センサ装置を異なる偏光のファンビームを識別する受光センサ装置154aとすることによって、レーザービームの検出時間間隔が短い場合であっても精度の良い測定をすることができる。この場合においても、上記の測定手順と同一の測定手順で測定を行うことができる。
【0082】
(1.4.2)GPSによる位置測定
図28を参照して、GPSによる位置測定を説明する。建設機械、例えば、ブルドーザ502は、受光センサ装置154と、GPS受信装置510と、制御装置650と、表示部655と、操作部656と、ブレード駆動部671と、油圧シリンダ573と、整地器具、例えば、ブレード505とを有する。GPS受信装置510は、GPSアンテナ509と、受信部553と、信号処理部654とを有する。更に、制御装置650は演算部651と、記憶部652とを有する。ブレード駆動部671は電気/油圧回路672及び電磁弁(図示せず)を有する。一方、GPSベース装置501はGPSベースアンテナ508と、無線送信機557とを有し、回転レーザ装置151に隣接して配置される。
【0083】
GPSアンテナ509は、ブルドーザの屋根等、衛星からの電波を遮るものが少ない位置に取付けられ、衛星からの電波を受信する。一方、GPSベース装置501に設けられたGPSベースアンテナ508も衛星からの電波を受信する。GPSベースアンテナ508によって受信された電波は変換され、無線送信機557を介して、建設機械502に設けられた受信部553に送信される。GPSアンテナ509が受信した電波及び受信部553が受信した電波は、信号処理部654に送られて、増幅され、所定の信号形態に変換される。信号処理部654は、GPSアンテナ509及びGPSベースアンテナ508が受信した電波をもとに、各アンテナの水平面内における位置、及びGPSベースアンテナ508とGPSアンテナ509との間の距離を計算する。計算された位置及び距離を基に回転レーザ装置151と、建設機械502に取付けられた受光センサ装置154との間の距離を計算する。
GPSによる位置の測定は、上記のキネマチック方式の他、移動する点を時々刻々検出することができる任意の方式を採用することができる。
【0084】
(1.4.3)建設機械の制御
図28を更に参照して、建設機械の制御について説明する。
制御装置650に内蔵された記憶部652は、施工図に基づく地形データ、即ち平面座標に対する地面の高さデータ、回転レーザ装置151の水平面内における位置、回転レーザ装置151の高さ位置、及びブレード刃先505aから受光センサ装置154の基準位置までの高さデータを格納している。更に、記憶部652には、建設機械502の水平面内の位置及び高さ位置と、施工図に基づく地形データとを基にブレード505を制御するためのプログラムが格納されている。また、ファンビームレーザの受光間隔から受光センサ装置154の高さを計算する前述の演算を制御装置650の内部で行う場合には、その演算プログラムも記憶部652に格納しておく。なお、制御装置650はパーソナルコンピュータによって代表されるような装置で構成することができる。
【0085】
信号処理部654からの建設機械102の位置データ(X1,Y1)、及び受光センサ装置154からの高さ位置のデータH1は制御装置650に内蔵された演算部651に入力される。ブレード505の制御プログラムは、入力された位置データ(X1,Y1)と、予め記憶部652に記憶させておいた平面座標に対する地面の高さデータから、その位置(X1,Y1)における所望の地面の高さH2を求める。また、受光センサ装置154はポール506に取付けられており、受光センサ装置154及びポール506はブレード505と共に上下に移動する。この受光センサ装置154からブレードの刃先505aまでの距離H3を記憶部652に予め記憶させておく。次に、高さデータH1から、距離H3を差し引くことにより現在のブレードの刃先505aの高さH4を計算する。続いて、所望の地面の高さH2と、ブレードの刃先505aの高さH4とを比較してブレード505の移動量を演算する。
【0086】
制御装置650で計算されたブレード505の移動量はブレード駆動部671に入力される。ブレード駆動部671は、入力された移動量に基づいて電気/油圧回路672の電磁弁を開閉し、油圧シリンダ573を駆動する。即ち、演算部651は、所要のシーケンスに従って電気/油圧回路672に電磁弁の開閉制御指令を発する。電磁弁を開閉することで油圧シリンダ573への圧油の給排を行い、又は流量を調節することにより油圧シリンダ573を所要の方向に、所要の速度で移動させ、それにより、ブレード505を所要の方向に所要の速度で上下に移動させる。ブレード505の位置、又はブレード505による掘削の状態が表示部655に表示される。
【0087】
ブレード505の操作を、手動で直接行えるようにしても良い。即ち、建設機械502の位置データ(X1,Y1)、ブレードの刃先505aの高さH4、及び所望の地面の高さH2と高さH4との差等を表示部655に表示する。建設機械の作業者は表示部655を見ながら操作部656を操作することによって、高さH2と高さH4との差が無くなるようにブレード505を操作する。操作部656を操作すると、その操作信号が演算部651に送られ、演算部651は電気/油圧回路672及び油圧シリンダ573を介してブレード505を移動させる。また、演算部651を介することなく、作業者がブレード駆動部671を直接操作するように構成しても良い。
【0088】
また、上記の実施形態では、受光センサ装置154はポール506を介してブレード505に取付けられていたが、受光センサ装置154を建設機械502の車体に取付けることもできる。この場合には、受光センサ装置154とブレード505との間の距離H3が変化するので、油圧シリンダ573の伸縮状態を測定し、或いは、ブレード505を支持するアームの回転角を測定することにより、受光センサ装置154とブレード505との間の距離H3を計算する必要がある。この距離H3を演算部651における演算に使用することにより、高さH4を計算することができる。
ここでは、整地器具としてブルドーザのブレードを制御する場合について説明したが、ローラー又は他の地形を加工するための器具を整地器具として使用することができる。
【0089】
更に、ここで説明した制御手順は、2つの異なる偏光を有するファンビームを受光する受光センサ装置154a、及び3つ以上の受光部を有する受光センサ装置を使用した場合にも全く同じ手順で実施することができる。
上記のように、本発明による建設機械制御システムを使用することによって、施工データに合致した整地作業を自動的に行うことができ、また、表示部655に表示されたデータを基に手動で整地作業を行うことにより、熟練度の低い作業者でも容易に整地作業を行うことができる。
【0090】
(1.4.4)GPS装置の省略
ここで説明した本発明の実施形態においては、GPSによる水平面内の位置の測定を回転レーザ装置151に隣接して配置されたGPS装置501と、建設機械502のGPS受信装置510との両方で行っている。しかしながら、通常の使用においては、回転レーザ装置151は固定した点に置かれ、頻繁に移動することはないので、一旦、回転レーザ装置151の位置を測定しておき、その位置を建設機械502に備えられた信号処理部654、又は演算部651に入力しておくことによって、GPS装置501を省略することもできる。
【0091】
(1.4.5)複数の建設機械の制御
次に、複数の建設機械、例えば、複数のブルドーザを同時に使用して整地作業を行う場合について説明する。図1に示すように、回転レーザ装置151はファンビームレーザ光152、153を射出し、また、GPS装置501はGPSアンテナ508が受信した位置データを送信しているだけであるから、上記の装置と同様な装置を備えた建設機械502bをもう1台用意することによって、建設機械502bについても全く同様な制御を行うことができる。即ち、建設機械502bに備えられた受光センサ装置154bによってファンビームレーザ光152、153を受光し、受信部553bによって無線送信機557の発した電波を受信し、GPSアンテナ509bによって人工衛星からの電波を受信することによって、全く同様の制御を行うことができる。同様に、更に多くの建設機械を同時に制御することもできる。
【0092】
(1.4.6)回転レーザ装置の作動
回転レーザ装置151は、回転の全周に亘ってファンビームレーザを射出しなくても良い。即ち、上記の説明では、回転レーザ装置151はファンビームレーザ光152、153を全周に亘って射出しているが、レーザ光は各建設機械502によって受光される範囲にのみ射出されれば良い。この場合には、レーザ光線投光器132(図5参照)は連続点灯するのではなく、レーザ光線が各建設機械502の方へ射出される期間だけ点灯すれば良く、これにより、回転レーザ装置の消費電力を低減することができる。
【0093】
このような構成を採用するには、各建設機械502の位置情報を回転レーザ装置151に伝達する通信手段を各建設機械502に取付ける必要がある。回転レーザ装置151には、前記の位置情報を受信する手段を設けて、受信した位置情報をもとに各建設機械502の配置された方向を演算する。次に、投光器103(図4参照)の回転部105が前記の方向を向いている間だけレーザ光を射出するように、走査モータ107の回転とレーザ光線投光器132の発光とを制御する制御手段を設ける。回転部105の方向はエンコーダ117(図5参照)によって求めることができる。
また、同様の構成によって、建設機械502の置かれた区間だけをファンレーザビーム152、153が往復走査するように回転レーザ装置151の走査モータ107を作動させることもできる。
【0094】
(1.5)本発明による建設機械制御システムの他の利点
又、従来の回転レーザ装置を使用した建設機械制御システムでは、レーザが照射されている設定した水平面、又は任意の傾斜平面内に受光器が配置されているか否かだけを判別していたので、1つのレーザ発光装置について、一度に2つ以上の平面を形成することはできなかった。これに対して、本発明による建設機械制御システムに使用される回転レーザ装置では、ファンビームレーザに対する高さを検出することができるため、各々受光センサ装置154を備えた複数の建設機械を使用すれば、1回転中に複数の位置で任意の高さの整地作業が可能になる。
【0095】
更に、本発明による建設機械制御システムを使用すると、水平面ばかりでなく、傾斜面、又は曲面を伴う整地作業を、作業者の熟練を要することなく容易に、かつ確実に行うことができる。また、同一の回転レーザ装置によって各建設機械毎に制御を行うため、建設機械の誤動作がないという優れた効果を発揮する。
【0096】
(2)第2の実施形態
以下の説明は、主に本発明の第2の実施形態が本発明の第1の実施形態と異なる点について述べる。従って、以下に記載がない箇所は、前述した第1の実施形態についての説明をここに準用する。
(2.1)建設機械制御システムの全体構成
本発明の第2の実施形態では、図29に示すように、第1の実施形態で使用した回転レーザ装置151の代りに、波長の異なる2つのファンビームレーザ光252、253を射出する回転レーザ装置251を使用し、第1の実施形態で使用した受光センサ装置154の代りに、異なる波長の2つのファンビームレーザ光を識別することができる受光センサ装置254を使用する。他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0097】
(2.2)波長の異なる2つのファンビームレーザ光を射出する回転レーザ装置第2の実施形態による回転レーザ装置251を図30に示す。本発明の第2の実施形態においては、レーザ投光器203及びその回転部205以外の構成は第1の実施形態と同一である。第1の実施形態に対応するその他の図30に示す構成要素は、全て参照番号の百の位を2に換えて図示されている。
【0098】
本発明の第1の実施形態では異なる偏光を有する2つのファンビームを使用したが、本発明の第2の実施形態では異なる波長を有する2つのファンビームを使用する。
第2の実施形態では、回転レーザ装置251より射出される2つのファンビーム252、253を異なる波長にして、2つのファンビームを区別できるように構成する。このような構成によっても、2つのファンビームに異なる偏光を与えたのと同様の効果が得られる。
【0099】
第2の実施形態による回転レーザ装置251のレーザ投光器203及び回転部205を図31に示す。図31に示すように、レーザ投光器203には、2つのレーザ光線投光器232、243が内蔵されており、それらは各々異なる波長の光を射出する。レーザ光線投光器232及び243にレーザダイオードを使用した場合、各レーザ光は直線偏光になる。なお、図31では、レーザ光線投光器232が発したレーザ光の偏光方向を破線で指示し、レーザ光線投光器243の発したレーザ光の偏光方向を一点鎖線で指示している。各レーザ光は偏光ビームスプリッター242に入射される。偏光ビームスプリッター242はレーザ光線投光器232から射出されたX方向に偏光されたレーザ光を透過し、レーザ光線投光器243より射出されたX方向と直交するY方向に偏光されたレーザ光を反射するように構成される。偏光ビームスプリッター242を透過し、又は反射した各レーザ光は、共通のコリメートレンズ233によって平行光に形成され1/4波長板240に入射する。1/4波長板240は、レーザ投光器203から射出されるレーザ光がそれぞれ回転方向が異なる円偏光になるような方向に配置される。1/4波長板240を透過した各レーザ光は再び、回転部205に設けられた1/4波長板239に入射し、直線偏光になる。
【0100】
回転部205は回転自在に保持されているが、射出されたレーザ光が円偏光であるので回転の影響を受けることはなく、再度1/4波長板239を透過して直線偏光になった時の偏光方向は、前記1/4波長板239により決定される。1/4波長板239を透過した各レーザ光は偏光ビームスプリッター241に入射する。偏光ビームスプリッター241は、レーザ光線投光器232から射出されたレーザ光を反射し、レーザ光線投光器243から射出されたレーザ光を透過するように構成される。
【0101】
反射したレーザ光は、再度1/4波長板238に入射して円偏光となり、次にシリンダーミラー236により反射される。シリンダーミラー236は、レーザ光が回転部205より射出された際に水平面に対してαの角度になるように配置される。シリンダーミラー236から反射されたレーザ光は、再度1/4波長板238を透過して入射レーザ光に対し偏光方向が90°回転する。それにより、1/4波長板238を透過したレーザ光は、今度は、偏光ビームスプリッター241を透過することができ、回転部205より射出される。
【0102】
一方、偏光ビームスプリッター241を透過したレーザ光は、同様に再度1/4波長板237に入射して円偏光となり、次にシリンダーミラー235により反射される。シリンダーミラー235は、レーザ光が回転部205より射出した際に水平面に対しβの角度になるような方向に配置される。シリンダーミラー235によって反射されたレーザ光は、再度1/4波長板237を透過して入射レーザ光に対し偏光方向が90°回転する。それにより、1/4波長板237を透過したレーザ光は、今度は、偏光ビームスプリッター241によって反射され回転部205より射出される。
なお、偏光ビームスプリッター242には、ダイクロックミラーを使用することもできる。
【0103】
(2.3)受光センサ装置
本発明の第2の実施形態による受光センサ装置254の正面図を図32(a)に、そのA−A断面図を(b)に示す。波長の異なる光を識別する受光部以外の構成は本発明の第1の実施形態と同一である。本発明の第2の実施形態において、本発明の第1の実施形態に対応するその他の図32に示す構成要素は、全て参照番号の百の位を2に換えて図示されている。
図32に示すように、第2の実施形態による受光センサ装置254は、受光部255、256に入射したファンビーム252、253の波長を判別し、区別できるように構成される。受光部255、256は、入射レーザ光の波長に応じてレーザ光を透過し、又は反射するダイクロックミラー268、269を有する。ダイクロックミラー268、269を透過する光に対して受光部255c、256cを設け、反射する光に対して受光部255b、256bを設けて、入射レーザ光の波長を判別できるように構成する。
【0104】
(2.4)第2の実施形態による建設機械制御システムの作動
本発明の第2の実施形態による建設機械制御システム200に対しても、本発明の第1の実施形態において説明した測定手順をそのまま適用することができる。
【0105】
(3)第3の実施形態
以下の説明は、主に本発明の第3の実施形態が本発明の第1の実施形態と異なる点について述べる。従って、以下に記載がない箇所は、前述した第1の実施形態についての説明をここに準用する。
(3.1)建設機械制御システムの全体構成
本発明の第3の実施形態による建設機械制御システムの概略を説明する。図33に示すように、第3の実施形態による建設機械制御システム300は回転レーザ装置351と受光センサ装置354とを含む。回転レーザ装置351はファンビーム352及び353を射出ながら点Cを中心に回転し、受光センサ装置354はファンビーム352、353を受光する。ファンビームを射出する角度等はすべて第1の実施形態と同一である。
【0106】
(3.2)異なる周波数で変調した2つのファンビームレーザ光を射出する回転レーザ装置
本発明の第3の実施形態による回転レーザ装置351を図34に示す。レーザ投光器303及び回転部305以外の構成は第1の実施形態と同一である。本発明の第3の実施形態において、本発明の第1の実施形態に対応するその他の図33に示す構成要素は、全て参照番号の百の位を3に換えて図示されている。
本発明の第1の実施形態では異なる偏光を有する2つのファンビームを使用したが、本発明の第3の実施形態では異なる周波数で変調した2つのファンビームを使用する。
【0107】
第3の実施形態では、回転レーザ装置351より射出される2つのファンビーム352、353に異なる周波数による変調を与え、2つのファンビームを区別できるように構成する。このような構成によっても、2つのファンビームに異なる偏光を与えたのと同様の効果が得られる。
【0108】
第3の実施形態による回転レーザ装置351のレーザ投光器303及び回転部305を図35に示す。図35に示すように、レーザ投光器303には、2つのレーザ光線投光器332、343が内蔵されており、それらは各々異なる周波数で変調された光を射出する。レーザ光線投光器332及び343にレーザダイオードを使用した場合、各レーザ光は直線偏光になる。なお、図35では、レーザ光線投光器332が発したレーザ光の偏光方向を破線で指示し、レーザ光線投光器343の発したレーザ光の偏光方向を一点鎖線で指示している。レーザ光線投光器332、343が発生したレーザ光を射出するための光学系は第2実施形態と同様である。
【0109】
(3.3)受光センサ装置
本発明の第3の実施形態による受光センサ装置354の正面図を図36(a)に、そのA−A断面図を(b)に示す。なお、異なる周波数により変調された光を識別する受光部以外の構成は第1の実施形態と同一である。本発明の第3の実施形態において、本発明の第1の実施形態に対応するその他の図36の構成要素は、全て参照番号の百の位を3に換えて図示されている。
図36に示すように、本発明の第3の実施形態による受光センサ装置354は、受光部355、356に入射したファンビーム352、353の変調周波数を受光状態判断部366で判別し、区別できるように構成される。受光部355、356は、入射レーザ光の変調周波数に応じてレーザ光を透過し、又は反射するビームスプリッター368、369を有する。ビームスプリッター368、369を透過した光に対して受光部355c、356cを設け、反射した光に対して受光部355b、356bを設けて、入射レーザ光の変調周波数を判別できるように構成する。
【0110】
(3.4)第3の実施形態による建設機械制御システムの作動
本発明の第3の実施形態による建設機械制御システム300に対しても、以下に説明する事項を除き、本発明の第1の実施形態において説明した測定手順をそのまま適用することができる。
(3.4.1)ファンビームの変調態様とその検出
2つのファンビーム352、353に与える変調について説明する。各ファンビームには、図37に示すように、異なる周期で点滅を繰り返すように変調を加えることができる。図38は、受光部で検出されるファンビーム352、353の一例を示したものである。各ファンビームの点滅周期には、各ファンビームを互いに区別できるように、十分な差を設けておく。また、点滅周期は、ファンビーム352、353が受光センサ装置354の受光部355、356を横切るのに要する時間taよりも十分に短くなるように設定する。受光部で検出されたファンビーム352、353の検出信号を、図38に破線で示したような周期の長い波として処理することにより、2つのファンビーム352、353の受光時間間隔t0を得ることができる。
【0111】
受光センサ装置には変調周波数判別回路を設けておき、ファンビーム352とファンビーム353とを区別して検出する。変調周波数判別回路では、所定の時間内に検出されるレーザビームのパルス数をカウントすることによって変調周波数を測定し、それにより2つのファンビームを区別する。2つのファンビーム352、353を区別して検出することができれば、受光センサ装置の受光部が1つだけの場合においても、受光センサ装置が水平基準面の上にあるのか、下にあるのかを一回の測定で判別することができる。
別の変調の与え方として、図39に示すように、ファンビーム352、353が交互に発光するように変調をかけても良い。このように変調をかけた場合には、図40に示すように受光時間間隔が短い場合でも、2つのファンビームを判別することができ、受光時間間隔t0を正確に検出することができる。
【0112】
更に別の変調の与え方として、図37の変調と図39の変調の特徴を併せ持つ変調を与えても良い。即ち、図41に示すように、ファンビーム352、353が交互に発光するように変調をかけ、さらに各ファンビームが点灯している周期の間に更に細かい周期で点滅を繰り返すように変調をかける。交互に点灯する周期の間に点滅を繰り返す細かい周期は、ファンビーム352と、ファンビーム353で異なる周期を持つように点滅周期を設定する。このような変調を与えると2つのファンビーム352、353を区別することができ、受光センサ装置が水平基準面の上にあるのか、下にあるのかを判別することができる。同時に、ファンビームの受光間隔が短い場合にも受光時間間隔t0を正確に検出することができる。
【0113】
(4)他の実施形態
(4.1)ファンビームの別の構成態様
以上の実施形態は全て、2つのファンビームを射出する回転レーザ装置を用いているが、3つ以上のファンビームレーザを同時に発生する回転レーザ装置を使用して建設機械制御システムを構成することもできる。その場合には、ファンビームの中から適当な2つのファンビームレーザ光を選択して、上記の実施形態と全く同様に測定を行うことができる。
【0114】
図42は、ファンビームの射出パターンの例である。図42(a)乃至(j)は受光センサ装置の方向から見たファンビームの断面であり、一点鎖線は水平基準面を表す。上記の実施形態では図42(a)は図1及び図2に示したファンビームの射出パターンであり、図42(b)は図17に示した射出パターンである。図42(c)乃至(j)は3つ以上のファンビームを射出する射出パターンの例である。各ファンビームは、ファンビームと水平基準面を表す一点鎖線との交点が等間隔になるように配置するのが良い。図42(a)及び図42(c)乃至(j)の射出パターンにおいては、受光センサ装置が水平面上にある場合にもファンビームが重ならないため、各ファンビームに異なる偏光等を与えなくても正確に受光時間間隔を計測することができる。
【0115】
また、図42(c)乃至(g)及び図42(i)(j)の射出パターンの場合には、3つのファンビームが順に検出されることによって生じる2つの時間間隔が水平面上において等しくなるため、水平基準面を容易に求めることができる。また、前記したようにファンビームの中から適当な2つのファンビームレーザ光を選択して、前記の実施形態と全く同様に測定を行うこともできるが、前記2つの時間間隔の比に対応する前記受光センサの水平面となす角度の組み合わせが1つであることから、2つの時間間隔の比により、直接時間比に対応する受光センサの水平面となす角度を求めることができる。2つのファンビームレーザ光だけでは、前記受光センサの水平面となす角度を求めるのに、必ず回転レーザ装置の回転周期Tが必要であったが、3つ以上のファンビームの場合には必要ない。これは、前記実施例が、回転レーザ装置の回転むら誤差に影響されず精度が良い測定が可能であることを示す。
【0116】
更に、図42(h)の射出パターンの場合には、4つのファンビームによって3つの受光時間間隔が形成されるため、それらを平均化することにより計測精度を向上させることができる。図42(i)(j)の射出パターンにおいては、水平面付近とそれ以外の部分で感度が変化する。即ち、水平面付近においては、受光センサ装置が水平面から少し外れると受光時間間隔が大きく変化するが、水平面から離れた所では、受光センサ装置を鉛直方向に移動させても受光時間間隔はあまり変化しない。これにより、受光時間間隔によって水平基準面を精度良く検出することが可能になる。なお、本明細書においては、図42(i)(j)の中央のレーザビームのような曲面又は折れ面状に広がるレーザビームもファンビームと呼ぶ。また、ファンビームレーザ光の傾斜角度は、曲面又は折れ面のファンビームにおいては面上の任意の点における接線の傾斜角度を言うものとする。
【0117】
受光したファンビームを基に水平基準面からの高さを求める計算は、図42(c)乃至(h)の射出パターンについては、任意の2つのファンビームに対して前記実施形態の計算手順を繰り返し適用することによって同様に行うことができる。図42(i)(j)の射出パターンについては計算手順を適宜変更して水平基準面からの高さを計算する。
【0118】
上記の射出パターンは全て、図6に示すように、ファンビームを射出する光学系の途中に適当な回折格子を配置することによって実現することができる。更に、回折格子を使用せずに上記の射出パターンを形成することもできる。図43は図42(c)のファンビームを形成する回転レーザ装置のレーザ投光器403及び回転部405の一実施形態である。図43は、第1の実施形態に対応する構成要素は全て百の位を4に換えて図示されている。レーザ光線はレーザ光線投光器432から射出され、コリメートレンズ433、1/4波長板440、439を通って偏光ビームスプリッター441に入射する。偏光ビームスプリッター441に入射したレーザ光の一部は透過し、1/4波長板437を通ってシリンダーミラー435によって反射され、再び1/4波長板437を通って、偏光ビームスプリッター441に入射する。入射したレーザ光は、今度はビームスプリッター441によって反射され、水平基準面に対してβ度傾斜したファンビーム453として射出される。
【0119】
一方、1/4波長板439を出て偏光ビームスプリッター441に入射したレーザ光の一部は、ビームスプリッター441によって反射され、1/4波長板438に入射する。1/4波長板438に入射したレーザ光はそれを通過し、偏角プリズム460を通ってシリンダーミラー436によって反射される。該シリンダーミラー436は鉛直方向に広がるファンビームを射出するような方向に配置される。シリンダーミラー436によって反射されたレーザ光は再び偏角プリズムに入射して、鉛直方向に広がる2つのファンビームに形成される。これらのファンビームは、更に1/4波長板438及びビームスプリッター441を通ってファンビーム452a、452bとして射出される。
【0120】
次に、図44を参照して、図42(c)の形状のファンビームを形成するための回転レーザ装置のレーザ投光器及び回転部の別の実施形態を説明する。本実施形態のレーザ投光器503は、レーザ光線投光器532と、コリメートレンズ533とを有する。また、本実施形態の回転部505は、3つの等倍ビームエキスパンダ562a、562b、562cと、3つのシリンドリカルレンズ564a、564b、564cと、3つのミラー566a、566b、566cと、を有する。
【0121】
レーザ光線投光器532から射出されたレーザ光は、コリメートレンズ533によって平行光にされる。コリメートレンズ533を透過したレーザ光は、回転部505の3つの等倍ビームエキスパンダ562a、562b、562cに入射する。各等倍ビームエキスパンダ562に入射した各レーザ光は、各々所定の偏角を与えられる。等倍ビームエキスパンダ562a、562b、562cを透過したレーザ光は、夫々、シリンドリカルレンズ564a、564b、564cによってファンビーム553、552b、552aに形成される。各シリンドリカルレンズ564a、564b、564cによってファンビームに形成されたレーザ光は、夫々、ミラー566a、566b、566cによって反射され、回転レーザ装置の回転軸と直交する方向に射出される。
【0122】
この際、レーザ光は、等倍ビームエキスパンダ562を透過し、ミラー566によって1回反射されるので、レーザ光が偏向される角度は、回転部505の透過偏角のみに依存する。従って、ファンビーム553、552b、552aの射出方向は、レーザ投光器503と回転部505との間のガタによる影響を受けることがない。適用によっては、レーザ投光器503から射出され、各等倍ビームエキスパンダ562に入射するレーザ光以外の光を遮断するために、等倍ビームエキスパンダ562の下方に遮光用のマスク(図示せず)を取付けても良い。或いは、レーザ光線投光器532から射出され、コリメートレンズ533に入射するレーザ光以外の光を遮断するために、レーザ光線投光器532とコリメートレンズ533との間に遮光用のマスク(図示せず)を取付けても良い。
【0123】
次に、図45及び図46を参照して、図42(c)の形状のファンビームを形成するための回転レーザ装置のレーザ投光器及び回転部の更に別の実施形態を説明する。本実施形態のレーザ投光器603は、レーザ光線投光器632と、コリメートレンズ633とを有する。また、本実施形態の回転部605は、3つの穴672a、672b、672cを有する遮光用のマスク672と、マスク672を通過したレーザ光を偏向させるためのペンタプリズム674と、ペンタプリズム674に取付けられ、ファンビームを形成するためのシリンドリカルレンズ675、676と、ペンタプリズム674に取付けられ、ペンタプリズム674から射出されたレーザ光を更に水平方向に偏向させるためのウエッジプリズム678と、を有する。
【0124】
レーザ光線投光器632から射出されたレーザ光は、コリメートレンズ633によって平行光にされる。コリメートレンズ633を透過したレーザ光は、回転部605の遮光用のマスク672に入射する。マスク672に設けられた穴672aを通過したレーザ光は、ペンタプリズム674に直接入射し、偏向される。図46に示すように、穴672aを通過し、ペンタプリズム674の底面に直接入射したレーザ光は、90゜偏向され、ペンタプリズム674の鉛直面から射出する。このレーザ光は、ペンタプリズム674の鉛直面に取付けられたシリンドリカルレンズ676に入射し、水平面に対して所定の角度傾斜したファンビーム653に形成される。一方、マスク672に設けられた穴672b、672cを通過したレーザ光は、ペンタプリズム674の底面に取付けられたシリンドリカルレンズ675に夫々入射してファンビームに形成され、ペンタプリズム674によって90゜偏向される。これらのレーザ光は、ペンタプリズム674の鉛直面のシリンドリカルレンズ676の下方に取付けられたウエッジプリズム678に入射して水平方向に偏向され、ファンビーム652a、652bとして射出される。
【0125】
この際、レーザ光は、ペンタプリズム674の中で夫々2回ずつ反射されるので、レーザ光が偏向される角度は、ペンタプリズム674の透過偏角のみに依存する。従って、ファンビーム653、652b、652aの射出方向は、レーザ投光器603と回転部605との間のガタによる影響を受けることがない。適用によっては、レーザ光線投光器632から射出され、コリメートレンズ633に入射するレーザ光以外の光を遮断するために、レーザ光線投光器632とコリメートレンズ633との間に遮光用のマスク(図示せず)を取付けても良い。
【0126】
(4.2)建設機械制御システムの他の構成
以上に、様々な実施形態の建設機械制御システムを説明した。即ち、2つのファンビームが水平基準面上で交差する回転レーザ装置、水平面以外で交差する回転レーザ装置、3つ以上のファンビームを射出する回転レーザ装置、2つのファンビームに異なる偏光を持たせた回転レーザ装置、異なる周波数による変調若しくは異なる波長を持たせた回転レーザ装置、さらに、単一の受光部を有する受光センサ装置、2つ以上の受光部が鉛直方向若しくは水平方向並べられた受光センサ装置、異なる偏光のファンビームを識別することができる受光センサ装置、異なる周波数による変調若しくは異なる波長のファンビームを識別することができる受光センサ装置等が組み込まれた建設機械制御システムである。当業者には明らかなように、本発明の示唆の範囲内で上記の実施形態を適宜組合せて建設機械制御システムを構成することができる。
【0127】
【発明の効果】
本発明により、単一の回転レーザ装置で複数の建設機械を制御し、それら複数の建設機械が異なる高さの水平面を整地することが可能になる。また、本発明により、建設機械を制御して作業者の熟練度に左右されずに能率的に傾斜面を整地することが可能になり、更に、複数の建設機械が異なる傾斜の傾斜面を同時に整地することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建設機械制御システムの概略を示す図である。
【図2】本発明の建設機械制御システムの回転レーザ装置及び受光センサ装置の位置関係を示す図である。
【図3】回転レーザ装置が射出するファンビームの広がりを示す三面図である。
【図4】回転レーザ装置の断面図である。
【図5】回転レーザ装置の他の実施形態である。
【図6】回転レーザ装置の更に別の実施形態である。
【図7】回転レーザ装置において、回折格子を通過したレーザビームがファンビームに形成される様子を表わす図である。
【図8】2つの異なる偏光を有するファンビームを使用する場合の本発明の建設機械制御システムの概略を示す斜視図である。
【図9】2つの異なる偏光を有するファンビームを射出する回転レーザ装置の断面図である。
【図10】回転レーザ装置のレーザ投光器及び回転部の分解図である。
【図11】2つのファンビームを発生させる回転レーザ装置の他の実施形態である。
【図12】2つのファンビームを発生させる回転レーザ装置の更に別の実施形態である。
【図13】回転レーザ装置の2つのファンビームを発生させるシリンダーレンズの実施形態である。
【図14】本発明の建設機械制御システムに含まれる受光センサ装置の正面図である。
【図15】本発明の建設機械制御システムに含まれる受光センサ装置の断面を表わす模式図である。
【図16】本発明の建設機械制御システムに含まれる受光センサ装置が検出する信号のグラフである。
【図17】回転レーザ装置の2つのファンビームが水平面内で交わる実施形態の斜視図である。
【図18】本発明の建設機械制御システムに含まれる2つの受光部と2つのファンビームとの位置関係を表わす図である。
【図19】図18の位置関係の場合に検出される信号のグラフである。
【図20】本発明の建設機械制御システムに含まれる受光センサ装置が傾斜した場合の2つの受光部と2つのファンビームとの位置関係を表わす図である。
【図21】本発明の建設機械制御システムに含まれる2つの受光部が水平方向に配置された場合の2つの受光部と2つのファンビームとの位置関係を表わす図である。
【図22】図21の位置関係の場合に検出される信号のグラフである。
【図23】回転レーザ装置の2つのファンビームの受光間隔が短い場合に受光部で検出される信号のグラフである。
【図24】本発明の建設機械制御システムに含まれる2つの異なる偏光のファンビームレーザを受光するための受光センサ装置の構成を示す図である。
【図25】本発明の建設機械制御システムに含まれる全方向受光可能な受光センサ装置の実施形態である。
【図26】本発明の建設機械制御システムにおける高さの測定手順を示すブロック図である。
【図27】本発明の建設機械制御システムに含まれる受光センサ装置が単一の受光部を有する場合の、高さの測定手順を示すブロック図である。
【図28】本発明の建設機械制御システムの作動を表すブロック図である。
【図29】本発明の建設機械制御システムの第2の実施形態に含まれる回転レーザ装置及び受光センサ装置の位置関係を示す図である。
【図30】本発明の第2の実施形態に含まれる回転レーザ装置の断面図である。
【図31】本発明の第2の実施形態に含まれる2つの波長のレーザ光線を使用する回転レーザ装置の分解図である。
【図32】第2の実施形態に含まれる受光センサ装置の受光部の構成を示す図である。
【図33】本発明の建設機械制御システムの第3の実施形態に含まれる回転レーザ装置及び受光センサ装置の位置関係を示す図である。
【図34】本発明の第3の実施形態に含まれる回転レーザ装置の断面図である。
【図35】本発明の第3の実施形態に含まれる2つの異なる周波数で変調されたレーザ光線を使用する回転レーザ装置の分解図である。
【図36】第3の実施形態に含まれる受光センサ装置の受光部の構成を示す図である。
【図37】変調周波数の異なる2つのレーザ光の一例を示す図である。
【図38】受光部で検出された変調周波数の異なる2つのファンビームの一例を示す図である。
【図39】交互に発光するように変調された2つのレーザ光の一例を示す図である。
【図40】交互に発光するように変調された2つのレーザ光が、受光部で受光された際の信号の一例を示す図である。
【図41】交互に発光するように変調され、かつ変調周波数の異なる2つのレーザ光の一例を示す図である。
【図42】ファンビームレーザの射出パターンの例を示す図である。
【図43】3つのファンビームレーザ光を射出する投光器及び回転部を示す分解斜視図である。
【図44】3つのファンビームレーザ光を射出する投光器及び回転部の別の実施形態を示す分解斜視図である。
【図45】3つのファンビームレーザ光を射出する投光器及び回転部のまた別の実施形態を示す分解斜視図である。
【図46】ペンタプリズム内の光路を示す側面図である。
【図47】従来の建設機械制御システムを示す略図である。
【図48】回転レーザ装置とGPSを用いた従来の建設機械制御システムの略図である。
【符号の説明】
100:建設機械制御システム
101:ケーシング
102:凹部
103:レーザ投光器
104:球面座
105:回転部
106:走査モータ
107:駆動ギア
108:走査ギア
109:ペンタプリズム
110:傾斜機構
111:傾斜用モータ
112:傾斜用スクリュー
113: 傾斜ナット
114、115:駆動ギア
116:傾斜用アーム
117:エンコーダ
118、119:固定傾斜センサ
120:フランジ
121:ピポットピン
122:傾斜基板
125:傾斜設定機構
126:傾斜角設定モータ
127:傾斜設定スクリュー
128:ナットブロック
129、130:角度設定傾斜センサ
131:投光窓
132:レーザ光線投光器
133:コリメートレンズ
134:回折格子
135、136:シリンダーミラー
137、138、139、140: 1/4波長板
141、142:偏光ビームスプッリッター
143:レーザ光線投光器
144:シリンダーレンズロッド
144a、144b:シリンダーレンズ
145a、145b:シリンダーレンズ
146:ハーフミラー
147:シリンダーハーフミラー
148:ミラー
149:ダイクロックミラー
151:回転レーザ装置
152、153:ファンビーム
154:受光センサ装置
155:受光部
155a、 155b:受光部
156:受光部
156a、156b:受光部
157:表示部
158:固定ノブ
159:標尺
160:目盛
161:ブザー
162:入力キー
163:指標
164:筐体
165:記憶部
166:受光状態判断部
167:標尺目盛読取部
168、169:偏光ビームスプッリッター
170:角度信号受信部
171:ダイクロックプリズム
172:角度信号投光器
173:受光素子
174:受光素子制御部
175:ファイバーシート
176:シリンドリカルフレネルレンズ
177:受光センサ制御部
178:外部通信部
179:外部コンピュータ
200:建設機械制御システム
251:回転レーザ装置
254:受光センサ装置
300:建設機械制御システム
351:回転レーザ装置
354:受光センサ装置
501:GPSベース装置
502:建設機械
505:ブレード
505a:ブレード刃先
506:ポール
508:GPSベースアンテナ
509:GPSアンテナ
510:GPS受信装置
553:受信部
557:無線送信機
573:油圧シリンダ
650:制御装置
651:演算部
652:記憶部
654:信号処理部
655:表示部
656:操作部
671:ブレード駆動部
672:電気/油圧回路

Claims (7)

  1. 既知の点に設置され、水平面と交わる少なくとも2つのファンビームレーザ光を回転照射する回転レーザ装置と、
    建設機械側に取付けられ、前記ファンビームレーザ光を受光する受光センサ装置と、
    前記建設機械の位置を検出するためのGPS受信装置と、
    前記建設機械に設けられた演算装置と、を有し、
    前記演算装置は、前記受光センサ装置が受光した前記ファンビームレーザ光によって求められた、前記ファンビームレーザ光の射出点と前記受光センサ装置の受光部とを結ぶ直線と水平面とのなす角度、及び前記GPS受信装置によって求められた前記回転レーザ装置と前記受光センサ装置との間の水平方向距離に基づいて、前記建設機械を制御するための高さを算出することを特徴とする建設機械制御システム。
  2. 前記演算装置は地形データを記憶しており、前記演算装置は前記GPS受信装置によって検出された前記建設機械の位置及び前記地形データに基づいて求めた高さと、前記角度及び前記水平方向距離に基づいて求めた高さとの差に基づいて前記建設機械を制御する請求項1記載の建設機械制御システム。
  3. 前記回転レーザ装置の位置を検出するためのGPSベース装置をさらに有し、前記演算装置が、前記回転レーザ装置に対する前記建設機械の位置を検出できることを特徴とする請求項1記載の建設機械制御システム。
  4. 前記回転レーザ装置は、偏光方向が互いに異なる少なくとも2つのファンビームレーザ光を射出することを特徴とする請求項1記載の建設機械制御システム。
  5. 前記回転レーザ装置が射出する前記ファンビームレーザ光の強度が、前記ファンビームレーザ光の各部分で異なっていることを特徴とする請求項1記載の建設機械制御システム。
  6. 前記回転レーザ装置が、前記ファンビームレーザ光を少なくとも3つ射出し、前記各ファンビームレーザ光と所定の水平基準面との交線が等間隔になっていることを特徴とする請求項1記載の建設機械制御システム。
  7. 前記回転レーザ装置が射出する少なくとも3つの前記ファンビームレーザ光が、それらが受光される範囲内で互いに交差しないことを特徴とする請求項6に記載の建設機械制御システム。
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