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JP3810910B2 - 分割型成形型による樹脂成形方法 - Google Patents

分割型成形型による樹脂成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は分割型成形型による樹脂の成形方法、さらに詳細にはパーティングラインを形成しない樹脂成形品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術および問題点】
たとえば内圧成形法は図3に示すように、熱硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂の一種であるゴムのプリプレグ2を内側よりの圧力によって成形し、加熱硬化して樹脂成形品を製造する方法である。すなわち、中空のマンドレル1に、プリプレグ2の内側方向から圧力を負荷するため、弾性体よりなるプレッシャーバッグ3を被せ、そのプレッシャーバッグ3にプリプレグ2を巻いて、成形型4内にセットするとともに、前記マンドレル1の中空部に空気を吹き込む。このように空気を吹き込むとマンドレル1の中空部に貫通する空気排出孔11より空気が噴射され、プレッシャーバッグ3が膨らむことになり、このため前記プリプレグ2は内側より圧力を受けて成形型4の内壁に押し付けられることになる。このため成形が4の内壁に対応した所定形状に成形され、これを加熱硬化させることによって、中空の樹脂成形品5が製造される。このとき成形型4よりは外圧が負荷されることになるため、表面が平滑で、かつ図4に示すように突部51などの複雑形状の樹脂成形品を容易に成形することができるという利点がある。
【0003】
このような内圧成形法によって、たとえば図3及び図4に示すような突部51を有するような樹脂成形品5を製造する場合、成形型4は二分割可能な上型41と下型42とより構成されたものを使用し、内圧によって成形した後、この成形型4を二分割して製造された樹脂成形品5を取り出すようになっている。このとき、樹脂成形品5は成形型4の割れ目に沿って筋目(パーティングライン)52が形成されることが知られている。このようなパーティングライン52は研磨などによって除去する必要があり、手間がかかるという欠点があった。さらにパーティングライン52が形成される結果として、樹脂成形品5を形成する樹脂が流れる結果となり、樹脂成形品5を構成する樹脂量が変動して品質がばらつくという大きな欠点もあった。
【0004】
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、パーティングラインを形成しない分割型成形型による樹脂成形方法を提供することを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明による分割型成形型による樹脂成形方法は、弾性のあるプレッシャーバッグにプリプレグを設ける工程、前記プリプレグ上にさらに弾性のある外部バッグを被せる工程、前記プリプレグに外部バックを被せたものを、成形型を分割可能にする割れ目を内壁に備えた前記成形型にセットする工程、前記プレッシャーバッグ内部に空気を噴射せしめ、加熱成形する工程を含むことを特徴とする。
【0006】
また、本発明による分割型成形型による樹脂成形方法は、成形型を分割可能にする割れ目を内壁に備えた前記成形型に外部シートを敷置する工程、前記外部シート上に樹脂シートを敷置する工程、前記外部シート側より成形型中の空気を抜いて所定形状に真空成形する工程、前記外部シートを剥離する工程を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、プリプレグ上にさらに外部バッグを被せるため、あるいは外部シートを敷置した後、成形すべき樹脂シート(プリプレグシートを含む概念である)を成形型に設けるため、樹脂シートないしプリプレグ自体が直接成形型に接触することがなくなる。このため、成形型の分割における筋目に接触することがなくなり、パーティングラインを形成することがないという利点を生じる。したがって、形成されたパーティングラインを除去する手間がかからず、また樹脂量も安定して設計通りの樹脂成形品を製造できるという利点を生じる。
【0008】
【発明の具体的説明】
本発明による第一の発明においては、図1に示すように空気排出孔11を有するマンドレル1に内側より圧力を負荷するためのプレッシャーバッグ3を被せる。このプレッシャーバッグ3上に、さらにプリプレグ2を設けた後、外部バッグ6を被せる。この明細書中、樹脂は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のほかゴムを含む概念で使用している。
【0009】
このようなプレッシャーバッグ2としてはマンドレル1と離型性の良好で、かつ空気の圧力によって膨らむことが可能な弾性を有しているものであれば、基本的にいかなるものでもよい。従来この種のプレッシャーバッグとして使用されているものを有効に使用可能である。たとえばナイロン製のバッグあるいはゴムバッグなどを使用できる。
【0010】
また外部バッグ6も同様に空気の圧力によって変形可能なものであれば、基本的にいかなるものでもよい。また硬化した樹脂及び金型と良好な離型性を有していることが好ましい。したがって、上述のようなプレッシャーバッグとして使用されるものも有効に使用可能である。しかしながら、プレッシャーバッグと異なり、空気の圧力をプリプレグ2に負荷する作用を営むものではないことから、空気を透過するものであってもよい。このため織目など隙間のある布体よりなる外部バッグであってもよい。この場合、シャフト表面に布の織目に対応した模様が形成できる。このうように、外部バッグを選択することによって、種々の模様をシャフト表面に形成可能となる。
【0011】
このようにプレッシャーバッグ3、プリプレグ2、外部バッグ6が設けられたマンドレル1を成形型4中にセットし、マンドレル1の中空部より空気を供給し、この空気を空気排出孔11より噴射させて、プレッシャーバッグ2を介してプリプレグに内圧を負荷しながら加熱成形する。このとき、プレッシャーバッグ3の膨張によってプリプレグ2に内圧が負荷され、成形型4の内壁に押圧されることになるが、プリプレグ2の外側に外部バッグ6が設けられているため、プリプレグ2は直接成形型4に接触することがなく、また、プリプレグの樹脂の流れも外部バッグによって抑制されるため、成形された樹脂成形品5にパーティングライン52を形成することがなくなる。このとき使用されるプリプレグは補強繊維に樹脂を含浸させ加熱して半硬化状態としたものであってもよく、単に補強繊維に樹脂を含浸させ、加熱していないものも使用することができる。
【0012】
上述の具体例においては、マンドレルを使用した場合について述べたが、このマンドレルは必ずしも必要ではなく、プレッシャーバッグを空気の噴射により膨らませることが可能であればよい。形状によっては、むしろ使用しない場合の方が好ましい場合もある。
【0013】
図2は本発明による分割型成形型の樹脂成形方法の第二の具体例であるが、この成形方法では、下型41と上型42を組み合わせた成形型4の成形部に外部シート7を敷置するとともに、成形すべき樹脂シート(プリプレグシート、未加硫状態あるいは半加硫状態のゴムシート、またシート状の熱可塑性樹脂であってもよい)8を積層し、前記下型41に設けられた空気吸引孔411より空気を吸引する。たとえば熱可塑性樹脂シートの場合は、このとき加熱しておき軟化状態にしてあるため、前記樹脂シート8は下型41と上型42の形成する成形部の形状に沿って成形されることになる。このとき、前記成形品の外部表面は成形型表面に押圧されることになるが、外部シート7が成形品と成形型間に挟着されているため、パーティングラインを生じることはない。次いで、下型41と上型42を分割することにより樹脂成形品を取り出す。上述のような外部シートは前述の外部バッグと同様な材料で製造することができる。
【0014】
上記具体例においては熱可塑性樹脂の真空成形について説明したが、本発明においては成形型と樹脂成形品の間に弾性のある外部バッグあるいは外部シートが挟着されていればよく、上記具体例で限定されるものではない。
【0015】
【実施例1】
空気排出孔を有するマンドレルにナイロン性プレッシャーバッグを被せた後、プリプレグを捲回し、さらにゴム製の外部バッグを被せた。これを図1に示すような成形型にセットしてマンドレルの中空部より空気を噴射させて加熱成形して樹脂成形品を製造した。このとき、パーティングラインは形成されなかった。
【0016】
比較として外部バッグを使用せず、他は同じ条件で樹脂成形品を製造した。この場合、パーティングラインが形成され、研磨によって除去する必要があった。次いで、両者の偏肉、リング破壊、3点曲げ強度を測定した。結果を表1として示す。
【0017】
Figure 0003810910
【0018】
【実施例2】
図2に示すような成形型を使用し、熱可塑性樹脂シートの成形を行った。図2に示す下型と上型を組み合わせた後、ナイロン製外部シートを敷設した後、樹脂シートを重ねてたのち、蓋型を被せて密閉した後、成形型を加熱し、樹脂シートが軟化したときに空気吸引孔より空気を吸引して、真空成形を行った。こののち、蓋型及び上型を外し、成形品を下型より取り出し、放置冷却した後、外部シートを剥がして樹脂成形品を作製した。このとき、樹脂成形品の下型と上型の境目にパーティングラインは形成されていなかった。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による分割型成形型による樹脂成形方法によれば、プリプレグ上にさらに外部バッグを被せるあるいは成形型と成形すべき樹脂シートの間に外部シートを敷設するため、プリプレグないし樹脂シート自体が直接成形型に接触することがなくなる。このため、成形型の分割における境目に接触することがなくなり、パーティングラインを形成することがないという利点を生じる。したがって、形成されたパーティングラインを除去する手間がかからず、また樹脂量も安定して設計通りのシャフトを製造できるという利点を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による内圧成形法による分割型成形型による樹脂成形方法を説明するための断面図。
【図2】本発明による真空成形法による分割型成形型による樹脂成形方法を説明するための断面図。
【図3】従来の内圧成形法を説明するための断面図。
【図4】従来の方法で製造された樹脂成形品の側面図。
【符号の説明】
1 マンドレル
11 空気排出孔
2 プリプレグ
3 プレッシャーバッグ
4 成形型
41 下型
42 上型
5 樹脂成形品
6 外部バッグ
7 外部シート
8 樹脂シート

Claims (6)

  1. 弾性のあるプレッシャーバッグにプリプレグを設ける工程、前記プリプレグ上にさらに弾性のある外部バッグを被せる工程、前記プリプレグに外部バッを被せたものを、成形型を分割可能にする割れ目を内壁に備えた前記成形型にセットする工程、前記プレッシャーバッグ内部に空気を噴射せしめ、加熱成形する工程を含むことを特徴とする分割型成形型による樹脂成形方法。
  2. 中空の空気噴射孔を有するマンドレルを使用し、このマンドレルにプレッシャーバッグを被せ、前記マンドレルの中空部より空気を噴射させて、プレッシャーバッグを膨らませることを特徴とする請求項1記載の分割型成形型による樹脂成形方法。
  3. 前記外部バッグはゴム状弾性体あるいは布製であることを特徴とする請求項1または2記載の分割型成形型による樹脂成形方法。
  4. 前記プリプレグは熱硬化性樹脂またはゴムであることを特徴とする請求項1から3記載のいずれかの分割型成形型による樹脂成形方法。
  5. 成形型を分割可能にする割れ目を内壁に備えた前記成形型に外部シートを敷置する工程、前記外部シート上に樹脂シートを敷置する工程、前記外部シート側より成形型中の空気を抜いて所定形状に真空成形する工程、前記外部シートを剥離する工程を含むことを特徴とする分割型成形型による樹脂成形方法。
  6. 前記樹脂シートは熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはゴムであることを特徴とする請求項5記載の分割型成形型による樹脂成形方法。
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