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JP3808622B2 - 重合体、該重合体の製造方法、及び、該重合体を用いた硬化性組成物 - Google Patents

重合体、該重合体の製造方法、及び、該重合体を用いた硬化性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルケニル基又は架橋性シリル基を主鎖末端に有するビニル系重合体、該重合体の製造方法、及び、該重合体を用いた硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
架橋性官能基を主鎖末端に有する重合体は、そのもの単独で、又は、適切な硬化剤と組み合わせることによって架橋し、耐熱性、耐久性等の優れた硬化物を与えることが知られている。なかでも、アルケニル基又は架橋性シリル基を主鎖末端に有する重合体はその代表例である。アルケニル基を主鎖末端に有する重合体は、ヒドロシリル基含有化合物を硬化剤として用いることにより、あるいは、光反応を利用することにより架橋硬化する。また、架橋性シリル基を主鎖末端に有する重合体は、適当な縮合触媒の存在下、湿分を吸収することにより硬化物を与える。
【0003】
このようなアルケニル基又は架橋性シリル基を主鎖末端に有する重合体の主鎖骨格としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド等のポリエーテル系重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン又はそれらの水素添加物等の炭化水素系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン等のポリエステル系重合体等が例示される。これらの重合体は、その主鎖骨格と架橋形式に基づき、様々な用途に用いられている。
【0004】
これらの重合体はイオン重合や縮重合により得られるが、ラジカル重合で得られるビニル系重合体で主鎖末端に架橋性官能基を有するものは、ほとんど実用化されていない。ビニル系重合体の中でも、(メタ)アクリル系重合体は、高い耐候性、透明性等、上記のポリエーテル系重合体、炭化水素系重合体及びポリエステル系重合体では得られない特性を有している。例えば、アルケニル基又は架橋性シリル基を、主鎖末端ではなく側鎖に有する(メタ)アクリル系重合体は、高耐候性の塗料等に利用されている。
【0005】
このような架橋性官能基を側鎖に有するビニル系重合体に対して、架橋性官能基を主鎖末端に有するビニル系重合体では、硬化物性の優れた硬化物を得ることができる。従って、これまで多くの研究者によって、その簡便な製造方法が検討されてきたが、それらを工業的に製造することは容易ではない。
【0006】
特開平1−247403号公報には、連鎖移動剤としてアルケニル基含有ジスルフィドを用いて、両末端にアルケニル基を有するビニル系重合体を合成する方法が開示されている。また、特開平6−211922号公報には、同じく連鎖移動剤として水酸基を有するジスルフィドを用いて、両末端に水酸基を有するビニル系重合体を合成し、更に、水酸基の反応性を利用して両末端にアルケニル基を有するビニル系重合体を合成する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では、両末端に確実にアルケニル基を導入するために、連鎖移動剤を大量に使用しなければならず、製造工程上問題がある。また、これらの方法で得られるビニル系重合体では、アルケニル基が硫黄原子を介して重合体主鎖に結合しているため、ビニル系重合体の本来の特性である耐候性に悪影響を与え、更には硫黄に特有な臭気の問題が生ずる。
【0007】
一方、特開昭59−168014号公報には、連鎖移動剤として、架橋性シリル基を有するジスルフィド化合物を用い、ビニル系重合体の両末端に架橋性シリル基を導入する方法が開示されている。また、特開昭61−133201号公報には、架橋性シリル基を有するヒドロシラン又はハロゲン化シランを用いることによる、ビニル系重合体の両末端に架橋性シリル基を導入する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法においても、両末端に確実に架橋性シリル基を導入することは困難であり、満足な特性を有する硬化物を得ることはできない。また、これらの方法では通常のラジカル重合が用いられているため、得られる重合体の分子量及び分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)のコントロールは困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、アルケニル基又は架橋性シリル基が、硫黄のようなヘテロ原子を介さずに、高い比率で主鎖末端に導入されたビニル系重合体、これらの重合体の製造方法、及び、これらの重合体を主成分とする硬化性組成物を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)で表されるアルケニル基を、少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体である。
−CH2 −C(R1 )(R2 )−C(R3 )(R4 )−R5 −C(R6 )=CH2 (1)
式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、1価の有機基を表す。R3 及びR4 は、共に、同一若しくは異なって、電子吸引性置換基を表すか、又は、一方が電子吸引性置換基を表し、他方が水素、炭素数1〜10のアルキル基若しくはフェニル基を表す。R5 は、直接結合、又は、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜10の2価の有機基を表す。R6 は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。
【0010】
本発明はまた、下記一般式(2)で表される架橋性シリル基を、少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体でもある。
−CH2 −C(R1 )(R2 )−C(R3 )(R4 )−R5 −CH(R6 )−CH2 −[ Si(R72-b (Y)b O] m −Si(R83-a (Y)a (2)
式中、R1 〜R6 は、上記と同じ。R7 及びR8 は、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は、(R′)3 SiO−(式中、R′は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表し、3個のR′は同一であってもよく、異なっていてもよい。)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。R7 又はR8 が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは、水酸基又は加水分解性基を表し、2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは、0、1、2又は3を表す。bは、0、1又は2を表す。mは、0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。
【0011】
本発明は更に、ビニル系モノマーを重合して、下記一般式(3)で表される基を少なくとも1つの末端に有するビニル系重合体を製造し、上記重合体の末端ハロゲンを下記一般式(4)で表されるアルケニル基含有カルボアニオンで置換する、上記一般式(1)で表されるアルケニル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体の製造方法でもある。
−CH2 −C(R1 )(R2 )(X) (3)
式中、R1 及びR2 は、上記とおなじ。Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。
+- (R3 )(R4 )−R5 −C(R6 )=CH2 (4)
式中、R3 〜R6 は、上記と同じ。M+ は、アルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオンを表す。
【0012】
本発明は、更にまた、ビニル系モノマーを重合して、上記一般式(3)で表される基を少なくとも1つの末端に有するビニル系重合体を製造し、上記重合体の末端ハロゲンを下記一般式(5)で表される架橋性シリル基含有カルボアニオンで置換する、上記一般式(2)で表される架橋性シリル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体の製造方法である。
+- (R3 )(R4 )−R5 −CH(R6 )−CH2 −[ Si(R72-b (Y)b O] m −Si(R83-a (Y)a (5)
式中、R3 〜R8 、Y、M、a、b及びmは、上記に同じである。
【0013】
本発明は、更に、上記アルケニル基を主鎖末端に有するビニル系重合体に、下記一般式(6)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を反応させる、上記一般式(2)で表される架橋性シリル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体の製造方法でもある。
H−[ Si(R72-b (Y)b O] m −Si(R83-a (Y)a (6)
式中、R7 、R8 、Y、a、b及びmは、上記と同じである。
【0014】
本発明は、また、(A)上記アルケニル基を主鎖末端に有するビニル系重合体、及び、(B)ヒドロシリル基含有化合物を含有する硬化性組成物、並びに、上記架橋性シリル基を主鎖末端に有するビニル系重合体を主成分とする硬化性組成物でもある。
以下、本発明を詳述する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のアルケニル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体は、上記一般式(1)で表されるアルケニル基を、少なくとも1つの主鎖末端に有する。一般式(1)から明らかなように、アルケニル基が、切断されにくい炭素−炭素結合を介してビニル系重合体の主鎖に結合しているので、この重合体から得られる硬化物は、ビニル系重合体の本来の特性である耐候性等の性質を損なうことがない。
【0016】
上記一般式(1)において、R1 及びR2 は、同一又は異なって、1価の有機基を表す。上記1価の有機基としては特に限定されず、後に具体的に例示する本発明の重合体の主鎖の製造に用いられるビニル系モノマーのビニル基に結合した基に由来するものであってよい。
【0017】
上記一般式(1)において、R3 及びR4 は、共に、電子吸引性置換基を表してもよいし、一方のみが電子吸引性置換基を表し、他方が水素、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を表してもよい。すなわち、R3 及びR4 の少なくとも一方は、電子吸引性置換基であり、これは後に述べるように、本発明のビニル系重合体を製造するために必要である。また、R3 及びR4 が、共に電子吸引性置換基を表す場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0018】
上記電子吸引性置換基としては特に限定されず、従来公知の電子吸引性置換基であってよい。この具体例としては、−CO2 R(エステル基)、−C(O)R(ケト基)、−CON(R2 )(アミド基)、−COSR(チオエステル基)、−CN(ニトリル基)、−NO2 (ニトロ基)等が挙げられる。上記の各式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表し、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基である。これらのうち、−CO2 R、−C(O)R、及び、−CNが特に好ましい。
【0019】
上記一般式(1)において、R5 は、直接結合を表すか、又は、炭素数1〜10の2価の有機基を表す。上記2価の有機基としては特に限定されず、例えば、−(CH2n −(nは、1〜10の整数を表す)、o−,m−,p−C64 −(フェニレン基)等が挙げられる。なかでも、−(CH2n −が好ましい。上記2価の有機基は、1個以上のエーテル結合を含んたものであってもよく、その具体例としては、−CH2 −O−CH2 −、−(CH22 −O−CH2 −、−(CH23 −O−CH2 −、−(CH22 −O−(CH22 −等が挙げられる。
【0020】
上記一般式(1)において、R6 は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。これらのうち、本発明の重合体を硬化性樹脂として使用する際の反応性の観点から、水素が好ましい。
【0021】
本発明のアルケニル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体は、分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.8以下の値であることが好ましい。より好ましくは、1.6以下であり、更に好ましくは、1.3以下である。本発明でのGPC測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行う。数平均分子量等は、ポリスチレン換算で求めることができる。
【0022】
本発明のアルケニル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体の数平均分子量は特に制限はないが、500〜100000の範囲が好ましく、3000〜50000の範囲がより好ましい。分子量が500以下であると、ビニル系重合体の本来の特性が発現されにくく、また、100000以上であると、ハンドリングが困難になるので好ましくない。
【0023】
本発明の架橋性シリル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体は、上記一般式(2)で表される架橋性シリル基を、少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体である。一般式(2)から明らかなように、架橋性シリル基が、切断されにくい炭素−炭素結合を介してビニル系重合体の主鎖に結合しているので、この重合体から得られる硬化物は、ビニル系重合体の本来の特性である耐候性等の性質を損なうことがない。
【0024】
上記一般式(2)において、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 は、上記と同じであり、上で例示したもの等が用いられる。
【0025】
上記一般式(2)において、R7 及びR8 は、同一又は異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は、(R′)3 SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。上記式中、R′は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表し、3個のR′は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、R7 又はR8 が、2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。R7 及びR8 の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。
【0026】
上記一般式(2)において、Yは、水酸基又は加水分解性基を表し、2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記加水分解性基としては特に限定されず、従来公知のものであってよい。具体的には、水素、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。なかでも、加水分解性がマイルドで取り扱いやすいという点から、アルコキシ基が好ましい。
【0027】
上記一般式(2)において、aは、0、1、2又は3を表す。また、bは、0、1又は2を表す。mは、0〜19の整数を表す。ただし、a、b及びmは、a+mb≧1であることを満足するものとする。上記加水分解性基及び/又は水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができる。また、a+mb、すなわち、加水分解性基及び/又は水酸基の総和は、1〜5の範囲が好ましい。上記加水分解性基がケイ素原子に2個以上結合するときは、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記一般式(2)に含まれるケイ素原子は、1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合により連結されたケイ素原子の場合には20個程度まであってもよい。
【0028】
本発明のビニル系重合体の主鎖の製造に用いられるビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーであり、更に好ましくは、アクリル酸ブチルである。
【0029】
本発明のアルケニル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体は、例えば、以下に示す方法により製造することができる。すなわち、ビニル系モノマーを重合して、上記一般式(3)で表される基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体を製造し、次いで、この重合体の末端ハロゲンを、上記一般式(4)で表されるアルケニル基含有カルボアニオンで置換することにより上記重合体が得られる。
【0030】
上記製造方法において用いられるビニル系モノマーとしては特に限定されず、既に例示したもの等が用いられる。
【0031】
上記一般式(3)において、R1 及びR2 は、上述のものと同じ基である。Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。
【0032】
上記一般式(3)で表される基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体は、ハロゲン系連鎖移動剤を用いた重合や、最近精力的に研究されているリビングラジカル重合(例えば、Matyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1995年、117巻、5614頁;マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1995年、28巻、7901頁;サイエンス(Science)、1996年、272巻、866頁、又は、Sawamotoら、マクロモレキュールズ、1995年、28巻、1721頁を参照)等を利用することにより得られる。なかでも、反応及び生成物の構造を制御しやすいことから、リビングラジカル重合が好ましい。
以下に、リビングラジカル重合を用いた、上記一般式(3)で表される末端構造を有するビニル系重合体の製造方法について詳述する。
【0033】
上記リビングラジカル重合は、開始剤として、有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するエステル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)又はハロゲン化スルホニル化合物を用い、触媒として、遷移金属錯体を用いてビニル系モノマーを重合するものである。この重合法を用いると、従来のラジカル重合では困難であった、ビニル系重合体の分子量及び分子量分布の制御が可能となる(分子量分布:1.1〜1.8)。
【0034】
上記有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物は、ハロゲンが結合している炭素がカルボニル基、フェニル基又はスルフォニル基と結合しているため、炭素−ハロゲン結合が容易に活性化されて開始剤として機能し得る。これらの化合物を具体的に例示すれば、C65 −CH2 X、C65 −C(H)(X)CH3 、C65 −C(X)(CH32 (式中、C65 は、フェニル基を表す。Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。);R′′−C(H)(X)−CO2 R′′′、R′′−C(CH3 )(X)−CO2 R′′′、R′′−C(H)(X)−C(O)R′′′、R′′−C(CH3 )(X)−C(O)R′′′(式中、R′′及びR′′′は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。);R’−C64 −SO2 X(式中、R’は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。)等が挙げられる。
【0035】
上記リビングラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他方の主鎖末端に上記一般式(3)で表される構造を有するビニル系重合体が製造される。このような官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
【0036】
上記アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては特に制限はないが、例えば、下記一般式(8)で示される化合物が挙げられる。
910C(X)−R11−R12−C(R13)=CH2 (8)
(式中、R13は水素又はメチル基を表す。R9 及びR10は、同一又は異なって、水素、炭素数1〜20の1価のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜20のアラルキル基を表し、R9 とR10は、他端において相互に連結していてもよい。R11は、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、又は、o−,m−,p−フェニレン基を表す。R12は、直接結合、又は1個以上のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1〜20の2価の有機基を表す。Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。)
【0037】
置換基R9 、R10の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R9 とR10は他端において連結して環状骨格を形成していてもよく、そのような場合、−R9 −R10−は例えば、−CH2 CH2 −、−CH2 CH2 CH2 −、−CH2 CH2 CH2 CH2 −、−CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 −、等が例示される。
【0038】
一般式(8)で示される、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、
XCH2 C(O)O(CH2n CH=CH2
3 CC(H)(X)C(O)O(CH2n CH=CH2
(H3 C)2 C(X)C(O)O(CH2n CH=CH2
CH3 CH2 C(H)(X)C(O)O(CH2n CH=CH2
【0039】
【化1】
Figure 0003808622
【0040】
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは0〜20の整数である)
XCH2 C(O)O(CH2n O(CH2m CH=CH2
3 CC(H)(X)C(O)O(CH2n O(CH2m CH=CH2
(H3 C)2 C(X)C(O)O(CH2n O(CH2m CH=CH2
CH3 CH2 C(H)(X)C(O)O(CH2n O(CH2m CH=CH2
【0041】
【化2】
Figure 0003808622
【0042】
(上記の各式において、Xは上記に同じ、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数である)
o,m,p−XCH2 −C64 −(CH2n −CH=CH2
o,m,p−CH3 C(H)(X)−C64 −(CH2n −CH=CH2
o,m,p−CH3 CH2 C(H)(X)−C64 −(CH2n −CH=CH2
(上記の各式において、Xは上記に同じ、nは0〜20の整数である)
o,m,p−XCH2 −C64 −(CH2n −O−(CH2m −CH=CH2
o,m,p−CH3 C(H)(X)−C64 −(CH2n −O−(CH2m −CH=CH2
o,m,p−CH3 CH2 C(H)(X)−C64 −(CH2n −O−(CH2m CH=CH2
(上記の各式において、Xは上記に同じ、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数である)
o,m,p−XCH2 −C64 −O−(CH2n −CH=CH2
o,m,p−CH3 C(H)(X)−C64 −O−(CH2n −CH=CH2
o,m,p−CH3 CH2 C(H)(X)−C64 −O−(CH2n −CH=CH2
(上記の各式において、Xは上記に同じ、nは0〜20の整数である)
o,m,p−XCH2 −C64 −O−(CH2n −O−(CH2m −CH=CH2
o,m,p−CH3 C(H)(X)−C64 −O−(CH2n −O−(CH2m −CH=CH2
o,m,p−CH3 CH2 C(H)(X)−C64 −O−(CH2n −O−(CH2m −CH=CH2
(上記の各式において、Xは上記に同じ、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数である)等が挙げられる。
【0043】
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては、更に、下記一般式(9)で示される化合物が挙げられる。
2 C=C(R13)−R12−C(R9 )(X)−R14−R10 (9)
(式中、R9 、R10、R12、R13、Xは上記に同じ。R14は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、又は、o−,m−,p−フェニレン基を表す)
一般式(9)において、R12は直接結合又は炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R14としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。R12が直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R14としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
【0044】
一般式(9)の化合物を具体的に例示するならば、
CH2 =CHCH2 X、CH2 =C(CH3 )CH2 X、
CH2 =CHC(H)(X)CH3 、CH2 =C(CH3 )C(H)(X)CH3
CH2 =CHC(X)(CH32 、CH2 =CHC(H)(X)C25
CH2 =CHC(H)(X)CH(CH32
CH2 =CHC(H)(X)C65 、CH2 =CHC(H)(X)CH265
CH2 =CHCH2 C(H)(X)−CO2 R、
CH2 =CH(CH22 C(H)(X)−CO2 R、
CH2 =CH(CH23 C(H)(X)−CO2 R、
CH2 =CH(CH28 C(H)(X)−CO2 R、
CH2 =CHCH2 C(H)(X)−C65
CH2 =CH(CH22 C(H)(X)−C65
CH2 =CH(CH23 C(H)(X)−C65
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等を挙げることができる。
【0045】
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、o−,m−,p−CH2 =CH−(CH2n −C64 −SO2 X、
o−,m−,p−CH2 =CH−(CH2n −O−C64 −SO2 X、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは0〜20の整数)等である。
【0046】
上記アルケニル基を有する開始剤を用いて重合を行った場合、重合反応中に、開始剤のアルケニル基が重合成長末端と反応する可能性があるため、反応温度、反応時間等の重合条件には注意が必要である。
【0047】
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に制限はないが、例えば、下記一般式(10)に示す構造を有するものが例示される。
910C(X)−R11−R12−C(H)(R13)CH2 −[Si(R152-b (Y)b O]m −Si(R163-a (Y)a (10)
〔式中、R9 、R10、R11、R12、R13、Xは上記に同じ。R15及びR16は、同一又は異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は、(R' )3 SiO−(R' は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR' は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を表し、R15又はR16が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは、水酸基又は加水分解性基を表し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2又は3を表す。bは0、1又は2を表す。mは0〜19の整数を表す。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。〕
【0048】
一般式(10)の化合物を具体的に例示するならば、
XCH2 C(O)O(CH2n Si(OCH33
CH3 C(H)(X)C(O)O(CH2n Si(OCH33
(CH32 C(X)C(O)O(CH2n Si(OCH33
XCH2 C(O)O(CH2n Si(CH3 )(OCH32
CH3 C(H)(X)C(O)O(CH2n Si(CH3 )(OCH32
(CH32 C(X)C(O)O(CH2n Si(CH3 )(OCH32
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、)
XCH2 C(O)O(CH2n O(CH2m Si(OCH33
3 CC(H)(X)C(O)O(CH2n O(CH2m Si(OCH33
(H3 C)2 C(X)C(O)O(CH2n O(CH2m Si(OCH33
CH3 CH2 C(H)(X)C(O)O(CH2n O(CH2m Si(OCH33
XCH2 C(O)O(CH2n O(CH2m Si(CH3 )(OCH32
3 CC(H)(X)C(O)O(CH2n O(CH2m −Si(CH3 )(OCH32
(H3 C)2 C(X)C(O)O(CH2n O(CH2m −Si(CH3 )(OCH32
CH3 CH2 C(H)(X)C(O)O(CH2n O(CH2m −Si(CH3 )(OCH32
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2 −C64 −(CH22 Si(OCH33
o,m,p−CH3 C(H)(X)−C64 −(CH22 Si(OCH33
o,m,p−CH3 CH2 C(H)(X)−C64 −(CH22 Si(OCH33
o,m,p−XCH2 −C64 −(CH23 Si(OCH33
o,m,p−CH3 C(H)(X)−C64 −(CH23 Si(OCH33
o,m,p−CH3 CH2 C(H)(X)−C64 −(CH23 Si(OCH33
o,m,p−XCH2 −C64 −(CH22 −O−(CH23 Si(OCH33
o,m,p−CH3 C(H)(X)−C64 −(CH22 −O−(CH23 Si(OCH33
o,m,p−CH3 CH2 C(H)(X)−C64 −(CH22 −O−(CH23 Si(OCH33
o,m,p−XCH2 −C64 −O−(CH23 Si(OCH33
o,m,p−CH3 C(H)(X)−C64 −O−(CH23 Si(OCH33
o,m,p−CH3 CH2 C(H)(X)−C64 −O−(CH23 −Si(OCH33
o,m,p−XCH2 −C64 −O−(CH22 −O−(CH23 −Si(OCH33
o,m,p−CH3 C(H)(X)−C64 −O−(CH22 −O−(CH23 Si(OCH33
o,m,p−CH3 CH2 C(H)(X)−C64 −O−(CH22 −O−(CH23 Si(OCH33
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
等が挙げられる。
【0049】
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては、更に、一般式(11)で示される構造を有するものが例示される。
(R163-a (Y)a Si−[OSi(R152-b (Y)bm −CH2 −C(H)(R13)−R12−C(R9 )(X)−R14−R10 (11)
(式中、R9 、R10、R12、R13、R14、R15、R16、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
【0050】
このような化合物を具体的に例示するならば、
(CH3 O)3 SiCH2 CH2 C(H)(X)C65
(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 C(H)(X)C65
(CH3 O)3 Si(CH22 C(H)(X)−CO2 R、
(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH22 C(H)(X)−CO2 R、
(CH3 O)3 Si(CH23 C(H)(X)−CO2 R、
(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH23 C(H)(X)−CO2 R、
(CH3 O)3 Si(CH24 C(H)(X)−CO2 R、
(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH24 C(H)(X)−CO2 R、
(CH3 O)3 Si(CH29 C(H)(X)−CO2 R、
(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH29 C(H)(X)−CO2 R、
(CH3 O)3 Si(CH23 C(H)(X)−C65
(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH23 C(H)(X)−C65
(CH3 O)3 Si(CH24 C(H)(X)−C65
(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH24 C(H)(X)−C65
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等が挙げられる。
【0051】
上記ヒドロキシル基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のような化合物が例示される。
HO−(CH2n −OC(O)C(H)(R)(X)
(式中、Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。Rは、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜20のアラルキル基を表す。nは、1〜20の整数を表す。)
【0052】
上記アミノ基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のような化合物が例示される。
2 N−(CH2n −OC(O)C(H)(R)(X)
(式中、Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。Rは、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜20のアラルキル基を表す。nは、1〜20の整数を表す。)
【0053】
上記エポキシ基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のような化合物が例示される。
【0054】
【化3】
Figure 0003808622
【0055】
(式中、Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。Rは、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜2 0のアラルキル基を表す。nは、1〜20の整数を表す。)
【0056】
上記リビングラジカル重合において、開始剤として、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いて重合を行うと、上記一般式(1)で表されるアルケニル基を2つ以上の主鎖末端に有するビニル系重合体を製造することができる。すなわち、2つの開始点を持つ開始剤を用いて重合を行った場合、アルケニル基を主鎖の両末端に有するビニル系重合体が得られる。この開始剤を具体的に例示すれば、
【0057】
【化4】
Figure 0003808622
【0058】
(式中、C64 は、フェニレン基を表す。Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。nは、0〜20の整数を表す。)
【0059】
【化5】
Figure 0003808622
【0060】
(式中、Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。nは、0〜20の整数を表す。C64 は、フェニレン基を表す。)等が挙げられる。
【0061】
上記リビングラジカル重合は、無溶剤又は各種の溶剤中で行うことができる。上記溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。また、上記重合は、室温〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、50〜150℃の範囲である。
【0062】
上記リビングラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されず、好ましいものとして、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、ペンタメチルジエチレントリアミン等のポリアミン等の配位子が添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2 (PPh33 )も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2 (PPh32 )、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2 (PPh32 )、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2 (PBu32 )も、触媒として好適である。
【0063】
本発明の製造方法における重合は、上記リビングラジカル重合以外に、ハロゲン化物を連鎖移動剤(テローゲン)として用いる重合であってもよい。上記ハロゲン化物としては、四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等が用いられる。
【0064】
上記製造方法により製造された、上記一般式(3)で表される末端構造を有するビニル系重合体の末端ハロゲンを、上記一般式(4)で表されるアルケニル基含有カルボアニオンで置換することにより、本発明のアルケニル基を主鎖末端に有するビニル系重合体が得られる。以下に、アルケニル基含有カルボアニオンによる置換法について詳述する。
【0065】
上記アルケニル基含有カルボアニオンを表す一般式(4)において、R3 、R4 、R5 及びR6 は、上述のものと同じ置換基であり、これらの具体例としては、上で例示したものが全て挙げられる。
【0066】
上記一般式(4)において、M+ は、カルボアニオンの対カチオンであり、アルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオンを表す。上記アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。上記4級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、トリメチルベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、ジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられる。M+ の好ましいものは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンである。
【0067】
一般式(4)の化合物におけるカルボアニオンC- の負電荷は、上記電子吸引性置換基が1個又は2個結合しているために非極在化されている。負電荷が非極在化されたカルボアニオンは、そうでないカルボアニオンと比較してより安定である。また、反応性がマイルドであり、一般式(3)中の末端ハロゲンと選択的に反応し、エステル基等の他の置換基とは反応しないので、効率良くアルケニル基を主鎖末端に導入することが可能である。
【0068】
一般式(4)で表されるアルケニル基含有カルボアニオンは、その前駆体に対して塩基性化合物を作用させ、上記前駆体の活性プロトンを引き抜くことによって得られる。
【0069】
上記前駆体としては、以下のような化合物:H2 C=CH−CH(CO2 CH32 、H2 C=CH−CH(CO2252 、H2 C=CH−(CH2n CH(CO2 CH32 、H2 C=CH−(CH2n CH(CO2252 、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH(CO2 CH32 、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH(CO2252 、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH2 CH(CO2 CH32 、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH2 CH(CO2252 、H2 C=CH−CH(C(O)CH3 )(CO225 )、H2 C=CH−(CH2n CH(C(O)CH3 )(CO225 )、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH(C(O)CH3 )(CO225 )、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH2 CH(C(O)CH3 )(CO225 )、H2 C=CH−CH(C(O)CH32 、H2 C=CH−(CH2n CH(C(O)CH32 、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH(C(O)CH32 、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH2 CH(C(O)CH32 、H2 C=CH−CH(CN)(CO225 )、H2 C=CH−(CH2n CH(CN)(CO225 )、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH(CN)(CO225 )、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH2 CH(CN)(CO225 )、H2 C=CH−CH(CN)2 、H2 C=CH−(CH2n CH(CN)2 、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH(CN)2 、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH2 CH(CN)2 、H2 C=CH−(CH2n NO2 、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH2 NO2 、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH2 CH2 NO2 、H2 C=CH−CH(C65 )(CO225 )、H2 C=CH−(CH2n CH(C65 )(CO225 )、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH(C65 )(CO225 )、o−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH2 CH(C65 )(CO225 )が例示される。上記式中、nは、1〜10の整数を表す。C64 は、フェニレン基を表し、C65 は、フェニル基を表す。
【0070】
上記前駆体から活性プロトンを引き抜き、一般式(4)のアルケニル基含有カルボアニオンとするためには各種の塩基が使用される。これらの塩基としては、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等が例示される。上記塩基は、上記前駆体に対して等量又は小過剰量で用いればよく、好ましくは1〜1.2当量である。
【0071】
上記前駆体と上記塩基を反応させる際に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0072】
一般式(4)のアルケニル基含有カルボアニオンの具体的な製法について更に説明する。例えば、上記前駆体として、H2 C=CH−CH2 CH(CO2252 (アリルマロン酸ジエチル)を使用する場合であれば、不活性ガス雰囲気下で反応容器に、塩基、例えばカリウム−tert−ブトキシドを仕込み、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒中に懸濁分散させる。この分散液中に上記アリルマロン酸ジエチルを等モル加え、室温〜還流温度で10分〜1時間反応させることにより、酸性プロトンがカリウムイオンに置換されたカルボアニオンが得られる。
【0073】
+ が4級アンモニウムイオンであるアルケニル基含有カルボアニオンを得るには、上記のような方法でM+ がアルカリ金属イオンであるものを調製した後に、4級アンモニウムハライドを作用させる。上記4級アンモニウムハライドとしては、テトラメチルアンモニウムハライド、テトラエチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルドデシルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド等が例示される。
【0074】
上記のような方法で調製された一般式(4)のアルケニル基含有カルボアニオンを、一般式(3)の末端構造を有するビニル系重合体と反応させることにより、一般式(1)で表されるアルケニル基を主鎖末端に有するビニル系重合体が得られる。この反応は、既に述べた溶媒中、0〜150℃で行うことができる。一般式(4)のカルボアニオンの使用量は、一般式(3)のハロゲン末端に対して等量又は小過剰量でよく、好ましくは1〜1.2当量である。
【0075】
上記一般式(2)で表される架橋性シリル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体は、例えば、上述の方法により上記一般式(3)で示すハロゲン末端を有するビニル系重合体を製造し、この重合体の末端ハロゲンを、下記一般式(5)で表される架橋性シリル基含有カルボアニオンと反応させることにより製造することができる。
+- (R3 )(R4 )−R5 −CH(R6 )−CH2 −[ Si(R72-b (Y)b O] m −Si(R83-a (Y)a (5)
式中、R3 〜R8 、Y、a、b、m、M+ は上記に同じである。
【0076】
この方法は、既に述べた一般式(1)で表されるアルケニル基を末端に有するビニル系重合体の製造方法と同じ方法論に基づくものである。R3 、R4 、M+ としては既に述べたものをすべて用いることができる。
【0077】
上記一般式(5)のカルボアニオンは、その前駆体に対して塩基性化合物を作用させ、活性プロトンを引き抜くことによって得ることができる。上記一般式(5)で表されるカルボアニオンの前駆体としては以下のような化合物:(CH3 O)3 Si(CH2n −CH(CO2252 、(CH3 O)3 Si(CH2n CH(CO2 CH32 、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH(CO2 CH32 、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH(CO2252 、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(CO2 CH32 、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(CO2252 、(CH3 O)3 Si(CH2n −CH(C(O)CH3 )(CO2 CH3 )、(CH3 O)3 Si(CH2n −CH(C(O)CH3 )(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH(C(O)CH3 )(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(C(O)CH3 )(CO225 )、(CH3 O)3 Si(CH2n CH(C(O)CH32 、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH(C(O)CH32 、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(C(O)CH32 、(CH3 O)3 Si(CH2n CH(CN)(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH(CN)(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(CN)(CO225 )、(CH3 O)3 Si(CH2n CH(CN)2 、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH(CN)2 、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(CN)2 、(CH3 O)3 Si(CH2n CH2 NO2 、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH2 NO2 、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH2 NO2 、(CH3 O)3 Si(CH2n −CH(C65 )(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH(C65 )(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)3 SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(C65 )(CO225 )、(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH2n −CH(CO2252 、(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH2n CH(CO2 CH32 、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH(CO2 CH32 、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH(CO2252 、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(CO2 CH32 、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(CO2252 、(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH2n −CH(C(O)CH3 )(CO2 CH3 )、(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH2n −CH(C(O)CH3 )(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH(C(O)CH3 )(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(C(O)CH3 )(CO225 )、(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH2n CH(C(O)CH32 、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH(C(O)CH32 、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(C(O)CH32 、(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH2n CH(CN)(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH(CN)(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(CN)(CO225 )、(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH2n CH(CN)2 、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH(CN)2 、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(CN)2 、(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH2n CH2 NO2 、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH2 NO2 、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH2 NO2 、(CH3 O)2 (CH3 )Si(CH2n −CH(C65 )(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH(C65 )(CO225 )、o−,m−,p−(CH3 O)2 (CH3 )SiCH2 CH2 −C64 −CH2 CH(C65 )(CO225 )等が例示される(上記式中、nは、1〜10の整数を表す。)。
【0078】
これらの前駆体に対して上述した塩基性化合物を作用させることにより上記一般式(5)で示すカルボアニオンが調製され、上記一般式(3)のハロゲン末端を有するビニル系重合体と反応させることにより、目的とする上記一般式(2)で示される架橋性シリル基を末端に有するビニル系重合体を得ることができる。
【0079】
上記一般式(2)で示される、架橋性シリル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体は、上記一般式(1)のアルケニル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体に、下記一般式(6)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を付加反応させることによっても製造することができる。この場合、上記一般式(1)のアルケニル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
H−[Si(R72-b (Y)b O]m - Si(R83-a (Y)a (6)
式中、R7 、R8 、Y、a、b、mは、上記とおなじである。
【0080】
上記一般式(6)で表されるヒドロシラン化合物の中でも、特に下記一般式(7);
H−Si(R83-a (Y)a (7)
(式中、R8 、Y、aは上記と同じ。)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシリル基含有化合物が、入手容易な点から好ましい。
【0081】
上記一般式(6)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物の具体例としては、例えば、HSiCl3 、HSi(CH3 )Cl2 、HSi(CH32 Cl、HSi(OCH33 、HSi(CH3 )(OCH32 、HSi(CH32 OCH3 、HSi(OC253 、HSi(CH3 )(OC252 、HSi(CH32 OC25 、HSi(OC373 、HSi(C25 )(OCH32 、HSi(C252 OCH3 、HSi(C65 )(OCH32 、HSi(C652 (OCH3 )、HSi(CH3 )(OC(O)CH32 、HSi(CH32 O−[Si(CH32 O]2-Si(CH3 )(OCH32 、HSi(CH3 )[O−N=C(CH32]2 (ただし、上記化学式中、C65 はフェニル基を示す)等が挙げられる。
【0082】
このような架橋性シリル基を有するヒドロシリル基含有化合物を末端にアルケニル基を有するビニル系重合体に付加させる際には、ヒドロシリル化触媒を使用することができる。このようなヒドロシリル化触媒としては、後に詳述するものをすべて用いることができる。
【0083】
上記の方法で得られる、末端にアルケニル基を有するビニル系重合体は、これを主剤とする硬化性組成物にすることができる。上記硬化性組成物は、(A)末端にアルケニル基を有するビニル系重合体、(B)ヒドロシリル基含有化合物、を含有するものである。(A)成分の末端にアルケニル基を有するビニル系重合体は、単独で用いても、また、2種類以上を混合して用いても良い。(A)成分の分子量としては特に制限はないが、500〜100000の範囲にあるのが好ましく、3000〜50000が更に好ましい。500以下であると、ビニル系重合体の本来の特性が発現されにくく、100000以上であると、非常に高粘度となり、又は、溶解性が低くなり、取り扱いが困難になることがあるので好ましくない。
【0084】
(B)成分のヒドロシリル基含有化合物としては特に制限はなく、各種のものを用いることができる。すなわち、下記一般式(12)又は一般式(13)で表される鎖状ポリシロキサン;
(R173 SiO−[Si(R172 O]a −[Si(H)(R18)O]b −[Si(R18)(R19)O]C −Si(R173 (12)
H(R172 SiO−[Si(R172 O]a −[Si(H)(R18)O]b −[Si(R18)(R19)O]C −Si(R172 H (13)
(式中R17及びR18は、同一若しくは異なって、炭素数1〜6のアルキル基、又は、フェニル基を表す。R19は、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。aは0≦a≦100、bは2≦b≦100、Cは0≦C≦100の、それぞれ、整数を示す)、
下記一般式(14)で表される環状シロキサン;
【0085】
【化6】
Figure 0003808622
【0086】
(式中、R17、R18及びR19は、上記と同じ。dは0≦d≦8、eは2≦e≦10、fは0≦f≦8の、それぞれ、整数を示し、かつ3≦d+e+f≦10である)等を用いることができる。
【0087】
これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもかまわない。これらのヒドロシリル基含有化合物の中でもビニル系重合体との相溶性の観点から、フェニル基を有する、下記一般式(15)や(16)で示される鎖状シロキサンや、下記一般式(17)や(18)で示される環状シロキサンが好ましい。
(CH33 SiO−[Si(H)(CH3 )O]g −[Si(C652 O]h −Si(CH33 (15)
(CH33 SiO−[Si(H)(CH3 )O]g −[Si(CH3 ){CH2 C(H)(R20)C65 }O]h −Si(CH33 (16)
(式中、R20は、水素又はメチル基を表す。gは2≦g≦100、hは0≦h≦100の、それぞれ、整数である。C65 は、フェニル基を示す)
【0088】
【化7】
Figure 0003808622
【0089】
(式中、R21は、水素又はメチル基を表す。iは2≦i≦10、jは0≦j≦8の、それぞれ、整数であり、かつ3≦i+j≦10である。C65 は、フェニル基である)
【0090】
(B)成分のうち、少なくとも2個以上のヒドロシリル基を有する化合物としては更に、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物に対し、上記一般式(12)〜(18)に示したヒドロシリル基含有化合物を、反応後にも一部のヒドロシリル基が残るようにして付加反応させて得られる化合物を用いることもできる。上記分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物としては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等の炭化水素系化合物;O,O′−ジアリルビスフェノ−ルA、3,3′−ジアリルビスフェノ−ルA等のエ−テル系化合物;ジアリルフタレ−ト、ジアリルイソフタレ−ト、トリアリルトリメリテ−ト、テトラアリルピロメリテ−ト等のエステル系化合物;ジエチレングリコ−ルジアリルカ−ボネ−ト等のカ−ボネ−ト系化合物等が挙げられる。
【0091】
上記付加反応は、例えば、上記一般式(12)〜(18)に示したヒドロシリル基含有化合物の過剰量に対し、ヒドロシリル化触媒の存在下、上に挙げたアルケニル基含有化合物をゆっくり滴下することにより行うことができる。かくして目的化合物を得ることができるが、このような化合物のうち、原料の入手容易性、過剰に用いたシロキサンの除去のしやすさ、さらには(A)成分の重合体への相溶性を考慮して、下記のものが好ましい。
【0092】
【化8】
Figure 0003808622
【0093】
上記重合体(A)と上記ヒドロシリル基含有化合物(B)は任意の割合で混合することができるが、硬化性の面から、上記重合体(A)中のアルケニル基と上記成分(B)中のヒドロシリル基のモル比が5〜0.2の範囲にあることが好ましく、2.5〜0.4であることがより好ましい。モル比が5を超えると硬化が不充分でべとつきのある強度の小さい硬化物しか得られないことがあり、また、0.2より小さいと、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られないことがあるので好ましくない。
【0094】
重合体(A)とヒドロシリル基含有化合物(B)との硬化反応は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進めるために、ヒドロシリル化触媒を添加することができる。このようなヒドロシリル化触媒としては、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、及び、遷移金属触媒等が挙げられる。
【0095】
上記ラジカル開始剤としては特に制限はなく各種のものを用いることができる。例示するならば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド;過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル;過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカ−ボネ−ト;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタ−ル等が挙げられる。
【0096】
また、上記遷移金属触媒としては、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコ−ル、アルデヒド、ケトン等との錯体;白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体等が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33 、RhCl3 、RuCl3 、IrCl3 、FeCl3 、AlCl3 、PdCl2 ・ H2 O、 NiCl2 、TiCl4 等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。
【0097】
触媒量としては特に制限はないが、(A)成分のアルケニル基1molに対し、10-1〜10-8molの範囲で用いるのが好ましく、より好ましくは10-3〜10-6 molの範囲である。10-8molより少ないと硬化が十分に進行しないことがある。またヒドロシリル化触媒は高価であるので10-1mol以上用いないのが好ましい。
【0098】
本発明の上記2成分(A)、(B)及び必要に応じてヒドロシリル化触媒を混合し硬化させれば、発泡等の現象を伴うことなく、深部硬化性に優れた均一な硬化物が得られる。硬化条件については特に制限はないが、一般に0〜200℃、好ましくは30〜150℃で10秒〜24時間硬化するのがよい。特に80〜150℃の高温では10秒〜1時間程度の短時間で硬化するものも得ることができる。
【0099】
硬化物の性状は用いる上記(A)成分の重合体及び上記(B)成分である硬化剤の主鎖骨格や分子量に依存するが、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
【0100】
本発明の組成物から得られる硬化物の具体的な用途を挙げるならば、シーリング材、接着剤、粘着材、弾性接着剤、塗料、粉体塗料、発泡体、電気電子用ポッティング材、フィルム、ガスケット、各種成形材料、人工大理石等である。
【0101】
また、上記のようにして得られた、末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体は、これを主成分とする硬化性組成物にすることができる。主成分である上記ビニル系重合体は、単独で用いても、また、2種類以上を混合して用いてもよい。また、その分子量については特に制限はないが、500〜100000の範囲にあるのが好ましく、3000〜50000が更に好ましい。分子量が500以下であると、ビニル系重合体の本来の特性が発現されにくく、また、100000以上であると、ハンドリングが困難になることがあるので好ましくない。
【0102】
末端に加水分解性シリル基を有するビニル系重合体は、水分と接触すると架橋反応により3次元化して硬化する。加水分解速度は、温度、湿度、加水分解性基の種類により変化するので、使用条件に応じて適切な加水分解性基を選択しなければならない。また、加水分解性シリル基を末端に有するビニル系重合体は、保存時には水分との接触を可能な限り断つことが好ましい。
【0103】
上記硬化反応を促進するために縮合触媒を添加してもよい。上記縮合触媒としては、例えば、アルキルチタン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩、オクチル酸錫やジブチル錫ジラウレートのようなカルボン酸の金属塩;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のアミン塩;その他の酸性触媒及び塩基性触媒を使用しうる。その使用量としては特に制限はないが、末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体に対し、0.01〜5重量%用いるのが好ましい。
【0104】
主成分である末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体に、必要に応じて縮合触媒を混合し硬化させれば、均一な硬化物を得ることができる。硬化条件としては特に制限はないが、一般に0〜100℃、好ましくは10〜50℃で1時間〜1週間程度である。硬化物の性状は用いる重合体の主鎖骨格や分子量に依存するが、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
【0105】
上記の組成物より得られる硬化物の具体的な用途を挙げるならば、シーリング材、接着剤、粘着材、弾性接着剤、塗料、粉体塗料、発泡体、電気電子用ポッティング材、フィルム、成形材料、人工大理石等である。
【0106】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない
【0107】
製造例1 末端にハロゲンを有するポリ(アクリル酸エステル)の製造
1Lの耐圧ガラス反応容器に、アクリル酸メチル(100mL、1.11mol)、α,α′−ジブロモ−p−キシレン(5.89g、22.2mmol)、臭化第一銅(3.18g、22.2mmol)、2,2′−ビピリジル(10.4g、66.7mmol)、アセトニトリル(20mL)、及び、酢酸エチル(80mL)を仕込み、窒素ガスを10分間吹き込んで溶存酸素を除去した後、封管した。この混合物を130℃まで昇温し、更に30分間加熱した。室温まで冷却後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、生成した不溶固体をろ過した後、濾液を希塩酸で2回、ブラインで1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発分を減圧下留去し、両末端に臭素を有するポリ(アクリル酸メチル)を90.1g得た。GPC測定(ポリスチレン換算)の結果、重合体の数平均分子量(Mn)は5000、分子量分布(Mw/Mn)は1.31であった。また、オリゴマー1分子当たりに導入された臭素は、 1H NMR分析より、1.78個であった。
【0108】
製造例2 末端にハロゲンを有するポリ(アクリル酸エステル)の製造
30mLの耐圧反応器に、アクリル酸メチル(7.5mL、7.17g、83.4mmol)、α,α′−ジブロモ−p−キシレン(438mg、1.67mmol)、臭化第一銅(239mg、1.67mmol)、2,2′−ビピリジル(518mg、3.34mmol)、アセトニトリル(1.5mL)、及び、酢酸エチル(6.0mL)を仕込み、窒素ガスを10分間吹き込んで溶存酸素を除去した後、封管した。この混合物を130℃に加熱し、45分間反応させた。反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、希塩酸で3回、ブラインで1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発分を減圧下留去し、両末端に臭素を有するポリ(アクリル酸メチル)を得た(収率4.72g)。GPC測定(ポリスチレン換算)の結果、重合体の数平均分子量(Mn)は3630、分子量分布(Mw/Mn)は1.21であった。また、オリゴマー1分子当たりに導入された臭素は、 1H NMR分析より、1.62個であった。
【0109】
実施例1 主鎖末端にアルケニル基を有するビニル系重合体の調製
50mLの三つ口丸底フラスコにアリルマロン酸エチル(0.1mL、0.51mmol)、カリウム−tert−ブトキシド(80mg、0.72mmol)、及び、テトラヒドロフラン(1.0mL)を仕込み、窒素雰囲気下、還流温度で1時間反応させた。製造例1で合成されたポリ(アクリル酸メチル)(1.0g)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を添加して還流温度で3時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで約50mLに希釈し、2%塩酸で2回、ブラインで1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去し生成物を単離した。生成物を少量の酢酸エチルに溶解し、ヘキサンから再沈殿することにより重合体を精製した。オリゴマー1分子当たりに導入されたアルケニル基は、 1H NMR分析より、0.62個であった。
【0110】
実施例2 主鎖末端にアルケニル基を有するビニル系重合体の調製
50mLの三つ口丸底フラスコに油性水素化ナトリウム(106mg、2.64mmol)を仕込み、窒素雰囲気下、乾燥ヘキサンで水素化ナトリウムを数回洗浄した後、ジメチルアセトアミド(3.0mL)を加えた。さらにアリルマロノニトリル(292mg、2.76mmol)のジメチルアセトアミド(1.0mL)溶液を0℃で滴下して、同温で1時間攪拌した。製造例2により合成されたポリ(アクリル酸メチル)(1.0g)のDMAc(2.0mL)溶液を添加して室温で1時間攪拌した。反応混合物を氷水−希塩酸で中和したのち、酢酸エチル(30mL)で抽出し、有機層を2%塩酸で2回、ブラインで1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去し生成物を単離した。生成物を少量の酢酸エチルに溶解し、ヘキサンから再沈殿することにより重合体を精製した(Fn(アルケニル)=1.68)。
【0111】
実施例3 架橋性シリル基を末端に有するビニル系重合体の調製
実施例2で得られたアルケニル基を末端に有するポリマーにジメトキシメチルシランを白金錯体を用いて反応させ、架橋性シリルを末端に有するポリマーを得た。
【0112】
実施例4 硬化性組成物の調製
実施例2で得られたアルケニル基を末端に有するポリマーに多価ヒドロシリル化合物と白金錯体を混合し加熱すると、ゴム状の硬化物が得られた。
【0113】
実施例5
実施例3で得られた架橋性シリルを末端に有するポリマーにスズ系の縮合硬化触媒と水を混合すると、ゴム状の硬化物が得られた。
【0114】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成であるので、アルケニル基又は架橋性シリル基が、硫黄のようなヘテロ原子を介さず、切断されにくい炭素−炭素結合により、高い比率で主鎖末端に導入されたビニル系重合体、及び、これらの簡便な製造方法を提供する。これらの重合体は、主鎖にヘテロ原子を含んでいないので、得られる硬化物は、良好な耐候性を有する。また、架橋性官能基が主鎖末端に確実に導入されているので、硬化特性の優れた硬化物が得られる。

Claims (20)

  1. 一般式(1)で表されるアルケニル基を、少なくとも1つの主鎖末端に有し、かつ、主鎖は、(メタ)アクリル酸系モノマーが重合したものであることを特徴とするビニル系重合体。
    −CH−C(R)(R)−C(R)(R)−R−C(R)=CH (1)
    (式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、又は、重合体の主鎖の製造に用いられる(メタ)アクリル酸系モノマーのビニル基に結合した1価の有機基を表す。
    及びRは、共に、同一若しくは異なって、電子吸引性置換基を表すか、又は、一方が電子吸引性置換基を表し、他方が水素、炭素数1〜10のアルキル基若しくはフェニル基を表す。前記電子吸引性置換基は、−COR、−C(O)R、−CON(R)、−COSR、−CN、又は、−NOである。ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。
    は、直接結合、−(CH−(nは、1〜10の整数を表す)、o−,m−,p−C−、−CH−O−CH−、−(CH−O−CH−、−(CH−O−CH−、又は、−(CH−O−(CH−を表す。
    は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。)
  2. 一般式(2)で表される架橋性シリル基を、少なくとも1つの主鎖末端に有し、かつ、主鎖は、(メタ)アクリル酸系モノマーが重合したものであることを特徴とするビニル系重合体。
    −CH−C(R)(R)−C(R)(R)−R−CH(R)−CH−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y) (2)
    〔式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、又は、重合体の主鎖の製造に用いられる(メタ)アクリル酸系モノマーのビニル基に結合した1価の有機基を表す。
    及びRは、共に、同一若しくは異なって、電子吸引性置換基を表すか、又は、一方が電子吸引性置換基を表し、他方が水素、炭素数1〜10のアルキル基若しくはフェニル基を表す。前記電子吸引性置換基は、−COR、−C(O)R、−CON(R)、−COSR、−CN、又は、−NOである。ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。
    は、直接結合、−(CH−(nは、1〜10の整数を表す)、o−,m−,p−C−、−CH−O−CH−、−(CH−O−CH−、−(CH−O−CH−、又は、−(CH−O−(CH−を表す。
    は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。
    及びRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は、(R′)SiO−(式中、R′は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表し、3個のR′は同一であってもよく、異なっていてもよい。)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。R又はRが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
    Yは、水酸基又は加水分解性基を表し、2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
    aは、0、1、2又は3を表す。bは、0、1又は2を表す。mは、0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。〕
  3. 電子吸引性置換基は、−COR(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。)、−C(O)R(Rは前記に同じ。)、及び、−CNからなる群より選択される基である請求項1又は2記載の重合体。
  4. (メタ)アクリル酸系モノマーは、アクリル酸エステル系モノマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体。
  5. (メタ)アクリル酸系モノマーは、メタクリル酸エステル系モノマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体。
  6. アクリル酸エステル系モノマーは、アクリル酸ブチルである請求項記載の重合体。
  7. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、1.8以下の値である請求項1〜のいずれか1項に記載の重合体。
  8. 数平均分子量は、500〜100000の範囲にある請求項1〜のいずれか1項に記載の重合体。
  9. (メタ)アクリル酸系モノマーを重合して、下記一般式(3)で表される基を少なくとも1つの末端に有するビニル系重合体を製造し、前記重合体の末端ハロゲンを下記一般式(4)で表されるアルケニル基含有カルボアニオンで置換することを特徴とする、請求項1、3〜又はのいずれか1項に記載のアルケニル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体の製造方法。
    −CH−C(R)(R)(X) (3)
    (式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、又は、重合体の主鎖の製造に用いられる(メタ)アクリル酸系モノマーのビニル基に結合した1価の有機基を表す。Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。)
    (R)(R)−R−C(R)=CH (4)
    (式中、R及びRは、共に、同一若しくは異なって、電子吸引性置換基を表すか、又は、一方が電子吸引性置換基を表し、他方が水素、炭素数1〜10のアルキル基若しくはフェニル基を表す。前記電子吸引性置換基は、−COR、−C(O)R、−CON(R)、−COSR、−CN、又は、−NOである。ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。
    は、直接結合、−(CH−(nは、1〜10の整数を表す)、o−,m−,p−C−、−CH−O−CH−、−(CH−O−CH−、−(CH−O−CH−、又は、−(CH−O−(CH−を表す。
    は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。
    は、アルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオンを表す。)
  10. (メタ)アクリル酸系モノマーを重合して、下記一般式(3)で表される基を少なくとも1つの末端に有するビニル系重合体を製造し、前記重合体の末端ハロゲンを下記一般式(5)で表される架橋性シリル基含有カルボアニオンで置換することを特徴とする、請求項2〜8のいずれか1項に記載の架橋性シリル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体の製造方法。
    −CH−C(R)(R)(X) (3)
    (式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、又は、重合体の主鎖の製造に用いられる(メタ)アクリル酸系モノマーのビニル基に結合した1価の有機基を表す。Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す。)
    (R)(R)−R−CH(R)−CH−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y) (5)
    〔式中、R及びRは、共に、同一若しくは異なって、電子吸引性置換基を表すか、又は、一方が電子吸引性置換基を表し、他方が水素、炭素数1〜10のアルキル基若しくはフェニル基を表す。前記電子吸引性置換基は、−COR、−C(O)R、−CON(R)、−COSR、−CN、又は、−NOである。ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。
    は、直接結合、−(CH−(nは、1〜10の整数を表す)、o−,m−,p−C−、−CH−O−CH−、−(CH−O−CH−、−(CH−O−CH−、又は、−(CH−O−(CH−を表す。
    は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。
    及びRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は、(R′)SiO−(式中、R′は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表し、3個のR′は同一であってもよく、異なっていてもよい。)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。R又はRが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
    Yは、水酸基又は加水分解性基を表し、2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
    aは、0、1、2又は3を表す。bは、0、1又は2を表す。mは、0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。
    は、アルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオンを表す。〕
  11. は、ナトリウムイオン又はカリウムイオンである請求項又は10記載の製造方法。
  12. 請求項1、3〜又はのいずれか1項に記載のアルケニル基を主鎖末端に有するビニル系重合体に、下記一般式(6)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を反応させることを特徴とする、請求項2〜のいずれか1項に記載の架橋性シリル基を少なくとも1つの主鎖末端に有するビニル系重合体の製造方法。
    H−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y) (6)
    〔式中、R及びRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は、(R′)SiO−(式中、R′は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表し、3個のR′は同一であってもよく、異なっていてもよい。)で表されるトリオルガノシロキシ基を表す。R又はRが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは、水酸基又は加水分解性基を表し、2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは、0、1、2又は3を表す。bは、0、1又は2を表す。mは、0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。〕
  13. 開始剤として、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用い、触媒として、遷移金属錯体を用いて(メタ)アクリル酸系モノマーを重合する請求項12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 遷移金属錯体は、銅、ニッケル、ルテニウム、及び鉄からなる群より選択される金属の錯体である請求項13記載の製造方法。
  15. 遷移金属錯体は、銅錯体である請求項14記載の製造方法。
  16. 連鎖移動剤の存在下で(メタ)アクリル酸系モノマーを重合する請求項12のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. (A)請求項1、3〜又はのいずれか1項に記載のアルケニル基を主鎖末端に有するビニル系重合体、及び、(B)ヒドロシリル基含有化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  18. (A)成分に含有されるアルケニル基と(B)成分に含有されるヒドロシリル基とのモル比は、0.2〜5の範囲にある請求項17記載の硬化性組成物。
  19. 請求項2〜のいずれか1項に記載の架橋性シリル基を主鎖末端に有するビニル系重合体を主成分とすることを特徴とする硬化性組成物。
  20. 硬化触媒を、請求項2〜のいずれか1項に記載の重合体に対して0.01〜5重量%含有する請求項19記載の硬化性組成物。
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