JP3805476B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動搬送機、自動組立機などの自動機械や産業用ロボットなどに用いられるモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業用に用いられる一般の自動機では、生産性向上のため、動作の高速化が強く望まれているが、モータが出せるトルクや速度には上限があり、モータの仕様によって制約される。また、自動機による作業の品質を保証するためには、指令値への追従精度も、指定許容値以下に抑えておかなければならないなど、自動機が行う作業からの要求によってもモータの動きは制約を受ける。このため、上記のようなモータの仕様や作業上の要求から決まる制約条件を満たす範囲内で出来る限り高速に動作させる指令値を生成する必要がある。
【0003】
このような動作の高速化を実現するための指令値生成方法は、ロボットの分野で研究されており、例えば、図9は「空間経路が指定されるマニピュレータ動作の時間短縮」(計測自動制御学会論文集 第22巻10号 昭和61年10月発行)に記された方法を説明するための模式図である。
【0004】
ここで説明する例では、制約条件として、モータトルクを許容値以下に抑えることと指令値への追従誤差を許容値以下に抑えることを考えている。制約を受ける変数を被制約変数と呼ぶことにすると、ここでの被制約変数はモータトルクと指令値への追従誤差となる。
【0005】
図9において、1はモータ、2はモータによって駆動される機械、3はモータ1を指令値に追従するように制御するモータ制御手段である。また、4はモータ1の所望の動作を指定する基準指令値を記憶しておく基準指令値記憶手段、5は基準指令値を時間軸方向に伸縮してモータ制御手段3に与える指令値を算出する指令値算出手段である。6は時間スケール関数を記憶しておく時間スケール関数記憶手段であり、指令値算出手段5においては、この時間スケール関数に基づいて時間軸の伸縮を行う。7はモータ1、機械、及びモータ制御手段3の特性をモデル化したモータ制御モデル、8はそのモータ制御モデル7に基づいて、被制約変数であるモータトルク、及び指令値への追従誤差を予測する予測モデル、9はその予測モデル8の出力に基づいて、時間スケール関数を最適化する最適化手段である。10は指令値生成手段であり、図9に示すように、基準指令値記憶手段4、指令値算出手段5、時間スケール関数記憶手段6、及び最適化手段9により構成される。さらに、11はモータトルクの上限であるトルク許容値、12は指令値への追従誤差の上限である誤差許容値である。
【0006】
次に、図9に示した従来のモータ制御装置の作用を説明する。
【0007】
基準指令値r(τ)は、例えば、図10(b)の上図に示したように、時間τの関数として与えられ、モータの位置の動きを時間τの関数として記述したものである。この基準指令値r(τ)では、動作の始めと終わりでは緩やかな動きとなっているためモータの負荷はあまり大きくないが、中央付近では急激な動きとなっておりモータの負荷も大きくなる。このような基準指令値r(τ)に対して、モータ負荷の小さい所では、基準指令値r(τ)を時間軸方向に縮めることにより動作を高速化することができる。逆に、モータ負荷の大きい所では、時間軸を伸ばすことにより、モータ負荷を軽減し、モータ負荷が許容値を越えないようにする必要がある。
【0008】
このように、モータの負荷に応じて基準指令値r(τ)を時間軸方向に伸縮することにより、モータ負荷が許容値を越えない範囲で高速の動作を実現する指令値r(t)を生成することができる。図10(b)下図は、このようにして生成した指令値r(t)の例を示している。以下の説明において、時間軸を伸縮する前の時間τを仮想時間、伸縮した後の時間tを実時間と呼ぶことにする。
【0009】
また、上記のように基準指令値r(τ)を時間軸方向に伸縮する度合いを示す関数を、時間スケール関数κ(τ)と呼ぶことにする。時間スケール関数κ(τ)は仮想時間τの関数として定義する。上記の基準指令値に対する時間スケール関数κ(τ)の例を、図10(a)に示す。仮想時間τと実時間tは時間スケール関数によって
dt/dτ=κ(τ)
と関係付けられる。すなわち、時間スケール関数κ(τ)が1より大きい所では時間を伸ばし、1より小さい所では時間を縮めることになる。
【0010】
基準指令値記憶手段4及び時間スケール関数記憶手段6には、それぞれ、上記のような基準指令値r(τ)と時間スケール関数κ(τ)とが記憶されており、指令値算出手段5では、両者に基づいてモータ制御手段3に与えられる指令値r(t)が生成される。時間スケール関数κ(τ)は、モータを動かす前に予め計算され、時間スケール関数記憶手段6に記憶されている。
【0011】
時間スケール関数κ(τ)は、以下のようにして生成される。
【0012】
モータ制御モデル7は、モータ1と、モータ1によって駆動される機械2及びモータ制御手段3の特性をモデル化したものであり、予測モデル8では、指令値算出手段5により生成された指令値をモータ制御手段3に与えた時のモータトルクと指令値への追従精度を、このモータ制御モデル7に基づいて予測する。
【0013】
最適化手段9では、予測モデル8で予測されるモータトルクと追従誤差がその許容値を超えない範囲内で、基準指令値で指定された動作をできるだけ短時間で終了するような時間スケール関数κ(τ)を算出する。指定された動作を終了するのに要する時間は
で計算できるから、最適化手段6では、これを最小にするように時間スケール関数κ(τ)を決定する。但し、τ0は仮想時間における動作開始時刻、τ1は動作終了時刻である。以上のような、モータトルク、追従誤差等がその許容値を越えないという条件の下で、上式(1)の評価関数を最小化する時間スケール関数κ(τ)は、数理計画法における制約条件付き非線形最適化問題を解くことにより求めることができる。
【0014】
上述の従来方法の作用と問題点をより具体的に示すために、シミュレーションを行った結果を以下に示す。シミュレーションには、図11に示す簡単な1軸のモータ駆動系を用いた。図11において、1はモータ、45はモータで駆動される機械に相当する慣性負荷で、モータ1と慣性負荷45は剛体の軸43で接続されている。また、3はモータ制御手段であり、モータ1に付いている速度検出器41と位置検出器42によって検出されるモータ速度と位置のフィードバック制御を行っており、指令値に追従してモータ1を制御するように構成されている。図12に、基準指令値を示す。基準指令値としては、停止状態から2秒で1ラジアン回転して停止するものを用いた。
【0015】
図13に、基準指令値をそのまま指令値としてモータ制御手段3に入力した場合のシミュレーション結果を示す。図13(a)の破線は、モータ制御手段3に入力された指令値、実線は指令値に追従して動作するモータ1の位置を示している。図13(b)はモータトルクであり、図13(c)は指令値への追従誤差を示している。図13(b)、図13(c)において、モータトルクと追従誤差はそれぞれの許容値で正規化して示してあり、−1〜+1が許容範囲に相当する。図13(d)は時間スケール関数κ(τ)であり、この場合、時間軸の伸縮を行っていないので、時間スケール関数κ(τ)は1となっている。図13(b)のモータトルクの最大値は許容値の約半分、図13(c)の追従誤差の最大値は許容値の約8割であり、許容値に対して余裕があることが分かる。
【0016】
図14に、最適化手段9により最適化された時間スケール関数を用いて指令値を生成した場合のシミュレーション結果を示す。移動時間は基準指令値の2秒から1.2秒に短縮されている。また、動作の始めと終わりで、モータトルクが許容値に達し、中間部分では追従誤差が許容値に達しており、制約条件を満たす範囲内で最大限の動作の高速化が行われている。
【0017】
従来の動作高速化方法は上記のように構成されており、モータトルクや指令値への追従誤差を許容値以下に抑えながら、式(1)の評価関数を最小化する時間スケール関数を最適化手段9で算出している。
【0018】
ところが、上記従来方法では、モータ制御モデル7に基づいて時間スケール関数を算出しているため、上記モータ制御モデル7と実際のモータ制御系の特性にモデル化誤差があると、上記予測モデル8によって予測される被制約変数の値と実際の被制約変数の値が一致しなくなる。このため、被制約変数の予測値が許容値を越えていなくても、実際の値は制約条件を満足しない場合が生じる。例えば、機械2の剛性が低く振動しやすい場合には、動作を高速化することにより、機械振動を発生しやすくなり、振動の影響で制約条件を満足しなくなる可能性がある。また、摩擦や重力などモデル化困難な外乱を受ける系についても、摩擦や重力に抗して機械を駆動する必要があるため、上記予測モデル8で予測されるモータトルクよりも大きなトルクを必要とする。
【0019】
このような問題点を具体的に示すために、上述のようにして算出した時間スケール関数κ(τ)を用いて生成した指令値r(t)を剛性の低い機械に適用した場合のシミュレーション結果を、図15に示す。図16はシミュレーションに用いた剛性の低い機械系のモデルであり、モータ1と慣性負荷45が剛性の低い軸44で接続されている他は図11と同じである。
【0020】
図15のシミュレーション結果を見ると、機械振動によりモータトルクが許容値を越えており、制約条件を満足していないことが分かる。図17は予測値と実際の値とを同じグラフにプロットしたものである。図17(a)はモータトルク、図17(b)は指令値への追従誤差を示しており、これら各図において、実線はモータ制御モデル7と予測モデル8に基づいて予測した予測値を示しており、破線は実際にモータを動かした時の値を示している。モータ制御モデル7には振動特性が含まれていないので、機械振動の影響を予測することが出来ず、実際の被制約変数の値を正確には予測できていない。特に、モータトルクの予測誤差が大きくなっている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、上記従来方法では、モータ制御系のモデルを用いて時間スケール関数を算出し、これに基づいて指令値を生成しているため、モデル化誤差がある場合には、制約条件を満足しない指令値が求まってしまうという問題点があった。
【0022】
また、モータ制御モデル7に振動モデルや外乱モデルを含めることにより、より正確なモデルを用いて時間スケール関数を求める方法も考えられるが、そのためには、機械の振動特性や外乱特性を正確に同定する必要がある。現実には、機械の振動特性や外乱特性を正確に同定するのは容易ではないばかりか、経時変化によりこれらの特性が変動する可能性もあり、その都度特性を同定する必要があり、多くの手間を要するという問題点がある。
【0023】
また、制約条件を満足する範囲内で出来るだけ動作を高速化する指令値を生成するには、制約条件付きの非線形最適化問題を解く必要があるが、この計算アルゴリズムは複雑で多くの計算時間を必要としていた。特に、産業用に用いられるロボットや自動機では、複数軸の同期動作を必要とするものが多く、このような多軸同期システムに対して最適指令値を算出するためには、軸数の二乗に比例して計算量が増えるため、軸数が多くなるに従って膨大な計算時間を必要とするという問題点があった。
【0024】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、モータで駆動される機械の剛性が低く振動しやすい場合や、摩擦や重力などの外乱が加わる場合でも、制約条件を逸脱することなく、動作の高速化を実現する指令値をより少ない計算量で生成するモータ制御装置を得ることを目的としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明に係るモータ制御装置は、従来のモータ制御装置に、実際にモータを動かして計測した被制約変数とその許容値とを比較する比較手段と、上記比較手段の出力により被制約変数の許容値を修正する許容値修正手段とを付加するように構成したものである。
【0026】
請求項2に記載された発明に係るモータ制御装置は、計測値がその許容値を越えている時には、対応する許容値を小さく修正し、修正した許容値を用いて指令値生成手段により指令値を算出するように構成したものである。
【0027】
請求項3に記載された発明に係るモータ制御装置は、前記モータとモータによって駆動される機械系及び前記指令値に追従するようにモータを制御するモータ制御手段からなるモータ制御系の特性が正確に分かっている周波数領域を第一の周波数領域、特性が正確には分かっていない周波数領域を第二の周波数領域とし、図9に示した従来のモータ制御装置において、モータ制御モデルを該モータ制御モデルの上記第一の周波数領域での特性を近似する近似モデルに置き換え、前記近似モデルを用いて前記被制約変数の値を予測する第一の予測モデルに加えて、前記近似モデルに基づいてモータトルクの前記第二の周波数領域の周波数成分を予測する第二の予測モデルを付加し、指令値生成手段において、前記第一の予測モデルから出力される被制約変数の予測値を設定された許容値以下に抑えつつ、所望の動作を行うのに要する動作時間の長さと前記第二の予測モデルの出力の大きさとを同時に小さくするような指令値を生成するように構成したものである。
【0028】
請求項4乃至請求項6に記載された発明に係るモータ制御装置は、請求項3に記載された発明において、指令値生成手段を、所望の動作を記述する基準指令値を記憶する基準指令値記憶手段と、基準指令値を時間軸方向に伸縮してモータ制御手段に与える指令値を生成する指令値算出手段と、前記基準指令値を時間軸方向に伸縮する割合を表現する時間スケール関数を記憶する時間スケール関数記憶手段と、前記時間スケール関数を生成する最適化手段とから構成し、前記最適化手段において、前記第一の予測モデルから出力される被制約変数の予測値を設定された許容値以下に抑えつつ、所望の動作を行うのに要する動作時間の長さと前記第二の予測モデルの出力の大きさとを同時に小さくするような時間スケール関数を生成するように構成したものである。
【0029】
請求項7に記載された発明に係るモータ制御装置は、図9に示した従来のモータ制御装置において、モータ制御モデルを、該モータ制御モデルのモータで駆動される機械系の固有振動数以下の特性を近似する近似モデルに置き換え、前記近似モデルを用いて前記被制約変数の値を予測する第一の予測モデルに加えて、前記近似モデルに基づいてモータトルクの前記機械系の固有振動数以上の周波数成分を予測する第二の予測モデルを付加し、指令値生成手段において、前記第一の予測モデルから出力される被制約変数の予測値を設定された許容値以下に抑えつつ、所望の動作を行うのに要する動作時間の長さと前記第二の予測モデルの出力されるモータトルクの高周波成分の大きさとを同時に小さくするような指令値を生成するように構成したものである。
【0032】
請求項1又は2に記載された発明に係るモータ制御装置では、実際にモータを動かして計測した被制約変数の値をその許容値と比較して、許容値を修正することにより、実際のモータに予測困難な摩擦などの外乱が作用する場合でも、制約条件を満足する指令値を得ることができる。
【0033】
請求項3乃至請求項6の何れかに記載された発明に係るモータ制御装置では、上記近似モデルはモータ制御系の特性が正確に分かっている第一の周波数領域でのモータ制御系の特性を近似している。従って、モータの動作周波数領域を前記第一の周波数領域に制限すれば、上記近似モデルは実際のモータ制御システムの良い近似になっており、予測モデルによって出力される予測値は実際のモータの動きと良く一致する。しかるに、最適化手段では、時関スケール関数を小さくするだけでなく、第二の予測モデルにより予測されるモータトルクの前記第二の周波数領域の周波数成分をも小さくするような時間スケール関数を算出するから、このような時間スケール関数を用いて生成された指令値には、前記第二の周波数領域の周波数成分は殆ど含まれていない。従って、上述のように生成された指令値を用いてモータを駆動すれば、モータの動作周波数領域を前記第一の周波数領域に制限することができ、予測モデルにより実際のモータの動きを正確に予測できることから、モータ制御系の特性が完全には分かっていなくても、制約条件を逸脱しない指令値を生成することができる。
【0034】
請求項7に記載された発明に係るモータ制御装置では、請求項2又は請求項3に記載されたモータ制御装置において、前記第一の周波数領域をモータで駆動する機械系の概略の固有振動数以下の周波数領域とし、第二の周波数領域を前記機械系の概略の固有振動数以上の周波数領域としたものである。これにより、機械系の固有振動数以上の高周波成分は殆ど含まない指令値を生成できることから、剛性が低く振動しやすい機械に対しても、振動を起こさず、制約条件を満足する指令値を生成することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。尚、以下の説明において、図9に示した従来の制御装置と同一部分には同一の符号を付している。
【0038】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図1において、符号11はモータ1の仕様から決まるモータトルクの許容値umax、12は作業上の要求から決まる指令値への追従誤差の許容値emax、13はモータ1を実際に動かして被制約変数であるモータトルクと指令値への追従誤差を計測する被制約変数計測手段、14は計測したモータトルクの絶対値の最大値を検出する第一の最大値検出手段、15は計測した追従誤差の絶対値の最大値を検出する第二の最大値検出手段、16は第一の最大値検出手段14の出力とモータトルクの許容値umaxの比Kuを算出する第一の比較手段、17は第二の最大値検出手段15の出力と追従誤差の許容値emaxとの比Keを算出する第二の比較手段、18は上記第一の比較手段16の出力Kuに基づいて上記モータトルクの許容値の設定値を修正する第一の許容値修正手段、19は上記第二の許容値比較手段17から出力される比Keに基づいて上記追従誤差の許容値の設定値を修正する第二の許容値修正手段、20は第一の許容値修正手段16により修正されたモータトルクの修正許容値、21は第二の許容値修正手段17により修正された追従誤差の修正許容値である。
【0039】
次に、この実施の形態の作用について説明する。まず、最初は、上記モータトルクの修正許容値20及び追従誤差の修正許容値21には、それぞれ、本来のモータトルクの許容値11と本来の追従誤差の許容値12が設定されており、最適化手段9において、これらを用いて上記従来例に示した方法により時間スケール関数が算出され、時間スケール関数記憶手段6に記憶される。
【0040】
次に、基準指令値とこの時間スケール関数とに基づいて、指令値算出手段5により指令値が生成され、モータが駆動される。これと同時に、モータトルクと指令値への追従誤差が被制約変数計測手段13により計測される。計測されたモータトルクは前記第一の最大値検出手段14でその絶対値の最大値が検出され、さらに第一の比較手段16に入力され、上記第一の比較手段16の出力Kuが算出される。同様に、上記計測された追従誤差は上記第二の最大値検出手段15及び第二の許容値比較手段17に入力され、上記比Keが算出される。
【0041】
上記第一の比較手段16の出力Kuが1より大きいときは、計測されたモータトルクがその許容値11より大きくなっていることを意味する。このときは、上記第一の許容値修正手段18により、上記修正許容値20の値が小さくなるように修正される。例えば、(以前の修正許容値/Ku)を新たな修正許容値とするように修正される。これと同様に、比Keが1より大きい時には、上記第二の許容値修正手段19により、追従誤差の修正許容値21の値が小さくなるように修正される。
【0042】
さらに、このようにして修正された修正許容値20、21を用いて最適化手段9によって、時間スケール関数が算出される。つまり、実際にモータ1を動かして計測した被制約変数が制約条件を満足していない場合には、制約条件を厳しく設定し直して、指令値を生成している。
【0043】
これにより、上記モータ制御モデル7にモデル化誤差がある場合でも、実際に計測して得られた被制約変数が許容値以下になるような指令値を生成することができる。
【0044】
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態2によるモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図2において、符号22は、モータと、モータによって駆動される機械系及びモータ制御手段からなるモータ制御系の、上記機械系の固有振動数以下の周波数領域における特性を近似する近似モデルである。
【0045】
モータ制御系の特性は、低周波領域の特性を比較的正確に知ることができるが、高周波領域の特性を正確に同定するのは困難である。特に、機械系の固有振動数以上の周波数領域では、高次の振動モードなどの影響があり、特性の同定が困難となる。また、経時変化により振動特性が変動する可能性もある。そこで、本実施の形態2では、機械系の固有振動数以下の周波数領域の特性が正確に分かっているものと仮定している。以下、機械系の固有振動数以下の周波数領域を第一の周波数領域、固有振動数以上の周波数領域を第二の周波数領域とする。
【0046】
図2において、符号8は上記近似モデル22に基づいて、被制約変数であるモータトルクと追従誤差を予測する第一の予測モデル、23は上記近似モデル22に基づいてモータトルクの前記第二の周波数領域の周波数成分、すなわち、機械系の固有振動数より高い周波数領域の周波数成分を出力する第二の予測モデルである。
【0047】
26は、前記第一の予測モデル8と第二の予測モデル23に基づいて時間スケール関数を生成する最適化手段である。この最適化手段26では、前記第一の予測モデルにより予測される制約変数の値が許容値以下になる範囲内で、評価関数
が最小となる時間スケール関数κ(τ)を生成する。ここで、τ0は仮想時間における動作開始時刻、τ1は動作終了時刻、j(τ)は上記第二の予測モデルから出力されるモータトルクの第二の周波数領域の周波数成分、W0は定数である。上式(4)の第一項は、基準指令値で与えられる所望の動作を行うのに要する動作時間の長さを評価する第一の評価関数25であり、第二項は前記第二の予測モデルの出力の大きさを評価する第二の評価関数24であり、最適化手段26では、両者の和が最小となるように時間スケール関数を算出する。
【0048】
次に、この実施の形態2の作用について説明する。図16は、モータ1と、このモータ1によって駆動される機械系及び上記モータ制御手段からなるモータ制御系の例を示したものである。すなわち、図2における機械2は、図16における剛性の低い軸44とそれに連結された慣性負荷45に相当する。
【0049】
図16のモータ制御系に対する近似モデル22は図11に示すようなものとなる。図11は、図16における剛性の低い軸44を剛体の高い軸43で置き換えたものである。図16及び図11の周波数特性を図3に示す。図3中、破線は図16の実際のモータ制御系の周波数特性であり、実線は図11の近似モデルの周波数特性である。ここで用いた機械系の固有振動数は約24rad/sであり、両者の周波数特性はそれ以上の高周波領域では異なるが、20rad/s以下の低周波領域では良く一致している。
【0050】
仮想時間τと実時間tは時間スケール関数κ(τ)を用いて、
dt/dτ=κ(τ) (5)
で関係付けられる。
【0051】
図2の近似モデル22の状態方程式を、
dx(t)/dt=A(x(t))+B(x(t))・r(t) (6)
とする。但し、x(t)は近似モデル22の状態変数、r(t)はモータ制御手段に与えられる指令値、A(x(t))、B(x(t))は近似モデル22の特性を表す行列である。
【0052】
このとき、第一の予測モデル8から出力されるモータトルクu(t)、追従誤差e(t)は、それぞれ、
u(t)=Cu・x(t)+Du・r(t) (7)
e(t)=Ce・x(t)+De・r(t) (8)
で得られる。但し、Cu、Du、Ce、Deは近似モデル22の特性から決まる行列である。
【0053】
また、第二の予測モデル23の出力であるモータトルクの高周波成分は、
dxf(t)/dt=Af・xf(t)+Bf・u(t) (9)
j(t)=Cf・xf(t)+Df・u(t) (10)
で表される。但し、式(9)は機械系の固有振動数より低い20Hz以下の周波数成分を除去するハイパスフィルタであり、xf(t)はハイパスフィルタの状態変数、u(t)は第一の予測モデル8によって予測されるモータトルク、j(t)は第二の予測手段23の出力であるモータトルクの高周波成分、Af、Bf、Cf、Dfはハイパスフィルタの特性を表す定数行列である。
【0054】
制約条件としては、モータトルクu(t)と指令値への追従誤差e(t)がそれぞれの許容値umax、emaxを越えないようにする。この制約条件を、モータトルクu(t)と指令値への追従誤差e(t)を用いて式で書くと、
−umax ≦ u(t) ≦ umax (11)
−emax ≦ e(t) ≦ emax (12)
となる。
【0055】
最適化手段26では、前述のように評価関数、
が最小となるような時間スケール関数を算出する。つまり、最適化手段では、式(5)〜式(10)で記述されるシステムに対して、制約条件の式(11)、式(12)を満足する範囲内で評価関数の式(13)を最小化する時間スケール関数κ(τ)を算出することになるが、このような時間スケール関数κ(τ)は一般に用いられている制約条件付きの非線形最適化手法を用いて求めることができる。
【0056】
このようにして算出された時間スケール関数は、時間スケール関数記憶手段6に記憶される。実際に、モータ1を動かす時には、基準指令値記憶手段4に記憶されている基準指令値r(τ)と時間スケール関数記憶手段6に記憶されている時間スケール関数κ(τ)を用いて、指令値算出手段5により指令値r(t)が生成される。生成された指令値r(t)はモータ制御手段3に入力され、指令値に追従するようにモータ1が制御される。
【0057】
このようにして生成された指令値r(t)を、図16に示す実モデルに与えた時の動きをシミュレーションした結果を図4に示す。シミュレーションの条件は、図15に示した従来のモータ制御装置によるシミュレーションと全く同じである。図4より、移動時間は基準指令値の2秒から1.5秒に短縮されている。従来方法による1.2秒よりも長くなってはいるが、モータトルク、追従誤差ともに許容値以下に納まっている。
【0058】
図5は、予測モデル8から出力される予測値と実システムでの計測値とを比較して示している。図5(a)はモータトルク、図5(b)は指令値への追従誤差であり、破線は計測値、実線は予測値である。指令値に高周波成分が含まれておらず、モータ1の動作周波数領域が低周波領域に制限されていることから両者はよく一致している。
【0059】
尚、上記実施の形態2では、第二の評価関数24としてモータトルクの高周波成分の二乗積分を計算していたが、第二の評価関数24はモータトルクの高周波成分の大きさを評価するものであれば、上記に限らない。例えば、モータトルクの高周波成分の絶対値の積分や四乗の積分、あるいは、絶対値の最大値でも同様に作用する。
【0060】
実施の形態3.
図6は本発明の実施の形態3によるモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図6において、図2と同一部分には同一の記号を付している。また、符号31は第1番目の被制約変数であるモータトルクに対応する重み関数を記憶する第一の重み関数記憶手段、32は第2番目の被制約変数である追従誤差に対応する重み関数を記憶する第二の重み関数記憶手段、27は第一の予測モデル8により予測されるモータトルクの予測値と前記モータトルクの許容値11とを比較する第一の比較手段、28は第一の予測モデル8により予測される追従誤差の予測値と前記追従誤差の許容値12とを比較する第二の比較手段、29は前記第一の比較手段27の比較結果に基づいて前記第一の重み関数記憶手段31に記憶された重み関数を修正する第一の重み関数修正手段、30は前記第二の比較手段28の比較結果に基づいて前記第二の重み関数記憶手段32に記憶された重み関数を修正する第二の重み関数修正手段である。
【0061】
上記実施の形態2と同様に、図11の近似モデルの状態方程式を、
dx(t)/dt=A(x(t))+B(x(t))・r(t) (14)
第一の予測モデルから出力されるモータトルクu(t)、追従誤差e(t)を、
u(t)=Cu・x(t)+Du・r(t) (15)
e(t)=Ce・x(t)+De・r(t) (16)
また、第二の予測モデルに含まれるハイパスフィルタの状態方程式を、
dxf(t)/dt=Af・xf(t)+Bf・u(t) (17)
j(t)=Cf・xf(t)+Df・u(t) (18)
制約条件を、
−umax ≦ u(t) ≦ umax (19)
−emax ≦ e(t) ≦ emax (20)
とする。
【0062】
これらの式を前記式(5)を用いて仮想時間τ領域における式に変換すると、
dx(τ)/dτ=[A(x(τ))+B(x(τ))・r(τ)]・κ(τ) (21)
dxf(τ)/dτ=[Af・xf(τ)+Bf・u(τ)]・κ(τ) (22)
u(τ)=Cu・x(τ)+Du・r(τ) (23)
e(τ)=Ce・x(τ)+De・r(τ) (24)
j(τ)=Cf・xf(τ)+Df・u(τ) (25)
−umax ≦ u(τ) ≦ umax (26)
−emax ≦ e(τ) ≦ emax (27)
が得られる。
【0063】
最適化手段では、上式(21)〜(25)で表される系に対して、評価関数
を最小とする時間スケール関数κ(τ)を求める。
ここで、W1(τ)、W2(τ)は、それぞれ第一、第二の重み関数記憶手段31、32に記憶された重み関数である。
【0064】
ところが、式(21)、式(22)の状態方程式は、状態変数x(τ)、xf(τ)と時間スケール関数κ(τ)に関して非線形となっており、このようなκ(τ)を求めるには、非線形最適化問題を解く必要があり、複雑な計算を要する。そこで、式(21)、式(22)を適当な時間スケール関数κ0(τ)の近傍で線形近似し、近似した線形系に対して式(28)の評価関数を最小とする時間スケール関数κ(τ)を求める。線形系に対して、式(28)の二次形式評価関数を最小とするκ(τ)は、最適制御理論に基づいて、行列リカッチ方程式を解くことにより容易に求めることができる。
【0065】
但し、これだけでは式(28)の評価関数が最小となるだけであり、被制約変数が許容値以下になる保証はない。そこで、被制約変数が許容値以下になるように、前記第一、第二の重み関数修正手段29、30により重み関数W1(τ)、W2(τ)の値を修正する。被制約変数が許容値より大きくなっている時刻では、重み関数の値を大きくすることにより、対応する被制約変数の値を小さくすることができる。
【0066】
以上の方法により時間スケール関数κ(τ)を算出するアルゴリズムを図7にフローチャートで示す。
【0067】
図7において、まず、ステップ(イ)では、被制約変数であるモータトルクu(τ)と指令値への追従誤差e(τ)の許容値umaxとemaxをモータの仕様や作業上の要求に基づいて設定する。
【0068】
ステップ(ロ)では、近似モデルの状態方程式を仮想時間領域の状態方程式に変換する。この変換は式(21)〜式(27)の通りである。
【0069】
ステップ(ハ)では、時間スケール関数κ(τ)の初期値として、κ0(τ)=1を代入する。
【0070】
ステップ(ニ)では、ステップ(ロ)で求めた仮想時間領域の状態方程式をκ0(τ)の近傍で線形近似する。
【0071】
ステップ(ホ)では、ステップ(ロ)で求めた線形系に対して、評価関数
を最小にするようなΔκ(τ)を計算する。但し、
κ(τ)=κ0(τ)+Δκ(τ)
である。
【0072】
このような、Δκ(τ)は最適制御理論を用いて、行列リカッチ方程式を解くことにより、容易に求めることができる。
【0073】
ステップ(ヘ)では、繰り返し計算の終了判定を行う。すなわち、判定条件として、
(1) すべての制約条件が満足されており、かつ、Δκ(τ)のノルムが十分小さい。
(2) 繰り返し計算の回数がある値以上である。
を用いて、上記(1)及び(2)の何れかが成立すれば、κ0(τ)を最適なκ(τ)として繰り返し計算を終了する。そうでなければ、ステップ(ト)に進む。
【0074】
ステップ(ト)では、被制約変数が許容値以下になるように、以下のように、重み関数W1(τ)、W2(τ)を修正する。
・W1(τ)・u(τ) / umax を新たなW1(τ)とする。
・W2(τ)・e(τ) / emax を新たなW2(τ)とする。
すなわち、被制約変数がその許容値より大きくなる時刻では、重み関数を大きくすることにより被制約変数の大きさを抑える。逆に、被制約変数の値がその許容値より小さい時刻では、重み関数を小さく修正する。
【0075】
ステップ(チ)では、κ0(τ)+Δκ(τ)を新たなκ0(τ)とし、ステップ(二)に戻り、繰り返し計算を行う。
【0076】
以上のアルゴリズムでは、ステップ(ト)で重み関数の修正を行っており、被制約変数がその許容値を越える時刻では、重み関数を大きくし、許容値を越えない時刻では重み関数を小さく修正している。これにより、許容値を越えている時刻では、重みが大きくなるため、対応する被制約変数の値が小さくなる。一方、許容値を越えていない時刻では、重み関数の値は零に近くなるため、実質的に時間スケール関数とトルク高周波成分の二乗和、すなわち、
κ(τ)・κ(τ)+W0・j(τ)・j(τ)
を小さくする時間スケール関数を求めることができる。
【0077】
つまり、以上の繰り返し計算アルゴリズムにより、各被制約変数がその許容値以下となり、同時に所望の動作に要する時間とモータトルクの高周波成分の両方を出来るだけ小さくする時間スケール関数を求めることができる。
【0078】
また、上記のアルゴリズムでは、線形系に対する二次評価関数を最小にする最適化問題を繰り返して解くこりにより、非線形系に対する制約付き最適化問題を解いている。一般に、非線形系に対する制約付き最適化問題は計算が複雑で、長い計算時間を必要とするが、線形系に対する二次評価関数最小化問題は比較的容易に解くことができる。上記アルゴリズムは、ステップ(ニ)で線形近似した系に対してステップ(ホ)で最適化問題を解いており、比較的簡単な計算を繰り返すことにより、複雑な最適化問題を解くことができる。
【0079】
実施の形態4.
複数のモータを同期動作させる場合の最適な時間スケール関数を求めるための計算量は、モータ軸数の二乗に比例して増加する。例えば、実施の形態3の図7に示したフローチャートのステップ(ホ)で解く行列リカッチ方程式の次数は(全モータ制御系の次数)×(全モータ制御系の次数)となる。全モータ制御系の次数は、(一つのモータ制御系の次数)×(モータ軸数)となることから、行列リカッチ方程式を解くための計算量は、モータ軸数の二乗に比例して増大することになる。
【0080】
図8は本発明の実施の形態4によるモータ制御装置の構成を示すブロック図であり、二つのモータの同期制御が必要となる機械系に適用した場合の一実施例を示す。
【0081】
図8において、符号1−1は第一のモータ、1−2は第二のモータであり、図2と同一部分には同一の記号を付している。但し、各符号に付した「−1」は第一のモータに関するものであり、「−2」は第二のモータに関するものである。また、34は予測モデルであり、図2における第一の予測モデル8と第二の予測モデル23を合わせたもの、35は評価関数で、図2における第一の評価関数25と第二の評価関数24とを合わせたものである。さらに、36は時間スケール関数合成手段である。
【0082】
第一のモータ1−1に対する最適化手段26−1では、実施の形態2と同様の方法により、時間スケール関数κ1(τ)を算出し、第二のモータ1−2に対する最適化手段26−2でも同様に時間スケール関数κ2(τ)を算出する。このようにして算出された時間スケール関数は、時間スケール関数合成手段36に入力され、入力されたκ1(τ)、κ2(τ)により、下式のように、新たな時間スケール関数κ(τ)が生成される。
【0083】
κ(τ)=max{κ1(τ),κ2(τ)}
このようにして生成された時間スケール関数は、第一、第二のモータに対する時間スケール関数記憶手段6−1、6−2に入力され、記憶される。
【0084】
これにより、同じ時間スケール関数を用いてそれぞれの基準指令値に対して時間軸の伸縮を行うので、2つのモータの同期動作を実現でき、且つ、両方のモータに対する制約条件を満足する範囲内で動作の高速化を実現することができる。また、これに必要な計算量はモータ軸数に比例して増加するだけであり、少ない計算量で時間スケール関数を求めることができる。
【0085】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるモータ制御装置は次のような優れた効果を奏するものである。
【0086】
請求項1又は請求項2に係るモータ制御装置によれば、実施の形態1に示したように、実際にモータを動かして計測した被制約変数を用いて許容値を修正しているので、モデル化誤差があったとしても、制約条件を満足しながら動作を高速化する指令値を生成できる効果がある。
【0087】
また、請求項3乃至請求項7の何れかに係るモータ制御装置によれば、実施の形態2に示したように、モータ制御系の特性が不正確な周波数領域の周波数成分を含まない指令値を生成することができ、特性が正確には分かっていない機械や剛性が低く振動しやすい機械に対しても、制約条件を満足する高速化指令値を生成できる効果がある。
【0088】
請求項5及び請求項7に係るモータ制御装置によれば、実施の形態3から明らかなように、比較的簡単な計算の繰り返しにより、複雑な最適化問題を解くことが可能となり、短い計算時間で最適な高速化指令値を得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1によるモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態2によるモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 本発明による実システムと近似モデルの周波数特性を比較した図である。
【図4】 図2のモータ制御装置を用いた場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図5】 図2のモータ制御装置による予測値と計測値を比較した図である。
【図6】 本発明の実施の形態3によるモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 本発明による時間スケール関数κ(τ)を算出するアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図8】 本発明の実施の形態4によるモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 従来の指令値生成方法を示すブロック図である。
【図10】 本発明による仮想時間τと時間スケール関数κ(τ)の関係を示す図である。
【図11】 1軸の剛体モータ駆動系を示す模式図である。
【図12】 本発明による基準指令値の波形を示すグラフである。
【図13】 本発明による基準指令値を用いた場合のシミュレーション結果を表す図である。
【図14】 従来方式を剛体系に適用した場合のシミュレーション結果を表す図である。
【図15】 従来方式を振動系に適用した場合のシミュレーション結果を表す図である。
【図16】 1軸の振動しやすいモータ駆動系を示す模式図である。
【図17】 従来方式による予測値と計測値を比較した図である。
【符号の説明】
1 モータ、2 モータによって駆動される機械、3 モータ制御手段、4 基準指令値記憶手段、5 指令値算出手段である、6 時間スケール関数記憶手段、7 モータ制御モデル、8 予測モデル、9 最適化手段、10 指令値生成手段、11 トルク許容値、12 誤差許容値、13 被制約変数計測手段、14 第一の最大値検出手段、15 第二の最大値検出手段、16 第一の比較手段、17 第二の比較手段、18 第一の許容値修正手段、19 第二の許容値修正手段、20 モータトルクの修正許容値、21 追従誤差の修正許容値、22 近似モデル、23 第二の予測モデル、24 第二の評価関数、25 第一の評価関数、26 最適化手段、27 第一の比較手段、28 第二の比較手段、29 第一の重み関数修正手段、30 第二の重み関数修正手段、31 第一の重み関数記憶手段、32 第二の重み関数記憶手段、33 最適化手段、34 予測モデル、35 評価関数、36 時間スケール関数合成手段、43 軸、44 剛性の低い軸、45 慣性負荷。
Claims (7)
- モータトルク、モータ速度、加速度、実効トルク、指令値への追従誤差など、モータの仕様、及びモータを用いて行う作業上の要求から制約が課せられる被制約変数を予め設定された許容値以下に抑えると同時に所望の動作を最短時間で行う指令値を生成し、生成した指令値に追従して動作するようにモータを制御するモータ制御装置において、
前記モータと、該モータによって駆動される機械、及び前記指令値に追従するように前記モータを制御するモータ制御手段からなるモータ制御系をモデル化したモータ制御モデルと、
実際に前記モータを動作させた時の前記被制約変数の値を計測する被制約変数計測手段と、
計測した前記被制約変数の絶対値の最大値を検出する最大値検出手段と、
前記最大値検出手段の出力と前記許容値とを比較する比較手段と、
前記比較手段での比較結果に基づいて前記被制約変数の許容値を修正する許容値修正手段と、
前記モータ制御モデルを用いて予測される被制約変数の予測値を前記修正された修正許容値以下に抑えると同時に、所望の動作を最短時間で行う指令値を生成して前記モータ制御手段へ出力する指令値生成手段と、
を備えることを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1記載のモータ制御装置において、
(1) 前記指令値生成手段によって生成された指令値によって前記モータを動作させ、
(2) 前記比較手段において、前記最大値検出手段の出力と前記モータの仕様あるいは作業上の要求から決定される本来の許容値とを比較し、
(3) 前記最大値検出手段の出力が前記本来の許容値より大きい場合は、前記許容値修正手段により被制約変数の許容値を小さく修正し、
(4) 修正した修正許容値を用いて前記指令値生成手段により指令値を再度生成し、
(5) 被制約変数が前記本来の許容値よりも小さくなるまで、上記(1)〜(4)を繰り返すことを特徴とするモータ制御装置。 - モータトルク、モータ速度、加速度、実効トルク、指令値への追従誤差などのモータの仕様、及びモータを用いて行う作業上の要求から制約が課せられる被制約変数を予め設定された許容値以下に抑えると同時に所望の動作を最短時間で行う指令値を生成し、生成した指令値に追従するようにモータを制御するモータ制御装置において、
前記モータと、該モータによって駆動される機械系と、前記指令値に追従するように前記モータを制御するモータ制御手段とからなるモータ制御系の特性が正確に分かっている周波数領域を第一の周波数領域、特性が正確には分かっていない周波数領域を第二の周波数領域とし、前記モータ制御系の前記第一の周波数領域における特性を近似する近似モデルと、
前記近似モデルを用いて前記被制約変数の値を予測する第一の予測モデルと、 前記近似モデルに基づいてモータトルクの前記第二の周波数領域の周波数成分を予測する第二の予測モデルと、
前記モータ制御手段に与える指令値を生成する指令値生成手段と、
を備え、
前記所望の動作を行うのに要する動作時間の長さを評価する第一の評価関数と、前記第二の予測モデルの出力の大きさを評価する第二の評価関数とを設定し、 前記指令値生成手段は、前記第一の予測モデルにより予測される被制約変数の予測値を上記設定された許容値以下に抑えると同時に、前記第一の評価関数の値と前記第二の評価関数の値の和が最小となるような指令値を生成することを特徴とするモータ制御装置。 - モータトルク、モータ速度、加速度、実効トルク、指令値への追従誤差などのモータの仕様、及び上記モータを用いて行う作業上の要求から制約が課せられる被制約変数を予め設定された許容値以下に抑えると同時に所望の動作を最短時間で行う指令値を生成し、生成された指令値に追従するようにモータを制御するモータ制御装置において、
仮想的な時間τと実際の時間tとをdt/dτ=κ(τ)で関係付ける時間スケール関数κ(τ)を記憶する時間スケール関数記憶手段と、
前記仮想時間τの関数として与えられる基準指令値r(τ)を記憶する基準指令値記憶手段と、
前記基準指令値r(τ)と前記時間スケール関数κ(τ)とから実際の時間における指令値r(t)を算出する指令値算出手段と、
前記モータと、該モータによって駆動される機械系、及び前記指令値に追従するように前記モータを制御するモータ制御手段からなるモータ制御系の特性が正確に分かっている周波数領域を第一の周波数領域、特性が正確には分かっていない周波数領域を第二の周波数領域とし、前記モータ制御系の、前記第一の周波数領域における特性を近似する近似モデルと、
前記近似モデルに基づいて前記被制約変数の値を予測する第一の予測モデルと、
前記近似モデルに基づいてモータトルクの前記第二の周波数領域の周波数成分を予測する第二の予測モデルと、
前記第一及び第二の予測モデルに基づいて前記時間スケール関数κ(τ)を算出する最適化手段と、
を備え、
前記所望の動作を行うのに要する動作時間の長さを評価する第一の評価関数と、前記第二の予測モデルの出力の大きさを評価する第二の評価関数とを設定し、
前記最適化手段は、前記第一の予測モデルにより予測される被制約変数の予測値を上記設定された許容値以下に抑えると同時に、前記第一の評価関数の値と前記第二の評価関数の値の和が最小となるような時間スケール関数κ(τ)を生成することを特徴とするモータ制御装置。 - モータトルク、モータ速度、加速度、実効トルク、指令値への追従誤差などのモータの仕様、及び上記モータを用いて行う作業上の要求から制約が課せられる被制約変数を予め設定された許容値以下に抑えると同時に所望の動作を最短時間で行う指令値を生成し、生成された指令値に追従するようにモータを制御するモータ制御装置において、
仮想的な時間τと実際の時間tとをdt/dτ=κ(τ)で関係付ける時間スケール関数κ(τ)を記憶する時間スケール関数記憶手段と、
前記仮想時間τの関数として与えられる基準指令値r(τ)を記憶する基準指令値記憶手段と、
前記基準指令値r(τ)と前記時間スケール関数κ(τ)とから実際の時間における指令値r(t)を算出する指令値算出手段と、
前記モータと、該モータによって駆動される機械系、及び前記指令値に追従するように前記モータを制御するモータ制御手段からなるモータ制御系の特性が正確に分かっている周波数領域を第一の周波数領域、特性が正確には分かっていない周波数領域を第二の周波数領域とし、前記モータ制御系の、前記第一の周波数領域における特性を近似する近似モデルと、
前記近似モデルに基づいて前記被制約変数の値を予測する第一の予測モデルと、
前記近似モデルに基づいてモータトルクの前記第二の周波数領域の周波数成分を予測する第二の予測モデルと、
各被制約変数に対応した重み関数を記憶する重み関数記憶手段と、
前記第一の予測モデルにより予測される被制約変数の値と前記被制約変数の許容値とを比較する比較手段と、
前記比較手段の結果に基づいて、前記重み関数記憶手段に記憶された重み関数を修正する重み関数修正手段と、
前記第一及び第二の予測モデルの出力と前記重み関数記憶手段に記憶された重み関数の値とに基づいて、前記時間スケール関数κ(τ)を算出する最適化手段と、
を備えることを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項5記載のモータ制御装置において、
前記最適化手段は、前記第一の予測モデルから出力される各被制約変数の二乗に前記重み関数記憶手段に記憶された重み関数の値を乗じた値と、前記第二の予測モデルから出力される予測値の二乗の定数倍と、前記時間スケール関数の二乗との和をモータの動作開始時刻から動作終了時刻まで、前記仮想時間領域で積分した値が最小になるような前記時間スケール関数を算出し、
前記重み関数修正手段は、前記予測モデルにより予測される被制約変数がその許容値よりも大きい時刻では、その被制約変数に対応する重み関数の値を増加させ、逆に、被制約変数の予測値がその許容値より小さい場合には、対応する重み関数を負にならない範囲で減少させるように重み関数を修正し、
前記最適化手段は、上記のように修正された重み関数を用いて、前記時間スケール関数を算出することを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項3乃至請求項6の何れかに記載のモータ制御装置において、
前記モータで駆動される機械系の概略の固有振動数以下の周波数領域を前記第一の周波数領域とし、前記機械系の概略の固有振動数以上の周波数領域を前記第二の周波数領域とすることを特徴とするモータ制御装置。
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