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JP3899255B2 - 建物 - Google Patents

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JP3899255B2
JP3899255B2 JP2001374945A JP2001374945A JP3899255B2 JP 3899255 B2 JP3899255 B2 JP 3899255B2 JP 2001374945 A JP2001374945 A JP 2001374945A JP 2001374945 A JP2001374945 A JP 2001374945A JP 3899255 B2 JP3899255 B2 JP 3899255B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然換気を行うことができる建物に関する。
【0002】
【背景技術】
近年、空調機器の発達に伴い、空調機器を利用して冷暖房を行うようになっている。そのため、住宅等の建物においては、空調効果を高めるために、屋内外の空気の出入りを遮断し、室内の熱が屋外に漏れないようにし、建物の内部の空調におけるエネルギー損失を少なくするために、室内の気密性および断熱性を高くした高気密・高断熱建物が利用されている。
【0003】
このような高気密・高断熱建物では、屋内外の空気の出入りを遮断しているため、当該建物の換気を十分に行う必要がある。
そこで、高気密・高断熱建物の換気を行うために、当該建物内における居室等の仕切られた複数の空間をまとめて換気するセントラル換気装置が利用されている(特開平11−344253号公報参照)。
しかし、このような換気装置を用いると換気装置の設置にコストがかかる上、多くのエネルギーを消費するため、特に夏においては、換気装置を用いず自然換気を行うことも望まれている。
ところで、従来の自然換気は各部屋の窓やドアをあけて建物内に外気を導入し、建物内部の空気と入れ換えて行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、各部屋の窓やドアを開けただけでは、暖かい空気は各部屋の天井付近に溜まってしまうという問題があった。また、風が吹き付ける方向に面して窓やドアが設けられているとは限らないので換気効率を高めることが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、自然換気を効率よく行うことができる建物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明は以下の構成を採用して前記目的を達成しようとするものである。
請求項1記載の発明は、外気を室内に取り入れる流入口が形成された建物1であって、上階部分と下階部分を備えて構成されており、当該上階部分と下階部分のそれぞれの階に、前記流入口150A,170A,150B,170B,270A,300Aと、複数の部屋を通り前記流入口から取り入れられた外気が通る通路と、この通路中の天井の一部に前記通路の他の部分の天井よりも上方に突出して、天井位置が高く形成された換気用天井135,255と、前記流入口から流入されて、前記換気用天井に溜まった空気を排出する排気口250B,252とを有し、前記流入口は、所定の季節に風が最も頻繁に吹く方向に面して設けられていることを特徴とする。
【0007】
ここで、流入口とは、屋外に面した部屋等に設けられ、外気を直接取り込むことができる開口を意味し、通常は建物の外壁に設けられた窓やドアで構成される。
排気口は、換気用天井に溜まった空気を屋外へ直接排出する窓等の開口でもよく、小屋裏等の非居室空間に排出するための開口でもよい。後者の開口から排出された空気は非居室空間を介して屋外へ排出される。
また、風が最も頻繁に吹く方向に面して流入口を設けるとは、風が吹く方向に直交した面に流入口を設ける場合のみならず、建物の角に向かって風が吹き付ける場合にはその角を構成する二面のうち、一方または双方に流入口を設けることをいう。
【0008】
この構成の発明によれば、建物には外気を取り入れる流入口及び排気口が設けられているため、建物内部を外気が通り、換気装置を用いずに建物内部の自然換気を行うことができ、省エネルギーを図ることができる。また、外気が通る通路中の天井の一部に他の部分の天井よりも天井位置が高く形成された換気用天井が形成されているため、換気用天井付近にたまる空気も、排気口から排気することができる。従って、建物内部の空気の流れがよくなり、より効率的に自然換気を行うことができる。また、換気用天井の下方の居住空間には暖かい空気は溜まらず、居住空間の快適化を図ることができる。
さらに、流入口は、所定の季節、例えば、夏の最も風が頻繁に吹く方向に面して設けられているため、効率よく建物内に外気を取り入れることができる。
また、外気の通路は複数の部屋を通って形成されているため、外気を取り入れにくい部屋があっても、その部屋を通るように外気の通路を形成することでその部屋の換気が可能となる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の建物において、前記流入口には縦軸回転窓150A,170Aが取り付けられていることを特徴とする。
この構成の本発明では、流入口に縦軸回転窓が設けられており、風向きにあわせて回転窓の開口角度を調節することで、より効率よく外気を建物内部に取り入れることができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の建物において、前記流入口150B,170Bは所定の季節に風が最も頻繁に吹く方向に面して設けられた部屋15,17の外壁の下部に設けられており、前記流入口から流入された外気は、前記部屋の天井近傍から排出されて他の部屋へ流れることを特徴とする。
部屋の外壁の下部に流入口が形成されているため、部屋の下方から外気を取り入れ、天井近傍から排出させることができる。従って、上昇流により室内全体を換気することができる。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れかに記載の建物において、前記換気用天井の床面からの高さ寸法は、居住者の身長よりも高いことを特徴とする。
居住者の身長よりも高い位置に換気用天井が形成されていれば、換気用天井に集められる暖かい空気を居住者が感じることが無く、居住空間を快適なものとすることができる。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1から4の何れかに記載の建物において、前記換気用天井が設けられた部屋25には、換気用天井255とこの換気用天井よりも低い位置に形成された天井とが設けられ、前記換気用天井を支持する壁の換気用天井の下方で、かつ前記天井の高さ位置以下には梁9が掛け渡されていることを特徴とする。
換気用天井を支持する壁に梁を設けることで、換気用天井の支持強度を高めることができる。
また、換気用天井が設けられた部屋の換気用天井よりも低い位置に形成されている天井の高さを低くし、この部屋を蔵等とした場合、前記天井の下方は居室として取り扱われず、建物の床面積に算入されない。しかし、換気用天井は天井高さが高いため、換気用天井の下方は通常の居室として取り扱われ床面積に算入されてしまうことがある。これに対し、本願では、換気用天井の下方に梁を設けており、天井高はこの梁の高さを基準にして計算されることとなるので、換気用天井の下方も、建物の床面積には算入されないこととなる。従って、決められている容積率を最大限に生かして建物を構成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態の建物1が示されている。この建物1は基礎2の上に構築された二階建ての建物本体3と、この建物本体3の上部に設けられた屋根4とを備えて構成される。
【0014】
図2には、建物本体3の一階部分の間取りが示されている。
図面手前(南側)の右側(東側)にはメインダイニング15が設けられており、その北側にはユーティリティールーム16が設けられている。さらにこのユーティリティールーム16の北側には、キッチン17が設置されている。
メインダイニング15とユーティリティールーム16の西側で、一階部分中央(図面中央部分)にはリビング13が設置されている。リビング13の南側にはサンルーム14が、北側にはキッチン17と連通したホール12B及び二階部分につながる階段18が設けられている。
また、リビング13の西側はホール12Aを挟んで玄関10およびオフィス11となっている。
【0015】
さらに、図3及び図4をも参照して説明すると、メインダイニング15の南側の外壁には窓150が取り付けられており、東側の外壁には外気の流入口となる縦軸回転窓150Aが設けられている。メインダイニング15の東側の外壁の下部、すなわち、縦軸回転窓150Aの下方には外気の流入口となる地窓150Bが設けられている。
【0016】
キッチン17の北側の壁に窓170が取り付けられており、東側の外壁には外気の流入口としての役割を果たす縦軸回転窓170Aが取り付けられている。キッチン17の東側の外壁の下部、すなわち、縦軸回転窓170Aの下方には、外気の流入口となる地窓170Bが設けられている。
建物本体3には夏に東側から最も風が頻繁に吹きつけるため、外気の流入口である縦軸回転窓150A,170A、地窓150B,170Bは最も風が頻繁に吹きつける方向に面して設けられていることとなる。
【0017】
リビング13は一階部分の中央に設けられており、一階部分の部屋のなかで他の部屋に接する面積が最も大きい部屋となっている。
リビング13の天井の一部は一階部分の他の部屋等の天井に比べ上方に突出し、天井位置が高く形成された換気用天井135となっている。この換気用天井135の床面からの高さ寸法は、具体的には3.7mとなっている。
また、換気用天井135を支持する壁の上部で、二階部分のバルコニー24Bに隣接して設けられた蔵25の壁の下部には、窓250Bが設けられている。この窓250Bは開閉可能なガラス窓で、リビング13の換気用天井135付近に溜まった暖かい外気の排出口となる。
リビング13の天井の一部が換気用天井135となっており、リビング13の上方に位置する部屋の床の高さは、二階部分の他の部屋の床よりも高くなっているため、荷物等を収納する蔵25とされている。
【0018】
一階部分に取り込まれた外気の通路について説明する。この外気の通路は複数の部屋を通って形成されており、通路中の各部屋には空気の流入口または排出口となるドアや回転窓が設けられている。具体的には以下の通りである。
キッチン17の縦軸回転窓170Aまたは地窓170Bから取り込まれた外気はホール12Bへ流れる。この空気の一部はホール12Bとリビング13との間に設けられたドア121Bあるいはその上部であって天井近傍に取り付けられた回転窓6を通り、リビング13へ流れる。
従って、第一の通路はキッチン17、ホール12B、リビング13を通る通路となる。
【0019】
また、残りの空気は、ホール12Bとオフィス11との間に設けられたドア122またその上部に設けられた回転窓6を介してオフィス11へ抜ける。このオフィス11へ抜けた空気はオフィス11と玄関10との間のドア111あるいはその上部の回転窓6を通って玄関10へ流れる。さらに、この玄関10へ流れた空気はホール12Aへ抜け、ホール12Aとリビング13との間に設けられたドア121Aあるいは、その上部の回転窓6を通り、リビング13へ流れる。
従って、第二の通路は、キッチン17、ホール12B、オフィス11、玄関10、ホール12A、リビング13を通る通路となる。
【0020】
一方、メインダイニング15の縦軸回転窓150Aまたは地窓150Bから取り込まれた外気はメインダイニング15とリビング13との間のドア151あるいはその上部であって天井近傍に設けられた回転窓6を通り、リビング13へ流れる。
従って、第三の通路はメインダイニング15とリビング13とを通る通路となる。
リビング13に溜まった空気はリビング13の換気用天井135付近に集まり、窓250Bを開いておけば、窓250Bから排出される。
【0021】
図5には建物本体3の二階部分の間取りが示されている。
図面手前(南側)の右側(東側)には個室27が設けられており、その北側は前室28Bおよび洗面所29となっている。この前室28Bおよび洗面所29の北側にはセールスオフィス30が設けられている。
個室27及び前室28Bに隣接し、リビング13の上方に当たる部分には蔵25が設けられ、この蔵25の北側はライブラリーホール26、西側はメインベッドルーム20及び前室28Aとなっている。ライブラリーホール26は前室28A,28Bと連通している。また、蔵25は前室28A、28Bから入ることができるようになっている。
ライブラリーホール26の北側には一階からつながる階段18が形成されている。
【0022】
蔵25及びメインベッドルーム20に南側にはバルコニー24Bが取り付けられている。メインベッドルーム20には、バルコニー24Bへつながり、バルコニー24Bへの出入りに使用される窓200が形成されている。
前室28Aの西側でメインベッドルーム20の北側に位置する部屋はパウダールーム21となっており、このパウダールーム21の北側はバルコニー24Aが取り付けられた浴室兼サニタリールーム22となっている。
【0023】
一階部分と同様、図3及び図4をも参照して説明すると、個室27の南側の外壁には窓270が設けられており、東側の外壁には外気を取り入れるための流入口としての窓270Aが設けられている。また、個室27の天井の一部は吹抜けになっており、この吹抜けの上部の屋根4にはトップライト40が取り付けられている。
セールスオフィス30の北側の外壁には窓300が設けられており、東側の外壁には外気の流入口として窓300Aが設けられている。
前述したように建物本体3の東側の壁には夏に最も風が頻繁に吹きつけるため、窓300A、窓270Aは最も風が頻繁に吹きつける方向に面して設けられていることとなる。
【0024】
蔵25にはバルコニー24Bに面して窓250Aが取り付けられている。
蔵25の天井と屋根4との隙間には小屋裏5が形成されており、蔵25の天井のうちライブラリーホール26側の天井は換気用天井255となっている。この換気用天井255の蔵25の床面からの高さ寸法は居住者の身長よりも高い寸法となっており、具体的には190cm程度となっている。
換気用天井255の下方であって、換気用天井255を支持する壁には、3本の梁9が掛け渡されている。この梁9は蔵25の換気用天井255以外の部分の天井と同じ高さ位置、具体的には蔵25の床面から140cm程度の高さ位置に取り付けられている。
また、換気用天井255を支持する壁の上端部には、小屋裏5と連通する排気口252が設けられている。屋根4の排気口252の上方部分には、屋根4から上方へ突出し、小屋裏5と連通して、排気口252から排気された空気を屋外へ排気するための排気塔8が設けられている。
【0025】
排気塔8は、小屋裏5と連通した筒状の排気塔本体80と、小屋裏5からの空気が排気される排気塔本体80の開口及び排気塔本体80の側面を覆うように設けられるカバー81とを有している。このカバー81は底面が開口した箱形形状であり、排気塔本体80の開口及び側面とカバー81との間には空気が排出される隙間が形成されている。また、カバー81の側面には、その周方向に沿って複数本の通気孔812が形成されており、各通気孔812の上部には下向きのルーバ813が設けられている。排気口252から排気された空気は、排気塔本体80を通り、排気塔本体80の開口及び側面とカバー81との間の隙間を通って通気孔812から排出される。
【0026】
二階部分の外気の通路について説明する。この外気の通路は一階部分の通路と同様、複数の部屋を通って形成されており、通路中の各部屋には空気の流入口または排出口となるドアや回転窓が設けられている。具体的には以下の通りである。
個室27の外気の流入口である窓270Aから取り込まれた外気は、前室28Bとの間に設けられたドア271あるいは、その上部に取り付けられた回転窓6を通り、前室28Bあるいはライブラリーホール26へ抜ける。前室28Bに流れた空気は、前室28Bから蔵25へ入る入り口を通って、蔵25に溜まる。
従って、第四の通路は個室27、前室28B、蔵25を通る通路となる。
【0027】
一方、セールスオフィス30の窓300Aから取り込まれた外気は、セールスオフィス30と前室28Bとの間のドア301あるいは、その上部に設けられている回転窓(図示略)を通り、前室28と連通するライブラリーホール26へ抜ける。
このようにして個室27またはセールスオフィス30からライブラリーホール26へ抜けた空気の一部はライブラリーホール26と蔵25とを隔てる壁の上部の回転窓6を介して、蔵25へ流れる。
従って、第五の通路は個室27またはセールスオフィス30、前室28、ライブラリーホール26、蔵25を通る通路となる。
【0028】
ライブラリーホール26へ抜けた残りの空気はライブラリーホール26と浴室兼サニタリールーム22との間に設けられたドア261あるいはその上部の回転窓6を介して浴室兼サニタリールーム22へ流れる。さらに、この空気は浴室兼サニタリールーム22とパウダールーム21との間のドア221あるいはその上部の回転窓(図示略)を介してパウダールーム21へ流れる。
この空気はパウダールーム21とメインベッドルーム20との間に設けられたドア211あるいはその上部の回転窓6を通って、メインベッドルーム20へ流れ、さらに、メインベッドルーム20と前室28Aとの間のドア201あるいはその上部の回転窓6を通り、前室28Aへ抜ける。前室28Aに流れた空気は、前室28Aから蔵25へ入る入り口を通って、蔵25に流入される。
従って、第六の通路は、個室27またはセールスオフィス30、前室28、ライブラリーホール26、浴室兼サニタリールーム22、パウダールーム21、メインベッドルーム20、前室28A、蔵25を通る通路となる。
【0029】
このようにして蔵25に流入された空気のうち、暖かい空気は換気用天井255付近に集まり、小屋裏5と連通する排気口252から排出される。排気口252から排出された空気は小屋裏5を通り、排気塔8から屋外へ排気される。
【0030】
従って、本実施の形態によれば、以下の効果を奏することができる。
建物1には外気を取り入れる流入口である縦軸回転窓150A等や地窓150B等及び排気口である窓250B等が設けられているため、建物1内部を外気が通り、換気装置を用いず、昔ながらの換気方法により建物1内部の自然換気を行うことができ、省エネルギーを図ることができる。また、この自然換気により建物1内部の除湿も行うことができる。
【0031】
流入口である縦軸回転窓150A等や地窓150B等は、所定の季節、具体的には夏の風が最も頻繁に吹く方向に面した部屋の外壁に設けられているため、効率よく建物1内に外気を取り入れることができる。
さらに流入口には縦軸回転窓150A、170Aが設けられており、風向きにあわせて開口角度を調節することで、より効率よく外気を建物1内部に取り入れることができる。
また、地窓150B、170Bはメインダイニング15やキッチン17の外壁の下部に設けられているため、各部屋の下部から涼風を積極的に取り入れることが可能となり、取り入れられた外気は天井近傍の回転窓6あるいはドア151、121Bを通り、リビング13等へ抜ける。従って、上昇流によりメインダイニング15やキッチン17全体を換気することができる。さらに、この上昇流により、ダイニング15やキッチン17にいる居住者の皮膚蒸散効果を促進することができ、快適な居室空間を形成することができる。
【0032】
さらにリビング13の天井、蔵25の天井の一部は高く形成された換気用天井135、255であり、その近傍には排気口である窓250Bあるいは排気口252が設けられているため、暖かい空気は換気用天井135、255にたまり、窓250Bまたは排気口252から排気される。従って、建物1内部の空気の流れがよくなり、より効率的に自然換気を行うことができる。また、換気用天井135、255の下方の居住空間あるいは作業スペースには暖かい空気は溜まらず、居住空間あるいは作業スペースの快適化を図ることができる。特に、換気用天井135は床面からの高さが3.7mと、居住者の身長よりもかなり高い高さ寸法となっているので、居住者は換気用天井135の輻射を感じることがない。
【0033】
一階部分のリビング13の天井の一部を通路中の他の天井よりも天井高さ位置が高く形成された換気用天井135としたため、その上方に設けられる二階の部屋を蔵25等の収納部として利用すれば、二階の部屋の天井の高さを居住スペースとする場合に比べて高く形成する必要がないため、建物1の高さを高くしないですむ。
【0034】
換気用天井255の下方に梁9を設けたため、換気用天井255を支持する壁の強度を高めることができる。また、梁9の配置される位置を蔵25の換気用天井255以外の天井の高さに合わせることで、外観を良好なものとすることができる。
さらに、換気用天井255の天井高さは190cm程度と高いため、通常、この部分は蔵としてではなく、居室として扱われ床面積に算入されてしまう。これに対し、本実施形態では換気用天井255の下方に梁9を設けており、天井高はこの梁9を基準として計算されることとなるので、梁9の床面からの高さが140cm以下であれば床面積として算入されない。従って、決められている容積率を最大限に生かして建物1を構成することができる。
【0035】
一階部分のリビング13に設けられた排気口は、バルコニー24Bが取り付けられる二階の壁に設けられた窓250Bであるため、メインベッドルーム20からバルコニー24Bへ出て、窓250Bを開閉することができ、特別な開閉手段を必要としないため、窓250Bの構造が簡単になる。
また、換気用天井135に流入された空気は、換気用天井135を支持する壁の上部に設けられている窓250Bから排出されるため、空気を排出するための配管等を設ける必要がなく、施工の煩雑化を防止することができる。
さらに、この窓250Bはガラス窓であるため、リビング13の明かり取りにもなり、リビング13の採光が良好となる。
個室27の天井の一部は吹抜けになっており、この吹抜けの上部の屋根4にはトップライト40が取り付けられており、このトップライト40から太陽光が差し込むため、個室27を明るい部屋とすることができる。
【0036】
二階部分の蔵25に設けられた排気口252は、蔵25の天井と屋根4との間に設けられた小屋裏5へつながっており、排気口252から排出された空気は小屋裏5を通って屋外へ排気されるため、排気のための配管等を設ける必要がなく、施工の煩雑化を防止することができる。また、二階部分の空気は蔵25に設けられた排気口252から排気されるので蔵25内の換気が良好となり、収納物の保存状態を良好に維持できる。
【0037】
また、屋根4には小屋裏5と連通する排気塔8が設けられ、小屋裏5から排気塔8までの高さを十分に確保できるため、優れた煙突効果が得られるようになり、効率よく排気できる。
【0038】
外気が通る通路は複数の部屋を通って形成されており、通路中の部屋にはドアとは別に、その上部に回転窓6が設られており、この回転窓6が各部屋の空気の流入口または排出口としての役割を果たすため、ドアを閉めた状態でも、外気が通る通路を確実に確保することができ、自然換気を行うことができる。
また、外気が通る通路が複数の部屋を通って形成されているため、風が吹かない方向に面しており、換気が行いにくい部屋であっても換気を行うことが可能となる。
【0039】
回転窓6は開閉可能であるため、冷暖房時には部屋を閉め切ることができ、冷暖房の効率を低下させることがない。
排気塔8のカバー81の通気孔812の上部に下向きのルーバ813を設けたため、悪天候の場合、屋外から風雨の建物内部への浸入を防止することができる。
【0040】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では建物1の一階部分のリビング13の天井を換気用天井135とし、窓250Bから外気を排出するものとしたが、他の部屋の天井を換気用天井とし、その天井付近に排出口を設けてもよい。
また、外気の流入口に縦軸回転窓150A,170Aを設けたが、これに限らず、引き違い窓や横軸回転窓を設けてもよい。
【0041】
さらに、前記実施形態では、外気が通る通路は各部屋に設けられたドアとは別に形成された回転窓6を含んで形成されているとしていたが、本発明ではドアをあけて通路を形成してもよい。また、回転窓6を取り付けたが、引き違い窓等の開閉可能な窓を設けてもよく、さらには単に開口を形成しただけとし、窓を取り付けなくてもよい。
【0042】
前記実施形態では、一階部分のリビング13に設けられた排気口は、バルコニー24Bが取り付けられる二階の壁に設けられた窓250Bとしたが、バルコニー24Bが取り付けられる二階の壁に限らず、屋外に面している壁に排気口を設けてもよい。さらには、壁内部に排気用の空間を設け、この空間に連通する排気口を設けることで、壁を利用して排気してもよい
【0043】
蔵25の換気用天井255の下方には梁9を設けたが、梁9は設けられていなくてもよい。このようにすれば蔵25の収納スペースをより大きく確保することができる。
さらに、換気用天井255の蔵25の床面からの高さ寸法は居住者の身長よりも高い寸法としたが、これに限らず、居住者の身長よりも低いものとしてもよい。
また、地窓150B、170Bが設けられたメインダイニング15やキッチン17を上昇流により、換気するものとしたが、外気の通路中の他の部屋も上昇流により換気してもよい。上昇流により、他の部屋全体を換気することが可能となる。
さらに、外気の流入口である縦軸回転窓150A,170A等を夏に最も風が吹き付ける東側の壁に設けたが、秋や春、場合によっては冬に最も風が吹き付ける方向に面した壁に取り付けてもよい。
【0044】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、建物には外気を取り入れる流入口及び排気口が設けられているため、建物内部を外気が通り、換気装置を用いずに建物内部の自然換気を行うことができ、省エネルギーを図ることができる。また、外気が通る通路中の天井の一部に他の部分の天井よりも天井位置が高く形成された換気用天井が形成されているため、換気用天井付近にたまる空気も、排気口から排気することができる。従って、建物内部の空気の流れがよくなり、より効率的に自然換気を行うことができる。また、換気用天井の下方の居住空間には暖かい空気は溜まらず、居住空間の快適化を図ることができる。
さらに、流入口は、所定の季節、例えば、夏の最も風が頻繁に吹く方向に面して設けられているため、効率よく建物内に外気を取り入れることができる。
また、外気の通路は複数の部屋を通って形成されているため、外気を取り入れにくい部屋があっても、その部屋を通るように外気の通路を形成することでその部屋の換気が可能となる。
【0045】
請求項2記載の発明によれば、流入口に縦軸回転窓が設けられており、風向きにあわせて回転窓の開口角度を調節することで、より効率よく外気を建物内部に取り入れることができる。
請求項3記載の発明によれば、部屋の外壁の下部に流入口が形成されているため、部屋の下方から外気を取り入れ、天井近傍から排出させることができる。従って、上昇流により室内全体を換気することができる。
【0046】
請求項4記載の発明によれば、居住者の身長よりも高い位置に換気用天井が形成されていれば、換気用天井に集められる暖かい空気を居住者が感じることが無く、居住空間を快適なものとすることができる。
請求項5記載の発明によれば、換気用天井を支持する壁に梁を設けることで、換気用天井の支持強度を高めることができる。また、換気用天井が設けられた部屋の換気用天井よりも低い位置に形成されている天井の高さを低くし、この部屋を蔵等とした場合、前記天井の下方は居室として取り扱われず、建物の床面積に算入されない。しかし、換気用天井は天井高さが高いため、換気用天井の下方は通常の居室として取り扱われ床面積に算入されてしまうことがある。これに対し、本願では、換気用天井の下方に梁を設けており、天井高はこの梁の高さを基準にして計算されることとなるので、換気用天井の下方も、建物の床面積には算入されないこととなる。従って、決められている容積率を最大限に生かして建物を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる建物を示す斜視図である。
【図2】前記建物の一階部分の間取りを示す平面図である。
【図3】前記建物の断面図である。
【図4】図3とは異なる方向からみた前記建物の断面図である。
【図5】前記建物の二階部分の間取りを示す平面図である。
【符号の説明】
1 建物
9 梁
13 リビング
25 蔵
15 メインダイニング
17 キッチン
150A,170A 縦軸回転窓
150B,170B 地窓
270A,300A 窓
135,255 換気用天井
250B,252 排気口

Claims (5)

  1. 外気を室内に取り入れる流入口が形成された建物であって、
    上階部分と下階部分を備えて構成されており、
    当該上階部分と下階部分のそれぞれの階に、前記流入口と、複数の部屋を通り前記流入口から取り入れられた外気が通る通路と、この通路中の天井の一部に前記通路の他の部分の天井よりも上方に突出して、天井位置が高く形成された換気用天井と、前記流入口から流入されて、前記換気用天井に溜まった空気を排出する排気口とを有し、
    前記流入口は、所定の季節に風が最も頻繁に吹く方向に面して設けられている
    ことを特徴とする建物。
  2. 請求項1記載の建物において、
    前記流入口には縦軸回転窓が取り付けられていることを特徴とする建物。
  3. 請求項1または2に記載の建物において、
    前記流入口は所定の季節に風が最も頻繁に吹く方向に面して設けられた部屋の外壁の下部に設けられており、
    前記流入口から流入された外気は、前記部屋の天井近傍から排出されて他の部屋へ流れることを特徴とする建物。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の建物において、
    前記換気用天井の床面からの高さ寸法は、居住者の身長よりも高いことを特徴とする建物。
  5. 請求項1から4の何れかに記載の建物において、
    前記換気用天井が設けられた部屋には、換気用天井とこの換気用天井よりも低い位置に形成された天井とが設けられ、
    前記換気用天井を支持する壁の換気用天井の下方で、かつ前記天井の高さ位置以下には梁が掛け渡されていることを特徴とする建物。
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