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JP3897149B2 - 固体電解質型燃料電池・スターリングエンジンコンバインドシステム - Google Patents

固体電解質型燃料電池・スターリングエンジンコンバインドシステム Download PDF

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JP3897149B2 JP2001253219A JP2001253219A JP3897149B2 JP 3897149 B2 JP3897149 B2 JP 3897149B2 JP 2001253219 A JP2001253219 A JP 2001253219A JP 2001253219 A JP2001253219 A JP 2001253219A JP 3897149 B2 JP3897149 B2 JP 3897149B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解質型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell)と運転モードのマッチングが比較的簡単で、その廃熱の利用に適したスターリングエンジンとのコンバインドサイクルを実現するところの小型分散規模で高効率なエネルギー変換を行う固体電解質型燃料電池・スターリングエンジンコンバインドシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、分散型コージェネレーション用エネルギー変換システムとしては、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービンエンジンなどがその動力発生機関として利用され、開発が行われており、特に、効率の高い固体電解質型燃料電池との組み合わせにおいては、マイクロガスタービンとの組み合わせが主な対象として研究開発が進んでいる。固体電解質型燃料電池とマイクロガスタービンのコンバインドシステムでは、固体電解質型燃料電池部の圧力を上昇させることが可能で、固体電解質型燃料電池の負荷率を向上できる。さらに、固体電解質型燃料電池の未利用エネルギーをマイクロガスタービン燃焼器において完全燃焼可能であり、100kW程度のシステムで、発電効率65%程度の効率が実現できる可能性がある。
【0003】
一方、本発明の対象としている家庭規模での普及が見込めるkWクラスにおいては、総合効率85%、発電効率20%程度の小型のガスエンジンや発電効率30%の固体高分子型燃料電池(PEFC)が開発されつつあるが、より発電効率の高いシステムの実現が望まれている。このクラスでは、固体電解質型燃料電池の規模は小さくできる反面、コンバインド化するマイクロガスタービンのサイズとの整合性がつかないため、従来のマイクロガスタービンとの組み合わせは難しく、固体電解質型燃料電池とスターリングエンジンコンバイドシステムが考えられている。実開平4-119297に記載されているように、燃料電池の出口側にアフターバーナーが設けられ、このアフターバーナーにより燃料電池から排出された高温ガスをさらに昇温し、スターリングエンジンに供給することでコンバインドシステムの効率向上を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、固体電解質型燃料電池は、非常に高効率である点、固体酸化膜を通過するのが酸化剤である酸素であるため、メタンなどの炭化水素系燃料が利用できる点など、多くのメリットのあるエネルギー変換装置として知られているが、作動温度が高く排ガスの持つエネルギーが大きいため、更なる高効率化のためには他のエネルギー変換機器とのコンバインド化が有効である。現在、最も研究が進められている形は、小型のガスタービンとの組み合わせで、数百kWクラスのフィージビリティースタディーがすでに始められている。
【0005】
一方、家庭規模で必要な発電容量は1KWから数kWクラスであり、このクラスでは、ボトミングとなるタービンの効率が悪くなってしまうため、ガスタービンとのコンバインドではメリットが少なくなり、その実現が難しい。
また、家庭規模の需要は非常に負荷変動が激しいため、それに適用できる発電システムは、急速な起動や部分負荷に対する高い発電効率が要求されている。
【0006】
本発明は、小規模分散型利用において、固体電解質型燃料電池とスターリングエンジンというすでによく知られた技術を組みあわせることによって高い発電効率が得られる点と、固体電解質型燃料電池と燃焼器を一体構造にすることにより熱容量を最小化して急速起動を可能にする点、および部分負荷時の発電効率向上のため、負荷信号により供給する燃料および空気の流量とスターリングエンジンの作動ガス圧を制御して最適作動条件で運転を図ることを目的とする。
実開平4-119297に固体電解質型燃料電池とスターリングエンジンのコンバインドシステムについての記載があるが、本システムでは水中航走体用として、クローズドシステムを採用しているため、酸化剤を空気として一般の家庭用システムとしては、以下のような問題点がある。
第1に燃料と酸化剤の問題で、このシステムでは、純水素と純酸素を供給しなければならない。
次に、固体電解質型燃料電池へ供給される酸化剤(酸素)と燃料(水素)配管に分岐管が設置され、この分岐管がアフターバーナー部へ接続され、燃料電池から排出される高温ガスをさらに昇温するように構成されている。しかし、本文中には本システムの起動、部分負荷運転法が記載されていないため詳細は不明であるが、起動時にはアフターバーナーを起動用バーナーとして作動させた場合、電池部が電池反応開始温度となるまで燃焼による熱を直接電池側へ供給するのではなく、排気ガスと供給燃料・酸化剤との熱交換により加温することになり、電池部に供給された酸素と水素は混合が十分でない場合には、アフターバーナー部で燃焼しないまま循環されることになり、燃焼温度が十分に上昇しないため、運転温度に上昇するまでに長時間を要する、あるいは必要量以上に酸化剤、燃料を供給することにより供給動力が増大するなどの問題点がある。また、実開平4-119297のコンバイドシステムで酸化剤を空気とした場合には、電池運転に必要な酸化剤(酸素)の濃度が空気中の20%に限定されるため、空気流量を燃料流量に比較し、大幅に増大させなければならず、それに伴い空気側の熱容量が増大することから、電池運転温度(800〜900℃)まで加温するためには、さらに、空気供給側にシステム排ガス(850℃程度)のみならず、アフターバーナーからの高温ガスを用いた熱交換による予熱構造を設けなければ困難となる。
また、燃料電池の燃料、酸化剤供給配管からアフターバーナーへ燃料、酸化剤配管を分岐したことにより、アフターバーナーでの燃焼に伴う圧力変動が上流側の燃料電池配管へフィードバックし、流量変動により燃料電池での電池反応が変動し、電気出力に変動を与えるなどの問題が発生しやすくなる。さらに、アフターバーナーで空気を酸化剤として燃料を燃焼させる場合には、安定燃焼を図るため、ある程度以上の高温燃焼ガス領域を生じさせる必要があり、この高温燃焼ガス領域からNOxが発生し、環境上好ましくない成分が排出されるなどの問題点がある。
従来例では部分負荷の運用については記載されていないので、不明であるが、燃料電池とSEの組合わせで部分負荷を高効率に運用するためには両者の特性を考慮した運転状態の制御が必要とされる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
従来例のようにアフターバーナーを別置式とした場合には、起動時に燃焼ガス温度を短時間に高温まで昇温させ、起動時間を短くすること、あるいは燃料、酸化剤供給配管を燃料電池とアフターバーナー間で分岐させることによる変動の相互干渉、アフターバーナーでの燃焼安定性を確保することによるNOxの発生などの問題を解決するため、固体電解質型燃料電池出口部自身を電池から排出される未反応の酸化剤と燃料とを燃焼させる燃焼器とし、直接上流側へ熱を供給すると共に、該燃焼器より燃焼されたガスをスターリングエンジン用加熱器、空気予熱器、改質用水蒸気発生装置を順に通る単一のガス流路に導くようにしたことを特徴とする。
また、本発明の固体電解質型燃料電池・スターリングエンジンコンバインドシステムは、固体電解質型燃料電池とスターリングエンジンとのコンバインドシステムにおいて、電力負荷に応じたシステムの出力を制御する際、固体電解質型燃料電池の温度およびスターリングエンジン用加熱器の温度が一定になるように制御することを特徴とする。
また、本発明の固体電解質型燃料電池・スターリングエンジンコンバインドシステムは、流量・圧力制御装置を設け、該流量・圧力制御装置により空気および燃料の供給量およびスターリングエンジンの作動圧力を制御することにより固体電解質型燃料電池の温度およびスターリングエンジン用加熱器の温度を一定になるように制御することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、固体電解質型燃料電池・スターリングエンジンコンバインドシステムの全体構成の概略を示したものであり、本システムは、ブロワー1、空気予熱器2、固体電解質型燃料電池3、固体電解質型燃料電池一体型燃焼器4、スターリングエンジン用加熱器5、改質用水蒸気発生装置6、燃料流量制御弁7、プレ改質器8、スターリングエンジン9、圧力制御用タンク10、流量・圧力制御装置11,スターリングエンジン用冷却器12、スターリングエンジン用再生器13、発電機14およびインバータ15で構成され、電気を電力負荷16に供給するシステムである。
【0009】
流量・圧力制御装置11には、電力負荷16から信号が入力され、その電力負荷状況に応じてブロワー1および燃料流量制御弁7に制御信号を送るとともにスターリングエンジン9の作動室と圧力制御用タンク10とを接続する配管上に設けられた制御弁20、20に制御信号を送るように構成されている。
【0010】
本システムにおいて、空気は、ブロワー1で圧縮されて送り込まれ、空気予熱器2でシステムの排気ガスから熱を供給され加熱され、固体電解質型燃料電池3のカソード(空気極)17に供給され、固体酸化物膜19によって酸素のみがアノード(燃料極)18側に透過し、燃料と反応して発電される。固体酸化物膜19で発生した熱は排ガスへ供給され、該排ガスは固体電解質型燃料電池3出口に一体化された燃焼器4でアノード18側で反応し切れなかった燃料と混合し、燃焼され、スターリングエンジン用加熱器5に熱を供給する。
スターリングエンジン用加熱器5で熱交換した排ガスは、空気予熱器2で空気に熱を与えた後、改質用水蒸気発生装置6で蒸気を発生する熱源として利用され、大気に排出される。
このように、固体電解質型燃料電池3の出口に燃焼器4を配置して、固体電解質型燃料電池3と燃焼器4の一体化を図ることにより、起動時あるいは急激な熱負荷時における時定数となる熱容量を低減できるとともに、固体電解質型燃料電池3、スターリングエンジン9、空気予熱器2、改質用水蒸気発生装置6を通る単一のガス流路を形成することにより、起動および急激な負荷変動時に速くしかも円滑な応答を実現できる。また、空気予熱器2の下流に改質用水蒸気発生装置6を置き、余剰排ガス熱量を極限まで回収して高い発電効率を維持することができる。
【0011】
本システムにおいて、燃料は、流量制御弁7で流量を調節され、システムへ送り込まれ、 改質用水蒸気発生装置6で発生した水蒸気と混合される。水蒸気と混合された燃料は、 空気予熱器2で加熱され、プレ改質器8によって、その一部が水素に改質され、固体電解質型燃料電池3のアノード18に供給される。
アノード18に供給された水素は、固体電解質型燃料電池3の固体酸化物膜19を透過することによってカソード17側の空気と分離された酸素と反応し、固体電解質型燃料電池3の発電と発熱が行われる。ここで消費される燃料は固体電解質型燃料電池の保護の関係上、8割程度が限界とされている。
固体電解質型燃料電池3によって消費し切れなかった燃料は、カソード17側の一部酸素を取り除かれた空気と混合され、固体電解質型燃料電池一体型燃焼器4によって燃焼され、高温となり、スターリングエンジン用加熱器5に供給される。
【0012】
本システムにおいて、スターリングエンジン9の作動は一般的なもので、スターリングエンジン用加熱器5で熱を供給され作動する。
スターリングエンジン用再生器13においては、作動媒体がスターリングエンジン用加熱器5からスターリングエンジン用再生器13を通過してスターリングエンジン用冷却器12に入る場合、作動媒体からスターリングエンジン用再生器13に熱が移動し、蓄熱され、その逆に作動媒体が流れる場合、スターリングエンジン用冷却器12で冷やされた作動媒体を再び加熱することによって、作動媒体の往復動時の熱のロスを防ぐようになっている。
【0013】
固体電解質型燃料電池3で発電された電気は直流であり、スターリングエンジン9で駆動される発電機14は整流されていない交流であるため、インバータ15を介して電力負荷16に電力を供給する。
【0014】
本システムの作動条件を、燃料はメタン、酸化剤は空気、圧力は大気圧、水素利用率は70%、スチームカーボン比は3:1、空気と燃料の質量流量比は1.5〜3.5、ユニット数は0.8から1.5に、スターリングエンジンの図示効率を30%、スターリングエンジン用再生器の温度効率を、0.7、0.8、0.9に変化させた場合を想定して本システムの性能をシステム解析により評価した結果を図2及び図3に示す。図2は、発電効率を、また、図3は、効率の空気過剰率依存性を示している。
システムの効率は、ユニット数に多少の影響を受けるが、空気と燃料の質量流量比とスターリングエンジン用再生器の温度効率に強く依存し、特に前者は、質量流量比を制御対象として運転することにより、部分負荷時にも高い発電効率を維持できることを示している。例えば、空気と燃料の質量流量比を3に固定した場合、温度効率0.7で効率40%以上、温度効率0.8で効率50%以上、温度効率90%で効率60%に近い効率が実現できることが判る。
燃料を水素にした場合においても、温度効率0.7で効率50%程度、温度効率0.8で効率55%程度、温度効率90%で効率60%程度の効率が実現できる。
【0015】
一般的に、部分負荷時においては燃料および空気の供給量を減少させて出力を低下させるものであるが、このようにすると固体電解質型燃料電池のセル温度が低下して電気抵抗が増大するため、発電効率が低下し、また、それに伴い、スターリングエンジン熱入力量の低下により作動ガス温度が低下し、熱効率も低下することが知られている。
本システムにおいては、〔0014〕に示したように、こうした部分負荷時の発電効率の低下を最小限にするため、電力負荷16の負荷状況からシステムへの空気と燃料の供給量を制御して固体電解質型燃料電池3の温度低下を防ぐとともにスターリングエンジン9の作動圧力制御を行い、その熱入力に対し高い効率が得られる作動ガス圧力条件を得て、全体として発電効率が高い条件で運転する。
すなわち、圧力制御装置11により、ブロワー1と燃料流量制御弁7を調節して、質量流量比を制御することによって固体電解質型燃料電池3のセル温度を一定に保つと共に、スターリングエンジン9の回転数および圧力制御用タンク10のバルブ20を負荷信号に応じて調節することによって、スターリングエンジン用加熱器5からスターリングエンジン9側に送られる熱量を制御し、スターリングエンジン用加熱器5の温度を一定に保持する。このため、部分負荷においても高効率を保つことができるのである。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなとおり、この発明によれば、家庭規模程度の小型分散型電源においても、以下の理由により、高効率な発電が可能となり、エネルギーを有効に利用できる。
(1)固体電解質型燃料電池の出口を燃焼器にして、固体電解質型燃料電池と燃焼器の一体化を図ることにより、起動時あるいは急激な熱負荷時における時定数となる熱容量を低減できるとともに、固体電解質型燃料電池、スターリングエンジン、空気予熱器、改質用水蒸気発生装置を通る単一のガス流路とすることにより、起動および急激な負荷変動時に速くしかも円滑な応答を実現できる。
(2)また、排ガスの空気予熱器の下流に改質用水蒸気発生装置を置き、余剰排ガス熱量を極限まで回収して高い発電効率を維持することができる。
(3)電力負荷の状況から、システムへの空気と燃料の供給量を制御して固体電解質型燃料電池の温度低下を防ぐとともにスターリングエンジンの圧力制御を行うことにより、その熱入力に対し高い効率が得られる作動ガス圧力条件を得て、全体として発電効率が高い条件で運転できる。すなわち、圧力制御回路により、ブロワーと燃料流量制御弁および圧力制御用タンクのバルブをコントロールして、固体電解質型燃料電池の温度とスターリングエンジン用加熱器の温度が一定となるように制御することにより、部分負荷においても高効率を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る固体電解質型燃料電池・スターリングエンジンコンバインドシステムの全体構成の概略を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る固体電解質型燃料電池・スターリングエンジンコンバインドシステムの発電効率を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る固体電解質型燃料電池・スターリングエンジンコンバインドシステムの効率の空気過剰率依存性を示した図である。
【符号の説明】
1 ブロワー
2 空気予熱器
3 固体電解質型燃料電池
4 固体電解質型燃料電池一体型燃焼器
5 スターリングエンジン用加熱器
6 改質用水蒸気発生装置
7 燃料流量制御弁
8 プレ改質器
9 スターリングエンジン
10 圧力制御用タンク
11 流量・圧力制御装置
12 スターリングエンジン用冷却器
13 スターリングエンジン用再生器
14 発電機
15 インバータ
16 電力負荷
17 カソード(空気極)
18 アノード(燃料極)
19 固体酸化物膜
20 制御弁

Claims (1)

  1. 燃料を改質用水蒸気発生装置で発生した水蒸気と混合させ、水蒸気と混合された燃料を空気予熱器で加熱して固体電解質型燃料電池のアノードに供給するとともに、空気を空気予熱器で加熱して固体電解質型燃料電池のカソードに供給するようにした固体電解質型燃料電池と、スターリングエンジンとのコンバインドシステムにおいて、固体電解質型燃料電池出口部自身を、電池から排出される未燃の酸化剤と燃料を燃焼させ、燃焼による熱を直接、固体電解質型燃料電池に伝えることができる燃焼器とし、該燃焼器により燃焼されたガスを、スターリングエンジン用加熱器、前記空気予熱器、前記改質用水蒸気発生装置を順に通る単一のガス流路に導くよう形成し、固体電解質型燃料電池に供給する空気および燃料の供給量ならびにスターリングエンジンの作動ガスの圧力を制御する流量・圧力制御装置を備えることにより固体電解質型燃料電池の温度およびスターリングエンジン用加熱器の温度を一定になるように制御することを特徴とする固体電解質型燃料電池・スターリングエンジンコンバインドシステム。
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