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JP3895190B2 - カットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸およびその製造方法 - Google Patents

カットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸およびその製造方法 Download PDF

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JP3895190B2
JP3895190B2 JP2002038221A JP2002038221A JP3895190B2 JP 3895190 B2 JP3895190 B2 JP 3895190B2 JP 2002038221 A JP2002038221 A JP 2002038221A JP 2002038221 A JP2002038221 A JP 2002038221A JP 3895190 B2 JP3895190 B2 JP 3895190B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カットパイル織編物用として好適なポリエステル複合仮撚加工糸に関するものである。さらに詳しくは、非常にソフトで滑らかな表面タッチの風合、優れた立毛性を有し、かつ異色の粗杢調を発現させることができるカットパイル織編物を得るに適したポリエステル複合仮撚加工糸及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表面に立毛を有しているカットパイル織編物は車輌内装材、椅子張り用として広く使用されている。従来、このパイル糸には紡績糸が使用されていたが、紡績糸故に、パイル長が不揃いでカットパイル面が粗野になるとか、脱毛しやすいとか、製編、製織工程での通過性が悪いとかの問題があり、近年、取扱い性に優れかつパイル糸として優れた特性を有するポリエステルフィラメントを使用することが多くなってきた。
【0003】
しかしながら、紡績糸カットパイルでは容易であったカットパイル表面の繊細な異色染効果(異色の粗杢調)の発現が、ポリエステルフィラメントでは極めて困難であった。例えば特開平10−110365号公報には、酸化チタンを0.5〜2.0重量%含有し、単繊維繊度が0.5〜1.5デニールのポリエステル捲縮加工糸と、単繊維繊度が0.5〜5.0デニールのカチオン可染型ポリエステルフィラメントとの混繊糸を使用した経編パイル編地が提案されている。確かにカチオン可染型ポリエステルフィラメントと酸化チタンの含有量が多いポリエステル捲縮加工糸とを組み合わせた混繊糸を使うと、カットパイル織編物表面に異色染効果を表現することができるものの、発現する杢には多数の短い筋が発生しやすく、望ましい繊細な粗杢調は得られない。さらには、ポリエステルフィラメントからなるカットパイル糸とポリエステル捲縮加工糸からなるカットパイル糸とは不揃いとなりやすいため、パイル織編地の表面が粗野になるという問題もある。
【0004】
このように、紡績糸をパイル糸に用いたカットパイル織編物の粗杢調に匹敵し、しかもカットパイル面がソフトで滑らかな表面タッチを有するものは、未だ提案されていないのが実状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、非常にソフトで滑らかな表面タッチの風合、優れた立毛性を有し、かつ繊細な粗杢調を発現させることができるカットパイル織編物を得るに適したポリエステル複合仮撚加工糸およびそれを安定して製造することができる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを含有するイオン染料可染性ポリエステルからなる未延伸糸条と、酸化チタンを高濃度に含有するイオン染料不染性ポリエステルからなる未延伸糸条とを引き揃え、限定された温度および撚数条件下で延伸同時仮撚加工すれば、非常にソフトで滑らかな表面タッチの風合、優れた立毛性、かつ繊細な粗杢調を発現しうるカットパイル織編物用の複合仮撚加工糸が得られることを見出し本発明に到達した。
【0007】
かくして本発明によれば、
「ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを重量基準で0.5〜3.0重量%含有するイオン染料に可染性のポリエステルからなる糸条群Aと、酸化チタンを重量基準で1.0〜3.5重量%含有するイオン染料に不染性のポリエステルからなる糸条群Bとから構成され、下記(A)〜(C)の条件を満足するカットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸、
(A)捲縮率が1〜4%
(B)総繊度が120〜250dtex
(C)平均単糸繊度が1.0〜5.0dtex」
が提供され、また、
「ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを重量基準で0.5〜3.0重量%含有するイオン染料に可染性のポリエステルからなる未延伸糸条群A’と、酸化チタンを重量基準で1.0〜3.5重量%含有するイオン染料に不染性のポリエステルからなる未延伸糸条群B’とからなる未延伸糸条を、下記(1)〜(3)の条件を同時に満足する条件で延伸同時仮撚加工するカットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸の製造方法、
(1)延伸同時仮撚加工に先立って、未延伸糸条に予め空気交絡を施す。
(2)加撚領域の第1ヒーター温度を、接触式ヒーターの場合には80〜120℃、非接触式の場合には200〜400℃とする。
(3)仮撚数を((15000〜35000)/(複合仮撚加工糸総繊度(dtex))1/2回/mとする。」
が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明のポリエステル複合仮撚加工糸を構成する糸条群Aは、イオン染料に可染性であるポリエステルに、ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを配合したものからなる。ここでいうイオン染料に可染性であるポリエステルとは、全繰り返し単位の85モル%以上、好ましくは95モル%以上がエチレンテレフタレートからなり、スルホン酸の金属塩基またはオニウム塩基を有する化合物が全酸成分を基準として1〜7モル%共重合されたポリエステルをいい、その固有粘度(オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定)は0.4〜0.6の範囲であるものが好ましい。
【0009】
イオン染料に可染性のポリエステルに配合するポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーは、アタクチックまたはシンジオタクチック構造の非晶性ポリマーであっても、アイソタクチック構造の結晶性ポリマーであってもよい。また、本発明の目的を阻害しない範囲内で共重合成分を含有するものであっても構わない。
【0010】
これらポリマーの分子量はあまりに小さいと、後述する本発明の効果が低下する傾向にあるので、その重量平均分子量でいって2000以上、特に5000〜20万の範囲が好ましい。具体的には、重量平均分子量が8000〜20万、メルトインデックスA(ASTM−D1238準拠、温度230℃、荷重3.8kgfで測定)が10〜30g/10minであるポリメチルメタクリレート系共重合体またはアイソタクチックポリスチレン系重合体、重量平均分子量が8000〜20万、メルトインデックスB(ASTM−D1238準拠、温度300℃、荷重2.16kgfで測定)が6〜50g/10minのシンジオタクチックポリスチレン系重合体等を特に好ましい例としてあげることができる。これらの重合体は、前記ポリエステルに溶融混合して溶融紡糸する際、その熱安定性と分散状態の安定性に優れているので好ましい。
【0011】
かかるポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーの前記イオン染料可染性ポリエステルへの混合は、該繊維の表面に微細な凸部が形成されるためと推定され、繊維間摩擦抵抗が低下して滑りやすくなり、これによりソフトで滑らかな表面タッチの風合いのカットパイル織編物が実現される一方、染色時の光沢は未添加と同等のレベルが維持されるという効果が発現される。かかる効果を発現させるためのポリマーの含有量は、イオン染料可染性ポリエステル重量を基準として0.5〜3.0重量%、好ましくは1.0〜2.0重量%とする必要がある。該含有量が0.5重量%未満の場合には、繊維・繊維間の摩擦低下が不十分で、得られるカットパイル布帛の風合いが硬いものとなるので好ましくない。一方、3.0重量%を超える場合には、かかるポリマー添加の効果が飽和するのみならず、かかる繊維の紡糸、延伸工程での安定性が低下して、断糸が多くなるので好ましくない。
【0012】
次に、本発明のポリエステル複合仮撚加工糸を構成する他方の糸条群Bは、酸化チタンを重量基準で1.0〜3.5重量%含有する、イオン染料に不染性であるポリエステルからなる。なお、ここでいうイオン染料に不染性のポリエステルとは、スルホン酸の金属塩基またはオニウム塩基を有する化合物が共重合されていない、全繰り返し単位の85モル%以上、好ましくは95モル%以上がエチレンテレフタレートからなるポリエステルをいい、その固有粘度(オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定)は0.5〜0.7の範囲であるものが好ましい。
【0013】
上記酸化チタンの配合は、糸条群Aと糸条群Bとの混ざり具合を適度に制御して、得られるカットパイル織編物表面に繊細な粗杢調を発現させるためであり、酸化チタンの含有量が1.0重量%未満の場合には、糸条群Aと糸条群Bとの混ざり合いが進み過ぎて、カットパイル織編物表面の粗杢調が不充分となるだけでなく、がさついた風合となるので好ましくない。一方、3.5重量%を超える場合には、複合仮撚加工糸の強度、伸度が低下し、また毛羽も多い品質不良品となるだけでなく、カットパイル織編物表面の杢が白けた光沢のないものとなるので好ましくない。さらには、該糸条群Bを溶融紡糸する際、断糸が頻発しやすい。
【0014】
なお、イオン染料可染性ポリエステルおよびイオン染料不染性ポリエステルのいずれにも、本発明の目的を阻害しない範囲で、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等を配合してもよい。
【0015】
糸条群Aと糸条群Bとは、その糸長に差があることが好ましく、特に糸条群Aの方が糸条群Bより5〜20%、より好ましくは8〜15%の範囲で長い方が好ましい。その際、糸条群Aが主として複合仮撚加工糸の鞘部に配され、糸条群Bが主として芯部に配されている芯鞘構造を有していることがさらに好ましい。かくすることにより、より繊細な粗杢調を発現することが可能となり、また、カットパイル織編物を製造する際の剪毛後の毛さばき性が向上し、ソフトな風合いのものが得られるだけでなく、耐毛倒れ性(立毛性)も良好となる。
【0016】
本発明においては、上記糸条群Aと糸条群Bとから構成される複合仮撚加工糸の捲縮率は1.0〜4.0%の範囲、特に1.5〜3.0%の範囲と微細な捲縮を有していることが必要であり、この範囲とすることにより、耐毛倒れ性に優れると同時に、パイルの配列性に起因する色調低下のないカットパイル織編物が得られる。捲縮率が1.0%未満の場合には、カットパイル織編物とした際のパイル間空隙が多くなり、圧縮を受けた際に変形しやすくなり、また、圧縮跡が何時までも残りやすくなるので好ましくない。一方、4.0%を超える場合には、パイルの配列性が低下して得られるカットパイル織編物のパイル表面の杢が白けた色調となるので好ましくない。
【0017】
なお、複合仮撚加工糸を構成する糸条群Aまたは糸条群Bから、夫々の糸条を取出して夫々単独で測定した時の捲縮率は、お互いに同じであっても異なっていていもよいが、糸条群Aの方が大きい場合、該糸条が複合仮撚加工糸の主として鞘部に配されやすくなるので、カットパイル織編物にしたときの耐毛倒れ性が向上し、またソフトで滑らかな表面タッチの風合いも向上するので好ましい。
【0018】
次に、本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は、カットパイル織編物とした場合のパイル密度を適正な範囲に調整しやすくするため、その総繊度は120〜250dtex、好ましくは140〜220dtexの範囲とする必要がある。総繊度が120dtex未満の場合には、充分に密集したカットパイル織編地を得ることが困難となるので好ましくない。一方、250dtexを越える場合には、パイルの目付が大きくなりすぎるためカットパイル織編用としては好ましくなくなる。なお、糸条群Aと糸条群Bとの総繊度比は、前者/後者で40/60〜60/40、特に45/55〜55/45の範囲が、より微細な粗杢調を発現させる上で好ましい。
【0019】
一方、糸条群Aと糸条群Bの単繊維繊度は、同一であっても異なっていてもよいが、その平均単繊維繊度は1.0〜5.0dtex、好ましくは1.2〜4.0dtexの範囲であることが必要である。平均の単繊維繊度が1.0dtex未満の場合には、糸条群Aと糸条群Bとの混ざり合いが進みすぎるため、得られるカットパイル織編物表面に粗杢調が発現し難くなるので好ましくない。一方平均単繊維繊度が5.0dtexを超える場合には、得られるカットパイル織編物の風合いが粗硬化し、カットパイル表面が不快な触感を与えるようになるので好ましくない。なお、糸条群Aと糸条群Bの単繊維繊度が異なる場合には、耐毛倒れ性の観点から、複合仮撚加工糸のより芯部に配されやすい糸条群の方が、その単繊維繊度は大きい方が好ましい。しかし、あまりに大きくなりすぎると風合いが粗硬なものとなりやすいので5.5dtex以下とするのが望ましい。
【0020】
以上に説明した本発明のカットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸は、例えば以下の方法により製造することができる。すなわち、ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを重量基準で0.5〜3.0重量%含有するイオン染料に可染性のポリエステルからなる未延伸糸条群A’と、酸化チタンを重量基準で1.0〜3.5重量%含有するイオン染料に不染性のポリエステルからなる未延伸糸条群B’とを引き揃えまたは混繊した未延伸糸条を後述する条件下で延伸同時仮撚加工する。
【0021】
ここで、未延伸糸条群A’と未延伸糸条群B’との間に伸度差があり、糸条群A’の方が30〜130%、特に50〜100%の範囲で大きい場合、得られる複合仮撚加工糸は、その鞘部に主として糸条群Aが配されるようになるため、得られるカットパイル織編物の風合いがよりソフトでしなやかものとなり、また耐毛倒れ性も良好となるので好ましい。なお、伸度差が130%を超える場合には、延伸仮撚加工工程で張力変動が発生しやすくなり、それに起因する断糸頻度が増加して安定に加工することができなくなる。
【0022】
また、未延伸糸条群A’と未延伸糸条群B’は、夫々別々に紡糸して巻き取った後、これらを合糸して延伸仮撚加工に供しても、同一または異なる紡糸口金から夫々のポリマーを溶融吐出し、夫々の糸条群を冷却後合糸して延伸仮撚加工に供してもよいが、後者の方法において、紡糸速度2500〜4000m/min、特に3000〜3500m/minの範囲で溶融紡糸すると、ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを0.5〜3.0重量%含有するイオン染料可染性ポリエステルは、酸化チタンを1.0〜3.5重量%含有するイオン染料不染性ポリエステルを同速度で溶融紡糸して得られる未延伸糸よりも伸度が30〜130%、特に50〜100%大きいものが容易にかつ効率よく得られるので好ましい。
【0023】
本発明においては、まず上記未延伸糸条群A’と未延伸糸条群B’とを合糸ないし混繊してなる未延伸糸条に空気交絡処理を施す必要がある。空気交絡処理は延伸仮撚加工と別の工程で行ってもよいが、図1に示すように、延伸仮撚加工装置にインターレースノズルを設置して延伸仮撚加工直前に施すのが好ましい。空気交絡の度合いは、少なすぎると延伸仮撚加工中に糸条群Aと糸条群Bとが分離してカットパイル織編物にした際のパイル表面の杢調が不均一なものとなりやすく、特に未延伸糸A’とB’との間の伸度差が30%以上となる場合に多くなるので、得られる複合仮撚加工糸で測定した交絡度は30個/m以上、特に40個/m以上となるように施すのが好ましい。一方、交絡度が大きくなりすぎると、単糸同士の絡み合いが強くなりすぎ、カットパイル織編物にした際のパイル糸が固まって風合いが粗硬なものとなりやすいので、80個/m以下とするのが好ましい。
【0024】
次に、交絡処理が施された未延伸糸は、例えば図1に示すような2段式ヒーターを備えた延伸仮撚加工機に掛けて、微細な捲縮を有するポリエステル仮撚加工糸とする。なお図1には、前述の該ポリエステル未延伸糸(1)に、2対のフィードローラー(3、3’)の間に設置されたインターレースノズル(4)により、空気交絡処理する工程が記載されている。ここで交絡処理された未延伸糸は、フィードローラー(3’)と第1デリベリーローラー(8)との間で延伸されながら、回転している仮撚ディスク(7)との摩擦により加撚される。この間、1段目ヒーター(5)で熱処理され、冷却プレート(6)で冷却され、仮撚ディスク(7)を通過し解撚される。さらに、走行糸条は第1デリベリーローラー(8)と第2デリベリーローラー(10)との間に設置された2段目ヒーター(9)で再熱処理され、巻取ローラー(11)でチーズ状パッケージ(12)として巻き取られ、ポリエステル複合仮撚加工糸が製造される。高速での延伸仮撚加工を考慮し、1段目ヒーター(5)および2段目ヒーター(9)は非接触式とするのが好ましい。
【0025】
上記延伸仮撚加工工程において、本発明では、下記(2)〜(3)を同時に満足する条件で延伸仮撚加工する。
(2)加撚領域の第1ヒーター温度を、接触式ヒーターの場合には80〜140℃、好ましくは90〜120℃、非接触式の場合には200〜400℃、好ましくは250〜350℃とする。
(3)仮撚数を(15000〜35000)/(複合仮撚加工糸総繊度(dtex))1/2回/m、好ましくは(20000〜30000)/(複合仮撚加工糸総繊度(dtex))1/2回/mとする。
【0026】
ここで加撚領域の第1ヒーターは、未延伸糸条の延伸性および撚り掛け性を向上させるためのものであり、この温度が、接触式ヒーターの場合では80℃未満、非接触色ヒーターの場合では200℃未満になると、撚掛性が低下して本発明の目的とする微細な捲縮を付与することができなくなり、カットパイル織編物にした際のパイル糸の耐毛倒れ性が悪くなる。また延伸仮撚加工時の断糸および毛羽の発生が多くなり、捲縮斑や染色時の染色斑も発生しやすくなるので好ましくない。一方、1段目ヒーター温度が接触式ヒーターの場合では140℃、非接触色ヒーターの場合では400℃を超えると、延伸撚り掛け時、単糸切れが発生しやすくなり、特に高伸度側の未延伸糸条群に単糸切れが発生しやすく、得られるポリエステル複合仮撚加工糸は毛羽の多いものとなるので好ましくない。なお、延伸仮撚加工機のタイプによっては、1段目ヒーターが前半部と後半部に分割されている場合があるが、本発明においては1段目ヒーターの前半部と後半部とは同一温度に設定するのが好ましい。
【0027】
なお、第1段ヒーターにおける糸条の熱処理時間は、ヒーターの種類、その長さおよびその温度等により適宜設定すればよいが、短すぎると捲縮率が不十分なものとなりやすく、また、張力変動に起因する延伸仮撚断糸、仮撚加工糸の毛羽、織編物での染斑が発生しやすくなり、一方長すぎると捲縮率が大きくなりすぎる傾向にある。通常、接触式ヒーターの場合は0.15〜0.50secの範囲、特に0.20〜0.40secの範囲の範囲が適当である。非接触式ヒーターの場合は0.04〜0.12secの範囲、特に0.06〜0.10secの範囲が適当である。
【0028】
次に、仮撚数が前記範囲未満の場合には、微細な捲縮を付与することが難しく、一方前記範囲を超える場合には、断糸および毛羽の発生が多くなるので好ましくない。
【0029】
仮撚具は特に限定されないが、直径が40〜70mmのディスク、好ましくは直径45〜62mmのディスクが好ましい。例えば図2に示すような、ディスク2枚を3軸に配置した仮撚ユニットとして組み立てて使用する。ディスク直径が40mm未満では、ポリメチルメタクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーが添加された糸条群A’の、ディスクによる摩擦損傷が増加して断糸および毛羽の発生が多くなりやすい。一方、70mmを超えるに場合は、ディスクによる撚掛け力が低下して十分な捲縮を付与することが困難になる。
【0030】
次に、ディスクを通過する糸条の走行角(ディスク回転軸とディスクの外周上を接触走行する糸条とがなす角度)は、30〜48度、特に32〜45度の範囲とすることが好ましい。かくすることにより、ディスクによる撚掛け力を低下させることなく、糸送り作用を高め、安定した状態で加撚・解撚を施すことができる。
【0031】
本発明においては、図1に示すように、解撚領域に第2ヒーターを設置し、ここで熱セットを施すのが、微細で強固な低捲縮率を有しかつ低熱収縮特性の加工糸を得る上で好ましい。その際、ヒーター温度は、高すぎると単糸間に融着が発生しやすいため、カットパイル織編物にした場合に風合いがガサツキを呈するようになることが多く、逆に低すぎると捲縮が強固でかつ捲縮率が4%以下のものを得ることが難しくなる傾向にある。したがって、接触式ヒーターの場合には200〜250℃、非接触式の場合には400〜600℃、特に450〜550℃の範囲とするのが好ましい。熱処理時間は、接触式ヒーターの場合は0.07〜0.20secの範囲、特に0.10〜0.16secの範囲の範囲が適当である。非接触式ヒーターの場合は0.04〜0.12secの範囲、特に0.06〜0.10secの範囲が適当である。
【0032】
このようにして得られる本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は、無撚または施撚して、そのまま、あるいは、さらに双糸または3本合糸され、パイル糸として二重織機あるいはダブルラッセル編機に掛けられ、地糸と共に製織または製編されたのち、カチオン染料にて染色され、起毛、毛割及び剪毛処理などの処理が施されて異色染杢調のカットパイル織編物となる。なお、本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は、製編あるいは製織工程に先駆けてチーズ巻状態でカチオン染料で染色しても構わない。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
【0034】
(1)固有粘度
オルソ−クロルフェノールに溶解し、ウベローデ粘度管を用い、35℃で測定した。
【0035】
(2)メルトインデックス
ASTMD−1238に従って測定した。
【0036】
(3)紡糸断糸
複合紡糸設備で1週間溶融紡糸を行い断糸した回数を記録し、1日1錘当りの紡糸断糸回数を紡糸断糸とした。ただし、人為的あるいは機械的要因による断糸は断糸回数から除外した。
【0037】
(4)伸度差
未延伸糸試料を気温25℃、湿度60%の恒温恒湿に保たれた部屋に1昼夜放置した後、サンプル長さ100mmを(株)島津製作所製引張試験機テンシロンにセットし、200mm/minの速度にて引張し荷伸曲線を記録した。記録したチャートから2群の構成糸条の荷伸曲線を特定し、各々の破断時の伸度を読み取り、その差を構成未延伸糸条群A’と未延伸糸条群B’との伸度差とした。
【0038】
(5)走行角
仮撚ディスク上を走行している糸条を写真撮影し、各仮撚ディスク円盤上の糸条の走行角度θを写真の上で実測して、それらの測定値の平均値を走行角とした。
【0039】
(6)交絡度
約1.2mのポリエステル複合仮撚加工糸の糸端に0.2cN/dtexの荷重をかけて、衝立上部に取り付けられた固定点から垂直にたらし、0.1cN/dtexの荷重に相当する重量の釣り針型のフックを用い、上部固定点より、該釣り針型フックを挿入し、フックが自然落下し止まるのを待って取り外す。次いで、停止点から2mm下の位置にフックを再び挿入する。この繰り返しを糸長1mにわたって行い、その間でフックの止まった回数を交絡度(個/m)とした。
【0040】
(7)延伸仮撚断糸
帝人製機製216錘建HTS−15V(2ヒーター仮撚加工機で非接触式ヒーター仕様)あるいは帝人製機製216錘建SDS−8(2ヒーター仮撚加工機で接触式ヒーター仕様)にて、延伸仮撚加工を1週間連続実施し、延伸仮撚機1台・1日当たりの断糸回数を延伸仮撚断糸とした。ただし、糸繋ぎ前後による断糸(ノット断糸)あるいは自動切替え時の断糸等、人為的あるいは機械的要因による断糸は断糸回数から除外した。
【0041】
(8)捲縮率
ポリエステル複合仮撚加工糸サンプルに0.044cN/dtexの張力を掛けてカセ枠に巻き取り、約3300dtexのカセを作成した。該カセの一端に、0.00177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの2個の荷重を負荷し、1分間経過後の長さS0(cm)を測定した。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去した状態で、100℃の沸水中にて20分間処理した。沸水処理後0.00177cN/dtexの荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥し、再び0.00177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの荷重を負荷し、1分間経過後の長さを測定しS1(cm)とした。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去し、1分間経過後の長さを測定しS2とし、次の算式で捲縮率を算出し、10回の測定値の平均値で表した。
捲縮率(%)=[(S1−S2)/S0]×100
【0042】
(9)糸条群AとBとの糸足差
50cmの仮撚加工糸の一端に0.176cN/dtex(0.2g/de)の荷重を掛け、垂直に吊し、正確に5cm間隔のマーキングを行った。荷重を外し、マーキング部分を正確に切りとって10本の試料とした。該試料より、鞘部分のフィラメントおよび芯部のフィラメントとを各々10本取出し、各々の単糸に0.03cN/dtex(1/30g/de)の加重を掛けて、垂直に吊るし、各々の長さを測定する。10本の試料について上記の測定を行い、各々の平均値をLa(鞘部糸長)およびLb(芯部糸長)とし、下記式で糸足差を計算した。
糸足差=(LaーLb)/La×100%
【0043】
(10)仮撚加工糸の強度、伸度
JIS L―1013―75に準じて測定した。
【0044】
(11)毛羽個数
東レ(株)製DT−104型毛羽カウンター装置を用いて、ポリエステル仮撚加工糸サンプルを500m/minの速度で20分間連続測定して発生毛羽数を計測し、サンプル長1万m当たりの個数で表した。
【0045】
(12)カットパイル表面評価
(ア)カットパイル編地作成
カールマイヤー製28ゲージ経編機にて、ポリエステル複合仮撚加工糸をパイル糸となるL3に配列し、地組織となるL1、L2に84dtex/36フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラントを配列して編み立て、経密度が36本/in、緯密度が65本/inのパイル編生地とした。該編生地をCathilon CD−FRLH/CD−FBLH(カチオン性染料、保土ヶ谷化学(株)社製)を用い120℃で60分間染色した後、起毛、毛割および剪毛加工を施し、経密度が36本/25.4mm、緯密度が65本/25.4mmのカットパイル編地とし、下記(ウ)に示す基準でパイル表面を評価した。
【0046】
(イ)カットパイル織地作成
ポリエステル複合仮撚加工糸をCathilon CD−FRLH/CD−FBLH(カチオン性染料、保土ヶ谷化学(株)社製)を用い130℃で60分間染色した後、染色されたポリエステル仮撚加工糸を解除しつつ双糸にして200回/mの追撚を加えた。追撚された染色ポリエステル仮撚加工糸をパイル糸とし、20番手のポリエステル/レーヨン混(65/35)双糸を地糸として、二重織機にて製織し、筬羽数20本/25.4mm、緯密度46本/25.4mm、パイル長6mmのカットパイル生機とした。次いで、このカットパイル生機を、毛割・剪毛を2回繰り返し通したのち、生地の裏側に制電性のある樹脂加工を施しカットパイル織物とし、下記(ウ)に示す基準でパイル表面を評価した。
【0047】
(ウ)カットパイル評価
上記の方法で作成したカットパイル織編物を検査員が目視および触感して以下の項目を評価した。
(a)粗杢
レベル1:均一に分散した微細で杢であり、筋、繊維塊等が認められない
レベル2:筋、繊維塊等は認められないが、やや弱い色調の杢となっている
レベル3:杢が局所的に散在したり、筋、繊維塊等が認められる。あるいは白けた色調の杢となっている
(b)毛倒れ性
右手でカットパイル表面を10分間押さえて、カットパイル表面の押圧跡の回復状態を観察し以下の基準で判定した。
レベル1:押さえた部分が直ちに回復し、押圧跡がカットパイル面に残らない
レベル2:押さえた部分が1時間後にほとんど回復するが、押圧跡がカットパイル面に少し残る
レベル3:押さえた部分が1時間後もほとんど回復せず、押圧跡が明瞭に残る
(c)風合い
レベル1:ソフトでしなやかな感触がある
レベル2:ややソフト感が乏しいが反撥性は感じられる
レベル3:カサカサした触感あるいは硬い触感である
【0048】
[実施例1〜5、比較例1〜4]
固有粘度0.48でスルホイソフタル酸を2.6モル%共重合したポリエチレンテレフタレートに、各々表1に示す種類の添加剤を表1に示す割合で混合したペレット(以下ポリマーA1と称する)を常法で乾燥した。一方、固有粘度が0.64で酸化チタンを、各々表1に示す割合で、含んだポリエチレンテレフタレートのペレット(以下ポリマーB1と称する)を常法で乾燥した。
【0049】
乾燥ポリマーA1および乾燥ポリマーB1とを2基のスクリュー押出機を装備した複合紡糸設備にて各々常法で溶融し、スピンブロックを通して、複合紡糸スピンパックに導入した。ポリマーA1流は、該スピンパックに組み込まれた円形吐出孔を48個穿設した紡糸口金から、ポリマーB1流は円形吐出孔を36個穿設した紡糸口金より吐出した。引き続き、吐出された2群のポリマー流を、通常のクロスフロー型紡糸筒からの冷却風で冷却・固化し、紡糸油剤を付与しつつ一つの糸条として集束し、3200m/minの速度で引き取り270dtex/84フィラメントのポリエステル未延伸糸を得た。表1から明らかなごとく、ポリスチレンの添加量が0.5重量%に満たない比較例1においては、2つの未延伸糸状群の伸度差が30%未満となり、得られた仮撚加工糸の糸条群AとBとの糸足差が5%未満となった。ポリメチルメタアクリレートの添加量が3.0重量%を超える比較例2および酸化チタン含有量が3.5重量%を超える比較例4においては、紡糸工程で断糸が多発した。
【0050】
該ポリエステル未延伸糸を、帝人製機製216錘建HTS−15Vに掛け、孔径1.8mmの圧空吹き出し孔を有するインターレースノズルを通過させつつ60nL/minの流量で交絡度が50個/mとなるように空気交絡を施し、延伸倍率1.60、第1ヒーター(非接触タイプ)温度280℃で、第2ヒーター(非接触タイプ)温度550℃の条件に設定し、直径60mm、厚み9mmのウレタンディスクを仮撚ディスクとして、走行角43度で仮撚数×(仮撚糸繊度(dtex))1/2が26000近傍となるように延伸仮撚を行い、速度800m/minでチーズ形状に巻き取り、168dtex/84フィラメント(平均単糸繊度2.0dtex)のポリエステル複合仮撚加工糸を得た。このポリエステル複合仮撚加工糸を構成する鞘部はポリマーA1からなる糸条群A(84dtex/48フィラメント)であり、芯部はポリマーB1からなる糸条群B(84dtex/36フィラメント)であった。
【0051】
これらのポリエステル複合仮撚加工糸を前述の方法でカットパイルとなし、その品位を評価した。表1から明らかなごとく、ポリスチレンの添加量が0.5重量%に満たない比較例1におけるカットパイルは硬い風合いのものとなった。ポリスチレンの添加量が3.0重量%を超える比較例2においては、延伸仮撚断糸および毛羽の発生が多かった。酸化チタンの含有量が1.0重量%に満たない比較例3におけるカットパイルは杢が不鮮明であり、風合いもがさついたものとなった。酸化チタンの含有量が3.5重量%を超える比較例4においては、得られた仮撚加工糸の強度、伸度の低下が認められ、延伸仮撚断糸および毛羽の発生も多かった。また、カットパイルの表面は白けた光沢のないものとなった。
【0052】
【表1】
Figure 0003895190
【0053】
[実施例6〜9、比較例5〜8]
固有粘度が0.48でスルホイソフタル酸を2.6モル%共重合したポリエチレンテレフタレート・ペレットに分子量50000、メルトインデックス9.0のシンジオタクティックポリスチレンを1.5重量%均一に混合したペレット(以下ポリマーA2と称する)および固有粘度が0.64で酸化チタンを2.5重量%含有したポリエチレンテレフタレートのペレット(以下ポリマーB2と称する)とを常法で乾燥した。以下、糸条群A(ポリマーA2からの)および糸条群B(ポリマーB2からの)のフィラメント数が表2に示す数値となる個数の円形吐出孔を有する紡糸口金を用い、表2に示す糸条群Aおよび糸条群Bの総繊度が得られるように吐出量を調整する以外は、実施例2と同じ方法、条件で、上記ポリマーAおよびポリマーBを溶融紡糸し、ポリエステル未延伸糸を得た。
【0054】
該ポリエステル未延伸糸を、帝人製機製216錘建HTS−15Vに掛け、孔径1.8mmの圧空吹き出し孔を有するインターレースノズルを通過させつつ60nL/minの流量で交絡度が50個/mとなるように空気交絡を施し、各々表2に示す延伸倍率、第1ヒーター(非接触タイプ)温度および第2ヒーター(非接触タイプ)温度条件に設定し、直径60mm、厚み9mmのウレタンディスクを仮撚ディスクとして、走行角43度で、仮撚数×(仮撚糸繊度(dtex))1/2が26000近傍となるように延伸仮撚を行い、速度800m/minでチーズ形状に巻き取り、各々表2に示す糸条群構成および総繊度を有するポリエステル複合仮撚加工糸を得た。これらのポリエステル複合仮撚加工糸を前述の方法でカットパイルとなし、その品位を評価し、表2に示す結果を得た。
【0055】
【表2】
Figure 0003895190
【0056】
[実施例10〜13、比較例9〜11]
実施例2で得られたポリエステル未延伸糸を、表3に示す延伸仮撚条件で延伸仮撚加工を実施し、表3に示すポリエステル複合仮撚加工糸を得た。この時の延伸仮撚断糸および毛羽発生状況を表3に示す。また、これらのポリエステル複合仮撚加工糸を前述の方法でカットパイルとなし、その品位を評価し、表3に示す結果を得た。
【0057】
【表3】
Figure 0003895190
【0058】
[比較例12〜14]
実施例2で得られたポリエステル未延伸糸を、仮撚数×(仮撚糸繊度(dtex))1/2およびインターレース圧空流量を表4に示す条件とする以外は、実施例2と同じ延伸仮撚条件で延伸仮撚加工を実施し、表4に示すポリエステル複合仮撚加工糸を得た。この時の延伸仮撚断糸および毛羽発生状況を表4に示す。また、これらのポリエステル複合仮撚加工糸を前述の方法でカットパイルとなし、その品位を評価し、表4に示す結果を得た。
【0059】
【表4】
Figure 0003895190
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、カットパイル織編物に優れた異色染杢調(粗杢)およびソフトで優れた立毛性を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の延伸仮撚工程の1実施態様を示した模式図。
【図2】本発明で使用する仮撚ディスクユニットの1実施態様を示した正面図。
【符号の説明】
1 :ポリエステル未延伸糸
2 :糸ガイド
3、3’:フィードローラー
4 :インターレースノズル
5 :第1ヒーター
6 :冷却プレート
7 :仮撚ディスクユニット
8 :第1デリベリーローラー
9 :第2ヒーター
10 :第2デリベリーローラー
11 :巻取ローラー
12 :ポリエステル仮撚加工糸チーズ
13 :仮撚ディスク
14 :ガイドディスク
15 :回転軸
16 :タイミングベルト
17 :駆動ベルト

Claims (7)

  1. ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを重量基準で0.5〜3.0重量%含有するイオン染料に可染性のポリエステルからなる糸条群Aと、酸化チタンを重量基準で1.0〜3.5重量%含有するイオン染料に不染性のポリエステルからなる糸条群Bとから構成され、下記(A)〜(C)の条件を満足するカットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸。
    (A)捲縮率が1〜4%
    (B)総繊度が120〜250dtex
    (C)平均単糸繊度が1.0〜5.0dtex
  2. 糸条群Aの平均糸長が、糸条群Bの平均糸長より5〜20%長い請求項1記載のカットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸。
  3. 糸条群Aが主として鞘部、他方糸条群Bが主として芯部に配されている請求項1または2記載のカットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸。
  4. ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを重量基準で0.5〜3.0重量%含有するイオン染料に可染性のポリエステルからなる未延伸糸条群A’と、酸化チタンを重量基準で1.0〜3.5重量%含有するイオン染料に不染性のポリエステルからなる未延伸糸条群B’とからなる未延伸糸条を、下記(1)〜(3)の条件を同時に満足する条件で延伸同時仮撚加工するカットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸の製造方法。
    (1)延伸同時仮撚加工に先立って、未延伸糸条に予め空気交絡を施す。
    (2)加撚領域の第1ヒーター温度を、接触式ヒーターの場合には80〜120℃、非接触式の場合には200〜400℃とする。
    (3)仮撚数を((15000〜35000)/(複合仮撚加工糸総繊度(dtex))1/2回/mとする。
  5. 解撚領域の第2ヒーター温度を、接触式ヒーターの場合には200〜250℃、非接触式の場合には400〜600℃とする、請求項4記載のカットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸の製造方法。
  6. 高伸度未延伸糸条群A’と低伸度未延伸糸条群B’との伸度差が30〜130%である請求項4または5記載のカットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸の製造方法。
  7. 未延伸糸条が、ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを重量基準で0.5〜3.0重量%含有するイオン染料に可染性のポリエステルと、酸化チタンを重量基準で1.0〜3.5重量%含有するイオン染料に不染性のポリエステルとを、同一または異なる紡糸口金から溶融吐出し、夫々の糸条群を冷却固化後合糸し、次いで2500〜4000m/minの速度で引き取った未延伸糸条である請求項4〜6のいずれかに記載のカットパイル織編物用ポリエステル複合仮撚加工糸の製造方法。
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