JP3893395B2 - ハイブリッド電気自動車の駆動制御装置 - Google Patents
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Description
そこで、従来から量産されているAT車のトルクコンバータ部を取り除いて、電子制御される機械式油圧変速機をモータに直結して試したところ、変速機の周辺部には若干の改造が必要であるが、変速機本体は原形の量産品をそのまま利用でき、良い結果を得られた。
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、エンジンとモータで構成されるハイブリッド原動機を備え、電子制御される機械式の有段変速機を用いて変速を行うパワートレイン構造とする一方、エンジン、モータ、変速機などを特定のシーケンスで制御することにより、運転者の変速意志に対し、応答よくスムースに変速できるようにしたハイブリッド自動車の制御装置を提供することを目的とする。
そして、前記エンジン、モータおよび変速機を制御する駆動制御手段を設け、
変速要求があったときは、エンジンの回転速度を変速前の回転速度に維持して無負荷運転する制御を開始した後、前記電動機の回転速度を、変速前の回転速度に維持して無負荷運転することにより前記変速機の出力軸回転速度に追随させる制御を開始し、変速機の変速制御を開始し、モータの回転速度を、変速後における変速機の入力軸回転速度に同期させ、エンジンを変速後の要求出力に制御し、モータを変速後の要求出力に制御するというシーケンスで、エンジン、モータおよび変速機を制御する構成とした。
そして、エンジン、モータ、変速機およびクラッチを制御する駆動制御手段を設け、
変速要求があったときは、エンジンの回転速度を、変速前の回転速度に維持して無負荷運転する制御を開始した後、モータの回転速度を、変速前の回転速度に維持して無負荷運転することにより変速機の出力軸回転速度に追随させる制御を開始し、クラッチを遮断し、変速機の変速制御を開始し、モータの回転速度を、変速後における変速機の入力軸回転速度に同期させ、エンジンおよびモータを、それぞれ変速後の要求出力に制御し、エンジンおよびモータの回転速度が一致するタイミングでクラッチを接続するというシーケンスで、エンジン、モータ、変速機およびクラッチを制御する構成とした。
また、請求項4に係る発明は、前記有段変速機として、電子制御されるソレノイド弁により油圧回路を切り換えて油圧を制御することによって変速を行う変速機を用いる構成とした。
また、請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記変速機に、制御油圧を解放自由な電子制御式のリリーフ弁を設け、前記駆動制御手段は、モータの回転速度を変速前における前記変速機の出力軸回転速度に追随させる制御を行った後に、リリーフ弁を駆動して制御油圧を解放し、その後、モータの回転速度を変速後における変速機の入力軸回転速度に同期させる制御を行った後、リリーフ弁を閉じて制御油圧を回復させた後に、エンジンおよびモータの出力を回復する制御に移行するという手順を含むシーケンスで制御する構成とした。
また、請求項6に係る発明は、リリーフ弁を駆動したときに解放されたオイルによって、前記モータの回転速度制御用のインバータを冷却する構成とした。
図1は、最も基本的(簡易的)な、第1の実施形態を示す。
本実施形態では、エンジン1とモータ2との駆動軸相互が連結されてハイブリッド原動機が構成され、前記モータ2の出力側には、電子制御される機械式変速機3が連結され、該変速機3の出力軸3aが車軸4と連結して駆動輪5を駆動する。
変速制御などのため必要なセンサ類として、エンジン回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ11、変速機出力軸の回転速度を検出する出力軸回転速度センサ12が設けられ、これら検出信号は、コンピュータを内蔵したコントロールユニット6に入力される。
図2は、上記変速制御のフローを示す。
ステップS1では、変速要求が発生したかを判定する。これは、運転者のシフト操作によって変速段毎に発生する変速要求信号、あるいは、通常のAT車同様にドライブモードの中で車速乃至エンジン回転速度とスロットル開度などに基づいて発生するシフト要求のいずれにも適用できる。
ここで、該変速機3の変速制御に先立ってエンジン1およびモータ2が変速前の回転速度で無負荷運転されるように制御されているので、変速前の変速要素の締結が解放されたときのショックを抑制できる。
ここで、モータ2の制御応答は、油圧式の変速機3の制御応答より早いので、前記新たな変速段に対応する変速要素が締結される際には、該変速段での変速機入力軸回転速度に同期させておくことができる。また、エンジン1については、前記モータ2の変速後における変速機入力軸回転速度に同期する制御に先立って制御することにより、遅れなく変速後の変速機入力軸回転速度に同期させることができる。
次いで、ステップS6では、エンジン1の出力を変速後の要求出力(目標トルク)に回復させる制御を開始する。
次いで、ステップS7では、モータ2の出力を変速後の要求出力(目標トルク)に回復させる制御を開始する。
なお、変速前にエンジンが運転されていないときは、上記変速制御のうち、エンジンに関する制御を省略する。
量産品の電子式油圧制御変速機(AT車用変速機の変速機本体)では、通常運転者が機械式変速機を手動で操作する場合とは異なり、上述したように、変速前の変速要素の解放操作と変速後の変速要素の締結操作とを同時に開始するので、ほとんど中立状態がない。AT車のように、トルクコンバータという柔軟性に富む流体を介して駆動力を伝達する機構との組み合わせでは中立は極めて短くてもよいのであるが、出力軸の回転速度を測定しつつギア比を斟酌した回転速度で入力軸側のモータの回転速度を制御し、クラッチレスで機械式歯車変速機の変速を実行しようとする制御方式では、中立状態が短すぎると、回転速度を同期させるのに十分な制御時間を確保することができないので、変速ショックを完全に解消することは難しい。
量産型のAT車用変速機には、制御油圧の調圧弁はあるが、制御油圧を無くしてしまうリリーフ弁は装着されていない。しかし、油圧回路の一部には必須仕様として制御油圧を整備工場などで測定するための盲蓋が取り付けられている。本実施形態では、図3に示すように、前記盲蓋が装着される逃し孔形成部分に、ソレノイドバルブによって構成される電子的に制御可能なリリーフ弁32を設け、必要に応じて油圧を逃すことができるように構成した。これは、外部的な変更によって可能であり、量産品である変速機本体には手を加える必要がない。
ステップS11〜S13において、第1の実施形態同様にエンジン1とモータ2の回転速度制御を行った後、ステップS14で前記リリーフ弁32を開いて変速機3内の制御油圧を解放する。
次いで、ステップS15で変速制御信号を出力する。ここで、上記のように制御油圧が解放されているので、変速油圧回路に介装された変速前後に対応するソレノイド弁の開閉が切り換えられるが、この段階では、新たな変速段に対応する変速要素への締結用油圧の供給は行われず締結作用は生じない。
これにより、前記新たな変速段に対応する変速要素への締結用油圧の供給が開始され、変速が実行される。
次いで、ステップS17、ステップS18で、エンジン1およびモータ2の出力を、順次変速後の要求出力(目標トルク)に回復させる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
ステップS21で、エンジン1を、現状の回転速度を維持できる無負荷運転を行う。
ステップS22で、電磁クラッチ7をOFFとしてエンジン1の駆動力伝達を遮断する。
ステップS23〜ステップS30まで、第2の実施形態の図4のステップS12〜ステップS19と同様に制御する。
このようにすれば、ステップS22で電磁クラッチ7を遮断することにより、エンジン1の慣性モーメントが切り離され、モータ2のみによって素早く回転速度の同期制御が可能となり、変速制御を可及的に高速化できる。
上記シーケンスで、エンジンの出力回復制御とモータの出力回復制御との順序は逆であってもよく、同時であってもよい。すなわち、電磁クラッチ7を遮断後は、モータへの駆動力が伝達されないので、エンジン出力回復制御の開始を任意のタイミングで行うことが可能であり、特にエンジンの応答遅れが大きい場合には、変速機の変速途中など、より早いタイミングで開始することも可能である。ただし、必要以上に出力回復制御を開始することは、燃費を悪くするだけなので、予め、実験などで求めた応答遅れ分だけ早めたタイミングで開始するのが好ましい。
一方、上記第2、第3の実施形態のようにリリーフ弁を設けて制御油圧を解放する構成とした場合、このリリーフ弁から解放されたオイルを冷却に利用することができる。
元来の変速機では、変速機内の調圧弁から戻される余剰のオイルは、オイルパンに直接落下させるか、ラジエータを通して冷却後、オイルパンに戻すこととしている。
そこで、本発明の第4の実施形態として、図7に示すように、上記、変速機3内部の調圧弁からのオイルに加えて、前記変速制御時にリリーフ弁32から解放されるオイルを追加して、冷却ファン33aが一体化されたラジエータ33およびインバータ(モータ制御調整装置)22およびモータ2を経て変速機3内に戻す冷却油配管34を設けて構成する。前記ラジエータ33の容量は、従来の変速機冷却に必要な容量と、前記インバータ22およびモータ2の冷却に必要な容量を加えた容量とする。
このようにすれば、インバータ冷却専用の電動ポンプおよびその制御システムを省略でき、また、風当たりの良い前部に設けたラジエータ33と変速機3、およびラジエータ33とインバータ22間の冷却油配管を並列に設けることなく、ラジエータ33、インバータ22、変速機3間を直列に接続することで1系統に単純化でき、コスト、レイアウト的にも有利である。
2 モータ(電動機)
3 有段変速機
3a 変速機の出力軸
4 車軸
6 コントロールユニット
7 電磁クラッチ
11 クラッチ
12 出力軸回転速度センサ
21 エンジン回転速度調節装置
22 モータ回転速度調節装置
31 変速用ソレノイド
32 リリーフ弁
33 ラジエータ
34 冷却油配管
Claims (9)
- 内燃機関と電動機の駆動軸相互を連結し、前記電動機の駆動軸を、電子制御される有段変速機の入力軸に連結し、前記変速機の出力軸を車両駆動軸に連結する一方、
変速要求があったときに、
前記内燃機関の回転速度を、変速前の回転速度に維持して無負荷運転する制御を開始した後、
前記電動機の回転速度を、変速前の回転速度に維持して無負荷運転することにより前記変速機の出力軸回転速度に追随させる制御を開始し、
前記変速機の変速制御を開始し、
前記電動機の回転速度を、変速後における前記変速機の入力軸回転速度に同期させ、
前記内燃機関を変速後の要求出力に制御し、
前記電動機を変速後の要求出力に制御する
というシーケンスで、前記内燃機関、電動機および変速機を制御する駆動制御手段
を設けたことを特徴とするハイブリッド電気自動車の駆動制御装置。 - 内燃機関と電動機の駆動軸相互を駆動力の伝達/遮断切り換え自由なクラッチを介して連結し、前記電動機の駆動軸を、電子制御される有段変速機の入力軸に連結し、前記変速機の出力軸を車両駆動軸に連結する一方、
変速要求があったときに、
前記内燃機関の回転速度を、変速前の回転速度に維持して無負荷運転する制御を開始した後、
前記電動機の回転速度を、変速前の回転速度に維持して無負荷運転することにより前記変速機の出力軸回転速度に追随させる制御を開始し、
前記クラッチを遮断し、
前記変速機の変速制御を開始し、
前記電動機の回転速度を、変速後における前記変速機の入力軸回転速度に同期させ、
前記内燃機関および電動機を、それぞれ変速後の要求出力に制御し、
前記内燃機関および電動機の回転速度が一致するタイミングで前記クラッチを接続する
というシーケンスで、前記内燃機関、電動機、変速機およびクラッチを制御する駆動制御手段
を設けたことを特徴とするハイブリッド電気自動車の駆動制御装置。 - 前記クラッチは、電磁クラッチであることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド電気自動車の駆動制御装置。
- 前記有段変速機は、電子制御されるソレノイド弁により油圧回路を切り換えて油圧を制御することによって変速を行う変速機であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のハイブリッド電気自動車の駆動制御装置。
- 前記変速機に、制御油圧を解放自由な電子制御式のリリーフ弁を設け、
前記駆動制御手段は、前記電動機の回転速度を変速前における前記変速機の出力軸回転速度に追随させる制御を行った後に、前記リリーフ弁を駆動して制御油圧を解放し、その後、電動機の回転速度を変速後における前記変速機の入力軸回転速度に同期させる制御を行った後、前記リリーフ弁を閉じて制御油圧を回復させた後に、前記内燃機関および電動機の出力を回復する制御に移行するという手順を含むシーケンスで制御することを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド車両の変速制御装置。 - 前記リリーフ弁を駆動したときに解放されたオイルと前記変速機内部の調圧弁から戻される余剰のオイルによって、前記電動機の回転速度制御用のインバータおよび電動機の少なくとも一方を冷却することを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド電気自動車の駆動制御装置。
- 前記オイルを、ラジエータで冷却後、インバータおよびモータを直列に経由して変速機に戻す冷却油経路を備えたことを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド電気自動車の駆動制御装置。
- 前記オイルを、ラジエータで冷却後、分岐弁を介してインバータとモータとに分流させた後、変速機に戻す冷却油経路を備えたことを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド電気自動車の駆動制御装置。
- 前記分岐弁によるインバータとモータとの分流比を、インバータ温度とモータ温度の検出値に基づいて可変に制御することを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド電気自動車の駆動制御装置。
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