JP3876765B2 - 分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分析装置に関し、試料観察機構と分析位置移動機構を備え、分析位置移動機構が位置指定可能とする範囲が、試料観察機構が一回の試料観察で観察する領域よりも広い分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
試料観察機構と分析位置移動機構を備えた分析装置では、試料観察機構により試料の光学像を観察することにより分析位置を特定し、分析位置移動機構により特定した分析位置とX線や電子線の照射位置とを位置合わせしている。このような分析装置として、例えば、蛍光X線分析装置などが知られている。
【0003】
このような分析装置において、微小領域を分析する場合には、試料観察機構が一回の試料観察で観察する領域が狭くなる。そのため、試料ステージ等の分析位置移動機構が位置指定可能とする範囲を一回の試料観察で観察することはできず、分析位置移動機構が位置指定可能とする範囲を複数の試料観察領域で分割して観察することになる。
【0004】
従来、このような場合に、分析位置を指定する方法として例えば以下の2つが知られている。
第1の方法は、位置指定可能な範囲の全域を表示し、この表示域中に現在の分析位置を表示すると共に、長方形の枠などによって試料観察領域を表示し、表示される試料観察領域と現在の分析位置との位置関係に基づいて、分析しようとする位置を類推して指定する。
【0005】
図8は、上記の分析位置の指定を説明するための図である。図8において、位置指定可能な範囲100内には、現在の分析位置101が例えば点や位置座標により表示されると共に、試料観察領域102を表す枠が表示される。この枠は試料観察領域102の位置を表すのみであり、試料観察画像が表示されていない。また、第2の方法は、分析位置を指定する前に、試料観察機構あるいは分析位置移動機構により、位置指定可能な範囲の全域について試料を相対的に移動させ、各移動毎に試料観察像を取得することにより全域の画像を取得する。取得した全域の画像を画像合成して一枚の合成画像を作成し、この合成画像を用いて、分析位置を指定する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記した第1の方法では、試料観察領域と現在の分析位置との位置関係が表示されるため全体のなかでの位置関係はわかるものの、現在の試料画像が表示されていないため、画面内において表示される現在位置が目的とする指定位置であるかを確認することができないという問題がある。そのため、現在位置が目的とする指定位置であるかの確認は、別画面に試料観察を表示する必要がある。また、既に指定した位置についても画像表示されていないため、試料の分析位置全体の把握が困難であるという問題がある。
【0007】
また、前記した第2の方法では、全体像はつかめるものの、表示される合成画像は現在のステージ位置とは無関係であるため、現在のステージ位置が試料全体のどの位置にあるかを確認することができないという問題がある。また、試料全域について試料画像を取得するには、予め試料全域をカバーするように、試料あるいは視野範囲を移動させ、各移動毎に画像を取得する必要があり、時間がかかるという問題もある。
【0008】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、位置指定可能な範囲と現在位置や指定済みの測定位置との関係を表示することを目的とし、また、試料観察画像をリアルタイムで表示することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、試料観察機構と分析位置移動機構を備え、分析位置移動機構が位置指定可能とする範囲が、試料観察機構が一回の試料観察で観察する領域よりも広い分析装置であり、位置指定可能な範囲内に、所定位置、及びこの所定位置を領域内に含む試料観察領域を表示し、さらに、この試料観察領域内に試料観察領域の試料観察像をリアルタイムで表示する。なお、位置指定可能な範囲は、分析装置による測定可能範囲である。
【0010】
これにより、位置指定可能な範囲内には、所定位置と、試料観察像が試料観察領域と共に表示されるため、位置指定可能な範囲内において各位置関係を容易に知ることができ、また、試料観察領域内に試料観察像をリアルタイムで表示することができる。
【0011】
また、所定位置は現在位置、指定した測定位置とすることができ、何れか一方あるいはその両方を表示してもよい。位置指定可能な範囲内に現在位置を表示する場合には、その現在位置を領域内に含む試料観察領域の画像を表示する。また、位置指定可能な範囲内に測定位置を指定する場合には、位置指定時に試料観察像を自動取得し、取得した試料観察像を静止画像として保存する。
【0012】
保存した指定位置の静止画像は、現在の試料観察像と重ね合わせてリアルタイムで表示する。これにより、位置指定可能な範囲内には、現在の試料観察像と、指定した測定位置での試料観察像とを同時に表示することができる。
【0013】
また、試料観察領域内に試料観察像を表示する場合には、取得した画像データを縮小あるいは拡大することで、試料観察領域の大きさに合わせる。
また、試料観察領域内の任意の領域を指定し、この指定範囲を拡大して表示することもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の分析装置を説明するための概略図である。なお、ここでは、分析装置として蛍光X線分析装置を例として説明するが、分析装置は蛍光X線分析装置に限らない。
【0015】
分析装置1は、例えば蛍光X線分析装置では、試料に一次X線を照射するX線源3と、照射X線で励起されて発生した特性X線を検出する検出器4と、試料Sの試料観察像を撮像する例えばCCDカメラ等からなる試料観察手段2と、試料Sを支持すると共に、試料に対する一次X線の照射位置を位置決めする試料ステージ5を備える。
【0016】
また、分析装置1は、試料観察像や分析スペクトル等を表示する表示手段6、測定位置の指定や指令を入力する入力手段7、分析位置制御や表示制御の他、各種データ処理を行う制御手段10を備える。
【0017】
制御手段10は、試料ステージ5、あるいは試料観察装置2,X線源3,及び検出器4の移動による位置決めを制御する位置制御手段11を備える。この位置制御手段11は、試料ステージ5と、試料観察装置2,X線源3,及び検出器4との相対的な位置を制御して、試料S上の試料観察位置や分析位置を定める。試料ステージ5を移動させる場合には、試料ステージ5をX方向,Y方向,Z方向に移動させることにより位置を指定する。また、試料観察装置2,X線源3,及び検出器4を移動させる場合には、これらを移動する移動機構(図示していない)により試料Sに対する位置を定める。
【0018】
また、制御手段10は、試料観察装置2で取得した試料観察像や、検出器4で取得した分析スペクトルや、分析位置等の位置を表示手段6に表示するための表示制御手段12を備える。この表示制御手段12は、位置制御手段11あるいは後述する記憶手段13からの現在分析位置や指定位置などの位置データ、及びこの位置を領域内に含む試料観察領域を定める位置データなどの位置データに基づいて、表示手段6中の位置指定可能な範囲内に、現在分析位置、指定位置、試料観察領域を表示する。
【0019】
さらに、表示制御手段12は、試料観察装置2から現在の試料観察像データを取り込んだり、記憶手段13から予め取得して記憶しておいた試料観察像データを取り込み、この取り込んだ試料観察像データを縮小あるいは拡大して試料観察領域に組み込み、また、複数の画像を重ね合わせ画像処理を行った後、表示手段6に表示する。
【0020】
また、制御手段10は、各種データを記憶する記憶手段13を備える。記憶手段13は、分析位置を指定した測定点データを測定点リストとして記憶する測定点データ領域13a、試料観察装置2が取得した試料観察像データを記憶する試料観察像データ領域13b、検出器4が取得した分析スペクトルデータを記憶する分析スペクトルデータ領域13c等を備える。記憶手段13中に記憶された各種データは、表示制御手段12を介して表示手段6に表示することができる。
【0021】
本発明の分析装置によれば、表示制御手段によって、現在位置を内部に含む試料観察領域中に、その領域の試料観察像を大きさを合わせて組み込む画像処理を行うことにより、位置指定可能な範囲と現在位置との関係、及び試料観察画像を表示することができる。また、同様に、指定済みの測定位置を含む試料観察領域中に、その領域の試料観察像を大きさを合わせて組み込む画像処理を行うことにより、位置指定可能な範囲と指定して測定位置との関係、及び試料観察画像を表示することができる。
【0022】
以下、本発明の分析装置による動作例について、図2のフローチャート、及び図3〜図7の表示画像例を用いて説明する。なお、フローチャート中において、(PC)が記載される行程は、分析装置中の制御手段が行う処理を示している。
【0023】
はじめに、分析装置の位置指定可能な範囲内に、現在の分析位置、及びその分析位置を含む試料観察領域を表示する。なお、位置指定可能な範囲は、分析装置1が備える試料ステージ5の移動範囲や、試料観察装置2,X線源3,検出器4等の位置を定める移動機構等の位置決め装置の移動範囲などによって定まり、この移動範囲内にある試料について分析を行うことができる。
【0024】
図3において、位置指定可能範囲は符号Aで示している。位置指定可能範囲A内に、現在の分析位置P(図中の点)、及びその分析位置Pを領域内に含む試料観察領域B(図中の枠表示部分)を表示する。試料観察領域Bは、試料観察手段が観察する範囲を示している。この時点で、現在位置での試料観察像を取得し(ステップS1)、試料観察領域Bの大きさに合わせて試料画像を表示する(ステップS2)。
【0025】
観察者は、位置指定可能範囲Aと、現在の分析位置P、及び試料観察領域Bの位置関係を参照して、分析を行う測定位置Qを指定する(ステップS4)。表示制御手段12は、指定した測定位置Qの位置データに基づいて、位置指定可能範囲A内に、指定した測定位置Qと、この測定位置Qに伴う試料観察領域Bを表示する。図3(b)は、位置指定可能範囲A内に表示される、指定した測定位置Qと、この測定位置Qに伴う試料観察領域Bを示している(ステップS5)。
【0026】
位置制御手段11は、指定した測定位置Qに試料観察装置2の焦点が位置合わせされるように位置制御する(ステップS6)。この位置制御の後、試料観察装置2によって試料Sの試料観察像を取得する。このとき取得される試料観察像は、指定した測定位置Qに対応する試料観察領域Bの範囲の像である(ステップS7)。
【0027】
表示制御手段12は、試料観察領域Bに取得した試料観察像を表示する。このとき、試料観察像を縮小あるいは拡大する画像処理を行って、試料観察領域Bの大きさに合わせた試料観察像を埋め合わせる。
【0028】
図4は、試料観察領域B内に、現在位置における試料観察像Cを埋め込んで表示した状態を示している。また、図5は、現在位置から指定した測定位置まで視野範囲が移動する際の表示状態を示している。この表示状態では、現在位置Pから指定した測定位置Qまで、各移動位置における試料観察像を取得し、移動する試料観察領域Bに取得した試料観察像を表示しながら更新する。
これによって、各位置における視野範囲の移動経過は、各位置における試料観察像の変化により確認することができる(ステップS8)。
【0029】
観察者は、表示手段6に表示される試料観察像を参照することにより、測定位置を確認する(ステップS9)。測定位置を確認した後、測定位置を登録する。登録した測定位置を、記憶手段13に測定点データ13aを記憶する(ステップS10)。また、記憶手段13に試料観察像データ13bを記憶し、測定位置の試料観察像を静止画像により保存する(ステップS11)。
【0030】
表示制御手段12は、試料観察装置2で取得する現在の試料観察像と、記憶手段13から読み出した試料観察像データ13bの静止画像とを重ね合わせて、表示手段6に表示する。
【0031】
図6は、現在位置の試料観察像、指定済みの測定位置での静止画像を表示した例である。試料観察像及び静止画像は、位置指定可能範囲A内に表示される試料観察領域の大きさに応じて、縮小して表示される。
なお、縮小率は、表示されている全域Aの大きさαと、試料観察装置で一度に測定できる視野範囲Bの大きさβに基づいて決定される。この大きさα、βは、予め表示制御手段等に入力しておくことができる。
【0032】
また、このとき、拡大表示を行うこともできる。図7は、拡大表示例を示す図である。この拡大表示では、指定済みの測定位置における試料観察像を拡大した試料観察領域に合わせて画像拡大を行う。
【0033】
これにより、位置指定可能範囲A内には、現在の分析位置における試料観察像と、指定した測定位置における試料観察像の静止画像とが同時に表示される。なお、現在の分析位置における試料観察像は、動画により表示することもできる(ステップS12)。
測定位置の登録が完了するまで、前記ステップS4〜ステップS12を繰り返す(ステップS13)。
【0034】
測定点の登録が完了した後、登録点を読み出して(ステップS14)表示手段6に表示し(ステップS15)、分析点を選択する(ステップS16)。選択した分析点について分析を行い(ステップS17)、取得した分析スペクトルを表示すると共に保存する(ステップS18)。
【0035】
また、試料観察装置が、試料を真上からではなく、斜め方向から観察する位置に配置されている場合には、動画あるいは静止画を透視変換し、真上から見た画像に変換した後、表示するようにしてもよい。
また、試料観察装置が、倍率切り替え機能を備える場合には、その倍率での視野範囲に応じて、動画あるいは静止画の縮小率を調整して表示するようにしてもよい。
【0036】
本発明の構成によれば、一度に試料の一部しか観察できない試料観察装置であっても、試料の注目部分の測定位置の画像が複数表示され、位置関係と大きさが正しく表示されるため、全体像の把握が容易となる。
【0037】
また、本発明の構成によれば、試料全面の静止画像を取得するのではなく、必要最小限の注目範囲のみの画像を取得すればよいため、位置指定に要する時間を短縮することができる。
また、本発明の構成によれば、表示範囲の拡大、縮小が可能であるため、測定位置の設定もれの確認が容易となる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、位置指定可能な範囲と現在位置や指定済みの試料位置との関係を表示することができる。また、試料観察画像をリアルタイムで表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分析装置を説明するための概略図である。
【図2】本発明の分析装置による動作例を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の分析装置による動作例を説明するため表示画像例であり、位置及び試料観察領域の表示例である。
【図4】本発明の分析装置による動作例を説明するため表示画像例であり、現在位置、試料観察領域,及び試料観察像の表示例である。
【図5】本発明の分析装置による動作例を説明するため表示画像例であり、視野範囲の移動時における試料観察像の表示例である。
【図6】本発明の分析装置による動作例を説明するため表示画像例であり、複数の試料観察像の表示例である。
【図7】本発明の分析装置による動作例を説明するため表示画像例であり、試料観察像の拡大表示例である。
【図8】従来の分析位置の指定を説明するための図である。
【符号の説明】
1…分析装置、2…試料観察装置、3…X線源、4…検出器、5…試料ステージ、6…表示手段、7…入力手段、10…制御手段、11…位置制御手段、12…表示制御手段、13…記憶手段、13a…測定点データ、13b…試料観察像データ、13c…分析スペクトルデータ、100…位置指定可能な領域、101…現在位置分析領域、102…試料観察像。
Claims (1)
- 試料観察機構と分析位置移動機構を備え、分析位置移動機構が位置指定可能とする範囲が、試料観察機構が一回の試料観察で観察する領域よりも広い分析装置であって、
前記位置指定可能範囲を図示するとともに、その内部に現在の分析位置および指定位置、並びに前記各位置を内部に含む各試料観察領域を図示し、加えて前記各位置での試料観察像を表示する表示手段および当該表示手段を制御する表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、現在の分析位置から指定位置までの各移動位置における試料観察像を取得し、移動する試料観察領域に取得した試料観察像を組み込み、試料観察領域を試料観察像と共に移動表示することを特徴とする、分析装置。
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