JP3876514B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、空調ケース内通路を内気側の第1空気通路と外気側の第2空気通路とに区画形成することにより、フット開口部からは暖められた高温内気を再循環して吹き出し、一方、デフロスタ開口部からは低湿度の外気を吹き出す、いわゆる内外気2層流モードが設定可能な車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の内外気2層流モードが設定可能な車両用空調装置は、特開平5−124426号公報等にて知られており、この従来技術の概要を説明すると、空調ケースの一端側に内気吸入口および外気吸入口が形成され、他端側にはフット開口部、デフロスタ開口部、およびフェイス開口部がそれぞれ形成されている。
【0003】
そして、この空調ケース内に、上記内気吸入口から上記フェイス開口部およびフット開口部にかけての第1空気通路と、上記外気吸入口から上記デフロスタ開口部にかけての第2空気通路とを区画形成する仕切り板が設けられている。
さらに、上記両空気通路内には、暖房用熱交換器、この暖房用熱交換器をバイパスするバイパス通路、およびエアミックスドアがそれぞれ設けられた構成となっている。
【0004】
そして、吹出モードとしてフェイスモード、バイレベルモード、およびフットモードのいずれかが選択されたときは、そのときの内外気モードが内気循環モードであれば、上記両空気通路内に内気を導入し、外気導入モードであれば、上記両空気通路内に外気を導入する。また、吹出モードとしてデフロスタモードが選択されたときは、上記両空気通路内に外気を導入する。
【0005】
さらに、吹出モードとしてフットデフロスタモードが選択されたときは、第1空気通路内に内気を導入し、第2空気通路内に外気を導入する2層流モードとする。これによって、既に温められている内気を再循環してフット開口部から吹き出して車室内を暖房できるので、車室内への吹出空気温度が高くなり、暖房性能を向上できる。これと同時に、デフロスタ開口部からは低湿度の外気を窓ガラスへ吹き出すので、窓ガラスの防曇性能を確保できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、空調装置各部品の製造上の寸法ばらつき、熱交換器の組付性等を考慮すると、上記第1、第2空気通路の仕切り板と熱交換器との間を完全に仕切ることはできず、所定の隙間を設定する必要がある。その結果、この熱交換器部の隙間を通過して、第1空気通路の内気が第2空気通路の外気中に混入するという事態が発生し、第2空気通路のデフロスタ開口部からの吹出空気の湿度が上昇して、窓ガラスの防曇性能を悪化させる恐れがあった。
【0007】
そこで、本発明は上記点に鑑みて、第1空気通路の内気が熱交換器部の隙間から第2空気通路の外気中に混入することを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、内外気2層流モードが設定可能な車両用空調装置において、内気が流れる第1空気通路(8、80)と、外気が流れる第2空気通路(9、90)との間を区画する仕切り板(10、15a〜15c)を備え、暖房用熱交換器(13)の空気流れ上流側の仕切り板(15b)に比して空気流れ下流側の仕切り板(15c)を第2空気通路(9、90)側へ階段状にずらして配置したことを特徴している。
【0009】
これによると、フット開口部(25)とデフロスタ開口部(19)の両方を同時に開口する吹出モードにおいて、内外気切替手段(2、2a、3、4、5)により内外気2層流モードが選択されたときに、暖房用熱交換器上流側の仕切り板(15b)と暖房用熱交換器下流側の仕切り板(15c)との位置ずれによる段差(a、b)部分に、第2空気通路(9、90)を流れる外気の動圧が作用して、この段差部分を通過して外気が第1空気通路(8、80)側へ流入する。
【0010】
それ故、熱交換器(13)と仕切り板(15b、15c)との間にたとえ隙間があっても、この隙間を内気が通過することはない。そのため、第2空気通路(9、90)の外気中に内気が混入するのを確実に防止でき、窓ガラスの防曇性能を常に良好に維持できる。
また、請求項2記載の発明では、暖房用熱交換器(13)の空気流れ上流側に冷房用熱交換器(12)を第1空気通路(8、80)と第2空気通路(9、90)の両方に跨がって配置するとともに、
冷房用熱交換器(12)の空気流れ上流側の仕切り板(15a)と、冷房用熱交換器(12)と暖房用熱交換器(13)の間に位置する仕切り板(15b)と、暖房用熱交換器(13)の空気流れ下流側の仕切り板(15c)とを第2空気通路(9、90)側へ順次階段状にずらして配置したことを特徴としている。
【0011】
これによると、両熱交換器(12、13)と仕切り板(15a、15b、15c)との間にそれぞれ隙間があっても、仕切り板の位置ずれによる段差(a、b)部分を外気が通過するので、熱交換器部の隙間を内気が通過することはなく、窓ガラスの防曇性能を常に良好に維持できる。
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図に示す実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態を示すものであり、ディーゼルエンジン車のように、温水(エンジン冷却水)温度が比較的低い温度となる低熱源車に適用したものである。
空調装置通風系は、大別して、送風機ユニット1と空調ユニット100の2つの部分に分かれている。空調ユニット100部は、車室内の計器盤下方部のうち、車両左右方向の略中央部に配置されるものであり、一方、送風機ユニット1は図1の図示形態では、空調ユニット100の車両前方側に配置する状態を図示している。すなわち、空調ユニット100を車室内に配置し、送風機ユニット1はエンジンルーム内において空調ユニット100の前方位置に配置するレイアウトとしている。
【0013】
ここで、送風機ユニット1を車室内において空調ユニット100の側方(助手席側)にオフセット配置するレイアウトとすることもできる。
まず、最初に、送風機ユニット1部を具体的に説明すると、送風機ユニット1には内気(車室内空気)を導入する第1、第2の2つの内気導入口2、2aと、外気(車室外空気)を導入する1つの外気導入口3が備えられている。これらの導入口2、2a、3はそれぞれ第1、第2の2つの内外気切替ドア4、5によって開閉可能になっている。
【0014】
この両内外気切替ドア4、5は、それぞれ回転軸4a、5aを中心として回動操作される平板状のものであって、図示しないリンク機構、ケーブル等を介して、空調操作パネル(図示せず)の内外気切替用手動操作機構(レバーやダイヤルを用いた機構)に連結され、連動操作するか、あるいは、両内外気切替ドア4、5をサーボモータを用いた内外気切替用アクチュエータ機構により連動操作する。
【0015】
本例では、内気導入口2、2aと外気導入口3と内外気切替ドア4、5と上記手動操作機構またはアクチュエータ機構とにより内外気切替手段が構成されている。
そして、上記導入口2、2a、3からの導入空気を送風する第1(内気側)ファン6および第2(外気側)ファン7が、送風機ユニット1内に配置されている。この両ファン6、7は周知の遠心多翼ファン(シロッコファン)からなるものであって、1つの共通の電動モータ6bにて同時に回転駆動される。
【0016】
図1は後述する2層流モードの状態を示しており、第1内外気切替ドア4は第1内気導入口2を開放して外気導入口3からの外気通路3aを閉塞しているので、第1(内気側)ファン6の吸入口6aに内気が吸入される。これに対し、第2内外気切替ドア5は第2内気導入口2aを閉塞して外気導入口3からの外気通路3bを開放しているので、第2(外気側)ファン7の吸入口7aに外気が吸入される。
【0017】
従って、この状態では、第1ファン6は、内気導入口2からの内気を第1空気通路(内気側通路)8に送風し、第2ファン7は、外気導入口3からの外気を第2空気通路(外気側通路)9に送風するようになっており、第1、第2空気通路8、9は、第1ファン6と第2ファン7との間に配置された仕切り板10により仕切られている。この仕切り板10は、両ファン6、7を収納する樹脂製のスクロールケーシング10aに一体成形できる。
【0018】
なお、本実施形態では、第1ファン6の外径を大とし、第2ファン7の外径を小にしている。これは、第1ファン6側において、電動モータ6bの存在により吸入口6aの開口面積が減少するのを防止するためである。
次に、空調ユニット100部は空調ケース11内に蒸発器(冷房用熱交換器)12とヒータコア(暖房用熱交換器)13とを両方とも一体的に内蔵するタイプのものである。空調ケース11はポリプロピレンのような、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂製の複数の分割ケースからなる。この複数の分割ケース内に、上記熱交換器12、13、後述するドア等の機器を収納した後に、この複数の分割ケースを金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合することにより、空調ユニット100部が組み立てられる。
【0019】
空調ケース11内において、最も車両前方側の部位に蒸発器12が設置され、空調ケース11内の第1、第2空気通路80、90の全域を横切るように蒸発器12が配置されている。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して、空調空気を冷却するものである。ここで、蒸発器12は図1に示すように、車両前後方向には薄型の形態で空調ケース11内に設置されている。
【0020】
また、空調ケース11内部の空気通路は、蒸発器12の上流部からヒータコア13の下流部に至るまで、仕切り板15a、15b、15cにより車両下方側の第1空気通路(内気側通路)80と車両上方側の第2空気通路(外気側通路)90とに仕切られている。この仕切り板15a〜15cは空調ケース11に樹脂にて一体成形され、車両左右方向に略水平に延びる固定仕切り部材である。
【0021】
なお、蒸発器12は周知の積層型のものであって、アルミニュウム等の金属薄板を最中状に2枚張り合わせて構成した偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたものである。
ヒータコア13は、蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に、所定の間隔を開けて隣接配置されている。このヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に高温のエンジン冷却水(温水)が流れ、この冷却水を熱源として空気を加熱するものである。このヒータコア13も蒸発器12と同様に、車両前後方向には薄型の形態で空調ケース11内に設置されている。
【0022】
また、ヒータコア13は、仕切り板15bと15cの間において、第1空気通路80と第2空気通路90の両方に跨がって、かつ、第1、第2空気通路80、90の全域を横切るように配置されている。
なお、ヒータコア13は周知のものであって、アルミニュウム等の金属薄板を溶接等により断面偏平状に接合してなる偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたものである。本例のヒータコア13は、温水入口側タンク13aを下方の第1空気通路80側に配置するとともに、温水出口側タンク13bを上方の第2空気通路90側に配置している。
【0023】
そして、この両タンク13a、13bの間に上記偏平チューブおよびコルゲートフィンからなる熱交換コア部13cを構成している。従って、ヒータコア13は温水入口側タンク13aからの温水が熱交換コア部13cの偏平チューブを下方から上方への一方向に流れる一方向流れタイプ(全パスタイプ)として構成されている。
【0024】
また、ヒータコア13に流入する温水の流量(または温水の温度)を調整する温水弁14をヒータコア13への温水回路に設けて、この温水弁14の温水流量(または温水温度)の調整作用により車室内への吹出空気温度を調整できるようにしてある。つまり、本例では、この温水弁14により車室内への吹出空気温度を調整する温度調整手段を構成している。
【0025】
次に、空調ケース11の上面部には、ヒータコア13直後の第2空気通路90に連通するデフロスタ開口部19が開口している。このデフロスタ開口部19は図示しないデフロスタダクトおよびデフロスタ吹出口を介して、車両窓ガラス内面に向けて風を吹き出すためのものである。このデフロスタ開口部19は、回転軸20aにより回動自在な平板状のデフロスタドア20により開閉される。
【0026】
空調ケース11の上面部の最も車両後方側(乗員寄り)の部位には、第2空気通路90と直接連通するフェイス開口部21が開口している。このフェイス開口部21は図示しないフェイスダクトを介して計器盤上方部のフェイス吹出口より乗員頭部に向けて風を吹き出すためのものである。このフェイス開口部21は、回転軸22aにより回動自在なバタフライ状のフェイスドア22により開閉される。
【0027】
前述した仕切り板15cの最も空気下流側の端部と、空調ケース11の壁面11aとの間に、第1、第2空気通路80、90の間を連通する連通口23が設けてられている。
また、空調ケース11の下面のうち、車両後方側の部位にはフット開口部25が開口しており、このフット開口部25は第1空気通路80においてヒータコア13の空気下流側の部位にフット用入口部26を介して連通している。このフット開口部25は図示しないフットダクトを介してフット吹出口から車室内の乗員足元に温風を吹き出すためのものである。
【0028】
フット用入口部26と連通口23との間に、回転軸27aにより回動自在な平板状のフットドア27が配置され、このフットドア27によりフット用入口部26と連通口23が切替開閉される。
なお、デフロスタドア20、フェイスドア22、およびフットドア27は吹出モード切替用のドア手段であって、図示しないリンク機構、ケーブル等を介して空調操作パネルの吹出モード切替用手動操作機構に連結されて、連動操作するか、あるいは、吹出モード切替用のドア手段をサーボモータを用いたモード切替用アクチュエータ機構により連動操作する。
【0029】
また、温水弁14は温度調整手段であって、図示しないリンク機構、ケーブル等を介して空調操作パネルの温度調整用手動操作機構に連結されて操作するか、あるいは、サーボモータを用いた温度調整用アクチュエータ機構により操作する。
上記した構成において、本発明は、空調ユニット100内における第1、第2空気通路80、90を仕切る仕切り板15a〜15cの配置形態に特徴を有している。すなわち、空気流れの上流から下流側に行くに従って複数の仕切り板15a〜15cの位置(配置場所)を第2空気通路90側へ順次、階段状にずらしている。
【0030】
具体的には、最上流の仕切り板15aの位置を最も低い位置に設定して、中間の仕切り板15bの位置を最上流の仕切り板15aより所定量の段差aだけ高くしている。そして、最下流の仕切り板15cの位置を中間の仕切り板15bよりさらに所定量の段差bだけ高くしている。ここで、通常は、段差aと段差bは同一寸法でよい。
【0031】
なお、蒸発器12と仕切り板15aとの間、蒸発器12と仕切り板15bとの間、ヒータコア13と仕切り板15bとの間、およびヒータコア13と仕切り板15cとの間には、それぞれ、空調装置各部品の製造上の寸法ばらつき、熱交換器の組付性等を考慮して所定寸法の隙間(図示せず)が設けられている。
次に、上記構成において本実施形態の作動を吹出モード別に説明する。
【0032】
(1)フット吹出モード
冬期の暖房始動時のごとく、最大暖房状態を設定するときは、内外気切替用操作機構が操作されて、2層流モードが設定される。すなわち、送風機ユニット1において、第1内外気切替ドア4が第1内気導入口2を開放し、外気導入口3からの外気通路3aを閉塞する。また、第2内外気切替ドア5が第2内気導入口2aを閉塞し、外気導入口3からの外気通路3bを開放する。
【0033】
これにより、第1送風ファン6は、内気を第1内気導入口2から吸入口6aを経て吸入し、これと同時に、第2送風ファン7は、外気を外気導入口3から外気通路3b、吸入口7aを経て吸入する。そして、第1送風ファン6により送風される内気は、第1空気通路8を通って、空調ユニット100の第1空気通路80を流れる。また、第2送風ファン7により送風される外気は、第2空気通路9を通って、空調ユニット100の第2空気通路90を流れる。
【0034】
一方、吹出モード切替用操作機構が操作されて、フットドア27はフット用入口部26を開放して、連通口23を閉塞する実線位置に操作される。また、フェイスドア22はフェイス開口部21を閉塞する。デフロスタドア20は図示の実線位置と2点鎖線位置の中間に操作されて、デフロスタ開口部19を少量開放する。
【0035】
一方、最大暖房時には温度調整用操作機構により温水弁14が全開状態になるので、ヒータコア13に最大流量の温水が流れる。そして、第1空気通路80を流れる内気は、蒸発器12を通過した後、ヒータコア13にて加熱されて、温風となり、フット用入口部26、フット開口部25を経て車室内の乗員足元に吹き出す。
【0036】
これと同時に、第2空気通路90を流れる外気は、蒸発器12を通過した後、ヒータコア13にて加熱されて、温風となり、デフロスタ開口部19を経て車両窓ガラス内面に吹き出す。この場合、第1空気通路8、80側では、外気に比して高温の内気を再循環してヒータコア13で加熱しているので、乗員足元への吹出温風温度が高くなり、暖房効果を向上できる。
【0037】
一方、デフロスタ開口部19からは、内気に比して低湿度の外気を加熱して吹き出しているので、窓ガラスの曇り止めを良好に行うことができる。
しかも、空気流れの上流から下流側に行くに従って複数の仕切り板15a〜15cの位置を第2空気通路90側へ順次、階段状にずらしているから、蒸発器12と仕切り板15a、15bとの間、およびヒータコア13と仕切り板15b、15cとの間に、それぞれ、所定寸法の隙間があっても、上記した内外気2層流モードにおいて、第1空気通路80の内気が第2空気通路90の外気中に混入するのを防止できる。
【0038】
すなわち、複数の仕切り板15a〜15cの位置を第2空気通路90側へ順次階段状にずらすことにより、第2空気通路90の外気の動圧が段差a、b部分に作用する。その結果、蒸発器12を通過する外気の一部が矢印Aのように段差aによる隙間を通って第1空気通路80側へ流入する。同様に、ヒータコア13を通過する第2空気通路90の外気の一部が矢印Bのように段差bによる隙間を通って第1空気通路80側へ流入する。
【0039】
従って、熱交換器12、13と仕切り板15a、15b、15cとの間にたとえ隙間があっても、この隙間を内気が通過することはない。そのため、第2空気通路90の外気中に内気が混入するのを確実に防止でき、窓ガラスの防曇性能を常に良好に維持できる。
なお、フット吹出モードでは、通常、デフロスタ開口部19からの吹出風量を20%程度、フット開口部25からの吹出風量を80%程度の風量割合に設定するが、デフロスタドア20によりデフロスタ開口部19の開度を少量にし、かつ、第2空気通路90側の外気温風の一部を上記段差a、bによる隙間部分を通して第1空気通路80側の内気温風の中に混入することにより、上記風量割合を達成することができる。
【0040】
次に、車室内温度が上昇して、暖房負荷が減少すると、吹出空気温度制御のため、温水弁14を全開位置(最大暖房状態)から中間開度位置に操作し、ヒータコア13に流入する温水流量を減少させる。
中間温度制御域では、最大暖房能力を必要としていないため、内外気吸入モードは、通常、第1、第2の内気導入口2、2aをともに閉塞し、外気導入口3を開放する全外気モードに設定するのがよい。しかし、乗員の手動操作よる設定にて、外気導入口3を閉塞して、第1、第2の内気導入口2、2aをともに開放する全内気モードとしたり、前述のように内気と外気とを同時に導入する内外気2層流モードとすることもできる。
【0041】
(2)フットデフロスタ吹出モード
フットデフロスタ吹出モードでは、フット開口部25からの吹出風量と、デフロスタ開口部19からの吹出風量とを略同等(50%づつ)とするため、デフロスタドア20によりデフロスタ開口部19を全開する。また、フットドア27によりフット用入口部26を開放して、連通口23を閉塞し、フェイスドア22によりフェイス開口部21を閉塞する。
【0042】
上記デフロスタ開口部19の全開により、デフロスタ開口部19に第2空気通路90から流入する外気温風の風量が増加して、フット開口部25からの吹出風量と、デフロスタ開口部19からの吹出風量とを略同等にすることが可能となる。
温水弁14を全開する最大暖房時には、内外気の2層流モードを設定し、暖房効果の向上と窓ガラスの防曇性の確保との両立を図ることができるという点はフット吹出モードと同じである。また、温水弁14の開度調整により所望の中間温度制御が可能であり、また、中間温度制御域では、通常、全外気モードに設定するが、乗員の手動操作よる設定にて、全内気モードとしたり、内外気2層流モードとすることもできる。
【0043】
また、フットデフロスタ吹出モードにおける内外気2層流モードにおいても、第2空気通路90の外気の動圧が段差a、b部分に作用するので、熱交換器12、13と仕切り板15a、15b、15cとの間にたとえ隙間があっても、この隙間を内気が通過することはない。そのため、第2空気通路90の外気中に内気が混入するのを確実に防止でき、窓ガラスの防曇性能を常に良好に維持できる。
【0044】
(3)デフロスタ吹出モード
デフロスタ吹出モードにおいては、デフロスタドア20がデフロスタ開口部19を全開し、フェイスドア22がフェイス開口部21を、また、フットドア27がフット用入口部26をそれぞれ全閉する。従って、連通口23は全開状態となる。そのため、第1、第2空気通路80、90からの空調空気を全量、デフロスタ開口部19を通して窓ガラス内面のみに吹き出して、曇り止めを行う。このときは、窓ガラスの防曇性確保のために、通常、全外気吸入モードとする。
(4)フェイス吹出モード
フェイス吹出モードにおいては、フェイスドア22がフェイス開口部21を全開し、デフロスタドア20がデフロスタ開口部19を、またフットドア27がフット用入口部26をそれぞれ全閉する。従って、連通口23は全開状態となる。そのため、第1、第2空気通路80、90の下流部はいずれもフェイス開口部21に連通する。
【0045】
そのため、蒸発器12により冷却された冷風がヒータコア13により再加熱されて、温度調整された後、すべてフェイス開口部21側へ吹き出す。
このときも、内外気吸入モードは第1、第2内外気切替ドア4、5により、全内気、全外気、内外気2層流のいずれも選択可能となる。
なお、最大冷房状態では、全内気吸入モードとし、また、温水弁14が全閉状態となり、ヒータコア13への温水循環が遮断される。
【0046】
(5)バイレベル吹出モード
バイレベル吹出モードにおいては、フェイスドア22がフェイス開口部21を全開するとともに、フットドア27がフット用入口部26を全開し、連通口23を全閉する。デフロスタドア20はデフロスタ開口部19を全閉する。従って、フェイス開口部21とフット開口部25を通して、車室の上下両方から同時に風を吹き出すことができる。
【0047】
ここで、ヒータコア13が一方向流れタイプであるため、ヒータコア13の吹出側において、温水入口側に位置する第1空気通路80側の吹出空気温度を高くし、温水出口側に位置する第2空気通路90側の吹出空気温度を低くすることができる。
従って、全外気モードあるいは全内気モードであっても、第1空気通路80からのフット吹出温度に比して第2空気通路90からのフェイス吹出温度を低くすることができるので、車室内温度分布を頭寒足熱形の快適な状態とすることができる。
【0048】
(他の実施形態)
なお、上記の実施形態に限らず、本発明は種々な形態で実施可能であり、以下、本発明の他の実施形態について説明する。
▲1▼上記の実施形態では、ヒータコア13に流入する温水の流量(または温水の温度)を調整する温水弁14をヒータコア13への温水回路に設けて、この温水弁14の温水流量(または温水温度)の調整作用により車室内への吹出空気温度を調整できるようにしているが、ヒータコア13を通過する温風とヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合を調整して、吹出空気温度を調整する、いわゆるエアミックスタイプの空調装置にも本発明は適用できる。
【0049】
▲2▼バイレベル吹出モードにおいて、デフロスタ開口部19を微少開度開くようにしてもよい。例えば、フェイス開口部21、フット開口部25、およびデフロスタ開口部19からの吹出風量の割合が、例えば、45:40:15となるように、各開口部21、25、19の開度を設定して、各開口部21、25、19のすべてから同時に風を吹き出すようにしてもよい。
【0050】
▲3▼空調ユニット100内に蒸発器(冷房用熱交換器)12を配設しないタイプの空調装置にも本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の通風系の全体構成図である。
【符号の説明】
1…送風機ユニット、2、2a…内気導入口、3…外気導入口、
4、5…第1、第2内外気切替ドア、6、7…第1、第2ファン、
8、80…第1空気通路、9、90…第2空気通路、11…空調ケース、
12…蒸発器、13…ヒータコア、10、15a〜15c…仕切り板、
19…デフロスタ開口部、20…デフロスタドア、21…フェイス開口部、
22…フェイスドア、23…連通口、25…フット開口部、27…フットドア、
100…空調ユニット、a、b…段差。
Claims (2)
- 空調空気の吸入モードとして、内気と外気の両方を区分して同時に吸入する内外気2層流モードを選択可能な内外気切替手段(2、2a、3、4、5)と、
この内外気切替手段(2、2a、3、4、5)を通して吸入された空調空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
この暖房用熱交換器(13)を通過した空調空気を車室内乗員の足元に向けて吹き出すフット開口部(25)と、
前記暖房用熱交換器(13)を通過した空調空気を車両窓ガラス内面に向けて吹き出すデフロスタ開口部(19)と、
前記内外気切替手段(2、2a、3、4、5)から前記フット開口部(25)に向かって前記内気が流れる第1空気通路(8、80)と、
前記内外気切替手段(2、2a、3、4、5)から前記デフロスタ開口部(19)に向かって前記外気が流れる第2空気通路(9、90)と、
前記第1空気通路(8、80)と前記第2空気通路(9、90)との間を区画する仕切り板(10、15a〜15c)とを備え、
前記暖房用熱交換器(13)を前記第1空気通路(8、80)と前記第2空気通路(9、90)の両方に跨がって配置するとともに、
前記暖房用熱交換器(13)の空気流れ上流側の仕切り板(15b)に比して空気流れ下流側の仕切り板(15c)を前記第2空気通路(9、90)側へ階段状にずらして配置したことを特徴とする車両用空調装置。 - 前記暖房用熱交換器(13)の空気流れ上流側に冷房用熱交換器(12)を前記第1空気通路(8、80)と前記第2空気通路(9、90)の両方に跨がって配置するとともに、
前記冷房用熱交換器(12)の空気流れ上流側の仕切り板(15a)と、前記冷房用熱交換器(12)と前記暖房用熱交換器(13)の間に位置する仕切り板(15b)と、前記暖房用熱交換器(13)の空気流れ下流側の仕切り板(15c)とを前記第2空気通路(9、90)側へ順次階段状にずらして配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
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