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JP3871962B2 - グラフト共重合体及びそれを含有する耐衝撃性、難燃性樹脂組成物 - Google Patents

グラフト共重合体及びそれを含有する耐衝撃性、難燃性樹脂組成物 Download PDF

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JP3871962B2
JP3871962B2 JP2002133077A JP2002133077A JP3871962B2 JP 3871962 B2 JP3871962 B2 JP 3871962B2 JP 2002133077 A JP2002133077 A JP 2002133077A JP 2002133077 A JP2002133077 A JP 2002133077A JP 3871962 B2 JP3871962 B2 JP 3871962B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体およびそれを含有する耐衝撃性と難燃性に優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート系樹脂は、優れた耐衝撃性、耐熱性、電気的特性などにより、電気・電子部品、OA機器、家庭用品あるいは建築材料として広く用いられている。この樹脂はポリスチレン系樹脂などに比べると高い難燃性を有しているが、高い難燃性が要求される電気・電子部品、OA機器などの分野に使用される場合には各種難燃剤の添加により更に難燃化が行われる。難燃化には有機ハロゲン系化合物や有機リン系化合物の添加が従来広く行なわれているが、これらの化合物の多くは毒性の面で問題があり、近年、非ハロゲン・非リン系難燃剤による難燃化の要求が高まりつつある。
【0003】
非ハロゲン・非リン系難燃剤としては、ポリオルガノシロキサン系化合物の利用が提案されている。たとえば、特開昭54−36365号公報には、モノオルガノポリシロキサンからなるシリコーン樹脂を非シリコーンポリマーに混錬することで難燃性樹脂がえられることが記載されている。
【0004】
特公平3−48947号公報には、シリコーン樹脂と第IIA族金属塩の混合物が熱可塑性樹脂に難燃性を付与すると記載されている。
【0005】
特開平8−113712号公報には、ポリオルガノシロキサン100重量部とシリカ充填剤10〜150重量部とを混合することによって調製したシリコーン樹脂を熱可塑性樹脂に分散させることで難燃性樹脂組成物をうる方法が記載されている。
【0006】
特開平10−139964号公報には、重量平均分子量が1万以上27万以下の溶剤に可溶なシリコーン樹脂を芳香環を含有する非シリコーン樹脂に添加することで難燃性樹脂組成物がえられることが記載されている。
【0007】
しかしながら、前記公報記載のシリコーン樹脂は難燃性の付与の効果が不十分で、それを補うため量を増やすと樹脂組成物の耐衝撃性を悪化させる課題がある。
【0008】
特開2000−17029号公報には、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムにビニル系単量体をグラフト重合した複合ゴム系難燃剤を熱可塑性樹脂に配合することで難燃性樹脂組成物が得られることが記載されている。
【0009】
特開2000−226420号公報には、芳香族基を有するポリオルガノシロキサンとビニル系重合体との複合粒子にビニル系単量体をグラフトしたポリオルガノシロキサン系難燃剤を熱可塑性樹脂に配合することで難燃性樹脂組成物が得られることが記載されている。
【0010】
特開2000−264935号公報には、0.2μm以下のポリオルガノシロキサン粒子にビニル系単量体をグラフト重合したポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を熱可塑性樹脂に配合することで難燃性樹脂組成物が得られることが記載されている。
【0011】
前記特開2000−17029号公報、特開2000−226420号公報、特開2000−264935号公報に記載のいずれの難燃性樹脂組成物も、耐衝撃性は満足できるレベルであるが、難燃性が不十分であることから、難燃性・耐衝撃性バランスが悪いという課題を有している。
【0012】
耐衝撃性を改良する技術としては、熱可塑性樹脂にゴム成分を分散させる技術が幅広く知られている。例えば特公昭39−19035に示された方法等がある。更に耐衝撃性を向上させるためゴム成分に種々の工夫が行われ、例えばゴム成分の粒子径を大きくする方法(特公昭42−225419やゴム成分のTgを低くする方法(特開平2−1763、特開平8−100095)が提案されている。しかし、これらの工夫だけでは大幅な耐衝撃性の向上を期待する市場の要望に応えることは難しい。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、非ハロゲン・非リン系難燃剤として利用できる難燃性・耐衝撃性改良効果に優れたポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体の提供および該グラフト共重合体を用いて、難燃性・耐衝撃性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、親水性があり、かつオルガノシロキサンに膨潤するポリマーをシードポリマ−として用いたシ−ド重合により得られるラテックス状態のポリオルガノシロキサン含有するグラフト共重合体は難燃性・耐衝撃性改良効果に優れ、かつこのポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物が優れた難燃性・耐衝撃性を示すことを見出し本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、(A)親水性があり、かつオルガノシロキサンに膨潤するポリマーをシードポリマーとして用いたシード重合により得られるラテックス状態のポリオルガノシロキサン30〜95重量部(固形分)の存在下に(B)分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(b−1)100〜50重量%およびその他の共重合可能な単量体(b−2)0〜50重量%からなるビニル系単量体0〜10重量部を重合し、さらに(C)ビニル系単量体5〜70重量部[(A)、(B)および(C)合わせて100重量部]を重合してえられるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(請求項1)、親水性が、乾燥シードポリマーに20倍量(重量)の水を加えて室温で1時間攪拌した後の水への抽出率で10〜100重量%、オルガノシロキサンの膨潤性が、シードポリマーの50倍量(重量)のオルガノシロキサンをシードポリマーラテックスに添加して室温で1時間攪拌後のラテックス粒子径と元の粒子径の比から求めた膨潤体積比で3〜50倍であることを特徴とする請求項1記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(請求項2)、親水性が、乾燥シードポリマーに20倍量(重量)の水を加えて室温で1時間攪拌した後水への抽出率で50〜100重量%、オルガノシロキサンの膨潤性が、シードポリマーの50倍量(重量)のオルガノシロキサンをシードポリマーラテックスに添加して室温で1時間攪拌後のラテックス粒子径と元の粒子径の比から求めた膨潤体積比で3〜15倍であることを特徴とする請求項1記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(請求項3)、ビニル系単量体(C)が芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびカルボキシル基含有ビニル系単量体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体である請求項1、2または3記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(請求項4)、請求項1記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体からなる難燃剤(請求項5)および熱可塑性樹脂100重量部に対して請求項記載の難燃剤0.1〜30重量部を配合してなる耐衝撃性と難燃性に優れた樹脂組成物(請求項6)に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体は、(A)親水性があり、かつオルガノシロキサンに膨潤するポリマーをシードポリマ−として用いたシ−ド重合により得られるラテックス状態のポリオルガノシロキサン30〜95部(重量部、以下同様)の存在下に(B)分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(b−1)100〜50%(重量%、以下同様)およびその他の共重合可能な単量体(b−2)0〜50%からなるビニル系単量体0〜10部を重合し、さらに(C)ビニル系単量体5〜70部[(A)、(B)および(C)合わせて100部]を重合してえられるものである。
【0017】
本発明に用いるシードポリマーは通常の乳化重合でも得られるが、合成法を特に限定しない。シードポリマーはアクリル酸ブチルゴムやブタジエン系ゴム等のゴム成分に限定されるものではなく、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体やスチレン−アクリロニトリル共重合体等の硬質重合体でも問題ないが、水を粒子内に取り込むために、次の段階で生成するゴムのモノマーに十分膨潤することと強い親水性を持つ必要がある。
【0018】
シードポリマーのオルガノシロキサンに対する膨潤性を向上させる方法としては、まず極性等がオルガノシロキサンに適したシードポリマーにするこどが重要であり、次に連鎖移動剤の使用、高い重合温度や多い開始剤利用の選択などによりシードポリマーの分子量を著しく低くすることが有効である。
【0019】
シードポリマーの親水性は、乾燥シードポリマーに20倍量(重量)の水を加えて室温で1時間攪拌した後の水への抽出率で測定できる。その値が1%以上あればよい。好ましくは10〜100重量%、更に好ましくは50〜100%である。
【0020】
シードポリマーのオルガノシロキサンへの膨潤性は、シードポリマーの50倍量(重量)のオルガノシロキサンをシードポリマーラテックスに添加して室温で1時間攪拌後のラテックス粒子径と元の粒子径の比から求めた膨潤体積比で測定できる。その値が1.5倍以上あればよい。好ましくは3〜50倍であり、更に好ましくは3〜15倍である。
【0021】
これらの範囲内が難燃性と耐衝撃性の改善効果が著しい。
(A)ラテックス状態のポリオルガノシロキサンの平均粒子径は、光散乱法または電子顕微鏡観察から求められ、0.008〜0.6μmが好ましいが、0.01〜0.2μmにするとさらに好ましい。平均粒子径が0.008μm未満のものをうることは困難な傾向にあり、0.6μmを越えると難燃性や耐衝撃性が悪くなる傾向にある。
【0022】
前記ポリオルガノシロキサンは単独で用いてもよいし、ジフェニルシロキサン等との共重合体でもよい。
【0023】
前記ポリオルガノシロキサン(A)は、たとえば、(1)オルガノシロキサン、(2)2官能シラン化合物、(3)オルガノシロキサンと2官能シラン化合物、(4)オルガノシロキサンとビニル系重合性基含有シラン化合物、(5)2官能シラン化合物とビニル系重合性基含有シラン化合物あるいは(6)オルガノシロキサン、2官能シラン化合物及びビニル系重合性基含有シラン化合物等を重合するあるいはこれらに更に3官能以上のシラン化合物を加えて重合することによりうることができる。
【0024】
前記オルガノシロキサンはポリオルガノシロキサン鎖の主骨格を構成する成分であり、オルガノシロキサンの具体例としては、たとえばヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン(D7)、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン(D8)などがあげられる。2官能シラン化合物の具体例としては、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0025】
前記ビニル系重合性基含有シラン化合物は、前記オルガノシロキサン、2官能シラン化合物、3官能以上のシラン化合物などと共重合し、共重合体の側鎖または末端にビニル系重合性基を導入するための成分であり、このビニル系重合性基は後述するビニル系単量体(B)またはビニル系単量体(C)から形成されるビニル系(共)重合体と化学結合する際のグラフト活性点として作用する。さらには、ラジカル重合開始剤によってグラフト活性点間をラジカル反応させて架橋結合を形成させることができ架橋剤としても使用できる成分でもある。
【0026】
前記ビニル系重合性基含有シラン化合物の具体例としては、たとえば、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン化合物、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシランなどのビニルフェニル基含有シラン化合物、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基含有シラン化合物、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルジメトキシメチルシランなどのメルカプト基含有シラン化合物があげられる。
【0027】
前記3官能以上のシラン化合物の具体例としては、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランなどの4官能、3官能のアルコキシシラン化合物などがあげられる。
【0028】
前記オルガノシロキサン、2官能シラン化合物、ビニル系重合性基含有シラン化合物、および3官能以上のシラン化合物の重合時の使用割合は、通常、オルガノシロキサンおよび/または2官能シラン化合物(オルガノシロキサンと2官能シラン化合物との割合は、通常重量比で100/0〜0/100、さらには100/0〜70/30)50〜99.9%、さらには60〜99.5%、ビニル系重合性基含有シラン化合物0〜40%、さらには0.5〜30%、3官能以上のシラン化合物0〜50%、さらには0〜39%であるのが好ましい。なお、ビニル系重合性基含有シラン化合物、3官能以上のシラン化合物は同時に0%になることはなく、いずれかは0.1%以上使用するのが好ましい。
【0029】
前記オルガノシロキサンおよび2官能シラン化合物の使用割合があまりにも少なすぎるばあいには、配合して得られた樹脂組成物が脆くなる傾向がある。また、あまりにも多いばあいは、ビニル系重合性基含有シラン化合物および3官能以上のシラン化合物の量が少なくなりすぎて、これらを使用する効果が発現されにくくなる傾向にある。また、前記ビニル系重合性基含有シラン化合物あるいは前記3官能以上のシラン化合物の割合があまりにも少ないばあいには、難燃性の発現効果が低くなり、また、あまりにも多いばあいには、配合して得られた樹脂組成物が脆くなる傾向がある。
【0030】
前記ポリオルガノシロキサン(A)は、たとえば、前記オルガノシロキサン、2官能シラン化合物、ビニル系重合性基含有シラン化合物等、必要に応じて使用される3官能以上のシラン化合物を加えてなるポリオルガノシロキサン形成成分を乳化重合することにより製造することが好ましい。
【0031】
前記ビニル系単量体(B)は、難燃化効果および耐衝撃性改良効果を向上させるために使用するものであり、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(b−1)100〜50%、好ましくは100〜80%、およびその他の共重合可能な単量体(b−2)0〜50%、好ましくは0〜20%からなる。多官能性単量体(b−1)の量が少なすぎる場合、共重合可能な単量体(b−2)の量が多すぎる場合、いずれも、最終的にえられるグラフト共重合体の耐衝撃性改良効果が低くなる傾向にある。
【0032】
多官能性単量体(b−1)の具体例としては、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジビニルベンゼンなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0033】
共重合可能な単量体(b−2)の具体例としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体などがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記ビニル系単量体(C)は、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体をうるために使用される成分であるが、さらには該グラフト共重合体を熱可塑性樹脂に配合して難燃性および耐衝撃性を改良するばあいに、グラフト共重合体と熱可塑性樹脂との相溶性を確保して熱可塑性樹脂にグラフト共重合体を均一に分散させるために使用される成分でもある。具体的な単量体としては前記ビニル系単量体(B)中のその他の共重合可能な単量体(b−2)と同じものが挙げられる。
【0035】
乳化重合によってえられたグラフト共重合体ラテックスからポリマーを分離する方法としては、たとえばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの金属塩を添加することによりラテックスを凝固、分離、水洗、脱水し、乾燥する方法などがあげられる。また、スプレー乾燥法も使用できる。
【0036】
このようにしてえられるグラフト共重合体は、各種の熱可塑性樹脂に配合され、難燃性・耐衝撃性に優れた難燃性樹脂組成物を与える。
【0037】
前記熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネートを50%以上含んだポリカーボネート系樹脂が良好な難燃性が得られるという点で好ましい。ポリカーボネート系樹脂の好ましい具体例としては、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート混合樹脂およびポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート混合樹脂などのポリカーボネート/ポリエステル混合樹脂、ポリカーボネート/アクリロニトリル−スチレン共重合体混合樹脂、ポリカーボネート/ブタジエン−スチレン共重合体(HIPS樹脂)混合樹脂、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体(ABS樹脂)混合樹脂、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエンゴム−α−メチルスチレン共重合体混合樹脂、ポリカーボネート/スチレン−ブタジエンゴム−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体混合樹脂、ポリカーボネート/アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体(AAS樹脂)混合樹脂などを用いることができる。また、混合樹脂同士をさらに混合して使用してもよい。
【0038】
熱可塑性樹脂に対する前記ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体の添加量としては、難燃性・耐衝撃性の点から熱可塑性樹脂100部に対して、該グラフト共重合体0.1〜30部を配合することが好ましい。
【0039】
前記ラテックスから分離されたポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体からなる難燃剤の粉体と熱可塑性樹脂との混合は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダーなどで混合したのち、ロール、押出機、ニーダーなどで熔融混練することにより行うことができる。
【0040】
このとき、通常使用される配合剤、すなわち酸化防止剤、滴下防止剤、高分子加工助剤、難燃剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、顔料、ガラス繊維、充填剤、高分子滑剤などを配合することができる。
【0041】
難燃性樹脂組成物の成形法としては、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形に用いられる成形法、すなわち、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法などを適用することができる。
【0042】
本発明の難燃性樹脂組成物から得られる成形品の用途としては、特に限定されないが、たとえば、デスクトップ型コンピューター、ノート型コンピューター、タワー型コンピューター、サーバー型コンピューター、プリンター、コピー機、FAX機、携帯電話、PHS、TV、ビデオデッキ等の各種OA/情報/家電機器のハウジングおよびシャーシー部品、各種建材部材および各種自動車部材などの難燃性が必要となる用途があげられる。
【0043】
えられた成形品は耐衝撃性および難燃性に優れたものとなる。
【0044】
【実施例】
本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。
【0045】
実施例および比較例における測定および試験はつぎのように行った。
【0046】
シードポリマーおよびグラフト共重合体の平均粒子径は、リード&ノースラップインスツルメント社製のMICROTRAC UPAを用いて測定した。
【0047】
成形体の耐衝撃性は、ASTM D−256に準じて、ノッチつき1/8インチバーを用いて−10℃あるいは23℃でのアイゾット試験により評価した。
【0048】
成形体の難燃性は、UL94 V試験により評価した。
(実施例1〜6)
撹拌機、還流冷却器、チッ素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、水400重量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(SDBS)を表1に示す量(固形分)を混合したのち50℃に昇温し、液温が50℃に達した後、窒素置換を行う。その後ブチルアクリレート10重量部、t−ドデシルメルカプタン3重量部の混合液を加える。30分後パラメンタンハイドロパーオキサイド0.01重量部(固形分)を加えて1時間重合させた。その後ブチルアクリレート90重量部、t-ドデシルメルカプタン27重量部の混合液を3時間かけて連続追加する。2時間の後重合を行いシードラテックス(シード1〜4)を得た。合成後の平均粒子径、親水性、膨潤度を測定し、その結果を表1に示した。
【0049】
撹拌機、還流冷却器、チッ素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、表2に示されるシードポリマーを、表2に示す量(固形分)を仕込んだ。その後、別途純水300部、SDBS0.5部(固形分)、オクタメチルシクロテトラシロキサン95部、ジメチルメチルシリルプロピルメタクリレート5部の成分からなる混合物をホモミキサーで7000rpmで5分間撹拌してポリオルガノシロキサン形成成分のエマルジョンを調製し、一括で添加した。
つぎに10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液1部(固形分)を添加したのち、系を撹拌しながら窒素気流下で80℃まで昇温させた。80℃到達後、80℃で6時間撹拌を続けたのち、25℃に冷却して20時間放置した。その後、水酸化ナトリウムでpHを6.4にして重合を終了し、ポリオルガノシロキサン粒子を含むラテックスをえた。
つづいて撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口および温度計を備えた5口フラスコに、純水240部、および上記ポリオルガノシロキサン粒子70部(固形分)を仕込み、系を撹拌しながら窒素気流下に40℃まで昇温させた。40℃到達後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.2部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)0.01部、硫酸第一鉄0.0025部を添加し、その後メタクリル酸メチル30部とクメンハイドロパーオキサイド0.06部(固形分)の混合物を1.5時間かけて滴下追加し、追加終了後1時間撹拌を続けることによってグラフト共重合体のラテックスをえた。平均粒子径を表2に示す。
【0050】
つづいて、ラテックスを純水で希釈し、固形分濃度を15%にしたのち、25%塩化カルシウム水溶液4部(固形分)を添加して、凝固スラリーを得た。凝固ラリーを95℃まで加熱したのち、50℃まで冷却して脱水後、乾燥させてポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体の粉体をえた。
【0051】
つぎにポリカーボネート樹脂(出光石油化学株式会社製タフロンFN2200A)および上記ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体の粉体を用いて表2に示す組成で配合した。なお滴下防止剤はポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製ポリフロンFA−500)、安定剤はリン系酸化防止剤(旭電化株式会社製アデカスタブPEP36)とフェノール系安定剤(リプレ株式会社製トパノールCA)の混合物を示す。
【0052】
えられた配合物を2軸押出機(日本製鋼株式会社製 TEX44SS)で270℃にて溶融混錬し、ペレットを製造した。えられたペレットをシリンダー温度280℃に設定した株式会社ファナック(FANUC)製のFAS100B射出成形機で1/8インチのアイゾット試験片および1/16インチ難燃性評価用試験片を作成した。えられた試験片を用いて前記評価方法に従って評価した。成型体の耐衝撃性と難燃性の結果を表2に示す。
(実施例7〜8)
撹拌機、還流冷却器、チッ素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、水400重量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ソーダを表1に示す量(固形分)を混合したのち50℃に昇温し、液温が50℃に達した後、窒素置換を行う。その後ブチルアクリレート10部、t−ドデシルメルカプタン3部の混合液を加える。30分後パラメンタンハイドロパーオキサイド0.01部(固形分)を加えて1時間重合させた。その後ブチルアクリレート90部、t-ドデシルメルカプタン27部の混合液を3時間かけて連続追加する。2時間の後重合を行いシードラテックス(シード1〜2)を得た。合成後の平均粒子径、親水性、膨潤度を測定し、その結果を表1に示した。
【0053】
【表1】
Figure 0003871962
撹拌機、還流冷却器、チッ素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、表2に示されるシードポリマーを、表2に示す量(固形分)を仕込んだ。その後、別途純水300部、SDBS0.5部(固形分)、オクタメチルシクロテトラシロキサン95部、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン5部の成分からなる混合物をホモミキサーで7000rpmで5分間撹拌してポリオルガノシロキサン形成成分のエマルジョンを調製し、一括で添加した。
つぎに10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液1部(固形分)を添加したのち、系を撹拌しながら窒素気流下で80℃まで昇温させた。80℃到達後、80℃で6時間撹拌を続けたのち、25℃に冷却して20時間放置した。その後、水酸化ナトリウムでpHを6.4にして重合を終了し、ポリオルガノシロキサン粒子を含むラテックスをえた。
つづいて撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口および温度計を備えた5口フラスコに、純水240部、および上記ポリオルガノシロキサン粒子70部(固形分)を仕込み、系を撹拌しながら窒素気流下に40℃まで昇温させた。40℃到達後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.2部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)0.01部、硫酸第一鉄0.0025部を添加したのち、メタクリル酸アリル3部とクメンハイドロパーオキサイド0.01部(固形分)の混合物を一括で追加し、40℃で1時間撹拌を続けた。そののち、メタクリル酸メチル30部とクメンハイドロパーオキサイド0.06部(固形分)の混合物を1.5時間かけて滴下追加し、追加終了後1時間撹拌を続けることによってグラフト共重合体のラテックスをえた。平均粒子径を表2に示す。
【0054】
つづいて、ラテックスを純水で希釈し、固形分濃度を15%にしたのち、25%塩化カルシウム水溶液4部(固形分)を添加して、凝固スラリーを得た。凝固ラリーを85℃まで加熱したのち、50℃まで冷却して脱水後、乾燥させてポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体の粉体をえた。
【0055】
つぎにポリカーボネート樹脂(出光石油化学株式会社製タフロンFN1900A)および上記ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体の粉体を用いて表2に示す組成で配合した。なお滴下防止剤はポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製ポリフロンFA−500)を示す。
【0056】
えられた配合物を2軸押出機(日本製鋼株式会社製 TEX44SS)で270℃にて溶融混錬し、ペレットを製造した。えられたペレットをシリンダー温度280℃に設定した株式会社ファナック(FANUC)製のFAS100B射出成形機で1/8インチのアイゾット試験片および1/16インチ難燃性評価用試験片を作成した。えられた試験片を用いて前記評価方法に従って評価した。成型体の耐衝撃性と難燃性の結果を表2に示す。
(比較例1)
ポリカーボネート樹脂との配合においてポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体を無添加にする以外は実施例1〜6と同様に配合・成型・評価を行いその結果を表2に示した。
(比較例2)
ポリオルガノシロキサン粒子を含むラテックスの重合時にシードポリマーを無添加にする以外は実施例1〜6と同様に合成・凝固・熱処理・脱水乾燥粉末化・配合・成型・評価を行いその結果を表2に示した。
(比較例3)
ポリカーボネート樹脂との配合においてポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体を無添加にする以外は実施例7〜8と同様に配合・成型・評価を行いその結果を表2に示した。
(比較例4)
ポリオルガノシロキサン粒子を含むラテックスの重合時にシードポリマーを無添加にする以外は実施例7〜8と同様に合成・凝固・熱処理・脱水乾燥粉末化・配合・成型・評価を行いその結果を表2に示した。
【0057】
【表2】
Figure 0003871962
【0058】
【発明の効果】
本発明により、熱可塑性樹脂に添加することにより、難燃性−耐衝撃性バランスの優れた熱可塑性樹脂組成物を与える難燃剤を得ることができ、また該難燃剤を熱可塑性樹脂に配合することにより難燃性−耐衝撃性に優れた難燃性樹脂組成物をうることができる。

Claims (6)

  1. (A)親水性があり、かつオルガノシロキサンに膨潤するポリマーをシードポリマーとして用いたシード重合により得られるラテックス状態のポリオルガノシロキサン30〜95重量部(固形分)の存在下に(B)分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(b−1)100〜50重量%およびその他の共重合可能な単量体(b−2)0〜50重量%からなるビニル系単量体0〜10重量部を重合し、さらに(C)ビニル系単量体5〜70重量部[(A)、(B)および(C)合わせて100重量部]を重合してえられるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  2. 親水性が、乾燥シードポリマーに20倍量(重量)の水を加えて室温で1時間攪拌した後の水への抽出率で10〜100重量%、オルガノシロキサンの膨潤性が、シードポリマーの50倍量(重量)のオルガノシロキサンをシードポリマーラテックスに添加して室温で1時間攪拌後のラテックス粒子径と元の粒子径の比から求めた膨潤体積比で3〜50倍であることを特徴とする請求項1記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  3. 親水性が、乾燥シードポリマーに20倍量(重量)の水を加えて室温で1時間攪拌した後水への抽出率で50〜100重量%、オルガノシロキサンの膨潤性が、シードポリマーの50倍量(重量)のオルガノシロキサンをシードポリマーラテックスに添加して室温で1時間攪拌後のラテックス粒子径と元の粒子径の比から求めた膨潤体積比で3〜15倍であることを特徴とする請求項1記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  4. ビニル系単量体(C)が芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびカルボキシル基含有ビニル系単量体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体である請求項1、2または3記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  5. 請求項1記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体からなる難燃剤。
  6. 熱可塑性樹脂100重量部に対して請求項記載の難燃剤0.1〜30重量部を配合してなる耐衝撃性と難燃性に優れた樹脂組成物。
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