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JP3856984B2 - 誘電体磁器およびその製法 - Google Patents

誘電体磁器およびその製法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は誘電体磁器に関し、特に、誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなる積層セラミックコンデンサに好適に使用される誘電体磁器およびその製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、一般に積層セラミックコンデンサは、表面に内部電極ペーストが塗布された誘電体シートを複数枚積層するとともに、各シートの内部電極パターンを交互に並列に一対の端子電極に接続し、これを一体焼成することにより形成されている。内部電極層の導電材には、PdやPd合金が使われてきたが、Pdは高価であるため、高容量化を図るために内部電極層を増加させた場合、コストが高くなる。
【0003】
そこで、比較的安価であるNiやNi合金等の卑金属が使用されてきている。内部電極層の導電材として卑金属を用いる場合には、大気中で焼成を行うと内部電極層が酸化してしまうため、還元雰囲気下で焼成を行う必要がある。このため、非還元性誘電体材料が提案されている。
【0004】
非還元性誘電体材料としては、例えば、特開平8−124784号公報に、主成分としてBaTiO3 を含有し、副成分としてMgO、Y2 3 、BaOおよびCaOから選択される少なくとも一種と、SiO2 とMnOを含有する誘電体磁器組成物が開示されている。この公報には、BaCO3 とTiO2 と副成分原料との混合物を仮焼して固相反応させる乾式合成法を用いても良いことが記載されているが、粒界相については記載がない。
【0005】
また、特開平6−84692号公報には、主成分としてBaTiO3 を含有し、副成分としてMgO、MnO、Y2 3 、BaOおよびCaOから選択される少なくとも一種と、SiO2 とを含有する誘電体磁器組成物が開示されている。この公報には、結晶粒子がいわゆるコアシェル構造となり、コアにはBaO、TiO2 、MnO、CaOなどが含まれ、シェルには、CaO、TiO2 、BaO、SiO2 、MnO、MgO、Y2 3 などが含まれると記載されているが、粒界相については記載がない。
【0006】
また、この公報には、BaTiO3 に、MnCO3 、(Ba0.5 Ca0.5 )SiO3 、Y2 3 を添加し、湿式混合し、焼成する方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記非還元性誘電体材料では、MnがBaTiO3 結晶粒子内だけでなく粒界相にも存在するため、粒界に存在するMnO、MgO、Y2 3 により焼結性が低下し、緻密化が不十分となり、このため、1300℃以上の焼成温度で焼成する必要があり、焼成コストが増大するという問題があった。
【0008】
また、積層セラミックコンデンサを作製する際には、高容量化のために誘電体層を薄層化する傾向にあるが、誘電体磁器が薄くなることにより、誘電体厚み当たりにかかる電圧すなわち電界強度が増大するため、絶縁抵抗値が低くなり、静電容量値と絶縁抵抗値の積であるCR積が小さくなるという問題があった。これは粒界相中にMnが存在する程粒界相中の絶縁抵抗が低下するためであった。
【0009】
即ち、上記特開平8−124784号公報では、BaCO3 とTiO2 と副成分原料との混合物を仮焼して固相反応させる乾式合成法を用いても良いことが記載されているものの、BaCO3 とTiO2 に、副成分としてMgO、Y2 3 、BaO、CaO、SiO2 、MnOを添加し、仮焼すると、BaTiO3 中に、MnOだけでなく、MgO、Y2 3 も固溶し、MnO2 の一部はBaTiO3 中に固溶できず、粒界に存在する。このため、絶縁抵抗が低くなり、CR積が小さくなるという問題があった。
【0010】
また、特開平6−84692号公報では、BaTiO3 に、MnCO3 、(Ba0.5 Ca0.5 )SiO3 、Y2 3 を添加し、湿式混合し、焼成しているため、BaTiO3 中にMnが固溶しきれず、粒界に一部残存するため、絶縁抵抗が低くなり、CR積が小さくなるという問題があった。
【0011】
本発明は、1200℃以下の低温で焼成ができ、厚みが10μm以下と薄い場合においても、CR積が1500F・Ω以上と大きい誘電体磁器およびその製法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体磁器は、金属元素として少なくともBa、Ti、Mn、YおよびMgを含有する誘電体磁器であって、少なくともBaおよびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物からなる主結晶粒子と、少なくともYおよびMgを含有する粒界相とからなるとともに、前記Mnが実質的に前記主結晶粒子内のみに存在するものである。ここで、粒界相中に、さらにSiおよびCaを含有しても良い。
【0013】
誘電体磁器は、BaTiO3 100モル部に対して、YをY2 3 換算で0.4〜3.0モル部、MgをMgO換算で0.5〜8.0モル部、MnをMnO換算で0.04〜0.5モル部含有するとともに、Si、Ba、CaおよびLiのモル比による組成式を、aSiO2 +bBaO+cCaO+dLi2 Oと表したとき、前記a、b、cおよびdが、0.30≦a≦0.70、0.10≦b≦0.40、0.10≦c≦0.40、0.05≦d≦0.30、a+b+c+d=1を満足する副成分を、BaTiO3 100重量部に対して1〜4重量部含有することが望ましい。
【0014】
また、本発明の誘電体磁器の製法は、BaCO粉末、TiO粉末およびMnCO粉末を混合して仮焼し、BaTiO中にMnが固溶した仮焼粉末を作製し、該仮焼粉末に、少なくともY粉末およびMgO粉末を添加し、BaTiO 中にのみMnが固溶したこの混合粉末を成形した後、焼成する方法である。
【0015】
【作用】
本発明の誘電体磁器では、実質的にBaおよびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物からなる主結晶粒子内のみにMnが存在するので、1200℃以下の低温で焼成ができ、厚みが10μm以下と薄い場合においても、CR積が1500F・Ω以上と大きくなる。
【0016】
即ち、主結晶粒子内のみにMnが存在するため、焼成時において、主結晶粒子内へのMg及びYの固溶が抑制され、粒界相の融点が低下するため、焼結性が向上し、1200℃以下の低い焼成温度で焼結することが可能となるのである。
【0017】
また、主結晶粒子内のみにMnが存在するため、粒界相の絶縁抵抗が高く、誘電体磁器が高い絶縁抵抗を示し、CR積は1500F・Ω以上と大きくなるのである。
【0018】
また、本発明の誘電体磁器では、BaTiO3 100モル部に対して、所定比率でY、Mg、Mnを含有するとともに、Si、Ba、CaおよびLiを含有する副成分を、BaTiO3 100重量部に対して所定比率で含有することにより、誘電体磁器がより高い絶縁抵抗とCR積となる。
【0019】
さらに、本発明の誘電体磁器の製法は、BaCO3 粉末とTiO2 粉末とMnCO3 粉末を混合して仮焼し、BaTiO3 中にMnが固溶した仮焼粉末を用いることにより、焼成時には、MnがBaTiO3 中のみに固溶しているため、Y、MgのBaTiO3 中への固溶が抑制され、Mnが、BaおよびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物からなる主結晶粒子内のみに存在し、Y、Mgが主として粒界相に存在した誘電体磁器を容易に得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の誘電体磁器は、金属元素として少なくともBa、Ti、Mn、YおよびMgを含有するもので、少なくともBaおよびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物からなる主結晶粒子と、少なくともYおよびMgを含有する粒界相とから構成されている。そして、本発明の誘電体磁器は、Mnが実質的に主結晶粒子内のみに存在することを特徴とする。ここで、Mnが実質的に主結晶粒子内のみに存在するとは、Mnは粒界相に存在しないか、或いは、粒界相にMnが存在するとしても現在の測定装置では粒界相におけるMnを確認できない程度であることを意味する。
【0021】
尚、粒界相中には、さらにSiおよびCaを含有しても良い。また、粒界相は結晶質であっても非晶質であっても良いが、低温焼成という観点からは非晶質であることが望ましい。さらに、本発明の誘電体磁器には、Fe、Al等の原料中の不可避不純物が混入したり、例えば粉砕ボールのボール成分、例えばZrO2 等が製造工程中に混入する場合がある。
【0022】
特に、本発明の誘電体磁器は、以下のような組成であることが望ましい。即ち、BaTiO3 100モル部に対して、YをY2 3 換算で0.4〜3.0モル部、MgをMgO換算で0.5〜8.0モル部、MnをMnO換算で0.04〜0.5モル部含有するとともに、Si、Ba、CaおよびLiのモル比による組成式を、aSiO2 +bBaO+cCaO+dLi2 Oと表したとき、a、b、cおよびdが、0.30≦a≦0.70、0.10≦b≦0.40、0.10≦c≦0.40、0.05≦d≦0.30、a+b+c+d=1を満足する副成分を、BaTiO3 100重量部に対して1〜4重量部含有するものである。
【0023】
ここで、Y2 3 を0.4〜3.0モル部含有したのは、0.4モル部未満では絶縁抵抗が低くなり、CR積が小さくなる傾向があり、3.0モル部を越える場合には比誘電率が低下する傾向があるからである。比誘電率の観点から、Y2 3 は、BaTiO3 100モル部に対して0.5〜2.0モル部含有することが好ましい。
【0024】
MgOを0.5〜8.0モル部含有したのは、0.5モル部未満の場合には絶縁抵抗が低くなり、CR積が小さくなる傾向があり、8.0モル部を越える場合には比誘電率が低下する傾向があるからである。とりわけ、MgOは、BaTiO3 100モル部に対して0.5〜2.0モル部以下が好ましい。
【0025】
MnOを0.04〜0.5モル部含有したのは、0.04モル部未満の場合には絶縁抵抗が低くなり、CR積が小さくなる傾向があり、0.5モル部を越える場合には容量の経時変化が大きくなる傾向があるからである。とりわけ、MnOはBaTiO3 100モル部に対して0.1〜0.4モル部含有することが好ましい。
【0026】
さらに、モル比による組成式が、aSiO2 +bBaO+cCaO+dLi2 Oで表わされる副成分を、BaTiO3 100重量部に対して1〜4重量部含有したのは、副成分が1重量部未満の場合には焼結性が低下し、絶縁抵抗が低くなり、CR積が小さくなる傾向があり、4重量部を越える場合には、比誘電率、絶縁抵抗が低くなる傾向があるからである。副成分は、BaTiO3 100重量部に対して1〜2.5重量部であることが望ましい。
【0027】
副成分のうち、SiO2 のモル比を示すaを、0.30≦a≦0.70としたのは、モル比aが0.30未満の場合には焼結性が低下する傾向があり、0.70を越える場合には比誘電率が低下する傾向があるからである。SiO2 のモル比aは、より効果を得るためには0.40≦a≦0.60が好ましい。
【0028】
また、BaOのモル比を示すbを0.10≦b≦0.40としたのは、モル比bが0.10未満の場合には焼結性が低下する傾向があり、0.40を越える場合には焼結性が低下し、比誘電率が低下する傾向があるからである。とりわけ、BaOのモル比を示すbは0.10≦b≦0.25が好ましい。
【0029】
CaOのモル比を示すcを0.10≦c≦0.40としたのは、モル比cが0.10未満の場合には焼結性が低下する傾向があり、0.40を越える場合には焼結性が低下し、比誘電率が低下する傾向があるからである。とりわけ、CaOのモル比を示すcは、0.10≦c≦0.25が好ましい。
【0030】
Li2 Oのモル比を示すdを0.05≦d≦0.30としたのは、モル比dが0.05未満の場合には焼結性が低下する傾向があり、0.50を越える場合には絶縁抵抗が低下する傾向があるからである。
【0031】
本発明の誘電体磁器は、BaCO3 粉末とTiO2 粉末とMnCO3 粉末を混合して仮焼し、BaTiO3 中にMnが固溶した仮焼粉末を作製し、該仮焼粉末に、少なくともY2 3 粉末およびMgO粉末を添加し、この混合粉末を成形した後、焼成することにより得られる。
【0032】
このように、BaTiO3 を合成する前に、BaCO3 粉末とTiO2 粉末とMnCO3 粉末を混合して仮焼し、BaTiO3 中にMnを全て固溶せしめた仮焼粉末を用い、この仮焼粉末にY2 3 粉末およびMgO粉末等を添加し、焼成しているため、BaTiO3 中に固溶したMnにより、BaTiO3 中へのYやMgの固溶が抑制され、BaTiO3 中にはMnのみ、あるいはわずかにYやMgが存在し、YやMgは主としてBaTiO3 からなる主結晶粒子の粒界に粒界相として存在することになる。
【0033】
本発明の誘電体磁器は、具体的には、BaCO3 粉末とTiO2 粉末にMnCO3 粉末を添加して、混合粉砕した後、仮焼した粉末に対して、副成分であるY2 3 、およびMgO粉末、ガラス成分(SiO2 、BaO、CaO、Li2 O)を加えた粉末に、水および分散剤を加え、ボールミルにて混合粉砕した後、有機バインダーを混合し、所定厚みのシート状に成形した後、例えば、酸素分圧3×10-8〜3×10-3Pa、温度1100〜1200℃で0.5〜3時間焼成し、この後、酸素分圧1×10-2〜2×104 Pa、温度800〜1100℃で30分〜7時間熱処理を行うことにより得られる。尚、MnCO3 粉末の代わりにMnO2 粉末、MgO粉末の代わりにMgCO3 粉末、BaO、CaO、Li2 Oとして炭酸塩粉末を用いても良いことは勿論である。
【0034】
特に、BaTiO3 からなる仮焼粉末にMnを完全固溶させるためには、BaCO3 粉末とTiO2 粉末にMnCO3 粉末を添加した混合粉末を、900〜1000℃で、0.5〜3時間仮焼することが望ましい。
【0035】
本発明の誘電体磁器は、該誘電体磁器と、例えば、卑金属、特にNiを主成分とする内部電極層とを交互に積層した積層体に、一対の外部電極を形成した積層セラミックコンデンサに好適に用いられる。
【0036】
【実施例】
先ず、BaCO3 粉末、TiO2 粉末、およびMnCO3 粉末を、BaTiO3 100モル部に対して、MnO換算で表1の割合になるように秤量して、該原料粉末に媒体として純水を加えて24時間、ZrO2 を用いたボールミルにて混合した後、該混合物を乾燥し、次いで、該乾燥物を950℃の温度で大気中1時間仮焼した。
【0037】
得られた粉末に対してY2 3 粉末と、MgO粉末を、BaTiO3 100モル部に対して、それぞれY2 3 換算、MgO換算で表1の割合になるように秤量して、さらに、SiO2 粉末、BaCO3 粉末、CaO粉末、Li2 CO3 粉末が、表1で示したモル比となる副成分を、BaTiO3 100重量部に対して、表1に示す割合だけ添加し、これに、水および分散剤を加え、ボールミルにて混合粉砕した後、ZrO2 を用いたボールミルにて混合粉砕し、有機バインダーを混合し、得られたスラリーをフィルム状シートに成形した。
【0038】
このフィルム状シートに内部電極用に調整したNiペーストをスクリーン印刷法により印刷した後、これを10層積層し、最上層にNiペーストを印刷していないフィルム状シートを積層し、熱圧着後、切断した。
【0039】
これを大気中、300℃の温度で4時間加熱して脱バインダー処理し、引き続いて、表1に示した温度で、酸素分圧3×10-8〜3×10-3Paで2時間焼成した。この後、酸素分圧1×10-2〜2×104 Pa、温度1000℃で2時間熱処理を行った。その後、外部電極用に調整したCuペーストを焼き付け、磁器の寸法3.2mm×1.6mm、誘電体層厚み8μm×10層の評価用のコンデンサを作製した。
【0040】
次にこれらの評価試料を、LCRメーター4284Aを用いて、周波数1.0kHz、入力信号レベル1.0Vrmsにて静電容量を測定し、比誘電率を算出した。しかる後、絶縁抵抗計DSM8103を用いて、DC50Vを60秒間印加した後に、電極間の抵抗値を測定し、前記静電容量と抵抗値を乗じてCR積を求めた。更に、前記評価試料を150℃で1時間熱処理した後、25℃で放置し、1時間後の静電容量に対する10時間後の静電容量の変化率(容量の経時変化率)を求めた。これらの結果を表1にまとめた。
【0041】
【表1】
Figure 0003856984
【0042】
表1によれば、本発明の誘電体磁器は1180℃以下で低温焼成でき、比誘電率εrが2500以上を達成でき、容量の経時変化が1.5%以内であり、絶縁抵抗CR積が1500F・Ω以上を満足している。本発明で得られた誘電体磁器について、EPMAにより組成分析を行ったところ、Mnは、主結晶粒子のみに存在し、粒界には存在しておらず、しかもY、Mgは、主として粒界に存在しており、主結晶粒子内には殆ど存在していなかった。
【0043】
これに対して、BaTiO3 を合成した後に、このBaTiO3 粉末に、MnCO3 粉末、Y2 3 粉末と、MgO粉末、SiO2 粉末、BaCO3 粉末、CaCO3 粉末、Li2 CO3 粉末を添加した試料No.21の場合では、1200℃では焼結せず、磁器の緻密化は不十分であった。また、1250℃の焼成では磁器は緻密化したものの、CR積は970F・Ωであった。また、誘電体磁器について、EPMAにより組成分析を行ったところ、Mnは、主結晶粒子とその粒界にほぼ均等に存在しており、しかも、Y、Mgについても、主結晶粒子とその粒界にほぼ均等に存在していた。そして、本発明の試料No.2と比較すると、絶縁抵抗CR積が著しく低いことが判る。
【0044】
さらに、BaCO3 粉末とTiO2 粉末と、MgO粉末、Y2 3 粉末、BaCO3 粉末、CaCO3 粉末、SiO2 粉末、MnCO3 粉末を添加した試料No.22では、1200℃では焼結せず、磁器の緻密化は不十分であった。また、1250℃の焼成では磁器は緻密化したものの、CR積は910F・Ωであった。また、Mn、Y、Mgは主結晶粒子とその粒界にほぼ均等に存在していた。
【0045】
【発明の効果】
本発明の誘電体磁器では、BaおよびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物からなる主結晶粒子内のみにMnが存在するので、主結晶粒子内へのMg及びYの固溶が抑制され、焼結性が向上し、1200℃以下の低温で焼成ができるとともに、主結晶粒子内のみにMnが存在するため、誘電体磁器が高い絶縁抵抗を示し、厚みが10μm以下と薄い場合においても、CR積が1500F・Ω以上と大きくすることができる。

Claims (4)

  1. 金属元素として少なくともBa、Ti、Mn、YおよびMgを含有する誘電体磁器であって、少なくともBaおよびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物からなる主結晶粒子と、少なくともYおよびMgを含有する粒界相とからなるとともに、前記Mnが実質的に前記主結晶粒子内のみに存在することを特徴とする誘電体磁器。
  2. 粒界相中に、さらにSiおよびCaを含有することを特徴とする請求項1記載の誘電体磁器。
  3. BaTiO100モル部に対して、YをY換算で0.4〜3.0モル部、MgをMgO換算で0.5〜8.0モル部、MnをMnO換算で0.04〜0.5モル部含有するとともに、Si、Ba、CaおよびLiのモル比による組成式を、aSiO2 +bBaO+cCaO+dLiOと表したとき、前記a、b、cおよびdが下記条件式を満足する副成分を、BaTiO100重量部に対して1〜4重量部含有することを特徴とする請求項1または2記載の誘電体磁器。
    0.30≦a≦0.70
    0.10≦b≦0.40
    0.10≦c≦0.40
    0.05≦d≦0.30
    a+b+c+d=1
  4. BaCO粉末、TiO粉末およびMnCO粉末を混合して仮焼し、BaTiO中にMnが固溶した仮焼粉末を作製し、該仮焼粉末に、少なくともY粉末およびMgO粉末を添加し、BaTiO 中にのみMnが固溶したこの混合粉末を成形した後、焼成することを特徴とする誘電体磁器の製法。
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