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JP3856087B2 - 3―アミノプロピルモノオルガノジオルガノオキシシランの製造方法 - Google Patents

3―アミノプロピルモノオルガノジオルガノオキシシランの製造方法 Download PDF

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JP3856087B2 JP2000246689A JP2000246689A JP3856087B2 JP 3856087 B2 JP3856087 B2 JP 3856087B2 JP 2000246689 A JP2000246689 A JP 2000246689A JP 2000246689 A JP2000246689 A JP 2000246689A JP 3856087 B2 JP3856087 B2 JP 3856087B2
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シランカップリング剤や変性シリコーンの中間体などとして、工業的に非常に重要な3―アミノプロピル基を含有するモノアルキルジアルコキシシランなどのモノオルガノジオルガノオキシシランの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
3―アミノプロピルモノアルキルジアルコキシシランは、一般にシランカップリング剤として知られている3―アミノプロピルトリアルコキシシランとは加水分解速度が異なるため、架橋速度に違いがあり、3―アミノプロピルトリアルコキシシランでは従来対応し得なかったユーザーの種々のニーズに対応可能な製品が調整可能となったり、また、シリコーンオイルの側鎖などに組み込むことにより、シリコーンオイルにアミノ基を導入することができ、こういったアミノ変性シリコーンを製造する際には必須の材料であったりと、非常にユニークな化合物である。
【0003】
3―アミノプロピル基を含有するモノアルキルジアルコキシシランの製造方法は、3―アミノプロピルトリアルコキシシランの製法に包含される形で、従来多くのものが知られている。だが、それぞれに固有の問題点があるだけでなく、同様の方法においては3―アミノプロピルトリアルコキシシランほどには工業的規模で満足のいく結果では合成し得ないなどの問題点があり、従来から対策が望まれていた。それぞれの方法の特徴と問題点を以下に述べる。
【0004】
HSi結合含有クロロシランにアクリロニトリルを付加させた後、クロロシランをアルコキシ化し、次いで、ニトリル基を水素添加する方法については、製造工程が多段階反応で長く、各中間体の精製も別途に必要であるなど、非常に煩雑であり、収率のロスも大きい。また、特にケイ素原子にアルコキシ基が2個結合している化合物については、HSi結合含有クロロシランにアクリロニトリルを付加する段階での反応収率が極めて不良であり、かつ合成条件も厳しいという問題点がある。次いで、クロロシランをアルコキシ化する段階では多量の塩酸が副生するため、塩酸の処理に専用設備や多大な手間を必要とする問題がある。また、ニトリル基は塩酸によって攻撃を受けやすく、副生物が発生しやすいといった問題もある。さらに、水素添加する段階では、高圧対応の反応器にて、1MPa以上の高圧反応を実施する必要があるため、設備的な負荷が非常に大きく、設備も特殊で高価であるという問題点があり、全工程を通して製造が容易ではない。
【0005】
HSi結合含有クロロシランに塩化アリルを付加させた後、クロロシランをアルコキシ化し、次いで、アンモニアと高圧条件で反応させる方法については、やはり製造工程が多段階反応で長く、非常に煩雑であり、収率のロスも大きい。また、特にケイ素原子にアルコキシ基が2個結合している化合物については、HSi結合含有クロロシランに塩化アリルを付加させる段階での反応収率が極めて不良であることは、当業界においては周知の事項である。次いで、クロロシランをアルコキシ化する段階では多量の塩酸が副生するため、塩酸の処理に専用設備や多大な手間を必要とする問題がある。さらに、アンモニアと高圧条件で反応させる段階では、目的物に対して大過剰のアンモニアを用いる必要があることや、高圧反応器を必要とすること、副生する大量の塩化アンモニウムを除去せねばならないため、ろ過設備などの設置も必要となるなど、設備的な負荷が非常に大きいといった問題点もあり、全工程を通して製造が容易ではない。
【0006】
アリルアミンとHSi結合含有アルコキシシランを付加反応させる方法(いわゆるヒドロシリル化反応)は、上記の2法に比べれば、一段階の工程で直接的に、3―アミノプロピルアルコキシシランを得る方法であるため、最も簡便な方法といえる。しかし、従来知られている方法では、未だ解決せねばならない問題点を多く有している。
【0007】
たとえば、一般的な塩化白金酸やSpeier触媒といった白金触媒を使用した場合は、反応が進まない、反応速度が遅い、反応収率が低いといった問題の他、純粋な3―アミノプロピルアルコキシシラン(γ付加体)に対して、付加異性体の2―アミノエチル―1―メチル―メチルアルコキシシラン(β付加体)が大量にできる(組成比:γ/β=4>)といった大きな問題があった。また、上記問題を改善するために、いくつかの反応促進剤が知られており、特開昭60―81189号公報では、塩化白金酸などの白金触媒と無水炭酸ナトリウムなどの反応促進剤の存在下に、高温・高圧下で反応させる方法が開示されている。しかし、この方法では110〜210℃という高温を必要とし、かつ加圧下でないといけない制約があり、設備的な負荷が非常に大きく、設備も特殊で高価であるという問題点があり、製造が容易ではない。また、上記γ/βは低いままで、改善されないといった問題点を有している。なお、無水炭酸ナトリウムなどの反応促進剤の存在が無い場合、大気圧下での反応には、大量の白金触媒が必要であり、かつ非常に長い時間がかかるかもしくは反応が失活してしまうと記載している。GB1238875号公報などではトリフェニルホスフィンが反応促進剤として使用されているが、再現性に乏しい、添加量の制御が難しく反応が失活しやすい、また、γ/βも低いといった問題がある。特開昭61―205287号公報では、白金―オレフィン誘導体錯体にフェノチアジンやトリエチルアミンといったアリルアミン以外のアミン化合物を共存させる方法が開示されている。これによれば、アミン化合物を併用しないときは反応が全く進まないか、進行しても収率が低いために、アミン化合物の共存は必須であるとされる。しかし、添加したアミン化合物が製品に微量混入するために製品物性(加水分解速度、着色性)に差が出てしまうという問題もあった。また、併用しても、γ/βは低く、満足されるものではなかった。特開平5―17488号公報では白金属触媒に陰イオン交換樹脂を併用する技術を開示しているが、この方法でもγ/βが未だ低い、樹脂の脱水処理が必要不可欠で非常に煩雑、樹脂の回収工程が必要、樹脂が高価、大量に白金属触媒の使用が必要、HSi結合含有アルコキシシランが不均化反応して、自然発火性のモノシランや発火点の低いメチルシランなどが発生する恐れがあるといった問題点があった。
【0008】
また、特開昭62―111991号公報によれば、「ハイドロジェンシラン(すなわちHSi結合含有アルコキシシラン)、アミノシラン、白金触媒の添加方法によって反応が非常に規制され、ハイドロジェンシランに白金触媒を添加後、アリルアミンを反応させるとこの反応は速やかにかつ選択的に進行してケイ素のγ位にアミノ基をもつ有機ケイ素化合物が得られるが、アリルアミンに白金触媒を添加後ハイドロジェンシランを添加する場合、ハイドロジェンシランとアリルアミンを混合後に白金触媒を添加する場合、さらにはアリルアミンにハイドロジェンシランと白金触媒との混合物を添加する場合には全く反応が行われず、反応条件を厳しくするとタール状生成物を含む複雑な反応が起こることを見出した」という原料の添加方法に係わる同反応の特異性とそれを改善する技術が開示されている。しかし、この場合においても、γ/βは未だ低く満足されるものではなかった。また、HSi結合含有アルコキシシランに白金触媒を添加する方式の場合、HSi結合含有アルコキシシランの不均化反応が助長され、自然発火性のモノシランや発火点の低いメチルシランなどの発生する危険性が高いことは、安全上非常に大きな問題であった。
【0009】
さらに、特開昭61―229885号公報、特開昭64―284185号公報、特開昭64―42492号公報、特開平2―791号公報、特開平2―212495号公報、特開平8―119980号公報、特開平11―209384号公報などには、近年多くのロジウムの錯体化合物を白金触媒の代わりに触媒として使用する方法が開示されているが、これらはβ付加体の副生量を大幅に抑制する結果を提供はするものの、概ねメリットはそれだけであった。もっとも大きな問題は、ロジウム金属は白金金属に対して、未だ市場価格が非常に高く、かつ錯体化合物となると一般的にさらに価格及び分子量がより増すことから、工業的レベルにおいて使用することは、入手の困難さ・価格の高さといった点から極めて難しいという点である。また、特開平3―5489号公報では、第三級ホスフィン配位子含有のルテニウム錯体を白金触媒の代わりに触媒として使用する方法が開示されているが、これも上記ロジウム金属同様の困難さ・問題点及び低収率といった問題があった。
【0010】
なお、これらの3―アミノプロピルトリアルコキシシランの製法として一般的に知られている方法・条件が、3―アミノプロピルモノアルキルジアルコキシシランの製造に、そのまま同様には適用できず、実際には収率や異性体の副生量において、より劣る結果を与える場合が多く、3―アミノプロピルモノアルキルジアルコキシシランに関しては、3―アミノプロピルトリアルコキシシランの製法とは別の独自の製造方法の改良が望まれていた。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、工業的規模で容易に入手可能かつ安価な触媒と原料を用いて、一般的な合成設備において、短時間で反応が完結でき、かつ高収率で、異性体の少ない高純度の3−アミノプロピルモノアルキルジアルコキシシラン等の3−アミノプロピルモノオルガノジオルガノオキシシランの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、アリルアミンに、塩素を排した白金とビニルシロキサンの錯体を添加した混合物に、反応温度40〜100℃の範囲で、後述するHSi結合を含有するモノアルキルジアルコキシシランを添加して反応させることにより、工業的規模で容易に入手可能かつ安価な触媒と原料を用いて、一般的な合成設備において、短時間で反応が完結でき、かつ高収率で、異性体の少ない高純度の3―アミノプロピルモノアルキルジアルコキシシランが得られることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0013】
従って、本発明は、アリルアミンに、塩素を排した白金とビニルシロキサンの錯体を添加した混合物に、反応温度40〜100℃の範囲で、下記一般式(1)で示されるHSi結合を含有するモノオルガノジオルガノオキシシランを添加して反応させることを特徴とする3−アミノプロピルモノオルガノジオルガノオキシシランの製造方法を提供する。
HSiR(OR’)2 (1)
(式中、R,R’は一価炭化水素基であり、R,R’はそれぞれ同一でも異種でもよい。)
【0014】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明においては、アリルアミンに、塩素を排した白金とビニルシロキサンの錯体を添加した混合物に、ケイ素原子に結合した水素原子(HSi基)を含有するモノオルガノジオルガノオキシシランを添加することにより実施され、このHSi結合含有モノオルガノジオルガノオキシシランは、下記一般式(1)で示されるものである。
HSiR(OR’)2 (1)
式中、R,R’は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基、特に炭素数1〜3のアルキル基などの一価炭化水素基であり、R,R’はそれぞれ同一でも異種でもよい。これらの中でも、Rはメチル基であることが好ましく、R’はメチル基もしくはエチル基であることが好ましい。
【0015】
HSi結合含有モノオルガノジオルガノオキシシランとして、具体的にはメチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジn―プロポキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、エチルジn―プロポキシシランなどが例示される。
【0016】
HSi結合含有モノオルガノジオルガノオキシシランの使用量は、特に限定するものではないが、一般的には、アリルアミン1モルに対してHSi結合含有モノアルキルジアルコキシシランが0.8〜1.2モルになるような量が好ましい。
【0017】
本発明に使用する塩素を排した白金とビニルシロキサンの錯体において、ビニルシロキサンとしては、例えば1,3―ジビニル―1,1,3,3―テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7―テトラビニル―1,3,5,7―テトラメチルシクロテトラシロキサン、ポリビニルメチルシロキサンなどが挙げられるが、これらの中でも1,3―ジビニル―1,1,3,3―テトラメチルジシロキサンが好ましい結果を与える。
【0018】
白金とビニルシロキサンの錯体は、本質的にはいわゆるKarsted触媒として、当業界では公知の触媒であり、工業的な規模で容易に入手でき、一般的なSpeier触媒同様に比較的安価な白金触媒である。触媒の溶媒としては、一般的な有機溶剤が使用され、トルエンやキシレンなどが好ましい。
【0019】
なお、塩素を排した触媒は、上記触媒を炭酸ナトリウムや重炭酸ナトリウム、その他のアルカリ化合物やイオン交換樹脂などで処理することにより調整され、10ppm以下程度の塩素量にまで塩素を排することが望ましい。塩素量はより低いほど好ましく、また、これより多くの塩素を含んでいると反応が途中で失活するといった不具合が発生しやすくなる。
【0020】
また、使用するHSi結合含有モノオルガノジオルガノオキシシラン中の塩素分も上記と同様の理由で極力塩素分は含まれないものを用いる方が望ましい。好ましくは、10ppm以下程度の塩素量のものが好ましく、より低いほど好ましい。
【0021】
白金触媒量は、特に限定されないが、HSi結合含有モノオルガノジオルガノオキシシラン1モルに対して白金原子が1×10 2〜10 6倍モルとなるように選べばよい。これより少ないと、反応速度が遅くなる場合があり、これより多いと反応速度は速くはなるものの経済的に不利であるだけでなく、γ/βが小さくなってしまう場合がある。より好ましくは、1×10 3〜10 5倍モルの範囲で選べばよい。
【0022】
また、本発明においては、アリルアミンに、塩素を排した白金とビニルシロキサンの錯体を添加した混合物に、上述したHSi結合含有モノオルガノジオルガノオキシシランを添加するという制約のある原料の導入方法が特徴となっており、原料が同じであっても白金触媒とHSi結合含有モノオルガノジオルガノオキシシランの混合物中にアリルアミンを添加した場合、もしくは白金触媒と一般的有機溶剤(アルカン・芳香族炭化水素・エーテル・エステル・アルコールなど)やアミノプロピルアルコキシシラン類との混合液中にHSi結合含有モノオルガノジオルガノオキシシランとアリルアミンの混合物を添加した場合においては、反応が未達となったり、γ/βが低かったりと満足のいかない結果しか得られない。
【0023】
本発明においては、溶媒は、本質的に用いなくてもかまわないが、用いても問題はなく、用いるならばヘキサン、デカンなどのアルカン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エーテル、エステル、アルコールといった一般的有機溶剤もしくはアミノプロピルアルコキシシラン類、その他アルコキシシラン類やシロキサン類などの中から選ぶことができ、任意の量で添加すればよい。なお、特に1種に限定されるものではなく、2種以上を混合してもよい。
【0024】
本発明において、反応の手順は、乾燥させた、好ましくは窒素乾燥した反応器に、アリルアミンと共に白金触媒を仕込み、所定温度に昇温後、次いで、HSi結合含有モノオルガノジオルガノオキシシランを混合物中に滴下して反応させ、滴下終了後は反応が完了するまで熟成を行うというプロセスを取る。
【0025】
反応温度は、本発明おいては重要なファクターの一つであり、40〜100℃の範囲で行うことが好ましい。40℃未満では反応速度が遅くなり、実用的なスピードで反応が完結しないと言った問題が生じる場合がある。100℃を超える温度では、反応速度は速くなるものの、異性体比γ/βが低くなるだけでなく、高沸点の副生物が増えると言った問題が生じる場合がある。本発明においては、反応温度を40〜60℃で実施し、熟成を80〜100℃で実施することが良い。なお、必要に応じて、40〜50℃からHSi結合含有モノアルキルジアルコキシシランを滴下して反応を開始した後、滴下の最終段階に達するまでに反応温度が90〜100℃に到達するように、徐々に昇温を行う手法を取ることも出来る。反応の初期から反応温度を80〜100℃で実施することは、仕込んだアリルアミンの飛散ロスを生じる恐れがあるため、できるなら避けた方がよい。反応が進むにつれ、高沸点の目的物が生成して、低沸点のアリルアミンは減少するため、反応温度を増加させることが出来る。
【0026】
本発明は、加圧下でも問題はないが、本発明の目的からはずれてしまうため大気圧条件が好ましく、また、雰囲気は空気中でも問題はないが、水分による原料・目的物の変質を防ぐために乾燥していることが好ましく、特に窒素ガスなどの不活性ガス中が好ましい。なお、一般的に実施されているように乾燥空気を系内の混合物にバブリングするといった反応性向上のための操作を実施してもかまわないが、アリルアミンの飛散が生じやすくなるため、バブリング量は考慮する必要がある。
【0027】
本発明により得られる3―アミノプロピルモノオルガノジオルガノオキシシランとして、具体的には、3―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3―アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3―アミノプロピルメチルジn―プロポキシシラン、3―アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3―アミノプロピルエチルジエトキシシラン、3―アミノプロピルエチルジn―プロポキシシランなどが例示される。
【0028】
本発明により得られた3―アミノプロピルモノオルガノジオルガノオキシシランは、一般的な蒸留方法により高純度に精製することができる。なお、特開昭61―205287号公報で記載されている公知の一般的な手段のように、蒸留前に反応液中にアルコール類を添加すると、高沸点の副生物の一部が消失して目的物が一部回収されるが、このような方法を追加してもかまわない。
【0029】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0030】
[実施例1]
攪拌機、温度計、ジムロート冷却器および滴下ロートを取り付けた1L丸底四つ口フラスコを十分窒素置換した。この中に、アリルアミン125.6g(2.2モル)及び塩素を排した白金と1,3―ジビニル―1,1,3,3―テトラメチルジシロキサンの錯体(白金原子含有率3重量%)2.6g(メチルジエトキシシラン1モル当たり2×10 4倍モルの白金原子を含む)を仕込み、50℃に昇温し、その温度を保持した。次いで、ここにメチルジエトキシシラン268.6g(2モル)を9時間で滴下した。その間、反応温度を40〜50℃から滴下の進行と共に徐々に80〜90℃に昇温させた。滴下終了後、80〜90℃で、さらに1時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液を蒸留したところ、1.33kPa(10mmHg)での80〜90℃の留分として314g(収率82%)が得られた。このものの組成をガスクロマトグラフィーで確認したところ、3―アミノプロピルメチルジエトキシシラン(γ付加体)と異性体である2―アミノエチル―1―メチル―メチルジエトキシシラン(β付加体)との比率(γ/β)は72であった。
【0031】
[実施例2]
攪拌機、温度計、ジムロート冷却器および滴下ロートを取り付けた1L丸底四つ口フラスコを十分窒素置換した。この中に、アリルアミン125.6g(2.2モル)及び塩素を排した白金と1,3―ジビニル―1,1,3,3―テトラメチルジシロキサンの錯体(白金原子含有率3重量%)2.6g(メチルジエトキシシラン1モル当たり2×10 4倍モルの白金原子を含む)を仕込み、50℃に昇温し、その温度を保持した。次いで、ここにメチルジエトキシシラン268.6g(2モル)を17時間で滴下した。その間、反応温度は50〜60℃を維持した。滴下終了後、反応温度を50〜60℃に維持して、さらに5時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液を蒸留したところ、1.33kPa(10mmHg)での80〜90℃の留分として325g(収率85%)が得られた。このものの組成をガスクロマトグラフィーで確認したところ、3―アミノプロピルメチルジエトキシシラン(γ付加体)と異性体である2―アミノエチル―1―メチル―メチルジエトキシシラン(β付加体)との比率(γ/β)は95であった。
【0032】
[比較例1]
攪拌機、温度計、ジムロート冷却器および滴下ロートを取り付けた1L丸底四つ口フラスコを十分窒素置換した。この中に、アリルアミン125.6g(2.2モル)及び塩化白金酸の2―エチルヘキシルアルコール溶液(白金原子含有率2重量%)3.9g(メチルジエトキシシラン1モル当たり2×10 4倍モルの白金原子を含む)を仕込み、50℃に昇温し、その温度を保持した。次いで、ここにメチルジエトキシシラン268.6g(2モル)を滴下していった(予定では17時間かかるスピード)。その間、反応温度は50〜60℃を維持した。反応は非常に遅く、滴下を進めていくと、徐々にメチルジエトキシシランの未反応物が系内に蓄積し、メチルジエトキシシランの滴下率が全体のおよそ30%になったあたりで、反応がそれ以上進まなくなったため、反応を中止した。また、この際の3―アミノプロピルメチルジエトキシシラン(γ付加体)と異性体である2―アミノエチル―1―メチル―メチルジエトキシシラン(β付加体)との比率(γ/β)をガスクロマトグラフィーで確認したところ、3.5であった。
【0033】
なお、仕込み時に以下の化合物も同時に添加する以外は、上記と同様に反応したところ、滴下終了時のγ/βは以下のようになった(ガスクロマトグラフィーによる反応停止時の各成分の測定値で計算)。また、添加量はアリルアミンに対してのモル比である。
トリフェニルホスフィン(添加量250ppm):γ/β=4.6
トリフェニルアミン(添加量250ppm):γ/β=4.8
トリフェニルボラン(添加量250ppm):γ/β=5.3
フェノチアジン(添加量2500ppm):γ/β=6.5(転化率30%>)
炭酸ナトリウム(添加量700ppm):γ/β=4.7
【0034】
また、白金触媒を以下のものにした以外は、上記と同様に反応したところ、滴下終了時のγ/βは以下のようになった(ガスクロマトグラフィーによる反応停止時の各成分の測定値で計算)。
テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0):γ/β=7.3(転化率40%>)
ジクロロ(シクロオクタジエン)白金(II):γ/β=5.5
ビス(ジクロロジエチレン白金(II)):γ/β=6.6
【0035】
[比較例2]
白金と1,3―ジビニル―1,1,3,3―テトラメチルジシロキサンの錯体(白金原子含有率3重量%)2.6g(メチルジエトキシシラン1モル当たり2×10 4倍モルの白金原子を含む)が70ppmの塩素原子を有しているものを使用した以外は、実施例2のように反応を行った。その結果、メチルジエトキシシランの滴下率が全体のおよそ60%になったあたりから、徐々にメチルジエトキシシランの未反応物が系内に蓄積し、所定の反応条件では反応が未達となった(滴下終了時には未反応物が10%以上蓄積していた)。微量の塩素分が反応に大きく悪影響を及ぼすことが分かった。
【0036】
[比較例3]
攪拌機、温度計、ジムロート冷却器および滴下ロートを取り付けた1L丸底四つ口フラスコを十分窒素置換した。この中に、メチルジエトキシシラン268.6g(2モル)及び塩化白金酸の2―エチルヘキシルアルコール溶液(白金原子含有率2重量%)3.9g(メチルジエトキシシラン1モル当たり2×10 4倍モルの白金原子を含む)を仕込み、70℃に昇温し、その温度を保持した。次いで、ここにアリルアミン125.6g(2.2モル)を14時間で滴下した。その間、反応温度は70〜80℃を維持した。滴下終了後、未反応物が多量に蓄積していたため、そのままさらに23時間撹拌して、ようやく反応を完結させた。この反応液を蒸留したところ、1.33kPa(10mmHg)での80〜90℃の留分として264g(収率69%)が得られた。このものの組成をガスクロマトグラフィーで確認したところ、3―アミノプロピルメチルジエトキシシラン(γ付加体)と異性体である2―アミノエチル―1―メチル―メチルジエトキシシラン(β付加体)との比率(γ/β)は4であった。
【0037】
なお、反応温度を50〜60℃で実施すると、反応は非常に遅く、上記の条件では完結しなかった。また、γ/βもせいぜい3〜4に過ぎなかった。
【0038】
[比較例4]
アリルアミン125.6g(2.2モル)及び塩素を排した白金と1,3―ジビニル―1,1,3,3―テトラメチルジシロキサンの錯体(白金原子含有率3重量%)2.6g(メチルジエトキシシラン1モル当たり2×10 4倍モルの白金原子を含む)を仕込み、次いで、ここにメチルジエトキシシラン268.6g(2モル)を滴下する代わりに、メチルジエトキシシランと触媒を仕込み、次いで、ここにアリルアミンを滴下する以外は、実施例2のように反応を行った。その結果、高沸点の副生物の生成量が大きく、蒸留したところ、222g(収率58%)が得られたに過ぎなかった。このものの組成をガスクロマトグラフィーで確認したところ、3―アミノプロピルメチルジエトキシシラン(γ付加体)と異性体である2―アミノエチル―1―メチル―メチルジエトキシシラン(β付加体)との比率(γ/β)は17に過ぎなかった。原料が同じでも、添加方法が異なると結果が大きく異なることは驚くべきことであった。
【0039】
[比較例5]
攪拌機、温度計、ジムロート冷却器および滴下ロートを取り付けた1L丸底四つ口フラスコを十分窒素置換した。この中に、3―アミノプロピルメチルジエトキシシラン(γ付加体)を20g(0.1モル)(溶媒として使用)及び塩化白金酸と1,3―ジビニル―1,1,3,3―テトラメチルジシロキサンの錯体(白金原子含有率3重量%)を2.6g(メチルジエトキシシラン1モル当たり2×10 4倍モルの白金原子を含む)を仕込み、70℃に昇温し、その温度を保持した。次いで、ここにメチルジエトキシシラン134.3g(1モル)及びアリルアミン57.1g(2モル)の混合物を10時間で滴下した。その間、反応温度は70〜80℃を維持した。滴下終了後、そのままさらに5時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液には、目的物以外の高沸点の不純物が多く、蒸留したところ、1.33kPa(10mmHg)での80〜90℃の留分として120.5g(収率63%)が得られたに過ぎなかった。このものの組成をガスクロマトグラフィーで確認したところ、3―アミノプロピルメチルジエトキシシラン(γ付加体)と異性体である2―アミノエチル―1―メチル―メチルジエトキシシラン(β付加体)との比率(γ/β)は13に過ぎなかった。原料が同じでも、添加方法が異なると結果が大きく異なることは驚くべきことであった。
【0040】
[実施例3]
塩素を排した白金と1,3―ジビニル―1,1,3,3―テトラメチルジシロキサンの錯体(白金原子含有率3重量%)2.6g(メチルジエトキシシラン1モル当たり2×10 4倍モルの白金原子を含む)の代わりに、5.2g(メチルジエトキシシラン1モル当たり4×10 4倍モルの白金原子を含む)のそれを使用する以外は、実施例1と同様に反応をおこなった。なお、滴下は4時間、熟成は3時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで確認したところ、3―アミノプロピルメチルジエトキシシラン(γ付加体)と異性体である2―アミノエチル―1―メチル―メチルジエトキシシラン(β付加体)との比率(γ/β)は40であった。
【0041】
[実施例4]
塩素を排した白金と1,3―ジビニル―1,1,3,3―テトラメチルジシロキサンの錯体(白金原子含有率3重量%)2.6g(メチルジエトキシシラン1モル当たり2×10 4倍モルの白金原子を含む)の代わりに、1.3g(メチルジエトキシシラン1モル当たり1×10 4倍モルの白金原子を含む)のそれを使用する以外は、実施例1と同様に反応をおこなった。なお、滴下は13時間、熟成は2時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで確認したところ、3―アミノプロピルメチルジエトキシシラン(γ付加体)と異性体である2―アミノエチル―1―メチル―メチルジエトキシシラン(β付加体)との比率(γ/β)は65であった。
【0042】
[実施例5]
メチルジエトキシシラン268.6g(2モル)の代わりに、メチルジメトキシシラン212.4g(2モル)を使用する以外は実施例1同様に反応させた。メチルジメトキシシランは、8時間で滴下した。滴下終了後、80〜90℃で、さらに1時間撹拌して、反応を完結させた。このものの組成をガスクロマトグラフィーで確認したところ、3―アミノプロピルメチルジメトキシシラン(γ付加体)と異性体である2―アミノエチル―1―メチル―メチルジメトキシシラン(β付加体)との比率(γ/β)は68であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、アリルアミンと触媒を仕込んだ中に、HSi結合含有モノオルガノジオルガノオキシシランを添加するという従来は忌避されていた製造方法において、一定の条件下にて反応させることにより、工業的規模で容易に入手可能かつ安価な触媒と原料を用いて、一般的な合成設備において、短時間で反応が完結でき、かつ高収率で、異性体の少ない高純度の3―アミノプロピルモノアルキルジアルコキシシラン等の3−アミノプロピルモノオルガノジオルガノオキシシランを製造することができる。

Claims (2)

  1. アリルアミンに、塩素を排した白金とビニルシロキサンの錯体を添加した混合物に、反応温度40〜100℃の範囲で、下記一般式(1)で示されるHSi結合を含有するモノオルガノジオルガノオキシシランを添加して反応させることを特徴とする3―アミノプロピルモノオルガノジオルガノオキシシランの製造方法。
    HSiR(OR’)2 (1)
    (式中、R,R’は一価炭化水素基であり、R,R’はそれぞれ同一でも異種でもよい。)
  2. HSi結合を有するモノオルガノオキシシランがモノアルキルジアルコキシシランである請求項1記載の3−アミノプロピルモノオルガノジオルガノオキシシランの製造方法。
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