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JP3854519B2 - 高低差計測システム - Google Patents

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JP3854519B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、見通しが利く2つの計測点間の相対的な高低差を計測する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーナビゲーションなどで利用される電子地図では、2次元的な座標で各道路が定義されており、高さに関する情報は含まれていない。近年、カーナビゲーションでは、高機能化が図られつつあり、道路に高さ情報を含めることが望まれている。カーナビゲーションへの利用目的に照らせば、必ずしも標高は必要ではなく、道路の起伏を特定できる情報、例えば、道路上に設けられた所定の基準点からの相対的な高低差であれば足りる。
【0003】
相対的な高低差の計測方法の一つとして、レーザトランシットを利用した計測方法が挙げられる。図1は高さの計測原理を示す説明図である。図示す仰角θおよび斜距離LをレーザトランシットLTCで計測することにより、「H=Lsinθ」なる式で、2つの観測点P0、P1間の高さHを算出することができる。計測点P0の緯度Lat0、経度Lon0は、GPS(Global Positioning System)を利用して取得することができる。計測点P1の緯度Lat1、経度Lon1も同様である。レーザトランシットLTCの設置高さHLを加えても良い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、地図データで高さ情報を活用するためには、道路上の多大な点数での計測が必要とされる。従来技術は、計測に時間を要するため、かかる要望に応えられるものではなかった。
【0005】
多数の点での計測を容易に行うために、GPSを利用して、標高を取得することも可能であるが、こうして計測された標高には、数メートル〜数十メートルの誤差が含まれ、十分な精度を確保することができない。更に精度の高いRTK−GPS(リアルタイム−キネマチックGPS)を利用する方法も可能ではあるが、非常にコストがかかるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、多数の計測点について、任意の基準点からの相対的な高低差を容易に計測可能な技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では、見通しが利く2つの計測点間の相対的な高低差を計測する計測システムにおいて、標的装置、照射装置、記録装置を備えるものとした。標的装置および照射装置は、2つの計測点のそれぞれに設置される装置であり、少なくとも一方は、車載されている。記録装置は、標的装置および照射装置から情報を取得し、高低差を記録する。
【0008】
照射装置は、光学的計測器、仰角計測器、照射座標検出器、結果出力部を備えている。光学的計測器とは、標的装置までの距離を光学的に計測する装置であり、例えば、レーザトランシットなどを利用することができる。仰角検出器は、標的装置の仰角を検出する。仰角とは、照射装置と標的装置とを結ぶ線分と水平面とのなす角度である。仰角の検出は、間接的に行うものとしてもよい。例えば、光学的計測器が照射装置の基準面とのなす角度と、照射装置を設置した面の水平面からの傾きとを求め、両者を加えて仰角を求めるものとしてもよい。照射座標検出器は、照射装置の平面的な位置座標を検出する。位置座標の検出には、種々の方法を適用可能であり、例えば、GPSを利用して検出する方法を適用できる。結果出力部は、計測された距離、仰角、位置座標を前記記録装置に出力する。出力方法は、有線または無線による通信、記録媒体を介した伝達などの態様を採ることができる。
【0009】
標的装置は、照射装置に備えられた光学的計測器による光線照射の標的、標的座標検出器、および座標出力部を備える。標的は、例えば、反射板によって構成することができる。標的座標検出器は、標的装置の平面的な位置座標を検出する。位置座標の検出には、種々の方法を適用可能であり、例えば、GPSを利用して検出する方法を適用できる。座標出力部は、位置座標を記録装置に出力する。出力方法は、有線または無線による通信、記録媒体を介した伝達などの態様を採ることができる。
【0010】
記録装置は、高低差算出部および記録部を備える。高低差算出部は、仰角および距離から、計測点間の高低差を算出する。記録部は、算出された高低差を、標的装置および照射装置の位置座標に関連づけて記録する。高低差の算出は、例えば、図1に示した原理を利用して行うことができる。図1に照らせば、計測点P1が標的装置の設置場所、計測点P0が照射装置の設置場所に相当する。位置座標から両計測点の水平距離Lpを求め、「H=Lp・tanθ」で高さを求めるものとしてもよい。
【0011】
本発明の計測システムによれば、車載されている側の装置を移動させながら、容易に多数の座標点での高低差を取得することができる。この高低差をそのまま利用したり、標高に補正したりすることにより、容易に高さ情報を備えた電子地図データを生成することが可能となる。
【0012】
本発明においては、更に、種々の構成要素を追加することができる。例えば、照射装置には、計測を行うタイミングを制御する計測制御部を備えても良い。計測を行うタイミングは、標的装置または照射装置が、予め設定された計測位置に到達した時点でもよいし、所定の時間間隔でもよい。道路に沿って高低差を計測する場合、既存の電子地図データにおいて道路の平面形状を定義している座標点を計測位置とすることが好ましい。こうすれば、計測された高低差を、電子地図データに比較的容易に反映させることができる。
【0013】
照射装置には、標的装置を追尾する制御機能を設けても良い。かかる制御機能は、例えば、光学的計測器で、標的装置の画像を捉え、標的装置が視野の中心にくるよう光学的計測装置の姿勢を制御することにより実現できる。また、標的装置には、照射装置の座標を取得し、照射装置側を向くように標的の向きを制御する機能を持たせることが好ましい。
【0014】
本発明は、上述の計測システムの他、高低差の計測方法として構成してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下の順序で説明する。
A.システム構成:
B.計測処理:
C.効果:
D.変形例:
【0016】
A.システム構成:
図2は実施例としての計測システムの構成を示す説明図である。この計測システムは、標的車100、計測車200とから構成される。標的車100、計測車200ともに、車体の上下振動を抑制し、車体を地表に対しほぼ一定高さで平行に保ち得るサスペンションの制御機構を備えている。
【0017】
標的車100には、計測車200に搭載されたレーザトランシット202から照射されたレーザを反射するためのレーザ反射板、即ちマーカ102が備えられている。マーカ102は、標的車100の屋根に垂直に設置されたポール103に取り付けられている。マーカ102は、主照準マーカ、従照準マーカと呼ばれる2つの反射板から構成されており、両者は約1mの上下間隔でポール103に互いに背面となるよう取り付けられている。マーカ102は、レーザトランシット202の機種に応じて、計測に適した形状、数、取り付け位置を採用すればよい。マーカ102は、ポール103の回転によって、水平方向に向きを変えることができる。
【0018】
標的車100には、GPS101が備えられている。GPS101は、人工衛星からの電波を利用して計測車200の緯度、経度を検出する周知の装置である。GPS101は、ポール103の上に備えても良い。
【0019】
標的車100には、各種信号を処理するため、制御ユニット110、通信ユニット130が備えられている。通信ユニット130は、アンテナ104を介して計測車200との間で無線通信を行う。制御ユニット110は、内部にCPU、RAM、ROMを備えたマイクロコンピュータとして構成されている。
【0020】
図中に制御ユニット110の機能ブロックを併せて示した。本実施例では、これらの機能ブロックは、ソフトウェア的に構成するものとしたが、ハードウェア的に構成しても構わない。
【0021】
座標検出部112は、GPS101を制御して、標的車100の緯度、経度を検出する。通信制御部116は、検出された緯度、経度を計測車200に送信する。また、計測車200の緯度、経度を取得する。トレース制御部114は、標的車100および計測車200の緯度、経度に基づき、マーカ102が計測車200の方向を向くよう、ポール103の回転を制御する。
【0022】
計測車200には、レーザトランシット202が搭載されている。レーザトランシット202は、レーザを用いて標的車100までの距離を計測するカメラである。例えば、測定距離1〜2kmで、精度±50〜100mであることが好ましい。レーザトランシット202は、上下方向に角度を変えられる状態で、計測車200に垂直に設置されたポール203に取り付けられている。レーザトランシット202は、上下方向の角度制御と、ポール203の回転により、標的車100を向くよう3次元的に姿勢を変えることができる。レーザトランシット202の角度は、±20秒以下の精度で検出可能であることが好ましい。
【0023】
計測車200には、GPS201および傾きセンサ205が備えられている。傾きセンサ205は、計測車200の姿勢、特に、水平面からの傾きを検出するセンサである。GPS201および傾きセンサ205は、ポール203の上に取り付けても良い。
【0024】
計測車200には、各種信号を処理するため、制御ユニット210、通信ユニット230が備えられている。通信ユニット230は、アンテナ204を介して標的車100との間で無線通信を行う。
【0025】
制御ユニット210は、内部にCPU、RAM、ROMを備えたコンピュータである。図中に、制御ユニット210に備えられている機能ブロックを併せて示した。本実施例では、汎用のコンピュータを用いて制御ユニット210を構成し、これらの機能ブロックは、ソフトウェアをインストールして構成するものとした。各機能ブロックは、ハードウェア的に構成しても構わない。
【0026】
通信制御部212は、通信ユニット230を用いて標的車100との通信を行う。座標検出部214は、GPS201によって計測車200の緯度、経度を検出する。傾き検出部216は、傾きセンサ205によって、計測車200の傾きを検出する。カメラ制御部218は、標的車100の方向を向くようレーザトランシット202の姿勢を制御するとともに、標的車100までの距離の計測を行う。また、計測時におけるレーザトランシット202の上下方向の角度を検出する。
【0027】
計測制御部220は、予め設定されたタイミングで、通信制御部212、座標検出部214、傾き検出部216、カメラ制御部218を動作させる。また、これらの機能ブロックから得られたデータに基づいて、高低差を算出する。記録部222は、計測制御部220から算出結果を受け取り、計測時の標的車100および計測車200の緯度、経度と関連付けて高さデータベース224に逐次、格納する。
【0028】
本実施例の計測システムは、以上の構成により、例えば、計測車200を停止させ、標的車100を道路10に沿って走行させながら、高低差を計測することができる。
【0029】
B.計測処理:
図3は計測処理のフローチャートである。本実施例では、計測車200を所定の基準位置に停止させ、標的車100を道路に沿って移動させながら基準位置との高低差を計測する。図3には、この計測中に計測車200の制御ユニット210が実行する処理を示した。
【0030】
この処理では、制御ユニット210は、まず初期化処理を実行する(ステップS10)。初期化処理は、計測車200と標的車100とを並べた状態で行われ、両者のGPSで検出される緯度、経度のキャリブレーション、地面からレーザトランシット202およびマーカ102までの高さの計測が含まれる。レーザトランシット202にマーカ102を追尾させるための初期化処理として、マーカ102を視野内に捉えるようレーザトランシット202の姿勢を調整する処理も含まれる。
【0031】
また、高低差検出のタイミングを特定するための初期設定も行う。本実施例では、標的車100が予め設定された計測点に到達した時に計測を行うものとした。この計測点は、任意に設定可能であるが、本実施例では、電子地図データへの高さ情報の反映を容易にするため、道路の形状を定義する各点に一致させるものとした。タイミングの検出は、必ずしも標的車100の位置による必要はない。例えば、予め設定された所定の時間間隔で計測を行うものとしてもよい。かかる場合には、計測車200と標的車100の同期をとるため、初期化処理において両者の時計を合わせておくことが好ましい。また、計測は、標的車100の移動中に連続的に行ってもよい。計測タイミングをオペレータが手動で指示するものとしてもよい。
【0032】
こうして初期化処理が完了すると、標的車100は、検出対象となる道路の移動を開始する。標的車100は、この移動中に所定の間隔で緯度、経度を計測車200に送信する。制御ユニット210は、この緯度、経度から標的車の位置を検出し(ステップS12)、カメラトレース制御を行う(ステップS14)。
【0033】
カメラトレース制御とは、マーカ102を視野の中心に捉えるためのレーザトランシット202の姿勢制御である。本実施例では、マーカ102がレーザトランシット202の視野から外れない程度に、標的車100の移動速度が遅いものとしてこの制御を実行する。標的車100の移動に伴って、マーカ102はレーザトランシット202の中心からずれるため、このずれ量が小さくなるようレーザトランシット202の姿勢を制御する。例えば、水平方向のずれ量に所定の水平ゲインを乗じてポール203の回転角速度を決定し、垂直方向のずれ量に所定の垂直ゲインを乗じてレーザトランシット202の上下方向の回転角速度を決定する方法を採ることができる。
【0034】
ポール203の回転方向の制御には、標的車100の緯度、経度を利用してもよい。計測車200および標的車100の緯度、経度により、標的車100への水平方向の角度は比較的容易に特定することができる。標的車100でも、両者の緯度、経度により、マーカ102が計測車200を向くようポール103の回転を制御することが好ましい。
【0035】
計測車200の制御ユニット210は、標的車100の緯度、経度に基づき、標的車100が計測点に到達したか否かを判定する(ステップS16)。例えば、予め計測点として設定された緯度、経度と標的車100の緯度、経度との誤差が許容範囲内に入るか否かによって、判定することができる。
【0036】
標的車100が計測点に到達した場合、制御ユニット210は、レーザトランシット202によって標的車100までの距離および仰角θを検出する(ステップS18)。図中に仰角θの検出方法を併せて示した。図示する通り、仰角θは、レーザトランシット202の角度θcと計測車200の傾斜角θvとの和で与えられる。先に説明した通り、制御ユニット210は、マーカ102を視野の中心に捉えるようレーザトランシット202の上下方向の角度θcを制御するから、この時の角度θcは既知である。また、傾斜角θvは、傾きセンサ205により検出可能である。本実施例では、角度θcと傾斜角θvの和によって仰角θを算出するものとしたが、直接検出可能なセンサを利用しても構わない。
【0037】
制御ユニット210は、以上で得られた情報に基づき、高低差を算出し、高さデータベース224に記録する。高低差は、図1に示した原理に基づき、レーザトランシット202で計測した斜距離Lと仰角θを用いて高さHを算出することができる。計測車200と標的車100の緯度、経度から水平距離Lpを求め、この距離Lpと仰角θとから高さHを求めても良い。また、斜距離Lを用いた算出結果と、水平距離Lpを用いた算出結果の誤差が許容範囲にあるか否かに基づいて、演算結果の精度を検証するものとしてもよい。
【0038】
さらに、標的車100のマーカ102の姿勢に起因する誤差の補正、標的車100および計測車200の車高を考慮した補正などを高低差データに反映させてもよい。
【0039】
制御ユニット210は、予め設定された全計測点について完了するまで、以上の計測を繰り返し実行する(ステップS22)。
【0040】
C.効果:
以上で説明した本実施例の計測システムによれば、道路10に沿った多数の座標点で、容易に高低差を取得することができる。この高低差をそのまま利用したり、標高に補正したりすることにより、容易に高さ情報を備えた電子地図データを生成することが可能となる。
【0041】
D.変形例:
本実施例では、標的車100および計測車200の双方を車載としたが、いずれか一方のみを車載としてもよい。
本実施例では、標的車100を移動させながら計測を行うものとしたが、計測車200を移動させてもよいし、両者を移動させても構わない。
本実施例では、計測制御部220、記録部222、高さデータベース224を計測車200に設けたが、これらは標的車100に設けてもよいし、個別の装置として構成してもよい。
【0042】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、以上の制御処理はソフトウェアで実現する他、ハードウェア的に実現するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】高さの計測原理を示す説明図である。
【図2】実施例としての計測システムの構成を示す説明図である。
【図3】計測処理のフローチャートである。
【符号の説明】
10…道路
100…標的車
102…マーカ
101…GPS
103…ポール
104…アンテナ
110…制御ユニット
112…座標検出部
114…トレース制御部
116…通信制御部
130…通信ユニット
200…計測車
201…GPS
202…レーザトランシット
203…ポール
204…アンテナ
205…センサ
210…制御ユニット
212…通信制御部
214…座標検出部
216…検出部
218…カメラ制御部
220…計測制御部
222…記録部
224…データベース
230…通信ユニット

Claims (1)

  1. 見通しが利く2つの計測点間の相対的な高低差を計測する計測システムであって、
    前記計測点の一方に設置される標的装置と、
    前記計測点の他方に設置される照射装置と、
    該標的装置および照射装置から情報を取得し、前記高低差を記録する記録装置とを備え、
    該標的装置および照射装置は、車載されており、
    前記照射装置は、
    前記標的装置までの距離を光学的に計測する光学的計測器と、
    該標的装置の仰角を検出する仰角検出器と、
    平面的な位置座標を検出する照射座標検出器と、
    前記計測された距離、仰角、位置座標を前記記録装置に出力する結果出力部とを備え、
    前記標的装置は、
    前記光学的計測器による光線照射の標的と、
    平面的な位置座標を検出する標的座標検出器と、
    前記位置座標を前記記録装置に出力する座標出力部とを備え、
    前記記録装置は、
    前記仰角および距離から、前記計測点間の高低差を算出する高低差算出部と、
    前記算出された高低差を、前記標的装置および照射装置の位置座標に関連づけて記録する記録部とを備える
    計測システム。
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