JP3850344B2 - 入出力端子および半導体素子収納用パッケージならびに半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波信号で作動する半導体素子を収納するための半導体素子収納用パッケージの信号入出力部に使用される入出力端子およびそれを用いた半導体素子収納用パッケージならびに半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のマイクロ波帯やミリ波帯等の高周波信号を伝送する入出力端子、および半導体素子を気密に収容する半導体素子収納用パッケージ(以下、半導体パッケージともいう)について、それぞれ図3,図4に示す。
【0003】
図3において、104aはアルミナ(Al2O3)セラミックス,窒化アルミニウム(AlN)セラミックス,ムライト(3Al2O3・2SiO2)セラミックス等の略長方形の誘電体から成る平板部であり、その上面に、一長辺から対向する他長辺にかけて形成され、タングステン(W),モリブデン(Mo)等のメタライズ層から成る線路導体104cを有するとともに、下面にはその全面に線路導体104cと同様のメタライズ層から成る下部接地導体104dを有する。この平板部104aの上面には、線路導体104cの一部を狭持して接合されるとともに、上面に上部接地導体104eを有するAl2O3セラミックス,AlNセラミックス,3Al2O3・2SiO2セラミックス等の誘電体から成る立壁部104bが設置される。平板部104aと立壁部104bの側面には線路導体104cと同様のメタライズ層から成る側面接地導体104fを有する。
【0004】
線路導体104cで伝送される高周波信号の周波数に応じて、平板部104aの厚さを適宜調整することによって、線路導体104cと下部接地導体104dとの間の距離を調整し、線路導体104cを特性インピーダンスに整合させる。このように、線路導体104cを特性インピーダンスに整合させることによって、線路導体104cを伝送する高周波信号の伝送効率を良好なものとできる。
【0005】
このように、入出力端子104は、平板部104aと立壁部104bとから構成され、半導体パッケージ内外を気密に遮断し、その内部を封止している。
【0006】
また、半導体パッケージの1種である光半導体パッケージは、図4に示すように、上面に半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の光半導体素子109が載置される載置部101aを有するとともに、外部電気回路基板(図示せず)にトルクをかけてネジ止めされるネジ止め孔101bが両端部に形成された、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や銅(Cu)−タングステン(W)合金等の金属から成る略長方形の基体101を有する。また、載置部101aを囲繞するようにして基体101の上面に銀(Ag)ロウ等のロウ材を介して接合されるとともに、長辺側の両側部に光半導体素子109と外部電気回路(図示せず)とを電気的に接続する入出力端子104嵌着用の取付部102aが形成され、また短辺側の一側部に光半導体素子109と光結合するための光伝送路である貫通孔102bが形成された、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る略長方形の枠体102を有する。貫通孔102bには、光ファイバ108固定用でFe−Ni−Co合金等の金属から成る円筒状の光ファイバ固定部材(以下、固定部材ともいう)103がAgロウ等のロウ材により接合される。
【0007】
取付部102aに、図3に示す入出力端子104をAgロウ等のロウ材を介して接合し、線路導体104cの枠体102外側の先端部にリード端子105をAgロウ等のロウ材で接合する。また、光半導体素子109を載置部101aに載置固定するとともに、線路導体104cの枠体102内側の先端部付近と光半導体素子109とをボンディングワイヤ(図示せず)で電気的に接続し、光ファイバ108と光半導体素子109との光軸を調整した後、固定部材103の枠体102外側の端面に、光ファイバ108を樹脂等の接着剤で取着した金属ホルダ107をシーム溶接等により接合する。さらに、枠体102および入出力端子104の上面にFe−Ni−Co合金等の金属から成るシールリング106をAgロウ等のロウ材を用いて接合し、その上面に蓋体(図示せず)をシーム溶接等により接合することにより、製品としての光半導体装置となる。
【0008】
このような光半導体装置は、外部電気回路基板にトルクをかけてネジ止めされた後、外部電気回路から供給される駆動信号によって光半導体素子109を光励起させ、励起したレーザ光等の光を光ファイバ108に授受させるとともに、光ファイバ108内を伝送させることにより、大容量の情報を高速に伝送できる光電変換装置として機能し、光通信分野等に多く用いられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の入出力端子104において、線路導体104cを伝送する高周波信号が10GHz以上の高周波帯域になると、線路導体104cの枠体102外側の先端部にリード端子105をAgロウ等のロウ材で接合し、線路導体104cの枠体102内側の先端部付近と光半導体素子109とをボンディングワイヤで接続すると、線路導体104cのリード端子105接続部とボンディングワイヤ接続部において、伝搬遅延や透過損失等の高周波信号の伝送損失が大きくなり、入出力端子104において高周波信号を効率良く入出力できなくなる場合があった。
【0010】
即ち、平板部104aの下面にはメタライズ層から成る下部接地導体104dが形成されているが、下部接地導体104dは厚さが数μm〜数10μmのオーダーと薄いため、その電気抵抗が大きくなり、線路導体104cに対する接地電位が不安定になり易い。そのため、線路導体104cを伝送する高周波信号に伝搬遅延や透過損失等の伝送損失が発生し、光半導体素子109に誤動作が生じるという問題点があった。
【0011】
また、このような入出力端子104を用いた光半導体パッケージは、入出力端子104と枠体102、および入出力端子104とシールリング106との熱膨張差により、基体101の底面が反る場合があり、このような光半導体パッケージを光半導体装置とし、外部電気回路基板にトルクをかけてネジ止めした際、基体101の反り変形が矯正され、光半導体パッケージ全体が歪むこととなる。その結果、光ファイバ108と光半導体素子109との光軸がずれて、光結合効率が損なわれ、半導体素子109の光信号の作動性を良好なものとできないという問題点を有していた。
【0012】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたもので、その目的は、高周波信号の伝送損失を有効に防止するとともに基体の歪みを有効に防止することにより、光半導体素子の高周波信号や光信号の作動性を良好なものとすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の入出力端子は、略長方形の誘電体から成り、上面に一長辺から対向する他長辺にかけて線路導体が形成されている平板部と、該平板部の上面に前記線路導体の一部を間に挟んで接合された誘電体から成る立壁部と、前記平板部の下面に接合され、該下面の前記線路導体直下の部位を覆うとともに前記長辺の方向の両端がそれぞれ前記平板部の両端よりも前記長辺の0.025〜0.075倍だけ前記下面の中心側に位置しており幅が前記平板部の短辺と略同じである金属板とを具備したことを特徴とする。
【0014】
本発明の入出力端子は、半導体素子収納用パッケージに用いた際に平板部下面に金属板が接合されていることから、接地電位が強化され、線路導体の枠体外側の先端部にリード端子を接合し線路導体の枠体内側の先端部付近にボンディングワイヤを接続しても、線路導体のリード端子接続部とボンディングワイヤ接続部において、高周波信号の伝搬遅延や透過損失等の伝送損失が発生するのを抑制することができ、入出力端子において高周波信号を効率良く入出力し得る。即ち、金属板は従来のメタライズ層から成る下部接地導体に比べて電気抵抗が小さくなり、線路導体に対する接地電位が強化されて高周波信号の伝送特性が向上することとなる。
【0015】
また、本発明の入出力端子が半導体素子収納用パッケージの金属製の枠体の取付部に嵌着され、シールリングおよび枠体で挟持されても、それらの熱膨張係数差による金属製の基体の底面の反りを発生させることはなく、この半導体素子収納用パッケージを光半導体装置と成し、基体を外部電気回路基板にトルクをかけてネジ止めしても、光半導体装置が歪むことがない。その結果、光ファイバと光半導体素子との光結合効率が損なわれて光半導体素子の光信号の作動性が損なわれることはない。
【0016】
さらに、金属板の長辺方向の両端は平板部の両端よりも長辺の0.025〜0.075倍だけ前記下面の中心側に位置しており幅が平板部の短辺と略同じであることから、平板部に金属板との熱膨張差による応力が加わるのを抑制し、平板部にクラック等の破損が生ずるのを有効に防止できる。
【0017】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子が載置される載置部を有する金属製の基体と、該基体の上面に前記載置部を囲繞するように取着された金属製の枠体と、該枠体の側部に形成された貫通孔または切欠きから成る入出力端子の取付部と、該取付部に嵌着された請求項1記載の入出力端子とを具備したことを特徴とする。
【0018】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上記の構成により、上記したように入出力端子における高周波信号の伝送特性に優れ、基体の反りの発生が防止され、また入出力端子の平板部にクラック等の破損が生ずるのを有効に防止できるという作用効果を有する。
【0019】
本発明の半導体装置は、上記本発明の半導体素子収納用パッケージと、前記載置部に載置されるとともに前記入出力端子に電気的に接続された半導体素子と、前記枠体の上面に接合された蓋体とを具備したことを特徴とする。
【0020】
本発明の半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の半導体素子収納用パッケージを用いた信頼性の高いものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の入出力端子および半導体素子収納用パッケージについて以下に詳細に説明する。本発明の入出力端子および半導体パッケージを図1,図2に示す。図1(a)は本発明の入出力端子の斜視図、(b)は本発明の入出力端子の平板部の下面図、図2は図1の入出力端子を用いた半導体パッケージの斜視図である。これらの図において、1は基体、2は枠体、3は光ファイバ8が取着された金属ホルダ7を固定する筒状の固定部材、4は入出力端子、6はシールリングである。これら基体1と枠体2と固定部材3と入出力端子4とシールリング6とで、内部に半導体素子としてのLD,PD等の光半導体素子9を収納しシールリング6上面に蓋体を取着することにより容器が基本的に構成される。
【0022】
本発明の基体1は、その上面に光半導体素子9を載置する載置部1aを有しており、光半導体素子9を支持する支持部材として機能するとともに、光半導体素子9の熱を外部に効率良く放散する機能を有する。また、基体1は両端部にネジ止め孔1bを有しており、このネジ止め孔1bを介して外部電気回路基板にトルクをかけてネジ止めされる。この基体1は、略長方形であり、Fe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属から成る。また基体1は、Fe−Ni−Co合金等のインゴットに圧延加工やプレス加工等の金属加工を施すことにより所定形状に成形される。
【0023】
なお、基体1は、その表面に耐蝕性に優れかつロウ材との濡れ性に優れる金属、具体的には厚さ0.5〜9μmのNi層と、厚さ0.5〜5μmのAu層とを順次メッキ法により被着させておくのがよく、基体1が酸化腐食するのを有効に防止できるとともに、基体1の上面に光半導体素子9を強固に接着固定できる。
【0024】
また、基体1の上面には、載置部1aを囲繞するようにしてAgロウ等のロウ材を介して接合されるとともに、長辺側の両側部に光半導体素子9と外部電気回路とを電気的に接続する入出力端子4嵌着用の貫通孔または切欠きから成る取付部2aが形成され、さらに短辺側の一側部に光半導体素子9と光結合するための光伝送路である貫通孔2bが形成された、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る略長方形の枠体2を有する。この枠体2は、基体1と同様の合金のインゴットに圧延加工やプレス加工等の金属加工を施すことにより所定形状に成形される。
【0025】
なお、枠体2の基体1への接合は基体1上面と枠体2下面とを、基体1上面に敷設したプリフォーム状のAgロウ等のロウ材を介して接合される。さらに、枠体2表面には、基体1と同様に厚さ0.5〜9μmのNi層や厚さ0.5〜5μmのAu層等の金属層をメッキ法により被着させておくと良い。
【0026】
また、枠体2の取付部2aには光半導体素子9と外部電気回路との高周波信号の入出力を行う機能を有するとともに、光半導体パッケージの内外を遮断する機能を有する入出力端子4がAgロウ等のロウ材で接合される。
【0027】
本発明の入出力端子4は、略長方形の誘電体から成り、上面に一長辺から対向する他長辺にかけて線路導体4cが形成されている平板部4aと、平板部4aの上面に線路導体4cの一部を間に挟んで接合された誘電体から成る立壁部4bと、平板部4aの下面に接合され、その下面の線路導体4c直下の部位を覆うとともに長辺の方向の両端がそれぞれ平板部4aよりも長辺の0.025〜0.075倍だけ平板部4aの下面の中心側に位置しており幅が平板部4aの短辺と略同じである金属板4gとを具備した構成である。
【0028】
この入出力端子4は、略長方形の平板部4aの上面に、横倒しにされた四角柱状の立壁部4bが積層されて成るとともに、平板部4aの下面に金属板4gが接合されている。平板部4aはAl2O3セラミックス,AlNセラミックス,3Al2O3・2SiO2セラミックス等の誘電体から成り、その上面には、一長辺から対向する他長辺にかけて形成され、W,Mo等のメタライズ層から成る線路導体4cが形成されており、下面にはその全面に線路導体4cと同様のメタライズ層から成る下部接地導体4dが形成されている。
【0029】
平板部4aの上面には、線路導体4cの一部を間に狭んで接合されるとともに、上面に上部接地導体4eを有するAl2O3セラミックス,AlNセラミックス,3Al2O3・2SiO2セラミックス等の誘電体から成る立壁部4bが設置される。平板部4aおよび立壁部4bの側面には線路導体4cと同様のメタライズ層から成る側面接地導体4fが形成されている。平板部4aの下部接地導体4d表面に、Agロウ等のロウ材を介してFe−Ni−Co合金等から成る金属板4gが接合されている。この金属板4gは、取付部2aに入出力端子4をロウ付けした際に発生する、基体1底面の反りの発生を抑制する機能を有するとともに、線路導体4cの接地電位を強化し、高周波信号の伝送損失の劣化を抑制する機能を有する。
【0030】
この金属板4gは、その長さをlとし、平板部4aの長さをLとしたとき、0.85L≦l≦0.95Lであり、また平板部4aと略同一幅である。即ち、金属板4gの両端は、平板部4aよりも0.025L〜0.075Lだけ短くなっている。この結果、平板部4aの両端部に金属板4gとの熱膨張差による応力が加わるのを抑制できる。
【0031】
l>0.95Lの場合、平板部4aの両端面と金属板4gの両端面の位置が近くなり、平板部4aの端面に加わる金属板4gとの熱膨張差による応力が、平板部4aの上側の立壁部4bとの境界部付近に集中する。その結果、強度の弱い平板部4aと立壁部4bとの境界部に高い応力が発生し、入出力端子4にクラック等の破損が生じ易くなる。また、l<0.85Lの場合、金属板4aの長さが短いため、枠体2と入出力端子4との熱膨張差の影響が大きくなり、枠体2の変形が大きくなる。その結果、枠体2に接合される基体1に大きな反り変形が生じ易くなる。
【0032】
また、金属板4gの厚さは0.1〜2mmが良く、0.1mm未満の場合、厚さが薄いためロウ付け時の入出力端子4の熱膨張を金属製の基体1や枠体2の熱膨張に近づけることができなくなり、基体1の底面の反りの発生を抑制できなくなるとともに、線路導体4cに対する接地電位を十分に強化することができない。一方、2mmを超える場合、平板部4aと金属板4gとの間の熱膨張差により平板部4aに加わる応力が非常に大きくなり、入出力端子4にクラック等の破損が発生し易くなる。
【0033】
この金属板4gは、例えばFe−Ni−Co合金等のインゴットに圧延加工やプレス加工等の金属加工を施すことにより所定形状に成形される。また、基体1と同様に厚さ0.5〜9μmのNi層や厚さ0.5〜5μmのAu層等の金属層をメッキ法により被着させておくと金属板4g表面の酸化を有効に防止できる。
【0034】
また、金属板4gの四隅に、C面等の直線的な面取り部、円弧状等の曲線的な面取り部を形成するのがよく、平板部4aと金属板4gとの熱膨張差による応力が集中し易い金属板4gの四隅において応力を分散させることができ、平板部4aにクラック等が発生しにくくなる。
【0035】
また、金属板4gの幅(短辺)は平板部4aの短辺よりも若干(0.1〜0.5mm程度)短い方が好ましい。これにより、金属板4gの短辺方向の両端が平板部4aの短辺方向の両端よりも若干短くなり、平板部4aと金属板4gとの熱膨張差によって平板部4aの長辺部にクラック等が発生しにくくなる。
【0036】
このように、入出力端子4は下面に金属板4gが設けられていることにより、入出力端子4を光半導体パッケージに用い、線路導体4cに光半導体素子9を駆動させるための高周波信号を伝送させても、高周波信号に伝送損失が生じて光半導体素子9の作動性が損なわれることはない。また、入出力端子4が取付部2aに嵌着され、シールリング6および枠体2で挟持されても、それらの熱膨張係数差によって基体1の底面に反りが発生するのを防ぐことができる。従って、光半導体パッケージを光半導体装置と成し、外部電気回路基板にトルクをかけてネジ止めしても、光半導体装置が歪むことがない。そのため、光ファイバ8と光半導体素子9との光結合効率が損なわれて光半導体素子9の光信号の作動性が損なわれることはない。
【0037】
このような入出力端子4の平板部4a上面には、1長辺から対向する他長辺にかけて、W,Mo−Mn等のメタライズ層から成る線路導体4cが形成されており、これは例えばW,Mo等の粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して得た金属ペーストを、平板部4a用のセラミックグリーンシートに、予め従来周知のスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布しておき、焼成することにより形成される。また、平板部4a上面には立壁部4bが積層される。この立壁部4bは、平板部4a上面に線路導体4cの一部を間に挟んで接合された誘電体から成る。
【0038】
線路導体4cの枠体2外側の部位には、外部電気回路と入出力端子4との高周波信号の入出力を行い、Fe−Ni−Co合金等の金属から成るリード端子5がAgロウ等のロウ材で接合される。
【0039】
本発明の枠体2の短辺側の一側部には貫通孔2bが形成されており、貫通孔2bの枠体2外側開口の周囲に筒状の固定部材3の一端がAgロウ等のロウ材で接合されるか、または貫通孔2bに固定部材3が嵌着されてロウ材で接合される。固定部材3の他方の端面には、光ファイバ8を樹脂等の接着剤で取着した金属ホルダ7がAu−Sn等の低融点ロウ材で接合される。この固定部材3は、基体1や枠体2と同様のFe−Ni−Co合金等の金属を同様の加工法で所望の形状に加工することによって作製され、その表面には厚さ0.5〜9μmのNi層や厚さ0.5〜5μmのAu層等の金属層をメッキ法により被着させておくと良い。
【0040】
このように入出力端子4および固定部材3が取着される枠体2の上面には、シールリング6がAgロウ等のロウ材で接合される。シールリング6は、枠体2の上面にAgロウ等のロウ材で接合されて入出力端子4を枠体2とともに挟持し、その上面に光半導体素子9を封止するための蓋体をシーム溶接等により接合する接合媒体として機能する。
【0041】
本発明の光半導体パッケージは、金属から成る基体1と、その上面に光半導体素子9の載置部1aを囲繞するように接合され、取付部2aを有する枠体2と、取付部2aに嵌着された入出力端子4とを具備している。この構成により、線路導体4cに高周波信号を伝送させた際に伝送損失の発生を有効に防止できるとともに、基体1の歪みを有効に防止できる。そのため、光半導体素子9の高周波信号や光信号についての作動性が良好となる。
【0042】
このような光半導体パッケージに、光半導体素子9を載置部1aにSn−Pb半田等の低融点ロウ材で載置固定するとともに、線路導体4cと光半導体素子9とをボンディングワイヤで電気的に接続し、さらに固定部材3に、光ファイバ8を樹脂等の接着剤で取着した金属ホルダ7を、Au−Sn等の低融点ロウ材で接合した後、シールリング6上面に蓋体をシーム溶接等により接合することにより、製品としての光半導体装置となる。この光半導体装置は、外部電気回路基板にトルクをかけてネジ止めされた後、外部電気回路から供給される駆動信号によって光半導体素子9を光励起させ、励起したレーザ光等の光を光ファイバ8に授受させるとともに光ファイバ8内を伝送させることにより、大容量の情報を高速に伝送できる光電変換装置として機能するものであり、光通信分野等に用いられる。
【0043】
かくして、本発明は高周波信号や光信号によって作動する光半導体素子を長期にわたり正常かつ安定なものとできる。
【0044】
【実施例】
本発明の入出力端子の実施例を以下に説明する。
【0045】
図1(a),(b)の入出力端子4を以下のように構成した。Al2O3セラミックスから成る略長方形の平板部4a上面の中央部に、Wのメタライズ層から成る一本の線路導体4cを形成し、下面の全面にWのメタライズ層から成る下部接地導体4dを設けた。また、平板部4aの上面に、Wのメタライズ層から成る上部接地導体4eを有したAl2O3セラミックスから成る略直方体の立壁部4bを、線路導体4cの一部を間に挟んで積層した。平板部4aおよび立壁部4bの線路方向に略平行な両側面には、線路導体4cと同様のメタライズ層から成る側面接地導体4fを設けた。また、平板部4aの下面に、平板部4aの長辺の長さLに対して長さlが0.95Lである(両端が平板部4aの両端よりもそれぞれ0.025L短い位置にある)金属板4gをAgロウによって接合することにより、入出力端子4を作製した。この本発明の入出力端子4をサンプルP1とした。
【0046】
サンプルP1において、平板部4aおよび金属板4gの平面視形状における幅を3.5mm、平板部4aの長辺方向の長さを17mm、金属板4gの長辺方向の長さを16.15mm、平板部4aの厚さを1.5mm、金属板4gの厚さを0.5mmとし、線路導体4cの幅を0.5mmとした。
【0047】
上記と同様に作製して、金属板4gの長さlがl=0.9L(l=15.3mm)の入出力端子4をサンプルP2とし、l=0.85L(l=14.45mm)の入出力端子4をサンプルP3とした。
【0048】
また、比較例として、平板部4aおよび金属板4gの平面視形状における長辺方向の長さを17mm、幅を3.5mmとし、平板部4aの下面全面に金属板4gが接合された入出力端子4をサンプルQとした。金属板4gの長辺方向の長さを13.6mmとした入出力端子4をサンプルRとした。また、図3に示すような金属板4gがない入出力端子4を作製し、これをサンプルSとした。
【0049】
これらのサンプルP1,P2,P3,Q,R,Sにおいて、常温(25℃)で、入出力端子4の本体部分を成すAl2O3セラミックスについて、ヤング率は478Gpa(ギガパスカル)、ポアソン比は0.25、線膨張係数は5.74×10-6/℃であり、金属板4gおよび枠体2を成すFe−Ni−Co合金について、ヤング率は128Gpa、ポアソン比は0.37、線膨張係数は5.95×10-6/℃であり、Agロウについて、ヤング率は87Gpa、ポアソン比は0.37、線膨張係数は18×10-6/℃である。
【0050】
そして、サンプルP1,P2,P3,Q,Rについて、平板部4aに金属板4gをロウ付けした後の図1(a)のX点(平板部4aの長辺方向の両端における立壁部4bとの境界部の中央部)における応力値を測定した。その結果、サンプルP1では72.2Mpa(メガパスカル)、サンプルP2では67.1Mpa、サンプルP3では72.5Mpa、サンプルQでは86.1Mpa、サンプルRでは85.4Mpaであり、サンプルQ、サンプルRではX点を起点に入出力端子4にクラックが発生した。入出力端子4を破損することなく金属板4gを接合するためには、サンプルP1,P2,P3が有効であることが判った。
【0051】
次に、サンプルP1,P3,Sについて、線路導体4cに1〜25GHzの高周波信号を入力してその透過損失を測定した結果を図5に示す。図5より、サンプルP1,P3はサンプルSに比べて1〜25GHzの全周波数帯域で透過損失が改善された。特に、10GHz以上のより高周波の帯域で透過損失が低減されており、より大容量の情報を高速で処理する半導体装置に対して有効なものとなった。なお、サンプルP1,P3の透過損失にはほとんど差が見られなかった。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【0053】
【発明の効果】
本発明の入出力端子は、略長方形の誘電体から成り、上面に一長辺から対向する他長辺にかけて線路導体が形成されている平板部と、平板部の上面に線路導体の一部を間に挟んで接合された誘電体から成る立壁部と、平板部の下面に接合され、その下面の線路導体直下の部位を覆うとともに長辺の方向の両端がそれぞれ平板部の両端よりも長辺の0.025〜0.075倍だけ平板部の下面の中心側に位置しており幅が平板部の短辺と略同じである金属板とを具備したことにより、平板部下面の接地電位が強化され、線路導体の枠体外側の先端部にリード端子を接合し線路導体の枠体内側の先端部付近にボンディングワイヤを接続しても、線路導体のリード端子接続部とボンディングワイヤ接続部において、高周波信号の伝搬遅延や透過損失等の伝送損失が発生するのを抑制することができ、入出力端子において高周波信号を効率良く入出力し得る。
【0054】
また、本発明の入出力端子が半導体素子収納用パッケージの金属製の枠体の取付部に嵌着され、シールリングおよび枠体で挟持されても、それらの熱膨張係数差による金属製の基体の底面の反りを発生させることはなく、半導体素子収納用パッケージを光半導体装置と成し、基体を外部電気回路基板にトルクをかけてネジ止めしても、光半導体装置が歪むことがない。その結果、光ファイバと光半導体素子との光結合効率が損なわれて光半導体素子の光信号の作動性が損なわれることはない。さらに、平板部に金属板との熱膨張差による応力が加わるのを抑制し、平板部にクラック等の破損が生ずるのを有効に防止できる。
【0055】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子が載置される載置部を有する金属製の基体と、基体の上面に載置部を囲繞するように取着された金属製の枠体と、枠体の側部に形成された貫通孔または切欠きから成る入出力端子の取付部と、取付部に嵌着された本発明の入出力端子とを具備したことにより、入出力端子における高周波信号の伝送特性に優れ、基体の反りの発生が防止され、また入出力端子の平板部にクラック等の破損が生ずるのを有効に防止できる。
【0056】
本発明の半導体装置は、上記本発明の半導体素子収納用パッケージと、載置部に載置されるとともに入出力端子に電気的に接続された半導体素子と、枠体の上面に接合された蓋体とを具備したことにより、上記本発明の半導体素子収納用パッケージを用いた信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の入出力端子について実施の形態の例を示す斜視図、(b)は(a)の入出力端子の下面図である。
【図2】図1の入出力端子を用いた本発明の半導体素子収納用パッケージの斜視図である。
【図3】従来の入出力端子の斜視図である。
【図4】図3の入出力端子を用いた従来の半導体素子収納用パッケージの斜視図である。
【図5】従来の入出力端子と本発明の入出力端子について高周波信号の透過損失を測定した結果のグラフである。
【符号の説明】
1:基体
1a:載置部
2:枠体
2a:取付部
4:入出力端子
4a:平板部
4b:立壁部
4c:線路導体
4g:金属板
9:光半導体素子
Claims (3)
- 略長方形の誘電体から成り、上面に一長辺から対向する他長辺にかけて線路導体が形成されている平板部と、該平板部の上面に前記線路導体の一部を間に挟んで接合された誘電体から成る立壁部と、前記平板部の下面に接合され、該下面の前記線路導体直下の部位を覆うとともに前記長辺の方向の両端がそれぞれ前記平板部の両端よりも前記長辺の0.025〜0.075倍だけ前記下面の中心側に位置しており幅が前記平板部の短辺と略同じである金属板とを具備したことを特徴とする入出力端子。
- 上面に半導体素子が載置される載置部を有する金属製の基体と、該基体の上面に前記載置部を囲繞するように取着された金属製の枠体と、該枠体の側部に形成された貫通孔または切欠きから成る入出力端子の取付部と、該取付部に嵌着された請求項1記載の入出力端子とを具備したことを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
- 請求項2記載の半導体素子収納用パッケージと、前記載置部に載置されるとともに前記入出力端子に電気的に接続された半導体素子と、前記枠体の上面に接合された蓋体とを具備したことを特徴とする半導体装置。
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