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JP3847073B2 - 水性インク用染料定着剤、インクジェット記録媒体および多孔質ハイドロタルサイト化合物 - Google Patents

水性インク用染料定着剤、インクジェット記録媒体および多孔質ハイドロタルサイト化合物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性染料を含有する水性インクを用いて記録画像を形成する、インクジェット記録媒体において用いることができる、水溶性染料定着剤およびその水溶性染料定着剤を使用したインクジェット記録媒体に関する。特に、水性インクの定着性に優れ、媒体上に記録された画像の解像度、耐水性および耐光性に優れた、インクジェット記録媒体用染料定着剤およびそのインクジェット記録媒体に関する。さらに本発明は、新規な多孔質ハイドロタルサイト化合物にも関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピューターやデジタルカメラ等の発展と共に、表示される画像を銀塩系写真と同じように、印画紙上に記録することが行われるようになっている。このような記録に用いられる記録方法としては、インクジェット記録方式と称される画像形成方式が知られており、そのインクジェット記録方式は、騒音が少ない、高速記録が可能、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要などの種々の特徴があるために、多くの分野で利用されている。
【0003】
インクジェット記録方式の原理は、溶液状のインク液を、電界や熱、圧力等を駆動源としてノズルより吐出させ、印画紙の受容層に移行せしめるものである。ここでインク液は染料と水、多価アルコール等よりなり、前記染料としては水溶性の直接染料や酸性染料が主として用いられている。
また、印画紙は、基材上に染料を受容する受容層が形成されて構成され、種々のニーズに応じて基材としてコート紙、光沢紙、光沢フィルム、OHPフィルム等がある。受容層は、染料との親和性に優れた水溶性高分子、有機もしくは無機フィラー、その他の補助的物質よりなり、これらの成分は染料浸透性や画像のニジミを制御する点から適当な配合組成が調整されている。
【0004】
このようなインクジェット記録方式によって得られる画像においては、最近、画質の進歩が著しく、ドット密度の改善と受容層の光沢度の向上とが相まって高精細化し、視認距離では銀塩写真に匹敵する程度の品位が得られるようになっている。
特開昭61−135785号公報(特公平4−15747号公報)には、染料受容層中に、合成シリカおよびアニオンが2価アニオンである炭酸イオンのみで構成されているハイドロタルサイトを併用することによって、基材の耐光性を向上させることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところでインクジェット記録方式に用いられているインク液中の直接染料や酸性染料は、染料の染色理論によって示されるように、受容層へ移行した後は受容層の構成成分とのファンデルワールス力や水素結合等の相互作用によって当該受容層中に保持される。このため受容層上に形成された画像は、染料に対してより親和力の高い溶媒や樹脂等に接した場合、あるいはこれらの相互作用を打ち消すだけの熱エネルギーが供給された場合に染料の溶出や移行が誘発され、画像のボケが発生する等の不都合が生じる。つまり、受容層へ移行した染料は、銀塩系写真のような完全に安定した定着性を示さない状況にある。このことは、直接染料や酸性染料を用いる文具、印刷等に用いられる一般的な画像形成材料についても同様である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、基材上に積層された水性インク受容層を有するインクジェット記録媒体において、該水性インク受容層中に染料が安定して定着することができる定着剤の開発を目的として研究を重ねた。すなわち、染料が受容層へ移行し定着しても、染料に対して親和力の高い溶媒や樹脂などを接したりあるいは熱が供給されても染料の溶出や移動が誘発されない定着剤を開発すべく研究を進めた。
【0007】
本発明者らは、定着剤としてハイドロタルサイト化合物に着眼し、種々のハイドロタルサイト化合物を合成し、染料の定着安定性について調べた。
その結果、ハイドロタルサイト化合物を形成しているアニオンの種類が染料の定着安定性に密接に関係していることおよびアニオンとして、ケイ酸アニオンと硫酸イオン、またはケイ酸アニオンを有しているハイドロタルサイト化合物は、染料に対して極めて安定した定着性を有していることが見出された。さらにこのハイドロタルサイト化合物を定着剤として使用すると高精細な画像の記録媒体が得られることも見出された。またアニオンとしてケイ酸アニオンと硫酸イオンまたはケイ酸アニオンを一定割合含有しかつ特定の細孔物性を有するハイドロタルサイト化合物は、さらに高度に安定した定着性を有していることが見出された。
【0008】
本発明によれば、基材上に積層された水性インク受容層を有するインクジェット記録媒体に使用するための、水性インク受容層中の染料定着剤であって、該染料定着剤は、アニオンとして、ケイ酸アニオンおよび硫酸イオン、またはケイ酸アニオンを含有するハイドロタルサイト化合物である水性インク用染料定着剤が提供される。
さらに本発明によれば、前記特定のアニオンを含有するハイドロタルサイト化合物を染料定着剤として使用したインクジェット記録媒体が提供される。
【0009】
以下、本発明の水性インク用染料定着剤およびそれを使用したインクジェット記録媒体についてさらに詳細に説明する。
本発明の水性インク用染料定着剤として使用されるハイドロタルサイト化合物は、それを形成するアニオンとして、ケイ酸アニオンおよび硫酸イオン、またはケイ酸アニオンを含有している点に特徴を有している。具体的には、全アニオン中、ケイ酸アニオンおよび硫酸イオン、またはケイ酸アニオンの割合が10〜98モル%、好ましくは20〜98モル%であるハイドロタルサイト化合物が一層有利である。
ここでケイ酸アニオンとしてはSiO3 2-、HSiO3 -、Si25 2-またはHSi25 -を意味し、硫酸イオンはSO4 2-を意味する。
【0010】
本発明において使用するハイドロタルサイト化合物は、アニオンとして、ケイ酸アニオンおよび硫酸イオンを含む場合、ケイ酸アニオンと硫酸イオンの合計に対してケイ酸アニオンの割合が5〜100モル%、好ましくは10〜100モル%、特に好ましくは20〜100モル%であることが望ましい。
また使用するハイドロタルサイト化合物は、レーザー回折散乱法で測定された平均粒径が0.1〜10μm、好ましくは0.5〜10μmであるのが有利である。
【0011】
本発明において使用するハイドロタルサイト化合物は下記式(I)で表される化合物である。
II 1−xAl(OH)(A n−(A m−・yHO(I)
〔ただし、式中MIIは、Mg2+または/およびZn2+を示し、A n−は、n価のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン(SO 2−)、またはn価のケイ酸アニオンを示し、n価のケイ酸アニオンとしては、SiO 2−、HSiO 、Si 2−およびHSi からなる群から選ばれるアニオンを示し、 m−は、CO 2−、NO 、ClおよびOHからなる群から選ばれるアニオンを示し、xおよびyは、式0.15<x≦0.80および式0<y<2を満足し、aおよびbは式0.15<na+mb≦0.80を満足する。〕
前記式(I)において、MIIはMgまたは/およびZnを示すが、MIIはMg単独あるいはMgとZnとの混合体(固溶体)であるのが好ましい。MIIがMgとZnとの混合体の場合、ZnはMgに対し当量以下であるのが好ましい。
【0012】
前述したように本発明において使用するハイドロタルサイト化合物は、全アニオン中、特定のアニオンを一定割合含有している点に特徴を有している。前記式(I)において、全アニオンは(A1 n-+A2 m-)であり、その全アニオンに対して、A1 n-のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン、またはケイ酸アニオンの割合(A1 n/(A1 n-+A2 m-))が10〜98モル%、好ましくは20〜98モル%含有するハイドロタルサイト化合物が使用される。全アニオンをA1 nに置換したものを得ることは困難であり、そのため、全アニオン中のA1 nの上限は98モル%となる。一方A1 nの割合が10モル%より少なくなると、染料の定着安定性が低い定着剤が得られるので望ましくない。
【0013】
前記式(I)で表されるハイドロタルサイト化合物は、式中のXおよび全アニオンの量に基いて下記式(I−a)および(I−b)に区分することができる。
【0014】
II 1-xAlx(OH)2(A1 n-a(A2 m-b・yH2O (I−a)
〔ただし、式中MIIは、Mg2+または/およびZn2+を示し、A1 n-は、n価のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン(SO4 2-)、またはn価のケイ酸アニオンを示し、n価のケイ酸アニオンとしては、SiO3 2-、HSiO3 -、Si25 2-およびHSi25 -からなる群から選ばれるアニオンを示す。A2 m-は、CO3 2-、NO3 -、Cl-およびOH-からなる群から選ばれるアニオンを示す。xおよびyは、式0.50<x≦0.80および式0<y<2を満足し、aおよびbは、式0.50<na+mb≦0.80を満足する。〕
【0015】
II 1-xAlx(OH)2(A1 n-a(A2 m-b・yH2O (I−b)
〔ただし、式中MIIは、Mg2+または/およびZn2+を示し、A1 n-は、n価のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン(SO4 2-)、またはn価のケイ酸アニオンを示し、n価のケイ酸アニオンとしては、SiO3 2-、HSiO3 -、Si25 2-およびHSi25 -からなる群から選ばれるアニオンを示す。A2 m-は、CO3 2-、NO3 -、Cl-およびOH-からなる群から選ばれるアニオンを示す。xおよびyは、式0.15<x≦0.50および式0<y<2を満足し、aおよびbは、式0.15<na+mb≦0.50を満足する。〕
前記式(I−a)で表されるハイドロタルサイト化合物は、新規な化合物であり、他のハイドロタルサイト化合物と比較してはもちろんのこと、前記式(I−b)のハイドロタルサイト化合物と比較して、染色の定着安定性がより優れより高精細な画像を与える記録媒体を得ることができることが見出された。
【0016】
前記式(I−a)で表されるハイドロタルサイト化合物は、その粒子における表面積が大きくかつ細孔特性に優れている。殊に細孔容積が大きくしかも平均細孔半径が小さく、そのため染料の定着しやすく、定着した染料が安定して存在することができるものと考えられる。
【0017】
すなわち、前記式(I−a)で表されるハイドロタルサイト化合物は、下記(1)〜(3)の特性を備えている。
(1)BET法により測定された比表面積が50〜400m2/g、好ましくは100〜300m2/gである。
(2)N2ガス吸着法により測定された全細孔容積が0.50〜2.00ml/g、好ましくは0.7〜1.6ml/gである。
(3)N2ガス吸着法により測定された平均細孔半径が4〜15nm、好ましくは7〜10nmである。
また(I−a)のハイドロタルサイト化合物は、レーザー回折散乱法により測定された平均粒径が0.1〜10μm、好ましくは0.5〜10μmであるのが有利であり、また単位層間隔は8〜12オングストロームである。
【0018】
本発明の染料定着剤は、アニオンとして、ケイ酸アニオンおよび硫酸アニオン、またはケイ酸アニオンを含有するハイドロタルサイト化合物が使用される。このハイドロタルサイト化合物は、前記式(I)で表される化合物であるのが好ましく、そのうち前記式(I−a)で表される化合物が最も好ましい。
前記式(I−a)で表されるハイドロタルサイト化合物は、新規な化合物であり、従来知られていない。この(I−a)で表されるハイドロタルサイト化合物は、より多孔性であり、細孔特性が一層優れているので、アニオンの特性と共に染料定着剤としての特性が極めて優れている。
【0019】
以上のことから、本発明において染料吸着剤としてのケイ酸アニオンおよび硫酸イオン、またはケイ酸アニオンを含有するハイドロタルサイト化合物は、上記の全ての利点を兼ね備えているので、染料分子を層間内に保持することが可能となり、染料分子は安定化し、インク吸収性、解像度、耐水性および耐光性に優れた画像が得られるようになる。
【0020】
本発明のインクジェット記録媒体において、水性インク用染料定着剤以外の塗布液構成物質について説明する。基材上に染料受容層を形成するために、本発明の染料定着剤を含む塗布液が用いられる。塗布液は主要成分として、該染料定着剤以外に、それ自体知られている高分子接着剤、各種添加剤、溶媒等を含有している。さらに、必要に応じて無機または有機顔料を含有させてもよい。また、本発明のインクジェット記録媒体は、1層であっても多層であってもよく、密着性を上げる目的で基材へのコロナ処理や、各種アンカーコート処理を行うことができる。受容層は単層または必要により多層に形成できる。
【0021】
その際、受容層には、必要に応じて助剤的に無機または有機の顔料を併用することができる。例えば、合成シリカ、コロイダルシリカ、カチオン性コロイダルシリカ、アルミナゾル、擬ベーマイトゲル、タルク、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化錫、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、サチンホワイト、硫酸バリウム、二酸化チタン、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、スメクタイト、リトポン、雲母、ゼオライト、珪藻土等の無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、マイクロカプセル系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント、メラミン樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアミン系プラスチックピグメント、アクリルニトリル系プラスチックピグメント等の有機顔料などの一般塗工紙分野でそれ自体公知の各種顔料を適宜選択して使用することができる。
【0022】
高分子接着剤としては、例えば、(a)澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉等の各種澱粉類;(b)メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;(c)ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等のタンパク質類;(d)アガロース、グアーガム、キトサン、アルギン酸ソーダ等の天然または半合成系接着剤;(e)ポリビニルアルコールおよびカチオン性ポリビニルアルコール、珪素含有ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール誘導体;(f)ポリエチレンイミン系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸またはその共重合体、無水マレイン酸系樹脂、アクリルアミド系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の合成系、水溶性または溶媒可溶性接着剤;(g)スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系ラテックス、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類、あるいはこれらの各種重合体のアニオン性基または/およびカチオン性基等の官能基含有変性重合体ラテックス類、および(h)ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩等に代表される、いわゆる導電性樹脂類等、当該技術分野で公知の高分子接着剤が単独、あるいは併用して用いられる。
【0023】
さらに定着性を阻害しない範囲で、各種添加剤を添加してもよい。添加剤としては、分散剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、耐水化剤、界面活性剤、流動性改良剤、熱安定剤、抑泡剤、発泡剤、離難剤、pH調製剤、浸透剤、湿潤剤、熱ゲル化剤、滑剤、着色剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、架橋剤等、一般的に用いられている従来公知の添加剤などがある。
【0024】
塗布液の溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコールおよびプロピルアルコール等の低級アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびジオキサン等のグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル等の低級アルキルエステル類、アセトニトリル、ジメチルアセトアミドのような水溶性有機溶媒および水が好ましい。これら溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
【0025】
基材は、光透過性を要しない記録媒体では、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙、合成樹脂ラミネート紙、金属蒸着紙、合成紙、白色フィルム等を用い、光透過性記録媒体としては、ガラス、OHPシート等のポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルムを用いる。染料定着剤の量としては、受容層を構成する固形分(染料定着剤、高分子接着剤、固形添加剤、顔料等)の10〜90重量%、好ましくは15〜90重量%である。染料定着剤の添加量は、多すぎると柔軟性に欠けた受容層になり、少なすぎると染料定着性能が劣る。
【0026】
水性インク受容層を形成する方法および手段については、特に限定はされないが、基材の材質に応じて適当な方法を採ればよく、例えば最も一般的な方法である基材への塗布方法は、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、ブラッシュコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、フレキソコーター、キャストコーター、ダイコーター、リップコーター、サイズプレス、スプレー装置等を用いて行う方法である。
【0027】
また、上記のように基材上に染料受容層を形成することにより記録媒体を得る方法の他には、染料受容層と基材が一体となった記録媒体、例えば紙のようなパルプの場合、互いに交絡した繊維とその繊維間に染料定着剤を担持させる方法もある。表面を含む基材自体の中に本発明による染料定着剤を含有させることによっても優れた記録画像形成材料を得ることができる。
上記染料定着剤、高分子接着剤、各種添加剤、顔料、溶媒を用いて塗布液の調整が行われる。
【0028】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例中、物性の測定および評価は下記記載に基いて行った。
(1)ハイドロタルサイト化合物(粒子)のBET比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)、平均細孔半径(nm)は、測定試料を前処理として110℃、2.7×10-1Pa以下の圧力で3時間保持した後、日本ベル社製ガス吸着装置BELSORP 28SAでN2ガスの吸・脱着曲線より求めた。全細孔容積は、細孔半径1〜100nmの細孔容積の和である。
(2)ハイドロタルサイト化合物(粒子)の平均粒径(μm)は、HORIBA製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910により求めた。
(3)ハイドロタルサイト化合物(粒子)の単位層間隔(dオングストローム)は、Rigaku製X線回折装置RINT 2200Vにより求めた。
【0029】
実施例1
1リットル容器に、酸化マグネシウム(市販品、含量97%、BET比表面積6.8m2/g)19.94gと脱イオン水0.5リットルを入れてホモミキサーで強く攪拌しながら、室温下で1.04モル/リットル濃度の硫酸アルミニウム水溶液0.125リットルを注加した。約30分間攪拌後懸濁液を加熱して70℃で6時間反応させた。冷却後〔懸濁液のpHは7.15(29.3℃)であった〕、濾過し洗浄を行った。次に、2リットル容器に脱イオン水1リットルと洗浄物を入れてホモミキサーで十分に分散懸濁後、70℃に加熱した。3号水ガラス液(SiO2として0.104モル)を加え、70℃で2時間イオン交換反応させた。冷却後、濾過し洗浄後95℃で20時間乾燥させた。乾燥物の収量は37.4gであった。乾燥後100メッシュで篩過した。上記方法で得られた多孔質ハイドロタルサイト化合物(サンプルH.T.−a−1)は、化学式1であった。このハイドロタルサイト化合物の物性を下記表1に示す。
Figure 0003847073
【0030】
実施例2
1リットル容器に、水酸化マグネシウム(含量98.5%、BET比表面積30m2/g)28.4gと脱イオン水0.5リットルを入れてホモミキサーで強く攪拌しながら、室温下で1.04モル/リットル濃度の硫酸アルミニウム水溶液0.107リットルを注加した。約30分間攪拌後懸濁液を加熱して90℃で4時間反応させた。冷却後〔懸濁液のpHは7.05(30.3℃)であった〕、濾過し洗浄を行った。次に、2リットル容器に脱イオン水1リットルと洗浄物を入れてホモミキサーで十分に分散懸濁後、80℃に加熱した。3号水ガラス液(SiO2として0.112モル)を加え、80℃で2時間イオン交換反応させた。冷却後、濾過し洗浄後95℃で20時間乾燥させた。乾燥物の収量は39.3gであった。乾燥後100メッシュで篩過した。上記方法でで得られた多孔質ハイドロタルサイト化合物(サンプルH.T−a−2)は、化学式2であった。このハイドロタルサイト化合物の物性を下記表1に示す。
Figure 0003847073
【0031】
実施例3
酸化マグネシウム(含量97%、BET比表面積6.8m2/g)18.86gおよび酸化亜鉛(市販品、BET比表面積3.5m2/g)2.12gを脱イオン水に懸濁し全量を0.5リットルに調整する。1リットルの容器に入れ、ホモミキサーで強く攪拌しながら、室温下で、1.04モル/リットル濃度の硫酸アルミニウム水溶液0.125リットルを注加する。約30分攪拌後懸濁液を加熱して90℃で4時間反応させた。冷却後[懸濁液のpHは7.21(21.9℃)であった]、濾過し洗浄を行った。次に、2リットル容器に脱イオン水1リットルと洗浄物を入れてホモミキサーで十分に分散懸濁後、80℃に加熱する。3号水ガラス液(SiO2として0.104モル)を加え、80℃で2時間イオン交換反応させた。冷却後、濾過、洗浄、乾燥(95℃で20時間)、粉砕(100メッシュでし過)を行って化学式3で示される多孔質ハイドロタルサイト化合物(サンプルH.T−a−3)を得た。このハイドロタルサイト化合物の物性を下記表1に示す。
Figure 0003847073
【0032】
比較例1
層間アニオンが実質的にCO3 2-からなるハイドロタルサイト化合物(協和化学工業社製、商品名DHT4)は化学式3であった。このサンプルをH.T−b−という。このハイドロタルサイト化合物の物性を下記表1に示す。
Figure 0003847073
【0033】
比較例2
市販の合成シリカ(商品名;ファインシ−ル、トクヤマ(株)製)の物性を下記表1に示す。このサンプルをS.I.という。
【0034】
【表1】
Figure 0003847073
【0035】
上記表1より、本発明の式(I−a)で表される多孔質ハイドロタルサイト化合物(実施例1〜3)は、交換性アニオンの一部にケイ酸アニオンおよび硫酸イオン、またはケイ酸アニオンを含有しているため、比較例のハイドロタルサイト化合物と比べてBET比表面積が大きく、細孔容積も大きい細孔物性に優れた物質であった。
【0036】
実施例4
(酸性染料の吸着テスト)
100ml共栓付き三角フラスコに、適宜濃度を調整したナフトールエローSの染料溶液20mlに対して、吸着剤0.5gを添加して30℃で平衡に達するまで振とう吸着(120回/分)する。その溶液を濾過後、濾液の残存染料量を吸光光度計で測定して、染料吸着量とそのときの平衡濃度を算出した。図1は、吸着剤として実施例1と比較例1のハイドロタルサイト化合物を用いた時の酸性染料(ナフトールエローS)の吸着等温線である。
図1より、本発明のハイドロタルサイト化合物は、他のハイドロタルサイト化合物(比較例)と比較して、酸性染料の吸着性が優れていることが理解できる。
【0037】
実施例5〜7および比較例3〜5
(インクジェット記録媒体の評価)
インクジェット記録媒体の調製
前記実施例1〜3および比較例1で得られたハイドロタルサイト化合物および合成シリカ(比較例2)を使用して下記の方法に従ってインクジェット記録媒体を調製した。
各種ハイドロタルサイト化合物または合成シリカ100重量部に対して、高分子接着剤としてポリビニルアルコール40重量部、添加剤としてカチオン性樹脂のポリエチレンイミン5重量部、中和剤としてリン酸0.02重量部を添加混合し、固形分濃度として18重量%の塗布液を得た。この塗布液をNo.20のバーコーターを用いて紙に塗布、乾燥してインクジェット記録媒体を得た。
インクジェット印刷
インクジェット記録装置(商品名;BJ F200/キャノン(株)製)を用いて、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)およびブラック(B)のそれぞれの印刷を行った。
【0038】
印刷特性の評価
(1)インク吸収性(発色性)、(2)解像度、(3)耐水性および(4)耐光性の評価はそれぞれ下記に従って行った。
(1)インク吸収性(発色性)
印画シート上に形成されたフルカラー画像を、目視で観察した。評価は、以下の5段階で行った。
5;全ての色について濃度が濃く、かつ鮮明である。
4;全ての色について濃度が濃い。
3;少し濃度の薄い色もあるが、事実上問題ない。
2;少し濃度の薄い色がある。
1;全ての色について濃度が薄く、画像が鮮明でない。
(2)解像度
光学顕微鏡(BHSM−313MU/オリンパス(株)製)でドットの観察をした。評価は、以下の5段階で行った。
5;ドットの形状が非常にシャープである。
4;ドットの形状がシャープである。
3;ドットの形状が一部壊れているが、事実上問題ない。
2;ドットの形状を一部保持している。
1;ドットの形状を保持していない。
(3)耐水性
印字面を1分間水に浸し、乾燥した後のニジミの評価を行った。評価は、以下の5段階で行った。
5;印字部分の染料が流れ出さず、全くにじんでいない。
4;印字部分の染料が少し流れ出したが、ほどんどにじんでいない。
3;印字部分の染料が少し流れ出し、わずかににじんでいるが事実上問題ない。
2;印字部分の染料が流れ出し、にじんで印字が確認しにくい。
1;印字部分の染料が流れ出し、にじみもひどく印字が確認できない。
(4)耐光性
シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(B)のベタ印刷を行い、サンシャインウェザーメーター(WEL−SUN−HC−B型/スガ試験機(株)製)を用いて、5級ブルースケールが標準退色するまで露光し、測色色差計(ZE−2000/日本電色工業製)を用いて測定を行い、耐光性の評価を行った。評価は、ΔEの値に応じて行った。
◎;0≦ΔE≦5
○;5<ΔE≦10
△;10<ΔE≦20
×;ΔE>20
【0039】
印刷特性の評価結果
評価結果を下記表2に示す。ただし比較例5は市販のインクジェット専用紙(スーパーハイグレードKJ−1210:コクヨ製)を用いた。
【0040】
【表2】
Figure 0003847073
【0041】
実施例8
1リットル容器に、1.37モル/リットル濃度の塩化マグネシウム水溶液0.313リットルと1.05モル/リットル濃度の硫酸アルミニウム水溶液0.095リットルを混合して、ホモミキサーで攪拌しながら、室温下で3規定の水酸化ナトリウム水溶液0.380リットルを注加する。得られた反応懸濁液をオートクレーブ装置に移して、170℃で6時間反応させた(冷却した懸濁液のpHは9.92(25.8℃)であった)。再び懸濁液の温度を80℃に昇温させて、3号水ガラス液(SiO2として0.133モル)を加えて80℃で1時間イオン交換反応させた。冷却後濾過、洗浄、乾燥(95℃で20時間)、粉砕(100メッシュでし過)を行って化学式4で示されるハイドロタルサイト化合物(サンプル名、H.T.−a−4)を得た。このハイドロタルサイト化合物の物性を下記表3に示す。
Figure 0003847073
【0042】
実施例9
水熱処理までは実施例8と同様の方法で合成し、3号水ガラス液(SiO2として0.033モル)を加えて80℃で1時間イオン交換処理反応を行って、冷却後濾過、洗浄、乾燥(95℃で20時間)、粉砕(100メッシュでし過)を行って化学式5で示されるハイドロタルサイト化合物(サンプル名、H.T.−a−5)を得た。このハイドロタルサイト化合物の物性を下記表3に示す。
Figure 0003847073
【0043】
実施例10
1リットル容器に脱イオン水0.7リットルを入れて、攪拌機で攪拌しながら、
室温下で合成ハイドロタルサイトを焼成して得られた酸化物固溶体(協和化学工業製、商品名キョーワード2200、MgO含量59.1%、Al23含量34.7%)20gと、合成非晶質シリカ(市販品トクシールU、含量94.58%)8.63gとを入れて懸濁させた。次に懸濁液をオートクレーブ装置に移して、100℃で12時間反応させた。冷却後(懸濁液のpHは10.38(27.7℃)であった)、濾過、洗浄、乾燥(95℃で20時間)、粉砕(100メッシュでし過)を行って化学式6で示されるハイドロタルサイト化合物(サンプル名、H.T.−a−6)を得た。このハイドロタルサイト化合物の物性を下記表3に示す。
Figure 0003847073
【0044】
実施例11
1リットル容器に、水酸化マグネシウム(含量98.5%、BET比表面積30m2/g)28.4gと脱イオン水0.6リットルを入れてホモミキサーで強く攪拌しながら、室温下で1.02モル/リットル濃度の硫酸アルミニウム水溶液84ミリリットルを注加する。約30分間攪拌後、懸濁液を加熱して、90℃で4時間反応させた。冷却後、(懸濁液のpHは7.22(30.2℃)であった。)濾過、洗浄を行った。次に2リットル容器に脱イオン水1リットルと洗浄物を入れて、ホモミキサーで十分に分散・懸濁後、80℃に加熱する。3号水ガラス液(SiO2として0.163モル)を加え、80℃で2時間イオン交換反応させた。冷却後、濾過、洗浄、乾燥(95℃で20時間)、粉砕(100メッシュで篩過)を行って化学式7で示されるハイドロタルサイト化合物(サンプル名、H.T.−a−7)を得た。このハイドロタルサイト化合物の物性を下記表3に示す。
Figure 0003847073
【0045】
実施例12
酸化マグネシウム(含量97%、BET比表面積5.2m2/g)7.05gおよび酸化亜鉛(市販品、BET比表面積3.5m2/g)18.75gを脱イオン水に懸濁し全量を0.5リットルに調整する。1リットルの容器に入れ、ホモミキサーで強く攪拌しながら、室温下で、1.04モル/リットル濃度の硫酸アルミニウム水溶液0.077リットルを注加する。約30分攪拌後懸濁液を加熱して90℃で4時間反応させた。冷却後[懸濁液のpHは6.32(20.4℃)であった]、濾過し洗浄を行った。次に、2リットル容器に脱イオン水1リットルと洗浄物を入れて、ホモミキサーで十分に分散懸濁後、80℃に加熱する。3号水ガラス液(SiO2として0.144モル)を加え、80℃で2時間イオン交換反応させた。冷却後、濾過、洗浄、乾燥(95℃で20時間)、粉砕(100メッシュでし過)を行って化学式8で示されるハイドロタルサイト化合物(サンプル名、H.T.−a−8)を得た。このハイドロタルサイト化合物の物性を下記表3に示す。
Figure 0003847073
【0046】
比較例6
実施例8において、ケイ酸アニオンのイオン交換前の反応懸濁液をそのまま乾燥、粉砕して得られた層間アニオンが実質的にSO4 2-からなるハイドロタルサイト化合物(サンプル名、H.T.−b−2)を得た。その化学式は下記のとおりであった。このハイドロタルサイト化合物の物性を下記表3に示す。
Figure 0003847073
【0047】
比較例7
前記比較例6で得られた化学式9のハイドロタルサイト化合物80重量部および合成シリカ(商品名:ファインシール、トクヤマ(株)製)20重量部を混合した。
【0048】
【表3】
Figure 0003847073
【0049】
実施例13〜17および比較例8〜9
(インクジェット記録媒体の評価)
前記実施例8〜12および比較例6で得られたハイドロタルサイト化合物および比較例7で得られたサンプルM.I.Xをそれぞれ使用して実施例5〜7のインクジェット記録媒体の調製法と同様にしてインクジェット記録媒体を調製した。次いで同様に印刷して評価した。その結果を下記表4に示す。
【0050】
【表4】
Figure 0003847073

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1および比較例1で得られたハイドロタルサイト化合物のそれぞれの酸性染料に対する吸着等温線を示す図である。

Claims (22)

  1. 基材上に積層された水性インク受容層を有するインクジェット記録媒体に使用するための、水性インク受容層中の染料定着剤であって、該染料定着剤は、下記式(I)
    II 1−xAl(OH)(A n−(A m−・yHO(I)
    〔ただし、式中MIIは、Mg2+または/およびZn2+を示し、A n−は、n価のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン(SO 2−)、またはn価のケイ酸アニオンを示し、n価のケイ酸アニオンとしては、SiO 2−、HSiO 、Si 2−およびHSi からなる群から選ばれるアニオンを示し、A m−は、CO 2−、NO 、ClおよびOHからなる群から選ばれるアニオンを示し、xおよびyは、式0.15<x≦0.80および式0<y<2を満足し、aおよびbは式0.15<na+mb≦0.80を満足し、x、aおよびbは式x=na+mbを満足し、そして全アニオン(A n−+A m−)中のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン、またはケイ酸アニオンの割合が10〜98モル%である〕
    で表わされるハイドロタルサイト化合物である水性インク用染料定着剤。
  2. 該ハイドロタルサイト化合物は、全アニオン中のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン、またはケイ酸アニオンの割合が20〜98モル%である請求項1記載の水性インク用染料定着剤。
  3. 該ハイドロタルサイト化合物は、全アニオン中のケイ酸アニオンおよび硫酸イオンの割合が10〜98モル%でありかつケイ酸アニオンと硫酸イオンの合計に対してケイ酸イオンの割合が5〜100モル%である請求項1記載の水性インク用染料定着剤。
  4. 該ハイドロタルサイト化合物は、平均粒径が0.1〜10μmである請求項1記載の水性インク用染料定着剤。
  5. 該ハイドロタルサイト化合物は、下記式(I−a)
    II 1−xAl(OH)(A n−(A m−・yHO(I−a)
    〔ただし、式中MIIは、Mg2+または/およびZn2+を示し、A n−は、n価のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン(SO 2−)、またはn価のケイ酸アニオンを示し、n価のケイ酸アニオンとしては、SiO 2−、HSiO 、Si 2−およびHSi からなる群から選ばれるアニオンを示し、A m−は、CO 2−、NO 、ClおよびOHからなる群から選ばれるアニオンを示し、xおよびyは、式0.50<x≦0.80および式0<y<2を満足し、aおよびbは式0.50<na+mb≦0.80を満足し、x、aおよびbは式x=na+mbを満足し、そして全アニオン(A n−+A m−)中のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン、またはケイ酸アニオンの割合が10〜98モル%である〕
    で表わされる化合物である請求項1記載の水性インク用染料定着剤。
  6. 前記式(I−a)において、全アニオン(A n−+A m−)中の10〜98モル%がケイ酸アニオンおよび硫酸アニオンまたはケイ酸アニオンである請求項5記載の水性インク用染料定着剤。
  7. 該ハイドロタルサイト化合物は、そのBET法比表面積50〜400m/gである請求項5記載の水性インク用染料定着剤。
  8. 該ハイドロタルサイト化合物は、その全細孔容積(Nガス吸着法)が0.50〜2.00ml/gである請求項5記載の水性インク用染料定着剤。
  9. 該ハイドロタルサイト化合物は、その平均細孔半径(Nガス吸着法)が4〜15nmである請求項5記載の水性インク用染料定着剤。
  10. 該ハイドロタルサイト化合物は、平均粒径が0.1〜10μmである請求項5記載の水性インク用染料定着剤。
  11. 該ハイドロタルサイト化合物は、下記式(I−b)
    II 1−xAl(OH)(A n−(A m−・yHO(I−b)
    〔ただし、式中MIIは、Mg2+または/およびZn2+を示し、A n−は、n価のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン(SO 2−)、またはn価のケイ酸アニオンを示し、n価のケイ酸アニオンとしては、SiO 2−、HSiO 、Si 2−およびHSi からなる群から選ばれるアニオンを示し、A m−は、CO 2−、NO 、ClおよびOHからなる群から選ばれるアニオンを示し、xおよびyは、式0.15<x≦0.50および式0<y<2を満足し、aおよびbは式0.15<na+mb≦0.50を満足し、x、aおよびbは式x=na+mbを満足し、そして全アニオン(A n−+A m−)中のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン、またはケイ酸アニオンの割合が10〜98モル%である〕
    で表される化合物である請求項1記載の水性インク用染料定着剤。
  12. 該ハイドロタルサイト化合物は、平均粒径が0.1〜10μmである請求項11記載の水性インク用染料定着剤。
  13. 基材上に積層された水性インク受容層を有するインクジェット記録媒体であって、該水性インク受容層中の染料定着剤は、請求項1記載の染料定着剤であるインクジェット記録媒体。
  14. 該染料定着剤は、請求項5記載の染料定着剤である請求項13記載のインクジェット記録媒体。
  15. 該染料定着剤は、請求項11記載の染料定着剤である請求項13記載のインクジェット記録媒体。
  16. 下記式(1)で表される多孔質ハイドロタルサイト化合物。
    II 1−XAl(OH)(A n−(A m−・yHO (1)
    〔ただし、式中MIIは、Mg2+または/およびZn2+を示し、A n−は、n価のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン(SO 2−)、またはn価のケイ酸アニオンを示し、A m−は、CO 2−、NO 、ClおよびOHからなる群から選ばれるアニオンを示し、xおよびyは、式0.50<x≦0.80および式0<y<2を満足し、aおよびbは式0.50<na+mb≦0.80を満足し、そしてx、aおよびbは式x=na+mbを満足し、そして全アニオン(A n− +A m− )中のケイ酸アニオンおよび硫酸イオン、またはケイ酸アニオンの割合が10〜98モル%である。〕
  17. 該n価のケイ酸アニオンは、SiO 2−、HSiO 、Si 2−およびHSi からなる群から選ばれるアニオンである請求項16記載の多孔質ハイドロタルサイト化合物。
  18. BET比表面積が50〜400m/gである請求項16記載の多孔質ハイドロタルサイト化合物。
  19. 全細孔容積(Nガス吸着法)が0.50〜2.00ml/gである請求項16記載の多孔質ハイドロタルサイト化合物。
  20. 平均細孔半径(Nガス吸着法)が4〜15nmである請求項16記載の多孔質ハイドロタルサイト化合物。
  21. 平均粒径が0.1〜10μmである請求項16記載の多孔質ハイドロタルサイト化合物。
  22. 請求項16記載のハイドロタルサイト化合物のインクジェット記録媒体における水性インク受容層中の染料定着剤への使用。
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