JP3845716B2 - 生体吸収性複合成形物、生体吸収性材料およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨の置換材、接合材、修復材などの生体材料、皮膚端子、カテーテルなどの医療器具材料、薬剤徐放性基材として有用な生体吸収性複合成形物、生体吸収性材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭63−181756号公報には、生体骨が欠損した場合の修復材や骨折したときの接合材として、多孔質のリン酸カルシウムの焼結体や、多孔質のリン酸カルシウムをポリ乳酸などで強化したものが、特開平7−148243号公報には、リン酸カルシウムの繊維やリン酸カルシウムの繊維をポリ乳酸などで強化したものや、これらの繊維を編んだものが、特開昭63−89166号公報にはポリ乳酸に、ヒドロキシアパタイトやリン酸三カルシウムなどを溶融状態で複合化したものが開示されている。
【0003】
しかしながら、リン酸カルシウムの焼結体やリン酸カルシウムの繊維などのリン酸カルシウムのみから成る材料は脆いという欠点があり、また、多孔質のリン酸カルシウムをポリ乳酸で強化したものや、リン酸カルシウムの繊維をポリ乳酸などで強化したもの、ポリ乳酸にヒドロキシアパタイトやリン酸三カルシウムなどを溶融状態で複合化したものなどは、いずれも骨組織の誘導、再生がされ難い欠点がある。
【0004】
しかも上記のリン酸カルシウムの強化材に使用されているポリ乳酸は、概して残留ラクチドが多く含有されているため、開環し乳酸の鎖状二量体や乳酸などになり、ポリ乳酸を分解させるため、生体内での分解、吸収性が早く、また、貯蔵時の安定性や成形加工時の熱安定性に劣るなどの問題があり、且つ、その残留ラクチド量はロット振れが大きいために、その生体内での分解、吸収性にバラツキがあり、再現性に乏しい欠点を有していた。
【0005】
また、従来、これらの生分解性ポリマー成形体中に孔を開けて、生体適用性を向上させようとする試みは行われていたが、これらは生分解性ポリマーの成形体に機械的に孔を開けるものであり、例えば、ドリルやレーザーを用いる方法であり、生分解性ポリマー中に多数の微細な孔を開けることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、優れた生体適合性、生体吸収性、貯蔵安定性を有し、骨の置換材、接合材、骨充填材料、歯科材料、生体修復材等の生体用材料、皮膚端子、カテーテル等の医療器具材料、薬剤徐放性基材等に有用な生体吸収性複合成形物、生体吸収性材料及びそれらの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、生分解性ポリマーとリン酸カルシウムとの複合体に、水溶性ポリマー繊維を貫通させることにより、或いは、その後、水溶性ポリマー繊維を水や温水で除去し、連通孔をつくることにより、好ましくは生分解性ポリマーとして、乳酸系ポリエステルを使用し、とりわけ、乳酸系ポリエステル中の残留ラクチドを低減させることにより、生体内での炎症性反応がなく、良好な分解性を示し、繊維性組織や骨組織の誘導及びそれらの再生を促進でき、しかも、良好な成形性、貯蔵安定性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体中に水溶性ポリマー繊維(B)が含まれ、且つ、該水溶性ポリマー繊維(B)の1本以上が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の2面間以上を貫通している生体吸収性複合成形物、
(2)水溶性ポリマー繊維(B)が、太さ1μm〜1000μmであることを特徴とする(1)に記載の生体吸収性複合成形物、
(3)水溶性ポリマー繊維(B)が、ポリビニルアルコール系繊維であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の生体吸収性複合成形物、
【0009】
(4)生分解性ポリマー(A)が、乳酸系ポリエステルであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の生体吸収性複合成形物、
(5)乳酸系ポリエステルが、乳酸成分と、ジカルボン酸成分と、ジオール成分とを必須成分とすることを特徴とする(4)に記載の生体吸収性複合成形物、(6)乳酸系ポリエステルが、触媒を失活処理した乳酸系ポリエステルであることを特徴とする(4)又は(5)に記載の生体吸収性複合成形物、
【0010】
(7)生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体中に水溶性ポリマー繊維(B)を含む成形物を成形する際に、1本以上の水溶性ポリマー繊維(B)が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の2面間以上を貫通するように、水溶性ポリマー繊維(B)を生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の中に配置して成形することを特徴とする生体吸収性複合成形物の製造方法、
(8)生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)とのフィルムの間に1本以上の水溶性ポリマー繊維(B)を挟み、生分解性ポリマー(A)の融点以上の温度でフィルムと水溶性ポリマー繊維(B)とを圧着することを特徴とする、(7)に記載の生体吸収性複合成形物の製造方法、
(9)水溶性ポリマー繊維(B)が、太さ1μm〜1000μmであることを特徴とする(7)又は(8)に記載の生体吸収性複合成形物の製造方法、
【0011】
(10)水溶性ポリマー繊維(B)が、ポリビニルアルコール系繊維であることを特徴とする(9)に記載の生体吸収性複合成形物の製造方法、
(11)生分解性ポリマー(A)が、乳酸系ポリエステルであることを特徴とする上記の(7)〜(10)のいずれか1つに記載の生体吸収性複合成形物の製造方法、
(12)乳酸系ポリエステルが、乳酸成分と、ジカルボン酸成分と、ジオール成分とを必須成分とすることを特徴とする(11)に記載の生体吸収性複合成形物の製造方法、
(13)乳酸系ポリエステルが、触媒を失活処理した乳酸系ポリエステルであることを特徴とする(11)又は(12)に記載の生体吸収性複合成形物の製造方法、
【0012】
(14)上記の(7)〜(13)に記載のいずれか1つの方法により製造された生体吸収性複合成形物中の水溶性ポリマー繊維(B)を、水溶液により除去することを特徴とする生体吸収性材料の製造方法、及び、
(15)上記の(14)に記載の製造方法により製造された、孔径1μm〜1000μmの1つ以上の孔が生解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の2面間以上を貫通している生体吸収性材料である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の生体吸収性複合成形物を構成する成分について、以下に説明する。
本発明で用いられるリン酸カルシウム系化合物とは、リン酸に由来する部分とカルシウム原子の合計が50重量%以上含まれるもので、具体的にはリン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸アパタイト、マグネシウム含有アパタイト、フッ素アパタイトなどである。また、その結晶構造は如何なるものでもよく、非晶質であってもよい。特に、リン酸カルシウム系化合物としてリン酸三カルシウムを使用することにより、生体内で生体骨と置換され易い。
【0014】
また、本発明で使用されるリン酸カルシウム系化合物としては、平均粒径0.1μm〜300μmの集合体から成る球状、多孔質、無定形のものを指す。平均粒径が0.1μm未満では生分解性ポリマー、とりわけ、乳酸系ポリエステルと混練し難くなり、300μmより大きい場合には、生体内での生体骨との接合、置換が起こり難くなる。また、平均断面径が0.01mm〜5mmの繊維を使用しても良い。繊維を使用したときには機械的強度が増す傾向がある。
【0015】
また、本発明に用いられるヒドロキシアパタイトの製法は、特に特定されないが、具体的には乾式法、水熱法、湿式法、アルコキシド法があり、熱処理を行ってもよい。またリン酸三カルシウムの製法も特に特定されないが、具体的には乾式法、水熱法、湿式法があり、熱処理を行ってもよい。
【0016】
本発明で用いる生分解性ポリマーとしては、特に限定されるものでないが、脂肪族ポリエステル、澱粉系天然高分子、キトサン系天然高分子等の生分解性プラスチックハンドブック(生分解性プラスチック研究会編1995年5月26日発行)の28頁に記載されているポリマーや脂肪族ポリエステルアミド、酢酸セルロース等が挙げられ、特に生分解性ポリマーとして、脂肪族ポリエステルの一つである乳酸系ポリエステルが好ましい。
【0017】
乳酸系ポリエステルとしては、要求される生体内での機械的物性、分解速度、他素材との混練性などによって異なるが、通常、その重量平均分子量は、3,000〜400,000で、融点50〜200℃であるものが適している。高い機械的物性が要求される場合には、重量平均分子量は2万以上であることが好ましく、3,000未満では、それから得られる乳酸系ポリエステルの機械的物性が不十分で、40万を越えると、成形性が劣り好ましくない。
【0018】
また、本発明で用いる乳酸系ポリエステルとは、乳酸成分を乳酸系ポリエステル中に30重量%以上含有するものを意味する。具体的には乳酸系ポリエステルは、乳酸成分の単独重合体、乳酸成分と他のモノマー成分及び/又はポリマー成分との共重合体、乳酸系ポリエステルと生分解性ポリマーなどとのブレンド物を指す。乳酸成分と、他のモノマー成分及び/又はポリマー成分との共重合体の具体例としては、乳酸成分と、ヒドロキシカルボン酸成分、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル成分、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、セルロース誘導体などとの共重合体が挙げられる。
【0019】
乳酸成分としては乳酸及び乳酸の環状二量体のラクチドが挙げられる。乳酸は、光学活性を有するモノマーで、L−乳酸、D−乳酸が存在する。また、ラクチドには、L−ラクチド、D−ラクチド、MESO−ラクチドの異性体がある。そのため、乳酸系ポリエステルはこれら二種の乳酸、三種のラクチドを組み合わせることにより好ましいポリマー特性を実現できる。
【0020】
特に、本発明の乳酸系ポリエステルで、高い耐熱性を実現するためには、乳酸として、光学活性は高い方が好ましい。具体的には乳酸として、総乳酸中、L体或いはD体が70重量%以上含まれることが好ましい。更に優れた耐熱性を得るためには、乳酸としてL体或いはD体が85重量%以上含まれることが好ましい。また、ラクチドについてもL−ラクチド或いはD−ラクチドを総ラクチド中、70重量%以上含むことが好ましい。更に優れた耐熱性を得るためには、L−ラクチド或いはD−ラクチドの含量は、総ラクチド中、85重量%以上である。
【0021】
乳酸成分と共重合させるモノマー成分のヒドロキシカルボン酸成分としては、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、β−ヒドロキシプロパン酸、α−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシ酪酸、γ−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、β−ヒドロキ吉草酸、γ−ヒドロキシ吉草酸、δ−ヒドロキシ吉草酸、δ−ヒドロキシメチル吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、β−ヒドロキカプロン酸、γ−ヒドロキシカプロン酸、δ−ヒドロキシカプロン酸、δ−ヒドロキシメチルカプロン酸、ε−ヒドロキシカプロン酸、ε−ヒドロキシメチルカプロン酸等が挙げられる。
【0022】
また、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル成分としては、グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ウンデカラクトン、ε−カプロラクトン、パラジオキサノンなどが挙げられる。
【0023】
次に乳酸系ポリエステルの製造方法について説明する。
本発明に言う乳酸系ポリエステルが、乳酸成分の単独重合体である場合は、Polymer,20巻,1459頁(1979年)に見られるように、ラクチドを触媒の存在下で開環重合した後、或いは特開平6−172502号公報に開示されているように、溶剤の共存下で、乳酸を直接重縮合した後、残留揮発成分、とりわけ残留ラクチドを除去して製造される。
【0024】
また本発明に言う乳酸系ポリエステルは、乳酸成分と、他のヒドロキシカルボン酸成分、或いはヒドロキシカルボン酸の環状エステル成分との共重合体の場合には、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸成分を直接重縮合することにより、或いはラクチドとヒドロキシカルボン酸の環状エステル成分を、触媒の存在下に開環重合することにより、好ましくは、その後で残留揮発成分、とりわけ残留ラクチドを除去して製造される。
【0025】
特に本発明の乳酸系ポリエステルが、乳酸成分と、他のヒドロキシカルボン酸成分或いはヒドロキシカルボン酸の環状エステル成分との共重合体である場合は、該共重合体中の乳酸成分が30重量%以上であると、得られた乳酸系ポリエステルは機械的強度が高くなる。
【0026】
本発明に用いる生分解性ポリマーとしては、乳酸系ポリマーが好ましく、とりわけ、乳酸系ポリエステルが、乳酸成分、ジカルボン酸成分と、ジオール成分を必須成分として成る共重合体である場合は、得られた成形物が高い柔軟性を有することで好ましい。ジカルボン酸成分と、ジオール成分が増すに従い、柔軟性は向上する。また、乳酸系ポリエステルとして、触媒を失活処理した乳酸系ポリエステルが好ましい。
【0027】
この乳酸成分とジカルボン酸成分とジオール成分を必須成分として成る乳酸系ポリエステルとは、具体的には、乳酸成分をその共重合体中に30重量%以上含有し、ジカルボン酸成分とジオール成分を70重量%未満含有する共重合体が挙げられる。更に詳しくは、ジカルボン酸成分とジオール成分の合計量が、乳酸成分に対し、2重量%〜70重量%、更に好ましくは4重量%〜60重量%である。2重量%未満では、柔軟性が充分ではなく、きめ細かい生体内での分解性制御や炎症性反応の抑制を達成できない。また70重量%より多い場合には好ましい機械的物性が得られない。
【0028】
また、その製造方法は問わないが、ジカルボン酸成分とジオール成分から成るポリエステルとラクチドとを開環重合触媒の存在下で共重合やエステル交換反応させた後、或いは特開平7−172425号公報に開示されているように乳酸とジカルボン酸成分とジオール成分とを触媒や溶剤の共存在下で、脱水、脱グリコールによる縮重合させた後、残留揮発成分、とりわけ残留ラクチドを除去して製造される。
【0029】
さらに、ラクチドを原料として得られたポリ乳酸や、乳酸を溶剤の共存或いは非存在下に縮重合して得られたポリ乳酸と、ジカルボン酸成分とジオール成分から成るポリエステルとをエステル交換触媒の共存下でエステル交換させた後、残留揮発成分、とりわけ残留ラクチドを除去して製造される。
【0030】
更に、前記の乳酸系ポリエステルを製造する時に使用されるジカルボン酸成分とジオール成分から成るポリエステルは、ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化触媒の存在下、減圧条件下で脱水、脱グリコールを行い縮重合させる方法、特開平7−172425号公報に開示されているようなジカルボン酸成分とジオール成分とを触媒の存在下、脱水剤の使用条件下で脱水、脱グリコールを行い縮重合させる方法などにより製造することができる。
【0031】
乳酸成分と共重合させるジカルボン酸成分とジオール成分については、特に制約は無いが、ジカルボン酸成分としては、具体的には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサ−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、trans−ヘキサヒドロテレフタル酸、cis−ヘキサヒドロテレフタル酸、ダイマー酸など、及びそれらの混合物が挙げられる。とりわけ、炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分を使用したときには柔軟性に優れる。
【0032】
また、ジオール成分に関しても、特に種類を問わないが、生体内の分解性から芳香環を含まないジオール成分が好ましい。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、
【0033】
デカメチレングリコール、ウンデカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、トリデカメチレングリコール、エイコサメチレングリコール、trans−1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、水添ビスフェノールA、p−キシリレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなど、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0034】
更にジオール成分として、エーテル結合の酸素原子を多く有するポリオキシアルキレンを使用したときには柔軟性に優れる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロック共重合体などが挙げられる。
【0035】
乳酸系ポリエステルの溶融混練や溶融成形時の熱安定性や貯蔵安定性を向上させるためには、特に、乳酸系ポリエステル(A)中の残留ラクチド、乳酸、そのオリゴマーなどの酸成分を低減することが効果的である。その低減方法としては、乳酸系ポリエステルの製造工程の後に取り付けられた脱揮槽、フィルムエバポレーター、ベント付押出機などの脱揮装置を用いて除去するか、溶剤析出法より除去するか、アルコール、ケトン、炭化水素などの溶剤を用いて、溶解させずに、浸漬或いは分散後に抽出除去することができる。
【0036】
本発明の乳酸系ポリエステルの製造時に使用される重合触媒としては、公知慣用の開環重合触媒、エステル化触媒、エステル交換触媒などの重合触媒であり、錫、亜鉛、鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム、コバルトなどの金属及びその化合物が挙げられ、金属化合物については、特に、金属有機化合物、炭酸塩、ハロゲン化物が好ましい。
【0037】
具体的にはオクタン酸錫、塩化錫、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、ジアセトアセトキシオキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウムなどが適している。その添加量は反応成分100重量部に対して0.001〜2重量部、反応速度、着色などの観点から、その添加量は、0.002重量%〜0.5重量部が更に好ましい。
【0038】
また、ジカルボン酸成分とジオール成分から成るポリエステルの製造時に使用されるエステル化触媒としては、上述の触媒と同様のものが用いられ、エステル化の最初から、或いは脱グリコール反応の直前に加えることが好ましい。
【0039】
本発明の乳酸系ポリエステルを製造するときの反応温度は、乳酸成分、ジカルボン酸成分やジオール成分などの種類、量、組合せなどにより異なるが、通常125℃〜250℃、好ましくは140℃〜230℃、更に好ましくは150℃〜200℃である。
【0040】
次に、触媒を失活処理した乳酸系ポリエステルについて説明する。乳酸系ポリエステル製造時に使用する重合触媒を失活処理することにより、乳酸系ポリエステル中のラクチド、乳酸、そのオリゴマーなどの酸成分を低減させることができる。その結果、その貯蔵安定性、成形加工時の高熱での安定性が大幅に改良される。重合触媒の失活処理は、乳酸系ポリエステルの製造工程の末期や製造後に、触媒失活剤の添加やその接触により該ポリエステル中の触媒と反応させて達成できる。重合触媒の失活剤としては、酸性リン酸エステル類、キレート剤が特に好ましい。
【0041】
重合触媒の失活剤として用いるキレート剤には、有機系キレート剤と無機系キレート剤がある。有機系キレート剤は、吸湿性が少なく、熱安定性に優れる。使用できる有機系キレートとしては、特に、限定されないが、アミノ酸、フェノール類、ヒドロキシカルボン酸、ジケトン類、アミン類、オキシム、フェナントロリン類、ピリジン化合物、ジチオ化合物、配位原子としてN含有フェノール、配位原子としてN含有カルボン酸、ジアゾ化合物、チオール類、ポルフィリン類などが挙げられる。
【0042】
具体的には、アミノ酸としてはグリシン、ロイシン、アラニン、セリン、α−アミノ酪酸、アセチルアミノ酢酸、グリシルグリシン、グルタミン酸など、フェノール類としてはアリザリン、t−ブチルカテコール、4−イソプロピルトロポロン、クロモトロープ酸、タイロン、オキシン、没食子酸プロピルなど、ヒドロキシカルボン酸としては酒石酸、蓚酸、クエン酸、クエン酸モノオクチル、ジベンゾイル−D−酒石酸、ジパラトルオイル−D−酒石酸などが挙げられる。
【0043】
ジケトン類としてはアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、テノイルトリフルオロアセトン、トリフルオルアセチルアセトンなど、アミン類としてはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,2,3−トリアミノプロパン、チオジエチルアミン、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど、オキシムとしてはジメチルグリオキシム、α,α−フリルジオキシム、サリチルアルドキシムなどが挙げられる。
【0044】
フェナントロリン類としてはネオクプロイン、1,10−フェナントロリンなど、ピリジン化合物としては2,2−ビピリジン、2,2’,2”−テルピリジルなど、ジチオ化合物としてはキサントゲン酸、ジエチルジチオカルバミン酸、トルエン−3,4−ジチオールなど、配位原子N含有フェノールとしてはο−アミノフェノール、オキシン、ニトロソR塩、2−ニトロソ−5−ジメチルアミノフェノール、1−ニトロソ−2−ナフトール、8−セレノキノリン等が挙げられる。
【0045】
配位原子N含有カルボン酸としてはキナルジン酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、trans−シクロヘキサンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、アニリン二酢酸、2−スルホアニリン二酢酸、3−スルホアニリン二酢酸、4−スルホアニリン二酢酸、2−アミノ安息香酸−N,N−二酢酸、3−アミノ安息香酸−N,N−二酢酸、4−アミノ安息香酸−N,N−二酢酸、メチルアミン二酢酸、β−アラニン−N,N−二酢酸、
【0046】
β−アミノエチルスルホン酸−N,N−二酢酸、β−アミノエチルホスホン酸−N,N−二酢酸など、ジアゾ化合物としてはジフェニルカルバゾン、マグネソン、ジチゾン、エリオクロムブラックT、4−(2−チアゾリルアゾ)レゾルシン、1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトールなど、チオール類としてはチオオキシン、チオナリド、1,1,1−トリフルオロ−4−(2−チエニル)−4−メルカプト−3−ブテン−2−オン、3−メルカプト−p−クレゾールなどが挙げられる。
【0047】
ポルフィリン類としてはテトラフェニルポルフィン、テトラキス(4−N−メチルピリジル)ポルフィンなど、その他としてクペロン、ムレキシド、ポリエチレンイミン、ポリメチルアクリロイルアセトン、ポリアクリル酸など及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0048】
なかでも、効率よく乳酸系ポリエステル中に含まれる触媒の金属イオンと配位結合し、ポリマー末端の切断を抑制する有機系キレート剤としては、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン二酢酸、テトラエチレンペンタミン、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、trans−シクロヘキサンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸などの配位原子N含有カルボン酸、
【0049】
酒石酸、ジベンゾイル−D−酒石酸、ジパラトルオイル−D−酒石酸、クエン酸、クエン酸モノオクチルなどのヒドロキシカルボン酸が挙げられる。特に、上記の配位原子N含有カルボン酸は熱安定性や貯蔵安定性に優れ、ヒドロキシカルボン酸は着色が少ない特徴を有している。
【0050】
無機系キレート剤は、吸湿性が高く、吸湿すると、効果がなくなるため、取り扱いに注意を要する。具体的には、リン酸、亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸類を挙げることができる。
【0051】
また、酸性リン酸エステル類は、乳酸系ポリエステル中に含有される触媒の金属イオンと錯体を形成し、触媒活性を失わせ、ポリマー鎖の切断を抑制する効果を示す。酸性リン酸エステル類としては、酸性リン酸エステル、ホスホン酸エステル、アルキルホスホン酸など及びその混合物を指すもので、次にその一般式を示す。
【0052】
【化1】
(式中、R1はアルキル基又はアルコキシル基、R2はアルキル基又はアルコキシル基又はヒドロキシル基を示す。)
【0053】
具体的には、酸性リン酸エステルとしては、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノエチル、リン酸ジエチル、リン酸モノプロピル、リン酸ジプロピル、リン酸モノイソプロピル、リン酸ジイソプロピル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸モノペンチル、リン酸ジペンチル、リン酸モノヘキシル、リン酸ジヘキシル、リン酸モノオクチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノ2−エチルヘキシル、リン酸ジ2−エチルヘキシル、リン酸モノデシル、
【0054】
リン酸ジデシル、リン酸モノイソデシル、リン酸ジイソデシル、リン酸モノウンデシル、リン酸ジウンデシル、リン酸モノドデシル、リン酸ジドデシル、リン酸モノテトラデシル、リン酸ジテトラデシル、リン酸モノヘキサデシル、リン酸ジヘキサデシル、リン酸モノオクタデシル、リン酸ジオクタデシル、リン酸モノフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノベンジル、リン酸ジベンジルなどが挙げられる。
【0055】
ホスホン酸エステルとしては、ホスホン酸モノメチル、ホスホン酸モノエチル、ホスホン酸モノプロピル、ホスホン酸モノイソプロピル、ホスホン酸モノブチル、ホスホン酸モノペンチル、ホスホン酸モノヘキシル、ホスホン酸モノオクチル、ホスホン酸モノエチルヘキシル、ホスホン酸モノデシル、ホスホン酸モノイソデシル、ホスホン酸モノウンデシル、ホスホン酸モノドデシル、ホスホン酸モノテトラデシル、ホスホン酸モノヘキサデシル、ホスホン酸モノオクタデシル、ホスホン酸モノフェニル、ホスホン酸モノベンジルなどが挙げられる。
【0056】
アルキルホスホン酸としては、モノメチルホスホン酸、ジメチルホスホン酸、モノエチルホスホン酸、ジエチルホスホン酸、モノプロピルホスホン酸、ジプロピルホスホン酸、モノイソプロピルホスホン酸、ジイソプロピルホスホン酸、モノブチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸、モノペンチルホスホン酸、ジペンチルホスホン酸、モノヘキシルホスホン酸、ジヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、モノエチルヘキシルホスホン酸、ジエチルヘキシルホスホン酸、モノデシルホスホン酸、ジデシルホスホン酸、
【0057】
モノイソデシルホスホン酸、ジイソデシルホスホン酸、モノウンデシルホスホン酸、ジウンデシルホスホン酸、モノドデシルホスホン酸、ジドデシルホスホン酸、モノテトラデシルホスホン酸、ジテトラデシルホスホン酸、モノヘキサデシルホスホン酸、ジヘキサデシルホスホン酸、モノオクタデシルホスホン酸、ジオクタデシルホスホン酸などや、モノフェニルホスホン酸、ジフェニルホスホン酸、モノベンジルホスホン酸、ジベンジルホスホン酸など、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0058】
酸性リン酸エステル類成分は有機溶剤との溶解性がよいため作業性に優れ、乳酸系ポリエステルとの反応性に優れる。なかでも酸性リン酸エステルは触媒の失活に大きな効果を示す。
【0059】
更に、重合触媒の失活処理に用いるキレート剤及び/又は酸性リン酸エステル類の添加量は、その種類、乳酸系ポリエステル中に含まれる触媒の種類、量によって異なるが、乳酸系ポリエステル100重量部に対して、0.001〜5重量部を添加することが好ましい。いずれのキレート剤、酸性リン酸エステル類もポリマー鎖の切断を最小に抑えることができ、また、有機系キレート剤、無機系キレート剤、酸性リン酸エステル類を混合して使用しても差し支えない。
【0060】
しかしキレート剤や酸性リン酸エステル類を過剰に添加すると、貯蔵中に乳酸系ポリエステル鎖が切断され、低分子量化、低粘度化して、本発明の性能が得られないことがあるため、適正量を添加する必要がある。
【0061】
重合触媒の失活処理後の乳酸系ポリエステル中のラクチド、乳酸、そのオリゴマーなどの酸成分の低減方法としては、重合触媒の失活処理後に取り付けられた脱揮槽、フィルムエバポレーター、ベント付押出機などの脱揮装置を用いて除去するとか、良溶媒に溶解後、貧溶剤中に析出させることによって除去するとか、アルコール、ケトン、炭化水素などの溶剤を用いて、溶解させずに、浸漬或いは分散後抽出して除去することができる。
【0062】
また、乳酸系ポリエステルの生体内での安全性の向上化方法としては、乳酸系ポリエステルに含有されている触媒を除くことが効果的である。その方法としては、公知の方法、例えば特開平8−34844号公報、特開平8−109250号公報などに開示されているように、乳酸系ポリエステルを有機溶剤に溶解後、酸性物質及び水と接触させ、有機層を分離して触媒を除去することもできる。
【0063】
次に、本発明に使用される水溶性ポリマー繊維について説明する。
本発明に使用される水溶性ポリマー繊維としては、特に限定されるものでないが、生体への悪影響がなく、生体内、或いは水や温水で、比較的容易に溶解、分解されるものが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール、プルラン(林原生物研究所製のマントトリオースがα−1,6グルコシド結合したポリマー)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、アミローズ、ポリペプチドなどの繊維が挙げられ、これらの1種以上を使用することができる。
【0064】
また、水溶性ポリマー繊維としては、弱酸性液体、弱塩基性液体などに溶解するものも使用することができる。具体的にはセルロース、レーヨン、アセテートなどの繊維が挙げられる。また、上記の水溶性繊維として、分子量、構造の異なるものも使用することができ、例えばポリビニルアルコールのケン化度の異なるものが該当する。さらに、生分解性ポリマーとしては高融点のものが多いため、水溶性ポリマー繊維としては耐熱性が高い方が好ましい。その点ではポリビニルアルコール系繊維が特に好ましい。
【0065】
また、それらの繊維の太さは、特に限定されるものでなく、使用される生体内の部位によって太さが選ばれる。通常、1μm〜1000μmが好ましい。
さらに、それらの繊維をモノフィラメント或いはマルチフィラメントとして使用でき、更に、それらの繊維を延伸させ、強度を高めたものも使用することができる。
【0066】
次に、本発明の生体吸収性複合成形物の製造方法について説明する。
本発明の生体吸収性複合成形物の製造方法は、生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体中に水溶性ポリマー繊維(B)を含む成形物を成形する際に、1本以上の水溶性ポリマー繊維(B)が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の2面間以上を貫通するように、水溶性ポリマー繊維(B)を生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の中に配置して成形することを特徴とする生体吸収性複合成形物の製造方法である。
【0067】
本発明の生体吸収性複合成形物は、具体的には、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物を、生分解性ポリマーの融点以上の温度で混練して作製したフィルム間に、1本以上の水溶性ポリマー繊維を挟み、生分解性ポリマーの融点以上の温度で圧着して得る方法や、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物を、生分解性ポリマーの融点以上の温度で混練して作製したのフィルムの間に、水溶性ポリマー繊維を配向させて挟み、生分解性ポリマーの融点以上の温度で圧着して得られる方法などによって製造される。
【0068】
また、本発明の生体吸収性複合成形物は、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物を、生分解性ポリマーの融点以上の温度で混練して作製したのフィルムの間に、水溶性ポリマー繊維を挟み、生分解性ポリマーの融点以上の温度で圧着して得られた成形物を積層する方法や、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物のフィルムの間に、水溶性ポリマー繊維から成る不織布を挟み、生分解性ポリマーの融点以上の温度で圧着して得る方法、更に得られた成形物を積層する方法により製造される。
【0069】
さらに、使用される生分解性ポリマーとしては、乳酸系ポリエステルが好ましく、とりわけ、乳酸系ポリエステルが乳酸成分とジカルボン酸成分とジオール成分を必須成分として成るものが好ましい。また、乳酸系ポリエステルとして、触媒を失活処理した乳酸系ポリエステルが好ましい。
【0070】
また、この生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体のフィルムは、プレス成形機、押出機、射出成形機などにより作製することができる。さらに、この生体吸収性複合成形物は、一般的にはプレス成形機で作製され、成形温度は生分解性ポリマーの融点以上の温度で行われる。
【0071】
本発明の生体吸収性複合成形物、又は生体吸収性材料は、生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体中に含まれる、少なくとも1本以上の水溶性ポリマー繊維(B)が生分解性ポリマー(A)の少なくとも2面間以上を貫通し、生分解性ポリマー(A)の外面まで達していることが必須であり、その方向は縦、横、斜め、いずれの方向でも構わない。
【0072】
多数の水溶性ポリマー繊維が生分解性ポリマー中に含まれる場合は、その水溶性ポリマー繊維の多くが生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体の2面間を貫通している方が、貫通孔が生成される際に水溶液が生分解性ポリマー内部を流通する為、生分解性向上の点から好ましいが、製造上の問題から、必ずしも全ての水溶性ポリマー繊維が生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体の2面間を貫通していなくとも良く、水溶性ポリマー繊維のいくつ本かが生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体の2面間以上を貫通しているものでも良い。また、2面間以上とは、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体の内部で水溶性ポリマー繊維同士がクロスし、水溶性ポリマー繊維が2面間以上、例えば3面間、又は4面間を貫通したものも含む。
【0073】
多数の水溶性ポリマー繊維を生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体中に含ませ、成形後に、この成形物を切断することにより、少なくとも1本以上の水溶性ポリマー繊維(B)が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の少なくとも2面間以上を貫通し、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体(A)の外面まで達している生体吸収性複合成形物を作成することも本発明に含まれる。これらは、水溶性ポリマー繊維の不織布を用いる際に、特に有用である。
【0074】
また、少なくとも1本以上の水溶性ポリマー繊維(B)が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の外面まで達しており、水溶性ポリマー繊維(B)の一方の端が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の中央部分まである成形物を作成し、次いでこれを中央部分で切断し、少なくとも1本以上の水溶性ポリマー繊維(B)が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の少なくとも2面間以上を貫通し、生分解性ポリマー(A)の外面まで達している生体吸収性複合成形物を作成する方法も本発明に含まれる。
【0075】
本発明の生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の中に水溶性ポリマー繊維(B)が含まれ、且つ、該水溶性ポリマー繊維(B)の1本以上が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の2面間を貫通している生体吸収性複合成形物、又は生体吸収性材料の具体的な例を模式図として図1〜図5に示す。
【0076】
図1は最も簡単な生体吸収性複合成形物、生体吸収性材料の例であり、1本の水溶性ポリマー繊維(B)が生分解性ポリマー(A)の2面間を貫通している図である。
図1〜図5中の点線部分は水溶性ポリマー繊維(B)、もしくは該水溶性ポリマー繊維(B)を溶出除去した孔を示す。
【0077】
図2は複数の水溶性ポリマー繊維(B)が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の内部で交差して生分解性ポリマー(A)の4面間を貫通している図である。
図3及び図4は複数の水溶性ポリマー繊維(B)が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の内部で交差して生分解性ポリマー(A)の4面間を貫通している図である。
【0078】
図5は複数の水溶性ポリマー繊維(B)が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の内部で交差して生分解性ポリマー(A)の多数の面間を貫通している図である。
本発明の生分解性成形物から水溶性ポリマー繊維(B)を溶出除去し、水溶性ポリマー繊維の形状の孔を生じさせた本発明の生体吸収性材料は、図1〜図5に示す模式図で同様に示される。
【0079】
生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体を貫通している水溶性ポリマー繊維を、水溶液、更に詳しくは、水、温水、弱酸性液、弱塩基性液、あるいは体液を含む水溶液など、水溶性ポリマー繊維を溶解、分解するものに、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体を浸漬し、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体から溶出、除去することにより、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体内部に2面間以上を貫通する孔が生成し、生体内等の水溶液の存在下において、水溶液が該孔を自由に流通することにより、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体自体の構造は保ちながら、その内部から徐々に生分解性ポリマーが分解される特性を有することになる。
【0080】
生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体中の水溶性ポリマー繊維を水溶液、即ち、水、温水、弱酸性液、弱塩基性液、あるいは体液を含む水溶液などに浸漬し、水溶性ポリマー繊維を溶解、除去して、連通孔を作る際に、その浸漬温度は生分解性ポリマーが溶解或いは分解されない範囲での高い温度が好ましい。浸漬温度が高い方が水溶性ポリマー繊維の除去速度が速いからである。
【0081】
水溶性ポリマー繊維(B)中に、薬剤を予め含有させ、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体中に含ませることにより、生分解性ポリマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体中から、水溶性ポリマー繊維が水溶液中に溶出するにつれて、徐々に、これらの薬剤を放出させる除法性機能を持たせることも可能である。この際に、生分解性ポリマー(A)にも、これらの薬剤を含ませ、更に水溶性ポリマー繊維(B)中に同種又は異種の薬剤を含ませることにより、異なる除法速度で同種の薬剤の放出を制御することも可能であるし、又、異種の薬剤を異なる放出速度で放出することも可能である。
【0082】
本発明の生分解性ポリマー(A)と水溶性ポリマー繊維(B)とリン酸カルシウム系化合物(C)から成る生体吸収性複合成形物は、使用目的により、その弾性率、生体内での分解、分解速度、硬・軟組織の誘導及びそれらの再生速度などの要求性能が異なるため、生分解性ポリマー(A)と水溶性ポリマー繊維(B)とリン酸カルシウム系化合物(C)との重量比は一概に特定できないが、通常は、(A+C)/(B)が99/1〜20/80、好ましくは98/2〜30/70、更に好ましくは95/5〜40/60である。(A)/(C)は80/20〜5/95、好ましくは70/30〜10/90、更に好ましくは60/40〜15/85である。
【0083】
また、本発明の内、生分解性ポリマー(A)と水溶性ポリマー繊維(B)とリン酸カルシウム系化合物(C)から成る生体吸収性複合成形物は、熱処理して結晶化させてもよい。結晶化させることにより、耐熱性を大幅に高めることができ、硬くなり、剛性も高くなる傾向がある。
【0084】
結晶化させる温度は、生分解性ポリマーのガラス転移点以上、融点以下の温度で行われる。また、結晶化を促進させるため、タルク、カオリン、二酸化ケイ素、窒化ホウ素などの核剤や結晶性ポリマー或いはそれらの混合物を、生分解性ポリマーに対して0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%添加することができる。核剤の形状は、特に限定されないが、0.1〜0.5μmが好ましい。
【0085】
また、本発明の生分解性ポリマー(A)と水溶性ポリマー繊維(B)とリン酸カルシウム系化合物(C)から成る生体吸収性複合成形物を製造する前の、生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)を混練するときに、ポリエチレングリコールなどの水溶性ポリマー、生理学的に許容される塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩類などを、本発明の生体吸収性複合成形物としての機械特性を低下せしめない範囲で混合して使用することができる。
【0086】
また、本発明の生分解性ポリマーに、生理活性物質、薬剤を配合することができる。さらに機械的特性を損なわない範囲で、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、それらの共重合体なども組合せ取り入れることもできる。
【0087】
更に、粘度調節剤としてステアリルアルコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどのアルコール成分を本発明の作用効果を損なわない範囲で添加することができる。
【0088】
生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)と上記の素材との混練は生分解性ポリマー(A)の融点以上の温度、具体的には、通常、温度50〜250℃、好ましくは60〜200℃で混練する。また、乳酸系ポリエステルの場合には、その中の残留揮発成分、とりわけ、残留ラクチドを除去するため混練しながら、脱揮することが好ましく、或いは混練後、減圧度0.01〜50torrで脱揮することが好ましい。さらに、乳酸系ポリエステルは水分により加水分解を生じやすいので、減圧下もしくは不活性ガス雰囲気下で外気に触れることなく混練することが好ましい。混練は、押出機、リアクター、ニーダー、ロールやそれらの組合せで行うことができる。
【0089】
押出機としては、単軸押出機或いは二軸押出機を使用できるが、混練状態から二軸押出機が好ましい。更に、混練後、引き続いて残留揮発成分などを減圧下で除去するためにはベント口が付いているものが好ましい。リアクターとしては、通常の反応釜を使用できるが、混練物質は粘度が高く、攪拌剪断応力により生ずる攪拌熱による分子量低下や着色などから、剪断応力が小さく、しかも均一に混合できるスタテック・ミキサーの使用が好ましい。
【0090】
本発明の生体吸収性複合成形物は、成形加工性や機械的物性に優れ、生体内で分解し、炎症性反応が少ないため、生体吸収性材料として広範な用途が期待できる。その用途は、特に制限されないが、具体的には、本発明の生体吸収性複合成形物は生体骨に近い強度や弾性率を有し、しかも生体骨との接合や置換が速やかに起こるため、骨置換材、骨接合材や骨充填材に、また、本複合成形物は機械的強度や柔軟性の他、高い組織親和性が有るため、カテーテルや人工心臓・ペースメーカーなどの皮膚端子に、さらに本複合成形物に使用の生分解性ポリマーは熱安定性に優れるため、その溶融状態での薬剤の含浸や混練が可能で、しかも水溶性ポリマー繊維の種類、太さ、本数などにより、徐放性を木目細かく制御できるため、薬剤徐放性基材に使用することができる。薬剤徐放性基材に使用される薬剤としては、例えば、種々の消炎剤や抗ガン剤、あるいは腸におけるカルシウムの吸収や骨におけるカルシウム沈着を促進する活性ビタミンDなどを使用することができる。また、歯槽骨再生用遮断膜、硬・軟組織再生促進膜などにも使用できる。
【0091】
【実施例】
以下に実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、例中の部は特に記載のない限り全て重量基準である。
得られた生体吸収性複合成形物の性能評価は、貯蔵安定性、成形加工性、骨組織の誘導・再生度、炎症性反応などについて行った。
【0092】
また、分子量は、GPCにより測定し、ポリスチレン換算値として示した。
融点はセイコー社製示差走査型熱量計DSC−200型を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定した融解吸熱曲線から求めた。
【0093】
貯蔵安定性については、生体吸収性複合成形物を、35℃、80%湿度中に1ヶ月放置し、分子量の保持率の程度で下記の4段階で評価した。
◎:分子量の保持率が90%以上。
○:分子量の保持率が80〜90%。
△:分子量の保持率が60〜80%。
×:分子量の保持率が60%以下。
【0094】
成形加工性については、生体吸収性複合成形物を、80℃〜100℃の温水に入れ、力を加えて変形の程度で下記の4段階で評価した。
◎:極めて容易に変形した。
○:容易に変形した。
△:変形し難い。
×:変形せず。
【0095】
骨組織の誘導・再生度は、犬の長管骨に開けた穴に生体吸収性複合成形物を埋入し、1ヶ月後に顕微鏡観察を行い、下記の4段階で評価した。
◎:骨組織の誘導・再生が著しく進んでいた。
○:骨組織の誘導・再生が相当程度進んでいた。
△:骨組織の誘導・再生が痕跡程度進んでいた。
×:骨組織の誘導・再生が全く進んでいなかった。
【0096】
炎症性反応は、犬の長管骨に開けた穴に、生体吸収性複合成形物を埋入し、4週間後に顕微鏡観察を行い、下記の4段階で評価した。
◎:炎症性の反応が全く見られなかった。
○:炎症性の反応が痕跡程度見られた。
△:炎症性の反応が相当程度見られた。
×:炎症性の反応が著しく見られた。
【0097】
(参考例1)
脂肪族ポリエステル(コハク酸成分50モル%、1,4−ブタンジオール成分50モル%、重量平均分子量39,000)10部と、L−ラクチド87部と、DL−ラクチド3部と溶媒としてトルエン15部とを反応釜に仕込み、不活性ガス雰囲気下で、175℃で1時間それらを溶融混合し、触媒としてオクタン酸錫を0.03部加えて、同温度で6時間反応させた。
【0098】
反応終了後、得られた乳酸系ポリマー10部をm−クレゾール90部に溶解した。この溶液に2%塩酸水溶液100部を添加し、30分間撹拌後、放置し、水層と有機層とを分離した。有機層に100部の水を混合、撹拌、放置、有機層分離の操作を2回繰り返した。この有機層を130℃、5torrの減圧下で脱揮した。その重量平均分子量は183,000、融点は162℃であった。
【0099】
(参考例2)
脂肪族ポリエステル(セバシン酸成分50モル%、エチレングリコール成分50モル%、重量平均分子量36,000)30部と、L−ラクチド70部と溶媒としてトルエン15部とを反応釜に仕込み、不活性ガス雰囲気下で、175℃で1時間それらを溶融混合し、触媒としてオクタン酸錫を0.03部加えて、同温度で6時間反応させた後、リン酸モノドデシルとリン酸ジドデシルとの混合物を0.1部を加え、さらに30分間反応させ、次いで200℃に昇温し、5torrの減圧下で脱揮し、ペレット化した。得られたペレットの重量平均分子量は162,000、融点は167℃であった。
【0100】
(参考例3)
脂肪族ポリエステル(セバシン酸成分50モル%、1,6−ヘキサンジオール成分25モル%、エチレングリコール25モル%、重量平均分子量36,000)50部と、L−ラクチド50部と溶媒としてトルエン15部とを反応釜に仕込み、不活性ガス雰囲気下で、175℃で1時間それらを溶融混合し、触媒としてオクタン酸錫を0.03部加えて、同温度で6時間反応させた後、エチレンジアミン四酢酸を0.2部を加え、さらに30分間反応させ、次いで200℃に昇温し、5torrの減圧下で脱揮し、ペレット化した。得られたペレットの重量平均分子量は147,000、融点は165℃であった。
【0101】
(参考例4)
L−ラクチド98部と、D−ラクチド2部と溶媒としてトルエン15部とを反応釜に仕込み、不活性ガス雰囲気下で、175℃で1時間それらを溶融混合し、触媒としてオクタン酸錫を0.03部加えて、同温度で6時間反応させた後、酒石酸を0.2部を加え、さらに30分間反応させ、次いで200℃に昇温し、5torrの減圧下で脱揮し、ペレット化した。得られたペレットの重量平均分子量は184,000、融点は166℃であった。
【0102】
(参考例5)
激しく撹拌した水酸化カルシウム懸濁液にリン酸水溶液を徐々にpHが9になるまで滴下し生成した沈殿を、800℃で3時間焼成して得たヒドロキシアパタイトを更に乳鉢で粉砕し、篩に通した。(平均粒径39μm)
【0103】
(参考例6)
激しく撹拌した水酸化カルシウム懸濁液にリン酸水溶液を徐々にpHが7になるまで滴下し生成した沈殿を、800℃で3時間焼成して得たリン酸三カルシウムを更に乳鉢で粉砕し、篩に通した。(平均粒径45μm)
【0104】
(実施例1)
参考例1で得られた乳酸系ポリエステル30部と、参考例5で得られたヒドロキシアパタイト70部とを180℃に設定の混練機で10分間混練、冷却後、粉砕し、180℃の熱プレスで、縦10cm、横10cm、厚さ150μmのシートを作製した。次いで、そのシートの間に、太さ150μmのポリビニルアルコールの繊維を200μmの間隔で挟み、180℃の熱プレスで圧着した。得られた成形物を、ポリビニルアルコールの繊維が同方向になるよう180℃の熱プレスで積層後、冷却した。この積層操作を繰り返し、厚み10mmの積層成形物を得た。
【0105】
次いで、この積層成形物を、切断機で縦5mm、横5mm、長さ8mmに切り取り、角柱試料を作製した。そのとき、ポリビニルアルコールの繊維方向と角柱試料の横方向が垂直に成るようにした。得られた角柱試料について、貯蔵安定性、成形加工性の評価を行った。また、その角柱試料を犬の長管骨に埋植し、4週間後に取り出したものについて、骨組織の誘導・置換度、炎症性反応の評価を行った。結果を表1に示す。
【0106】
(実施例2)
参考例2で得られた乳酸系ポリエステル25部と、参考例6で得られたリン酸三カルシウム75部とを180℃に設定の混練機で10分間混練、冷却後、粉砕し、180℃の熱プレスで、縦10cm、横10cm、厚さ150μmのシートを作製した。次いで、そのシートの間に、太さ150μmのポリビニルアルコールの繊維を200μmの間隔で挟み、180℃の熱プレスで圧着した。得られた成形物を、ポリビニルアルコールの繊維が縦、横交互になるよう180℃の熱プレスで積層後、冷却した。この積層操作を繰り返し、厚み10mmの積層成形物を得た。次いで、この積層成形物を切断機で縦5mm、横5mm、長さ8mmに切り取り、角柱試料を作製した。そのとき、ポリビニルアルコールの繊維方向と角柱試料の長さ方向が垂直に成るようにした。得られた角柱試料及び、その試料を犬の長管骨に埋植し、4週間後に取り出したものについて、実施例1同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0107】
(実施例3)
参考例3で得られた乳酸系ポリエステル30部と、参考例6で得られたリン酸三カルシウム70部とを180℃に設定の混練機で10分間混練、冷却後、粉砕し、180℃の熱プレスで、縦10cm、横10cm、厚さ150μmのシートを作製した。次いで、そのシートの間に、太さ200μmのヒドロキシプロピルセルロースの繊維を200μmの間隔で挟み、180℃の熱プレスで圧着した。得られた成形物を、ヒドロキシプロピルセルロースの繊維が同方向になるよう180℃の熱プレスで積層後、冷却した。この積層操作を繰り返し、厚み10mmの積層成形物を得た。
【0108】
次いで、この積層成形物を切断機で縦5mm、横5mm、長さ8mmに切り取り、角柱試料を作製した。そのとき、ヒドロキシプロピルセルロースの繊維方向と角柱試料の長さ方向が垂直に成るようにした。得られた角柱試料を40℃の温水中に1時間放置し、ヒドロキシプロピルセルロースの繊維を除去、乾燥後、貯蔵安定性、成形加工性の評価を行った。また、その試料を犬の長管骨に埋植し、4週間後に取り出したものについて、骨組織の誘導・再生、炎症性反応の評価を行った。結果を表1に示す。
【0109】
(実施例4)
参考例4で得られたポリ乳酸30部と、参考例6で得られたリン酸三カルシウム70部とを180℃に設定の混練機で10分間混練、冷却後、粉砕し、180℃の熱プレスで、縦10cm、横10cm、厚さ150μmのシートを作製した。次いで、そのシートの間に、太さ150μmのポリビニルアルコールの繊維を200μmの間隔で挟み、180℃の熱プレスで圧着した。得られた成形物を、ポリビニルアルコールの繊維が縦、横交互になるよう180℃の熱プレスで積層後、冷却した。この積層操作を繰り返し、厚み10mmの積層成形物を得た。次いで、この積層成形物を切断機で縦5mm、横5mm、長さ8mmに切り取り、角柱試料を作製した。そのとき、ポリビニルアルコールの繊維方向と角柱試料の横方向が垂直に成るようにした。得られた角柱試料及び、その試料を犬の長管骨に埋植し、4週間後に取り出したものについて、実施例1同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0110】
(実施例5)
参考例1に使用の脂肪族ポリエステル(コハク酸50モル%、1,4ブタンジオール50モル%、重量平均分子量39,000)25部と、参考例6で得られたリン酸三カルシウム75部とを150℃に設定の混練機で10分間混練、冷却後、粉砕し、150℃の熱プレスで、縦10cm、横10cm、厚さ150μmのシートを作製した。次いで、そのシートの間に、太さ180μmのプルランの繊維を200μmの間隔で挟み、150℃の熱プレスで圧着した。得られた成形物を、プルランの繊維が縦、横交互になるよう150℃の熱プレスで積層後、冷却した。
【0111】
この積層操作を繰り返し、厚み10mmの積層成形物を得た。次いで、この積層成形物を切断機で縦5mm、横5mm、長さ8mmに切り取り、角柱試料を作製した。そのとき、プルランの繊維方向と角柱試料の横方向が垂直に成るようにした。得られた角柱試料及び、その試料を犬の長管骨に埋植し、4週間後に取り出したものについて、実施例1同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0112】
(比較参考例1)
L−ラクチド95部と、DL−ラクチド5部と溶媒としてトルエン15部とを反応釜に仕込み、不活性ガス雰囲気下で、175℃で1時間それらを溶融混合し、触媒としてオクタン酸錫を0.03部加えて、同温度で6時間反応させ、次いで200℃に昇温後、5torrの減圧下で脱揮し、ペレット化した。その重量平均分子量は143,000、融点は162℃であった。
【0113】
(比較参考例2)
L−ラクチド96部と、D−ラクチド2部と、グリコリド2部と、溶媒としてトルエン15部とを反応釜に仕込み、不活性ガス雰囲気下で、175℃で1時間それらを溶融混合し、触媒としてオクタン酸錫を0.03部加えて、同温度で6時間反応させ、次いで200℃に昇温後、5torrの減圧下で脱揮し、ペレット化した。その重量平均分子量は138,000、融点は161℃であった。
【0114】
(比較参考例3)
脂肪族ポリエステル(セバシン酸成分50モル%、エチレングリコール成分50モル%、重量平均分子量36,000)30部と、L−ラクチド70部と溶媒としてトルエン15部とを反応釜に仕込み、不活性ガス雰囲気下で、175℃で1時間それらを溶融混合し、触媒としてオクタン酸錫を0.03部加えて、同温度で6時間反応させ、次いで200℃に昇温し、5torrの減圧下で脱揮し、ペレット化した。得られたペレットの重量平均分子量は132,000、融点は160℃であった。
【0115】
(比較例1)
比較参考例1で得られたポリ乳酸35部と、参考例5で得られたヒドロキシアパタイト65部とを180℃に設定の混練機で10分間混練、冷却後、粉砕し、180℃に設定の熱プレスで5mm厚のシートを得た後、切断機で縦5mm、横5mm、長さ8mmに切り取り、角柱試料を作製した。得られた角柱試料及び、その試料を犬の長管骨に埋植し、4週間後に取り出したものについて、実施例1同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0116】
(比較例2)
比較参考例2で得られた乳酸系ポリエステル25部と、参考例6で得られたリン酸三カルシウム75部とを180℃に設定の混練機で10分間混練、冷却後、粉砕し、180℃の熱プレスで5mm厚のシートを成形した後、切断機で縦5mm、横5mm、長さ8mmに切り取り、角柱試料を作製した。得られた角柱試料及び、その試料を犬の長管骨に埋植し、4週間後に取り出したものについて、実施例1同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0117】
(比較例3)
比較参考例2で得られた乳酸系ポリエステル30部と、参考例5で得られたヒドロキシアパタイト70部とを180℃に設定の混練機で10分間混練、冷却後、粉砕し、180℃の熱プレスで250μm厚のシートを成形した後、切断機で縦5mm、横5mm、長さ8mmに切り取り、角柱試料を作製した。得られた角柱試料及び、その試料を犬の長管骨に埋植し、4週間後に取り出したものについて、実施例1同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【0120】
【発明の効果】
本発明は、骨の置換材、接合材、修復材などの生体材料、皮膚端子、カテーテルなどの医療器具、歯槽骨及びその周辺組織の再生膜関連の歯科材料、薬剤徐放性基材等に有用な、生体での炎症性反応が起こらず、良好な分解吸収性を示すことにより、生体組織の再生を促進でき、しかも、良好な成形性、貯蔵安定性を有する生体吸収性複合成形物、生体吸収性材料及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の生体吸収性複合成形物、又は生体吸収性材料の例を示す模式図である。
【図2】 本発明の生体吸収性複合成形物、又は生体吸収性材料の例を示す模式図である。
【図3】 本発明の生体吸収性複合成形物、又は生体吸収性材料の例を示す模式図である。
【図4】 本発明の生体吸収性複合成形物、又は生体吸収性材料の例を示す模式図である。
【図5】 本発明の生体吸収性複合成形物、又は生体吸収性材料の例を示す模式図である。
Claims (15)
- 生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体中に水溶性ポリマー繊維(B)が含まれ、且つ、該水溶性ポリマー繊維(B)の1本以上が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の2面間以上を貫通していることを特徴とする生体吸収性複合成形物。
- 水溶性ポリマー繊維(B)が、太さ1μm〜1000μmであることを特徴とする請求項1記載の生体吸収性複合成形物。
- 水溶性ポリマー繊維(B)が、ポリビニルアルコール系繊維であることを特徴とする請求項1または2記載の生体吸収性複合成形物。
- 生分解性ポリマー(A)が、乳酸系ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の生体吸収性複合成形物。
- 乳酸系ポリエステルが、乳酸成分と、ジカルボン酸成分と、ジオール成分とを必須成分とすることを特徴とする請求項4記載の生体吸収性複合成形物。
- 乳酸系ポリエステルが、触媒を失活処理した乳酸系ポリエステルであることを特徴とする請求項4または5記載の生体吸収性複合成形物。
- 生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体中に水溶性ポリマー繊維(B)を含む成形物を成形する際に、1本以上の水溶性ポリマー繊維(B)が生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の2面間以上を貫通するように、水溶性ポリマー繊維(B)を生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の中に配置して成形することを特徴とする生体吸収性複合成形物の製造方法。
- 生分解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)とのフィルムの間に1本以上の水溶性ポリマー繊維(B)を挟み、生分解性ポリマー(A)の融点以上の温度でフィルムと水溶性ポリマー繊維(B)とを圧着することを特徴とする請求項7記載の生体吸収性複合成形物の製造方法。
- 水溶性ポリマー繊維(B)が、太さ1μm〜1000μmであることを特徴とする請求項7または8記載の生体吸収性複合成形物の製造方法。
- 水溶性ポリマー繊維(B)が、ポリビニルアルコール系繊維であることを特徴とする請求項9記載の生体吸収性複合成形物の製造方法。
- 生分解性ポリマー(A)が、乳酸系ポリエステルであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載の生体吸収性複合成形物の製造方法。
- 乳酸系ポリエステルが、乳酸成分と、ジカルボン酸成分と、ジオール成分とを必須成分とすることを特徴とする請求項11記載の生体吸収性複合成形物の製造方法。
- 乳酸系ポリエステルが、触媒を失活処理した乳酸系ポリエステルであることを特徴とする請求項11または12記載の生体吸収性複合成形物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の生体吸収性複合成形物中の水溶性ポリマー繊維(B)が、水溶液により除去されて孔が形成されていることを特徴とする生体吸収性材料。
- 孔径1μm〜1000μmの1つ以上の孔が生解性ポリマー(A)とリン酸カルシウム系化合物(C)との複合体の2面間以上を貫通していることを特徴とする請求項14に記載の生体吸収性材料。
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