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JP3739858B2 - 高周波フィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波フィルタに関する。さらに詳細には、弾性表面波フィルタと誘電体フィルタとを縦続に接続した高周波フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、フィルタに使用するために、弾性表面波素子の研究が盛んに行なわれてきた。特に、最近の移動体通信の発達、及び高周波化により、弾性表面波素子、特に弾性表面波フィルタの開発が盛んに行なわれている。従来、高周波帯、特に数100MHzのフィルタを弾性表面波素子によって構成する方法として、種々の方法が提案されている。その代表的なものとしては、特開昭52−19044号公報に示されているような弾性表面波共振子を複数個使用してフィルタを構成する『ラダー型』といわれるもの、特開昭58−154917号公報に示されているような『多電極型』といわれるもの、特開平3−222512号、特開昭61−230419号、特開平1−231417号の各公報に示されているような弾性表面波共振器を隣接して設置し、共振子間の結合を利用した、いわゆる『縦モード型』といわれるものなどがある。一般に、弾性表面波フィルタは、その基板の特性によってフィルタ特性が決定される部分が多い。特に、フィルタの通過帯域幅、温度特性等は基板の特性によって決定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近、移動体通信の発達により、使用周波数帯が準マイクロ波の領域へ上がっている。特に、アメリカ合衆国においては「PCS」というシステムが実用化されようとしており、ヨーロッパにおいては「PCN」というシステムが実用化されようとしている。これらのシステムにおいては、周波数としてそれぞれ1.8GHz帯、1.9GHz帯が使用されている。従来の移動体通信システム、例えば日本のアナログシステムにおいては、送信周波数として915〜940MHzが使用され、受信周波数として860〜885MHzが使用されており、送信−受信周波数間隔は30MHzであった。しかし、PCS(1.8GHz帯)においては、受信周波数として1805〜1880MHzが使用され、送信周波数として1710〜1785MHzが使用されており、送信−受信周波数間隔は20MHzである。このように使用周波数帯が上がったにもかかわらず、送信−受信周波数間隔は従来の移動体通信システムの場合(30MHz)よりも狭くなっている。通信システムは同時送受信ではなく時分割になってはいるが、やはり、送信フィルタであれば受信帯域減衰量を確保する必要があり、受信フィルタであれば送信帯域減衰量を確保する必要がある。このように、フィルタの特性としては非常に厳しいものとなっている。このため、1段のみの弾性表面波フィルタではこれらの減衰量を確保することができず、誘電体フィルタと縦続に接続して減衰量を確保せざるを得ない。
【0004】
しかし、弾性表面波フィルタに誘電体フィルタを縦続に接続すると、常温時における帯域内の挿入損失が劣化するという問題点があった。
そこで、本発明者等は、鋭意研究を重ね、所定の周波数温度特性を有する弾性表面波フィルタと所定の周波数温度特性を有する誘電体フィルタを縦続に接続することにより、常温時における帯域内の挿入損失の劣化を最小限に抑えることができると考え、本発明をするに至った。
【0005】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、弾性表面波フィルタと誘電体フィルタを縦続に接続しても、帯域内の挿入損失が劣化することがなく、しかも十分な減衰量を確保することのできる高周波フィルタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る高周波フィルタの構成は、送信周波数帯と受信周波数帯とで使用周波数帯が異なっている無線通信システムで使用される高周波フィルタであって、(1)前記送信周波数帯に通過帯域をもつ弾性表面波フィルタと前記受信周波数帯の前記送信周波数帯に近い側から離れた領域に減衰域をもつ誘電体フィルタとが縦続に接続され、又は(2)前記受信周波数帯に通過帯域をもつ弾性表面波フィルタと前記送信周波数帯の前記受信周波数帯に近い側から離れた領域に減衰域をもつ誘電体フィルタとが縦続に接続され、前記弾性表面波フィルタの周波数温度特性の符号と前記誘電体フィルタの周波数温度特性の符号が異なることを特徴とする。この高周波フィルタの構成によれば、常温時における帯域内の挿入損失の劣化を抑えながら、十分な減衰量を確保することができる。
【0007】
また、前記本発明の構成においては、前記弾性表面波フィルタが負の周波数温度特性を有し、前記誘電体フィルタが正の周波数温度特性を有するのが好ましい。
また、前記本発明の構成においては、前記弾性表面波フィルタの周波数温度特性の絶対値と前記誘電体フィルタの周波数温度特性の絶対値が実質的に同一であるのが好ましい。この好ましい例によれば、使用時の周囲温度が最も低温になった場合でも、十分な減衰量を確保することができる。
また、前記本発明の構成においては、前記誘電体フィルタは、ノッチフィルタ又はローパスフィルタであり、前記誘電体フィルタの通過帯域は、前記弾性表面波フィルタの通過帯域を含むのが好ましい。
また、前記本発明の構成においては、前記誘電体フィルタの減衰域が、(1)前記弾性表面波フィルタの送信周波数帯が通過帯域の場合、前記受信周波数帯の前記送信周波数帯に近い側から5MH z 以内で離れた領域、又は(2)前記弾性表面波フィルタの受信周波数帯が通過帯域の場合、前記送信周波数帯の前記受信周波数帯に近い側から5MH z 以内で離れた領域のいずれかに設定されているのが好ましい。また、この場合には、前記誘電体フィルタの−25℃近傍での減衰域が、(1)前記弾性表面波フィルタの送信周波数帯が通過帯域の場合、前記受信周波数帯の前記送信周波数帯に近い側から5MHz以内で離れた領域、又は(2)前記弾性表面波フィルタの受信周波数帯が通過帯域の場合、前記送信周波数帯の前記受信周波数帯に近い側から5MH z 以内で離れた領域のいずれかに設定されているのが好ましい。この場合にはさらに、前記弾性表面波フィルタは前記送信周波数帯に通過帯域をもち、前記誘電体フィルタは前記受信周波数帯に通過帯域をもつのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
図1は本発明に係る高周波フィルタの実施の形態を示す概略構成図である。
【0009】
圧電基板として36°回転YカットX伝搬のタンタル酸リチウム(LiTaO3 )基板を使用して弾性表面波フィルタ101を構成し、図1に示すように誘電体フィルタ(本実施の形態においては、『ノッチフィルタ』を使用した。)102に縦続に接続した。このフィルタは、PCSの送信フィルタ(1.8GHz帯)として使用するものである。図1中、103は入力端子であり、104は出力端子である。
【0010】
図2に弾性表面波フィルタ101の周波数特性を示し、図3に誘電体フィルタ102の周波数特性を示す。また、図4に弾性表面波フィルタ101の通過帯域の高周波側、特に受信周波数の最も送信側に近い部分の周波数特性を示す。
【0011】
本実施の形態で使用した36°回転YカットX伝搬のLiTaO3 基板は、ほぼ−35ppm/℃の周波数温度特性を示す。
図4中、実線は弾性表面波フィルタ101の常温時における周波数特性を示している。また、製作誤差として少なくとも±2MHzの余裕が必要であると考えられるため、これを考慮に入れた場合の弾性表面波フィルタ101の周波数特性を破線で示している。さらに、使用時の周囲温度が最も低温(例えば、−25℃)になったときの弾性表面波フィルタ101の周波数特性を一点鎖線で示している。このように最悪のケース(一点鎖線)を考えた場合には、受信周波数である1805MHzにおいては5dB程度の減衰量しか確保することができず、仮に受信帯域減衰量として20dB必要であるとすると、誘電体フィルタ102の周波数温度特性が実質的に0であれば15dB以上の受信帯域減衰量を確保することのできる誘電体フィルタ102と縦続に接続する必要がある。しかし、受信周波数である1805MHzにおいて15dBの減衰量を得ようとすると、誘電体フィルタ102の挿入損失は1dB程度となる。ここで、少なくとも常温においては、製作誤差を考慮に入れても弾性表面波フィルタのみで12dB程度の受信帯域減衰量を確保することができると考えられる(図4の破線)。このため、誘電体フィルタ102は8dBの減衰量を持っていれば十分である。このときの誘電体フィルタ102の挿入損失は0.6dB程度であり、改善がみられる。この状態で周囲温度を低温にもっていったときに、弾性表面波フィルタ102は図4中の一点鎖線の特性(減衰量5dB程度)まで変化する。この場合には、受信周波数である1805MHzにおいて20dBの受信帯域減衰量を確保するために、誘電体フィルタ102で15dBの減衰量が必要となる。周囲温度を低温にもっていったときに誘電体フィルタ102で15dBの減衰量を確保するためには、弾性表面波フィルタ101の周波数温度特性の符号と逆の符号の周波数温度特性を有する誘電体フィルタ102を用いればよい。このように周波数温度特性の符号が逆の弾性表面波フィルタ101と誘電体フィルタ102を縦続に接続すれば、常温時における帯域内の挿入損失の劣化を抑えながら、十分な受信帯域減衰量を確保することのできる高周波フィルタ(PCSの送信フィルタ)を実現することができる。
【0012】
誘電体フィルタ102の周波数温度特性は、弾性表面波フィルタ101の周波数温度特性と絶対値がほぼ同じで、符号が逆であるのが好ましい。その理由を以下に説明する。
【0013】
弾性表面波フィルタ101の常温時における周波数特性(図4の破線)を考えると、誘電体フィルタ102は受信周波数である1805MHzにおいて8dBの減衰量を確保できればよい。一方、弾性表面波フィルタ101の最も低温の状態における周波数特性(図4の一点鎖線)を考えると、誘電体フィルタ102は受信周波数である1805MHzにおいて15dBの減衰量を確保する必要がある。また、この最も低温の状態では、弾性表面波フィルタ101のみでは1810MHzまで20dBの減衰量を確保することができないため、誘電体フィルタ102は1810MHzまで減衰量をもっている必要がある。誘電体フィルタ(本実施の形態では、ノッチフィルタ)102の特性(例えば、図3のような特性)を考えると、図5(a)中の実線のような特性が必要とされる。これを常温時に戻した場合には、図5(a)中の細い二点鎖線のような特性でよい。このように誘電体フィルタ102の減衰域を弾性表面波フィルタ101の通過域から離すことにより、誘電体フィルタ102の通過損失を減少させることができる。尚、使用時の周囲温度が最も低温になったときの誘電体フィルタ102の周波数特性を図5(b)中に長めの破線で示している。このときの誘電体フィルタ102の周波数温度特性は、弾性表面波フィルタ101の周波数温度特性(−35ppm/℃)と絶対値が実質的に等しく符号が逆である。
【0014】
尚、本実施の形態においては、弾性表面波フィルタ101を構成する圧電基板として36°回転YカットX伝搬のLiTaO3 基板を使用しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO3 )基板や水晶基板を使用した場合でも同様の効果が得られる。
【0015】
また、本実施の形態においては、弾性表面波フィルタ101の構成について特に示していないが、フィルタ特性が得られるものであればよい。例えば、圧電基板上に、電極材料としてアルミニウム(Al)を使用してすだれ状トランスデューサ(IDT)を形成することにより、弾性表面波フィルタとして機能させることができる。
【0016】
また、本実施の形態においては、誘電体フィルタ102としてノッチフィルタを例に挙げて説明しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えばローパスフィルタ等の他の形式のフィルタであってもよい。
【0017】
また、本実施の形態においては、入力端子103側に弾性表面波フィルタ101を配置し、出力端子104側に誘電体フィルタ102を配置した場合を例に挙げて説明しているが、必ずしもこの構成に限定されるものではなく、誘電体フィルタ102を入力端子103側に配置し、弾性表面波フィルタ101を出力端子104側に配置してもよい。
【0018】
また、本実施の形態においては、1.8GHz帯のフィルタを例に挙げて説明しているが、必ずしもこの周波数帯のフィルタに限定されるものではない。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、常温時における帯域内の挿入損失の劣化を抑えながら、十分な減衰量を確保することのできる高周波フィルタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高周波フィルタの実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態で用いた弾性表面波フィルタの周波数特性図である。
【図3】本発明の実施の形態で用いた誘電体フィルタの周波数特性図である。
【図4】本発明の実施の形態で用いた弾性表面波フィルタの通過帯域の高周波側における周波数特性図である。
【図5】本発明の実施の形態で用いた誘電体フィルタのうち最も好ましい誘電体フィルタの周波数特性図である。
【符号の説明】
101、弾性表面波フィルタ
102、誘電体フィルタ
103、入力端子
104、出力端子

Claims (7)

  1. 送信周波数帯と受信周波数帯とで使用周波数帯が異なっている無線通信システムで使用される高周波フィルタであって、(1)前記送信周波数帯に通過帯域をもつ弾性表面波フィルタと前記受信周波数帯の前記送信周波数帯に近い側から離れた領域に減衰域をもつ誘電体フィルタとが縦続に接続され、又は(2)前記受信周波数帯に通過帯域をもつ弾性表面波フィルタと前記送信周波数帯の前記受信周波数帯に近い側から離れた領域に減衰域をもつ誘電体フィルタとが縦続に接続され、前記弾性表面波フィルタの周波数温度特性の符号と前記誘電体フィルタの周波数温度特性の符号が異なることを特徴とする高周波フィルタ。
  2. 前記弾性表面波フィルタが負の周波数温度特性を有し、前記誘電体フィルタが正の周波数温度特性を有する請求項1に記載の高周波フィルタ。
  3. 前記弾性表面波フィルタの周波数温度特性の絶対値と前記誘電体フィルタの周波数温度特性の絶対値が実質的に同一である請求項1に記載の高周波フィルタ。
  4. 前記誘電体フィルタは、ノッチフィルタ又はローパスフィルタであり、前記誘電体フィルタの通過帯域は、前記弾性表面波フィルタの通過帯域を含む請求項1〜3のいずれかに記載の高周波フィルタ。
  5. 前記誘電体フィルタの減衰域が、(1)前記弾性表面波フィルタの送信周波数帯が通過帯域の場合、前記受信周波数帯の前記送信周波数帯に近い側から5MH z 以内で離れた領域、又は(2)前記弾性表面波フィルタの受信周波数帯が通過帯域の場合、前記送信周波数帯の前記受信周波数帯に近い側から5MH z 以内で離れた領域のいずれかに設定された請求項1〜4のいずれかに記載の高周波フィルタ。
  6. 前記誘電体フィルタの−25℃近傍での減衰域が、(1)前記弾性表面波フィルタの送信周波数帯が通過帯域の場合、前記受信周波数帯の前記送信周波数帯に近い側から5MHz以内で離れた領域、又は(2)前記弾性表面波フィルタの受信周波数帯が通過帯域の場合、前記送信周波数帯の前記受信周波数帯に近い側から5MH z 以内で離れた領域のいずれかに設定された請求項5に記載の高周波フィルタ。
  7. 前記弾性表面波フィルタは前記送信周波数帯に通過帯域をもち、前記誘電体フィルタは前記受信周波数帯に通過帯域をもつ請求項6に記載の高周波フィルタ。
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CN102386885A (zh) * 2011-06-20 2012-03-21 清华大学 一种具有大机电耦合系数和低插入损耗的声表面波滤波器及其专用压电薄膜

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